JPH06269663A - Cd4陽性細胞捕集材 - Google Patents

Cd4陽性細胞捕集材

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JPH06269663A
JPH06269663A JP5057206A JP5720693A JPH06269663A JP H06269663 A JPH06269663 A JP H06269663A JP 5057206 A JP5057206 A JP 5057206A JP 5720693 A JP5720693 A JP 5720693A JP H06269663 A JPH06269663 A JP H06269663A
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JP
Japan
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peptide
cells
boc
amino acid
woven fabric
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Application number
JP5057206A
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English (en)
Inventor
Kazunori Inamori
和紀 稲森
Masahiro Seko
政弘 世古
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液の体外循環療法などに適用することによ
り、何らかの原因でその割合が過剰になったCD4陽性
細胞を捕集することが可能な、CD4陽性細胞との結合
性を有するペプチドまたは修飾ペプチドを不織布に固定
化して成るCD4陽性細胞捕集材を提供する。 【構成】 式:−CO−(CH2 n −X(XはCl,
Br,Iいずれかの原子,nは1ないし10の整数)で
示されるような官能基を有した平均繊維径が1ないし3
0μmの不織布に、CD4陽性細胞との結合性を有する
ペプチドまたは修飾ペプチドを固定化したことを特徴と
するCD4陽性細胞捕集材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定のアミノ酸配列を有
したペプチドまたはそのペプチド領域を含有する修飾ペ
プチドを固定化した不織布を提供して、その充填カラム
により血液の体外循環を行なうことにより、CD4抗原
をマーカーとして細胞表面に有する主としてヘルパーT
細胞の捕集を目的とするCD4陽性(以下CD4+と言
う)細胞の捕集材に関するものである。本発明は何らか
の原因により生体内における免疫系のバランスに支障が
生ずることにより、CD4+細胞の生体内における割合
が過大になり免疫反応が過剰に起こるような種々の自己
免疫疾患などの治療において非常に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】CD4分子はヘルパー細胞や一部の単
球,マクロファージの細胞膜表面に分布している分子量
約55キロダルトンの糖タンパク質であり、胸腺細胞の
約50%,末梢T細胞の約70%に分布する。また成人
T細胞型白血病細胞や皮膚T細胞性リンパ腫などにも発
現されている。ヘルパー細胞上のCD4抗原はT細胞が
細胞レセプターによりマクロファージから提示された抗
原に結合する際、マクロファージ上の主要組織適合抗原
(以下MHCと言う)と結合してT細胞,抗原,マクロ
ファージ間の会合を安定化する役割をもつ。T細胞のC
D4分子には非受容体型チロシンキナーゼ分子p56
lckが連結し、CD4の情報伝達分子として機能してい
る。マクロファージ,単球の表面に分布するCD4の生
理的役割に関しては明らかではない。
【0003】免疫系においてヘルパー細胞は抗原が適切
に応答するのに不可欠であり、B細胞のほとんどの抗体
応答に必須のものである。ヘルパー細胞は主として抗原
提示細胞の表面に結合した非自己抗原を認識した場合自
身が活性化され、インターロイキン2を分泌してT細胞
の増殖を刺激してこれがB細胞の活性化を補助してお
り、さらには抗体の産生を促している。またリンパ球を
補助するだけでなくγインターフェロンを分泌すること
によりマクロファージを活性化するヘルパー細胞も存在
する。
【0004】ヘルパーT細胞の他にT細胞の亜集団とし
て細胞障害性T細胞あるいはサプレッサーT細胞などが
存在し、その表面マーカーとしてCD8という糖タンパ
ク質が存在する。細胞障害性T細胞はウイルスに感染し
た細胞を直接破壊し、サプレッサーT細胞は主にヘルパ
ーT細胞の応答を抑制している。免疫応答の調整に主と
して関与しているのはCD4+細胞であるヘルパーT細
胞とCD8陽性細胞(以下CD8+細胞と言う)である
サプレッサーT細胞の2つである。正常人ではこれらC
D4+細胞とCD8+細胞の両者がバランスよく制御さ
れることで、生体内における免疫反応が適当な状態に調
節されている。何らかの原因により両者の数の比率に大
きな変動が生ずると、生体内の免疫系制御システムに異
