JPH0626454Y2 - 車両のリテーナ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両のリテーナ構造に関するものである。

（従来技術） 一般に自動車においては、フロントウィンドガラスの両
側に位置するフロントピラーの外側に、該フロントピラ
ーとフロントウィンドガラスとの接続部分の見映え向上
等の観点から、略帯状のフロントピラーガーニッシュを
取付けており、例えばサッシュドアタイプの自動車にお
けるフロントピラーガーニッシュの取付構造例としては
実開昭６２−６１７４６号公報に開示されるものが知ら
れている。このようにフロントピラーの外側にフロント
ピラーガーニッシュを設けるという思想はサッシュドア
タイプの自動車のみならずサッシュレスタイプの自動車
においても同様である。

ところで、フロントピラーガーニッシュをフロントピラ
ーの外側に取付ける場合、該フロントピラーガーニッシ
ュの幅方向の両端縁部をフロントピラー側に固定する必
要があり、このための方法として、例えば上掲公知例に
示されるサッシュドアタイプのものにおいては、その一
端縁部をフロントウィンドガラスとフロントピラーの接
続部に設けた接着層内に埋設して固定する一方、他端縁
部をビスによってフロントピラー側に固定するようにし
ている。

かかる構造の場合、ドアガラスの周縁をシールするウェ
ザーストリップがドアのサッシュ側に設けられているた
め、該ウェザーストリップを支持するリテーナとフロン
トピラーとフロントピラーガーニッシュの三者間の取付
けについては何ら問題はない。ところが、サッシュレス
タイプの自動車の場合には、フロントピラーガーニッシ
ュの一端縁部をフロントピラー側に支持せしめるととも
にウェザーストリップ支持用のリテーナもこのフロント
ピラーに固定する必要があるところから、これらの相対
的な取付関係については一考を要する。

即ち、フロントピラーガーニッシュの一端縁部及びリテ
ーナが、フロントピラーの外面のうち、車体に形成され
るドア装着用の開口部に臨む比較的小スペースの側面部
分に集中的に取付けられるところから、この両者を直接
フロントピラーの側面に取付けることは困難である。こ
のため、従来から、例えばフロントピラーガーニッシュ
の端縁部を支持する支持部とフロントピラーに取付けら
れる固定部とを備えたガーニッシュ支持部材とフロント
ピラーへの固定部を備えたリテーナの二つの部材を用意
し、これらの取付けに際してはこの両者の固定部を二つ
重ね状態でフロントピラーの側面に固定するようにした
ものがあった。

ところが、このような構造のものにおいては、ガーニッ
シュ支持部材及びリテーナの取付けに際してはこの両者
の相対的な位置決めが必要であるところからその組付性
が劣り、またガーニッシュ支持部材とリテーナという別
体形成された二つの部材が必要であるところから部品点
数が増大しコストアップを招くおそれがあった。

また一方、フロントピラー部分は自動車の走行時に走行
風がフロントウインドガラス側からドアガラス側へ回り
込む部位であるうことから、特に走行中におけるドアガ
ラスの吸い出し作用を防止してドアガラス周縁部におけ
る高いシール性を確保することが必要な部位であるが、
この場合、該フロントピラーのドア開口部に臨む部分が
比較的小スペースであることから、吸い出し防止部材の
配置及び該吸い出し防止部材の剛性維持が難しく、十分
なシール性が確保しにくいという問題もあった。

（考案の目的） 本考案は上記従来技術の項で指摘した問題点に鑑み、サ
ッシュレスタイプの車両のリテーナ構造において、リテ
ーナの組付性の改善と部品点数の減少によるコストダウ
ンを図るとともに、ドアガラスの吸い出し防止をより簡
易な構成で且つ確実に行いもって高水準のシール性を確
保し得るようにせんとしてなされたものである。

（目的を達成するための手段） 本考案では上記の目的を達成するための手段として、車
体に形成され且つドアガラスにより覆われるドア開口の
前辺縁部に位置するピラー部材にウェザーストリップを
支持するリテーナを取付けた車両において、上記リテー
ナが、上記ウェザーストリップを支持する断面略コ字状
の本体部と該本体部の車体外面側の縁部から車体外方に
向って延びる延設部とを有するとともに、該延設部に
は、上記ピラー部材の車体外面側に配置され且つその中
間部が上記ピラー部材に支持された外装品の端部を支持
する支持部が形成されているとともに、該支持部の一部
を上記ドアガラスに対してその車幅方向外側においてラ
ップするラップ部としたことを特徴としている。

