JP2663240B2 - フローティング型バキュームチャック - Google Patents

フローティング型バキュームチャック

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JP2663240B2
JP2663240B2 JP5820794A JP5820794A JP2663240B2 JP 2663240 B2 JP2663240 B2 JP 2663240B2 JP 5820794 A JP5820794 A JP 5820794A JP 5820794 A JP5820794 A JP 5820794A JP 2663240 B2 JP2663240 B2 JP 2663240B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板状の本体部材に吸着
構造部を備え、1枚の板状ワーク又は多段に支持された
板状のワークを吸着するバキュームチャックに関し、L
CDを主流とするガラス基板を扱う製造ラインや、シリ
コンウェハーを扱う半導体製造ラインにおけるワークの
搬送に利用される。
【0002】
【従来の技術】例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板の
製造行程中における搬送は、通常バキュームチャックに
よって行われる。この場合、ガラスの裏面にパッド材料
等の異物が付着するのを防止するため、パッド材料とし
ては、ゴムの使用を避け、比較的硬いテフロンやPEE
K等のプラスチックが使用されている。そして、このプ
ラスチック製のバキュームチャックは、図5(b)に示
す如く、金属等の剛性を有する材料でできたハンド1´
上に薄い板状又はシート状のパッド11´を張り付ける
ことにより構成されていた。 しかしながら、この構造
のバキュームチャックでは、ガラス基板に歪みがある場
合に、パッドが固定されていて且つ硬い材質のものであ
るため基板面になじみにくく、バキューム不良が多発す
るという問題があった。
【0003】一方、傾斜角度を調節でき且つ吸着前の姿
勢を正規位置に保持できるようにしたバキュームパッド
が提案されている(実開平2ー117885号及び実開
平4ー42395号公報参照)。この構造のものでは、
パッドをこれより小径のボールジョイントで支持してい
る。従って、支持状態が不安定であるため、パッドを動
かすときにその慣性によりアンバランスな外力やモーメ
ントがかかると、パッドが容易に傾く。そこでスプリン
グを設けてパッドの姿勢を維持するようにしている。し
かしながら、スプリングを設けると、傾斜したワークに
パッドを沿わせるときに、傾斜に近い側の反力が大きく
なり、パッドが円滑にワーク面に沿わなくなる。又、パ
ッドを或る程度の力で押し付けなければならないので、
特に自重の軽い物を持ち上げるような場合には不適当で
ある。更に、このようにジョイントとして球体を使用し
且つスプリングを設けると、構造が複雑になると共に、
吸着部の吸着方向の寸法が大きくなり、製造装置に多段
支持されたワークを取り出して搬送する場合には、装置
の積層ピッチが大きくなるという問題も生ずる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於
ける上記問題を解決し、構造が簡単で、パッドがワーク
の傾斜になじみ易く、且つ多段支持されたワークの搬送
に適したバキュームチャックを提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、請求項1の発明は、板状の本体部材に吸着
構造部を備え、板状のワークを吸着するバキュームチャ
ックにおいて、前記吸着構造部は、前記ワークに吸着す
るパッドと該パッドを支持する支持面と抜け出し規制部
材とを有し、前記パッドは、前記本体部材の表面から突
出し前記ワークに接触する接触面と、該接触面と接続し
一定曲率の曲面をなす外周面と、前記外周面の内側に設
けられた開口面と、該開口面の内側に突出した突出部と
を備え、前記支持面は、前記本体部材に形成され前記外
周面と同じ曲率を持つ曲面をなし、前記抜け出し規制部
材は、前記開口面の内側に設けられ、前記本体部材に固
定され、前記突出部に対して前記ワーク側に間隙を隔て
て対向した対向突出部を備えている、ことを特徴とし、
請求項2の発明は、上記に加えて、前記吸着構造部を有
する前記本体部材は2組から成り、それぞれの本体部材
は前記ワークの両端支持部間の距離に近い間隔を隔てて
結合されていることを特徴とする。
【0006】
【作用】請求項1の発明によれば、パッドの外周面が一
定の曲率の曲面状になっていて、本体部材に設けられた
同じ曲率の支持面で支持されるので、パッドは広い面で