常が発生し様々な悪影響を及ぼすことになる。
【0005】エイズ患者においてはレトロウイルスの一
種であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)によりヘルパ
ーT細胞が破壊され免疫系が正常に機能しなくなってい
る。したがって通常であれば発症しないような微生物感
染においても、生体が対応できなくなるものである。こ
の場合の多くはCD4+/CD8+の値が正常人と比べ
て大きく低下している。
【0006】逆にCD4+/CD8+の値が大きくなる
ものとして、4型アレルギーに属する遅延型過敏症に関
わる疾患がある。遅延型過敏症を誘導するT細胞はヘル
パーT細胞とは別のものであるが、これもCD4分子を
有している。これに関する疾患としては細胞内寄生性細
菌や真菌などの感染症や、植物,薬剤などによる皮膚炎
の他に、自己抗体が生ずる全身性エリテマトーデスやリ
ウマチ様関節炎などの種々の自己免疫疾患においてもこ
の種のアレルギー機序とT細胞により生体内の細胞が障
害され病変が惹起されていると考えられている。
【0007】種々ある自己免疫疾患の治療方法として
は、その症状の程度に応じて副腎皮質ホルモン剤の投
与,脾臓の摘出,免疫抑制剤の投与などが適用される。
しかしこうした薬物療法や摘脾手術を行なってもは効果
的には回復しないような症例も多く存在している。自己
免疫疾患の発生に関するメカニズムはまだ十分には解明
されておらず、こうした患者に対する治療方法について
も絶対的なものは確立されていないのが現状であり対策
が急がれている。
【0008】自己免疫疾患の他の治療方法として、免疫
吸着カラムを用いた血液の体外循環による自己抗体の吸
着除去も種々試みられている。たとえば免疫グロブリン
と結合性を有するプロテインAを担体に固定化したカラ
ムの適用も検討されている。しかしプロテインAは高価
であり、吸着特異性の点でもあまり優れず、さらには副
作用の生じた症例も報告されており、こうした医用機材
に利用するには種々の問題点が残されている。また除去
対象物質に対する抗体の固定化カラムも種々検討されて
いるが、安全性,保存安定性の問題,抗体が有効に反応
できるような固定化が困難なこと,滅菌方法が限定され
るなどの理由から医用機材として用いるには多くの課題
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は血液細胞表面
に存在するのCD4を認識して結合性を有するようなペ
プチドあるいはその修飾ペプチドを固定化した不織布を
用いて、特にこれを充填したカラムにより血液の体外循
環を行なうことで、CD4+細胞を特異的に結合させ捕
集することにより生体内の免疫系バランスを制御して様
々な疾患を治療しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明は、抗CD4抗体の相補性決定領域となりうるアミノ
酸配列を含有しているペプチドあるいは修飾ペプチドを
固定化した不織布を提供することによるCD4+細胞の
捕集を要旨とするものである。
【0011】本発明は抗CD4抗体における可変領域を
構成している部分において、特定のアミノ酸配列を有す
るペプチド断片を利用してCD4+細胞を捕集しようと
するものである。抗体分子の構成している重鎖,軽鎖と
もにN末端より約110個のアミノ酸残基より成る部分
に可変領域と呼ばれる領域が存在しており、抗体分子に
よりアミノ酸配列が異なっている部分である。さらにこ
の可変領域の中でも分子ごとにアミノ酸配列が比較的類
似している部分と、分子ごとにアミノ酸配列が大きく異
なっている超可変領域と呼ばれる部分とがある。抗原抗
体反応の際の結合特異性はこの超可変領域により決定さ
れている。
【0012】超可変領域は重鎖および軽鎖ともに3ヵ所
ずつ存在しており、20ないし30個のアミノ酸残基数
から成る。抗体が抗原と結合する部位である相補性決定
領域と呼ばれる部分はこの超可変領域と一致しており、
この中でも実際に結合に関与している部位は5ないし1
0個のアミノ酸残基から構成される断片として存在して
いる。
【0013】重鎖ではN端より31ないし35,50な
いし65および95ないし102番目が、軽鎖ではN端
より24ないし34,50ないし56および89ないし
97番目が相補性決定領域に相当する断片である。これ
ら合せて6つの領域はそれぞれにループを形成してお
り、これらが1ヵ所にまとまることにより抗原結合部位
を形成しているものである。すなわち抗原結合部位の多
様性はこれらの領域におけるループの長さとアミノ酸配
列のわずかな変化だけで生ずるものである。なおこれ以
外の抗体の機能を果たすのに必要な分子全体の高次構造
は乱されることなく保たれている。
【0014】抗CD4抗体としてはOKT4(オルソ
社),Leu3a(ベクトンディキンソン社),T4
(コールター社)などがある。CD4は白血球分化抗原
の中では比較的よく研究されており、可変領域の一次構
造が決定されて報告されているものもある。可変領域の
一次構造が既知であれば、これより上記の相補性決定領
域に相当する部位を含有するペプチドを合成することに