（作用） 本考案ではかかる構成により次のような作用が得られ
る。

車体のドア開口の前辺縁部に位置するピラー部材に取
付けたリテーナの本体部によってウェザーストリップ
が、また延設部によって外装品が、それぞれ支持される
ところから、常にこれら両者のウェザーストリップと外
装品との相対関係が一定に保持される。

リテーナの延設部に形成されたラップ部がドアガラス
に対してその車体幅方向外方においてラップしているた
め、走行中においてドアガラスが吸い出し作用を受けて
吸い出される場合には該ラップ部によりこれが阻止され
る。また、この場合、上記ラップ部が、その中間部がピ
ラー部材に支持された外装品の端部を支持する支持部の
一部で構成されていることから、該ラップ部は上記外装
品を介して上記ピラー部材によっても支持されることと
なりその剛性が高く維持されるものである。

（考案の効果） 従って、本考案の車両のリテーナ構造によれば、次のよ
うな特有の効果が奏せられるものである。

(a)車体のピラー部材に取付けたリテーナの本体部と延
設部とによってウェザーストリップと外装品とをそれぞ
れ支持することでこれらの間の相対関係が常時一定に保
持されるため、例えば従来のようにリテーナとは別に外
装品支持部材を設けこの両者を重ね合せ状態でフロント
ピラーに取付ける場合の如くフロントピラーと外装品支
持部材との間の相対的な位置決めが不要であり、その分
だけリテーナの組付性が良好ならしめられるという効果
が奏せられる。

(b)リテーナのみによってウェザーストリップと外装品
とが支持できるため、例えばこの両者をそれぞれ別々の
部材によって支持する場合に比して部品点数が少なくて
すみ、それだけコストダウンが図れるという効果も奏せ
られる。

(c)リテーナの延設部に形成したラップ部でドアガラス
の吸い出しが防止されるが、その場合、該ラップ部がピ
ラー部材に支持された外装品を介して該ピラー部材によ
っても支持されることでその剛性が高く維持されている
ことから、上記ドアガラスの吸い出し防止がより高い剛
性の下で確実に行なわれ、ドアガラス周縁部のシール性
がより高水準に維持されるという効果も奏せられるもの
である。

（実施例） 以下、第１図ないし第４図を参照して本考案の実施例を
説明すると、第１図には、自動車の車体の要部が示され
ており、同図において符号１はフェンダ、２はドア、３
はフロントウィンドガラス、４はドアガラス、５はルー
フであり、このルーフ５の前部の両端部と上記フェンダ
１との間は左右一対のフロントピラー１０，１０によっ
て連結されている。

このフロントピラー１０は、実用新案登録請求の範囲中
のピラー部材に該当し、ドア開口の前辺縁部を構成する
ものであって、このフロントピラー１０の外面には後述
するフロントピラーガーニッシュ６が、またドア開口側
の側面には後述するピラー側リテーナ７がそれぞれ取付
けられている（第２図参照）。

尚、ルーフ５のドア開口３０日の端縁には、上記ピラー
側リテーナ７とは若干構成の異なる後述するルーフ側リ
テーナ８が取付けられている。

以下、第２図ないし第４図を参照して、フロントピラー
ガーニッシュ６とピラー側リテーナ７とルーフ側リテー
ナ８の構成並びにこれらの取付け構造を詳述する。

フロントピラー１０は、第２図に示すように、車室側に
位置するインナーパネル１１と車外側に位置するアウタ
ーパネル１２とこれらの中間に位置するレインフォース
メント１３の三者で閉断面を構成したバー状部材であっ
て、上記フェンダ１とルーフ５との間に配置されてい
る。そして、このフロントピラー１０の反ドア開口３０
日の縁部１０ａに上記フロントウィンドガラス３の縁部
がシールラバー１５を介して接着剤１７により接着固定
されている。また、このフロントピラー１０のアウター
パネル１２は、略直交する二面１２ａ，１２ｂを有して
おり、その一方の面１２ａ（以下、外面部という）は車
体前方側に、他方の面１２ｂ（以下、側面部という）は
ドア開口３０側にそれぞれ臨ましめられている。

そして、このアウターパネル１２の外面部１２ａには後
述するフロントピラーガーニッシュ６が、また側面部１
２ｂには後述するピラー側リテーナ７が、それぞれ取付
けられる。

フロントピラーガーニッシュ６は、実用新案登録請求の
範囲中の外装品に該当するものであって、第２図及び第
３図に示す如く、略円弧状断面を有する合成樹脂製の内
側部材６１と外側部材６２との二層構造とされている。

