JPH0625806Y2 - 保冷コンテナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、食品等の比較的短時間の保冷に用いる保冷
コンテナ、特にドライアイス等の蓄冷材を冷熱源として
食品等を均冷状態に保持して配送するのに用いられる例
えばコールドロールボックスパレットと称されるような
保冷コンテナに関する。

従来の技術 従来、この種の保冷コンテナとして、断熱性のボックス
本体内の上部に棚を設け、その棚にドライアイス等の冷
熱源を載置すると共に、貯蔵室内に食品等の被保冷物を
収納するようにしたものが広く普及している。しかしな
がら、このような保冷コンテナにあっては、その冷却は
専ら内部空気の自然対流に依存していたため、貯蔵室内
の上部と下部とで温度差が生じるという不都合が生じて
いた。

上記不都合を解消すべく、例えば特開昭５６−１１９４
７５号公報に示されているように、断熱性のコンテナ本
体内を上部の冷熱源収納室と下部の貯蔵室とに区画し、
かつ両室内に端部が臨むように複数本の各独立した棒状
ヒートパイプを配設して両室を熱的に連通させ、前記冷
熱源収納室内に収納したドライアイス等の冷熱源より伝
達された冷熱を、前記ヒートパイプを介して貯蔵室に移
送し、もって貯蔵室内を均一に保冷しようとしたものが
提案されている。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、このような保冷コンテナにあっては、貯
蔵室内に配設されたヒートパイプが貯蔵室内の実質的な
収納容積の減少を招いていたばかりか、食品等の貯蔵の
際にこのパイプが邪魔になるという難があった。

また、上記ヒートパイプは、コンテナ本体とは別に製造
され、その後コンテナ本体内に固定されるものであった
ため、面倒な固定作業を必要としていたのに加えて、固
定状態においては、ヒートパイプがコンテナ本体側壁の
内装壁板に沿った状態となって、内装壁板を実質的に二
重構造にしたのと同一の結果を招き、その分材料の無駄
が生じていたために製品のコストアップを招いていた。

この考案は、上述のような問題点を解消すべくなされた
ものであって、従来品と同様にコンテナ本体内にヒート
パイプを装備して均一冷却効果に優れたものとしなが
ら、ヒートパイプを装備しないものと略同様な収納容積
を確保すると共に、無駄な材料の重複および面倒な固定
作業を省略し得て、製品のコストダウンを図り得るよう
な保冷コンテナを提供しようとするものである。

問題点を解決する為の手段 而して、この考案は、コンテナ本体の側壁における内装
壁板の一部および区画壁を、冷熱の移送を司どる平板状
のヒートパイプパネルにより一体的に構成したものであ
る。

即ち、この考案は、前面に開閉扉（２）を有するコンテ
ナ本体（１）が、内装壁板（Ａ）と外装壁板（Ｂ）との
間に断熱材（Ｃ）の充填された周壁により構成されると
共に、上記コンテナ本体（１）の内部が、区画壁（Ｄ）
により上部の冷熱源収納室（Ｅ）とその下部の貯蔵室
（Ｆ）とに区画されてなる保冷コンテナにおいて、少な
くとも１つの垂直壁部(3a)と、該壁部(3a)の上端から屈
曲して連続した水平壁部(3b)とを有し、かつこれら両壁
部(3a)(3b)に連続した１または複数の格子状ないしは網
目状回路のヒートパイプ部（６）を有する金属製のヒー
トパイプパネル（３）を備え、上記垂直壁部(3a)が前記
コンテナ本体（１）のいずれか１つの側壁(1a)(1b)(1c)
における内装壁板（Ａ）の上端部を除いた全部または一
部を構成すると共に、上記水平壁部(3b)が前記区画壁
（Ｄ）を構成してなることを特徴とする保冷コンテナを
要旨とするものである。

実施例 この考案を、図示実施例に基づいて説明する。

第１図ないし第３図に示す実施例の保冷コンテナは、前
面に開閉扉（２）を有する断熱性のコンテナ本体（１）
と、その下端に取付けられたキャスター(13)とよりな
る。

前記コンテナ本体（１）は、内装壁板（Ａ）と外装壁板
（Ｂ）との間に発泡ポリウレタン合成樹脂等の断熱材
（Ｃ）を充填した断熱性を有する周壁で構成されてい
る。

上記内装壁板（Ａ）は、その一部を除き冷熱の移送と内
装壁板とを兼ねた３組の金属製のヒートパイプパネル
（３）（４）（５）により構成されている。

これらのヒートパイプパネル（３）（４）（５）は、い
ずれも１つの垂直壁部(3a)(4a)(5a)と、その上端から屈
曲して連続した水平壁部(3b)(4b)(5b)とを有する、側面
視略逆Ｌ字状に屈曲形成され、上記垂直壁部(3a)(4a)(5
a)から水平壁部(3b)(4b)(5b)に連続する網目状ないしは
格子状の回路の中空部（９）を有する１枚の熱伝導性に
優れたアルミニウム製のロールボンドパネルを用い、上
記中空部（９）内に減圧下に水等の作動流体を封入して
ヒートパイプ部（６）（７）（８）を形成している。

