JPH06269498A - 抗血小板抗体吸着材 - Google Patents

抗血小板抗体吸着材

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JPH06269498A
JPH06269498A JP5057207A JP5720793A JPH06269498A JP H06269498 A JPH06269498 A JP H06269498A JP 5057207 A JP5057207 A JP 5057207A JP 5720793 A JP5720793 A JP 5720793A JP H06269498 A JPH06269498 A JP H06269498A
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peptide
glu
boc
antiplatelet
ser
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JP5057207A
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Kazunori Inamori
和紀 稲森
Masahiro Seko
政弘 世古
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液の体外循環療法などににより、何らかの
原因で生じた抗血小板抗体を除去することが可能な、抗
血小板抗体との結合性を有するペプチドまたは修飾ペプ
チドを不織布に固定化した抗血小板抗体吸着材を提供す
る。 【構成】 式:−CO−(CH2 n −X(XはCl,
Br,Iいずれかの原子,nは1ないし10の整数)で
示されるような官能基を有した平均繊維径が1ないし3
0μmの不織布に、抗血小板抗体との結合性を有するペ
プチドまたは修飾ペプチドを固定化したことを特徴とす
る抗血小板抗体吸着材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は何らかの原因により血液
中に産生された自己抗体である抗血小板抗体を、特定の
アミノ酸配列より構成されるペプチドあるいはそのペプ
チド領域を含む有機化合物(修飾ペプチド)を固定化し
た不織布を用いて、血液の体外循環治療を行なうことに
より血液中の抗血小板抗体と結合させることを特徴とす
る抗血小板抗体の除去が可能である抗血小板抗体吸着材
に関するものである。本発明は主として抗血小板抗体の
存在による血小板数の減少に起因して、出血,紫斑など
の諸症状をもたらす特発性血小板減少性紫斑病(以下I
TPと言う)のような疾患に関する治療への適用に関し
て非常に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】ITPは自己免疫疾患の一種であり、血
小板寿命の短縮,血小板結合免疫グロブリンである抗血
小板抗体の増加を特徴としている。骨髄では巨核球数は
正常あるいは増加を示し、他の血液疾患の存在を示唆す
る所見を認めない免疫性の血小板減少症のうち膠原病,
リンパ増殖性疾患,薬剤アレルギーなどの原因疾患の認
められないものを指す。
【0003】ITPは急性型と慢性型に大別される。急
性型は小児に多く見られ、出血症状は激しいが比較的治
癒はしやすい。発症3週間以前に上気道感染,ウイルス
感染などの先行感染が認められることが多い。感染の回
復期に血小板減少を認めることから、形成された免疫複
合体が血小板膜Fc受容器に結合し、血小板が非特異的
に破壊される免疫複合病の可能性が強い。一方慢性型は
出血症状は弱いが長期間持続し、成人で特に20才代の
女性に多く、抗血小板抗体による自己免疫病と考えられ
ているものである。
【0004】抗血小板抗体による血小板数の減少により
見られる症状には個人差があるが、一般的には血小板数
50000個/μl以上では通常出血症状は見られず、
30000ないし50000個/μlでは外傷時の易出
血性,斑状出血,10000ないし30000個/μl
では露出部への紫斑の出現,月経過多,10000個/
μl以下では血尿,不正性器出血,鼻出血,歯肉出血が
認められ、頭蓋内出血,消化管出血がしばしば直接の死
因となっている。
【0005】ITPの治療に際してはその症状の程度に
応じて副腎皮質ホルモン剤の投与,脾臓の摘出,免疫抑
制剤の投与などが適用される。しかしこうした薬物療法
や摘脾手術を行なっても血小板数が効果的には回復しな
いような症例も多く確認されている。さらには安全性や
患者への負担の大きさなどを考慮しても、必ずしもこう
した治療法が十分に満足なものとは言えない。ITPを
はじめほとんどの自己免疫疾患の発生に関するメカニズ
ムはまだ十分な解明がなされておらず、したがって治療
方法に関しても絶対的なものは確立されていないのが現
状であり対策が急がれている。
【0006】こうした自己免疫疾患の治療方法に際し
て、免疫吸着カラムを用いた血液の体外循環による自己
抗体の吸着除去も種々試みられている。たとえば免疫グ
ロブリンと結合性を有するプロテインAを担体に固定化
したカラムの適用も検討されている。しかしプロテイン
Aは高価であり、他の有用成分の非特異的吸着を抑えら
れないことや、さらには種々の副作用が生ずる症例も確
認されていることからあまり有用なものとは言えない。
また除去対象物質に対する抗体の固定化カラムも種々検
討されているが、安全性,保存安定性の問題,抗原抗体
反応が有効に作用できるような固定化が困難なこと,滅
菌方法が限定されるなどの理由から医用機材として用い
るには非常に多くの課題が残されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は血液中の抗血
小板抗体を認識して結合性を有するようなペプチドある
いは修飾ペプチドを固定化した不織布を提供して、主と
してこれを充填したカラムを用いた血液の体外循環を行
なうことを目的とする。こうして抗血小板抗体を特異的
に結合させ除去することにより、特にITPのような難
治性疾患の治療に貢献しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明は抗血小板抗体の抗原決定基を形成しうるアミノ酸配
列を含有したペプチドあるいは修飾ペプチドを固定化し
た不織布を、血液浄化吸着材として体外循環療法に適用
することによる抗血小板抗体の除去を要旨とするもので
ある。
【0009】一般にITP患者における抗血小板抗体は
血小板膜表面に存在する糖タンパク質の複合体であるG
P2b/3aやGP1b/9に対する抗体である場合が
多いことが知られている。本発明において固定化される
ペプチド領域は上記血小板膜糖タンパク質の一次構造か
ら種々の方法により抗原決定基となりうる領域を予測お
よびスクリーニングすることにより得られたものであ
る。
【0010】GP2bとGP3aは骨髄中の骨髄巨核球
またはその前駆細胞において複合体を形成する。血小板
膜表面においてGP2bとGP3aは非共有結合により
1:1の複合体を形成している。GP2bにおける55
8ないし747番目のアミノ酸残基の部分とGP3aに
おける114ないし303番目のアミノ酸残基の部分と
で会合していることが推定されている(医学のあゆみ,
160,681,1992)。GP2b/3aは血小板
膜表面上に最も多く存在している糖タンパク質である。
【0011】またGP1bはα鎖およびβ鎖から成り、
血小板膜表面においてGP9と非共有的に結合して複合
体を形成すると考えられている(医学のあゆみ,16
0,677,1992)。GP1b/9は非活性状態の
血小板が内皮下組織に存在するvon Willebr
and因子を認識する際の膜受容体であり、血小板血栓
形成のごく初期段階を制御する分子として重要と考えら
れている。
【0012】GP3aは分子量約105キロダルトンの
1本のポリペプチドから成る糖タンパク質であり、すで
にcDNAがクローニングされている(J.Biol.