よりCD4分子と結合させることが可能である。たとえ
ばLeu3a抗体に関する軽鎖における可変領域のアミ
ノ酸配列(J.Biol.Chem.,266,146
11,1991)を例にすると、Lys−Ala−Se
r−Gln−Ser−Val−Asp−Tyr−Asp
−Gly−Asp,Leu−Leu−Ile−Tyr−
Ala−Ala−Ser,Thr−Tyr−Tyr−C
ys−Gln−Gln−Ser−Tyr−Gluの3つ
が相補性決定領域に相当する。
【0015】上記に例示した領域はCD4分子との結合
に最小限必要な領域であると考えられる。実際にこうし
たペプチドを用いてCD4+細胞を捕集する場合には、
血液中でのCD4分子との反応様式に近い状態を再現す
る必要がある。また血液中に存在する場合の構造の安定
性や、あるいは担体に固定化する場合には水系溶媒に対
する溶解性を大きくしたりすることを考慮する必要があ
ることが多い。
【0016】そこで上記に示したペプチド領域の一方の
末端または両末端の領域を各タンパク質のアミノ酸配列
に従って領域を延長したり、たとえばリジンのような水
溶性を大きくするようなアミノ酸を数個末端に結合させ
たり、システインのようなアミノ酸を末端に結合させて
担体に固定化しやすくするなどすることが好ましい。実
際に用いるペプチドまたは修飾ペプチドの全アミノ酸残
基数としては70個以内であることが好ましいが、合成
の困難さやコスト,安定性などを考慮すると30個以内
がより好ましい。さらに免疫原性を発現するのに要する
高次構造の形成しやすさなども考慮すると10ないし2
5個が最適であると言える。
【0017】また固定化反応や安定性などを考慮して、
たとえばN末端をアミド化したり、末端に適当な官能基
を導入したりして上記ペプチドを修飾した有機化合物を
用いることも好ましい。また複数のペプチドを−A−
(CH2 n −B−(A,BはNHまたはCOを示す)
で示されるような側鎖を用いて結合させたものもCD4
+細胞との結合性をより高めることが可能である。この
場合のnの値は1ないし20が好ましく3ないし10が
より好ましい。
【0018】ペプチドの合成の方法については特に限定
されないが、液相合成法よりも固相合成法を適用する方
が操作が簡単である。この場合有機溶媒に不溶性である
支持体に合成するペプチドのC末端に対応するアミノ酸
を結合させ、N末端方向にαカルボキシル基以外のαア
ミノ基などの官能基を保護した対応するアミノ酸を順に
縮合反応により結合させた後、結合した後その保護基を
脱離させる反応を交互に繰返すことによりペプチド鎖を
延長させる。
【0019】ペプチド合成反応を終了した後、ペプチド
鎖を支持体から切断および脱保護基を行なう。これには
フッ化水素がしばしば用いられるが、安全性,取扱いや
すさの点からトリフルオロメタンスルホン酸(以下TF
MSAと言う)を用いるのが適当である。チオアニソー
ル,1,2−エタンジチオールとTFMSA中で反応さ
せ脱保護基を行なった後、トリフルオロ酢酸(以下TF
Aと言う)により支持体からの切断を行ないペプチドを
回収する。これを凍結乾燥することによりクルードペプ
チドが得られる。
【0020】上記クルードペプチドは逆相系カラムを用
いた高速液体クロマトグラフィ(以下HPLCと言う)
に供することにより分取,精製を行なう。HPLC条件
は通常タンパク質の精製に用いる系を基本として最適化
を行なうのがよい。得られたクロマトピークに相当する
画分を分取しこれを凍結乾燥する。得られた精製ペプチ
ド画分についてマススペクトル分析による分子量解析,
アミノ酸組成分析あるいはアミノ酸配列解析などにより
同定を行なう。
【0021】上記ペプチドあるいは修飾ペプチドを固定
化する場合に用いる不織布の種類は特に限定されるもの
ではないが、血液浄化に用いる場合には血液中成分と接
触した際の補体系や凝固系などへの影響を考慮する必要
性があることから、ポリエチレンテレフタレート(PE
T),ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(P
E),ポリアミド,セルロース(綿)およびレーヨンな
どが挙げられるが、改質の容易さや改質後の強度保持性
を考慮すると、PET,PE,綿またはレーヨンが好ま
しい。
【0022】不織布に特許請求の範囲に示したような、
化学式:−CO−(CH2 n −X(XはCl,Br,
Iいずれかの原子,nは1ないし10の整数を表わす;
以下官能基1と言う)で示されるような官能基を導入す
る方法は種々のものが挙げられる。たとえばPP,PE
の場合には、あらかじめ脱ハロゲン化水素反応が可能な
アミノ基,イミノ基,水酸基,ヒドラジド基などのビニ
ル官能基を有する化合物をX−CO−(CH2 n −X
(以下化合物1と言う)で示されるような化合物と反応
させ、得られたビニル化合物を共重合して不織布を製造
する方法がある。この場合の脱ハロゲン化水素反応させ
る官能基としては、反応の容易さの点からアミノ基が最
も好ましい。
【0023】不織布にアミノ基を導入するには種々のも
のが挙げられるが、たとえばPP,PEの場合には、あ
らかじめアミノ基を有するビニル化合物たとえば化1お
よび化2で表わされるような化合物を共重合して不織布
