JPH06256289A - 含フッ素単量体 - Google Patents

含フッ素単量体

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JPH06256289A
JPH06256289A JP14754893A JP14754893A JPH06256289A JP H06256289 A JPH06256289 A JP H06256289A JP 14754893 A JP14754893 A JP 14754893A JP 14754893 A JP14754893 A JP 14754893A JP H06256289 A JPH06256289 A JP H06256289A
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Yutaka Hashimoto
豊 橋本
Masayuki Kamei
政之 亀井
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】表面平滑性、摩擦低減性に優れた硬化被膜を与
える新規な含フッ素単量体を得る。 【構成】 N−プロピルパーフルオロオクチルスルホン
アミドエタノールと2−ヒドロキシエチルアクリレート
と2,4−トリレンジイソシアネートとを反応させた
後、N,N,N′,N′−テトラ(2−ヒドロプロピ
ル)エチレンジアミンをさらに反応させて得る。 【効果】表面平滑性、摩擦低減性に優れた硬化被膜が得
られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な含フッ素単量体
に関し紫外線または電子線等のエネルギー線によって重
合して、表面が平滑性、摩擦低減性、そして撥水・撥油
性等に優れた被覆を形成する単量体に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、プラスチック、磁器、ガラス等の
表面を保護被覆する方法として、表面に重合性モノマー
あるいはこれらのプレポリマー等の硬化性樹脂材料を塗
布し、次いでエネルギー線を照射して硬化性樹脂材料を
重合し、表面に強固な硬化樹脂被膜を形成する方法が知
られている。
【0003】この方法において近年、フッ素化アルキル
基の重合体から形成される表面が低表面エネルギーを有
することが着目され、フッ素化アルキル基含有モノマー
を硬化性樹脂組成物の一成分として使用して、耐溶剤
性、耐摩耗性、摩擦低減性等に優れた被膜を形成しよう
とする機運が高まり、各種成形品の保護被覆はもとよ
り、電子写真像の担持体表面被覆や、磁気テープ、磁気
ディスク等の表面保護被覆まで応用されるようになっ
た。例えば
【0004】 米国特許第2,803,615号、第
2,642,416号、第3,384,627号、第
3,419,602号、第3,719,698号、第
3,981,928号、第3,102,103号、第
3,171,861号、第3,818,074号、第
3,814,741号等の明細書に記載の、一分子中に
パーフロロアルキル基とビニル基を1つずつ含有する化
合物、又は−OCH2CF2O−(CF2CF2O)p −(CF2O)q −CF2C
H2O −の如きフロロオキシアルキレン基の両末端に、2
価の連結基を介してビニル基が連結された化合物を硬化
性樹脂組成物に添加し、耐溶剤性の高い被覆を行う技術
(特開昭57−16067号公報)。
【0005】 磁気記録媒体の磁気表面側に、上記I
中の含フッ素ビニルモノマーを塗布し、エネルギー線で
硬化して、耐摩耗性、摩擦低減性に優れた磁気表面保護
層を得る技術(特開昭59−28244号公報)。
【0006】 エネルギー線硬化型組成物に、1,
1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロピル(メタ)ア
クリレート又はペルフロロエトキシ1,1−ジヒドロペ
ルフロロプロピル(メタ)アクリレートの如き含フッ素
ビニルモノマーを添加し、斯かる組成物をプラスチック
又は金属の表面に塗布、硬化し、平滑性、耐摩耗性に優
れた被膜を形成する技術(特開昭52−105936号
公報)、等の提案がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これら従来から使用さ
れてきたパーフロロアルキル基又はパーフロロアルキレ
ン基含有ビニルモノマーは、非フッ素系成分との相溶性
に劣り、エネルギー線で硬化させて得られた硬化塗膜
は、摩擦低減性、均質性、平滑性が十分ではなく、磁気
テープ又は磁気ディスクに要求されている表面特性を満
足するものではない。
【0008】また一方、フッ素系ビニルモノマーとして
1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロピル(メ
タ)クリレートの如き部分フッ素化されたアルキル基を
含むビニルモノマーを使用し、非フッ素系成分との相溶
性を上げる試みもあるが、この様な方法では硬化塗膜の
表面エネルギーを十分に下げることができない為に、摩
擦低減性、均質性、平滑性が不十分であり、上記記録材
料の要求表面特性をまた充足することができないのが現
状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
点を解決すべく鋭意研究を行った結果、一分子中にパー
フロロアルキル基を2ケあるいは3ケ有し、そのパーフ
ロロアルキル基とアクリロイル基が、或特定の構造の2
価の連結基で連結された形の含フッ素単量体が、非フッ
素系成分との相溶性が良く、又エネルギー線の硬化後、
従来の含フッ素ビニルモノマーあるいは含フッ素界面活
性剤よりもはるかに優れた表面特性、即ち、摩擦低減
性、均質性、平滑性、耐摩擦性、防錆性、防湿性、耐溶
剤性、撥水撥油性等を示す被膜を形成することを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明の目的は、一般式〔I〕上記の如き
優れた相溶性、および表面特性を与える新規な含フッ素
単量体を提供することにある。
【0011】本発明に係る新規な含フッ素単量体は一般
式〔I〕
【0012】
【化6】
【0013】〔式中、Rf は炭素数3〜20のパーフロ
ロアルキル基であり、Z1
【0014】
【化7】
【0015】(但し、R1 は水素原子もしくは炭素数1
〜10のアルキル基である。)、または−(CH2n
−(但し、nは1〜6の整数である。)であり、Z2
−(CH2m −(但し、mは2〜6の整数である。)
または
【0016】
【化8】
【0017】でありRは水素原子、メチル基、またはハ
ロゲン原子例えばCl,Br等であり、Xは
【0018】
【化9】
【0019】(但し、Yは炭素数が15以下で、X基中
に占める重量割合が35〜65%の間である2価の連結
基である。)にて表わされる2価の連結基であり、p及
びqは、p+q=4(但し、pは2又は3である。)を
満たす整数であり、Aは
【0020】
【化10】
【0021】にて表わされる4価の連結基である。〕に
て表わされる含フッ素単量体である。
【0022】尚、一般式〔I〕中、2個含まれているZ
1 は、前記
【0023】
【化11】
【0024】そして−(CH2n −の中から選ばれた
相異なる2種の連結基であっても良い。
【0025】本発明に係る含フッ素単量体においてRf
は炭素数3〜20のパーフロロアルキル基もしくはパー
