JPH0626966Y2 - 磁気ヘッド支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、カセットテープレコーダの磁気ヘッドを支
持し、かつ前後に往復動させる磁気ヘッド支持装置に関
するものである。

〔考案の概要〕 本考案は、左右の側板のそれぞれに上ガイド片，テープ
案内面，傾斜面を持つガイド片から成るテープガイドを
有するヘッド取付部と、磁気ヘッドを磁気テープ方向に
往動あるいは磁気テープから離間させる方向に復動させ
るヘッド支持アームを、一体に形成したものであり、こ
れによって、工数，部品数の削減，軽量化等ができるよ
うにしたものである。

〔従来の技術〕

従来の技術として、まず、テープガイドの構造について
説明する。

走行する磁気テープのテープパスを改善するために、上
ガイド片，テープ案内面，及び傾斜面を持つ下ガイド片
を有するテープガイドは、既に公知の技術であり、実開
昭６０−６７５３５号公報に開示されている。

このテープガイドを第３図に基づいて簡単に説明する。

第３図は磁気ヘッドを保持し、そのテープ摺動面側にテ
ープガイドを有するヘッド取付部の一例を示す側面図で
あり、１は点線で示す磁気ヘッド４が挿入固着されるヘ
ッド取付部、３は上ガイド片３Ａ，テープ案内面３Ｂ，
傾斜面３Ｄを持つ下ガイド片３Ｃから構成されるテープ
ガイド、５は磁気テープである。なお、テープ案内面３
Ｂの寸法Ｌは磁気テープの幅よりわずかに短くなるよう
に形成されている。

このヘッド取付部１は、磁気テープ５がテープガイド３
に圧接して走行するとき、磁気テープ５の下部の側縁部
は傾斜面３Ｄに接触して移動するため、磁気テープ５に
は上方へ向かう移動力が付加される。

このため磁気テープ５の上部の側縁部は上ガイド片３Ａ
の下部に押し付けられ、これによって、磁気テープ５の
テープパスは上下方向に安定し、かつ、テープ案内面３
Ｂに接触しながら走行するためにテープ案内面３Ｂとの
平行な位置関係も保たれる。

このように、磁気テープの走行時のトラックの位置は、
傾斜面を持つ下ガイド片を有するテープガイドによって
設定されるため、該テープガイドを設けたヘッド取付部
を磁気ヘッド支持装置に使用する場合は、ヘッド取付部
を適正に設計し、これに磁気ヘッドを所定の寸法精度で
取付けることにより、磁気ヘッドと磁気テープとのアジ
マス調整やあおり調整は不必要となる。

第４図はこのような下ガイド片に傾斜面を設けたことを
特徴とするテープガイドを持つヘッド取付部を使用した
磁気ヘッド支持装置の取付例を示すものであり、１１は
前記したテープガイドを設けたヘッド取付部、１２はヘ
ッド支持アーム、１３，１４は取付ねじ、１３Ａ，１３
Ｂ及び１４Ａ，１４Ｂはそれぞれ取付ねじ１３，１４に
対応するねじ孔である。

なお、磁気ヘッド４はあらかじめヘッド取付部１１の内
部に挿入固定されるものである。

従来、上記したように別部品とされているヘッド取付部
１１とヘッド支持アーム１２を、取付ねじ１３，１４で
結合し、図示しないテープレコーダの所定の位置に組み
込んでいた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このため、従来の磁気ヘッド支持装置では、その生産工
程上で、ねじ孔を設ける必要や、取付ねじによるヘッド
取付部とヘッド支持アームの取付作業が必要なため手間
がかかり、また取付ねじ等の部品の必要性は部品点数を
多くし、かつ、カセットテープレコーダにおいてｍｇ単
位の軽量化が要求される中で、軽重量化にも制限を加え
ることになる。

その上、このようなヘッド支持装置においては磁気ヘッ
ドのトラッキング精度を向上させるため、部品数が多け
れば多いほど、各部品には高精度な公差が要求されるこ
ととなり、ヘッド取付部，ヘッド支持アーム，取付ねじ
等がコストアップの原因となっていた。

〔問題点を解決するための手段とその作用〕

本考案は、上記した問題点を解決するためにヘッド取付
部とヘッド支持アームを一体として成形し磁気ヘッド支
持装置を単品で構成することによって、工数，部品数の
削減，及び軽量化をはかり、部品精度を緩和することに
より、生産性を向上させるようにしたものである。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の一例を示した斜視図であり、１は磁気
ヘッド４を挿入固着するヘッド取付部であって、その左
右それぞれの側板１Ａには、上ガイド片３Ａ，テープ案
内面３Ｂ，傾斜面３Ｄを持つ下ガイド片３Ｃから成るテ
ープガイド３が設けられている。

２はヘッド取付部１と一体に成形されたヘッド支持アー
ムであり、軸孔２Ａに後述する軸２０Ａが挿通されるこ
とにより、ヘッド支持アーム２の先端部２Ｂを図中Ａ及
びＢ方向に摺動できるようにされている。また先端部２
Ｂには突起２Ｃが設けられている。

このヘッド取付部１とヘッド支持アーム２で磁気ヘッド
支持装置１０が構成される。

本考案において、ヘッド取付部１とヘッド支持アーム２
は以下に述べる材質及び製法によって成形することがで
きる。

本考案の磁気ヘッド支持装置の材質としては、メタル，
プラスチック，複合材，セラミック等が使用される。

メタルを実施例とするときは、亜鉛とチタンの合金，あ
るいはアルミを使用し、ダイキャスト成形によって製造
することが好ましい。

また、プラスチックを実施例とする場合は、ナイロン系
樹脂であるスミコーン（商品名：ＦＭ−ＰＧ３００），
あるいはＰＣ（ポリカーボネイト），あるいはＰＰＳ
（ポリフェニレンサルフォン）で、射出成形をすること
によって成形可能である。