安定して支持されると共に、ワーク吸着時に支持面で内
外の圧力差が確実にシールされる。この場合、外周面を
支持するので、両端でパッドを支持する形になり、パッ
ドの安定性が良くなる。即ち、パッドを支持する支持面
には一定の摩擦力があるので、パッドに回転力がかかっ
たときに摩擦力が偶力として作用し、抵抗モーメントを
生ずる。この場合、支点間の距離が大きいので、摩擦力
が小さくてもパッドを安定させるだけのモーメントが生
じてパッドの姿勢が安定する。従って、ワークを取りに
行くときにバキュームチャックを動かしても、通常の動
きによってはそれ程大きなアンバランスモーメントが生
じないので、抵抗モーメントの作用によりパッドは回転
しない。その結果、パッドの姿勢保持のためのスプリン
グを必要としない。
【0007】一方、ワークが傾斜しているときにパッド
の接触面の一部分がワークに当たると、パッドには自重
による摩擦力以外の力は作用しないので、パッドは軽く
動き容易にワークの傾斜に沿う。パッドが傾斜に沿って
ワークに接触すると、パッドの接触面には、もはやスプ
リングを設けた場合のようにアンバランスな力が加わら
ないので、パッドは完全にワークになじみ接触状態が良
好になり、確実にバキュームが生じてワークを吸着する
ことができる。更に、外周面を支持することにより、従
来技術のように中心近くを支持するよりも、同じ揺動角
に対して支持部の変位が大きくなるので、ワークとパッ
ドとがなじみ動作をするときに微小な角変化が容易に行
われ、この点からも接触状態が一層良好になる。
【0008】パッドの開口部の内側には、間隙を隔てて
パッドの突出部と抜け出し規制部材の対向突出部とが対
向配置されているので、曲面状の支持部がワーク側に開
いた形状であっても、パッドが何かの原因で抜け出す方
向に動くと、突出部が対向突出部に当たってその動きが
停止され、抜け出しが防止される。一方、両突出部間に
は間隙があるので、前述の如くパッドの自由ななじみ動
作が制約されることはない。そして、両者の間隙を適当
な大きさにすれば、何らかの原因でパッドに大きな回転
力が加えられたたときに、パッドが傾斜すると円周方向
の何れかの側の突出部が接触することにより、最大回転
角を一定範囲内に制限することができる。従って、突出
部の間隙は、パッドとワークとの間に生じ得る傾斜角の
調整が可能な範囲で、パッドの回転角をできるだけ小さ
く制限するように定められることが望ましい。そのよう
にすれば、バキュームチャックがワークを取りに行くと
きに、パッドの姿勢が悪いために吸着不良を生ずるおそ
れが全くなくなる。但し、パッドの異常傾斜を防止する
ためには、本体部材の支持面の一定位置に回転ストッパ
を設けるようにしてもよい。
【0009】このように対向突出部を設けると、パッド
の抜け出しを防止するために、支持部の曲面をワーク側
にも閉じた形状にする必要がなくなるため、半球面を部
分的に利用した形状にすることができる。その結果、支
持部の吸着方向の長さが短縮される。
【0010】以上のように、請求項1の発明において
は、スプリングを設けなくてもパッドの機能が十分発揮
されるので、バキュームチャックの構造が簡素化され
る。又、スプリングがないことと球面の部分的利用とに
より、本体部材の吸着方向の幅が極めて小さくなる。そ
の結果、バキュームチャックの本体部材を薄型に形成で
き、特に多段に積層支持されたワークを搬送する場合
に、積層間隔を短縮することが可能になる。
【0011】請求項2の発明によれば、上記のような吸
着構造部を備えた本体部材を2組設け、それぞれを1枚
だけ単独に又は多段に支持されたワークの両端支持部間
の距離に近い間隔だけ離して結合するので、2組の本体
部材が支持されたワークを受け取るときに、両端支持部
の近くを支持することになる。従って、製造装置に多段
に支持されたワークを搬送させる場合には、装置に支持
されたワークと、本体部材に支持されたワークとの間で
ワークの撓み曲線が近似することになり、それぞれのワ
ークの間隔が有効に利用される。その結果、製造装置の
積層ピッチを小さくしても他のワークと干渉しなくな
り、薄型の本体部材の採用に加えて一層搬送システムの
能率化を図ることができる。
【0012】
【実施例】図1は実施例のバキュームチャックの吸着部
分の構造を示す。バキュームチャックは、板状の本体部
材であるハンド1に吸着構造部10を備え、板状のワー
クであるガラス基板20を吸着する。吸着構造部10
は、ガラス基板20に吸着するパッド11とこれを支持
する支持面1aと抜け出し規制部材としてのパッド押さ
え12とを有する。
【0013】パッド11は、ハンド1の表面1bから突
出しガラス基板20に接触する接触面11aと、これと
接続し一定曲率の曲面をなす外周面としての半球面の一
部分をなす形状をした部分球面11bと、その内側に設