フロロアルケニル基であり、直鎖状、分岐状、環状また
はそれらを組み合わせたもののいずれでも良く、さらに
主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば(CF32
CFOCF2 CF2 −等でも良い。
【0026】2価の連結基であるX基中のY基の代表的
なものとしては、
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】等が挙げられる。
【0030】本発明に係る含フッ素単量体の具体例とし
て次の如きものが挙げられるが、本発明が下記化合物に
よって何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】本発明に係る含フッ素単量体の製造法には
特に制限はないが、
【0041】
【化23】
【0042】〔但し、Rf ,Z1 ,R,Z2 ,Yは前記
の通りである。〕の反応にて、収率良く簡便に製造され
る。
【0043】即ち、含フッ素アルコール〔II〕とジイソ
シアナート化合物〔IV〕、そして水酸基含有(メタ)ア
クリレート化合物〔III 〕とジイソシアナート化合物
〔IV〕とを、それぞれモル比0.9:1〜1:0.9に
て反応し、
【0044】
【化24】
【0045】を製造する。しかる後に、化合物〔VI〕、
〔VII 〕、そして4価のアルコール化合物〔V〕とをモ
ル比3:1:0.9〜3:1:1.1もしくは2:2:
0.9〜2:2:1.1にて反応し、目的とする本発明
に係る含フッ素単量体〔I〕が製造される。
【0046】上記反応において使用され得る溶剤として
は、イソシアナート基と反応しないものであれば特に制
限はないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、テトラヒドロフラン、ベンゾトリフロリド等が挙
げられる。
【0047】含フッ素アルコール〔II〕とジイソシアナ
ート化合物〔IV〕、そして水酸基含有(メタ)アクリレ
ート化合物〔III 〕とジイソシアナート化合物〔IV〕と
の反応は、温度0〜120℃の範囲で実施され、30〜
90℃が好ましい。又化合物〔IV〕、〔VII 〕と4価の
アルコール化合物〔V〕との反応は、温度0〜150℃
で実施され、30〜100℃が好ましい。
【0048】上記製造方法では、4価のアルコール化合
物〔V〕に、1ケの化合物〔VI〕と3ケの化合物〔VII
〕が付加したものや、さらには4ケの、化合物〔VII
〕が付加したものも副生するが、これらが化合物
〔I〕に混入していても本発明に言う表面特性に大きな
悪影響は及ぼさない。必要であれば、ゲル浸透クロマト
グラフィーで分散することにより精製すれば良い。
【0049】尚、含フッ素アルコール〔II〕、水酸基含
有(メタ)アクリレート化合物〔III 〕、ジイソシアナ
ート化合物〔IV〕、そして4価のアルコール〔V〕は市
販品を購入することが可能である。
【0050】本発明に係る含フッ素単量体は、単独、も
しくは後で述べる光重合開始剤(D)と共に被覆組成物
として使用することは出来るが、経済性、また技術的な
面からは各種素材に対する被覆膜の密着性等の観点か
ら、非フッ素系成分、即ち以下に称する炭化水素系アク
リレート(B)、(C)と併用することが好ましい。
【0051】本発明に称する炭化水素系アクリレート
(B)、(C)としては、アクリロイル基を1個あるい
は2個有するものであり当業界で公知のもの(例えば加
藤清視、中原正二著「UV硬化技術入門」高分子刊行
会、以下1984、〔以下成書という〕の中の、34、
35頁の表10、46〜48頁の表16、57頁の表2
0、170〜172頁の表60等に記載の化合物)から
適宜選択することができ、例えば以下の(B)及び
(C)の如きものである。
【0052】
【化25】
【0053】
【化26】
【0054】
【化27】
【0055】
【化28】
【0056】
【化29】
【0057】
【化30】
【0058】本発明に係る含フッ素単量体(A)と炭化
水素系アクリレート(B)、(C)とからなる被膜組成
物を調製する場合において、(A)と(B)+(C)と
の混合割合に特に制限はないが、経済性、そして得られ
た被覆膜の平滑性、均質性等の点から、重量比で2:1
〜1:10000が好ましく、1:1〜1:5000が
より好ましい。
【0059】上記被膜組成物に対して、当業界公知の所
謂光重合開始剤(例えば前記成書、62頁の表22、7
1頁の表27等に記載の化合物)、即ち例えば、D−
1:ベンゾフェノン、D−2:アセトフェノン、D−
3:ベンゾイン、D−4:ベンゾインエチルエーテル、
D−5:ベンゾインイソブチルエーテル、D−6:ベン
ジルメチルケタール、D−7:アゾビスイソブチロニト
リル、D−8:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン、D−9:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニル−1−オン等及び光増感剤(例えば前記成書、7
2頁の表28、73頁の表29に記載の化合物)、溶
剤、そして各種添加剤を加えることができる。
【0060】溶剤としては、アクリレートモノマーの反
応性に悪影響を及ぼさなければ特に制限はないが、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ク
ロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、1−フロロ
−1−ジクロロ−2−ジフロロ−2−クロロエタン系の
低沸点溶剤が好ましい。添加剤としては、レベリング
剤、消泡剤等が挙げられる。
【0061】本発明に係る被膜形成を紫外線によって実
施する場合、含フッ素単量体(A)及び炭化水素系アク
リレート(B)、(C)としてはα炭素非置換(即ち、
前記一般式及び具体的化合物においてR、R3 共水素原
子のもの)のものが好ましい。
【0062】上記した被膜組成物を基材に塗布する方法
としては、前記の如き当業界公知の種々の方法を用いる
ことができ、基材の材質、形状又は用途等に応じて適宜
使い分けることが望ましい。該組成物の適用形態として
は、該組成物をそのまま塗布に供することもでき、又粘
度が高過ぎる場合や膜厚の制御の場合等においては、該
組成物を溶剤に溶解させた溶液として適用することがで
きる。この溶液の場合には、紫外線又は電子線の照射の
前に、常温、又は必要に応じて加熱や減圧により脱溶剤
させる工程が必要となる。溶剤を加熱除去する場合、モ
ノマー等の加熱重合を来たさないために80℃以下で実
施するのが好ましい。
【0063】本発明に係る含フッ素保護被膜は、上記方
法によって基材上に形成された塗布層に、当業界公知
の、殺菌灯、紫外用蛍光灯、カーボンアーク、キセノン
ランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高
圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然
光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子
線加速路による電子線を照射することによって形成され
る。厚みが5μm以下の塗布層の紫外線硬化の場合、重
