JPH06270676A - 自動車用内装部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アームレストを設置した自動車用ドアトリム
あるいはリヤサイドトリム等の内装部品において、アー
ムレスト部に側突等側方からの比較的大きな衝撃が加わ
った際、この衝撃荷重を有効に吸収する機能をアームレ
スト部に付与することにより、乗員に加わる側方からの
衝撃を和らげることを目的とする。 【構成】 ドアトリム１０のアームレスト部１３に開口
１５を開設し、この開口１５を裏面側から塞ぐようにア
ームレスト用芯材３０を添設固定するとともに、アーム
レスト用芯材３０の周縁に沿う接合部３１の接合強度を
比較的弱く設定することにより、側突等、車両に側方か
らの衝撃が加わった際、アームレスト用芯材３０がドア
トリム１０から脱落して、アームレスト用芯材３０の脱
落による衝撃吸収作用により、乗員にかかる衝撃を和ら
げる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ドアパネルに内装さ
れる自動車用ドアトリム，２ドア車の後席乗員側方に設
置されるリヤサイドトリム等の自動車用内装部品に関す
るもので、特に、側方からの衝撃エネルギーを有効に吸
収できるアームレストを付設した自動車用内装部品に関
する。

【０００２】

【従来の技術】通常、自動車室内には、ドアパネルに内
装される自動車用ドアトリム，２ドアハードトップ車等
では後席乗員の側方にリヤサイドトリム等の内装部品が
設置されており、室内美観の向上を図るとともに、側方
からの衝撃に対して、乗員の保護を図るようにしてい
る。

【０００３】すなわち、図８，図９にドアパネルに内装
されるドアトリムを例示して説明すると、ドアパネル１
の室内面に自動車用ドアトリム２が通常、設置されてお
り、この自動車用ドアトリム２は、保形性とドアパネル
１に対する取付剛性を備え、所望の曲面形状に成形され
た芯材３と、この芯材３の表面側にクッション性ならび
に装飾性を備えた表皮材４を被覆貼着して構成されてい
る。

【０００４】更に、乗員の腰部および肩部に対応するよ
うに、アームレスト部５，ウエスト部６を室内側に膨出
状に形成してドアトリム２が構成されている。

【０００５】そして、車両に側方からの衝撃が加わった
際、比較的小さな衝撃に対しては、表皮材４のもつクッ
ション性により衝撃荷重を吸収するとともに、側突等比
較的大きな衝撃に対しては、芯材３の裏面に衝撃吸収パ
ッド７等を貼着して、ドアパネル１とドアトリム２との
間に設置される衝撃吸収パッド７の弾性作用により側突
等の比較的大きな衝撃荷重を吸収するように構成されて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の自
動車用ドアトリム２は、表皮材４のもつクッション性に
より、値比較的小さな衝撃は吸収できるものの、乗員の
腰部がぶつかりやすいドアトリム２のアームレスト部５
は、肘掛け機能等を考慮して、その剛性が高く設定され
ているため、側突等の側方からの大きな衝撃が加わった
際、芯材３の撓み性により衝撃の一部は吸収されるが、
大きな衝撃に対しては、衝撃吸収パッド７の衝撃吸収作
用だけでは乗員に加わる衝撃を緩和させるには充分とは
言えず、このような側方から加わる比較的大きな衝撃に
対して乗員に加わる衝撃を有効に緩和させることが急務
とされていた。

【０００７】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、側突等側方から比較的大きな衝撃荷重が加
わった際、アームレストを内装部品から脱落させること
により、衝撃を緩和させることができる自動車用内装部
品を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、車体パネルの室内側に装着され、所要形
状に成形された芯材表面に表皮材を被覆貼着して構成さ
れるとともに、室内側に膨出するアームレスト部を形成
してなる自動車用内装部品において、前記アームレスト
部における芯材に開口が開設され、この開口を塞ぐよう
にアームレスト用芯材が芯材の裏面側に添着接合され、
所定値以上の衝撃でアームレスト用芯材が脱落可能とな
るように、アームレスト用芯材の接合強度が調整されて
いることを特徴とする。

【０００９】さらに、本発明の別態様は、車体パネルの
室内側に装着され、所要形状に成形された芯材表面に表
皮材を被覆貼着して内装部品が構成されるとともに、こ
の内装部品に室内側に膨出するアームレストロア部を設
け、このアームレストロア部上面にアームレストアッパ
ーメンバーを装着してなる自動車用内装部品において、
前記アームレストアッパーメンバー裏面に設けた係止爪
と係着する取付孔が車幅方向に沿った長孔状に設定され
ているとともに、アームレストアッパーメンバーの上縁
に沿って、内装部品に低剛性部が設けられていることに
より、所定値以上の衝撃がアームレストアッパーメンバ
ーに加わった際、内装トリムの低剛性部が破断して、ア
ームレストアッパーメンバーが脱落するようにしたこと
を特徴とする。

