JPH06269816A - 熱間スラブの高精度幅圧下装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイジングプレスによる幅圧下のプレス跡に
起因する寸法のバラツキを低減する。 【構成】 熱間スラブの進行方向の両側に対向して配置
した一対のプレス本体と、該プレス本体内にクランク軸
により軸線方向移動自在に配設されたロッドと、ロッド
の先端に固定された主金型を有する熱間スラブの幅圧下
装置において、前記主金型２に近接して同一クランク軸
４で進退する傾斜部と平行面の交点が円弧状の副金型３
を、平行面が主金型２の平行面よりスラブ１側に位置す
るよう配置する。 【効果】 サイジングプレスで生じるプレス跡の幅段差
部を解消でき、幅精度の良好な製品を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、熱間圧延ラインにお
いて加熱炉から抽出された熱間スラブを高精度で縮幅で
きる熱間スラブの高精度幅圧下装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】熱延製品は、スラブを加熱炉にて加熱
し、粗圧延機、仕上圧延機で熱間圧延して厚さ１．０〜
２５．４ｍｍのストリップとし、コイルに巻き取り、冷
却したのち各種精整ラインで処理を行って製造される。
上記熱間圧延におけるスラブ幅は、コイル幅に応じて決
定される。スラブ幅とコイル幅の関係は、一般にエッジ
ャー能力と幅精度の上から対応づけられる。工程運用上
はスラブサイズの集約化が望ましく、特に連続鋳造にお
いて種々の幅のスラブを効率的に生産することが困難で
あり、ロットの集約上の必要からエッジャーの幅圧下能
力が増強される傾向にある。

【０００３】上記スラブのエッジャーには、竪型圧延ロ
ールによる幅圧延方法と、幅圧下プレスにより幅圧下す
るサイジングプレス法の二つに分類される。このサイジ
ングプレスは、竪型圧延ロールによる幅圧延に比較して
圧延能力で若干劣る反面、先後端のフィッシュテールを
小さく取れ、歩留が良好であると共に、ドッグボーンの
断面形状がエッジに集中することが少なく、レベリング
され易いという特徴を有している。

【０００４】サイジングプレスは、熱間スラブを連続的
または断続的に前進させつつ、スラブ両側に対向して設
けた金型により目的とするスラブ幅まで圧下するもので
ある。このサイジングプレスの金型は、スラブ進入側に
拡開傾斜させた部分と平行部分を有する形状で、１回も
しくは複数回の幅圧下プレスによって大きな幅圧下量を
確保することを可能としている。しかしながら、サイジ
ングプレスの金型の形状によって、図８に示すとおり、
金型５１で幅圧下後のスラブ５２の側面は、１〜３ｍｍ
のプレス跡５３が一定ピッチで残存する。

【０００５】上記サイジングプレスによる幅圧下のプレ
ス跡を消滅させる方法としては、図７に示すとおり、ス
ラブ６１の両側をプレス金型６２により挟圧してスラブ
６１の幅寸法を粗く狭め、このスラブ６１のプレスによ
る挟圧で生じた両側面の不均一変形部６３を、次の竪ロ
ール６４によって長手方向に均一に平坦化し、さらにこ
のスラブ６１の上記工程によって生じた上下面の変形部
を水平ロール６５により平坦化する方法（特開昭６０−
１４１３０１号公報）が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記特開昭６０−１４
１３０１号公報に開示の方法は、サイジングプレス後に
竪ロール圧延機と水平ロール圧延機を設置し、スラブの
幅方向および厚み方向の寸法のバラツキを抑制するもの
で、かなり大掛かりで投資額も莫大なものとなる欠点を
有している。

【０００７】この発明の目的は、サイジングプレスによ
る幅圧下のプレス跡に起因する寸法のバラツキを低減で
きる熱間スラブの高精度幅圧下装置を提供することにあ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験研究を行った。その結果、サイジ
ングプレスの金型に近接して幅圧下量の小さな副金型を
配置し、サイジングプレスの金型によって生じたプレス
跡を副金型によって圧下することによって解消でき、幅
精度を向上できることを究明し、この発明に到達した。

