JPH06154316A - Cd4陽性細胞捕集材 - Google Patents

Cd4陽性細胞捕集材

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JPH06154316A
JPH06154316A JP43A JP31338592A JPH06154316A JP H06154316 A JPH06154316 A JP H06154316A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 31338592 A JP31338592 A JP 31338592A JP H06154316 A JPH06154316 A JP H06154316A
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JP
Japan
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peptide
cells
boc
amino acid
woven fabric
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JP43A
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Kazunori Inamori
和紀 稲森
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masahiro Seko
政弘 世古
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液の体外循環療法などに適用することに
より、何らかの原因でその割合が過剰になったCD4陽
性細胞を捕集することが可能な、CD4陽性細胞との結
合性を有するペプチドまたは修飾ペプチドを不織布に固
定化したCD4陽性細胞捕集材を提供する。 【構成】 カルボキシル基を有する平均繊維径1ない
し30μmの不織布に、CD4陽性細胞と結合性を有す
るペプチドまたは修飾ペプチドを固定化したCD4陽性
細胞捕集材

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定のアミノ酸配列を有
するペプチドまたはそのペプチド領域を含む修飾ペプチ
ドを固定化した不織布を用いて、その充填カラムにより
血液の体外循環を行なうことにより、CD4抗原を細胞
表面に有するたとえばヘルパーT細胞の捕集を目的とす
るCD4陽性(以下CD4+と言う)細胞捕集材に関す
るものである。本発明は何らかの原因により免疫系のバ
ランスに支障が生ずることにより、CD4+細胞の生体
内における割合が過大になり免疫反応が過剰に起こるよ
うな種々の自己免疫疾患などの治療において非常に有用
なものである。
【0002】
【従来の技術】CD4分子はヘルパー細胞や一部の単
球,マクロファージの細胞膜表面に分布している分子量
約55キロダルトンの糖タンパク質であり、胸腺細胞の
約50%,末梢T細胞の約70%に分布する。また成人
T細胞型白血病細胞や皮膚T細胞性リンパ腫などにも発
現されている。ヘルパー細胞上のCD4抗原はT細胞が
細胞レセプターによりマクロファージから提示された抗
原に結合する際、マクロファージ上の主要組織適合抗原
(以下MHCと言う)と結合してT細胞,抗原,マクロ
ファージ間の会合を安定化する役割をもつ。T細胞のC
D4分子には非受容体型チロシンキナーゼ分子p56
lck が連結し、CD4の情報伝達分子として機能してい
る。マクロファージ,単球の表面に分布するCD4の生
理的役割に関しては明らかではない。
【0003】免疫系においてヘルパー細胞は抗原が適切
に応答するのに不可欠であり、B細胞のほとんどの抗体
応答に必須のものである。ヘルパー細胞は主として抗原
提示細胞の表面に結合した非自己抗原を認識した場合自
身が活性化され、インターロイキン2を分泌してT細胞
の増殖を刺激してこれがB細胞の活性化を補助してお
り、さらには抗体の産生を促している。またリンパ球を
補助するだけでなくγインターフェロンを分泌すること
によりマクロファージを活性化するヘルパー細胞も存在
する。
【0004】ヘルパーT細胞の他にT細胞の亜集団とし
て細胞障害性T細胞あるいはサプレッサーT細胞などが
存在し、その表面マーカーとしてCD8という糖タンパ
ク質が存在する。細胞障害性T細胞はウイルスに感染し
た細胞を直接破壊し、サプレッサーT細胞は主にヘルパ
ーT細胞の応答を抑制している。免疫応答の調整に主と
して関与しているのはCD4+細胞であるヘルパーT細
胞とCD8陽性細胞(以下CD8+細胞と言う)である
サプレッサーT細胞の2つである。正常人ではこれらC
D4+細胞とCD8+細胞の両者がバランスよく制御す
ることで、生体内における免疫反応が適当な状態に調節
されている。何らかの原因により両者の数の比率が大き
く変動することにより免疫系に異常が発生する。
【0005】エイズ患者においてはレトロウイルスの一
種であるヒト免疫不全ウイルスによりヘルパーT細胞が
破壊され免疫系が働かなくなっている。したがって通常
であれば発症しないような微生物感染によっても発症し
てしまうものである。この場合にはCD4+/CD8+
の値が正常人と比べて大きく低下している。
【0006】逆にCD4+/CD8+の値が大きくなる
ものとして、4型アレルギーに属する遅延型過敏症に関