Chem.,262,3939,1987)。762個
のアミノ酸残基から構成されており、N末端部には26
アミノ酸残基から成るシグナルペプチドが存在する。細
胞外の部分は689個,膜貫通ドメインは29個,細胞
質内は41個のアミノ酸が存在する。460ないし62
7番目のアミノ酸残基から成る領域には33ないし38
個のアミノ酸より成るシステインリッチなドメインの繰
返しが4ヵ所存在する。
【0013】GP2bは分子量が約140キロダルトン
であり、約125キロダルトンのH鎖と約25キロダル
トンのL鎖から構成されておりこれらがSS結合により
結合している。1039個のアミノ酸残基から成りその
配列が決定されている(J.Biol.Chem.,2
62,8476,1987)。H鎖には871個、L鎖
には137個およびN末端部には30アミノ酸残基から
成るシグナルペプチドが存在する。膜貫通ドメインはL
鎖内に存在し26個の疎水性アミノ酸より構成される。
【0014】GP1b/9はGP1bα鎖,β鎖,GP
9の3つのサブユニットから構成され、非活性化状態の
血小板が内皮下組織に存在するvon Willebr
and因子を認識する際の膜受容体であり血小板血栓形
成のごく初期段階を制御する分子として重要と考えられ
ている。α鎖とβ鎖はSS結合で結ばれており、分子量
はそれぞれ140キロダルトンと24キロダルトンであ
る。GP9は17ないし18キロダルトンであり、非共
有結合的にGP1bに結合していると考えられる(医学
のあゆみ,160,677,1992)。いずれについ
てもアミノ酸配列が決定されており、α鎖は610個
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,8
4,5615,1987)、β鎖は181個(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,85,21
35,1988)、GP9は160個(Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,86,6773,1
989)のアミノ酸残基から成る。
【0015】上記の各糖タンパク質に関する抗血小板抗
体に対する免疫原性を有するペプチドとしては、最も多
く存在しているGP2b/3aを例にするとGP3aの
アミノ酸配列中において、68ないし78番目に相当す
るPro−Leu−Ser−Asp−Lys−Gly−
Ser−Gly−Asp−Ser−Ser,349ない
し364番目のGly−Lys−Ile−Arg−Se
r−Lys−Val−Glu−Leu−Glu−Val
−Arg−Asp−Leu−Pro−Glu,475な
いし490番目のGlu−Glu−Asp−Tyr−A
rg−Pro−Ser−Gln−Gln−Asp−Gl
u−Cys−Ser−Pro−Arg−Glu,619
ないし623番目のLys−Phe−Asp−Arg−
Glu,741ないし744番目のThr−Ala−A
sn−Asnの5つの領域がエンザイムイムノアッセイ
(以下ELISA法と言う)により確認された領域であ
る。これらの領域はいずれも親水性の比較的強い領域で
あり、GP3a分子表面に存在している領域であること
が推定される。
【0016】GP2bに関してはGlu−Thr−Ar
g−Asn−Val−Gly−Ser(106ないし1
12番目),Glu−Lys−Thr−Glu−Glu
−Ala−Glu−Lys−Thr(148ないし15
6番目),Glu−Pro−Glu−Gln−Pro−
Ser−Arg−Leu(896ないし903番目)の
3つの領域が抗血小板抗体に対して免疫原性を有してい
る。これらも親水性の強い領域であり分子表面に存在す
ることが推定される。
【0017】またGP1b/9に関しても数種のペプチ
ドについて抗血小板抗体に対する免疫原性が確認されて
いる。GP1bα鎖ではAsp−Asn−Ala−Gl
u(222ないし225番目),Pro−Glu−Gl
u−Asp−Thr−Glu−Gly−Asp−Lys
−Val(280ないし289番目),Thr−Lys
−Ala−His−Thr(300ないし304番
目),Asp−Ser−Gln−Met(319ないし
322番目),Pro−Pro−Arg−Trp−Th
r(340ないし344番目),Gln−Gly−Hi
s−Leu−Glu−Ser(467ないし472番
目),Leu−Gln−Arg−Gly−Arg(54
0ないし544番目),Pro−Asn−Gly−Ar
g(573ないし576番目),Gln−Gly−Ar
g−Gly(591ないし594番目)の9領域が、β
鎖ではPro−Glu−Arg−Ala−Pro(83
ないし87番目),Arg−Ala−Arg−Ala−
Arg−Ala(156ないし161番目),Arg−
Ala−Gly−Thr−Asp−Glu−Ser(1
75ないし181番目)の3領域が抗血小板抗体に対す
る免疫原性領域である。さらにGP9においてもThr