また、スミコーンとＰＣ、あるいはスミコーンとＰＰＳ
で、ヘッド取付部１とヘッド支持アーム２は別材質とし
て、二色モールドによって成形してもよい。

また、上記メタル及びプラスチックを複合材として、ヘ
ッド取付部１をプラスチックで、ヘッド支持アーム２を
メタルとする場合は、スミコーンとメタルダイキャス
ト、あるいはスミコーンとプレス成形板金を使用し、ア
ウトサートモールドによって一体に成形することも可能
であり、さらに、ヘッド取付部を金属製としてプラスチ
ックのヘッド支持アームをインサート成形することも可
能である。

さらに材質として、セラミックを使用し、焼結によって
磁気ヘッド支持装置を加工成形することもできる。

以上のような材質，製法によって製造された磁気ヘッド
支持装置１０に図示した矢印方向からは磁気ヘッドが挿
入され、接着その他の手段で固着される。

このように、磁気ヘッド４をヘッド取付部１に嵌入し、
接着その他の方法で適正に取付けると、前述したよう
に、テープガイド３における上ガイド片３Ａ，テープ案
内面３Ｂ及び下ガイド片３Ｃによって磁気テープと磁気
ヘッドの相対位置が設定され、特に、傾斜面３Ｄの作用
によって磁気テープの走行位置が安定になるため、磁気
ヘッド４がヘッド取付部１に所定の寸法精度で取付けら
れている限り、アジマス調整，あおり調整は不必要であ
り、ヘッド取付部１とヘッド支持アーム２を一体成形し
たことにより、取付ねじで取付ける場合に必要であっ
た、ヘッド支持アーム２上におけるヘッド取付部１の高
さ方向の微調整も不必要となる。

また、取付ねじ等が不要となることから、部品数の削
減，軽量化が達成され、さらに、ヘッド取付部，ヘッド
支持アーム，及び取付ねじが別部品であったために、そ
の相互間の取付けのために要求されていた部品精度も、
磁気ヘッド支持装置１０が一体成形されるために要求さ
れなくなり、単に磁気ヘッド支持装置１０の全体の精度
を考慮すればよく、部品製造工程上の精度的な負担も軽
減される。

その上、ヘッド取付部１とヘッド支持アーム２の取付作
業も当然不必要となり、工数削減につながるものであ
る。

第２図は本考案の磁気ヘッド支持装置１０の一実施例を
携帯用の小型カセットテープレコーダのヘッド部に採用
したときの斜視図を示したものである。

この図で、前記した記号１，２，３からなる磁気ヘッド
支持装置１０は、カセットホルダ２２に設けられた一方
の軸２０Ａを軸孔２Ａに挿通させることにより、Ａ及び
Ｂ方向に往復動可能に取付けられる。

そして、他方の軸２０Ｂに巻装された捩りばね２１の先
端２１Ａが、ヘッド支持アーム２の先端部２Ｂに設けら
れた突起２ＣをＡ方向に付勢し、磁気ヘッド支持装置１
０を復動付勢している。

なお、２３は磁気ヘッド支持装置１０をＢ方向に移動さ
せる駆動ピン、２４Ａ，２５Ａはノーマル再生時に動作
するピンチローラ及びキャプスタン、２４Ｂ，２５Ｂは
リバース再生時に動作するピンチローラ及びキャプスタ
ン、２６Ａ，２６Ｂはピンチローラレバー、２７Ａ，２
７Ｂはピンチローラレバー２６Ａ，２６Ｂの移動を規制
する規制ピン、２８はシャーシであり、これ等はよく知
られているように、図示しない駆動機構によって動作す
るように構成されている。

そして、特に、再生，録音を行う時は図示しない機構に
よって駆動ピン２３がＢ方向に移動し、先端部２Ｂを押
圧して、磁気ヘッド支持装置１０を応動位置に移動さ
せ、磁気ヘッド４は本考案の磁気ヘッド支持装置のテー
プガイド３によって案内され走行している磁気テープと
圧接されることになる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案では、ヘッド取付部とヘッ
ド支持アームを一体に成形することにより、磁気ヘッド
支持装置の生産工程における工数の削減，精度負担の軽
減，部品数の削減という効果を奏するものであり、ま
た、このことは生産コストの低下にもつながる。しかも
軽量化の要請に対しても有効的であり、特に小型のカセ
ットテープレコーダの磁気ヘッド支持装置として実用的
な効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２図は本考
案の一実施例を採用したヘッド部を示す斜視図、第３図
は本考案において利用するテープガイド付きヘッド取付
部の側面図、第４図は従来例を示す斜視図である。 図中、１はヘッド取付部、２はヘッド支持アーム、３は
テープガイド、３Ａは上ガイド片、３Ｂはテープ案内
面、３Ｃは下ガイド片、３Ｄは傾斜面、４は磁気ヘッ
ド、１０は磁気ヘッド支持装置を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上ガイド片、テープ案内面、及びテープの
   幅方向に対して傾斜面を有する下ガイド片によって構成
   されるテープガイドを磁気ヘッドが装着される左右の側
   面とするように形成したヘッド取付部と、 このヘッド取付部に固着された磁気ヘッドを磁気テープ
   に対して圧接又は離間させる方向に往復動させるヘッド
   支持アームとを一体成形によって構成したことを特徴と
   する磁気ヘッド支持装置。