合の効率化の点で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で
照射することが好ましい。
【0064】前述の如く、非フッ素系成分に含フッ素ビ
ニルモノマーを添加し、硬化塗膜の表面特性を向上させ
ようとする提案はある。しかしながら、本発明者等の知
見によれば、従来から提案されてきたパーフロロアルキ
ル基又はパーフロロアルキレン基含有ビニルモノマー
は、非フッ素系成分との相溶性不良から相分離を惹起
し、塗膜の均質性を著しく損うために、十分な摩擦低減
性、防錆性、耐擦傷性等を発揮しない。また一方、フッ
素系ビニルモノマーとして部分フッ素化アルキル基を含
有するものを使用し、相溶性を向上させた例もあるが、
この様な系ではフッ素化アルキル基の表面移行性が悪い
ために、十分な表面特性を発揮しないのが実状である。
【0065】これに対し、本発明に係る含フッ素単量体
は、適度な親油性基を有する為に非フッ素系成分との相
溶性を低下させず、又一分子中にパーフロロアルキル基
を2ケないし3ケ含有する為に表面移行性を損っていな
いと考えられる。この為に硬化した時の塗膜表面に、ミ
クロ的に緻密なパーフロロアルキル基の集合体が形成さ
れ、均質でかつ摩擦低減性、平滑性、耐擦傷性、防錆
性、防湿性、耐溶剤性、撥水撥油性等に優れた表面が得
られるものと推定される。尚、以上の推擦は本発明を理
解する上での一助とするものであり、これによって本発
明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0066】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
するが、斯かる説明によって本発明が何ら限定されるも
のでないことは勿論である。文中「部」「%」は重量基
準であるものとする。
【0067】合成例1
【0068】
【化31】
【0069】500mlの4つ口丸底フラスコに、含フ
ッ素アルコール
【0070】
【化32】
【0071】87.7g(0.15モル)、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート5.8g(0.05モル)、ハ
イドロキノン0.2g、2,4−トリレンジイソシアナ
ート34.8g(0.20モル)、そしてテトラヒドロ
フラン100gを秤取し、窒素雰囲気下64℃で4時間
反応した。系内の温度を40℃に下げた後、N,N,
N′,N′−テトラ(2−ヒドロプロピル)エチレンジ
アミン14.6g(0.05モル)を加え、再び64℃
で6時間反応した。滴定によりイソシアナート基の消滅
を確認した後、テトラヒドロフランを減圧下で留去する
ことにより、淡黄色ペースト状粗生成物128.5gを
得た。本粗生成物をそのまま被覆剤に供することができ
るが、必要であれば以下の様にして精製できる。
【0072】上記粗生成物のテトラヒドロフラン溶液を
GPC(カラム:日立製、ゲルコGL−A 130.8
mmφ×500mm、溶離液:テトラヒドロフラン、検
出:紫外吸収計、254nm)にかけたところ、主ピー
クの前後に数本の小さなピークが得られた。全ピーク面
積に対する主ピーク面積の割合は69%であった。
【0073】主ピークを分取し、 1H−NMR測定、I
R測定、そして元素分析(表−1参照)を行ったとこ
ろ、目的とする含フッ素単量体であることが確認でき
た。
【0074】
【表1】
【0075】合成例2
【0076】
【化33】
【0077】合成例1の含フッ素アルコールと2,4−
トリレンジイソシアナートをそれぞれ、C817CH2
CH2 OH 69.6g(0.15モル)、m−フェニ
レンジイソシアナート32.0g(0.20モル)に置
き換え同様にして反応を行い精製した。粗生成物の収量
は121.3gであり、GPCによる主ピークの面積の
割合は67.8%であった。主ピークを分取し、 1H−
NMR測定、IR測定、そして元素分析を行ったとこ
ろ、目的とする化合物であることが確認できた。
【0078】
【表2】
【0079】実施例1〜12 鋼板(JIS G3141) またはアルミ板(JIS
H4000) に表−1に示した本発明の被膜組成物を塗
布し、溶剤を室温で蒸散させた後、塗布層を紫外線また
は電子線によって下記の条件下で硬化させ、被覆膜の諸
特性について検討した。結果を表−1に示す。
【0080】装置;紫外線による硬化は、高圧水銀灯
(80w/cm)を使用し、照射距離10cm、照射時
間60秒、窒素雰囲気下、33℃で実施した。また電子
線による硬化は、カーテン型電子線加速器(200k
V)を使用し、総量10Mradで行った。
【0081】塗装方法;本発明に係る含フッ素単量体
(A)、炭化水素系アクリレート(B)、(C)、そし
て光重合開始剤(D)から成る組成物を酢酸エチルによ
って5%に希釈し、バーコーターにて塗布し、不揮発分
が0.5μmの塗布層を形成した。
【0082】表面平滑性;表面塗膜の平滑性は、倍率1
60倍の光学顕微鏡で塗膜表面のブツ等の有無を観察
し、5段階(5:全くブツがない、4:縁にほんの僅か
ブツあり、3:表面にほんの僅かブツあり、2:表面に
僅かにブツがある、1:全てにブツがある数値が大きい
程良好)で評価した。
【0083】表面乾燥性;接触による ◎印 ベタ付きが全くない ○印 ベタ付きが若干感じられる △印 ベタ付きが少しある ×印 ベタ付きがある
【0084】表面硬度;JIS 5400の方法に基づ
いて実施した。 接触角;接触角は、n−ドデカン又は水を6μl測定表
面に滴下し、エルマ製ゴニオメーター式接触角測定器を
用い、25℃にて測定した。
【0085】防錆性;試験片を20%塩化ナトリウム水
溶液に浸漬し、塗膜に錆が発生するまでの時間を観察
し、5段階(5:200時間以上、4:150〜200
時間、3:100〜150時間、2:50〜100時
間、1:0〜50時間)で評価した。
【0086】碁盤目テスト 1cm角を1mm間かくで縦と横にカッターで切り10
0個のマス目をつくり、セロテープ(積水化学S−83
2) を密着させて、一気にはがし、残ったマス目の数を
表わした。
【0087】尚、実施例及び比較例No.の欄のUV表
示は紫外線硬化による重合体被膜の形成を示し、EB表
示は電子線硬化のそれを示す。また表中のA、B、C、
Dは、本文中の化合物をそれぞれ表わしている。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】実施例15〜21 次にポリエステルフィルムに、表−1に示す実施例1〜
14と同じ組成で被覆膜を形成し、その表面平滑性、表
面乾燥性、n−ドデカンの接触角及び転落角、そして摩
擦抵抗低減性を検討した。その結果を表−2に示す。
【0094】尚、動摩擦係数の測定は、米国材料試験協
会規格D−1894に準じた方法により、東洋ポールド
ウィン社製摩擦試験治具を使用して行った(錘重量:2
36g、引張強度:100mm/min)。
【0095】
【表8】
【0096】
【表9】
【0097】実施例22〜26 次に、下記組成の被覆組成物をポリエステルフィルムに
塗布し、紫外線による硬化後、耐溶剤安定性について調
べ、結果を表−3に示した。
【0098】溶剤はアセトンであり、塗工したフィルム
をアセトンに1時間浸漬した後引き上げ、塗膜の状態を
3段階で表示した。 3:塗膜に全く変化が見られない。
【0099】2:塗膜が膨潤している。 1:塗膜が欠落している。 塗工膜厚:15μm
