JP3574471B2 - 抗表皮細胞間抗体結合性ペプチドおよび吸着剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はペプチドおよびこれを担体上に固定化してなる吸着剤に関する。本発明によって提供されるペプチドは、抗表皮細胞間抗体と特異的に結合する能力を有しているので、該ペプチドを担体上に固定化してなる吸着剤は、抗表皮細胞間抗体が関与している疾患の治療に有用である。
抗表皮細胞間抗体は主として天疱瘡などの自己免疫疾患の患者体液中に検出される。抗表皮細胞間抗体は表皮細胞間に沈着して水泡形成を引き起こし、天疱瘡の原因または進行と密接な関係をもっていると推定されている。したがって、血液、血漿などの体液から抗表皮細胞間抗体を除去することは、天疱瘡などの自己免疫疾患の疾患を治療する上で有用である。
【0002】
【従来の技術】
自己免疫疾患用の吸着剤としては、プロテインAをシリカマトリックス上に固定化してなる免疫吸着剤(特開昭62−242628号公報参照)、疎水性化合物を不溶性担体上に固定化してなる免疫吸着剤(特開昭57−122875号公報参照)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開昭62−242628号公報に記載されているプロテインA固定化免疫吸着剤は、血液、血漿などの体液から自己抗体を含む免疫グロブリンおよび免疫複合体を吸着除去するが、自己抗体のみを選択的に吸着除去する能力を有しておらず、人体にとって有用な免疫グロブリンをも吸着除去してしまう。また、プロテインAは黄色ブドウ球菌由来の生理活性タンパク質であり、▲1▼製品コストがかかること、▲2▼担体上への固定化時、滅菌時、固定化後の保存時の取り扱い条件によっては生理活性の失活を起こし易いこと、▲3▼血液、血漿などの体液と接触させて使用する際にプロテインAが溶出した場合、溶出したプロテインAが人体に対して重篤な症状を引き起こす恐れがあることなどの欠点がある。
同様に、特開昭57−122875号公報に記載されている疎水性化合物を不溶性担体上に固定化してなる免疫吸着剤も、自己抗体のみを選択的に吸着除去する能力を有しておらず、人体に有用な免疫グロブリンをも吸着除去してしまう。
【0004】
このように、従来知られている免疫吸着剤では、抗表皮細胞間抗体のみを選択的に吸着除去する能力を有しておらず、抗表皮細胞間抗体に起因している自己免疫疾患の治療に有用な吸着剤は得られていなかった。
【0005】
本発明の1つの目的は、抗表皮細胞間抗体と特異的に結合する能力を有するが、人体にとって有用な成分とは結合しないペプチドを提供することにある。本発明の他の1つの目的は、血液、血漿などの体液より抗表皮細胞間抗体を選択的に吸着除去可能な吸着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、下記の式(2)〜(4)で表されるアミノ酸配列のペプチドを提供することによって達成され、また、他の目的は、該ペプチドを担体上に固定化してなる吸着剤を提供することによって達成される。
【0007】
式(2): Val Gly Ile Asp Gln Pro Pro Phe Gly Ile Phe Val Val Asp Lys Asn Thr Gly Asp (配列番号:2)
式(3): Lys Lys Val Gly Ile Asp Gln Pro Pro Phe Gly Ile Phe Val Val Asp Lys Asn Thr Gly Asp (配列番号:3)
式(4): Asp Lys Asn Thr Gly Asp Ile Asn Ile Thr Ala Ile Val Asp Arg Glu Glu (配列番号:4)
【0008】
本明細書においては各種アミノ酸残基を次の略号で記述する。
Ala: L−アラニン残基 Arg: L−アルギニン残基
Asp: L−アスパラギン酸残基 Asn: L−アスパラギン残基
Cys: L−システイン残基 Glu: L−グルタミン酸残基
Gln: L−グルタミン残基 Gly: グリシン残基
His: L−ヒスチジン残基 Ile: L−イソロイシン残基
Leu: L−ロイシン残基 Lys: L−リジン残基
Met: L−メチオニン残基 Phe: L−フェニルアラニン残基
Pro: L−プロリン残基 Ser: L−セリン残基
Thr: L−スレオニン残基 Trp: L−トリプトファン残基
Tyr: L−チロシン残基 Val: L−バリン残基
また本明細書においては、常法に従ってペプチドのアミノ酸配列を、そのN末端のアミノ酸残基が左側に位置し、C末端のアミノ酸残基が右側に位置するように記述する。
【0009】
本発明のペプチドは、前記の式(2)〜(4)で表されるアミノ酸配列のペプチドであり、構成アミノ酸残基の側鎖を化学修飾したもの、あるいは相同的アミノ酸と置換されたものであってもよい。
【0012】
本発明のペプチドの合成は、ペプチド合成において通常用いられる方法、例えば固相合成法、または段階的伸長法、フラグメント縮合法のような液相合成法により行われるが、固相合成法により行うのが操作上簡便である〔例えば、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(Journal of the American Chemical Society)、第85巻、第2149〜2154頁(1963年);日本生化学会編「生化学実験講座1タンパク質の化学IV 化学修飾とペプチド合成」(昭和52年11月15日、(株)東京化学同人発行)、第207〜495頁;日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパク質の化学(下)」(昭和62年5月20日、(株)東京化学同人発行)、第641〜694頁参照〕。
