JPH06283422A - 多結晶半導体膜およびこれを用いた薄膜トランジスタ並びに多結晶半導体膜の製造方法 - Google Patents

多結晶半導体膜およびこれを用いた薄膜トランジスタ並びに多結晶半導体膜の製造方法

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JPH06283422A
JPH06283422A JP9226093A JP9226093A JPH06283422A JP H06283422 A JPH06283422 A JP H06283422A JP 9226093 A JP9226093 A JP 9226093A JP 9226093 A JP9226093 A JP 9226093A JP H06283422 A JPH06283422 A JP H06283422A
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康樹 原田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス基板を使用し、且つ結晶に配向を持た
せながら結晶粒径の大粒径化が図れるといった全ての条
件を充たすことのできる多結晶半導体膜の製造方法を提
供することを目的とする。 【構成】 a−Si膜を形成するプラズマCVD装置の
バックグランド真空度を十分に高くしてa−Si膜中の
酸素を十分に除去し、次に、a−Si膜に含まれる水素
を比較的長時間(或いは高温)での熱アニールによって
十分に除去し、その後、上記の酸素及び水素が十分に除
去されたa−Si膜に対して所定の温度を付与しつつエ
キシマレーザーパルスを多数回照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜で大粒径且つ配向
した多結晶半導体膜を低温プロセスで製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板上に薄膜トランジスタ(以
下、TFTと略記する)を多数個形成して成るデバイス
として、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、密着型
ラインセンサ、或いは1次元サーマルヘッドなどが知ら
れている。これらのデバイス、例えば、上記の液晶ディ
スプレイにおいては、装置のコンパクト化、低コスト化
のためTFT自体で薄膜の駆動回路を一体化形成して外
付けのドライバーICを不要とする要望がある。また、
TFTサイズを小さくすることで画素中の開口率を大き
くする、或いは、画素数を多くしたときでも高速で動作
させる等、高品位化のための要望がある。
【0003】ここで、TFTの材料としては、非晶質シ
リコン(a−Si)が一般的であるが、このa−Si
は、その電子移動度が1cm2 /Vs以下と低く、駆動
回路一体化、画素サイズ縮小化等の高品位化には十分な
特性を有していない。
【0004】このため、比較的電子移動度が高い多結晶
シリコン(poly−Si)がTFTなどの半導体デバ
イスの材料として有望視され、特に、ガラス基板が使用
可能な低温プロセスで高移動度化、オフ電流低減の為に
大粒径且つノンドープで配向を有するpoly−Si薄
膜の出現が望まれていた。
【0005】従来のpoly−Si膜形成方法として
は、ガラス基板の使用が可能な低温プロセスを用いる形
成方法と、ガラス基板の使用ができない高温プロセスを
用いる形成方法とが知られている。低温プロセスとして
は、固相成長法、低温CVD法、及びエキシマレーザー
アニール法が知られており、また、高温プロセスとして
は、高温熱アニール法、CWアルゴンレーザーアニール
法、及び高温CVD法が知られている。
【0006】固相成長法は、基板温度を約600℃とし
て数十時間の熱アニールを行う方法であり、結晶粒径の
大粒径化(2μm程度)には適しているが、配向がラン
ダムであり、結晶粒は双晶等の結晶欠陥が多い樹枝状結
晶であり、結晶性が悪いという欠点を有する。従って、
たとえ粒内にTFTを作っても移動度は単結晶Siと比
較して1/5程度と低く、粒径分布も悪い。また、長時
間のアニールを行うため、ガラス基板のコンパクション
を生じ、その後のプロセスでマスク合わせに不都合を生
じるといった問題がある。
【0007】低温CVD法(LPCVD法、プラズマC
VD等)は、一部配向を有するものも作製可能である
が、粒径が2000Å程度と小さく、また、のこぎり歯
(teeth)状結晶のため、膜厚が2000Å以上で
ないと粒径が拡大しないという欠点がある。更に、この