【0100】被覆組成物の組成: C:17(R3 =H) 40 部 C:14(R3 =H) 20 部 C−1 (R3 =H,n=6) 30 部 反応性含フッ素表面改質剤 1 部 D−5 2.5部
【0101】
【表10】
【0102】実施例27 合成例1で合成されたA−2の粗生成物、精製反応性含
フッ素表面改質剤(主ピーク)、そして主ピークが分取
された残りの成分それぞれ10.0部を、C−8(R3
=H)40.0部、C−13(R3 =H)40.0部、
B−7(R3 =H)7.0部、D−8 30部に配合し
実施例2と同様にして組成物を作り、鋼板に塗布しUV
硬化した。粗生成物を配合した場合、主ピークを配合し
た場合とほぼ同様の表面特性が得られたが、主ピークが
分取された残りの成分を配合したときには、表面特性が
著しく劣っていた。
【0103】
【発明の効果】本発明に係る含フッ素単量体は、エネル
ギー線重合硬化型組成物の一成分としてだけでなく、ビ
ニル基の反応性を利用して、熱硬化型樹脂のモノマー、
又は通常の溶液重合のモノマーとしても使用できる。
【0104】本発明に係る含フッ素単量体を用いて調製
した被膜組成物は、前述の如く各種の固体表面の保護被
覆層として例えば防湿防錆剤、防汚剤、潤滑剤、減摩
剤、剥離剤、離型剤、電子部品等の封止剤等として使用
できるが被膜の薄さと平滑性を生かして特に、記録材料
分野における磁気記録製品の磁性層の被覆に好適に用い
られる。
【0105】例えば、銅、アルミニウム、亜鉛などの非
磁性金属やポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン類、セルロースアセテート等
のセルロース誘導体ポリカーボネート等のプラスチック
や、更に、場合によりガラス、紙、木材、繊維、磁器及
び陶器のようなセラミックス上に蒸着された強磁性合金
(鉄、コバルト及び/又はニッケルを主成分とし、少量
のアルミニウム、シリコン、クロム、マンガン、モリブ
デン、チタン、各種重金属類、希土類金属等を含むも
の)または微量元素存在下で、鉄、コバルト、クロム等
の磁性材料をポリエステル等のプラスチックフィルムに
蒸着した磁気テープ、または磁気ディスクの磁性層等の
保護被覆や、減摩性が特に要求される、磁気テープの背
面処理剤としても好適である。
【0106】また上記した被覆組成物に、磁性粉を分散
させることにより平滑性、減摩性、そして防錆性等を兼
備えたエネルギー線硬化型の磁気バインダーを得ること
ができる。
【0107】一方、本発明の含フッ素単量体は、ガラス
表面上にも透明で平滑な薄い被膜を形成できるので、各
種光学機器の油汚れ防止剤などとして耐油性と耐拭き取
り性を必要とする用途にも使用することができる。
【0108】更に又、防湿性等が特に要求される光ファ
イバー及び光ファイバーケーブルの保護被覆剤としても
好適である。
【0109】また本発明の含フッ素単量体は耐擦傷性に
優れた被膜を形成できるので、各種成形品又はフィル
ム、シート等のハードコート剤としても使用できる。
【0110】さらに又、本発明の含フッ素単量体をベー
スにした組成物に顔料及び分散剤を混入し、防汚性又は
非粘着性に優れた塗料又はインキを形成できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 含フッ素単量体
【特許請求の範囲】
【化1】 〔式中、Rf は炭素数3〜20のパーフロロアルキル基
であり、Z1
【化2】 (但し、R1 は水素原子もしくは炭素数1〜10のアル
キル基である。)、または−(CH2n −(但し、n
は1〜6の整数である。)であり、Z2 は−(CH2
m −(但し、mは2〜6の整数である。)または
【化3】 であり、Rは水素原子、メチル基、またはハロゲン原子
であり、Xは
【化4】 (但し、Yは炭素数が15以下で、X基中に占める重量
割合が35〜65%の間である2価の連結基である。)
にて表わされる2価の連結基であり、p及びqは、p+
q=4(但し、pは2又は3である。)を満たす整数で
あり、Aは
【化5】 にて表わされる4価の連結基である。〕にて表わされる
含フッ素単量体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な含フッ素単量体
に関し紫外線または電子線等のエネルギー線によって重
合して、表面が平滑性、摩擦低減性、そして撥水・撥油
性等に優れた被覆を形成する単量体に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、プラスチック、磁器、ガラス等の
表面を保護被覆する方法として、表面に重合性モノマー
あるいはこれらのプレポリマー等の硬化性樹脂材料を塗
布し、次いでエネルギー線を照射して硬化性樹脂材料を
重合し、表面に強固な硬化樹脂被膜を形成する方法が知
られている。
【0003】この方法において近年、フッ素化アルキル
基の重合体から形成される表面が低表面エネルギーを有
することが着目され、フッ素化アルキル基含有モノマー
を硬化性樹脂組成物の一成分として使用して、耐溶剤
性、耐摩耗性、摩擦低減性等に優れた被膜を形成しよう
とする機運が高まり、各種成形品の保護被覆はもとよ
り、電子写真像の担持体表面被覆や、磁気テープ、磁気
ディスク等の表面保護被覆まで応用されるようになっ
た。例えば
【0004】 米国特許第2,803,615号、第
2,642,416号、第3,384,627号、第
3,419,602号、第3,719,698号、第
3,981,928号、第3,102,103号、第
3,171,861号、第3,818,074号、第
3,814,741号等の明細書に記載の、一分子中に
パーフロロアルキル基とビニル基を1つずつ含有する化
合物、又は−OCH2CF2O−(CF2CF2O)p −(CF2O)q −CF2C
H2O −の如きフロロオキシアルキレン基の両末端に、2
価の連結基を介してビニル基が連結された化合物を硬化
性樹脂組成物に添加し、耐溶剤性の高い被覆を行う技術
(特開昭57−16067号公報)。
【0005】 磁気記録媒体の磁気表面側に、上記I
中の含フッ素ビニルモノマーを塗布し、エネルギー線で
硬化して、耐摩耗性、摩擦低減性に優れた磁気表面保護
層を得る技術(特開昭59−28244号公報)。
【0006】 エネルギー線硬化型組成物に、1,
1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロピル(メタ)ア
クリレート又はペルフロロエトキシ1,1−ジヒドロペ
ルフロロプロピル(メタ)アクリレートの如き含フッ素
ビニルモノマーを添加し、斯かる組成物をプラスチック
又は金属の表面に塗布、硬化し、平滑性、耐摩耗性に優
れた被膜を形成する技術(特開昭52−105936号
公報)、等の提案がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これら従来から使用さ
れてきたパーフロロアルキル基又はパーフロロアルキレ
ン基含有ビニルモノマーは、非フッ素系成分との相溶性
に劣り、エネルギー線で硬化させて得られた硬化塗膜
は、摩擦低減性、均質性、平滑性が十分ではなく、磁気
テープ又は磁気ディスクに要求されている表面特性を満
足するものではない。
【0008】また一方、フッ素系ビニルモノマーとして
1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロピル(メ