わる疾患がある。遅延型過敏症を誘導するT細胞はヘル
パーT細胞とは別のものであるが、これもCD4分子を
有している。これに関する疾患としては細胞内寄生性細
菌や真菌などの感染症や、植物,薬剤などによる皮膚炎
の他に、自己抗体が生ずる全身性エリテマトーデスやリ
ウマチ様関節炎などの種々の自己免疫疾患においてもこ
の種のアレルギー機序とT細胞により生体内の細胞が障
害され病変が惹起されていると考えられている。
【0007】種々ある自己免疫疾患の治療に際してはそ
の症状の程度に応じて副腎皮質ホルモン剤の投与,脾臓
の摘出,免疫抑制剤の投与などが適用される。しかしこ
うした薬物療法や摘脾手術では効果的には回復しないよ
うな症例も多く存在している。自己免疫疾患の発生に関
するメカニズムはまだ十分には解明されておらず、こう
した患者に対する治療方法についても絶対的なものは確
立されていないのが現状であり対策が急がれている。
【0008】自己免疫疾患の他の治療方法として、免疫
吸着カラムを用いた血液の体外循環による自己抗体の吸
着除去も種々試みられている。たとえば免疫グロブリン
と結合性を有するプロテインAを担体に固定化したカラ
ムの適用も検討されている。しかしプロテインAは高価
であり、吸着特異性の点で優れず、さらには副作用の問
題も有しておりあまり有用なものではない。また除去対
象物質に対する抗体の固定化カラムも種々検討されてい
るが、安全性,保存安定性の問題,抗体が有効に反応で
きるような固定化が困難なこと,滅菌方法が限定される
などの理由から医用機材として用いるには多くの課題が
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は血液細胞表面
に存在するのCD4を認識して結合性を有するようなペ
プチドあるいはその修飾ペプチドを固定化した不織布を
用いて、血液の体外循環を行なうことにより、CD4+
細胞を特異的に結合させ除去することにより生体内の免
疫系を制御して様々な疾患を治療しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明は抗CD4抗体の相補性決定領域となりうるアミノ酸
配列を含有しているペプチドあるいは修飾ペプチドを固
定化した不織布によるCD4+細胞の捕集を要旨とする
ものである。
【0011】本発明は抗CD4抗体における可変領域を
構成している特定のアミノ酸配列を有するペプチド断片
を利用してCD4+細胞を捕集しようとするものであ
る。抗体分子の構成している重鎖,軽鎖ともにN末端よ
り約110個のアミノ酸残基より成る部分に可変領域と
呼ばれる領域が存在しており、抗体分子によりアミノ酸
配列が異なっている部分である。さらにこの可変領域の
中でも分子ごとにアミノ酸配列が比較的類似している部
分と、分子ごとにアミノ酸配列が大きく異なっている超
可変領域と呼ばれる部分とがある。抗原との結合特異性
は後者の部分により決定されている。
【0012】超可変領域は重鎖および軽鎖ともに3ヵ所
ずつ存在し、20ないし30個のアミノ酸残基数から成
る。抗体が抗原と結合する部位である相補性決定領域と
呼ばれる部分はこの超可変領域と一致しており、この中
でも実際に結合に関与している部位は5ないし10個の
アミノ酸残基から構成される。
【0013】重鎖ではN端より31ないし35,50な
いし65,95ないし102番目が、軽鎖ではN端より
24ないし34,50ないし56,89ないし97番目
が相補性決定領域に相当する断片である。これら合せて
6つの領域はそれぞれにループを形成しており、これら
が1ヵ所にまとまることにより抗原結合部位を形成して
いるものである。すなわち抗原結合部位の多様性はこれ
らの領域におけるループの長さとアミノ酸配列のわずか
な変化だけで生ずるものである。なおこれ以外の抗体の
機能を果たすのに必要な分子全体の高次構造は乱される
ことなく保たれている。
【0014】抗CD4抗体としてはOKT4(オルソ
社),Leu3a(ベクトンディキンソン社),T4
(コールター社)などがある。CD4は白血球分化抗原
の中では比較的よく研究されており、可変領域の一次構
造が決定されて報告されているものもある。可変領域の
一次構造が既知であれば、これより上記の相補性決定領
域に相当する部位を含有するペプチドを合成することに
よりCD4分子と結合させることが可能である。たとえ
ばLeu3a抗体に関する軽鎖における可変領域のアミ
ノ酸配列(J.Biol.Chem.,266,146
11,1991)を例にすると、Lys−Ala−Se
r−Gln−Ser−Val−Asp−Tyr−Asp
−Gly−Asp,Leu−Leu−Ile−Tyr−
Ala−Ala−Ser,Thr−Tyr−Tyr−C
ys−Gln−Gln−Ser−Tyr−Gluの3つ
が相補性決定領域に相当する。
【0015】上記に例示した領域はCD4分子との結合
に最小限必要な領域であると考えられる。実際にこうし
たペプチドを用いてCD4+細胞を捕集する場合には、
血液中でのCD4分子との反応様式に近い状態を再現す
る必要がある。また血液中に存在する場合の構造の安定
性や、あるいは担体に固定化する場合には水系溶媒に対
する溶解性を大きくしたりすることを考慮する必要があ
ることが多い。
【0016】そこで上記に示したペプチド領域の一方の
末端または両末端の領域を各タンパク質のアミノ酸配列
に従って領域を延長したり、たとえばリジンのような水
溶性を大きくするようなアミノ酸を数個末端に結合させ
