JPH0626720B2 - 防水施工法 - Google Patents

防水施工法

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JPH0626720B2
JPH0626720B2 JP60218023A JP21802385A JPH0626720B2 JP H0626720 B2 JPH0626720 B2 JP H0626720B2 JP 60218023 A JP60218023 A JP 60218023A JP 21802385 A JP21802385 A JP 21802385A JP H0626720 B2 JPH0626720 B2 JP H0626720B2
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coating
film
waterproof
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伸 谷川
健太郎 永井
健 宮沢
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 「産業上の利用分野」 本発明は鉄筋コンクリート造又はALC造建築物の屋根
及び外壁面に塗膜を形成させ、該建築物に防水性を持た
せることに関するもので、広く建築業界で利用できるも
のである。
「従来の技術」 近年、建築物の表面に塗膜を形成させて、該建築物に防
水性を付与することが広く行われてきており、そこで用
いられる塗膜形成材としての塗膜防水剤も広範囲の物が
種々知られており、屋上や壁面に広く用いられている。
良く用いられている塗膜防水材には、液状合成高分子物
の水分又は溶剤が揮発して塗膜を形成する、一成分系エ
マルジョン型防水材(アクリルゴム系、クロロプレンゴ
ム系、スチレン−ブタジエンゴム系、ゴムアスファルト
系、アクリル樹脂系等)又は一成分系溶液型防水材(ク
ロロプレンゴム等)と、液状合成半高分子化合物の主剤
と硬化剤とが反応硬化して成膜する二成分系防水材(ウ
レタンゴム系、エポキシ系等)とがある。
これら防水材は、建造物の表面に予めプライマーを塗布
し、その上に塗布して下地に完全に密着した形で用いら
れている。
このようにして得られた塗膜は、一般に一度下地に亀裂
が入ると、ゼロスパンテンションが起り、塗膜の限られ
た範囲にのみ急激に力が加わる為、容易に塗膜が破断
し、防水性能を低下せしめるという欠点を有している。
その理由は上記塗膜防水材の施工膜厚は一般的に1〜3
mmである為、数mmのゼロスパンテンションで塗膜は破断
し、仮に3mmのゼロスパンテンションに耐えたとして
も、そのままの状態で屋外に暴露された場合、必ずピン
ホール等を生じ、ついには破断するためである。
従来かゝる欠点に対する一般の対策としては、特に亀裂
の入りやすい目地部等に絶縁材を施したり(絶縁工
法)、メッシュや不織布を貼着する工法などが採用され
ている。
絶縁工法では、下地にグリス等をあらかじめ塗布するの
であるが、このため下地より防水塗膜を浮かせてしまう
為に、塗膜が全体に剥離しやすくなったり、空隙に水が
まわったり、傷がつきやすくなる等の欠点が生じる。
更にメッシュ等を併用する工法については、メッシュは
本来、伸びがない為、亀裂発生時において防水塗膜の下
地への接着力が強い場合、下地との剪断剥離が起らずに
メッシュが切れて防水塗膜にゼロスパンテンションの形
で力が加わって亀裂幅数mmで塗膜が破断したり、仮にう
まく亀裂部周辺に剪断剥離を生じても、メッシュが伸び
ない為、防水塗膜中央部に力が集中し、亀裂部周辺への
力の分散が小さくなり、結局10mm程度の亀裂に追従さ
せるのが限界である。
仮に10mm程度の亀裂に追従しても、そのままの状態で
暴露しておくと亀裂部の塗膜に力が集中している為、早
い時期にピンホール等を生じ、ついには破断してしまう
欠点がある。
「発明が解決しようとする問題点」 本発明は上記下地亀裂により生ずるゼロスパンテンショ
ンを原因として発生する塗膜の破断という問題点を解決