タ)クリレートの如き部分フッ素化されたアルキル基を
含むビニルモノマーを使用し、非フッ素系成分との相溶
性を上げる試みもあるが、この様な方法では硬化塗膜の
表面エネルギーを十分に下げることができない為に、摩
擦低減性、均質性、平滑性が不十分であり、上記記録材
料の要求表面特性をまた充足することができないのが現
状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
点を解決すべく鋭意研究を行った結果、一分子中にパー
フロロアルキル基を2ケあるいは3ケ有し、そのパーフ
ロロアルキル基とアクリロイル基が、或特定の構造の2
価の連結基で連結された形の含フッ素単量体が、非フッ
素系成分との相溶性が良く、又エネルギー線の硬化後、
従来の含フッ素ビニルモノマーあるいは含フッ素界面活
性剤よりもはるかに優れた表面特性、即ち、摩擦低減
性、均質性、平滑性、耐摩擦性、防錆性、防湿性、耐溶
剤性、撥水撥油性等を示す被膜を形成することを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明の目的は、一般式〔I〕上記の如き
優れた相溶性、および表面特性を与える新規な含フッ素
単量体を提供することにある。
【0011】本発明に係る新規な含フッ素単量体は一般
式〔I〕
【0012】
【化6】
【0013】〔式中、Rf は炭素数3〜20のパーフロ
ロアルキル基であり、Z1
【0014】
【化7】
【0015】(但し、R1 は水素原子もしくは炭素数1
〜10のアルキル基である。)、または−(CH2n
−(但し、nは1〜6の整数である。)であり、Z2
−(CH2m −(但し、mは2〜6の整数である。)
または
【0016】
【化8】
【0017】でありRは水素原子、メチル基、またはハ
ロゲン原子例えばCl,Br等であり、Xは
【0018】
【化9】
【0019】(但し、Yは炭素数が15以下で、X基中
に占める重量割合が35〜65%の間である2価の連結
基である。)にて表わされる2価の連結基であり、p及
びqは、p+q=4(但し、pは2又は3である。)を
満たす整数であり、Aは
【0020】
【化10】
【0021】にて表わされる4価の連結基である。〕に
て表わされる含フッ素単量体である。
【0022】尚、一般式〔I〕中、2個含まれているZ
1 は、前記
【0023】
【化11】
【0024】そして−(CH2n −の中から選ばれた
相異なる2種の連結基であっても良い。
【0025】本発明に係る含フッ素単量体においてRf
は炭素数3〜20のパーフロロアルキル基もしくはパー
フロロアルケニル基であり、直鎖状、分岐状、環状また
はそれらを組み合わせたもののいずれでも良く、さらに
主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば(CF32
CFOCF2 CF2 −等でも良い。
【0026】2価の連結基であるX基中のY基の代表的
なものとしては、
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】等が挙げられる。
【0030】本発明に係る含フッ素単量体の具体例とし
て次の如きものが挙げられるが、本発明が下記化合物に
よって何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】本発明に係る含フッ素単量体の製造法には
特に制限はないが、
【0041】
【化23】
【0042】〔但し、Rf ,Z1 ,R,Z2 ,Yは前記
の通りである。〕の反応にて、収率良く簡便に製造され
る。
【0043】即ち、含フッ素アルコール〔II〕とジイソ
シアナート化合物〔IV〕、そして水酸基含有(メタ)ア
クリレート化合物〔III 〕とジイソシアナート化合物
〔IV〕とを、それぞれモル比0.9:1〜1:0.9に
て反応し、
【0044】
【化24】
【0045】を製造する。しかる後に、化合物〔VI〕、
〔VII 〕、そして4価のアルコール化合物〔V〕とをモ
ル比3:1:0.9〜3:1:1.1もしくは2:2:
0.9〜2:2:1.1にて反応し、目的とする本発明
に係る含フッ素単量体〔I〕が製造される。
【0046】上記反応において使用され得る溶剤として
は、イソシアナート基と反応しないものであれば特に制
限はないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、テトラヒドロフラン、ベンゾトリフロリド等が挙
げられる。
【0047】含フッ素アルコール〔II〕とジイソシアナ
ート化合物〔IV〕、そして水酸基含有(メタ)アクリレ
ート化合物〔III 〕とジイソシアナート化合物〔IV〕と
の反応は、温度0〜120℃の範囲で実施され、30〜
90℃が好ましい。又化合物〔IV〕、〔VII 〕と4価の
アルコール化合物〔V〕との反応は、温度0〜150℃
で実施され、30〜100℃が好ましい。
【0048】上記製造方法では、4価のアルコール化合
物〔V〕に、1ケの化合物〔VI〕と3ケの化合物〔VII
〕が付加したものや、さらには4ケの、化合物〔VII
〕が付加したものも副生するが、これらが化合物
〔I〕に混入していても本発明に言う表面特性に大きな
悪影響は及ぼさない。必要であれば、ゲル浸透クロマト
グラフィーで分散することにより精製すれば良い。
【0049】尚、含フッ素アルコール〔II〕、水酸基含
有(メタ)アクリレート化合物〔III 〕、ジイソシアナ
ート化合物〔IV〕、そして4価のアルコール〔V〕は市
販品を購入することが可能である。
【0050】本発明に係る含フッ素単量体は、単独、も
しくは後で述べる光重合開始剤(D)と共に被覆組成物
として使用することは出来るが、経済性、また技術的な
面からは各種素材に対する被覆膜の密着性等の観点か
ら、非フッ素系成分、即ち以下に称する炭化水素系(メ
タ)アクリレート(B)、(C)と併用することが好ま
しい。
【0051】本発明に称する炭化水素系(メタ)アクリ
レート(B)、(C)としては、(メタ)アクリロイル
基を1個あるいは2個有するものであり当業界で公知の
もの(例えば加藤清視、中原正二著「UV硬化技術入
門」高分子刊行会、以下1984、〔以下成書という〕
の中の、34、35頁の表10、46〜48頁の表1
6、57頁の表20、170〜172頁の表60等に記
載の化合物)から適宜選択することができ、例えば以下
の(B)及び(C)の如きものである。
【0052】
【化25】
【0053】
【化26】
【0054】
【化27】
【0055】
【化28】
【0056】
【化29】
【0057】
【化30】
【0058】含フッ素単量体(A)と炭化水素系(メ
タ)アクリレート(B)、(C)とから被覆組成物を調
製する場合において、(A)と(B)+(C)との混合
割合に特に制限はないが、経済性、そして得られた被覆
膜の平滑性、均質性等の点から、重量比で2:1〜1:
10000が好ましく、1:1〜1:5000がより好
ましい。
【0059】上記被覆組成物に対して、当業界公知の所
謂光重合開始剤(例えば前記成書、62頁の表22、7
1頁の表27等に記載の化合物)、即ち例えば、D−
1:ベンゾフェノン、D−2:アセトフェノン、D−
3:ベンゾイン、D−4:ベンゾインエチルエーテル、
D−5:ベンゾインイソブチルエーテル、D−6:ベン
ジルメチルケタール、D−7:アゾビスイソブチロニト