たり、システインのようなアミノ酸を末端に結合させて
担体に固定化しやすくするなどすることが好ましい。実
際に用いるペプチドまたは修飾ペプチドの全アミノ酸残
基数としては70個以内であることが好ましいが、合成
の困難さやコスト,安定性などを考慮すると30個以内
がより好ましい。さらに免疫原性を発現するのに要する
高次構造の形成しやすさなども考慮すると10ないし2
5個が最適であると言える。
【0017】また固定化反応や安定性などを考慮して、
たとえばN末端をアミド化したり、末端に適当な官能基
を導入したりして上記ペプチドを修飾した有機化合物を
用いることも好ましい。また複数のペプチドを−A−
(CH2 n −B−(A,BはNHまたはCOを示す)
で示されるような側鎖を用いて結合させたものもCD4
+細胞との結合性をより高めることが可能である。この
場合のnの値は1ないし20が好ましく3ないし10が
より好ましい。
【0018】ペプチドの合成の方法については特に限定
されないが、液相合成法よりも固相合成法を適用する方
が操作が簡単である。この場合有機溶媒に不溶性である
支持体に合成するペプチドのC末端に対応するアミノ酸
を結合させ、N末端方向にαカルボキシル基以外のαア
ミノ基などの官能基を保護した対応するアミノ酸を順に
縮合反応により結合させた後、結合した後その保護基を
脱離させる反応を交互に繰返すことによりペプチド鎖を
延長させる。
【0019】目的とするペプチドを得た後、ペプチド鎖
を支持体から切断および脱保護基を行なう。これにはフ
ッ化水素がしばしば用いられるが、安全性,取扱いやす
さの点からトリフルオロメタンスルホン酸(以下TFM
SAと言う)を用いるのが適当である。チオアニソー
ル,1,2−エタンジチオールとTFMSA中で反応さ
せ脱保護基を行なった後、トリフルオロ酢酸(以下TF
Aと言う)により支持体からの切断を行ないペプチドを
回収する。これを凍結乾燥することによりクルードペプ
チドが得られる。
【0020】上記クルードペプチドは逆相系カラムを用
いた高速液体クロマトグラフィ(以下HPLCと言う)
に供することにより分取,精製を行なう。HPLC条件
は通常タンパク質の精製に用いる系を基本として最適化
を行なうのがよい。得られたクロマトピークに相当する
画分を分取しこれを凍結乾燥する。得られた精製ペプチ
ド画分についてマススペクトル分析による分子量解析,
アミノ酸組成分析あるいはアミノ酸配列解析などにより
同定を行なう。
【0021】上記ペプチドあるいは修飾ペプチドを固定
化する場合に用いる不織布の種類は特に限定されるもの
ではないが、血液浄化に用いる場合には血液中成分と接
触した際の補体系や凝固系などへの影響を考慮する必要
性があることから、ポリエチレンテレフタレート(PE
T),ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(P
E),ポリアミド,セルロース(綿)およびビスコース
などが挙げられるが、改質の容易さ、改質後の強度保持
性を考慮するとPET,PP,PE,綿またはビスコー
スが好ましく、特にPET,PP,綿が好ましい。また
血球成分の粘着性を抑えるためには、繊維径は1ないし
30μmが好ましく、3ないし20μmがより好まし
い。
【0022】さらに補体活性,凝固因子活性の抑制およ
び血球粘着を抑制し、リガンドであるペプチド類の導入
を容易に行なうために、カルボキル基の導入された不織
布を担体とすることが好ましい。カルボキル基の含量は
0.01ないし3meq/gが好ましく、0.1ないし
1.0meq/gがより好ましい。
【0023】不織布にカルボキル基を導入する方法は種
々のものが挙げられるが、たとえばPP,PEの場合に
はアクリル酸(AA),メタクリル酸(MAA)または
これらの誘導体を重合時に共重合させて不織布を製造す
る方法がある。またこれらの素材を電子線,紫外線また
はオゾンを照射することによりラジカルやイオンを発生
させ、AA,MAAまたはこれらの誘導体をグラフトさ
せる方法がある。この場合には他のビニルモノマーを共
存させることも可能である。
【0024】綿やビスコースの場合には過ヨウ素酸によ
り酸化してそのグリコール部位を開裂させてアルデヒド
基を導入して、これを酸化してカルボキル基を導入して
もよいし、あるいはアルデヒド基にアンモニア,エチレ
ンジアミン,ヘキサメチレンジアミンのような少なくと
も一級のアミノ基を1個以上有する化合物を反応させて
シッフ塩基を形成し、これを還元してアミノ基を導入し
た後、このアミノ基とAA,MAA,およびこれらの誘
導体またはポリアクリル酸(PAA),ポリメタクリル
酸(PMAA)およびこれらの誘導体ポリマーとを縮合
させてもよい。この時のPAA,PMAAおよびそれら
の誘導体ポリマーの分子量は200ないし20000が
好ましく、500ないし10000がより好ましい。こ
こでいう誘導体ポリマーとはAAまたはMAAのモノマ
ー単位を少なくとも1種類を10ないし80モル%以上
を含む他のビニルモノマーとの共重合体を意味するもの
である。
【0025】さらに電子線照射によりカルボキル基を導
入する方法として、PAA,PMAAおよびそれらの誘
導体ポリマーとビニル基を1分子中に少なくとも2個以
上有する架橋性モノマーとの混合溶液を不織布にコーテ
ィングし乾燥させた後、電子線を照射してカルボキル基
を導入することができる。この場合のポリマーの分子量
は200ないし20000が好ましく、500ないし1
