JPH06263068A

JPH06263068A - 壁面移動装置

Info

Publication number: JPH06263068A
Application number: JP5053578A
Authority: JP
Inventors: Hirotaka Nakahara; 宏尊中原; Chikara Sato; 主税佐藤
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1993-03-15
Filing date: 1993-03-15
Publication date: 1994-09-20

Abstract

(57)【要約】【構成】真空形成室を有した吸盤１と、吸盤１の真空形
成機構による吸着装置を有した複数の脚と、脚に支持さ
れた本体と、脚に動力を伝達する動力伝達機構と、動力
伝達機構を駆動する動力発生機構より構成される壁面移
動装置において、吸盤１を支持し吸盤１と独立に真空形
成室を有したベローズ２と、ベローズ２の真空形成機構
と、ベローズ２の支持部３を設けることで、ベローズの
真空形成及び大気開放によってベローズを縮ませたり弛
ませるので、吸盤の首振り剛性を変化させることが可能
となり、吸盤の接面動作及び密着動作に適切に対応でき
る。【効果】ベローズの真空形成及び大気開放によって吸盤
の首振り剛性を変化させることが可能である。なお、表
面が任意の傾きや曲率を有した壁面上の移動を安定に行
える壁面移動装置を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、壁面移動装置に係り、
特に、表面が曲率や傾きを持った壁面でも好適に移動す
る吸着装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】各種タンクや構造物などの保守点検作業
は、一般に作業用足場やゴンドラを設置して作業員の手
によって行われてきたので、高所作業に伴う安全性や設
備の設置による経済性の悪化という問題点があった。こ
のため、壁面に吸着して移動する機構を備えた保守点検
用装置が開発されてきた。

【０００３】壁面を移動する方法として、例えば、特開
昭62−181978号公報や日本機械学会論文集Ｃ編５７巻５
４０号，ｐｐ．８，１９９１に示されるように、複数個
の手や脚の先端に吸盤や磁石などの吸着装置を装備し、
交互に吸着と離脱を繰り返すことで移動する方法が知ら
れている。この方法では、大きな段差や配管などに対し
て、吸着地点を任意に選択可能なので高い移動適応性が
実現可能である。

【０００４】しかし、壁面移動装置の手脚が任意地点に
吸着可能なため、吸着装置の壁面への密着動作と押し付
け動作を適切に行えるように、吸着装置の姿勢を変化さ
せる必要がある。このため、吸着装置に能動自由度を装
備し、その姿勢を制御する方法が考えられるが機構の重
量化や複雑化を招くので好ましくない。

【０００５】そこで、特開平4−105890 号公報で公知と
されるような、吸着装置に回動自在のボール継手を用い
て、吸盤が吸盤を支持するシャフトに対して揺動可能で
あることを特徴とする首振り吸盤が知られている。これ
を図４に示す。しかし、吸盤の首振り自由度が大きく、
首振り剛性が弱いと、例えば、垂直壁面を移動する際に
吸盤が吸着面に対して大きく傾き、接面動作時の押し付
け力やモーメントが大きくなり吸着装置の破壊の恐れが
ある。これを図５に示す。

【０００６】さらに、前述の公報では、吸盤の首振り剛
性を適切な強さとするためにボール継手にばねを内挿
し、吸盤の吸着面をシャフトの軸線に対して略直交する
方向に保持することと、また、ボール継手の半径を小さ
くし首振り自由度の範囲を限定することを特徴とする、
首振り吸盤が開示されている。しかし、吸盤と吸着対象
面との円滑な密着動作と接面動作時の押し付け力や衝撃
力の低減とを満足するばねの設計は容易ではない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面
が任意の傾きや曲率を有した壁面に対して安定に移動可
能な壁面移動装置を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ために、真空形成室を有する吸盤と、前記吸盤を支持し
前記吸盤と独立に真空形成室を有するベローズと、前記
吸盤及びベローズの真空形成機構と、前記ベローズの支
持部とから構成される吸着装置と、前記吸着装置を有す
る複数の脚と、前記脚に支持される本体と、前記脚に動
力を伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構を駆動
する動力発生機構とを備えることを特徴とする壁面移動
装置を構成する。好ましくは、前記吸盤及びベローズの
真空形成機構を互いに独立に構成する。また、前記吸盤
のベローズ接続面側及び前記支持部のベローズ接続側と
に嵌合機構を構成する。さらに、前記吸盤の壁面吸着側
外縁部に触覚センサを設ける。