けられた開口面11cと、その内側に突出した突出部1
1dとを備えている。支持面1aは、ハンド1にホルダ
1cを介して形成され、部分球面11bと同じ曲率を持
つ曲面をなしている。
【0014】パッド押さえ12は、開口面11cの内側
に設けられ、ハンド1にネジ込みや圧入等により固定さ
れ、突出部11dからガラス基板20側に間隙を隔てて
対向した対向突出部12aを備えていて、その内部はバ
キューム形成用の空気通路12bになっている。符号1
dは同じく空気通路で、符号1eはこれを形成するため
の裏板である。突出部11dと対向突出部12aとの間
隙は、パッド11が或る程度の角度自由に傾斜できるよ
うに定められる。但し本実施例では、ホルダ1cを支持
するハンド1の支持面を延長することによってもパッド
11の回転を規制し、パッド11の最大傾斜状態を安定
させている。なお、このようなパッド11の回転角の規
制は、パッド11が基板20の傾斜角に対応する動作を
妨げないように定められる。
【0015】図2は実施例のバキュームチャックの全体
構成を示す。図1に示す吸着構造部10を備えたハンド
1は2組から成り、それぞれのハンド1は、図4にも示
す如く、積層支持されたガラス基板20の両端支持部3
0間の距離Lに近い間隔Dを隔てて連結板2で結合さ
れ、これらによってバキュームチャックが形成されてい
る。2組のハンド1には、それぞれガラス基板20の長
さ方向の2箇所に吸着構造部10が設けられている。ハ
ンド1の空気通路1dは、順次、後方の連結板2の近く
の連絡穴1f、後部空気通路1g、連絡穴1h、連結板
2内に形成された穴2a及び穴2bを介して連結板2の
連絡穴2cと導通している。そして、連絡穴2cに図示
しない真空装置からエアホースが結合されることによ
り、吸着構造部10のパッド11の接触面11a近辺の
空気を吸い込むことができるようになっている。符号3
は、ハンド1と連結板2とを結合するねじである。
【0016】図3は他の実施例のバキュームチャックの
全体構成を示す。このものでは、ハンド1と連結板2と
の間に穴4a、4b及び4cを備えた中間板4が設けら
れている。このように中間板4を設けると、真空装置か
らの接続部となる連結板2が既存の設備として存在する
ような場合に、これに対して本発明の吸着構造部10を
備えたハンド1を適用することが容易になる。
【0017】図4は、実施例のバキュームチャックが積
層支持されたガラス基板20を吸着搬送するときの状態
を示す。ガラス基板20は、両端支持部30に比較的近
い所を2点で吸着支持される。
【0018】以上のような構成により、バキュームチャ
ックは次のように作動される。パッド11は、通常水平
に近い位置になっている。又は、場合によっては、何ら
かの原因で例えば10°〜20°傾斜した位置で位置規
制されている。この状態でバキュームを効かせつつハン
ド1をガラス基板20に近づけると、パッド11が水平
でガラス基板20が傾斜していた場合や、それ以外の場
合でそれぞれの傾斜角が一致していないときでも、パッ
ド11の接触面11aがガラス基板20に接触すると、
パッド11はその部分球面11bが支持面1a上を滑る
ことにより容易にその傾斜を変える。即ち、本発明によ
れば、パッドには摩擦力以外にスプリング力のような余
分な力が作用しないので、接触面11aは容易にガラス
基板20の面に沿う。そして、パッド11は自重以外に
如何なる抑止力もないフローティング状態になっている
ので、或る程度なじみ動作をすると浮き上がり気味にガ
ラス基板20に吸着する。このとき、部分球面11bと
支持面1aとの間に微小間隙ができるが、内外の圧力差
によって瞬時にこの間隙がなくなり、ガラス基板20が
パッド11を介してハンド1に吸着・支持される。この
ような動作は、パッド11のフローティング効果により
迅速且つ確実に行われる。そして、パッド11が外周面
で安定して支持され通常正常な姿勢になっているので、
吸着動作が一層迅速・確実になる。
【0019】又、パッド11の外周面を外側に開いた形
状の部分球面にしていることと、スプリング等の余分な
部品を一切設けていないことから、以上のように傾斜自
在な機能を有するにもかかわらず、ハンド1の高さが極
めて低く、且つ吸着構造部10が簡素な構造のものにな
っている。
【0020】図4は、マガジンの支持部30に多段に積
層支持されたガラス基板20間にロボットで操縦される
ハンド1が挿入され、基板20を支持・搬送するときの
状態を示す。図示の如く、ハンド1が支持部30に近い
位置を支持しているので、支持部30及びハンド1に支
持されたガラス基板20の自重による撓み曲線は近似し
たものになる。従って、基板の支持・搬送動作に当たっ
て積層ピッチが有効に活用され、支持されたガラス基板