0000がさらに好ましい。
【0026】用いる架橋性モノマーとしてはメチレンビ
スアクリルアミド,トリメチロールプロパンジアクリレ
ート,トリメチロールプロパントリアクリレート,テト
ラメチロールメタンテトラアクリレート,トリアリルイ
ソシアヌレートのようなビニル基を複数個有するモノマ
ーの他に、化1の一般式で示される化合物が挙げられ
る。これらの架橋性化合物のうちで化1を用いた場合が
カルボキル基の導入率が最も良好で、カルボキル基濃度
も所望の値に制御することが可能である。化1における
1 ,R2 ,R3 はそれぞれ水素原子またはメチル基を
示す。nは1ないし100の整数を示しているが、3な
いし70の整数の場合が好ましく、5ないし60の整数
がさらに好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】コーティングする溶液の濃度は0.1ない
し20%、好ましくは0.5ないし10%であり、用い
る溶媒は架橋性化合物とPAA,PMAAおよびそれら
の誘導体ポリマーの両方を溶解する溶媒であればすべて
使用できるが、水,メタノール,エタノール,塩化メチ
レン,クロロホルム,アセトン,ジオキサン,テトラヒ
ドロフランまたはこれらの混合溶媒を用いることができ
る。PAA,PMAAおよびそれらの誘導体ポリマーと
架橋性化合物との混合比は50:1ないし1:50、好
ましくは30:1ないし1:30である。コーティング
する混合物は不織布に対して0.5ないし30wt%、
好ましくは1ないし20wt%である。
【0029】不織布へのカルボキル基の導入方法を種々
検討したところ、PAA,PMAAおよびそれらの誘導
体ポリマーと化1で示される化合物とを混合してコーテ
ィングした後、電子線照射により処理する方法が最も好
ましい。この場合に用いる素材としてはPET,PEお
よび綿が好ましく、特にPETが好ましい照射線量は1
ないし20Mrad、好ましくは2ないし10Mrad
である。このようにしてカルボキル基を導入した不織布
はカルボキル基とポリエチレングリコールとの相乗効果
により、血小板,白血球などの粘着がなく血液の補体活
性や凝固系因子の活性化も抑制されており、抗血小板抗
体の吸着,除去に際して血漿と血球成分とを分離した後
血漿から抗体を吸着して血漿と血球成分を再混合して患
者に返す必要がなく全血処理により一段階で抗体を吸着
することができる。
【0030】カルボキル基の導入された不織布への抗血
小板抗体との結合性を有する上記のようなペプチド類の
固定化に関しても種々の方法がある。この場合リガンド
に用いるペプチドや修飾ペプチドは比較的安定で低分子
量の物質であり、たとえば酵素や抗体のような高分子量
のタンパク質を固定化する場合と比較してその固定化反
応条件は制約が少なくなることも有利な要因の一つであ
る。したがって固定化方法については特に限定されるも
のではないが、以下のような方法によるものが好まし
い。
【0031】通常は立体障害を小さくすることにより抗
体の吸着効率,結合性の向上させ、また非特異的吸着を
抑えることを目的として、親水性スペーサーを導入し
て、その末端にペプチド類を固定化するのが好ましい。
親水性スペーサーとしては導入したカルボキル基を利用
するのが好ましく、両末端にアミノ基またはグリシジル
基を有するポリエチレングリコールを用いることが好ま
しい。この場合のポリエチレングリコールの分子量は1
00ないし20000、好ましくは200ないし100
00、さらに好ましくは500ないし5000である。
【0032】両末端にアミノ基を有するポリエチレング
リコール(以下PEOアミンと言う)を用いる場合、ま
ず不織布のカルボキシル基とカルボジイミドなどの縮合
剤を用いてアミド結合により結合させ、次にもう一方の
アミノ基とペプチドのカルボキシル基末端を縮合剤の存
在下に縮合させてアミド基を介した固定化を行なう。
【0033】またグリシジル基を両末端に有するポリエ
チレングリコールを用いる場合には、まず片端のグリシ
ジル基と不織布のカルボキシル基との反応によりスペー
サーを導入し、次いでもう一方の末端のグリシジル基と
ペプチドのアミノ基とを反応させて固定化を行なう。
【0034】しかしPAA,PMAAおよびそれらの誘
導体ポリマーと化1を用いてカルボキシル基を導入した
場合においては、グラフトされたPAA,PMAAおよ
びそれらの誘導体ポリマー自体が親水性スペーサーの役
割を果たしており、このことからも好ましいものであ
る。すなわちグラフトされたPAA,PMAAおよびそ
れらの誘導体ポリマーのカルボキシル基とペプチドのア
ミノ基末端を上記の方法により縮合させることにより固
定化が他の方法と比較して有利である。
【0035】
【実施例】本発明におけるペプチド類のカルボキシル基
を導入した不織布への導入方法は上記に述べたものを基
本とすれば特に限定されるものではない。以下に実施例
を用いて本発明を説明する。
【0036】<実施例1> Thr−Ile−Ser−
Cys−Lys−Ala−Ser−Gln−Ser−V
al−Asp−Tyr−Asp−Gly−Asp−Se
r−Tyr−Met−Asnの不織布への固定化 (1)ペプチドの合成 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における20ないし3
8番目までに相当する領域であるThr−Ile−Se
r−Cys−Lys−Ala−Ser−Gln−Ser