リル、D−8:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン、D−9:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニル−1−オン等及び光増感剤(例えば前記成書、7
2頁の表28、73頁の表29に記載の化合物)、溶
剤、そして各種添加剤を加えることができる。
【0060】溶剤としては、アクリレートモノマーの反
応性に悪影響を及ぼさなければ特に制限はないが、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ク
ロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、1−フロロ
−1−ジクロロ−2−ジフロロ−2−クロロエタン系の
低沸点溶剤が好ましい。添加剤としては、レベリング
剤、消泡剤等が挙げられる。
【0061】上記組成物から被膜を紫外線によって形成
させる場合は、含フッ素単量体(A)及び炭化水素系
(メタ)アクリレート(B)、(C)としてはα炭素非
置換(即ち、前記一般式及び具体的化合物においてR、
3共水素原子のもの)のものが好ましい。
【0062】上記した被覆組成物を基材に塗布する方法
としては、前記の如き当業界公知の種々の方法を用いる
ことができ、基材の材質、形状又は用途等に応じて適宜
使い分けることが望ましい。該組成物の適用形態として
は該組成物をそのまま塗布に供することもでき、又粘度
が高過ぎる場合や膜厚の制御の場合等においては、該組
成物を溶剤に溶解させた溶液として適用することができ
る。この溶液の場合には、紫外線又は電子線の照射の前
に、常温、又は必要に応じて加熱や減圧により脱溶剤さ
せる工程が必要となる。溶剤を加熱除去する場合、モノ
マー等の加熱重合を来たさないために80℃以下で実施
するのが好ましい。
【0063】本発明の単量体から得られた含フッ素保護
被膜は、上記方法によって基材上に形成された塗布層
に、当業界公知の、殺菌灯、紫外用蛍光灯、カーボンア
ーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高
圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライ
ドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、
カーテン型電子線加速路による電子線を照射することに
よって形成される。厚みが5μm以下の塗布層の紫外線
硬化の場合、重合の効率化の点で、窒素ガス等の不活性
ガス雰囲気下で照射することが好ましい。
【0064】前述の如く、非フッ素系成分に含フッ素ビ
ニルモノマーを添加し、硬化塗膜の表面特性を向上させ
ようとする提案はある。しかしながら、本発明者等の知
見によれば、従来から提案されてきたパーフロロアルキ
ル基又はパーフロロアルキレン基含有ビニルモノマー
は、非フッ素系成分との相溶性不良から相分離を惹起
し、塗膜の均質性を著しく損うために十分な摩擦低減
性、防錆性、耐擦傷性等を発揮しない。また一方、フッ
素系ビニルモノマーとして部分フッ素化アルキル基を含
有するものを使用し、相溶性を向上させた例もあるが、
この様な系ではフッ素化アルキル基の表面移行性が悪い
ために、十分な表面特性を発揮しないのが実状である。
【0065】これに対し、本発明に係る含フッ素単量体
は、適度な親油性基を有する為に非フッ素系成分との相
溶性を低下させず、又一分子中にパーフロロアルキル基
を2ケないし3ケ含有する為に表面移行性を損っていな
いと考えられる。この為に硬化した時の塗膜表面に、ミ
クロ的に緻密なパーフロロアルキル基の集合体が形成さ
れ、均質でかつ摩擦低減性、平滑性、耐擦傷性、防錆
性、防湿性、耐溶剤性、撥水撥油性等に優れた表面が得
られるものと推定される。尚、以上の推擦は本発明を理
解する上での一助とするものであり、これによって本発
明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0066】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
するが、斯かる説明によって本発明が何ら限定されるも
のでないことは勿論である。文中「部」「%」は重量基
準であるものとする。
【0067】実施例1
【0068】
【化31】
【0069】500mlの4つ口丸底フラスコに、含フ
ッ素アルコール
【0070】
【化32】
【0071】87.7g(0.15モル)、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート5.8g(0.05モル)、ハ
イドロキノン0.2g、2,4−トリレンジイソシアナ
ート34.8g(0.20モル)、そしてテトラヒドロ
フラン100gを秤取し、窒素雰囲気下64℃で4時間
反応した。系内の温度を40℃に下げた後、N,N,
N′,N′−テトラ(2−ヒドロプロピル)エチレンジ
アミン14.6g(0.05モル)を加え、再び64℃
で6時間反応した。滴定によりイソシアナート基の消滅
を確認した後、テトラヒドロフランを減圧下で留去する
ことにより、淡黄色ペースト状粗生成物128.5gを
得た。本粗生成物をそのまま被覆剤に供することができ
るが、必要であれば以下の様にして精製できる。
【0072】上記粗生成物のテトラヒドロフラン溶液を
GPC(カラム:日立製、ゲルコGL−A 130.8
mmφ×500mm、溶離液:テトラヒドロフラン、検
出:紫外吸収計、254nm)にかけたところ、主ピー
クの前後に数本の小さなピークが得られた。全ピーク面
積に対する主ピーク面積の割合は69%であった。
【0073】主ピークを分取し、 1H−NMR測定、I
R測定、そして元素分析(表−1参照)を行ったとこ
ろ、目的とする含フッ素単量体であることが確認でき
た。
【0074】
【表1】
【0075】実施例2
【0076】
【化33】
【0077】実施例1の含フッ素アルコールと2,4−
トリレンジイソシアナートをそれぞれ、C817CH2
CH2 OH 69.6g(0.15モル)、m−フェニ
レンジイソシアナート32.0g(0.20モル)に置
き換え同様にして反応を行い精製した。粗生成物の収量
は121.3gであり、GPCによる主ピークの面積の
割合は67.8%であった。主ピークを分取し、 1H−
NMR測定、IR測定、そして元素分析を行ったとこ
ろ、目的とする化合物であることが確認できた。
【0078】
【表2】
【0079】実施例3(本文中A−3の化合物の合成) 500mlの4つ口丸底フラスコに、含フッ素アルコ−
ル C817SO2N(CH3)CH2CH2OH 55.7g(0.10モル)、2−ヒドロキシエチルア
クリレ−ト11.6g(0.10モル)、ハイドロキノ
ン0.2g、2,4−トリレンジイソシアナ−ト34.
8g(0.20モル)、そしてテトラヒドロフラン10
0gを秤取し、窒素雰囲気下64℃で4時間反応した。
系内の温度を40℃に下げた後、N,N,N’,N’−
テトラ(3−ヒドロプロピル)エチレンジアミン14.
6g(0.05モル)を加え、再び64℃で6時間反応
した。滴定によりイソシアナ−ト基の消滅を確認した
後、テトラヒドロフランを減圧下で留去することによ
り、淡黄色ペ−スト状粗生成物116.9gを得た。本
組成物をそのまま被覆組成物に供することができるが、