ように膜厚が厚いと、TFTを作製した場合、オフ電流
が増大し、LCDへの適用が不可能になるという欠点が
ある。
【0008】一方、ガラス基板へのダメージが少なく、
高スループットが期待されることから最近注目されてい
るエキシマレーザーアニール法は、XeClエキシマレ
ーザー等の短波長、短パルスレーザーを試料に照射して
短時間に溶融結晶化する方法であるが、結晶化速度がn
secオーダーと早いため、得られる結晶粒径はせいぜ
い1000Å程度である。また、レーザー照射時に基板
温度を400℃程度に加熱して凝固速度を制御する方法
を採ったとしても、粒径が5000Å以上の結晶を得る
ことは困難であり、しかも配向がランダムのままであっ
た。
【0009】高温熱アニール法は、基板温度を1100
℃以上にして熱アニールを行う方法であるが、ノンドー
プ膜に対しては結晶の粒径はせいぜい数千Å程度であ
り、配向もランダムである。一方、ドープ(P,As)
膜に対しては大粒径(数μm程度で対数正規型の均一粒
径分布)が得られ、更に(111)に配向した膜を得る
ことができるが、ドープ膜であるためTFTのチャネル
膜としては用いることはできない。
【0010】CWアルゴンレーザーアニール法(完全溶
融再結晶化法)は、連続発振のレーザーを照射して半導
体膜を完全に溶融させて再結晶化する方法であるが、膜
厚が5000Å以上でないと結晶化の為の理想的な温度
分布が得られず、また、溶融時間が長いため、ガラス基
板等の低融点基板を使うことができない。更に、薄膜で
は膜がレーザーで吹き飛び、良好な結晶化が不可能であ
る。
【0011】高温CVD法は、1000℃程度の基板温
度で半導体膜を基板上に堆積する方法であるが、形成さ
れたpoly−Si膜の粒径はせいぜい数千Åであり、
また、配向もランダムである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、上記従来の多
結晶半導体膜の製造方法では、ガラス基板を使用し、且
つ結晶に配向を持たせながらオフ電流低減の為に薄膜で
結晶粒径の大粒径化が図れるといった全ての条件を充た
すことはできなかった。
【0013】本発明は、上述した従来の問題点を解消
し、薄膜で大粒径且つノンドープで配向を有するpol
y−Si膜を安価な基板が使用可能な低温プロセスで提
供することをその目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の多結晶半導体膜
は、膜厚が300Å〜1000Åで且つ(111)配向
度50%以上のノンドープ膜であり、結晶粒径1μm以
上の粒を少なくとも含むことを特徴としている。
【0015】また、本発明の薄膜トランジスタは、絶縁
性基板として低融点ガラス基板を用い、少なくともチャ
ネル層に請求項1の多結晶半導体膜を有していることを
特徴としている。
【0016】また、本発明の多結晶半導体膜の製造方法
は、水素及び酸素が十分に除去された非晶質の半導体膜
を得る工程と、低融点ガラス基板の使用が可能な温度に
保持して上記非晶質の半導体膜にエキシマレーザーを3
0ショット(shots)以上照射する工程と、を含む
ことを特徴としている。
【0017】
【作用】上記の多結晶半導体膜は、(111)配向度5
0%以上であるので、たとえ同じ粒径のものであっても
ランダムな配向しか有しない多結晶半導体膜に比べてよ
り単結晶に近い特性を有することになり、電子移動度お
よび特性の均一性がより向上する。また、膜厚が300
Å〜1000Åで薄膜であるため、オフ電流の低減も可
能となる。
【0018】また、上記の薄膜トランジスタは、(11
1)配向度50%以上の多結晶半導体膜を少なくともチ
ャネル層に有し、その電子移動度および特性の均一性が
向上されたので、高品質なデバイスとなる。
【0019】また、上記の多結晶半導体膜の製造方法に
よれば、低温プロセスであるエキシマレーザーアニール
によって再結晶化を行うから、低融点のガラス基板など
を使用することができる。更に、結晶成長を阻害する水
素及び酸素を十分に除去した上で、エキシマレーザーパ
ルスの照射回数を30shots以上として結晶成長を
起こさせるエネルギーを十分に与え、且つ温度を保持し
凝固過程を制御するので、結晶は横方向に成長して大粒
径化する。また、この結晶成長時、(111)面に優先
的に成長するため、結晶に配向を持たせながら大粒径化
を図ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図に基づい
て説明する。