−Val−Asp−Tyr−Asp−Gly−Asp−
Ser−Tyr−Met−Asnの配列を有するペプチ
ドの合成をペプチドシンセサイザーModel430A
(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて固相合成
法により行なった。C末端のアスパラギンの結合した支
持体であるPAMアスパラギン(t−Boc−L−As
n)0.5mmol(アプライドバイオシステムズ社
製)を用いて、N末端の方向に順に上記ペプチドシンセ
サイザーに掲載されている合成プログラムにより脱保護
基反応および縮合反応を繰返してペプチド鎖を延長し
た。すなわちTFAおよびジクロロメタン(以下DCM
と言う)により保護基であるt−ブトキシカルボニル基
の除去を行ない、DCMで洗浄し、ジイソプロピルエチ
ルアミンおよびDCCで中和した後、ジメチルホルムア
ミド(以下DMFと言う)で洗浄し縮合反応を行ない、
DCMで洗浄する操作を繰返した。アミノ酸はt−Bo
c−L−Thr(Bzl),t−Boc−L−Ile・
1/2H2O,t−Boc−L−Ser(Bzl),t
−Boc−L−Lys(Cl−Z),t−Boc−L−
Ala,t−Boc−L−Gln,t−Boc−L−V
al,t−Boc−L−Asp(OBzl),t−Bo
c−L−Tyr(Br−Z),t−Boc−L−Gl
y,t−Boc−L−Met(いずれもアプライドバイ
オシステムズ社製)の2.0mmolのカートリッジを
用いた。
【0037】(2)脱保護基,ペプチド鎖の切断 上記の反応が終了した支持体1gにチオアニソール1m
l,1,2−エタンジチオール0.5mlを加えて10
分間攪拌した後、氷水で冷やしながらTFA10mlを
加えて10分間攪拌した。さらにTFMSA1mlを加
えて室温で30分間攪拌した。これにあらかじめ冷やし
ておいたジエチルエーテルを沈殿が現れなくなるまで加
えて攪拌し、ミディアム孔のガラスフィルターを用いて
ジエチルエーテルで共洗いしながら濾過し、TFAを加
えてペプチドを溶解してエーテル中に捕集した。エーテ
ル中のペプチドをファイン孔のガラスフィルターで濾過
し、ガラスフィルター上のペプチドを2N酢酸に溶解し
て、凍結乾燥を行ないクルードペプチドを得た。
【0038】(3)ペプチドの精製 上記クルードペプチドを再度2N酢酸に溶解して、0.
2μmのメンブレンフィルターで濾過した溶液をHPL
Cに供した。HPLCはModel130Aシステム
(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、カラムは
逆相系のAquapore Prep−10,C8(ア
プライドバイオシステムズ社製)を用いた。移動相は
0.1%TFAを含む水をA液,0.1%TFAを含む
70%アセトニトリル/水(v/v)をB液として、A
液からB液への濃度直線勾配により溶出した。クロマト
ピークはほぼ単一なものが得られ、相当画分を分取し
た。分取を数回繰返し、これを凍結乾燥することにより
精製ペプチドを得た。得られたペプチドはBIOION
20マスアナライザー(アプライドバイオシステムズ社
製)により解析して目的ペプチドが得られていることを
確認した。
【0039】(4)不織布の改質 化1においてR1 ,R2 ,R3 が水素原子でありnの値
が14であるポリエチレンジアクリレート(CH2 =C
H−COO−(CH2 CH2 O)14−OC−CH2 =C
2 )2gおよび分子量10000のPAA0.2gを
200mlのメタノールに溶解し、15cm平方の大き
さに切断した繊維径3.5μmのPET製不織布をこの
溶液に浸した後、5Mradずつ合わせて10Mrad
の電子線を不織布の両面に照射した。電子線照射の終了
した不織布を水およびメタノールで3回ずつ洗浄を行な
い風乾した。得られた不織布のカルボキシル基含量の定
量を水酸化ナトリウム溶液による滴定により行ない、
0.088meq/gであった。
【0040】(5)ペプチドの不織布への導入 (3)で得た精製ペプチド25mgをpH4.5のクエ
ン酸緩衝液に溶解した後氷冷を行ない、水溶性カルボジ
イミド試薬であるEDC(1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド)10mgを加え
て氷冷しながら30分間攪拌した。さらに上記の改質し
た不織布を加えて、室温で24時間振盪して反応させ
た。反応の終了した不織布を水で3回洗浄して、目的で
ある捕集材を得た。ペプチドの固定化率は反応残液中の
窒素含量をマイクロケルダール法により定量して算出し
85%が導入されていた。
【0041】(6)ペプチド固定化捕集材の性能評価 上記捕集材のCD4+細胞との結合性をヒト血液を用い
て評価した。一辺7cmの菱形のポリカーボネート製モ
ジュールケースの形状およびその大きさに切断した上記
吸着材を20枚充填したカラムを組立て、100U/m
lのヘパリンを含む生理食塩水100ml、次いで1U
/mlのヘパリンを含む生理食塩水100mlでカラム
内および血液回路内を洗浄した。一方クエン酸を添加し
たヒト血液100mlをビーカーに取り、カラムを通し
て再びビーカーに戻すような血液回路を組み、この装置
を用いて血液流量30ml/分で1時間連続して潅流実
験を行なった。
【0042】本処理を行なう前後の血清中のCD4+細
胞およびCD8+細胞数の変化をフローサイトメトリー
法により定量した。細胞はFicoll−Conray
法により調製を行ない、フルオレセインイソチオシアネ