し、下地との完全密着を保持させ、下地に対する優れた
追従性能を有する防水塗膜を求めるべくしてなされたも
のである。
(ロ)発明の構成 「問題点を解決するための手段」 本発明者等は特定の重合体からなり特定の機械強度を有
する塗膜を2層積層しかつ下層の厚さを限定することに
より上記問題点を解決し得ることを見出し、本発明を完
成した。
すなわち本発明は建造物の表面に、20℃に於ける伸び
率が500%以上で引張強さが10kgf/cm2以下であ
り、アルキル基の炭素数が4以上のアクリル酸アルキル
エステルを構成成分として50重量%以上含有する重合
体からなる膜厚100〜1000μの塗膜を形成させ、
さらに当該塗膜の表面に20℃に於ける引張強さが10
kgf/cm2以上であり、ガラス転移点が10℃以下の重合
体からなる塗膜を形成させることを特徴とする防水施工
法に関するものである。
下地塗膜 本発明において建造物の表面に最初に形成される塗膜
(以下下地塗膜という)は、上記のように20℃に於け
る伸び率が500%以上で引張強さが10kgf/cm2
下、好ましくはそれぞれが700%以上、7kgf/cm2
下のものであって、塗膜を形成する重合体がアルキル基
の炭素数が4以上のアクリル酸アルキルエステルを構成
成分として50重量%以上、好ましくは70重量%以
上、特に好ましくは90重量%以上含有するものからな
るものである。
上記特定の機械的性能を有する塗膜によってはじめて本
発明の目的とする作用効果が奏されるのであって、上記
性能を有しない、例えば伸びが小さく強さの大きい下地
塗膜は、下地に亀裂が生じた際に、亀裂部周辺の塗膜全
体へ力を分散させることができず、亀裂部分のみに力が
集中するために、小さな亀裂でも破断するようになり、
防水用の塗膜としての役割りを果たすことができないの
である。
上記の様な特定の機械的性能を有する下地塗膜は、下地
亀裂により発生する力を分散することができ、塗膜の破
断を発生させることが少なく、優れた防水塗膜を構成す
ることができるのである。
また下地塗膜を形成するための主材はアルキル基の炭素
数が4以上のアクリル酸アルキルエステルを構成成分5
0重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好まし
くは90重量%以上含有する重合体である必要があり、
この条件を満たす重合体を主材として得られた下地塗膜
は耐候性が良く、下地塗膜の上に形成される塗膜の如何
を問わず熱による劣化を受けにくく、いつまでも柔軟性
を保ち、変質することがなく、下地塗膜として最適のも
のであり、他の重合体を使用したものでは全く真似ので
きないものである。
前記した問題点を解決するためには、下地塗膜の厚みを
制御することも重要で、その厚みを100〜1000μ
とすることによりはじめて本発明の効果が奏されるので
ある。
下地塗膜の厚みが100μ未満であると、その厚みが薄
いため、上層に形成される塗膜(以下防水塗膜という)
に下地亀裂に対する追従性効果を付与することが出来
ず、一方1000μを越えて厚く塗膜を形成させてもそ
の増加に応じた効果は認められず、部分的に形成させた
下地塗膜により浮き上がりが生じ、ミミズばれの様に目
立ってしまい、美装に関しても問題点が生じ使用しえな
い。
下地塗膜を形成するための主材となる重合体に用いられ
るアルキル基の炭素数が4以上のアクリル酸アルキルエ
ステルとは、具体的には、アクリル酸のn−ブチル、i
so−ブチル、sec−ブチル、n−アミル、n−ヘキ
シル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシ
ル、n−ノニル、イソノニル、n−デシルなどのエステ
ルである。
なお上記重合体には、上記アクリル酸アルキルエステル
と共重合し得る各種のビニル系モノマーを併用すること
ができ、かかるビニル系モノマーの具体例としてはメタ
クリル酸アルキルエステル、エチレン、酢酸ビニル、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレ
ン、ブタジエン、上記以外のアクリル酸エステル、イタ
コン酸、クロトン酸などがあげられる。
上記重合体は公知の重合方法、すなわち溶液重合法、懸
濁重合法、乳化重合法等により製造され得るが、本発明
の下地塗膜を形成させるための組成物(以下下地塗膜材
組成物という)はエマルジョンであることが塗布性の面
で好ましいので、乳化重合法で製造し、当該重合体を含
有するエマルジョンを得、それをそのまま下地塗膜材組
成物に用いることが好ましい。
下地塗膜材組成物 上記重合体を含有する下地塗膜材組成物には、必要に応
じて、骨材を配合することも可能であり、骨材としては
例えばカオリン、炭酸カルシウム、寒水砂、硅砂、タル
ク、マイカ、酸化チタン、酸性白土、ケイ藻土、石綿、
ポルトランドセメント、白セメント、アルミナセメント
等が用いられる。
ここで骨材の配合量は、重合体をエマルジョンとして使
用する場合、重合体100重量部(以下部と略す)に対
して、300部までであり、好ましくは50〜200部
である。ここで300部以上では、伸び率が500%以
上を保つのが難しくなり不適である。
又、下地塗膜材組成物には更に重合体100部に対し
て、5部程度までの界面活性剤、粘度安定剤、消泡剤な
どを配合することも可能である。
下地塗膜材組成物は、建造物の表面たとえば屋上又は、
壁面の全面又は部分的に塗布又は吹付けられて下地塗膜
を形成するが、その時の作業性の面から組成物の粘度は
300cps以上(B型粘度計、30rpm、ロータNO.2、
20℃)特に好ましくは、1,000〜100,000
cps程度になるように調節するのがよい。
粘度が300cps未満では成膜時に亀裂が入りやすくな
り、垂直面でタレを生じたりして不良である。又、高粘
度の場合には厚塗りのできる利点があるが、高粘度に過
ぎるときは、塗工上難点がある。
防水塗膜 本発明において下地塗膜の表面に形成される防水塗膜
は、前記のように、20℃に於ける引張強さが10kgf/
cm2以上の特性を有するものであり、塗膜を形成する重
合体がそのガラス転移点(以下Tg点という)が10℃
以下のものであることが必要である。
引張強さが10kgf/cm2未満の塗膜を防水塗膜とした場
合は、風や砂塵あるいは人の歩行などにより破損しやす
く防水塗膜として信頼性がなく使用し得ない。また引張
強さは大きい程好ましいが、余り大きいものを求めると
塗膜自体の柔軟性が失なわれるようになり、亀裂い対す
る追従性が無くなる様になるので必然的に上限は40kg
f/cm2程度に押えられる。
防水塗膜を形成させる重合体としてTg点が10℃以
下、好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−20℃
以下の重合体を用いる理由は、一度に数百μ以上厚塗り
してもひび割れ、亀裂等を生じさせない為である。
ここでTg点が10℃を越える重合体を用いた場合、数
百μ以上というような膜厚とすると、どうしても成膜時
に亀裂、ひび割れ等のトラブルを生じ易く、これらの塗
膜のひび、亀裂等から漏水が起り、圧塗りをしても防水
性能を十分に発揮することができない。
また第2の理由としては、下地亀裂に対する追従性を与
えることである。
即ち、建造物の動き等によって下地に数mmの亀裂が発生
しても、その皮膜はピンホール等を生ずることなく、よ
く追従し得るものであり、特に前記下地塗膜を併用した
場合には著じるしく大きな下地亀裂にも追従するもので
ある。
反対に、Tg点が10℃を越える重合体を用いると、亀
裂追従性がほとんどなく、本発明方法のように特定の下
地塗膜を併用しても、ほとんど効果がない。
Tg点が10℃以下の重合体を含む防水塗膜を形成する
組成物(以下防水塗膜材組成物という)は低温時におい
ての塗工性がよく、成膜性能にも優れており、上記塗膜
の性能とあいまって防水塗膜用に最適のものである。
本発明における防水塗膜に用いる重合体のTg点とは、無
定形重合体の各種性質が急変する温度で、この温度以下
では重合体の無定形部分の分子セグメントの運動が凍結
されるような温度である。