【0021】本実施例における多結晶半導体膜の製造方
法は、低不純物なa−Si膜を形成する第1の工程と、
a−Si膜に含まれる水素を除去する第2の工程と、a
−Si膜に対してレーザーパルスを照射する第3の工程
とからなる。
【0022】第1の工程におけるa−Si膜の形成は、
プラズマCVD法により行うことができる。プラズマC
VD法によるa−Si膜の形成は、例えば、基板温度を
170℃、RFパワーを0.08W/cm2 、圧力を
0.4Torr、100%SiH4 (シランガス)を流
量20sccmとした条件で行い、500Åの膜厚に形
成した。なお、このプラズマCVD法により形成された
a−Si膜には、不純物として水素、酸素、炭素、窒素
等が含まれているが、特に結晶成長を阻害する要因であ
る水素、酸素は、上記のように、チャンバーのバックグ
ランドの到達真空度を10-7Torrにして十分に高め
ているため、a−Si膜中の酸素濃度は十分に低いもの
となる。
【0023】第2の工程における水素の除去は、上記a
−Si膜を基板温度を450℃〜590℃に設定して3
0分〜8時間放置するアニール処理により行うことがで
きる。この脱水素化処理は、従来行われていた処理より
も入念に行われ、a−Si膜中の水素濃度は十分に低く
される。
【0024】第3の工程におけるレーザーパルス照射に
おいては、XeCl,ArF,KrF,XeFなどのエ
キシマレーザーが用いられる。このときのレーザーエネ
ルギー密度は200〜500mJ/cm2 に設定してお
り、パルス数は30shots以上に設定している。ま
た、このときの基板温度は、200〜500℃に設定し
ている。ここに、上記のショット数は、従来におけるエ
キシマレーザーアニールにおける1〜8shotsより
も格段に多いものとなっている。
【0025】図1は、上記の多結晶半導体膜の製造方法
におけるエキシマレーザーパルス照射時のガラス基板1
0上のpoly−Si膜11の結晶成長の様子を示した
斜視図であり、レーザーパルスのショット数が増えるに
従って横方向に二次的に結晶成長が起こって結晶粒径が
大きくなることが分かる。また、図には示されていない
が、結晶粒は(111)面に配向する。
【0026】以下、上記の製造方法により製造された多
結晶半導体膜において、結晶が(111)配向して大粒
径化する理由について考察する。
【0027】まず、同図(a)に示すように、エキシマ
レーザーが照射されることにより、出発膜であるa−S
i膜は小粒径のpoly−Si膜に変化する。そして、
上記poly−Si膜の結晶粒径が膜厚と同程度にな
り、粒の形状が柱状になる。この変化は、従来方法にお
いても同じであり、この小粒径のpoly−Si膜にお
いては、結晶の配向はランダムである。
【0028】ところで、このエキシマレーザーアニール
法を利用する従来の多結晶半導体膜の製造方法において
は、エキシマレーザーのショット回数を増やしてもそれ
に比例して結晶粒径が飛躍的に大粒径化することはなか
った。これは、エキシマレーザーのショット回数を増や
すと、粒界部分が溶融し、部分的には横方向に2次元的
に結晶成長が起こり一部の結晶粒は大きくなるが、ショ
ット数が一定以上の場合に出発材料に含有されている酸
素及び水素原子により、横方向の結晶成長が阻害される
からである。
【0029】これに対し、本発明では、前記の第1及び
第2の工程において、結晶成長を阻害する要因となる酸
素及び水素が十分に除去されているので、レーザーパル
スのショット数が増えるに従って横方向に二次的に結晶
成長が起こって結晶粒径が大きくなる。
【0030】そして、上記poly−Si膜の結晶粒径
が膜厚と同程度になり、粒の形状が柱状になると、表面
自由エネルギーの異方性が大きな影響を及ぼすようにな
る。つまり、外部から結晶成長を起こさせるエネルギー
を加えた場合、表面自由エネルギーが最小となる方向に
配向しようとする。これは、よりエネルギー的に安定な
面に落ちつこうとするからである。Si表面の表面自由
エネルギーはSiのブロークンボンド密度に関係し、S
i表面では(111)面の密度が最も小さくなり、(1
11)面に優先的に配向することになる。そして、この
ときに、上記したように、前記の第1及び第2の工程に
おいて、結晶成長を阻害する要因となる酸素及び水素が
十分に除去されていることにより、(111)面への配
向が円滑に行われ、(111)面の配向を有する結晶粒
が優先的に成長すると考えられる。
【0031】即ち、前記のpoly−Si膜を形成して
いる各々の結晶は、当初は小粒径であり配向もばらばら
であるが、前述したように、その粒の形状が柱状となっ