ートで標識したLeu3aおよびLeu2a抗体を用い
て実施した。またフローサイトメトリーはEPICS−
PROFILE2(コールター社製)を用いた。結果は
表1に示す通りであり、本処理を行なう前と比較した各
細胞数の減少率[%]で示した。またアルブミンの非特
異的吸着に関しても、アルブミンBーテストワコー(和
光純薬工業製)を用いて定量した。結果は表1に示す通
りであり吸着率[%]で示した。また血小板の粘着性に
ついても本処理を行なう前後の血小板数をコールターカ
ウンターZM型(コールターエレクトロニクス社製)を
用いて定量することにより調べた。結果は表1に示す通
りであり血小板数の減少率[%]で示した。
【0043】
【表1】
【0044】<実施例2> Gln−Pro−Pro−
Lys−Leu−Leu−Ile−Tyr−Ala−A
la−Ser−Asn−Leu−Glu−Serの不織
布への固定化 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における46ないし6
0番目までに相当する領域であるGln−Pro−Pr
o−Lys−Leu−Leu−Ile−Tyr−Ala
−Ala−Ser−Asn−Leu−Glu−Serの
配列を有するペプチドの合成に関してもPAMセリン
(t−Boc−L−Ser(Bzl))(アプライドバ
イオシステムズ社製)およびt−Boc−L−Gln,
t−Boc−L−Pro,t−Boc−L−Lys(C
l−Z),t−Boc−L−Leu・H2 O,t−Bo
c−L−Ile・1/2H2 O,t−Boc−L−Ty
r(Br−Z),t−Boc−L−Ala,t−Boc
−L−Ser(Bzl),t−Boc−L−Glu(O
Bzl)(いずれもアプライドバイオシステムズ社製)
を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終了し
た支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系HPL
Cによる精製および同定についても実施例1と同様にし
て行なった。
【0045】化1においてR1 ,R2 ,R3 が水素原子
でありnの値が9であるポリエチレンジアクリレート
(CH2 =CH−COO−(CH2 CH2 O)9 −OC
−CH 2 =CH2 )1gおよび分子量4000のPAA
1gを200mlのメタノールに溶解し、実施例1と同
様に15cm平方の大きさに切断した繊維径3.5μm
のPET製不織布をこの溶液に浸した後、5Mradず
つ合わせて10Mradの電子線を不織布の両面に照射
した。電子線照射の終了した不織布を水およびメタノー
ルで3回ずつ洗浄を行ない風乾した。得られた不織布の
カルボキシル基含量の定量を水酸化ナトリウム溶液によ
る滴定により行ない、0.351meq/gであった。
【0046】上記ペプチド50mgを実施例1と同様に
pH4.5のクエン酸緩衝液に溶解した後氷冷を行な
い、EDC10mgを加えて氷冷しながら30分間攪拌
した。さらに上記の改質した不織布を加えて、室温で2
4時間振盪して反応させた。反応の終了した不織布を水
で3回洗浄して、目的である捕集材を得た。ペプチドの
固定化率は実施例1と同様にして求め76%が導入され
ていた。得られた捕集材の性能評価を実施例1と同様に
して、カラムを組立てた後ヒト血液を用いた潅流実験に
より行なった。処理後の血清中のCD4+細胞,CD8
+細胞の量およびアルブミン量を実施例1と同様にして
定量した。結果を表1に減少率[%]で示した。血小板
粘着性についても実施例1と同様に検討した結果を表1
に血小板数の減少率[%]で示した。
【0047】<実施例3> Glu−Gly−Thr−
Ala−Thr−Tyr−Tyr−Cys−Gln−G
ln−Ser−Tyr−Glu−Asp−Pro−Pr
o−Thrの不織布への固定化 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における85ないし1
01番目までに相当する領域であるGlu−Gly−T
hr−Ala−Thr−Tyr−Tyr−Cys−Gl
n−Gln−Ser−Tyr−Glu−Asp−Pro
−Pro−Thrの配列を有するペプチドの合成に関し
てもPAMトレオニン(t−Boc−L−Thr(Bz
l))(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−
Boc−L−Glu(OBzl),t−Boc−L−G
ly,t−Boc−L−Thr(Bzl),t−Boc
−L−Ala,t−Boc−L−Tyr(Br−Z),
t−Boc−L−Cys(4CH3Bzl),t−Bo
c−L−Gln,t−Boc−L−Ser(Bzl),
t−Boc−L−Asp(OBzl),t−Boc−L
−Pro(いずれもアプライドバイオシステムズ社製)
を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終了し
た支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系HPL
Cによる精製および同定についても実施例1と同様にし
て行なった。
【0048】分子量1000のPEOアミンを30gを
pH4.5のクエン酸緩衝液500mlに溶解した後氷
冷し、EDC10mgを加えて氷冷しながら30分間攪
拌した。実施例1と同様にして得たカルボキシル基を導