−Lys−Asp−Cys−Pro(1ないし5番
目),Ala−Asn−Asn−Ser(46ないし4
9番目),Thr−Leu−Asp(66ないし68番
目),Trp−Leu−Glu−Asp−Arg(86
ないし90番目)の4領域が免疫原性領域である。
【0018】上記に示した領域は抗血小板抗体との結合
に最小限必要な領域であると考えられる。実際にこうし
たペプチドを用いて抗血小板抗体を除去することを行な
う場合には、血液中に存在する抗血小板抗体との反応様
式に近い状態を再現する必要がある。また血液中に存在
する場合の構造の安定性や水和性、あるいは担体に固定
化する場合には水系溶媒に対する溶解性を大きくしたり
することを考慮する必要があることが多い。
【0019】そこで上記に示したペプチド領域の一方の
末端または両末端の領域を各タンパク質のアミノ酸配列
に従って領域を延長したり、たとえばリジンのような水
溶性を大きくするようなアミノ酸を数個末端に結合させ
たり、システインのようなアミノ酸を末端に結合させて
担体に固定化しやすくするなどすることが好ましい。実
際に用いるペプチドまたは修飾ペプチドの全アミノ酸残
基数としては60個以内であることが好ましいが、合成
の困難さやコスト,安定性などを考慮すると30個以内
がより好ましい。さらに免疫原性を発現するのに要する
高次構造の形成しやすさなども考慮すると10ないし2
5個までが最適であると言える。
【0020】また固定化反応や安定性などを考慮して、
たとえばN末端をアミド化したり、末端に適当な官能基
を導入したりして上記ペプチドを修飾した有機化合物を
用いることも好ましい。また複数のペプチドを−A−
(CH2 n −B−(A,BはNHまたはCOを示す)
で示されるような側鎖を用いて結合させたものも抗血小
板抗体との結合性をより高めることが可能である。この
場合のnの値は1ないし20が好ましく3ないし10が
より好ましい。
【0021】ペプチドの合成の方法については特に限定
されるものではないが、一般に液相合成法よりも固相合
成法を適用する方が操作が簡単である。この場合有機溶
媒に不溶性である支持体に合成するペプチドのC末端に
対応するアミノ酸を結合させ、N末端方向にαカルボキ
シル基以外のαアミノ基などの官能基を保護した対応す
るアミノ酸を順に縮合反応により結合させた後、結合し
た後その保護基を脱離させる反応を交互に繰返すことに
よりペプチド鎖を延長させる。
【0022】目的とするペプチドを得た後、ペプチド鎖
を支持体から切断および脱保護基を行なう。これにはフ
ッ化水素がしばしば用いられるが、安全性,取扱いやす
さの点からトリフルオロメタンスルホン酸(以下TFM
SAと言う)を用いるのが適当である。チオアニソー
ル,1,2−エタンジチオールとTFMSA中で反応さ
せ脱保護基を行なった後、トリフルオロ酢酸(以下TF
Aと言う)により支持体からの切断を行ないペプチドを
回収する。これを凍結乾燥することによりクルードペプ
チドが得られる。
【0023】上記クルードペプチドは逆相系カラムを用
いた高速液体クロマトグラフィ(以下HPLCと言う)
に供することにより分取,精製を行なう。HPLC条件
は通常タンパク質の精製に用いる系を基本として最適化
を行なうのがよい。得られたクロマトピークに相当する
画分を分取しこれを凍結乾燥する。得られた精製ペプチ
ド画分についてマススペクトル分析による分子量解析,
アミノ酸組成分析あるいはアミノ酸配列解析などの手法
により同定および確認を行なう。
【0024】上記ペプチドあるいは修飾ペプチドを固定
化する場合に用いる不織布の種類は特に限定されるもの
ではないが、血液浄化に用いる場合には血液中成分と接
触した際の補体系や凝固系などへの影響を考慮する必要
性があることから、ポリエチレンテレフタレート(PE
T),ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(P
E),ポリアミド,セルロース(綿)およびレーヨンな
どが挙げられるが、改質の容易さや改質後の強度保持性
を考慮すると、PET,PE,綿またはレーヨンが好ま
しい。
【0025】不織布に化学式:−CO−(CH2 n
X(XはCl,Br,Iいずれかの原子,nは1ないし
10の整数を表わす;以下官能基1と言う)で示される
ような官能基を導入する方法は種々のものが挙げられ
る。たとえばPP,PEの場合には、あらかじめ脱ハロ
ゲン化水素反応が可能なアミノ基,イミノ基,水酸基,
ヒドラジド基などの官能基を有する化合物をX−CO−
(CH2 n −X(以下化合物1と言う)で示されるよ
うな化合物と反応させ、得られた化合物を共重合して不
織布を製造する方法がある。この場合の脱ハロゲン化水
素反応させる官能基としては、反応の容易さの点からア
ミノ基が最も好ましい。
【0026】不織布にアミノ基を導入するには種々のも
のが挙げられるが、たとえばPP,PEの場合には、あ
らかじめアミノ基を有するビニル化合物たとえば化1お
よび化2で表わされるような化合物を共重合して不織布