た後において、引き続き照射されるエキシマレーザーに
て結晶成長を起こさせるエネルギーが次々と付与される
ため、各々の結晶の粒界面において(111)面への配
向が優先的に進み、(111)面に配向を有している結
晶は、これと接している他の面に配向を持つ結晶を取り
崩して成長し、その結果、(111)の面に配向する結
晶が大粒径化するものと考えられる。
【0032】結晶の大粒径化は、上記したように、出発
膜中の不純物である酸素濃度と水素濃度の影響を受け
る。水素濃度と結晶粒径の関係、及び酸素濃度と結晶粒
径の関係を調べたので以下に示す。なお、このときの条
件は、基板温度を400℃、エキシマレーザーエネルギ
ー密度を350mJ/cm2 、エキシマレーザーの照射
回数を128shotsとした。
【0033】 水素濃度:1×1020/cm3 以上の場合→最大粒径:
6000Å以下 水素濃度:5×1019/cm3 以下の場合→最大粒径:
3μm以上 (酸素濃度は十分に少なくしている:4×1018/cm
3 以下)
【0034】 酸素濃度:1×1019/cm3 以上の場合→最大粒径:
6000Å以下 酸素濃度:4×1018/cm3 以下の場合→最大粒径:
3μm以上 (水素濃度は十分に少なくしている:5×1019/cm
3 以下)
【0035】従って、結晶の大粒径化のためには、出発
膜であるa−Si膜において酸素および水素ともに十分
に低濃度であることが必要であることがわかる。
【0036】図2は、粒径分布の推移を表したグラフで
あり、同図(a)はショット数が1回の場合を、同図
(b)はショット数が60回の場合を、同図(c)はシ
ョット数が120回の場合をそれぞれ示している。これ
らの図から分かるように、ショット数が1回の時点で
は、大粒径(1.0〜2.0μm程度)の結晶は全く得
られないが、ショット数が60回の時点で一部の結晶が
大粒径化し、ショット数が120回の時点で略全ての結
晶が大粒径化している。
【0037】図3(a)は、基板温度を一定(400
℃)とし、エキシマレーザーショット数を変化させた場
合の配向の集中度の変化を示したグラフであり、このグ
ラフから分かるように、ショット数が多くなるに従って
(111)面の配向を有する結晶粒が成長し、ついには
(111)配向度50%以上有の多結晶半導体膜が得ら
れる。一方、同図(b)は、レーザーショット数を一定
(120shots)とし、基板温度を変化させた場合
の配向の集中度の変化を示したグラフであり、このグラ
フから分かるように、基板温度が高くなるに従って(1
11)面の配向を有する結晶粒が成長し、ついには(1
11)配向度50%以上有する多結晶半導体膜が得られ
る。なお、この同図(b)において、基板温度が室温
(RT)であるときの結晶の最大粒径は5000Å、基
板温度が200℃のときは7500Å,基板温度が30
0℃のときは1.5μm、基板温度が400℃のときは
4.5μmであった。
【0038】以上のように、本発明の多結晶半導体膜の
製造方法によれば、a−Si膜を形成する第1の工程に
おいては、その膜厚を比較的薄くし、且つプラズマCV
D装置のバックグランドの真空度を十分に高くしてa−
Si膜中の酸素を十分に除去し、第2の工程においては
a−Si膜に含まれる水素を比較的長時間(或いは高
温)での熱アニールによって十分に除去し、第3の工程
においては酸素及び水素が十分に除去されたa−Si膜
に対して所定の温度を付与しつつレーザーパルスを多数
回照射するようにしたので、再結晶化poly−Si膜
11においてその結晶粒径を数μ程度に均一な粒径分布
で大粒径化させ且つ結晶に(111)面の配向を持たせ
ることができるようになった。
【0039】このような大粒径で(111)配向を有す
る多結晶半導体膜を用いて薄膜トランジスタを作製する
ときは、その高い電子移動度によって薄膜トランジスタ
の高性能化を図ることができる。例えば、図4に示すよ
うに、膜厚が300Å〜1000Å程度で、1μm以上
の粒径を有する結晶を少なくとも含み、(111)配向
度50%以上有するpoly−Si膜11を、歪点70
0℃以下のガラス基板10上に堆積し、ゲート絶縁膜1
2およびゲート電極13を形成し、ソースおよびドレイ
ンとなる領域に不純物をドープしてソースS,ドレイン
Dを形成し、更に、ソース,ドレイン電極14を順次形
成することにより作製できる。
【0040】なお、このような大粒径で(111)配向
を有するpoly−Si膜11は少なくともチャネル層
に存在すればよく、従って、このチャネルとなる部分に
のみ選択的に多パルス照射するようにしてもよく、また