【００１０】

【作用】以上の構成から明らかなように、乗員の腰部が
ぶつかるアームレスト部には、内装部品と独立したアー
ムレスト用芯材を設置して、アームレスト用芯材の接合
強度を調整することにより、側方からの衝撃が所定値以
上のときアームレスト用芯材が内装部品から脱落するよ
うにすれば、このアームレスト用芯材の脱落により側方
からの衝撃荷重を大幅に吸収することができ、乗員にか
かる衝撃荷重を有効に吸収することができる。

【００１１】さらに、内装部品に形成されるアームレス
トロア部上面に装着されるアームレストアッパーメンバ
ーにおいても、アームレストアッパーメンバー裏面の係
止爪を収容する取付孔が車幅方向に長孔状に設定され、
内装部品に低剛性部が設定されていれば、側突等側方か
ら所定値以上の衝撃エネルギーが加わった際、乗員の腰
部とぶつかるアームレストアッパーメンバーは車体パネ
ル側に押圧され、係止爪が取付孔内をスライドするとと
もに、内装部品の低剛性部が破断することにより、アー
ムレストアッパーメンバーが内装部品から脱落し、衝撃
荷重を有効に吸収できる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明に係る自動車用内装部品の実施
例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１３】図１ないし図４は本発明を自動車用ドアト
リムに適用した第１実施例であり、図５ないし図７は同
様に本発明を自動車用ドアトリムに適用した第２実施例
をそれぞれ示す。

【００１４】まず、図１ないし図４に基づいて本発明の
第１実施例について説明する。

【００１５】図１，図２に示すように、自動車用ドアト
リム１０は、所望の曲面状に成形されており、ドアパネ
ル２０の室内側に図示しない取付用クリップ等を介して
装着されている。

【００１６】さらに詳しくは、自動車用ドアトリム１０
は、保形性とドアパネル２０に対する取付剛性を備えた
芯材１１と、この芯材１１の表面側に一体貼着され、ク
ッション性ならびに装飾性を付与する表皮材１２とから
大略構成されている。

【００１７】本実施例においては、芯材１１として、木
粉フィラーを混入したポリプロピレン樹脂をＴダイ押出
成形機によりシート状に押し出し、加熱軟化させたのち
コールドプレス成形により所望の曲面形状に成形された
ものを使用するとともに、表皮材１２としては、塩ビシ
ート裏面にクッション性の優れたポリエチレンフォーム
を裏打ちしたものを使用し、真空成形により表皮材１２
は、芯材１１表面側に一体貼着されている。

【００１８】さらに、ドアトリム１０には、乗員の腰部
および肩部に対応する箇所を室内側に膨出させて、アー
ムレスト部１３およびウエスト部１４を湾曲状に形成し
てある。

【００１９】ところで、本実施例の特徴は、特に車両に
側突等、側方から比較的大きな衝撃が加わった際、乗員
の腰部が触れやすいアームレスト部１３にその衝撃荷重
を有効に吸収できる手段を配するようにした点にある。

【００２０】すなわち、図２に示すように、ドアトリム
１０のアームレスト部１３に開口１５（図１中点線で示
す面積部分）が開設されているとともに、この開口１５
を塞ぐように、別物のアームレスト用芯材３０が芯材１
１の裏面側に添設固定されている。

【００２１】そして、開口１５の周縁に沿って、ドアト
リム１０の芯材１１裏面にアームレスト用芯材３０の接
合部３１が超音波溶着により接合固定されており、この
アームレスト用芯材３０の接合部３１の接合強度は、自
由に設定できるが、本実施例では比較的弱く設定するこ
とが特徴である。

【００２２】すなわち、側突等、車両の側方から比較的
大きな衝撃が加わった際、乗員の腰部がアームレスト部
１３にぶつかるが、そのとき、アームレスト用芯材３０
の接合部３１の接合強度を弱く設定することにより、ア
ームレスト用芯材３０がドアトリム１０から脱落して、
ドアパネル２０側に抜け落ちることにより側方からの衝
撃荷重を有効に吸収することになり、乗員に加わる衝撃
荷重を緩和させることができるのである。