を製造する方法がある。またこれらの素材に電子線,紫
外線またはオゾンを照射してラジカルやイオンを発生さ
せ、化1または化2のようなアミノ基を有するビニル化
合物をグラフト重合させる方法がある。この場合他のビ
ニルモノマーを共存させてもよい。
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】 化1、化2においてR1 は水素原子またはメチル基を、
2 とR3 は水素原子またはメチル基であって少なくと
も一方が水素原子であることを示し、nは1ないし5の
数である。
【0029】上記のようにして得たアミノ基を含有する
不織布を上記化合物1と適当な溶媒中で反応させること
により上記官能基1の導入が可能である。ここでハロゲ
ン原子Xはいずれでも可能であるが、反応効率や副反応
の少なさなどを考慮するとBr,Iが好ましく、Brが
より好ましい。同様にnの値は1ないし10が適当であ
るが、1ないし5がより好ましい。
【0030】綿やレーヨンの場合には過ヨウ素酸により
酸化してそのグリコール部位を開裂させてアルデヒド基
を導入して、さらにアンモニア,エチレンジアミン,ヘ
キサメチレンジアミン,ポリエチレンイミンのような少
なくとも一級のアミノ基を1個以上有する化合物を反応
させてシッフ塩基を形成し、これを還元してアミノ基を
導入した後、化合物1と適当な溶媒中で反応させること
により官能基1を導入するのがよい。なおポリエチレン
イミンを用いる場合の分子量は100ないし100万が
好ましく、200ないし10万がより好ましい。
【0031】さらに電子線照射により官能基1を導入す
る方法としては、化合物1をあらかじめ上記のような一
級のアミノ基を含有する化合物と反応させて得られた化
合物を化3に示すようなビニル化合物を直接または適当
な溶媒に溶解した後乾燥させ電子線を照射する方法があ
る。この際にビニル化合物の沸点が低いと乾燥条件で蒸
発しグラフト量の制御が困難であり、この場合には高沸
点化合物と混合して塗布し蒸発を抑えることが好まし
い。混合する高沸点溶媒としてはエチレングリコール,
ジエチレングリコール,重合度10以下のポリエチレン
グリコール,グリセリンなどの多価アルコール類が特に
好ましい。
【0032】
【化3】 化3においてR1,R2,R3 は水素原子またはメチル基を
示し、nは1〜300の数を示す。
【0033】またグラフト効率を向上させるために、多
官能性の架橋性ビニル化合物と混合して用いることが好
ましい。これらの架橋性ビニル化合物としては、メチレ
ンビスアクリルアミド,トリメチロールプロパンジアク
リレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,
テトラメチロールメタンテトラアクリレート,トリアリ
ルイソシアヌレートまたは化3のようなビニル基を複数
個有するモノマーが挙げられる。架橋性ビニル化合物の
うち化3を用いた場合グラフト効率が高く、またスペー
サー効果もあり特に好ましい。化3におけるnの値は1
ないし150であることが好ましく、5ないし50であ
ることがより好ましい。
【0034】またグラフト効率を向上させるために、多
官能性の架橋性ビニル化合物と混合して用いることが好
ましい。これらの架橋性ビニル化合物としては、メチレ
ンビスアクリルアミド,トリメチロールプロパンジアク
リレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,
テトラメチロールメタンテトラアクリレート,トリアリ
ルイソシアヌレートのようなビニル基を複数個有するモ
ノマーが挙げられる。
【0035】これらの化合物を塗布するのに用いる溶媒
は架橋性化合物と目的の官能基を有する化合物の両方を
溶解するものであればすべて使用できるが、水,メタノ
ール,エタノール,塩化メチレン,クロロホルム,アセ
トン,ジオキサン,テトラヒドロフランまたはこれらの
混合溶媒を用いることが可能である。上記官能基を有す
る化合物と架橋性化合物との混合比は50:1ないし
1:50、好ましくは30:1ないし1:30である。
この場合に用いられる不織布の素材としてはPET,P
E,レーヨンおよび綿が好ましく、特にPETが好まし
い。照射線量は1ないし20Mradが好ましく、2な
いし10Mradがさらに好ましい。
【0036】このようにして導入される官能基1の含量
は1μeq/gないし5meq/g、好ましくは10μ
eq/gないし3meq/g、さらに好ましくは30μ
eq/gないし2meq/gである。こうして導入され
た官能基1のペプチド固定化後の残存量は、血小板のよ
うな血球成分の粘着を抑えるためには0.1μeq/g
ないし1meq/gであり、好ましくは0.5μeq/
gないし0.5meq/g、さらに好ましくは1μeq
/gないし0.3meq/gである。
【0037】こうして得られた不織布は血小板,白血球
などの粘着が少なく、血液の補体活性や凝固因子活性も