そして、前記コンテナ本体（１）の後面側壁(1a)におけ
る内装壁板（Ａ）の上端部を除いた全部が、第１図およ
び第２図に示すように、上記ヒートパイプパネル（３）
の垂直壁部(3a)により構成されている。このパネル
（３）の水平壁部(3b)は、コンテナ本体（１）の内部を
上部の冷熱源収納室（Ｅ）とその下部の貯蔵室（Ｆ）と
に区画する区画壁（Ｄ）を構成している。この区画壁
（Ｄ）の前端と開閉扉（２）との間には隙間(10)が形成
されており、この隙間(10)を介して冷熱源（Ｇ）からの
冷気が貯蔵室（Ｆ）内に直接降下しうるようになってい
る。

一方、前記コンテナ本体（１）の左右両側壁(1b)(1c)、
および上面壁(1d)における内装壁板（Ａ）は、前述した
他の２つのヒートパイプパネル（４）（５）により構成
されている。

なお、上記後面側壁(1a)の上端部および底面壁(1e)の各
内装壁板（Ａ）は、通常の金属板(11)(12)が用いられて
いる。

上記コンテナ本体（１）は、内装壁板（Ａ）と外装壁板
（Ｂ）との間に前記断熱材（Ｃ）を注入発泡させること
により、一体的に製造されるものである。

この保冷コンテナ（１）は、使用に際して、第１図およ
び第２図に示すように、区画壁（Ｄ）の上部にドライア
イス等の冷熱源（Ｇ）を置き、貯蔵室（Ｆ）内に食品等
の被保冷物を収納する。

すると、冷熱源（Ｇ）よりの冷熱はヒートパイプ部
（６）（７）（８）を介して急速に貯蔵室（Ｆ）内に移
送されると共に、前記冷熱源（Ｇ）からの冷熱の一部が
前記区画壁（Ｄ）の前端とコンテナ本体（１）の開閉扉
（２）との隙間(10)を介して直接降下する。従って、貯
蔵室（Ｆ）内は、前記各垂直壁部(3a)(4a)(5a)の略全面
からの冷熱および前記隙間(10)を介して直接侵入する冷
熱の双方により、急速に、かつ全体が均一に冷却される
ものである。

第４図は、他の実施例を示すもので、ヒートパイプパネ
ル(30)として、１つの垂直壁部(30a)とその上端に連続
した水平壁部(30b)とよりなる側面視略逆Ｌ字状に屈曲
形成されたものを用い、上記垂直壁部(30a)をコンテナ
本体（１）の後面側壁(10a)の上端部を除く内装壁板
（Ａ）に兼用すると共に、上記水平壁部(30b)を区画壁
（Ｄ）としたものである。

第５図は、更に他の実施例を示すもので、ヒートパイプ
パネル(40)として、対向する２つの垂直壁部(40a)(40b)
とその上端に連続した水平壁部(40c)とよりなる側面視
略下向きコ字状に屈曲形成されたものを用い、上記両垂
直壁部(40a)(40b)をコンテナ本体（１）の左右両側壁(1
0b)(10c)の内装壁板（Ａ）の一部に兼用すると共に、上
記水平壁部(40c)を区画壁（Ｄ）としたものである。

上記いずれのヒートパイプパネル（３）（４）（５）(3
0)(40)も、網目状ないしは格子状に連通した中空部を有
する１つの回路からなるヒートパイプ部を備えたものを
示したが、中空部が各々独立した複数の回路からなるヒ
ートパイプ部を並設したものとしても良い。

更にまた、ヒートパイプパネル（３）（４）（５）(30)
(40)は、前記実施例のように、ロールボンドパネルを用
いてヒートパイプ化したもので構成するのが最も製造
上、及び外観デザイン上有利であるが、これに限定され
るものではなく、例えば扁平な中空押出形材を用いて構
成しても良い。

なお、この考案は、上記実施例に限定されるものではな
く、要するに少なくとも１つの垂直壁部(3a)と、該壁部
(3a)の上端から屈曲して連続した水平壁部(3b)とを有
し、かつこれら両壁部(3a)(3b)に連続した１または複数
のヒートパイプ部（６）を有する金属製のヒートパイプ
パネル（３）を備え、上記垂直壁部(3a)が前記コンテナ
本体（１）のいずれか１つの側壁(1a)(1b)(1c)における
内装壁板（Ａ）の上端部を除いた全部または一部を構成
すると共に、上記水平壁部(3b)が前記区画壁（Ｄ）を構
成してなるものであれば、他のいかなる設計的変更も許
容するものである。