を製造する方法がある。またこれらの素材に電子線,紫
外線またはオゾンを照射してラジカルやイオンを発生さ
せ、化1または化2のようなアミノ基を有するビニル化
合物をグラフト重合させる方法がある。この場合他のビ
ニルモノマーを共存させてもよい。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】 化1、化2においてR1 は水素原子またはメチル基を、
2,R3 は水素原子またはメチル基であり、少なくとも
一方が水素原子であることを示し、nは1ないし5の数
である。
【0026】上記のようにして得たアミノ基を含有する
不織布を上記化合物1と適当な溶媒中で反応させること
により上記官能基1の導入が可能である。ここでハロゲ
ン原子Xはいずれでも可能であるが、反応効率や副反応
の少なさなどを考慮するとBr,Iが好ましく、Brが
より好ましい。同様にnの値は1ないし10が適当であ
るが、1ないし5がより好ましい。
【0027】綿やレーヨンの場合には過ヨウ素酸により
酸化してそのグリコール部位を開裂させてアルデヒド基
を導入して、さらにアンモニア,エチレンジアミン,ヘ
キサメチレンジアミン,ポリエチレンイミンのような少
なくとも一級のアミノ基を1個以上有する化合物を反応
させてシッフ塩基を形成し、これを還元してアミノ基を
導入した後、化合物1と適当な溶媒中で反応させること
により官能基1を導入するのがよい。なおポリエチレン
イミンを用いる場合の分子量は100ないし100万が
好ましく、200ないし10万がより好ましい。
【0028】さらに電子線照射により官能基1を導入す
る方法としては、化合物1をあらかじめ上記のような一
級のアミノ基を含有する化合物と反応させて得られた化
合物を化3に示すようなビニル化合物を直接または適当
な溶媒に溶解した後乾燥させ電子線を照射する方法があ
る。この際にビニル化合物の沸点が低いと乾燥条件で蒸
発しグラフト量の制御が困難であり、この場合には高沸
点化合物と混合して塗布し蒸発を抑えることが好まし
い。混合する高沸点溶媒としてはエチレングリコール,
ジエチレングリコール,重合度10以下のポリエチレン
グリコール,グリセリンなどの多価アルコール類が特に
好ましい。
【0029】
【化3】 化3において、R1,R2,R3 は水素原子またはメチル基
を示し、nは1ないし300の整数である。
【0030】またグラフト効率を向上させるために、多
官能性の架橋性ビニル化合物と混合して用いることが好
ましい。これらの架橋性ビニル化合物としては、メチレ
ンビスアクリルアミド,トリメチロールプロパンジアク
リレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,
テトラメチロールメタンテトラアクリレート,トリアリ
ルイソシアヌレートまたは化3のようなビニル基を複数
個有するモノマーが挙げられる。架橋性ビニル化合物の
うち化3を用いた場合グラフト効率が高く、またスペー
サー効果もあり特に好ましい。化3におけるnの値は1
ないし150であることが好ましく、5ないし50であ
ることがより好ましい。
【0031】またグラフト効率を向上させるために、多
官能性の架橋性ビニル化合物と混合して用いることが好
ましい。これらの架橋性ビニル化合物としては、メチレ
ンビスアクリルアミド,トリメチロールプロパンジアク
リレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,
テトラメチロールメタンテトラアクリレート,トリアリ
ルイソシアヌレートのようなビニル基を複数個有するモ
ノマーが挙げられる。
【0032】これらの化合物を塗布するのに用いる溶媒
は架橋性化合物と目的の官能基を有する化合物の両方を
溶解するものであればすべて使用できるが、水,メタノ
ール,エタノール,塩化メチレン,クロロホルム,アセ
トン,ジオキサン,テトラヒドロフランまたはこれらの
混合溶媒を用いることが可能である。上記官能基を有す
る化合物と架橋性化合物との混合比は50:1ないし
1:50、好ましくは30:1ないし1:30である。
この場合に用いられる不織布の素材としてはPET,P
E,レーヨンおよび綿が好ましく、特にPETが好まし
い。照射線量は1ないし20Mradが好ましく、2な
いし10Mradがさらに好ましい。
【0033】このようにして導入される官能基1の含量
は1μeq/gないし5meq/g、好ましくは10μ
eq/gないし3meq/g、さらに好ましくは30μ
eq/gないし2meq/gである。こうして導入され
た官能基1のペプチド固定化後の残存量は、血小板のよ
うな血球成分の粘着を抑えるためには0.1μeq/g
ないし1meq/gであり、好ましくは0.5μeq/
gないし0.5meq/g、さらに好ましくは1μeq
/gないし0.3meq/gである。
【0034】こうして得られた不織布は血小板,白血球
などの粘着が少なく、血液の補体活性や凝固因子活性も
抑制されている。したがって抗血小板抗体の吸着除去に
際し血漿と血球成分とを分離した後血漿から抗体を吸着
して血漿と血球成分を再混合して患者に返す必要がなく
全血処理により一段階で抗体を吸着することができる。