抑制されている。したがって抗血小板抗体の吸着除去に
際し血漿と血球成分とを分離した後血漿から抗体を吸着
して血漿と血球成分を再混合して患者に返す必要がなく
全血処理により一段階で抗体を吸着することができる。
この際の不織布の充填密度は0.6g/ml以下が好ま
しく、0.4g/ml以下がより好ましい。
【0038】上記官能基の導入された不織布への抗血小
板抗体との結合性を有する上記のようなペプチド類の固
定化については、pH8ないし10の緩衝液中で反応さ
せることにより容易に行なうことができる。この場合リ
ガンドに用いるペプチドや修飾ペプチドは比較的安定で
低分子量の物質であり、たとえば酵素や抗体のような高
分子量のタンパク質を固定化する場合と比較してその固
定化反応条件は制約が少なくなることも有利な要因の一
つである。
【0039】通常は立体障害を小さくすることにより抗
体の吸着効率,結合性を向上させ、また非特異的吸着を
抑えることを目的として、親水性スペーサーを導入し
て、その末端にペプチド類を固定化するのが好ましい。
親水性スペーサーとしては導入した官能基を利用できる
ものが好ましく、両末端にアミノ基またはカルボキシル
基を有するポリエチレングリコールを用いることが好ま
しいが、反応収率やその条件のマイルドな点からアミノ
基の方がより好ましい。この場合のポリエチレングリコ
ールの分子量は100ないし20000、好ましくは2
00ないし10000、さらに好ましくは500ないし
5000である。
【0040】両末端にアミノ基あるいはカルボキシル基
を有するポリエチレングリコール(以下それぞれPEO
アミンおよびPEO酸と言う)を用いる場合、まず不織
布の官能基と適当な溶媒中にて反応させることにより結
合させ、次にもう一方のアミノ基あるいはカルボキシル
基とペプチドのカルボキシル基またはアミノ基末端を縮
合剤の存在下に縮合させてアミド基を介した固定化を行
なう。
【0041】しかし上記のようにして得た不織布におい
ては、グラフトされたこれらの誘導体ポリマー自体が親
水性スペーサーの役割を果たしており、このことからも
好ましいものである。すなわちグラフトされたこれらの
誘導体ポリマーのハロアルキル基とペプチドのアミノ基
末端を上記の方法により脱ハロゲン化水素させることに
よる固定化が他の方法と比較して有利である。
【0042】
【実施例】本発明におけるペプチド類の目的の官能基を
導入した不織布への導入方法は上記に述べたものを基本
とすれば特に限定されるものではない。以下に実施例を
用いて本発明を説明する。
【0043】<実施例1> Lys−Lys−Pro−
Leu−Ser−Asp−Lys−Gly−Ser−G
ly−Asp−Ser−Serの不織布への固定化 (1)ペプチドの合成 GP3aにおいて免疫原性を有する68ないし78番目
までの領域のN末端にリジン残基を2個結合させたLy
s−Lys−Pro−Leu−Ser−Asp−Lys
−Gly−Ser−Gly−Asp−Ser−Serの
配列を有するペプチドの合成をペプチドシンセサイザー
Model430A(アプライドバイオシステムズ社
製)を用いて固相合成法により行なった。C末端のセリ
ンの結合した支持体であるPAMセリン(t−Boc−
L−Ser(Bzl))0.5mmol(アプライドバ
イオシステムズ社製)を用いて、N末端の方向に順に上
記ペプチドシンセサイザーに掲載されている合成プログ
ラムにより脱保護基反応および縮合反応を繰返してペプ
チド鎖を延長した。すなわちTFAおよびジクロロメタ
ン(以下DCMと言う)により保護基であるt−ブトキ
シカルボニル基の除去を行ないDCMで洗浄し、ジイソ
プロピルエチルアミンおよびDCMで中和した後、ジメ
チルホルムアミド(以下DMFと言う)で洗浄し、DC
Cで縮合反応を行ない、DCMで洗浄する操作を繰返し
た。アミノ酸はt−Boc−L−Lys(Cl−Z),
t−Boc−L−Ser(Bzl),t−Boc−L−
Asp(OBzl),t−Boc−L−Gly,t−B
oc−L−Leu・H2 O,t−Boc−L−Pro
(いずれもアプライドバイオシステムズ社製)の2.0
mmolのカートリッジを用いた。
【0044】(2)脱保護基,ペプチド鎖の切断 上記の反応が終了した支持体1gにチオアニソール1m
l,1,2−エタンジチオール0.5mlを加えて10
分間攪拌した後、氷水で冷やしながらTFA10mlを
加えて10分間攪拌した。さらにTFMSA1mlを加
えて室温で30分間攪拌した。これにあらかじめ冷やし
ておいたジエチルエーテルを沈殿が現れなくなるまで加
えて攪拌し、ミディアム孔のガラスフィルターを用いて
ジエチルエーテルで共洗いしながら濾過し、TFAを加
えてペプチドを溶解してエーテル中に補集した。エーテ
ル中のペプチドをファイン孔のガラスフィルターで濾過
し、ガラスフィルター上のペプチドを2N酢酸に溶解し
て、凍結乾燥を行ないクルードペプチドを得た。
【0045】(3)ペプチドの精製 上記クルードペプチドを再度2N酢酸に溶解して、0.