大粒径の一つの結晶内にチャネル層を形成することもで
きる。更に、別に形成した高濃度不純物層にてソースお
よびドレインを形成するようにしてもよいものである。
【0041】また、この大粒径で配向を有する多結晶半
導体膜を核としてCVD法によりエピタキシャル成長さ
せて厚膜の多結晶半導体膜を形成することもできる。
【0042】更に、この大粒径で配向を有する多結晶半
導体膜を核として固相成長させた多結晶半導体膜を用い
て太陽電池を製造することも可能となり、その高い電子
移動度によって発電効率を高めることができる。例え
ば、図5(a)に示すように、裏面電極となる金属基板
1上にSiO2 膜2をアイランド状に形成すると共に、
各SiO2 膜2上に上記の方法によって大粒径のpol
y−Si膜3を形成する。そして、同図(b)に示すよ
うに、n+ 型poly−Si膜4を固相成長により形成
する。このとき、上記の大粒径のpoly−Si膜3が
核となり、上記n+ 型poly−Si膜4の結晶粒径は
大きなものとなる。次に、n- 型poly−Si膜5お
よびp+ 型poly−Si膜6を順に形成した後、集電
極7を形成する。これにより、大結晶粒で結晶性に優れ
たBSF(Back Surface Field)型
の多結晶太陽電池が得られる。
【0043】なお、以上の実施例では、プラズマCVD
法を用いて出発膜であるa−Si膜を形成したが、これ
に限らず、光CVD法なども用いることができる。ま
た、LPCVD法(550℃)では、装置的に到達真空
度を十分に高めることができず、水素濃度が7×1019
/cm3 程度、酸素濃度が7×1019/cm3 以上とな
り、多パルス照射しても大きな結晶は得られないが、今
後の技術開発により装置の到達真空度を高めることが可
能となって、酸素濃度および水素濃度を十分に低くする
ことができるようになれば、このLPCVD法で形成し
た薄膜のa−Si膜を用いて本発明の多パルス照射によ
る多結晶半導体膜の製造方法を適用することができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、より単
結晶半導体膜の特性に近い多結晶半導体膜が得られ、上
記の多結晶半導体膜の製造方法により、低融点のガラス
基板などの上に結晶に配向を持たせながら薄膜で且つ大
粒径化を図ることができるという効果を奏する。また、
これを用いた薄膜トランジスタの性能は飛躍的に向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多結晶半導体膜の製造方法におけるエ
キシマレーザーパルス照射によるシリコン膜の結晶成長
の様子を示した斜視図である。
【図2】本発明の多結晶半導体膜の製造方法におけるエ
キシマレーザーパルス照射による粒径分布の推移を表し
たグラフである。
【図3】本発明の多結晶半導体膜の製造方法におけるエ
キシマレーザーパルス照射による結晶の配向性の変化を
X線回折パターンにより示したグラフである。
【図4】本発明の多結晶半導体膜を用いた薄膜トランジ
スタの縦断面図である。
【図5】本発明の多結晶半導体膜を用いた太陽電池の製
造方法を工程順に示した縦断面図である。
【符号の説明】
1 金属基板 2 SiO2 膜 3 大粒径のpoly−Si膜 4 n+ 型poly−Si膜 5 n- 型poly−Si膜 6 p+ 型poly−Si膜 7 集電極 10 ガラス基板 11 大粒径のpoly−Si膜 12 ゲート絶縁膜 13 ゲート電極 14 ソース,ドレイン電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜厚が300Å〜1000Åで且つ(1
    11)配向度50%以上のノンドープ膜であり、結晶粒
    径1μm以上の粒を少なくとも含むことを特徴とする多
    結晶半導体膜。
  2. 【請求項2】 絶縁性基板として低融点ガラス基板を用
    い、少なくともチャネル層に請求項1の多結晶半導体膜
    を有していることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  3. 【請求項3】 水素及び酸素が十分に除去された非晶質
    の半導体膜を得る工程と、低融点ガラス基板の使用が可
    能な温度に保持して上記非晶質の半導体膜にエキシマレ
    ーザーを30ショット以上照射する工程と、を含むこと
    を特徴とする多結晶半導体膜の製造方法。
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