【0013】
本発明のペプチドの固相合成法による製造は、例えば、反応溶媒に不溶性であるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの重合体に、目的とするペプチドのC末端側からN末端方向に向かって、対応するアミノ酸を該アミノ酸が有するα−カルボキシル基以外のα−アミノ基などの官能基を保護したうえで縮合させて結合させる操作と、該結合したアミノ酸におけるα−アミノ基などのペプチド結合を形成するアミノ基が有する保護基を除去する操作を順次繰返すことによってペプチド鎖を伸長させ、目的とするペプチドに対応するペプチド鎖を形成し、次いで該ペプチド鎖を重合体から脱離させ、かつ保護されている官能基から保護基を除去することにより目的とするペプチドを得ることができる。必要に応じてこのペプチドをさらに精製することにより純度の高いものが得られる。ペプチドの精製は逆相高速液体クロマトグラフィーで行うのが効果的である。
【0014】
本発明のペプチドを担体上に固定化することにより得られる吸着剤は、抗表皮細胞間抗体が関与する疾病患者の、血液、血漿などの体液中の抗表皮細胞間抗体を選択的に吸着除去することができる。本発明のペプチドを固定化する際に使用する担体としては、親水性の表面を有し、かつペプチドとの間で共有結合を形成させるために利用し得るアミノ基、カルボキシル基、水酸基などの反応性の官能基を有するものが好ましい。また、上記の担体は血液、血漿などの体液に不溶性であり、多孔性であるものが好ましい。抗表皮細胞間抗体を吸着させ得る有効表面積が広い多孔性の担体としては、排除限界タンパク質分子量が約106〜109の範囲内であるか、または平均細孔径が約50〜1000nmの範囲内であるものを使用するのが好ましい。担体は粒子状、繊維状、シート状、中空糸状などの任意の形状であることができる。
【0015】
かかる担体としては、例えば、CM−セルロファインC−500(排除限界タンパク質分子量:約1.5×106、生化学工業(株)販売)などのセルロース系担体、CM−トヨパール650C(排除限界タンパク質分子量:5×106、東ソー(株)製)などのポリビニルアルコール系担体、CM−トリスアクリルM(CM−Trisacryl M)〔排除限界タンパク質分子量:1×107、スウェーデン国ファルマシア−LKB(Pharmacia−LKB)社製〕などのポリアクリルアミド系担体、セファロースCL−4B(SepharoseCL−4B)〔排除限界タンパク質分子量:2×107、スウェーデン国ファルマシア−LKB(Pharmacia−LKB)社製〕などのアガロース系担体などの有機質担体、およびCPG−10−1000〔排除限界タンパク質分子量:1×108、平均細孔径:100nm、米国エレクトロ−ニュークレオニクス(Electro−nucleonics)社製〕などの多孔性ガラスなどの無機質担体が挙げられる。
【0016】
本発明のペプチドの担体上への固定化は、一般にペプチドまたはタンパク質を担体上に固定化する場合に採用される方法に従って行われる。その固定化方法としては、例えば、担体が有するカルボキシル基をN−ヒドロキシコハク酸イミドと反応させることによって、スクシンイミドオキシカルボニル基に変換し、これにペプチドをアミノ基の部分で反応させる方法(活性エステル法)、担体が有するアミノ基またはカルボキシル基にジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合試薬の存在下で、ペプチドのカルボキシル基またはアミノ基を縮合反応させる方法(縮合法)、担体とペプチドとをグルタルアルデヒドなどの2個以上の官能基を有する化合物を用いて架橋する方法(担体架橋法)などが挙げられる。なかでも、活性エステル法による固定化方法が、ペプチドと抗表皮細胞間抗体との結合能力をほとんど低下させることなく、該ペプチドを担体上に固定化することが可能なため好ましい。
【0017】
本発明のペプチドの担体上への固定化量としては、得られる吸着剤が抗表皮細胞間抗体の有意量を効果的に吸着し得るためには、通常約3×10−8 モル/g(担体)以上であることが好ましく、担体上に固定化された本発明のペプチドが抗表皮細胞間抗体の吸着に有効に利用されるためには、約1×10−7〜5×10−5 モル/g(担体)の範囲内であるのがより好ましい。
【0018】
抗表皮細胞間抗体の除去は、本発明のペプチドを担体上に固定化して得られる吸着剤を、抗表皮細胞間抗体を含有する血液、血漿などの体液と接触させて、吸着剤に抗表皮細胞間抗体を吸着させることによって行われる。例えば、吸着剤はカラムに充填して使用する。この目的で使用するカラムは、血液回路と容易に接続し得る形状の入口部と出口部を有し、かつ入口部と吸着剤層の間および出口部と吸着剤層の間にそれぞれポリエステルなどの材質のフィルターを備えていることが望ましい。
【0019】
カラムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレートなどが例示される。これらのうちポリプロピレンおよびポリカーボネートのカラムが、オートクレーブ滅菌、γ−線滅菌などの滅菌処理に付することができる点において特に好適である。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。なお、実施例中のペプチド合成の縮合反応において、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、グリシン、L−イソロイシン、L−リジン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−スレオニン、L−バリン、L−アラニン、L−アルギニンおよびL−グルタミン酸のアミノ酸は、それぞれ9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−アスパラギン酸−β−t−ブチルエステル、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−アスパラギン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−グルタミン、9−フルオレニルメトキシカルボニルグリシン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−イソロイシン、N↑α−9−フルオレニルメトキシカルボニル−N↑ε−t−ブチルオキシカルボニル−L−リジン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−フェニルアラニン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−プロリン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−O−t−ブチル−L−スレオニン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−バリン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−アラニン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−N−4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル−L−アルギニンおよび9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−グルタミン酸−γ−t−ブチルエステルとして用い、それらの使用量は基質に対して約2倍モル量とした。
【0021】
実施例1
式(2):Val Gly Ile Asp Gln Pro Pro Phe Gly Ile Phe Val Val Asp Lys Asn Thr Gly Asp(配列番号:2)で表されるペプチドを、ペプチド自動合成装置〔米国アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製モデル430A(Model 430A)〕を用いて固相合成法により合成した。4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル基を0.85ミリモル/g(樹脂)の割合で有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体〔スチレンとジビニルベンゼンの構成比(モル比):99対1〕からなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製HMPレジン〕を0.29g用い、これに表1に示す一連の操作に従って、目的とするペプチドのC末端側からN末端方向に向かって、対応する順序でアミノ酸を結合させた。
【0022】
【表1】
【0023】
全てのアミノ酸についての反応操作が終了した後、得られた樹脂をグラスフィルター上でジクロロメタンおよびメタノールを用いて順次洗浄し、次いで真空乾燥することによって600mgの乾燥樹脂を得た。バイアル瓶中で、乾燥樹脂600mgとトリフルオロ酢酸10ml、水0.5ml、チオアニソール0.5ml、エタンジチオール0.25mlおよびフェノール0.75gを混合した。室温で2時間放置後、混合物をグラスフィルターで濾過し、濾液にジエチルエーテルを加え、遠心することにより白い沈殿物を得た。得られた沈殿物を真空乾燥した後、2規定の酢酸水溶液で抽出し、抽出液を凍結乾燥することによりペプチドを得た。
得られたペプチドを分析用高速液体クロマトグラフィー〔カラム:粒径5μmのオクタデシル化シリカゲル充填カラム(内径:4.6mm、長さ:100mm、東ソー(株)製 TSKgel ODS−80TMCTR);移動相:トリフルオロ酢酸を0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶媒(アセトニトリルの濃度は30分間で5容量%から50容量%になるように漸次変化させた。);流速:1ml/分;検出法:波長210nmにおける吸光度〕に付したところ、21.9分に単一の鋭いピークが示された。FAB(高速原子衝撃)法マススペクトルにより求めたペプチドの分子量は2018であった(理論値2018.22)。
【0024】
実施例2
実施例1と同様な方法で、式(3):Lys Lys Val Gly Ile Asp Gln Pro Pro Phe Gly Ile Phe Val Val Asp Lys Asn Thr Gly Asp(配列番号:3)で表されるペプチドの固相合成を行った。得られたペプチドを分析用逆相高速液体クロマトグラフィーに付したところ、19.9分に単一のピークが示された。FAB(高速原子衝撃)法マススペクトルにより求めたペプチドの分子量は、2275(理論値は2274.56)であった。
【0025】
実施例3