考案の効果 この考案に係る保冷コンテナは、上述のように、少なく
とも１つの垂直壁部(3a)と、該壁部(3a)の上端から屈曲
して連続した水平壁部(3b)とを有し、かつこれら両壁部
(3a)(3b)に連続した１または複数の格子状ないしは網目
状回路のヒートパイプ部（６）を有する金属製のヒート
パイプパネル（３）を備え、上記垂直壁部(3a)が前記コ
ンテナ本体（１）のいずれか１つの側壁(1a)(1b)(1c)に
おける内装壁板（Ａ）の上端部を除いた全部または一部
を構成すると共に、上記水平壁部(3b)が前記区画壁
（Ｄ）を構成してなるものである。従って、その区画壁
（Ｄ）の上部に冷熱源（Ｇ）を載置することによより冷
熱源（Ｇ）からの冷熱は、前記ヒートパイプ部（６）を
介して前記パネル（３）の垂直壁部(3a)に急速に移送さ
れ、該壁部(3a)の略全面から効率良く伝達されて、貯蔵
室（Ｆ）内を均一に、しかも効率良く冷却することがで
き、複数本の各独立した棒状ヒートパイプにより冷熱を
移送して貯蔵室内の冷却を行っていた従来品と較べ、は
るかに均冷効果に優れたものとなすことができる。

また、上記ヒートパイプパネル（３）は内装壁板（Ａ）
の一部を兼ねるものであり、しかも棒状ヒートパイプの
ように突出しないから、貯蔵室（Ｆ）の実質的な収納容
量を大きく減じるようようなことがない。したがって、
棒状ヒートパイプを装着した同一外寸の従来品と比較し
て、収納容量を大きなものとすることができるし、被保
冷物の貯蔵時にヒートパイプが邪魔になったりするよう
な不都合もない。

更には、上記ヒートパイプパネル（３）は、コンテナ本
体（１）の製造時に一体的に装備されるものであるか
ら、面倒なヒートパイプの固定作業が不要となると共
に、上記パネル（３）が内装壁板（Ａ）の一部を兼ねる
ものであるから、材料の重複を省くことができ、もって
製品のコストダウンを図りうる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すものであり、第１図は開
閉扉を開いた状態を示す一部切欠き全体斜視図、第２図
は縦断面図、第３図は内装壁板の分離状態を示す斜視
図、第４図および第５図はヒートパイプパネルの変形例
を示す全体斜視図である。 （１）…コンテナ本体、(1a)(10a)(10b)(10c)…側壁、
（２）…開閉扉、（３）(30)(40)…ヒートパイプパネ
ル、(3a)(30a)(40a)(40b)…垂直壁部、(3b)(30b)(40c)
…水平壁部、（６）（７）…ヒートパイプ部、（Ａ）…
内装壁板、（Ｂ）…外装壁板、（Ｃ）…断熱材、（Ｄ）
…区画壁、（Ｅ）…冷熱源収納室、（Ｆ）…貯蔵室。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−57251（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−58582（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭55−34348（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭57−37025（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前面に開閉扉（２）を有するコンテナ本体
   （１）が、内装壁板（Ａ）と外装壁板（Ｂ）との間に断
   熱材（Ｃ）の充填された周壁により構成されると共に、
   上記コンテナ本体（１）の内部が、区画壁（Ｄ）により
   上部の冷熱源収納室（Ｅ）とその下部の貯蔵室（Ｆ）と
   に区画された保冷コンテナにおいて、 少なくとも１つの垂直壁部(3a)と、該壁部(3a)の上端か
   ら屈曲して連続した水平壁部(3b)とを有し、かつこれら
   両壁部(3a)(3b)に連続した１または複数の格子状ないし
   は網目状回路のヒートパイプ部（６）を有する金属製の
   ヒートパイプパネル（３）を備え、上記垂直壁部(3a)が
   前記コンテナ本体（１）のいずれか１つの側壁(1a)(1b)
   (1c)における内装壁板（Ａ）の上端部を除いた全部また
   は一部を構成すると共に、上記水平壁部(3b)が前記区画
   壁（Ｄ）を構成してなることを特徴とする保冷コンテ
   ナ。
2. 【請求項２】ヒートパイプパネル(30)は、１つの垂直壁
   部(30a)と、該壁部(30a)の上端から屈曲して連続した水
   平壁部(30b)とよりなる側面視略逆Ｌ字状に屈曲形成さ
   れたもので、その垂直壁部(30a)がコンテナ本体（１）
   の後面側壁(10a)における内装壁板（Ａ）の一部を構成
   すると共に、上記水平壁部(30b)が区画壁（Ｄ）を構成
   してなる実用新案登録請求の範囲第１項記載の保冷コン
   テナ。
3. 【請求項３】ヒートパイプパネル(40)は、対向する２つ
   の垂直壁部(40a)(40b)とその上端に連続した水平壁部(4
   0c)とよりなる側面視略下向きコ字状に屈曲形成された
   もので、上記両垂直壁部(40a)(40b)がコンテナ本体
   （１）の左右両側壁(10b)(10c)の内装壁板（Ａ）の一部
   を構成すると共に、上記水平壁部(40c)が区画壁（Ｄ）
   を構成してなる実用新案登録請求の範囲第１項記載の保
   冷コンテナ。