【０００９】すなわちこの発明は、熱間スラブの進行方
向の両側に対向して配置した一対のプレス本体と、該プ
レス本体内にクランク軸により軸線方向移動自在に配設
されたロッドと、ロッドの先端に固定された主金型を有
する熱間スラブの幅圧下装置において、前記主金型に近
接して同一クランク軸で進退する傾斜部と平行面の交点
が円弧状の副金型を、平行面が主金型の平行面よりスラ
ブ側に位置するよう配置したことを特徴とする熱間スラ
ブの高精度幅圧下装置である。

【００１０】

【作用】この発明においては、サイジングプレスの主金
型に近接して同一クランク軸で進退する傾斜部と平行面
の交点が円弧状の副金型を、平行面が主金型の平行面よ
りスラブ側に位置するよう配置したから、サイジングプ
レスの主金型による幅圧下によって発生したスラブのプ
レス跡は、サイジングプレスの主金型の幅圧下量よりも
小さくした傾斜部と平行面の交点が円弧状の副金型によ
る軽度の圧下によって解消でき、サイジングプレス後に
大規模投資を伴う竪ロール圧延機等を設置することな
く、幅精度の良好な製品を製造することができる。

【００１１】この発明における主金型と副金型の寸法
は、図５に示すとおり、主金型３１の平行部長さＬ、副
金型３２の平行部長さｌ、副金型３２の入側傾斜部長さ
ｔ、副金型３２の入側傾斜角度θ、スラブ送り量Ｓ（ｍ
ｍ／回）とすると、Ｓ＜ｌ＜Ｌ、６０ｍｍ＜ｔ＜１００
ｍｍ、１０°＜θ＜２０°とするのが望ましい。副金型
３２の形状は、図６（ａ）図に示すとおり、主金型側を
傾斜させたのち平行部を形成しても、図６（ｂ）図に示
すとおり、主金型側を傾斜させたのち平行部を形成し、
ついで後部を傾斜型とすることもできるが、極力段差が
生じないよう傾斜部と平行部との交点を円弧状とする。

【００１２】

【実施例】以下にこの発明の詳細を実施の一例を示す図
１ないし図４に基づいて説明する。図１はこの発明の幅
圧下装置の原理を説明するための要部平面図、図２は幅
設定機構の一例を示す説明図、図３は幅設定機構の他の
一例を示す説明図、図４は幅設定機構のその他の一例を
示す説明図である。図１において、１はスラブ、２はス
ラブ１の幅圧下を行う主金型で、スラブ１の入側が拡開
傾斜し、後部を平行面とした形状をしている。３は主金
型２の直後に配置した副金型で、主金型１側が拡開傾斜
し、中央部が平行面で、後部が拡開傾斜し、傾斜部と平
行面との交点が円弧状をしている。副金型３は、主金型
２と同一のクランク軸４により往復動し、主金型２での
幅圧下により発生したスラブ１側面の幅段差部を軽度の
幅圧下を連続的に行い、幅段差部を解消するよう構成す
る。

【００１３】図２ないし図４において、５は主金型２の
幅設定用調整機構で、幅調整用スクリュー軸６と図示し
ない駆動機構により回転する歯車７からなる。８は副金
型３の幅位置調整機構で、幅調整用スクリュー軸９と図
示しない駆動機構により回転する歯車１０からなる。副
金型３の幅位置調整機構８は、図２に示すとおり、主金
型２の幅設定用調整機構５とパラレルであっても、ま
た、図３に示すとおり、主金型２の幅設定用調整機構５
をベースとして副金型３の幅位置調整機構８を取り付け
ることができる。さらに、図４に示すとおり、クランク
軸４自体と幅圧下装置のベース１１の間に主金型２の幅
設定用調整機構５を設け、主金型２のスライド枠１２に
副金型３の幅位置調整機構８を取り付けることができ
る。

【００１４】幅位置調整機構８の幅調整は、副金型３の
平行面が主金型２の平行面より若干量、例えば主金型２
の平行面と副金型３の平行面の差をｘとすれば、０＜ｘ
＜５ｍｍとなるようスラブ側に位置するよう幅位置調整
機構８を調整する。なお、上記プレス機構としては、ク
ランク式が耐久性の点から望ましいが、シリンダ式であ
ってもよい。