入(0.088meq/g)した改質不織布30枚を、
上記PEOアミン溶液中で室温で振盪させることにより
24時間反応させた。反応終了後不織布を水で3回洗浄
して、PEOアミンを導入した不織布を得た。アミノ基
含量はの定量は塩酸による電位差滴定をCOMTITE
101(平沼産業製)を用いて行ない0.037meq
/gであった。
【0049】上記ペプチド25mgを実施例1と同様に
pH4.5のクエン酸緩衝液に溶解した後氷冷を行な
い、EDC10mgを加えて氷冷しながら30分間攪拌
した。さらに上記のPEOアミンの導入された不織布を
加えて、室温で24時間振盪して反応させた。反応の終
了した不織布を水で3回洗浄して、目的である吸着材を
得た。ペプチドの固定化率を実施例1と同様にして求め
83%が導入されていた。得られた吸着材の性能評価を
実施例1と同様にして、カラムを組立てた後ヒト血液を
用いた潅流実験により行なった。処理後の血清中のCD
4+細胞,CD8+細胞の量およびアルブミン量を実施
例1と同様にして定量した。結果を表1に減少率[%]
で示した。血小板粘着性についても実施例1と同様に検
討した結果を表1に血小板数の減少率[%]で示した。
【0050】<実施例4> Tyr−Phe−Cys−
Ala−Arg−Arg−Gly−Lys−Gly−T
hrの不織布への固定化 抗Leu3抗体の重鎖の可変領域における94ないし1
03番目までに相当する領域であるTyr−Phe−C
ys−Ala−Arg−Arg−Gly−Lys−Gl
y−Thrの配列を有するペプチドの合成に関してもP
AMトレオニン(t−Boc−L−Thr(Bzl))
(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−Boc
−L−Tyr(Br−Z),t−Boc−L−Phe,
t−Boc−L−Cys(4CH3 Bzl),t−Bo
c−L−Ala,t−Boc−L−Arg(Tos),
t−Boc−L−Gly,t−Boc−L−Lys(C
l−Z),(いずれもアプライドバイオシステムズ社
製)を用いて実施例1と同様にして実施した。合成の終
了した支持体の脱保護基,ペプチド鎖の切断,逆相系H
PLCによる精製および同定についても実施例1と同様
にして行なった。
【0051】分子量5000のPEOアミンを20gを
pH4.5のクエン酸緩衝液500mlに溶解した後氷
冷し、EDC10mgを加えて氷冷しながら30分間攪
拌した。実施例2で得たカルボキシル基を導入(0.3
55meq/g)した改質不織布30枚を、上記PEO
アミン溶液中で室温で振盪させることにより24時間反
応させた。反応終了後不織布を水で3回洗浄して、PE
Oアミンを導入した不織布を得た。アミノ基含量を実施
例3と同様にして定量し0.144meq/gであっ
た。
【0052】上記ペプチド50mgを実施例1と同様に
pH4.5のクエン酸緩衝液に溶解した後氷冷を行な
い、EDC10mgを加えて氷冷しながら30分間攪拌
した。さらに上記のPEOアミンの導入された不織布を
加えて、室温で24時間振盪して反応させた。反応の終
了した不織布を水で3回洗浄して、目的である捕集材を
得た。ペプチドの固定化率を実施例1と同様にして求め
82%が導入されていた。得られた捕集材の性能評価は
実施例1と同様のカラムを組立てた後ヒト血液を用いた
潅流実験により行なった。処理後の血清中のCD4+細
胞,CD8+細胞の量およびアルブミン量を実施例1と
同様にして定量した。結果を表1に減少率[%]で示し
た。血小板粘着性についても実施例1と同様に検討した
結果を表1に血小板数の減少率[%]で示した。
【0053】
【比較例】
<比較例1> Thr−Ile−Ser−Cys−Ly
s−Ala−Ser−Gln−Ser−Val−Asp
−Tyr−Asp−Gly−Asp−Ser−Tyr−
Met−Asnの不織布への固定化 実施例1で得たThr−Ile−Ser−Cys−Ly
s−Ala−Ser−Gln−Ser−Val−Asp
−Tyr−Asp−Gly−Asp−Ser−Tyr−
Met−Asnの綿不織布への導入を次のようにして実
施した。15cm平方の大きさに切断した繊維径12μ
mの綿不織布30枚を、1wt%濃度の過ヨウ素酸ナト
リウムを1N硫酸に溶解した溶液500ml中に加えて
振盪により22時間反応させた。反応終了後不織布を水
で3回洗浄して、アルデヒド基の導入された不織布を得
た。アルデヒド含量はオキシム法により定量を行ない
0.50meq/gであった。
【0054】上記ペプチド25mgをpH9.5の炭酸
緩衝液500mlに溶解して、上記アルデヒド基導入不
織布を加えて振盪により24時間シッフ塩基反応を行な
った。反応終了後不織布を水で3回洗浄した。ペプチド
の固定化率を実施例1と同様にして求め89%が導入さ
れていた。次に1gの水素化ホウ素ナトリウム(NaB
4 )をpH9.0の炭酸緩衝液500mlに溶解し
て、上記の不織布を加えて振盪により20時間反応させ
た。反応終了後不織布を水で3回洗浄して目的の集材を
得た。得られた捕集材の性能評価を実施例1と同様にし
て、カラムを組立てた後ヒト血液を用いた潅流実験によ
り行なった。処理後の血清中のCD4+細胞,CD8+
細胞の量およびアルブミン量を実施例1と同様にして定
量した。結果を表1に減少率[%]で示した。血小板粘
着性についても実施例1と同様に検討した結果を表1に
血小板数の減少率[%]で示した。
【0055】<比較例2> Ser−Leu−Ala−