重合体のTg点を実際に測定するには、一例として種々
の温度での熱膨張を測定してそれぞれの温度に対して比
容積をプロットし、得られた曲線で屈曲している点の温
度を求める一般的な方法が用いられる。
しかし、実際的には個々の単独モノマーより成る重合体
のTg点の値が知られているので共重合体のTg点の値
は、次の計算式によって求めることができる。
CA;成分Aの重量分率 CB;成分Bの重量分率 TgA;成分A単独重合体のTg(゜K) TgB;成分B単独重合体のTg(゜K) ここでCA+CB=1である。
次に一例としてまずTg点が10℃以下の主な単独重合
体をあげると(弧内は全てTg点)、ポリエチルアクリ
レート(−22℃)、ポリn−ブチルアクリレート(−
54℃)、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート(−5
5℃)、ポリエチレン(−22℃)、ポリプロピレン
(−35℃)、ポリ−1,4−ブタジエン(−120
℃)、ポリ塩化ビニリデン(−180℃)等があるが、
それらと共重合可能なモノマーからなりTg点が10℃
以上になる重合体としては、ポリスチレン(87℃)、
ポリ酢酸ビニル(30℃)等がある。
次に共重合体のTg点の計算例を示すと、例えばエチレ
ン75部、酢酸ビニル25部の共重合体のTg点は(1)
式より−13℃となる。
又、アクリル酸2−エチルヘキシル90部、スチレン1
0部の共重合体のTg点は、同様に(1)式より求めると
−46℃となる。
さらに1,4−ブタジエン60部、スチレン40部のスチ
レン−ブタジエン共重合体のTg点は同様に(1)式より
求めると−73℃となる。
又、現場硬化型のポリウレタンについては、2液硬化の
為、Tg点が求められないので、熱膨張率測定によりウ
レタン硬化した重合体のTg点を求める。
以上のようにして測定した本発明方法に於ける防水塗膜
に用いられる重合体のTg点は10℃以下、好ましくは
−10℃以下、特に好ましくは−20℃以下であるが、
かかる柔らかい重合体を使用することにより、厚塗りし
た時、皮膜時にひび割れ、亀裂等が生じることはない。
次に本発明において防水塗膜に用いられる重合体につい
て記せば、まず重合体として単一重合体を使用する場合
は、Tg点が10℃以下の重合体を形成するモノマーか
らなるものを用いる。
勿論かかるモノマーを2種以上共重合してTg点が10℃
以下の重合体としたものを用いることができる。
それらの量的比率については単純には決められないが、
共重合で得られた共重合体のTg点が10℃以下である
ことが必要である為に、実際は上記式(1)よりモノマー
組成を算出する。
10℃以上の重合体を与えるモノマーとの共重合ではT
g点が10℃以下の重合体を与えるモノマーを併用する
ことが必要である。
さらに防水塗膜に用いられる重合体を構成するモノマー
を具体的に示すと、重合体のTg点が10℃以下となる
モノマーとしてはエチレン、プロピレン、クロロプレ
ン、ブテン−1、ペンテン、イソブチレン、1,4−ブタ
ジエン、1,2−ブタジエン、ジメチルブタジエン、ビニ
ルメチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニル−
n−ブチルエーテル、アクリル酸のアルキルエステルと
しては、アクリル酸エチル、n−プロピル、iso−プロ
ピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、n−ア
ミル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2
−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルなどのエス
テルがある。
さらに塩化ビニリデン、クロロプレン、テトラフルオロ
エチレン、エチレンアジペート、テトラメチレンセバケ
ート、2−ブテン−1,4−ジオールセバケート、2−ブ
チン−1,4−ジオールセバケート、テトラメチレンヘキ
サメチレンウレタン、(シス、トランス)−2−ブチン
ヘキサメチレンウレタン等がある。