【００２３】例えば、図３に示すように、アームレスト
用芯材３０の接合部３１のうち、上縁側接合部３１ａの
接合強度を下縁側接合部３１ｂの接合強度に比べ小さく
設定しておけば、図３に示すように、アームレスト用芯
材３０が図３中矢印方向に脱落することにより、アーム
レスト用芯材３０は下縁をヒンジ中心として抜け落ちる
ことになる。

【００２４】また、アームレスト用芯材３０の上縁側接
合部３１ａの接合強度に比べ下縁側接合部３１ｂの接合
強度を小さく設定しておけば、図４に示すように、アー
ムレスト用芯材３０の上縁部をヒンジ中心として矢印方
向にアームレスト用芯材３０が脱落して、側方からの衝
撃荷重を有効に吸収することができる。

【００２５】また、図示はしないが、アームレスト用芯
材３０の接合部３１の周縁に沿って同一の小さな接合強
度に設定しておき、上縁側接合部３１ａと下縁側接合部
３１ｂの両者が共に剥離して、アームレスト用芯材３０
がドアパネル２０側に脱落するように構成してもよい。

【００２６】このように、本発明による自動車用ドアト
リム１０は、表皮材１２のもつクッション性能により、
比較的小さな衝撃に対してはその衝撃を有効に吸収でき
るとともに、特に側突等比較的大きな衝撃エネルギーが
加わった際、乗員の腰部がぶつかるアームレスト部１３
において、アームレスト用芯材３０を脱落可能に設置す
るという構成であるため、アームレスト用芯材３０の脱
落挙動により、側方からの衝撃荷重を有効に吸収でき、
乗員に加わる衝撃を有効に緩和できるという効果があ
る。

【００２７】次いで、図５ないし図７は本発明による自
動車用内装部品の第２実施例を適用した自動車用ドアト
リムを示すものであり、第１実施例ではアームレスト一
体型の自動車用ドアトリム１０について説明したが、本
実施例では別物のアームレストアッパーメンバー４０を
設置した場合について説明する。

【００２８】すなわち、自動車用ドアトリム１０は、所
要形状に成形された芯材１１と、この芯材１１の表面側
に一体貼着される表皮材１２とから構成されているとと
もに、アームレスト部１３においては、アームレストロ
ア部１６が車室内側に膨出状となるように形成されてお
り、アームレストロア部１６の上面に別物のアームレス
トアッパーメンバー４０が載置されている。

【００２９】そして、本実施例においても、側突等、車
両の側方から比較的大きな衝撃が加わった際、アームレ
ストアッパーメンバー４０がドアトリム１０から脱落す
ることにより、側方からの衝撃を有効に吸収できるよう
にした点が特徴である。

【００３０】すなわち、図６に示すように、アームレス
トアッパーメンバー４０は、樹脂成形体からなるアーム
レスト用芯材４１の表面にクッション性に優れたアーム
レストパッド４２を積層した構成であり、アームレスト
芯材４１の裏面２箇所に取付用の係止爪４３が一体に設
けられている。

【００３１】そして、ドアトリム１０のアームレストロ
ア部１６上面には、アームレストアッパーメンバー４０
の係止爪４３を収容する取付孔１７が形成されている
が、この取付孔１７は、車幅方向に沿って長孔状に設定
されているとともに、アームレストロア部１６の上方位
置（アームレストアッパーメンバー４０の上縁とほぼ一
致する箇所）に沿ってノッチ部１８が形成されており、
このノッチ部１８は低剛性部として設定されている。

【００３２】したがって、本実施例における自動車用ド
アトリム１０においては、比較的小さな衝撃に対して
は、ドアトリム１０の表皮材１２並びにアームレストパ
ッド４２のもつクッション性能によりその衝撃を有効に
吸収できる。

【００３３】更に、側突等、比較的大きな側方からの衝
撃に対しては、図７に示すように、乗員の腰部がアーム
レストアッパーメンバー４０にぶつかった際、アームレ
ストアッパーメンバー４０はドアパネル２０側に押圧さ
れ、アームレストアッパーメンバー４０の係止爪４３が
長孔状の取付孔１７内で矢印方向に移動して、ドアトリ
ム１０に設けたノッチ部１８に沿ってドアトリム１０が
破断するため、アームレストアッパーメンバー４０がド
アトリム１０を破断してドアトリム１０内側に脱落する
ことになり、このときのアームレストアッパーメンバー
４０の脱落に伴う衝撃吸収により、側突等、比較的大き
な側方からの衝撃荷重を有効に吸収でき、乗員の腰部に
与える衝撃を緩和できる。