必要であれば以下に様にして精製できる。
【0080】上記組成物のテトラヒドロフラン溶液をG
PC(カラム:日立製、ゲルコGL−A 130.8m
mφ×500mm、溶離液:テトラヒドロフラン、検
出:紫外吸収計、254nm)にかけたところ、主ピ−
クの前後に数本の小さなピ−クが得られた。全ピ−ク面
積に対する主ピ−ク面積の割合は63%であった。主ピ
−クを分取し、1H−NMR測定、IR測定を行ったと
ころ、目的とする含フッ素単量体であることが確認でき
た。
【0081】
【表3】
【0082】実施例4(本文中A−6の化合物の合成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−6化合
物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラムを
用いて分取した主ピ−クの割合は64.0%であり、そ
の元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR測
定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単量
体であることが確認できた。
【0083】 各原料の仕込量 C613S02N(CH3)(CH25OH74.9g(0.15モル) N,N,N’,N’−テトラ(3−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) イソホロンジイソシアナ−ト 44.5g(0.20モル) CH2=C(Cl)COO(CH26OH10.3g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0084】
【表4】
【0085】実施例5(本文中A−7の化合物の合成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−7化合
物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラムを
用いて分取した主ピ−クの割合は64.9%であり、そ
の元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR測
定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単量
体であることが確認できた。
【0086】 各原料の仕込量 C817S02N(C37)(CH22OH87.7g(0.15モル) ペンタエリスリト−ル 6.8g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 6.5g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0087】
【表5】
【0088】実施例6(本文中A−24の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−24化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は63.9.0%であ
り、その元素分析値は以下の表の通りである。1H−N
MR測定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ
素単量体であることが確認できた。
【0089】 各原料の仕込量 C817(CH22OH 46.4g(0.10モル) ペンタエリスリト−ル 6.8g(0.05モル) ヘキサメチレンジイソシアナ−ト 33.6g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト 11.6g(0.10モル) テトラヒドロフラン 100g
【0090】
【表6】
【0091】実施例7(本文中A−4の化合物の合成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−4化合
物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラムを
用いて分取した主ピ−クの割合は68.9%であり、そ
の元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR測
定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単量
体であることが確認できた。
【0092】 各原料の仕込量 C49SO2NH(CH26OH 59.9g(0.15モル) ペンタエリスリト−ル 6.8g(0.05モル) p−フェニレンジイソシアナ−ト 32.0g(0.20モル) 2−ヒドロキシプロピルアクリレ−ト 6.5g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0093】
【表7】
【0094】実施例8(本文中A−5の化合物の合成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−5化合
物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラムを
用いて分取した主ピ−クの割合は66.3%であり、そ
の元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR測
定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単量
体であることが確認できた。
【0095】 各原料の仕込量 C817S02N(C37)(CH22OH54.5g(0.10モル) N,N,N’,N’−テトラ(2−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 13.0g(0.10モル) テトラヒドロフラン 100g
【0096】
【表8】
【0097】実施例9(本文中A−8の化合物の合成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−8化合
物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラムを
用いて分取した主ピ−クの割合は64.0%であり、そ
の元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR測
定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単量
体であることが確認できた。
【0098】 各原料の仕込量 C1225S02N(C613)(CH22OH124.1g(0.15モル) N,N,N’,N’−テトラ(2−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) p−フェニレンジイソシアナ−ト 32.0g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 6.5g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0099】
【表9】
【0100】実施例10(本文中A−12の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−12化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は67.0%であり、
