JPH032331Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の技術分野） 本考案は金型のしわ押え面の加圧力調整装置に
関し、特に、連続加工に供される絞り成形用の、
上型と下型とを備える金型において、上型および
下型のしわ押え面に加わる圧力を調整する装置に
関する。

（従来技術） 上型と下型とからなる絞り成形用のプレス金型
では、安定した生産を行うため、上型と下型とに
デイスタンスブロツクをそれぞれ取り付け、上型
が下降したとき両者を接触させて、上型および下
型のしわ押え面に加わる圧力をデイスタンスブロ
ツクに分散させ、しわ押え面に所定以上の圧力が
かからないように工夫されている。

（考案が解決しようとする問題点） 金型が連続加工に供される場合、金型が加工発
生熱によつて膨張することにより、しわ押え面の
加圧力が増大してしまい、前述の効果が十分に発
揮されていない。

しわ押え面の加圧力が大きくなると、製品に割
れが発生して不良率が高くなる。これを防ぐに
は、上型および下型に取り付けたデイスタンスブ
ロツクの微調整をする必要があるが、微調整作業
の間、生産ラインは稼動を停止しなければならな
いので、生産性の低下を招く上、微調整に多くの
工数がかかつている。

他方、加工発生熱としわ押え面の加圧力の増大
とにより、被加工材と型とが焼付きを起こすこと
があり、型のメインテナンスが多くなつている。

本考案の目的は、型の温度変化に応じて、しわ
押え面の加圧力を自動的に調整してしわ押え面に
所定の圧力を加え、連続加工を可能とする金型の
しわ押え面の加圧力調整装置を提供することにあ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上型と下型とを備える金型の前記上
型と下型との間に配置され、しわ押え面に加わる
圧力を調整する装置であつて、前記上型および下
型の一方に固定された、傾斜面を有する第１のデ
イスタンスブロツクと、前記上型および下型の他
方に移動可能に取り付けられた、前記傾斜面に密
接する傾斜面を有する第２のデイスタンスブロツ
クと、前記上型または下型の温度を感知して前記
第２のデイスタンスブロツクを移動する手段とを
含む。

（作用および効果） 上型が下降すると、上型のデイスタンスブロツ
クの傾斜面と下型のデイスタンスブロツクの傾斜
面とが接触し、上型と下型とは、両傾斜面の接触
位置によつて規定される距離をおいて対向する。
この距離は、しわ押え面の加圧力を所定に保つよ
うに前もつて選定される。

下型が連続加工に供され、上型または下型の温
度が上昇すると、第２のデイスタンスブロツクは
移動手段によつて、上型と下型とがなす距離を大
きくする方向へ移動される。かくて上型または下
型の膨張に応じて、上型と下型とがなく距離が大
きくなり、しわ押え面の加圧力が所定に保持され
る。

しわ押え面の加圧力が所定に保たれ、常に安定
した成形ができるので、割れによる不良品が発生
しない。

自動的に成形条件を安定させるため、連続加工
の中断がなく、人的作業による微調整が不要とな
る。

被加工材と型との焼付きが発生しないので、金
型に焼付き防止のための表面処理を施す必要がな
く、表面処理費を節減できる。

（実施例） 加圧力調整装置１０は、第１図および第２図に
示すように、上型１２と下型１４とを備える金型
１６の上型１２と下型１４との間に配置され、両
型のしわ押え面１３，１５に加わる圧力を調整す
るものであつて、第１のデイスタンスブロツク１
８と、第２のデイスタンスブロツク２０と、移動
手段２２とを含む。

上型１２はブランクホルダプレート２４に取り
付けられ、ポンチライザ２６によりポンチ２８が
保持される。上型１２が下降すると、上型１２の
しわ押え面１３と下型１４のしわ押え面１５との
間で素材３０が挾持され、素材３０はポンチ２８
と下型１４との共同で絞り加工される。しわ押え
面１３，１５に加わる圧力は、第１のデイスタン
スブロツク１８と第２のデイスタンスブロツク２
０とによつて規定される上型１２と下型１４との
間の距離Ｄの大きさにより、変わる。