2μmのメンブレンフィルターで濾過した溶液をHPL
Cに供した。HPLCはModel130Aシステム
(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、カラムは
逆相系のAquapore Prep−10,C8(ア
プライドバイオシステムズ社製)を用いた。移動相は
0.1%TFAを含む水をA液,0.1%TFAを含む
70%アセトニトリル/水(v/v)をB液として、A
液からB液への濃度直線勾配により溶出した。クロマト
ピークはほぼ単一なものが得られ、相当画分を分取し
た。分取を数回繰返し、これを凍結乾燥することにより
精製ペプチドを得た。得られたペプチドはBIOION
20マスアナライザー(アプライドバイオシステムズ社
製)により解析して目的ペプチドが得られていることを
確認した。
【0046】(4)不織布の改質 テトラエチレンペンタミン3.8gをジオキサン100
mlに溶解し、窒素気流下攪拌しながら氷冷した。一方
化合物1におけるXがBrでありnが1であるブロモア
セチルブロミド20.1gをジオキサン30mlに溶解
し20分間で滴下して、氷冷下20分間反応し、40℃
で1時間、60℃で2時間反応させた後、生成した沈殿
を濾過した。さらにこの沈殿物をジオキサンで洗浄した
後、減圧乾燥した(得られた沈殿物を化合物2とす
る)。
【0047】化3においてR1,R2,R3 が水素原子であ
りnの値が9であるポリエチレンジアクリレート(CH
2 =CH−COO−(CH2 CH2 O)9 −OC−CH
2 =CH2 )1gを500mgの上記化合物2とともに
200mlのメタノールに溶解し、15cm平方の大き
さに切断した繊維径3.5μmのPET製不織布をこの
溶液に浸した後、5Mradずつ合わせて10Mrad
の電子線を不織布の両面に照射した。電子線照射の終了
した不織布を水およびメタノールで3回ずつ洗浄を行な
い風乾した。得られた不織布の官能基1の含量は元素分
析によりBr含量を求めることにより算出したところ
0.10meq/gであった。
【0048】(5)ペプチドの不織布への導入 (3)で得た精製ペプチド25mgをpH8.5のリン
酸緩衝液に溶解した後、上記の改質した不織布を加え
て、室温で24時間振盪して反応させた。反応の終了し
た不織布を水で3回洗浄して、目的である吸着材を得
た。ペプチドの固定化率は反応残液中の窒素含量をマイ
クロケルダール法により定量して算出し74%が導入さ
れていた。
【0049】(6)ペプチド固定化吸着材の性能評価 上記吸着材における上記のITP患者の血液を用いて抗
血小板抗体の吸着性能を評価した。一辺7cmの菱形の
ポリカーボネート製モジュールケースの形状およびその
大きさに切断した上記吸着材を20枚充填したカラムを
組立て、100U/mlのヘパリンを含む生理食塩水1
00ml、次いで1U/mlのヘパリンを含む生理食塩
水100mlでカラム内および血液回路内を洗浄した。
一方クエン酸を添加したITP患者の血液(5種類)1
00mlをビーカーに取り、カラムを通して再びビーカ
ーに戻すような血液回路を組み、この装置を用いて血液
流量30ml/分で1時間連続して潅流実験を行なっ
た。
【0050】本処理を行なった後の血清中の抗血小板抗
体量をELISA法により定量した(Acta.hae
mat.,66,251,1981)。結果は表1に示
す通りであり、本処理を行なう前の血清での値から算出
した吸着率[%]で示した。またアルブミンの非特異的
吸着に関しても、アルブミンBーテストワコー(和光純
薬工業製)を用いて定量した。結果は表2に示す通りで
あり、表1と同様に吸着率[%]で示した。また血小板
の粘着性についても本処理を行なう前後の血小板数をコ
ールターカウンターZM型(コールターエレクトロニク
ス社製)を用いて定量することにより調べた。結果は表
3に示す通りであり、血小板数の減少率[%]で示し
た。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】<実施例2> Glu−Glu−Asp−
Tyr−Arg−Pro−Ser−Gln−Gln−A
sp−Glu−Cys−Ser−Pro−Arg−Gl
uの不織布への固定化 GP3aにおける475ないし490番目の領域に相当
するGlu−Glu−Asp−Tyr−Arg−Pro
−Ser−Gln−Gln−Asp−Glu−Cys−
Ser−Pro−Arg−Gluの配列を有するペプチ
ドの合成に関してもPAMグルタミン酸(t−Boc−
L−Glu(OBzl))(アプライドバイオシステム
ズ社製)およびt−Boc−L−Arg(Tos),t
−Boc−L−Pro,t−Boc−L−Ser(Bz
l),t−Boc−L−Cys(4−CH3 OBz
l),t−Boc−L−Glu(OBzl),t−Bo
c−L−Asp(OBzl),t−Boc−L−Gl
n,t−Boc−L−Tyr(Br−Z)(いずれもア
プライドバイオシステムズ社製)を用いて実施例1と同
様にして実施した。合成の終了した支持体の脱保護基,
ペプチド鎖の切断,逆相系HPLCによる精製および同
定についても実施例1と同様にして行なった。
【0055】実施例1と同じ方法により官能基1を導入
した不織布(導入量0.09meq/g)に上記ペプチ
ドの固定化を実施例1と同様にして行ない、目的である
吸着材を得た。ペプチドの固定化率は反応残液中の窒素
含量をマイクロケルダール法により定量して算出し72
%が導入されていた。得られた吸着材の性能評価を実施