20−2と上下のガラス基板20−1及び20−3との
間隔が十分確保される。一方、図5(b)に示すような
従来のハンド1´を用いると、同図(a)に示す如く、
ガラス基板20の撓み曲線が反対向きになるため、支持
した基板20−2とその上の基板20−3との間隔が殆
どなくなる。このため、従来のハンド1´を用いる場合
には、積層ピッチを大きくしなければならなかった。従
って、本発明のバキュームチャックによれば、従来より
積層ピッチを小さくすることにより、ガラス基板の製造
システムの高能率化を図ることができる。
【0021】なお以上では、図2に示す如く、ハンド1
を2組設けた場合について説明したが、取り扱うワーク
の形状、大きさ、材質等が定まっており、2点で支持し
たときの撓み曲線が略一定であるような場合には、吸着
構造部10を有するハンド部分を中心位置に設け、その
両側にマガジンの支持間隔に近い距離を隔ててワーク受
け部を設け、パッド11及びワーク受け部の高さがワー
クの撓み曲線に近い関係位置になるようなバキュームチ
ャックにすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、請求項1の
発明においては、パッドの外周面を本体部材で球面支持
すると共に、抜け出し規制部材でその抜け出しを防止す
ることにより、パッドをフローティング支持して歪みの
大きなワークでも確実に吸着することができる。又、ス
プリングを設ける必要がないので、構造が簡単になると
共に、本体部材を薄型にすることができる。その結果、
ワークを多段に支持する製造装置の場合に、その積層間
隔を縮小して集積率を大きくし、そのコンパクト化と処
理能力の向上を図ることができる。更に、本体部材自体
の平面精度を厳しく維持する必要がなくなるので、製造
コストが低減する。
【0023】請求項2の発明においては、上記に加え
て、本体部材を2組設け、その間隔をワークが支持され
る間隔に近づけるので、ワークが多段に支持される場
合、支持状態でのワークの撓み曲線を近似させることが
でき、積層ピッチを一層小さくして更に製造設備の能力
向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のバキュームチャックの吸着構造部の断
面図である。
【図2】上記バキュームチャックの全体構成を示し、
(a)は平面図で(b)は(a)のb−b線拡大断面図
である。
【図3】他の実施例のバキュームチャックの全体構成を
示し、(a)は平面図で(b)は(a)のb−b線拡大
断面図である。
【図4】実施例のバキュームチャックでマガジンに積層
支持されたガラス基板を支持・搬送するときの状態を示
した説明図である。
【図5】(a)は従来のバキュームチャックでマガジン
に積層支持されたガラス基板を支持・搬送するときの状
態を示した説明図で、(b)は従来のバキュームチャッ
クの斜視図である。
【符号の説明】
1 ハンド(本体部材) 1a 支持面 10 吸着構造部 11 パッド 11a 接触面11 11b 部分球面11(外周面) 11c 開口面 11d 突出部 12 パッド押さえ(抜け出し規制部材) 12a 対向突出部 20 ガラス基板(ワーク)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の本体部材に吸着構造部を備え、板
    状のワークを吸着するバキュームチャックにおいて、 前記吸着構造部は、前記ワークに吸着するパッドと、該
    パッドを支持する支持面と、抜け出し規制部材とを有
    し、前記パッドは、前記本体部材の表面から突出し前記
    ワークに接触する接触面と、該接触面と接続し一定曲率
    の曲面をなす外周面と、前記外周面の内側に設けられた
    開口面と、該開口面の内側に突出した突出部とを備え、
    前記支持面は、前記本体部材に形成され前記外周面と同
    じ曲率を持つ曲面をなし、前記抜け出し規制部材は、前
    記開口面の内側に設けられ、前記本体部材に固定され、
    前記突出部に対して前記ワーク側に間隙を隔てて対向し
    た対向突出部を備えている、ことを特徴とするバキュー
    ムチャック。
  2. 【請求項2】 前記吸着構造部を有する前記本体部材は
    2組から成り、それぞれの本体部材は前記ワークの両端
    支持部間の距離に近い間隔を隔てて結合されていること
    を特徴とする請求項1に記載のバキュームチャック。
JP5820794A 1994-03-02 1994-03-02 フローティング型バキュームチャック Expired - Lifetime JP2663240B2 (ja)

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