【００１５】上記のとおり構成したことによって、熱間
スラブ１の幅圧下を行う場合は、スラブ１の圧下幅に応
じて幅設定用調整機構５の図示しない駆動機構を起動し
て歯車７を回転させ、幅調整用スクリュー軸６を介して
主金型２の幅調整を行う。ついで幅位置調整機構８の図
示しない駆動機構を起動して歯車１０を回転させ、幅調
整用スクリュー軸６を介して副金型３の平行面が主金型
２の平行面より０〜５ｍｍスラブ１側に位置するよう調
整する。そして図示しない駆動機構を起動してクランク
軸４を回転させ、対向する主金型２、２および副金型
３、３を往復動させ、対向する主金型２、２および副金
型３、３の間を搬送されるスラブ１の幅圧下を行う。

【００１６】この主金型２、２および副金型３、３によ
るスラブ１の幅圧下において、主金型２、２の幅圧下に
よって生じる主金型２の傾斜部と平行面との交点による
スラブ１側面に一定ピッチで残存するプレス跡は、主金
型２の直後に設けた傾斜部と平行面との交点を円弧状と
した副金型３による軽度の幅圧下によって解消すること
ができる。この場合、主金型２の傾斜部と平行面との交
点から副金型３の平行面中心までの距離は、スラブ１の
一回での送り量の整数倍とすることによって、スラブ１
側面に一定ピッチで残存するプレス跡は、常に副金型３
の平行面中心に位置させることができる。

【００１７】なお、幅圧下装置の出側に連続式の幅検出
器を設置し、幅段差を検出し、その幅段差に応じて副金
型３の平行面と主金型２の平行面の差ｘを決定するフイ
ードバック制御を実施すれば、さらにスラブ１の幅圧下
精度を向上することができる。本発明者らの試験による
と、従来の主金型のみの幅圧下装置では、幅圧下後のエ
ッジャー（竪型ロール）での縮幅量が５０〜７０ｍｍあ
ったが、本発明では０〜２０ｍｍの範囲で対応可能で、
エッジャーでの幅圧下量を小さくでき、エッジ部の温度
降下の緩和、能率を向上を図ることができた。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたとおり、この発明によれば、
熱間スラブの幅圧下において、サイジングプレス後に竪
型ロール圧延機設置等の大規模投資をすることなく、サ
イジングプレスで生じるプレス跡の幅段差部を解消で
き、幅精度の良好な製品を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の幅圧下装置の原理を説明するための
要部平面図である。

【図２】幅設定機構の一例を示す説明図である。

【図３】幅設定機構の他の一例を示す説明図である。

【図４】幅設定機構のその他の一例を示す説明図であ
る。

【図５】主金型と副金型との寸法説明図である。

【図６】副型型の形状説明図で、（ａ）図は主金型側の
みを傾斜させたもの、（ｂ）図は主金型側と後部を傾斜
させたものを示す。

【図７】従来のスラブの幅圧下装置の概略説明図であ
る。

【図８】幅圧下の状態を示すもので、（ａ）図は主金型
による圧下状態図、（ｂ）図は幅圧下後のプレス跡の説
明図である。

【符号の説明】

１、５２、６１ スラブ ２、３１ 主金型 ３、３２ 副金型 ４ クランク軸 ５ 幅設定用調整機構 ６、９ スクリュー軸 ７、１０ 歯車 ８ 幅位置調整機構 １１ ベース １２ スライド枠 ５１ 金型 ５３ プレス跡 ６２ プレス金型 ６３ 不均一変形部 ６４ 竪ロール ６５ 水平ロール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱間スラブの進行方向の両側に対向して
   配置した一対のプレス本体と、該プレス本体内にクラン
   ク軸により軸線方向移動自在に配設されたロッドと、ロ
   ッドの先端に固定された主金型を有する熱間スラブの幅
   圧下装置において、前記主金型に近接して同一クランク
   軸で進退する傾斜部と平行面の交点が円弧状の副金型
   を、平行面が主金型の平行面よりスラブ側に位置するよ
   う配置したことを特徴とする熱間スラブの高精度幅圧下
   装置。