この際の不織布の充填密度は0.6g/ml以下が好ま
しく、0.4g/ml以下がより好ましい。
【0035】上記官能基の導入された不織布への抗血小
板抗体との結合性を有する上記のようなペプチド類の固
定化については、pH8ないし10の緩衝液中で反応さ
せることにより容易に行なうことができる。この場合リ
ガンドに用いるペプチドや修飾ペプチドは比較的安定で
低分子量の物質であり、たとえば酵素や抗体のような高
分子量のタンパク質を固定化する場合と比較してその固
定化反応条件は制約が少なくなることも有利な要因の一
つである。
【0036】通常は立体障害を小さくすることにより抗
体の吸着効率,結合性を向上させ、また非特異的吸着を
抑えることを目的として、親水性スペーサーを導入し
て、その末端にペプチド類を固定化するのが好ましい。
親水性スペーサーとしては導入した官能基を利用できる
ものが好ましく、両末端にアミノ基またはカルボキシル
基を有するポリエチレングリコールを用いることが好ま
しいが、反応収率やその条件のマイルドな点からアミノ
基の方がより好ましい。この場合のポリエチレングリコ
ールの分子量は100ないし20000、好ましくは2
00ないし10000、さらに好ましくは500ないし
5000である。
【0037】両末端にアミノ基あるいはカルボキシル基
を有するポリエチレングリコール(以下それぞれPEO
アミンおよびPEO酸と言う)を用いる場合、まず不織
布の官能基と適当な溶媒中にて反応させることにより結
合させ、次にもう一方のアミノ基あるいはカルボキシル
基とペプチドのカルボキシル基またはアミノ基末端を縮
合剤の存在下に縮合させてアミド基を介した固定化を行
なう。
【0038】しかし上記のようにして得た不織布におい
ては、グラフトされたこれらの誘導体ポリマー自体が親
水性スペーサーの役割を果たしており、このことからも
好ましいものである。すなわちグラフトされたこれらの
誘導体ポリマーのハロアルキル基とペプチドのアミノ基
末端を上記の方法により脱ハロゲン化水素させることに
よる固定化が他の方法と比較して有利である。
【0039】
【実施例】本発明におけるペプチド類の目的の官能基を
導入した不織布への導入方法は上記に述べたものを基本
とすれば特に限定されるものではない。以下に実施例を
用いて本発明を説明する。
【0040】<実施例1> Thr−Ile−Ser−
Cys−Lys−Ala−Ser−Gln−Ser−V
al−Asp−Tyr−Asp−Gly−Asp−Se
r−Tyr−Met−Asnの不織布への固定化 (1)ペプチドの合成 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における20ないし3
8番目までに相当する領域であるThr−Ile−Se
r−Cys−Lys−Ala−Ser−Gln−Ser
−Val−Asp−Tyr−Asp−Gly−Asp−
Ser−Tyr−Met−Asnの配列を有するペプチ
ドの合成をペプチドシンセサイザーModel430A
(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて固相合成
法により行なった。C末端のアスパラギンの結合した支
持体であるPAMアスパラギン(t−Boc−L−As
n)0.5mmol(アプライドバイオシステムズ社
製)を用いて、N末端の方向に順に上記ペプチドシンセ
サイザーに掲載されている合成プログラムにより脱保護
基反応および縮合反応を繰返してペプチド鎖を延長し
た。すなわちTFAおよびジクロロメタン(以下DCM
と言う)により保護基であるt−ブトキシカルボニル基
の除去を行ない、DCMで洗浄し、ジイソプロピルエチ
ルアミンおよびDCMで中和した後、ジメチルホルムア
ミド(以下DMFと言う)で洗浄しDCCで縮合反応を
行ない、DCMで洗浄する操作を繰返した。アミノ酸は
t−Boc−L−Thr(Bzl),t−Boc−L−
Ile・1/2H2 O,t−Boc−L−Ser(Bz
l),t−Boc−L−Lys(Cl−Z),t−Bo
c−L−Ala,t−Boc−L−Gln,t−Boc
−L−Val,t−Boc−L−Asp(OBzl),
t−Boc−L−Tyr(Br−Z),t−Boc−L
−Gly,t−Boc−L−Met(いずれもアプライ
ドバイオシステムズ社製)の2.0mmolのカートリ
ッジを用いた。
【0041】(2)脱保護基,ペプチド鎖の切断 上記の反応が終了した支持体1gにチオアニソール1m
l,1,2−エタンジチオール0.5mlを加えて10
分間攪拌した後、氷水で冷やしながらTFA10mlを
加えて10分間攪拌した。さらにTFMSA1mlを加
えて室温で30分間攪拌した。これにあらかじめ冷やし
ておいたジエチルエーテルを沈殿が現れなくなるまで加
えて攪拌し、ミディアム孔のガラスフィルターを用いて
ジエチルエーテルで共洗いしながら濾過し、TFAを加
えてペプチドを溶解してエーテル中に捕集した。エーテ
ル中のペプチドをファイン孔のガラスフィルターで濾過
し、ガラスフィルター上のペプチドを2N酢酸に溶解し
て、凍結乾燥を行ないクルードペプチドを得た。
【0042】(3)ペプチドの精製 上記クルードペプチドを再度2N酢酸に溶解して、0.