例1と同様にして、カラムを組立てた後ITP患者の血
液を用いた潅流実験により行なった。処理後の血清中の
抗血小板抗体量およびアルブミン量を実施例1と同様に
して定量した。結果をそれぞれ表1および表2に吸着率
[%]で示した。血小板粘着性についても実施例1と同
様に検討した結果を表3に血小板数の減少率[%]で示
した。
【0056】<実施例3> Arg−Ala−Lys−
Trp−Asp−Thr−Ala−Asn−Asn−P
ro−Leu−Tyr−Lys−Gluの不織布への固
定化 GP3aにおける741ないし744番目のThr−A
la−Asn−Asnの配列の両端を5残基ずつ延長さ
せたArg−Ala−Lys−Trp−Asp−Thr
−Ala−Asn−Asn−Pro−Leu−Tyr−
Lys−Gluの配列を有するペプチドの合成に関して
もPAMグルタミン酸(t−Boc−L−Glu(OB
zl))(アプライドバイオシステムズ社製)およびt
−Boc−L−Lys(Cl−Z),t−Boc−L−
Tyr(Br−Z),t−Boc−L−Leu・H
2 O,t−Boc−L−Pro,t−Boc−L−As
n,t−Boc−L−Ala,t−Boc−L−Thr
(Bzl),t−Boc−L−Asp(OBzl),t
−Boc−L−Trp(CHO),t−Boc−L−A
rg(Tos)(いずれもアプライドバイオシステムズ
社製)を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の
終了した支持体の脱保護基については配列中にt−Bo
c−L−Trp(CHO)を含んでいるので、先に1g
の合成を終えた支持体に1,2−エタンジチオール0.
2ml,m−クレゾール0.8ml,ジメチルスルフィ
ド3ml,TFA5ml,TFMSA1mlを加えて、
氷水で冷やしながら3時間攪拌して反応させた。反応物
をあらかじめ冷やしておいたジエチルエーテルで洗浄し
ながらガラスフィルター(ミディアム孔)で濾過し後に
実施例1で行なった脱保護基反応を行なった。以下ペプ
チド鎖の切断,逆相系HPLCによる精製および同定に
ついては実施例1と同様にして行なった。
【0057】化3においてR1,R2,R3 が水素原子であ
りnの値が9であるポリエチレンジアクリレート(CH
2 =CH−COO−(CH2 CH2 O)9 −OC−CH
2 =CH2 )600mgおよび分子量10000のポリ
エチレンイミン500mgを200mlのメタノールに
溶解し、15cm平方の大きさに切断した繊維径3.5
μmのPET製不織布をこの溶液に浸した後、5Mra
dずつ合わせて10Mradの電子線を不織布の両面に
照射した。電子線照射の終了した不織布を水およびメタ
ノールで3回ずつ洗浄を行ない風乾した。得られた不織
布のアミノ基含量の定量は塩酸による電位差滴定をCO
MTITE101(平沼産業製)を用いて行ない0.2
5meq/gであった。
【0058】さらにブロモアセチルブロミド3.0gを
無水ジオキサン100mlに溶解し、改質不織布30枚
を加えて室温で振盪させることにより24時間反応させ
た。反応終了後不織布を水およびメタノールで3回洗浄
を行ない風乾した。得られた不織布の官能基1の含量は
元素分析によりBr含量を求めることにより算出したと
ころ0.13meq/gであった。
【0059】上記ペプチド25mgを実施例1と同様に
して固定化を行ない、目的である吸着材を得た。ペプチ
ドの固定化率は反応残液中の窒素含量をマイクロケルダ
ール法により定量して算出し70%が導入されていた。
得られた吸着材の性能評価を実施例1と同様にして、カ
ラムを組立てた後ITP患者の血液を用いた潅流実験に
より行なった。処理後の血清中の抗血小板抗体量および
アルブミン量を実施例1と同様にして定量した。結果を
それぞれ表1および表2に吸着率[%]で示した。血小
板粘着性についても実施例1と同様に検討した結果を表
3に血小板数の減少率[%]で示した。
【0060】<実施例4> LysーGly−Lys−
Ile−Arg−Ser−Lys−Val−Glu−L
eu−Glu−Val−Arg−Asp−Leu−Pr
o−Gluの不織布への固定化 GP3aにおける349ないし364番目の配列のN端
にLys残基を1つ結合させたLysーGly−Lys
−Ile−Arg−Ser−Lys−Val−Glu−
Leu−Glu−Val−Arg−Asp−Leu−P
ro−Gluの配列を有するペプチドの合成に関しても
PAMグルタミン酸(t−Boc−L−Glu(OBz
l))(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−
Boc−L−Lys(Cl−Z),t−Boc−L−G
ly,t−Boc−L−Ile・1/2H2 O,t−B
oc−L−Arg(Tos),t−Boc−L−Ser
(Bzl),t−Boc−L−Val,t−Boc−L
−Glu(OBzl),t−Boc−L−Leu・H2
O,t−Boc−L−Asp(OBzl),t−Boc
−L−Pro(いずれもアプライドバイオシステムズ社
製)を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終
了した支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系H
PLCによる精製および同定についても、実施例1と同
様にして行なった。
【0061】実施例3と同じ方法により官能基1を導入
した不織布(導入量0.15meq/g)に上記ペプチ
