JPH0626672Y2 - 建築用目地材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、建築用断熱板の板相互の継目部に装着される
建築用目地材の改良に関する。

考案の技術的背景ならびにその問題 建築物における壁を鉄筋コンクリート等で構築する場合
には、仮枠を組んだ後に、鉄筋等が張設された仮枠内に
コンクリートを打設することにより壁を構築する。

近年では、室内の冷暖房における省エネルギーの観点、
及び室内壁における結露を防止する観点から建築物の壁
に断熱板が張設されるようになってきた。建築物の壁に
断熱板を張設するには、室外側に断熱板を設ける外断熱
構造と室内側に断熱板を設ける内断熱構造とがある。

いずれの断熱構造にあっても、コンクリートを打設する
ことによりコンクリート壁を形成する場合には、従来で
は次にようにして行なっていた。

第７，８図に示すように、まず、室内側仮枠４を、打設
後のコンクリート床１上で室内側壁面に沿って組立て、
この仮枠４の断熱板３を張設し、これら断熱板３を室内
側仮枠４に釘等で仮固定した後に、この断熱板３が張設
された室内側仮枠４を立て起し、コンクリート床１上に
立設させる。次に、室外側仮枠２を組立て、これら仮枠
２，４間に、コンクリート打設用の隙間６を形成する。

その後、鉄筋５（第８図にのみ図示）等が張設された仮
枠２，４間隙間６にコンクリートを打ち込み、コンクリ
ートの固化後に、仮枠２，４を取り除けば室内側に断熱
板３が張設された内断熱構造のコンクリート壁が完成す
る。外断熱構造のコンクリート壁を構築する場合には、
上述した説明において室内側と室外側を逆にするだけで
同様にして行なうことができる。

しかしながら、従来の断熱板３を用いてコンクリート打
設により上述したような断熱構造の壁を構築する場合に
は、断熱板３の板相互の継目部において特に、コンクリ
ートの漏れや巻き込み等が発生し、コンクリートが断熱
板３の表面側に露呈し、外観上好ましくないだけでな
く、断熱欠損が生じ、結露の原因となる虞があった。な
お、コンクリートの巻き込みとは、第７図の点線で示す
ように、コンクリートの漏れ等により断熱板３が隙間６
側に湾曲し、そこからコンクリートが巻き込む状態をい
う。

上述したようなコンクリートの漏れや巻き込みが発生し
た場合には、断熱欠損による結露等が生じることから、
手直し用工事がさらに必要となり、その作業が煩雑であ
ると共に、工費が嵩むという不都合を有していた。

このような不都合を解消するために、仮枠４の組立時
に、各断熱板３相互の継目部に粘着テープを貼着し、断
熱板３相互の継目部からのコンクリートの漏れを防止す
ることが行なわれる場合もあった。

しかしながら、このように現場作業において粘着テープ
を貼る作業は煩雑であると共に、継目部の隙間を完全に
閉塞するように粘着テープを貼着することは困難であ
り、結局、この粘着テープが剥がれて、そこからコンク
リートの漏れや巻き込みが発生する虞が依然として生じ
ていた。

考案の目的 本考案は、このような実情に鑑みてなされたもので、コ
ンクリート打設により、断熱構造の壁を形成する際に使
用して、コンクリートの漏れや巻き込みを有効に防止し
得る建築用目地材を提供することを目的とする。

考案の概要 かかる目的を達成するために、本考案は、片側表面にコ
ンクリートが打設される建築用断熱板の板相互の継目部
を上記片側表面側から上記継目部に沿って覆うためのフ
ランジ部と、上記フランジ部の中間から突出して上記継
目部に挿入可能な挿入部と、上記挿入部の先端に形成さ
れた抜止め用の矢尻部と矢尻部とからなる建築用目地材
を、断熱板の板相互の継目部に装着するようにしたもの
である。

上述の如く構成された建築用目地材においては、断熱板
相互の継目部に目地材をワンタッチで装着でき、この装
着後は矢尻部が断熱板に係合するので目地材が離脱する
おそれもなく、従って打設されたコンクリートはフラン
ジ部に遮られて継目部に侵入するのが確実に阻止され
る。

考案の具体的説明 以下、本考案を図面に示す実施例に基づき詳細に説明す
る。

第１図は本考案の一実施例に係る建築用目地材の斜視
図、第２図は同目地材を使用した施工中の壁の縦断面
図、第３図はコンクリート打設後の同目地材の横断面
図、第４図は本考案の第１変形例に係る目地材の第３図
と同様の横断面図、第５図は本考案の第２変形例に係る
目地材の第３図と同様の横断面図、第６図は本考案の第
３変形例に係る目地材の第３図と同様の横断面図であ
る。