2μmのメンブレンフィルターで濾過した溶液をHPL
Cに供した。HPLCはModel130Aシステム
(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、カラムは
逆相系のAquapore Prep−10,C8(ア
プライドバイオシステムズ社製)を用いた。移動相は
0.1%TFAを含む水をA液,0.1%TFAを含む
70%アセトニトリル/水(v/v)をB液として、A
液からB液への濃度直線勾配により溶出した。クロマト
ピークはほぼ単一なものが得られ、相当画分を分取し
た。分取を数回繰返し、これを凍結乾燥することにより
精製ペプチドを得た。得られたペプチドはBIOION
20マスアナライザー(アプライドバイオシステムズ社
製)により解析して目的ペプチドが得られていることを
確認した。
【0043】(4)不織布の改質 テトラエチレンペンタミン3.8gをジオキサン100
mlに溶解し、窒素気流下攪拌しながら氷冷した。一方
化合物1におけるXがBrでありnが1であるブロモア
セチルブロミド20.1gをジオキサン30mlに溶解
し20分間で滴下して、氷冷下20分間反応し、40℃
で1時間、60℃で2時間反応させた後、生成した沈殿
を濾過した。さらにこの沈殿物をジオキサンで洗浄した
後、減圧乾燥した(得られた沈殿物を化合物2とす
る)。
【0044】化3においてR1,R2,R3 が水素原子であ
りnの値が9であるポリエチレンジアクリレート(CH
2 =CH−COO−(CH2 CH2 O)9 −OC−CH
2 =CH2 )1gを500mgの上記化合物2とともに
200mlのメタノールに溶解し、15cm平方の大き
さに切断した繊維径3.5μmのPET製不織布をこの
溶液に浸した後、5Mradずつ合わせて10Mrad
の電子線を不織布の両面に照射した。電子線照射の終了
した不織布を水およびメタノールで3回ずつ洗浄を行な
い風乾した。得られた不織布の官能基1の含量は元素分
析によりBr含量を求めることにより算出したところ
0.13meq/gであった。
【0045】(5)ペプチドの不織布への導入 (3)で得た精製ペプチド25mgをpH8.5のリン
酸緩衝液に溶解した後、上記の改質した不織布を加え
て、室温で24時間振盪して反応させた。反応の終了し
た不織布を水で3回洗浄して、目的である捕集材を得
た。ペプチドの固定化率は反応残液中の窒素含量をマイ
クロケルダール法により定量して算出し71%が導入さ
れていた。
【0046】(6)ペプチド固定化捕集材の性能評価 上記捕集材のCD4+細胞との結合性をヒト血液を用い
て評価した。一辺7cmの菱形のポリカーボネート製モ
ジュールケースの形状およびその大きさに切断した上記
捕集材を20枚充填したカラムを組立て、100U/m
lのヘパリンを含む生理食塩水100ml、次いで1U
/mlのヘパリンを含む生理食塩水100mlでカラム
内および血液回路内を洗浄した。一方クエン酸を添加し
たヒト血液100mlをビーカーに取り、カラムを通し
て再びビーカーに戻すような血液回路を組み、この装置
を用いて血液流量30ml/分で1時間連続して潅流実
験を行なった。
【0047】本処理を行なう前後の血清中のCD4+細
胞およびCD8+細胞数の変化をフローサイトメトリー
法により定量した。細胞はFicoll−Conray
法により調製を行ない、フルオレセインイソチオシアネ
ートで標識したLeu3aおよびLeu2a抗体を用い
て実施した。またフローサイトメトリーはEPICS−
PROFILE2(コールター社製)を用いた。結果は
表1に示す通りであり、本処理を行なう前と比較した各
細胞数の減少率[%]で示した。またアルブミンの非特
異的吸着に関しても、アルブミンBーテストワコー(和
光純薬工業製)を用いて定量した。結果は表1に示す通
りであり吸着率[%]で示した。また血小板の粘着性に
ついても本処理を行なう前後の血小板数をコールターカ
ウンターZM型(コールターエレクトロニクス社製)を
用いて定量することにより調べた。結果は表1に示す通
りであり血小板数の減少率[%]で示した。
【0048】
【表1】
【0049】<実施例2> Gln−Pro−Pro−
Lys−Leu−Leu−Ile−Tyr−Ala−A
la−Ser−Asn−Leu−Glu−Serの不織
布への固定化 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における46ないし6
0番目までに相当する領域であるGln−Pro−Pr
o−Lys−Leu−Leu−Ile−Tyr−Ala
−Ala−Ser−Asn−Leu−Glu−Serの
配列を有するペプチドの合成に関してもPAMセリン
(t−Boc−L−Ser(Bzl))(アプライドバ
イオシステムズ社製)およびt−Boc−L−Gln,
t−Boc−L−Pro,t−Boc−L−Lys(C
l−Z),t−Boc−L−Leu・H2 O,t−Bo
c−L−Ile・1/2H2 O,t−Boc−L−Ty
r(Br−Z),t−Boc−L−Ala,t−Boc
−L−Ser(Bzl),t−Boc−L−Glu(O
Bzl)(いずれもアプライドバイオシステムズ社製)
を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終了し
た支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系HPL
Cによる精製および同定についても実施例1と同様にし
て行なった。
【0050】実施例1と同じ方法により官能基1を導入
した不織布(導入量0.11meq/g)に上記ペプチ
ドの固定化を実施例1と同様にして行ない、目的である
捕集材を得た。ペプチドの固定化率は反応残液中の窒素
含量をマイクロケルダール法により定量して算出し70
%が導入されていた。得られた捕集材の性能評価を実施
例1と同様にして、カラムを組立てた後ヒト血液を用い
た潅流実験により行なった。処理後の血清中のCD4+
細胞,CD8+細胞の量およびアルブミン量を実施例1
と同様にして定量した。結果を表1に減少率[%]で示
した。血小板粘着性についても実施例1と同様に検討し
