JPH0625736A - 長寿命浸炭軸受の製造方法 - Google Patents

長寿命浸炭軸受の製造方法

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JPH0625736A
JPH0625736A JP20724792A JP20724792A JPH0625736A JP H0625736 A JPH0625736 A JP H0625736A JP 20724792 A JP20724792 A JP 20724792A JP 20724792 A JP20724792 A JP 20724792A JP H0625736 A JPH0625736 A JP H0625736A
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JP
Japan
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bearing
shot peening
treatment
residual stress
life
Prior art date
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Pending
Application number
JP20724792A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsumi Urita
龍実 瓜田
Kunio Namiki
邦夫 並木
Makoto Yoshida
吉田  誠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転動疲労寿命に優れた浸炭軸受の製造方法を
提供することを目的とする。 【構成】浸炭軸受を製造するに際して(イ)肌焼鋼を浸
炭焼入れ又は浸炭浸窒焼入れした後焼戻しし、(ロ)若
しくは該焼戻し後に引き続いてショットピーニングを施
し、(ハ)又は研磨,研削,ラッピング等表面仕上げ処
理し、それら(イ),(ロ),(ハ)の処理後の表面を最終表面
とするとき、該表面における圧縮残留応力σ(MPa)
と残留オーステナイト量γ(%)との組合せが、0.0
010×σ+0.3×γ≧1.0の関係となるように材
料組成,処理条件を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はピッチング,フレーキ
ング寿命等面圧疲労強度に優れた浸炭軸受の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年自
動車の高出力化,軽量化が進み、これに伴ってピッチン
グ,フレーキング寿命等の転動寿命の高い浸炭軸受に対
する要求がとみに高まっている。
【0003】浸炭軸受の長寿命化については不純物,介
在物,圧縮残留応力,残留オーステナイト,合金成分等
の観点から種々検討されている。
【0004】一般的に、不純物,介在物の低減は寿命向
上に対して有効である。例えば通常の電気炉で溶製され
た鋼に対し、エレクトロスラグ再溶解・真空アーク再溶
解などの2次精錬により介在物を低減した鋼により製造
した軸受は、寿命ばらつきが低減し、L10寿命で2倍程
度の向上が図られる。
【0005】しかしエレクトロスラグ再溶解・真空アー
ク再溶解などの2次精錬を行うとコストが高くなるとい
う問題点がある。
【0006】またその効果が寿命ばらつき低減によるも
のであるため、全体の寿命改善にはつながらず、寿命向
上に限度がある問題がある。
【0007】一方、浸炭軸受の場合、焼入れ時に表面に
圧縮残留応力が発生し、この圧縮残留応力は転動時に生
ずる剪断応力を緩和する働きがあるため、この圧縮残留
応力が軸受の寿命を向上させるように作用する。
【0008】しかしながら焼入れ時に発生する圧縮残留
応力は小さいものであり、寿命を向上させる上で有効に
利用できるほどのものでないといった問題がある。
【0009】そこで転動時の初期段階において転動面に
過負荷を作用させて圧縮残留応力を付与する試みもなさ
れているが、この場合もまた有効に利用できるほどの強
い圧縮残留応力が得られない問題がある。
【0010】他方、残留オーステナイトは転動中に組織
変化を起し、亀裂の進行を阻止することにより、転動寿
命向上に有効であると言われている。
【0011】またこの残留オーステナイトに関連して、
最近ではショットピーニングによる高寿命化の手法が多
く適用されている。この手法はショットピーニングによ
り残留オーステナイトを加工誘起マルテンサイトに変態
させ、その際に生ずる膨張作用を利用して被ショットピ
ーニング部に高い圧縮残留応力を付与するものである。
【0012】この圧縮残留応力は、例えば歯車の場合に
歯元等曲げ負荷応力の作用する部位においてその負荷応
力を緩和する働きがあり、疲れ強さを著しく(5倍程
度)向上させる。
【0013】一方、軸受においても転動時に作用する剪
断応力が圧縮残留応力により緩和され、従ってショット
ピーニングによる圧縮残留応力の付与は軸受の寿命向上
に対して有効と考えられる。
【0014】しかしながら従来、軸受におけるこのよう
なショットピーニングの寿命向上に及ぼす影響について
は研究があまり行われておらず、その効果については十
分明らかにされていない。
【0015】これは表面の面精度が要求される軸受の場
合、ショットピーニングを施すと表面が荒れた状態とな
り、従ってその後に研磨等を行うことが必要であってそ
の分コスト高となること、また通常ショットピーニング
の強さは、アルメンストリップAゲージで測定されるア
ークハイトでせいぜい0.7mmA以下であるため、得
られる圧縮残留応力が低いこと等が原因しているものと
考えられる。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解決するためになされたものであり、その要旨は、浸
炭軸受を製造するに際して(イ)肌焼鋼を浸炭焼入れ又
は浸炭浸窒焼入れした後焼戻しし、(ロ)若しくは該焼
戻し後に引き続いてショットピーニングを施し、(ハ)