【０００９】

【作用】壁面移動装置の吸着装置において、吸盤は、吸
盤の真空形成室が真空排気及び大気開放により、吸着面
との吸着及び離脱を行う。ベローズは、吸盤を支持して
おり、ベローズの真空形成室の大気開放により弛むの
で、吸盤の首振り剛性を低くできる。また、真空形成室
の真空排気により、ベローズは縮むので、剛性を高くで
きる。真空形成機構は、吸盤及びベローズの真空形成室
の真空排気及び大気開放を独立に行い、吸盤の吸着及び
離脱と吸盤の首振り剛性を変化させることができる。

【００１０】壁面移動装置は、吸着装置を有する複数の
脚の幾つかにより壁面に吸着する。このとき、吸盤の首
振り剛性を高くし、本体を確実に支持し、他の脚を次の
吸着のために移動させる。新たに壁面を吸着する際には
首振り剛性を低くすることで、壁面への密着動作を円滑
にできる。また、脚の移動に際して、首振り剛性を高め
て吸盤を脚先に固定することで、脚先の吸着装置との干
渉が脚の移動の妨げとなることを防ぐことが可能であ
る。こうして、表面が任意の傾きや曲率を有した壁面に
対して安定に移動可能な壁面移動装置が提供できる。

【００１１】請求項２に係わる壁面移動装置において、
吸盤及びベローズの真空形成室は互いに独立して機能す
る。吸盤の真空形成室は壁面への吸着のために機能し、
ベローズの真空形成室はベローズの剛性の調節のために
機能する。このように負荷が異なる吸盤及びベローズの
真空形成において、その真空形成機構を互いに独立させ
ることで、真空形成及び大気開放の効率改善により、装
置の移動効率が向上する。また、信頼性に優れた装置が
構成できる。こうして、安定した壁面移動が可能とな
る。

【００１２】請求項３に係わる壁面移動装置において、
吸盤のベローズ接続面側及び支持部のベローズ接続側と
に嵌合機構を設けることで、ベローズが縮むとき、嵌合
機構が吸盤と支持部とを嵌合し固定する。こうして、吸
盤の首振り剛性を高くできるので、壁面に脚を確実に支
持でき、安定した壁面移動が可能となる。

【００１３】請求項４に係わる壁面移動装置において、
吸盤の外縁部に設けられた触覚センサによって、吸盤が
吸着面に接触したことが判るので、真空形成機構による
吸盤の首振り剛性を変化させる時期が把握できる。こう
して、吸盤の壁面への接面動作と密着動作を適切に切換
えることができるので、安定した壁面移動が可能とな
る。

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照して本発明に係わる壁面移
動装置、特に表面が任意の傾きや曲率を有した壁面に対
しても安定に移動できる壁面移動装置の実施例を説明す
る。

【００１５】図１，図２に本発明である壁面移動装置の
一実施例の断面図を示す。椀状の真空式の吸盤１は、弛
んだり縮んだりできるベローズ２に支持されている。ベ
ローズ２は支持部３に支持されている。通気管１１はフ
レキシブルホース等で構成され吸盤１の真空形成のため
に真空形成機構６へ接続されている。通気管２１はフレ
キシブルホース等でベローズ２の真空形成のために真空
形成機構６へ接続されている。ここで、吸盤１及びベロ
ーズ２の真空形成室は互いに独立である。また、吸盤１
のベローズ２接続側へ凸部５１と、支持部３のベローズ
２接続側へ凹部５２からなる嵌合機構５を設ける。さら
に、吸盤１の外縁部に触覚センサ４を設ける。

【００１６】次に上述した実施例の動作について説明す
る。吸盤１が吸着面０に接近するときには、吸盤１の真
空形成室を大気開放し、ベローズ２の真空形成室を真空
排気しておくことで、ベローズ２を縮める。ベローズ２
が縮むことにより吸盤１と支持部３との間の嵌合機構５
の凹凸部がそれぞれ嵌合して、吸着装置の首振り剛性を
高め、接面動作が行われる。この様子を図１に示す。吸
盤１が吸着面０に接触すると、触覚センサ４がその接触
を検知するので、ベローズ２の真空形成室を大気開放し
て、ベローズ２を弛めることで、嵌合機構の凹凸部が離
脱し、この剛性を低めるので、吸盤１は曲率や傾きを有
する吸着面０にも円滑に密着動作を行う。この様子を図
２に示す。さらに、吸盤１の真空形成室を真空排気し
て、吸盤１の吸着を行い、ベローズ２の真空形成室を真
空排気し剛性を高くすることで、壁面移動装置を任意に
傾きを持つ壁面に確実に支持できる。