た結果を表1に血小板数の減少率[%]で示した。
【0051】<実施例3> Glu−Gly−Thr−
Ala−Thr−Tyr−Tyr−Cys−Gln−G
ln−Ser−Tyr−Glu−Asp−Pro−Pr
o−Thrの不織布への固定化 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における85ないし1
01番目までに相当する領域であるGlu−Gly−T
hr−Ala−Thr−Tyr−Tyr−Cys−Gl
n−Gln−Ser−Tyr−Glu−Asp−Pro
−Pro−Thrの配列を有するペプチドの合成に関し
てもPAMトレオニン(t−Boc−L−Thr(Bz
l))(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−
Boc−L−Glu(OBzl),t−Boc−L−G
ly,t−Boc−L−Thr(Bzl),t−Boc
−L−Ala,t−Boc−L−Tyr(Br−Z),
t−Boc−L−Cys(4CH3 Bzl),t−Bo
c−L−Gln,t−Boc−L−Ser(Bzl),
t−Boc−L−Asp(OBzl),t−Boc−L
−Pro(いずれもアプライドバイオシステムズ社製)
を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終了し
た支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系HPL
Cによる精製および同定についても実施例1と同様にし
て行なった。
【0052】化3においてR1,R2,R3 が水素原子であ
りnの値が9であるポリエチレンジアクリレート(CH
2 =CH−COO−(CH2 CH2 O)9 −OC−CH
2 =CH2 )600mgおよび分子量10000のポリ
エチレンイミン500mgを200mlのメタノールに
溶解し、15cm平方の大きさに切断した繊維径3.5
μmのPET製不織布をこの溶液に浸した後、5Mra
dずつ合わせて10Mradの電子線を不織布の両面に
照射した。電子線照射の終了した不織布を水およびメタ
ノールで3回ずつ洗浄を行ない風乾した。得られた不織
布のアミノ基含量の定量は塩酸による電位差滴定をCO
MTITE101(平沼産業製)を用いて行ない0.2
8meq/gであった。
【0053】さらにブロモアセチルブロミド3.0gを
無水ジオキサン100mlに溶解し、改質不織布30枚
を加えて室温で振盪させることにより24時間反応させ
た。反応終了後不織布を水およびメタノールで3回洗浄
を行ない風乾した。得られた不織布の官能基1の含量は
元素分析によりBr含量を求めることにより算出したと
ころ0.14meq/gであった。
【0054】上記ペプチド25mgを実施例1と同様に
して固定化を行ない、目的である捕集材を得た。ペプチ
ドの固定化率は反応残液中の窒素含量をマイクロケルダ
ール法により定量して算出し72%が導入されていた。
得られた捕集材の性能評価を実施例1と同様にして、カ
ラムを組立てた後ヒト血液を用いた潅流実験により行な
った。処理後の血清中のCD4+細胞,CD8+細胞の
量およびアルブミン量を実施例1と同様にして定量し
た。結果を表1に減少率[%]で示した。血小板粘着性
についても実施例1と同様に検討した結果を表1に血小
板数の減少率[%]で示した。
【0055】<実施例4> Tyr−Phe−Cys−
Ala−Arg−Arg−Gly−Lys−Gly−T
hrの不織布への固定化 抗Leu3抗体の重鎖の可変領域における94ないし1
03番目までに相当する領域であるTyr−Phe−C
ys−Ala−Arg−Arg−Gly−Lys−Gl
y−Thrの配列を有するペプチドの合成に関してもP
AMトレオニン(t−Boc−L−Thr(Bzl))
(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−Boc
−L−Tyr(Br−Z),t−Boc−L−Phe,
t−Boc−L−Cys(4CH3 Bzl),t−Bo
c−L−Ala,t−Boc−L−Arg(Tos),
t−Boc−L−Gly,t−Boc−L−Lys(C
l−Z),(いずれもアプライドバイオシステムズ社
製)を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終
了した支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系H
PLCによる精製および同定についても実施例1と同様
にして行なった。
【0056】実施例3と同じ方法により官能基1を導入
した不織布(導入量0.15meq/g)に上記ペプチ
ドの固定化を実施例1と同様にして行ない、目的である
捕集材を得た。ペプチドの固定化率は反応残液中の窒素
含量をマイクロケルダール法により定量して算出し71
%が導入されていた。得られた捕集材の性能評価を実施
例1と同様にして、カラムを組立てた後ヒト血液を用い
た潅流実験により行なった。処理後の血清中のCD4+
細胞,CD8+細胞の量およびアルブミン量を実施例1
と同様にして定量した。結果を表1に減少率[%]で示
した。血小板粘着性についても実施例1と同様に検討し
た結果を表1に血小板数の減少率[%]で示した。
【0057】
【比較例】
<比較例1> Thr−Ile−Ser−Cys−Ly
s−Ala−Ser−Gln−Ser−Val−Asp
−Tyr−Asp−Gly−Asp−Ser−Tyr−
Met−Asnの不織布への固定化 実施例1で得たThr−Ile−Ser−Cys−Ly
s−Ala−Ser−Gln−Ser−Val−Asp
−Tyr−Asp−Gly−Asp−Ser−Tyr−
Met−Asnの綿不織布への導入を次のようにして実
施した。15cm平方の大きさに切断した繊維径12μ
mの綿不織布30枚に、1wt%濃度の過ヨウ素酸ナト
リウムを1N硫酸に溶解した溶液500ml中に加えて
振盪により22時間反応させた。反応終了後不織布を水
で3回洗浄してアルデヒド基を導入した。アルデヒド含
量はオキシム法により定量を行ない0.50meq/g
であった。
【0058】上記ペプチド25mgをpH9.5の炭酸