第１図に示すように、本考案に係る目地材１０はポリ塩
化ビニル樹脂等を押出成形したものであって、その断面
はほぼＴ字状をなしている。この目地材１０は、断熱板
３相互の継目部１１に沿って挿入可能な挿入部１０ａ
と、この挿入部１０ａと垂直をなすフランジ部１０ｂと
挿入部１０ａの先端に形成された矢尻部１０ｃとで構成
されている。上記フランジ部１０ｂは、挿入部１０ａを
第２図および第３図に示す如く継目部１１に挿入したと
き、コンクリート打設側の継目部１１を完全に覆うよう
になっている。また、上記矢尻部１０ｃは継目部１１に
挿入されたとき断熱板３の仕口面に係合して挿入部１０
ａの抜止め作用をなすようになっている。

目地材１０は上述の如く構成されてなり、この目地材１
０を断熱板３の継目部１１に装着するにあたっては、ま
ず継目部１１の長さに対応して目地材１０を必要な長さ
に切断し、この切断した目地材１０の挿入部１０ａを第
１図で矢印方向から継目部１１に挿入する。この際、矢
尻部１０ｃの先端は鋭角に尖っているので、挿入部１０
ａのスムーズな挿入がなされる。

第２図は目地材１０の装着を完了した壁の縦断面図を示
しており、この状態では矢尻部１０ｃが断熱板３の仕口
面に係合しているので目地材１０が容易に脱落すること
がない。次に第２図の隙間６にコンクリートを打設する
と、第３図に示す如く目地材１０はコンクリート１２の
中に埋設され、この際目地材１０のフランジ部１０ｂは
コンクリート１２の圧力にてより強く断熱板３に圧着す
る。従って打設コンクリート１２が継目部１１に侵入す
るのが未然に阻止される。なお、フランジ部１０ｂの表
面に粗面１３を施しておくとコンクリート１２に対する
付着力の増大により断熱板３のアンカ効果を高めること
ができる。

以上、本考案の一実施例につき説明したが、本考案は上
記実施例に限定されることなく種々の変形が可能であ
る。例えば上記実施例では矢尻部１０ｃを１１ヶ所だけ
形成したが、第４図に示す如く複数ヶ所に形成してもよ
く、この場合は挿入部１０ａの抜止め作用がより強力と
なる。またフランジ部１０ｂの表面に粗面１３を施す代
りに第４図に示す如くアンカ爪１４または１５をフラン
ジ部１０ｂに一体形成してもよい。また上記実施例では
フランジ部１０ｂを一枚の平板形で構成したが、第５図
ないし第６図に示す如く直角形として隅部１６，１７に
おける継目部１１にも装着可能としてもよい。なお、第
５図および第６図において符号１８はアンカ爪である。

考案の効果 本考案は上述の如く、断熱板相互の継目部に挿入可能な
挿入部を有する目地材であるから継目部に対してワンタ
ッチで装着でき、しかも挿入部の先端には矢尻部を形成
しているので目地材が容易に離脱するおそれもなく、従
って打設されたコンクリートはフランジ部に遮られて継
目部に侵入するのが確実に阻止され、コンクリートの漏
れや巻き込みを有効に防止することが可能になり、従っ
て壁の隅部における結露を有効に防止し得ると共に、コ
ンクリートの漏れや巻き込み等による手直し工事に要す
る作業行程ないし費用の削減が可能になる等の優れた効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る建築用目地材の斜視
図、第２図は同目地材を使用した施工中の壁の縦断面
図、第３図はコンクリート打設後の同目地材の横断面
図、第４図は本考案の第１変形例に係る目地材の第３図
と同様の横断面図、第５図は本考案の第２変形例に係る
目地材の第３図と同様の横断面図、第６図は本考案の第
３変形例に係る目地材の第３図と同様の横断面図、第
７，８図はそれぞれ従来の断熱板を用いた断熱構造の壁
を構築する際の断面図および斜視図である。 ３……断熱板、１０……目地材 １０ａ……挿入部、１０ｂ……フランジ部 １０ｃ……矢尻部、１１……継目部 １２……コンクリート、１３……粗面 １４，１５，１８……アンカ爪

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】片側表面にコンクリートが打設される建築
   用断熱板の板相互の継目部を上記片側表面側から上記継
   目部に沿って覆うためのフランジ部と、上記フランジ部
   の中間から突出して上記継目部に挿入可能な挿入部と、
   上記挿入部の先端に形成された抜き止め用の矢尻部とを
   それぞれ具備してなる建築用目地材。