Val−Ser−Leu−Gly−Gln−Arg−A
la−Thrの不織布への固定化 抗Leu3抗体の軽鎖の可変領域における10ないし2
0番目までに相当する領域であるSer−Leu−Al
a−Val−Ser−Leu−Gly−Gln−Arg
−Ala−Thrの配列を有するペプチドの合成に関し
て、PAMトレオニン(t−Boc−L−Thr(Bz
l))(アプライドバイオシステムズ社製)およびt−
Boc−L−Ser(Bzl),t−Boc−L−Le
u・H2O,t−Boc−L−Ala,t−Boc−L
−Val,t−Boc−L−Gly,t−Boc−L−
Gln,t−Boc−L−Arg(Tos)(いずれも
アプライドバイオシステムズ社製)を用いて実施例1と
同様にして実施した。このペプチド領域も親水性の比較
的大きな領域である。合成の終了した支持体の脱保護
基,ペプチド鎖の切断,逆相系HPLCによる精製およ
び同定についても実施例1と同様にして行なった。
【0056】比較例1と同じ条件を用いてアルデヒド基
を導入(0.52meq/g)した綿不織布に、上記ペ
プチドの綿不織布への導入を比較例1と同じ反応条件に
より行なった。ペプチドの固定化率は実施例1と同様に
して求め82%が導入されていた。得られた捕集材の性
能評価を実施例1と同様にして、カラムを組立てた後ヒ
ト血液を用いた潅流実験により行なった。処理後の血清
中のCD4+細胞,CD8+細胞の量およびアルブミン
量を実施例1と同様にして定量した。結果を表1に減少
率[%]で示した。血小板粘着性についても実施例1と
同様に検討した結果を表1に血小板数の減少率[%]で
示した。
【0057】
【発明の効果】本発明により血液中のCD4+細胞と効
果的に結合させることが可能であり、種々の自己免疫疾
患の治療への適用が可能である。本発明におけるCD4
+細胞捕集材を用いた血液浄化療法は副作用もなく安全
であり、保存による安定性の面でも優れている。不織布
を利用することにより従来のような血漿分離を必要とし
ない全血処理による体外循環が可能である。またカルボ
キシル基が存在することによりリガンドであるペプチド
類の導入も容易である。さらにオートクレーブ処理によ
る蒸気滅菌を行なってもリガンドとしての活性が低下す
ることがほとんどない点も医療機材として有利である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】上記ペプチドあるいは修飾ペプチドを固定
化する場合に用いる不織布の種類は特に限定されるもの
ではないが、血液浄化に用いる場合には血液中成分と接
触した際の補体系や凝固系などへの影響を考慮する必要
性があることから、ポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(P
E)、ポリアミド、セルロ−ス(綿)およびレ−ヨンな
どが挙げられるが、改質の容易さ、改質後の強度保持性
を考慮するとPET、PE、綿またはレ−ヨンが好まし
い。また血球成分の粘着性を抑えるためには、繊維径は
1ないし30μmが好ましく3ないし20μmがより好
ましい。これらの繊維から構成される不織布としては、
本発明の目的からして、不織布の密度(充填率)は、
0.6g/cm 3 以下、より好ましくは0.4g/cm
3 以下のものである。またその下限としては、接触効率
の点から0.01g/cm3 以上、より好ましくは0.
02g/cm3 以上である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を含有する平均繊維径1
    ないし30μmの繊維からなる不織布に、抗CD4抗体
    における重鎖または軽鎖の可変領域を構成しているアミ
    ノ酸配列において相補性決定領域を形成しているペプチ
    ドまたはその修飾ペプチドを固定化したことを特徴とす
    るCD4陽性細胞捕集材。
  2. 【請求項2】 請求項第1項記載の修飾ペプチドが、抗
    CD4抗体の重鎖または軽鎖の可変領域を構成するアミ
    ノ酸配列において相補性決定領域を形成している領域の
    うちの少なくとも1つを含んでおり、その両端または片
    端がアミノ酸,ペプチドまたは−A−(CH2 n −B
    −(A,BはNHまたはCO,nは1ないし20の整
    数)で示されるもののいずれかがペプチド結合により結
    合しているもので、全アミノ酸残基数が70個以内であ
    ることを特徴とするCD4陽性細胞捕集材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008001802A1 (fr) 2006-06-27 2008-01-03 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Substrat pour traitement de fluide biologique

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008001802A1 (fr) 2006-06-27 2008-01-03 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Substrat pour traitement de fluide biologique

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