第１のデイスタンスブロツク１８は図示の例で
は、上型１２にそれ自体公知のボルト結合で固定
されており、その下端に傾斜面１９を有する。複
数のデイスタンスブロツク１８が素材３０の両側
に配置され、第２図において紙背方向へ所定の間
隔をおいて取り付けられる。

第２のデイスタンスブロツク２０は下型１４に
移動可能に取り付けられ、第１のデイスタンスブ
ロツク１８の傾斜面１９に密接する傾斜面２１を
有する。第２のデイスタンスブロツク２０は第１
のデイスタンスブロツク１８と同数設けられ、第
１のデイスタンスブロツク１８に対向して配置さ
れる。

第２のデイスタンスブロツク２０は第１図に詳
細に示すように、傾斜面２１を上端に有する垂直
片部２０ａと、垂直片部２０ａが紙背方向の中央
で一体に固定された水平片部２０ｂとからなる。
垂直片部２０ａに沿う水平片部２０ｂの縁部分
が、断面Ｌ字状をしたガイド３２の下に配置さ
れ、ガイド３２はボルト３４により下型１４に取
り付けられている。その結果、第２のデイスタン
スブロツク２０は一対のガイド３２に沿つて移動
可能である。

移動手段２２は上型１２または下型１４の温度
を感知して第２のデイスタンスブロツク２０を移
動させる。図示の例では、移動手段２２は段付き
プレート３６と、段付きプレート３６を紙背方向
Ａへ移動させる、直流サーボモータ付きギヤモー
タのような駆動器３８と、下型１４の温度を感知
する温度センサ４０と、温度センサ４０からの信
号を受けてエアシリンダ３８を作動する制御装置
４２とを有する。

段付きプレート３６は第２のデイスタンスブロ
ツク２０に対向する側に傾斜面３７を有し、傾斜
面３７とは反対側の縁部分が断面Ｌ字状のガイド
４４に、紙背方向Ａに移動可能に保持されてい
る。第２のデイスタンスブロツク２０の水平片２
０ｂの、段付きプレート３６の傾斜面３７に対向
する面２０ｃは、傾斜面３７に密接する傾斜面と
して成形されている。

他方、第２のデイスタンスブロツク２０の傾斜
面２０ｃとは反対側の面にコイルばね４６が当て
がわれ、このコイルばね４６は、下型１４に固定
されたバツクアツプ４８に係止されている。その
結果、第２のデイスタンスブロツク２０はコイル
ばね４６によつて段付きプレート３６に向けて変
位され、その傾斜面２０ｃが段付きプレート３６
の傾斜面３７に常に密接する。かくて、段付きプ
レート３６がＡ方向へ移動すると、第２のデイス
タンスブロツク２０はこの方向に直交するＢ方向
へ移動する。

金型１６が連続加工に供され、温度センサ４０
によつて感知される下型１４の温度が高くなる
と、制御装置４２が駆動器３８を作動させて、段
付きプレート３６をＡ方向の右向きに動かす。こ
れにより、第２のデイスタンスブロツク２０がＢ
方向の左向きに押し出され、第１および第２のデ
イスタンスブロツク１８，２０の接触部分によつ
て規定される上型１２と下型１４との間の距離Ｄ
が大きくなつて、しわ押え面１３，１５に加わる
圧力が所定に保たれる。

なお、前記実施例に代えて、上型１２のデイス
タンスブロツク１８を移動可能とし、下型１４の
デイスタンスブロツク２０を固定してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は加圧力調整装置の要部を示す斜視図、
第２図は金型の正面図である。 １０：加圧力調整装置、１２：上型、１４：下
型、１６：金型、１８，２０：デイスタンスブロ
ツク、２２：移動手段、３６：段付きプレート、
３８：駆動器、４０：温度センサ、４２：制御装
置、４６：コイルばね、４８：バツクアツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型と下型とを備える金型の前記上型と下型と
   の間に配置され、しわ押え面に加わる圧力を調整
   する装置であつて、前記上型および下型の一方に
   固定された、傾斜面を有する第１のデイスタンス
   ブロツクと、前記上型および下型の他方に移動可
   能に取り付けられた、前記傾斜面に密接する傾斜
   面を有する第２のデイスタンスブロツクと、前記
   上型または下型の温度を感知して前記第２のデイ
   スタンスブロツクを移動する手段とを含む、金型
   のしわ押え面の加圧力調整装置。