上記構成モノマーの中で炭素数2〜10のアルキル基を
有するアクリル酸アルキルエステルが特に好ましく用い
られ、さらに好ましくは炭素数4〜10のアルキル基を
有するアクリル酸アルキルエステルである。
その使用量としては30重量%(以下%は重量%)以
上、好ましくは70〜99.5%、特に好ましくは90〜9
9.5%である。
さらに上記モノマーと共重合可能で重合体のTg点が1
0℃以上のモノマーとしては、スチレン、アクリロニト
リル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルアルコール、ア
クリル酸、メタクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエ
ステルとしてメタクリル酸メチル、エチル、n−プロピ
ル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−
ブチルなどのエステルがあり、さらに塩化ビニル等があ
る。
上に述べた反応硬化型ポリウレタンの具体例についてさ
らに詳しく述べれば、イソシアネートモノマーとしては
トリレンジイソシアナート、ジフエニルメタンジイソシ
アナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシレン
ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエス
テル、ジシクロヘキシルジイソシアナート、イソホロン
ジイソシアナート等があり、上記と反応硬化するポリオ
ールとしてはポリオキシプロピレングリコール、ポリオ
キシプロピレンポリオキシエチレングリコール、ポリオ
キシブチレングリコール、ポリオキシテトラメチルグリ
コール等がある。
本発明における防水塗膜に用いる重合体は、一般に公知
の方法により重合して得ることができる。主な重合法と
しては乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法等があり、
樹脂エマルジョンの場合は固形分濃度は通常30〜70
%であり、溶液重合体の場合は20〜60%である。
本発明においては、そのようにして得られた樹脂エマル
ジョンや溶液重合体を防水塗膜を形成させるための防水
塗膜材組成物として用いることができる。
防水塗膜材組成物 上記重合体を含有する防水塗膜材組成物には、必要に応
じて骨材を配合する事が可能であり、骨材を配合すると
厚塗りしやすくなる等の効果があらわれる為、重合体1
00部に対して、骨材を300部以下、好ましくは10
0部程度配合することが好ましい。
骨材の具体例としては例えばタルク、マイカ、酸性白
土、ケイ藻土、カオリン、石英、鉄粉、フライアッシ
ュ、サチンホワイト、酸化チタン、フエライト、リトポ
ン、バライタ、石綿、木粉、ジルコニア、カーボンブラ
ック、ホワイトカーボンなど及び各種ポルトランドセメ
ント、高炉セメント、アルミナセメントなどのセメント
類の1種又は2種以上が用いられる。
尚、骨材としてセメントを配合する場合、その配合量は
30部程度までがよい。
ここで骨材の量が300部以上では塗膜の接着性、伸び
及び防水機能を著じるしく損なう欠点が現われてくる。
又、更に必要に応じて重合体100部に対して5部程度
までの界面活性剤、粘度安定剤、消泡剤などを配合する
ことは勿論可能である。
本発明における防水塗膜材組成物は建造物の表面の前記
下地塗膜が形成された表面に塗布又は吹付けられて塗膜
を形成するが、組成物の粘度は300cps以上(B型粘
度計、30rpm、ローターNO.2、20℃)特に好ましく
は1,000〜50,000cps程度になるように調節するの
がよい。
粘度が300cps未満では成膜時に亀裂が入りやすくな
り、又高粘度の場合には、厚塗りのできる利点がある
が、高粘度に過ぎるときは、塗工上難点がある。
尚、塗布するに際し、成膜後の膜厚が500μ以上、特
に好ましくは1,000〜20,000μとなるように
塗布することがよい。
膜厚が薄過ぎるときは、下地亀裂などに対する追従性が