実施例1と同様な方法で、式(4):Asp Lys Asn Thr Gly Asp Ile Asn Ile Thr Ala Ile Val Asp Arg Glu Glu(配列番号:4)で表されるペプチドの固相合成を行った。得られたペプチドを分析用逆相高速液体クロマトグラフィーに付したところ、18.1分に単一のピークが示された。FAB(高速原子衝撃)法マススペクトルにより求めたペプチドの分子量は、1903(理論値は1903.02)であった。
【0026】
実施例4
無水ジオキサン(市販のジオキサンを金属ナトリウムの存在下で蒸留したもの)50ml中に、セルロース粒子(チッソ(株)製、CMセルロファイン)10gを懸濁し、得られた懸濁液にN−ヒドロキシコハク酸イミド0.5gおよびジシクロヘキシルカルボジイミド1.0gを加え、混合物を室温下で一晩振盪攪拌した。得られた混合物を0.02モル/lのリン酸塩緩衝液(pH7.4)で洗浄し、吸引濾過した。得られた粒子を、実施例2で得られたペプチドを20mg含有する0.02モル/lのリン酸塩緩衝液(pH7.4)20mlと混合し、この混合物を4℃で一晩攪拌した。得られた混合物を吸引濾過し、その濾液を分析用逆相高速液体クロマトグラフィーに付したが、残存する未反応のペプチドは認められなかった(担体上へのペプチドの固定化率:約100%)。このようにして、実施例2で得られたペプチドが20mg固定化された吸着剤を約10g得た。
【0027】
試験例1
天疱瘡患者血清を中性燐酸緩衝液で10倍に希釈後、実施例1または実施例3で得られたペプチドをそれぞれ最終濃度が1、5、10、15、20、50μg/mlになるように添加した。37℃で1時間混和後、4℃で一晩放置し、遠心操作(10000×g、1時間)を行い、得られた上清を中性燐酸緩衝液でそれぞれ20、40、80、160、320、640及び1280倍に希釈し、正常人より分離した表皮細胞と混合した。1時間反応後、中性燐酸緩衝液で洗浄した後、蛍光標識抗ヒトIgG抗体を加え、更に一時間反応させ、中性燐酸緩衝液で洗浄したものを試料とした。蛍光抗体法により試料を観察し、表皮細胞間にIgGの沈着が認められる上限の希釈倍率を抗体価とした。この評価方法によれば、ペプチドと結合した抗表皮細胞間抗体は表皮細胞間に沈着しなくなるため、ペプチドと結合した抗表皮細胞間抗体の割合が高いほど、抗体価は低くなる。結果を表2に示す。この結果より、本発明のペプチドが天疱瘡患者血清中の抗表皮細胞間抗体と高い反応性を有している事が明らかである。
【0028】
【表2】
【0029】
試験例2
天疱瘡患者血漿800μlに、実施例4で得られた吸着剤200mg、またはコントロールとして未処理の粒子状担体〔セルロース粒子:チッソ(株)製 CM−セルロファイン〕200mgを加え、37℃で2時間懸濁させた。得られた懸濁物を遠心分離し、上清を得た。得られた上清中の抗体価を試験例1と同様な方法で測定した。この評価方法では、該抗体価が低いほど、抗表皮細胞間抗体が吸着除去されていることを示す。実施例4で得られた吸着剤で処理した血漿の抗体価は320倍、コントロールの血漿は640倍であった。また、該上清中のグロブリン、アルブミン濃度を、A/Gテストキット(A/GBテストワコー、和光純薬(株)製)を用いて測定し、グロブリンとアルブミンの吸着除去率を数1にしたがって算出したところ、実施例4で得られた吸着剤で処理した血漿では、グロブリンの吸着除去率が2%、アルブミンの吸着除去率が3%であった。
【0030】
【数1】
【0031】
このように、本発明の吸着剤の使用により、人体にとって有用なアルブミンおよびグロブリンをほとんど吸着除去することなく、選択的に抗表皮細胞間抗体を吸着除去できることが明らかである。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、抗表皮細胞間抗体と特異的に結合する能力を有するペプチドが提供される。該ペプチドを担体上に固定化した吸着剤は、体液中より人体にとって有用な成分を吸着除去することなく、抗表皮細胞間抗体を選択的に体液中より吸着除去することが可能であり、抗表皮細胞間抗体が関与する疾病の治療に有用である。
【0033】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:30
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
【0034】
配列番号:2
配列の長さ:19
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
【0035】
配列番号:3
配列の長さ:21
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
【0036】
配列番号:4
配列の長さ:17
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
Claims (2)
- 下記の式(2)〜(4)で表されるアミノ酸配列のペプチド。
式(2): Val Gly Ile Asp Gln Pro Pro Phe Gly Ile Phe Val Val Asp Lys Asn Thr Gly Asp (配列番号:2)
式(3): Lys Lys Val Gly Ile Asp Gln Pro Pro Phe Gly Ile Phe Val Val Asp Lys Asn Thr Gly Asp (配列番号:3)
式(4): Asp Lys Asn Thr Gly Asp Ile Asn Ile Thr Ala Ile Val Asp Arg Glu Glu (配列番号:4) - 請求項1記載の少なくとも1種のペプチドを担体上に固定化してなる吸着剤。
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