又は研磨,研削,ラッピング等表面仕上げ処理し、それ
ら(イ),(ロ),(ハ)の処理後の表面を最終表面とすると
き、該表面における圧縮残留応力σ(MPa)と残留オ
ーステナイト量γ(%)との組合せが、0.0010×
σ+0.3×γ≧1.0の関係となるように材料組成,
処理条件を制御することにある。
【0017】
【作用及び発明の効果】本発明者は、熱処理条件,材料
組成,ショットピーニング条件等を変化させることによ
り、圧縮残留応力と残留オーステナイト量を種々変化さ
せて、これらが転動寿命に及ぼす影響を鋭意検討した。
【0018】この結果、残留オーステナイトと圧縮残留
応力との組合せの最適値を見極め、圧縮残留応力と残留
オーステナイトがある一定値以上の場合に、転動寿命向
上の効果が著しいことを見出した。
【0019】本発明はこのような知見の下に完成された
もので、圧縮残留応力σ(MPa)と残留オーステナイ
ト量γ(%)との組合せを、0.0010×σ+0.3
×γ≧1.0とすることを特徴とするものであり、この
条件を満たす場合に疲労寿命の向上効果が著しいことを
確認した。
【0020】ここで残留オーステナイト量はショットピ
ーニングによって減少することを考慮し、浸炭終了時に
多めに生成させておく必要がある。それにはSi,M
n,Mo,Ni,Cr量を添加又は増量して、残留オー
ステナイトを生成し易い材料組成としておくことが有効
である。
【0021】またSiとMoは、焼戻し軟化抵抗を高
め、転動寿命向上に寄与するという効果も期待できる。
【0022】またAl,Nは結晶粒を微細化させ、クラ
ック伝播の抵抗を増加させ、転動寿命特性,浸炭層の靱
性を増加させるため、適量添加することも有効である
し、OはAl23を生成し、応力集中源となるために低
減することが有効である。
【0023】一方熱処理面からは、浸炭時にCポテンシ
ャルを高めに設定すること、浸炭後の焼入れ温度をやや
高めに設定すること、Ms点直上の熱浴に焼入れするマ
ルクエンチを実施する方法、焼入れ油の温度を高めに設
定する方法、又は浸炭後すぐにアンモニアガスを導入す
る浸炭浸窒を実施する方法等が、オーステナイト量を多
くする上で有効な方法である。
【0024】また残留オーステナイトの分解をできるだ
け抑制するため、低温,短時間での焼戻しが有効であ
る。
【0025】これらのどの方法を選択するかはショット
ピーニングの強さ等を考慮して任意に選択すれば良い。
【0026】またSi,Mnを多量に添加した場合は、
通常のガス浸炭では粒界酸化を生成し易く靱性を損ね、
ショットピーニングの効果も低減させるため、粒界酸化
を生成しない浸炭方法である真空浸炭,プラズマ浸炭を
用いるべきである。
【0027】いずれにしても0.0010×σ+0.3
×γ≧1.0の条件を満たすように条件設定すれば良
い。
【0028】尚このショットピーニングの場合ショット
球の損耗が著しいため、より効率良く被ショットピーニ
ング部に投射できるノズルタイプのショットピーニング
機が、インペラータイプのものより好ましい。
【0029】
【実施例】次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下
にその実施例を詳述する。表1に示す各種合金成分(重
量%,残部Fe及び不純物)の鋼70トンを溶製した。
【0030】
【表1】
【0031】各供試材を圧延し、焼ならしして試験片に
加工し、次の条件で熱処理した。
【0032】[熱処理条件] 1173K×10800sのガス浸炭,ガス浸炭浸窒 1173K×10800sのプラズマ浸炭 1253K×10800sの真空浸炭→1133K×1800s保持→油冷 焼戻し 433K×1800s→空冷
【0033】また試験片を引続き以下の条件でショット
ピーニングした。
【0034】[ショットピーニング条件] 投射球粒径 :0.8mm 投射球硬さ :≧HRC60 投射速度 :100m/s アークハイト:0.3〜1.0mmA
【0035】更にスラスト試験片を作製し、以下の条件
でスラスト試験機にかけて転動試験を行い、剥離が起る
までの繰返し数を求めた。
【0036】[スラスト転動試験] 外径 :63mm 内径 :28.7mm 転動面径:38.5mm 厚さ :8.8mm(ショットヒ゜ーニンク゛後、表面を50μm研
磨) 面圧 :4900MPa 回転数 :20Hz 油 :タービン油 #68
【0037】結果が表2に示してある。
【0038】
【表2】
【0039】この結果から、Z≧1(Z=0.0010
×σ+0.3×γ)の条件を満たす本発明例の場合、Z
<1の比較例に比べて転動寿命が1桁近く向上している
ことがわかる。
【0040】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において、種々変更を加えた態様で実施可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21D 9/00 A 7356−4K C23C 8/22 7516−4K (72)発明者 吉田 誠 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸炭軸受を製造するに際して(イ)肌焼
    鋼を浸炭焼入れ又は浸炭浸窒焼入れした後焼戻しし、
    (ロ)若しくは該焼戻し後に引き続いてショットピーニ
    ングを施し、(ハ)又は研磨,研削,ラッピング等表面
    仕上げ処理し、それら(イ),(ロ),(ハ)の処理後の表面を
    最終表面とするとき、該表面における圧縮残留応力σ
    (MPa)と残留オーステナイト量γ(%)との組合せ
    が 0.0010×σ+0.3×γ≧1.0 の関係となるように材料組成,処理条件を制御すること
    を特徴とする長寿命浸炭軸受の製造方法。
JP20724792A 1992-07-10 1992-07-10 長寿命浸炭軸受の製造方法 Pending JPH0625736A (ja)

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