内側部材６１は、その内面６１ａに、係合溝６６を備え
た隆起台状の係合部６５を適宜ピッチで複数個形成する
とともに、一方の側縁６１ｃをＬ字状に屈曲させて構成
されている。一方、外側部材６２は、上記内側部材６１
の外面６１ｂに密着嵌合可能なる略円弧状の内面６２ａ
を有するとともに、その一方の側縁６２ｃを略Ｌ字状に
屈曲させて構成されている。

そして、このように略同形状に形成された内側部材６１
と外側部材６２は、該内側部材６１の外面６１ｂ側に外
側部材６２を内面６２ａを密着嵌合させた状態でこの両
者を接着することにより一体化され、ひとつのフロント
ピラーガーニッシュ６を構成する。尚、このフロントピ
ラーガーニッシュ６の両側縁６ａ，６ｂのうち、、Ｌ字
状に屈曲した一方の側縁６ａは後述するピラー側リテー
ナ７により嵌合支持される嵌合縁部６４とされ、また他
方の側縁６ｂはフロントウィンドガラス３側に当接され
る当接部６３とされる。

このフロントピラーガーニッシュ６は、第２図に示すよ
うに、上記フロントピラー１０の外面を覆う如く上記ア
ウターパネル１２の外面部１２ａ側に、その外面、即ち
外側部材６２の外面６２ｂを車体前方に向けた状態で、
係止部１８，１８・・によって固定されている。尚、係
止部１８は、フロントピラー１０側に埋設された受穴２
０付きの受部材１９と、該受穴２０内に弾圧嵌入される
球状部２４を備えた圧入部材２１とで構成され該球状部
２４の弾性拡開作用により該フロントピラー１０側に固
定配置されるようになっている。そして、この圧入部材
２１の上下一対の鍔部２２，２３間に、上記フロントピ
ラーガーニッシュ６の係合溝６６をその側方から嵌合さ
せることにより、該フロントピラーガーニッシュ６はフ
ロントピラー１０に固定保持される。

係止部１８によってフロントピラーガーニッシュ６をフ
ロントピラー１０の外面側に取付けた状態においては、
第２図に示すように、該フロントピラーガーニッシュ６
の嵌合縁部６４はフロントピラー１０のアウターパネル
１２の外面部１２ａ側から側面部１２ｂ側にはね出した
状態に配置されるが、他方の当接部６３はシールラバー
１６を介してフロントウィンドガラス３の外面に当接せ
しめられている。従って、このままの状態では嵌合縁部
６４側の支持剛性が他の部分に比して弱くなっている。
このため、この嵌合縁部６４は後述するピラー側リテー
ナ７の支持部７３によって支持される。

ピラー側リテーナ７は、実用新案登録請求の範囲中のリ
テーナに該当するものであって、第２図及び第３図に示
す如く、略コ字状断面を有する本体部７１と、該本体部
７１の一方の側縁に連続してその側方に延び且つ上記本
体部７１とは略直交する方向に開口する略コ字状の支持
部７３をもつ延設部７２とを備えている。

このピラー側リテーナ７は、その延設部７２を車体外面
側に位置せしめた状態で本体部７１の底面７１ａをビス
７５によりフロントピラー１０のアウターパネル１２の
側面部１２ｂ側に締着することにより、該フロントピラ
ー１０側に固定的に取付けられる。そして、このピラー
側リテーナ７の本体部７１内にはウェザーストリップ１
４が、また延設部７２の支持部７３内には上記フロント
ピラーガーニッシュ６の嵌合縁部６４がそれぞれ嵌合支
持されている。これにより、フロントピラーガーニッシ
ュ６の支持剛性が良好に維持されることになる。

このように、ピラー側リテーナ７は、これひとつでウェ
ザーストリップ１４とフロントピラーガーニッシュ６の
端縁とを同時に支持するため、例えばこのウェザースト
リップ１４とフロントピラーガーニッシュ６の端縁とを
それぞれ別部材で支持する場合に比して、部品点数が少
なくてすみ、しかも部品相互間の位置決めも不要であ
り、リテーナの組付性あるいはコストダウンが図れるこ
とになる。

さらに、この実施例においては本考案を適用して、上記
ピラー側リテーナ７の一部によりドアガラス４の吸い出
しを防止するようにしている。即ち、ピラー側リテーナ
７は、その本体部７１と延設部７２とを連続する部分を
ドアガラス４の平面方向に沿う方向に延出させてこれを
ラップ部７４とし、このラップ部７４の内側にドアガラ
ス４の縁部を位置せしめることにより、走行時における
ドアガラス４の吸出しをこのラップ部７４で防止するよ
うにしている。従って、ピラー側リテーナ７の一部を利
用してドアガラス４の吸い出しを防止するものであるこ
とから、例えば専用の吸い出し防止部材を設ける場合に
比して、構造の簡略化あるいは部品点数の低減によるコ
ストダウンが図れるものである。