【００３４】以上説明した第１実施例ならびに第２実施
例は、アームレスト用芯材３０ならびにアームレストア
ッパーメンバー４０を自動車用ドアトリム１０に適用し
たものであるが、２ドアハードトップ車等、後席乗員の
側方に内装されるリヤサイドトリムに適用しても同様の
作用効果が得られる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る自動車
用内装部品は、特に乗員の腰部が対応する内装部品のア
ームレスト部に、アームレスト用芯材，あるいはアーム
レストアッパーメンバー等を所定値以上の衝撃が加わっ
た際、内装部品に対して脱落可能となるように設置した
構成であるため、側突等、車両の側方から比較的大きな
衝撃荷重が加わった際、アームレスト（アームレスト用
芯材，アームレストアッパーメンバーを指す）が内装部
品から脱落することにより、衝撃荷重を有効に吸収する
ことができ、乗員に加わる側方からの衝撃を緩和できる
という効果を有する。

【００３６】さらに、請求項１記載の発明によれば、ア
ームレスト用芯材の接合部における接合強度を任意に調
整すれば、アームレスト用芯材の脱落形態を自由に設定
でき、ドアパネルの強度等と組み合わせて有効な衝撃吸
収機能を付与できるという効果を有する。

【００３７】同様に、請求項２記載の発明によれば、内
装部品に設けるノッチ部等の低剛性部の破断強度を任意
に調整できるため、ドアパネルの強度と組み合わせて有
効な衝撃吸収性能を付与できるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る自動車用内装部品の第１実施例を
適用した自動車用ドアトリムを示す斜視図。

【図２】図１中II−II線断面図。

【図３】図１に示す自動車用ドアトリムにおけるアーム
レスト用芯材の脱落形態を示す説明図。

【図４】図１に示す自動車用ドアトリムにおけるアーム
レスト用芯材の脱落形態の別態様を示す説明図。

【図５】本発明に係る自動車用内装部品の第２実施例を
適用した自動車用ドアトリムの構成を示す断面図。

【図６】図５に示す自動車用ドアトリムにおけるアーム
レストアッパーメンバーを自動車用ドアトリムに取付け
る状態を示す説明図。

【図７】図５に示す自動車用ドアトリムにおけるアーム
レストアッパーメンバーの脱落形態を示す説明図。

【図８】従来の自動車用ドアトリムを示す斜視図。

【図９】図８中IX−IX線断面図。

【符号の説明】

１０ 自動車用ドアトリム １１ 芯材 １２ 表皮材 １３ アームレスト部 １４ ウエスト部 １５ 開口 １６ アームレストロア部 １７ 取付孔 １８ ノッチ部 ２０ ドアパネル ３０ アームレスト用芯材 ３１ 接合部 ４０ アームレストアッパーメンバー ４３ 係止爪

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 息才 秀壽 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体パネル（２０）の室内側に装着さ
   れ、所要形状に成形された芯材（１１）表面に表皮材
   （１２）を被覆貼着して構成されるとともに、室内側に
   膨出するアームレスト部（１３）を形成してなる自動車
   用内装部品において、 前記アームレスト部（１３）における芯材（１１）に開
   口（１５）が開設され、この開口（１５）を塞ぐように
   アームレスト用芯材（３０）が芯材（１１）の裏面側に
   添着接合され、所定値以上の衝撃でアームレスト用芯材
   （３０）が脱落可能となるように、アームレスト用芯材
   （３０）の接合強度が調整されていることを特徴とする
   自動車用内装部品。
2. 【請求項２】 車体パネル（２０）の室内側に装着さ
   れ、所要形状に成形された芯材（１１）表面に表皮材
   （１２）を被覆貼着して内装部品（１０）が構成される
   とともに、この内装部品（１０）に室内側に膨出するア
   ームレストロア部（１６）を設け、このアームレストロ
   ア部（１６）上面にアームレストアッパーメンバー（４
   ０）を装着してなる自動車用内装部品において、 前記アームレストアッパーメンバー（４０）裏面に設け
   た係止爪（４３）と係着する取付孔（１６）が車幅方向
   に沿った長孔状に設定されているとともに、アームレス
   トアッパーメンバー（４０）の上縁に沿って、内装部品
   （１０）に低剛性部（１８）が設けられていることによ
   り、所定値以上の衝撃がアームレストアッパーメンバー
   （４０）に加わった際、内装部品（１０）の低剛性部
   （１８）が破断して、アームレストアッパーメンバー
   （４０）が脱落するようにしたことを特徴とする自動車
   用内装部品。