低下し漏水の原因となり、又膜厚を増せば上記追従性を
向上し、亀裂、ひび割れがなくなるが、厚過ぎてもそれ
に対応した効果の向上は認められないので、前記500
μ以上、特に1,000〜20,000μが好ましい。
施工方法 本発明は建造物の表面に、必要に応じて一般的なプライ
マーもしくはシーラーを塗布した後に、上記下地塗膜材
組成物、防水塗膜材組成物を順に公知のローラーまたは
吹付機を用いた塗布方法により施すすことによりなされ
るものであって、建造物の状況、材質、表面状態等に応
じて従来知られている種々の施工方法のうち、最適なも
のを選択して適用すればよい。
下地塗膜材組成物を、既に亀裂の発生した箇所及び目地
部等の発生しやすい箇所にのみ、部分的に施こし、本発
明方法を部分的に実施し本発明の効果をあげることも出
来るが、全面に下地塗膜材組成物を塗布し、その表面に
防水塗膜材組成物を塗布することもよく、この場合下地
のいかなる箇所に大きく亀裂が発生しても防水塗膜は破
断しない。
また、下地塗膜材組成物塗膜時に構造物の目地部やひび
割れ部には、シーリング材やモルタル及びエマルジョン
を混入したセメント混合物等であらかじめ埋めておいて
から本発明工法を実施するとよい。
「作用」 本発明方法によって建造物の表面に施された特定の機械
的性能を有する下地塗膜と防水塗膜とからなる二層の塗
膜は、下地躯体に生じた亀裂によって発生するゼロスパ
ンテンションに耐え、亀裂の拡大に伴って、少しづつ伸
び、有スパン化することにより亀裂に対する追従巾を大
きくし、亀裂によって塗膜が破断することなく防水性能
を維持することが可能で、従来の防水塗膜より優れた性
能を有するものである。
「実施例、比較例」 次に本発明の詳細を実施例を用いて説明する。
実施例中の部及び%は重量部及び重量%である。また実
施例における試験法は次の通りである。
1)下地塗膜の引張物性と外観JIS A-6021屋根防水用塗
膜材に準ずる。
塗膜の引張物性は試験温度20℃で破断時における伸び
%、及び強さkgf/cm2をそれぞれ求めた。
外観は、塗膜表面の亀裂、ひび割れの有無を目視で観察
した。
2)下地亀裂追従性試験 スレート板に下地塗膜材を150mm幅に刷毛で塗布し、
1日間標準状態(20℃、60%RH)で乾燥させた
後、防水塗膜材をスプレーガンを用いて2kg/m2の量を
吹き付け、標準状態で10日間乾燥させた。引張試験は
スレート板中央に亀裂を発生させて5mm/minの速度で引
張って、下地スレート板に対する引張り追従性を測定し
た。塗膜にピンホール又は破断を生じはじめた時の亀裂
幅を読み取った。
3)ゼロスパンテンション状態での屋外暴露試験 上記と同様に作製した試験体に10mmの亀裂幅を与えて
固定し、屋外、南面に45℃の角度で暴露して、1ケ年
後に塗膜外観及び伸張部の塗膜にピンホール発生の有無
又は破断しているかどうかを観察した。
(実施例〜1) アクリル酸2エチルヘキシル90部、メタクリル酸メチ
ル10部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、ポ
リオキシエチレンノニルフエノールエーテル2部、過硫
酸アンモン0.3部、水100部より成る組成物を70℃
の温度で5時間、常法により重合し、固形分濃度49%
の樹脂エマルジョンを製造した後、アンモニア水を加え
てpH7.0に調節した。
上記エマルジョンの重合体100部あたり花王アトラス
(株)社製のノニオン性界面活性剤エマルゲン910、
0.5部を添加し、カオリン粘土55部を混合して下地塗
膜材を得た。
同様に、アクリル酸n−ブチル70部、スチレン30部
を上記同様に重合して重合体エマルジョンを製造した
後、アンモニア水でpH7.0に調節した。得られた重合体
のTg点は−11℃であった。
さらに上記エマルジョンの重合体100部あたり花王ア
トラス(株)社製のノニオン性界面活性剤エマルゲン9
10、0.5部を添加し、カオリン粘土30部、炭酸カル
シウム20部、セメント5部を混合して防水塗膜材を得
た。
下地塗膜材から得られた塗膜の引張物性と外観は、上記