【００１７】図３に図１で示した装置を備えた壁面移動
装置を、ガスタンク等の球状壁面を移動するロボットに
利用した斜視図を示す。ロボットの脚は４本に限らない
が、図３を参照して本実施例を説明する。ロボット本体
７は自由度を有する脚を４本持っている。各脚先には自
由度を有する関節を介して吸着装置９が備えられてい
る。また、ロボットにはセンサユニット７１が設けら
れ、ＩＴＶカメラや赤外線カメラ，マイクロホン，探傷
センサ等が納められている。ロボットは４本中３本の脚
を用いて、その脚先の吸着装置９を壁面に吸着保持し、
ロボット本体７を支持する。残りの遊脚を用いて吸着装
置９を次の吸着点に移動させる。このような脚の移動動
作によってロボットは壁面上を移動する。ロボットは外
部からの指令や情報，センサユニット７１からの情報等
によって適切に壁面移動するとともに、ガスタンクの溶
接線などの健全性を探傷する等の保守点検作業を行う。
なお、センサユニット７１はロボット本体７の上面に限
らず適切に配置される。また、センサユニット７１は一
つとは限らず、必要に応じて複数個有っても良い。

【００１８】次に図６に本発明装置の他の実施例を示
す。図６は図１に示した実施例とは異なり、吸盤１に凹
部５３，支持部３に凸部５４の嵌合機構５を備えた実施
例である。

【００１９】次に図７に本発明装置の他の実施例を示
す。図７は図１に示した実施例とは異なり、吸盤１にテ
ーパ部５５，支持部３にテーパ部５６の嵌合機構５を備
えた実施例である。

【００２０】次に図８に本発明装置の他の実施例を示
す。図８は図１に示した実施例とは異なり、吸盤１に針
状の触覚センサを備えている。

【００２１】

【発明の効果】請求項１〜４に係わる壁面移動装置は共
通に、吸盤の首振り剛性を変化させることが可能である
ので、表面が任意の傾きや曲率を有した壁面上の移動を
安定に行える壁面移動装置を得る。

【００２２】請求項２に係わる壁面移動装置において、
その真空形成機構を互いに独立させることで、信頼性，
移動効率が優れた装置を得る。

【００２３】請求項３に係わる壁面移動装置において、
吸盤の首振り剛性を高めることができるので、壁面に脚
を確実に支持でき、安定した壁面移動が可能な装置を得
る。請求項４に係わる壁面移動装置において、吸盤の壁
面への接面動作と密着動作を適切に切換えることができ
るので、安定した壁面移動が可能な装置を得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明である壁面移動装置の一実施例を示し、
そのベローズが縮んだ状態を示す断面図。

【図２】図１に示す装置の、そのベローズが弛んだ状態
を示す断面図。

【図３】図１に示す装置を備えた壁面移動装置を、ガス
タンク等の球状壁面を移動するロボットに利用した様子
を示す斜視図。

【図４】従来提案されていた首振り吸盤の断面図。

【図５】図４に示す装置の垂直壁面への接面動作の様子
を示す側面図。

【図６】本発明の壁面移動装置の一実施例を示し、その
嵌合機構において吸盤側が凹部，支持部側が凸部である
装置の断面図。

【図７】本発明の壁面移動装置の一実施例を示し、その
嵌合機構においてテーパを用いた装置の部分断面図。

【図８】本発明の壁面移動装置の一実施例を示し、その
触覚センサにおいて針状のセンサを用いた装置の正面断
面図。

【符号の説明】

０…吸着面、１…吸盤、１１…通気管、２…ベローズ、
２１…通気管、３…支持部、４…触覚センサ、５…嵌合
機構、５１…嵌合機構（吸盤側）、５２…嵌合機構（支
持部側）。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】真空形成室を有した吸盤と、前記吸盤の真
空形成機構による吸着装置を有した複数の脚と、前記脚
に支持された本体と、前記脚に動力を伝達する動力伝達
機構と、前記動力伝達機構を駆動する動力発生機構より
構成される壁面移動装置において、前記吸盤を支持し前
記吸盤と独立に真空形成室を有したベローズと、前記ベ
ローズの真空形成機構と、前記ベローズの支持部を設け
ることで、吸盤の首振り剛性を変化可能であることを特
徴とする壁面移動装置。
【請求項２】請求項１において、前記吸盤及び前記ベロ
ーズの真空形成機構が互いに独立な壁面移動装置。
【請求項３】請求項１において、前記吸盤の前記ベロー
ズの接続面側及び前記支持部の前記ベローズ接続側とに
嵌合機構を備えた壁面移動装置。
【請求項４】請求項１において、前記吸盤の壁面吸着側
外縁部に触覚センサを設けてなる壁面移動装置。