ドの固定化を実施例1と同様にして行ない、目的である
吸着材を得た。ペプチドの固定化率は反応残液中の窒素
含量をマイクロケルダール法により定量して算出し71
%が導入されていた。得られた吸着材の性能評価を実施
例1と同様にして、カラムを組立てた後ITP患者の血
液を用いた潅流実験により行なった。処理後の血清中の
抗血小板抗体量およびアルブミン量を実施例1と同様に
して定量した。結果をそれぞれ表1および表2に吸着率
[%]で示した。血小板粘着性についても実施例1と同
様に検討した結果を表3に血小板数の減少率[%]で示
した。
【0062】
【比較例】
<比較例1> Glu−Glu−Asp−Tyr−Ar
g−Pro−Ser−Gln−Gln−Asp−Glu
−Cys−Ser−Pro−Arg−Gluの不織布へ
の固定化 実施例2で得たGlu−Glu−Asp−Tyr−Ar
g−Pro−Ser−Gln−Gln−Asp−Glu
−Cys−Ser−Pro−Arg−Gluの綿不織布
への導入を次のようにして実施した。15cm平方の大
きさに切断した繊維径12μmの綿不織布30枚に、1
wt%濃度の過ヨウ素酸ナトリウムを1N硫酸に溶解し
た溶液500ml中に加えて振盪により22時間反応さ
せた。反応終了後不織布を水で3回洗浄してアルデヒド
基を導入した。アルデヒド含量はオキシム法により定量
を行ない0.51meq/gであった。
【0063】上記ペプチド25mgをpH9.5の炭酸
緩衝液200mlに溶解して上記不織布を加え振盪によ
り24時間反応させた。反応終了後不織布を水で3回洗
浄した後pH9.0の炭酸緩衝液200ml中に加え、
さらに水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4 )1gを加
えて振盪により20時間反応させた。反応終了後不織布
を水で3回洗浄して目的である吸着材を得た。ペプチド
の固定化率は反応残液中の窒素含量をマイクロケルダー
ル法により定量して算出し74%が導入されていた。得
られた吸着材の性能評価を実施例1と同様にして、カラ
ムを組立てた後ITP患者の血液を用いた潅流実験によ
り行なった。処理後の血清中の抗血小板抗体量およびア
ルブミン量を実施例1と同様にして定量した。結果をそ
れぞれ表1および表2に吸着率[%]で示した。血小板
粘着性についても実施例1と同様に検討した結果を表3
に血小板数の減少率[%]で示した。
【0064】<比較例2> Thr−Thr−Arg−
Thr−Asp−Thr−Cys−Met−Ser−S
er−Asn−Gly−Leuの不織布への固定化 GP3aにおける561ないし673番目の領域に相当
するThr−Thr−Arg−Thr−Asp−Thr
−Cys−Met−Ser−Ser−Asn−Gly−
Leuの配列を有するペプチドの合成に関して、PAM
ロイシン(t−Boc−L−Leu)(アプライドバイ
オシステムズ社製)およびt−Boc−L−Gly,t
−Boc−L−Asn,t−Boc−L−Ser(Bz
l),t−Boc−L−Met,t−Boc−L−Cy
s(4−CH3 OBzl),t−Boc−L−Thr
(Bzl),t−Boc−L−Asp(OBzl),t
−Boc−L−Arg(Tos)(いずれもアプライド
バイオシステムズ社製)を用いて実施例1と同様にして
実施した。このペプチド領域も親水性の比較的大きな領
域である。合成の終了した支持体の脱保護基,ペプチド
鎖の切断,逆相系HPLCによる精製および同定につい
ても実施例1と同様にして行なった。
【0065】比較例1と同様の方法により、綿不織布に
上記ペプチドの導入を行なった。ペプチドの固定化率は
実施例1と同様にして求め78%が導入されていた。得
られた吸着材の性能評価を実施例1と同様にして、カラ
ムを組立てた後ITP患者の血液を用いた潅流実験によ
り行なった。処理後の血清中の抗血小板抗体量およびア
ルブミン量を実施例1と同様にして定量した。結果をそ
れぞれ表1および表2に吸着率[%]で示した。血小板
粘着性についても実施例1と同様に検討した結果を表3
に血小板数の減少率[%]で示した。
【0066】
【発明の効果】本発明により血液中の抗血小板抗体と効
果的に結合させて除去することが可能であり、特に重症
なITP患者の治療に適用が可能である。本発明におけ
る抗血小板抗体吸着材を用いた血液浄化療法は副作用な
どの危険性が少ない安全なものであり、保存による安定
性の面でも非常に優れている。また不織布を利用するこ
とにより従来のような血漿分離を必要としない全血処理
による体外循環が可能となったことはコスト面,簡便さ
などの点から画期的な特徴である。またアミノ基との反
応が容易な官能基1が存在することによりリガンドであ
るペプチド類の導入も容易である。さらにはオートクレ
ーブ処理による蒸気滅菌を行なってもリガンドとしての
活性低下がほとんど生ずることのない点からも、医療機
材として非常に有利な要因と言える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に化学式:−CO−(CH2 n
    X(XはCl,Br,Iいずれかの原子,nは1ないし
    10の整数を表わす)で示されるような官能基が導入さ
    れた平均繊維径が1ないし30μmの不織布に、抗血小
    板抗体との結合親和性を有するペプチドあるいは修飾ペ
    プチドが固定化されて成る抗血小板抗体吸着材。
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