緩衝液200mlに溶解して上記不織布を加え振盪によ
り24時間反応させた。反応終了後不織布を水で3回洗
浄した後pH9.0の炭酸緩衝液200ml中に加え、
さらに水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4 )1gを加
えて振盪により20時間反応させた。反応終了後不織布
を水で3回洗浄して目的である捕集材を得た。ペプチド
の固定化率は反応残液中の窒素含量をマイクロケルダー
ル法により定量して算出し75%が導入されていた。得
られた捕集材の性能評価を実施例1と同様にして、カラ
ムを組立てた後ヒト血液を用いた潅流実験により行なっ
た。処理後の血清中のCD4+細胞,CD8+細胞の量
およびアルブミン量を実施例1と同様にして定量した。
結果を表1に減少率[%]で示した。血小板粘着性につ
いても実施例1と同様に検討した結果を表1に血小板数
の減少率[%]で示した。
【0059】<比較例2> Ser−Leu−Ala−
Val−Ser−Leu−Gly−Gln−Arg−A
la−Thrの不織布への固定化 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における10ないし2
0番目までに相当する領域であるSer−Leu−Al
a−Val−Ser−Leu−Gly−Gln−Arg
−Ala−Thrの配列を有するペプチドの合成に関し
て、PAMトレオニン(t−Boc−L−Thr(Bz
l))(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−
Boc−L−Ser(Bzl),t−Boc−L−Le
u・H2O,t−Boc−L−Ala,t−Boc−L
−Val,t−Boc−L−Gly,t−Boc−L−
Gln,t−Boc−L−Arg(Tos)(いずれも
アプライドバイオシステムズ社製)を用いて実施例1と
同様にして実施した。このペプチド領域も親水性の比較
的大きな領域である。合成の終了した支持体の脱保護
基,ペプチド鎖の切断,逆相系HPLCによる精製およ
び同定についても実施例1と同様にして行なった。
【0060】比較例1と同様の方法により、綿不織布に
上記ペプチドの導入を行なった。ペプチドの固定化率は
実施例1と同様にして求め72%が導入されていた。得
られた捕集材の性能評価を実施例1と同様にして、カラ
ムを組立てた後ヒト血液を用いた潅流実験により行なっ
た。処理後の血清中のCD4+細胞,CD8+細胞の量
およびアルブミン量を実施例1と同様にして定量した。
結果を表1に減少率[%]で示した。血小板粘着性につ
いても実施例1と同様に検討した結果を表1に血小板数
の減少率[%]で示した。
【0061】
【発明の効果】本発明により血液中のCD4+細胞と効
果的に結合させることが可能であり、体外循環療法など
により生体内の免疫系バランスを制御することにより種
々の自己免疫疾患の治療へ適用することが可能である。
本発明におけるCD4+細胞捕集材を用いた血液浄化療
法は他と比較しても副作用もなく安全であり、保存によ
る安定性の面でも非常に優れている。不織布を利用する
ことにより従来のような血漿分離を必要としない全血処
理による体外循環が可能であることも大きな特徴であ
る。またエポキシ基が存在することによりリガンドであ
るペプチド類の導入も容易である。さらにはオートクレ
ーブ処理による蒸気滅菌を行なってもリガンドとしての
活性の低下がほとんどない点でも医療機材として有利で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に式:−CO−(CH2 n −X
    (XはCl,Br,Iいずれかの原子,nは1ないし1
    0の整数を表わす)で示されるような官能基の導入され
    た、平均繊維径が1ないし30μmである不織布に、抗
    CD4抗体における重鎖または軽鎖の可変領域を構成し
    ているアミノ酸配列中の相補性決定領域を形成しうるア
    ミノ酸配列のペプチドまたはその修飾ペプチドを固定化
    したことを特徴とするCD4陽性細胞捕集材。
  2. 【請求項2】 請求項第1項記載の修飾ペプチドが、抗
    CD4抗体の重鎖または軽鎖の可変領域を構成するアミ
    ノ酸配列において相補性決定領域を形成している領域の
    うちの少なくとも1つを含んでおり、その両端または片
    端がアミノ酸,ペプチドまたは−A−(CH2 n −B
    −(A,BはNHまたはCO,nは1ないし20の整
    数)で示されるもののいずれかがペプチド結合により結
    合しているもので、全アミノ酸残基数が70個以内であ
    ることを特徴とするCD4陽性細胞捕集材。
JP5057206A 1993-03-17 1993-03-17 Cd4陽性細胞捕集材 Pending JPH06269663A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0730609A4 (en) * 1993-09-07 2000-05-10 Smithkline Beecham Corp RECOMBINANT IL4 ANTIBODIES USEFUL IN THE TREATMENT OF IL4 RELEASING DISEASES
WO2008001802A1 (fr) 2006-06-27 2008-01-03 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Substrat pour traitement de fluide biologique

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0730609A4 (en) * 1993-09-07 2000-05-10 Smithkline Beecham Corp RECOMBINANT IL4 ANTIBODIES USEFUL IN THE TREATMENT OF IL4 RELEASING DISEASES
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