試験法1)に従って測定し、下地亀裂追従性試験及びゼ
ロスパンテンション状態での屋外暴露試験は、上記試験
法2)に従って下地塗膜材を形成後の膜厚が0.5mmとな
るように塗布した後、前記防水塗膜材を吹付けて試験体
を作製し、上記試験法に従って性能を評価した結果は表
〜1に示すように下地亀裂に対して防水塗膜の追従性を
著じるしく高めることがわかり良好であった。
(実施例2〜4) 下地塗膜材として表〜1に示すようなアルキル基の炭素
数が4以上のアクリル酸アルキルエステルを主体とした
モノマー組成と、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2
部、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル2
部、過硫酸アンモン0.3部、水100部を混合し、75
℃で5時間通常の方法で重合し、重合体エマルジョンを
製造した後、アンモニア水でpH7.0に調節した。実施例
2及び3については表〜1に示すように骨材を添加し
た。
防水塗膜材は表〜1に示すような種々の共重合モノマー
組成で上法と同様にして、重合体エマルジョンを製造し
た後、アンモニア水でpH7.0に調節した。得られた重合
体のガラス転移点は、それぞれ−73℃、−35℃、−
13℃であった。
下地亀裂追従性能は、表〜1に示す下地塗膜材と防水塗
膜材を用いて上記試験法に従って下地塗膜の膜厚がそれ
ぞれ1.0mm、0.5mm、0.3mmとなるように塗布し、性能を
測定した結果は表〜1に示すように良好であった。
(実施例〜5) 防水塗膜材として、トリレンジイソシアナート30部と
プロピレングリコール70部とを室温でよくかき混ぜて
直後に、表〜1に示す組成で上法と同様に製造した下地
塗膜材を膜厚が0.7mmとなるように塗布してある試験体
に塗布した。
上記試験法に従って性能を測定した結果は表〜1に示す
ように良好であった。
(比較例1〜4) 表〜2に示すように、防水塗膜単独の場合(比較例〜
1)、骨材の添加量を300部以上とした伸び率が25
0%と柔軟性の乏しい下地塗膜を使用した場合(比較例
〜2)、アルキル基の炭素数が4以下のアクリル酸メチ
ルを50%以上含む重合体より成る伸び率が100%、
強さが25kgf/cm2の硬くて強靱な塗膜を用いた場合
(比較例〜3)防水塗膜としてTg点が10℃以上の重
合体を含むものを用いた場合(比較例〜4)、下地塗膜
として、アクリル酸アルキルエステル以外の耐候性、耐
熱性不良な成分から成る重合体を用いた場合(比較例〜
5)、についてそれぞれ同様に上記試験方法に従って性
能を測定した結果は表〜2に示すように下地亀裂追従性
に乏しかったり、防水塗膜に亀裂又は黄変、変色等の異
常を生じたりして何れも不良であった。
(ハ)発明の効果 本発明によって防水塗膜の下地亀裂に対する追従性を著
しく増大させることができ従来の防水塗膜が有していた
コンクリート亀裂発生部で破断して雨漏りがしたり、美
観が悪い等の問題を解決し防水塗膜の信頼性を高めるも
のである。又、下地塗膜材の施工性が良好で作業能率を
低下させない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−116021(JP,A) 特開 昭56−32389(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】建造物の表面に、20℃に於ける伸び率が
    500%以上で引張強さが10kgf/cm2以下であり、ア
    ルキル基の炭素数が4以上のアクリル酸アルキルエステ
    ルを構成成分として50重量%以上含有する重合体から
    なる膜厚100〜1000μの塗膜を形成させ、さらに
    当該塗膜の表面に20℃に於ける引張強さが10kgf/cm
    2以上であり、ガラス転移点が10℃以下の重合体から
    なる塗膜を形成させることを特徴とする防水施工法。
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