また、この場合、上記ラップ部材７４が上記ピラー側リ
テーナ７の支持部７３の一部で構成されていることか
ら、該ラップ部７４は、その中間位置が上記フロントピ
ラー１０に支持された上記フロントピストンラーガーニ
ッシュ６を介して上記フロントピラー１０によっても支
持されることとなる。従って、該ラップ部７４へのドア
ガラス４からの入力を該ラップ部７４のみで（即ち、ピ
ラー側リテーナ７の剛性のみで）支持する場合に比し
て、その支持剛性が高く、上記ドアガラス４の吸い出し
防止が高剛性で且つ確実に行なわれ、ウェザストリップ
とドアガラスとの間のシール性がより一層高められるも
のである。

一方、ルーフ側リテーナ８は、第４図に示すように上記
ピラー側リテーナ７の本体部７１と略同一断面形状をも
つ外面部８１のみで構成されており、延設部７２に相当
する部材は有していない。これは、フロントピラーガー
ニッシュ６がフロントピラー１０側にのみ配置され、ル
ーフ５側には配置されておらず、従ってその嵌合縁部６
４を支持するような必要がないからである。このように
一部構造の異なるルーフ側リテーナ８とピラー側リテー
ナ７をフロントピラー１０とルーフ５の接合部分におい
て連結するために、この実施例においては、第４図にお
いて鎖線図示するように、略コ字状断面を有し且つ略Ｌ
字状に屈曲形成されたジョイント部材９を用い、このジ
ョイント部材９をルーフ側リテーナ８とピラー側リテー
ナ７の本体部７１の両者間に跨って嵌合させるようにし
ている。

尚、この実施例においては上述のようにフロントピラー
ガーニッシュ６を内側部材６１と外側部材６２とから構
成される二重積層構造としているが、このようにした理
由は次の通りである。即ち、通常半透明の合成樹脂で構
成されるフロントピラーガーニッシュ６は、その内面側
に着色することにより所要の外観色を得るようにしてい
る。ところが、この実施例のフロントピラーガーニッシ
ュのように、その内側に係合部６５を一体形成したもの
にあっては、これにその内側から着色しても、これを外
面側から見ると係合部６５形成部分とそれ以外の部分と
で彩色が異なり見映えが悪くなる。

このため、この実施例においては、フロントピラーガー
ニッシュ６を、係合部６５を有する内側部材６１と平滑
板状の外側部材６２とで構成し、外側部材６２の内面側
あるいは内側部材６１の外面側にも着色することによ
り、色斑のない外観色をもったフロントピラーガーニッ
シュ６を得るようにしたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るリテーナ構造を備えた自
動車の車体要部を示す斜視図、第２図は第１図のII−II
要部拡大断面図、第３図は第２図に示したリテーナの要
部外観斜視図、第４図は第１図のIV部の要部拡大図であ
る。 １……フェンダ ２……ドア ３……フロントウィンドガラス ４……ドアガラス ５……ルーフ ６……フロントピラーガーニッシュ（外装品） 7,8……リテーナ ９……ジョイント部材 １０……フロントピラー（ピラー部材） １１……インナーパネル １２……アウターパネル １３……レインフォースメント １４……ウェザーストリップ 15,16……シールラバー １７……接着剤 １８……係止部 １９……受部材 ２１……圧入部材 ３０……ドア開口 ６１……内側部材 ６２……外側部材 ６３……当接部 ６４……嵌合縁部 ６５……係合部 ７１……本体部 ７２……延設部 ７３……支持部 ７４……ラップ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体に形成され且つドアガラスにより覆わ
   れるドア開口の前辺縁部に位置するピラー部材にウェザ
   ーストリップを支持するリテーナを取付けた車両におい
   て、 上記リテーナは、上記ウェザーストリップを支持する断
   面略コ字状の本体部と該本体部の車体外面側の縁部から
   車体外方に向って延びる延設部とを有し、 さらに上記延設部には、上記ピラー部材の車体外面側に
   配置され且つその中間部が上記ピラー部材に支持された
   外装品の端部を支持する支持部が形成されているととも
   に、該支持部の一部が上記ドアガラスに対してその車幅
   方向外側においてラップするラップ部とされていること
   を特徴とする車両のリテーナ構造。