その元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR
測定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単
量体であることが確認できた。
【0101】 各原料の仕込量 C715CO2NH(CH22OH 39.8g(0.10モル) N,N,N’,N’−テトラ(3−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 13.0g(0.10モル) テトラヒドロフラン 100g
【0102】
【表10】
【0103】実施例11(本文中A−15の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−15化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は62.8%であり、
その元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR
測定、IR測定、そして元素分析を行ったところ、目的
とする含フッ素単量体であることが確認できた。
【0104】 各原料の仕込量 C817(CH22OH 69.6g(0.15モル) ペンタエリスリト−ル 6.8g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト 5.8g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0105】
【表11】
【0106】実施例12(本文中A−17の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−17化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は65.6%であり、
その元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR
測定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単
量体であることが確認できた。
【0107】 各原料の仕込量 C817(CH22OH 69.6g(0.15モル) N,N,N’,N’−テトラ(2−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト 5.8g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0108】
【表12】
【0109】実施例13(本文中A−18の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−18化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は59.0%であり、
その元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR
測定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単
量体であることが確認できた。
【0110】 各原料の仕込量 C1225(CH22OH 66.4g(0.10モル) N,N,N’,N’−テトラ(3−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 13.0g(0.10モル) テトラヒドロフラン 100g
【0111】
【表13】
【0112】実施例14(本文中A−26の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−26化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は67.3%であり、
その元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR
測定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単
量体であることが確認できた。
【0113】 各原料の仕込量 C1633(CH22OH 129.6g(0.15モル) N,N,N’,N’−テトラ(3−ヒドロプロピル)エチレンジアミン 14.6g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト 5.8g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0114】
【表14】
【0115】実施例15(本文中A−28の化合物の合
成) 実施例3と同様の方法にて実施した、本文中A−28化
合物の合成結果を示す。実施例3と同様にGPCカラム
を用いて分取した主ピ−クの割合は53.6%であり、
その元素分析値は以下の表の通りである。1H−NMR
測定、IR測定を行ったところ、目的とする含フッ素単
量体であることが確認できた。
【0116】 各原料の仕込量 C817S02N(C37)(CH22OH58.5g(0.10モル) C817(CH22OH 23.2g(0.05モル) ペンタエリスリト−ル 6.8g(0.05モル) トリレンジイソシアナ−ト 34.8g(0.20モル) 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト 5.8g(0.05モル) テトラヒドロフラン 100g
【0117】
【表15】
【0118】応用例1〜14及び比較応用例1〜12 鋼板(JIS G3141) またはアルミ板(JIS
H4000)に表−1に示した被覆組成物を塗布し、溶
剤を室温で蒸散させた後、塗布層を紫外線または電子線
によって下記の条件下で硬化させ、被覆膜の諸特性につ
いて検討した。結果を表−16に示す(以下、表中で
は、比較応用例と表示せず、単に比較例として表示し
た。)。
【0119】装置;紫外線による硬化は、高圧水銀灯
(80w/cm)を使用し、照射距離10cm、照射時
間60秒、窒素雰囲気下、33℃で実施した。また電子
線による硬化は、カーテン型電子線加速器(200k
V)を使用し、総量10Mradで行った。
【0120】塗装方法;本発明に係る含フッ素単量体
(A)、炭化水素系アクリレート(B)、(C)、そし
て光重合開始剤(D)から成る組成物を酢酸エチルによ
って5%に希釈し、バーコーターにて塗布し、不揮発分
が0.5μmの塗布層を形成した。
【0121】表面平滑性;表面塗膜の平滑性は、倍率1
60倍の光学顕微鏡で塗膜表面のブツ等の有無を観察
し、5段階(5:全くブツがない、4:縁にほんの僅か
ブツあり、3:表面にほんの僅かブツあり、2:表面に
僅かにブツがある、1:全てにブツがある数値が大きい
程良好)で評価した。
【0122】表面乾燥性;接触による ◎印 ベタ付きが全くない ○印 ベタ付きが若干感じられる △印 ベタ付きが少しある ×印 ベタ付きがある
【0123】表面硬度;JIS 5400の方法に基づ
いて実施した。 接触角;接触角は、n−ドデカン又は水を6μl測定表
面に滴下し、エルマ製ゴニオメーター式接触角測定器を
用い、25℃にて測定した。
【0124】防錆性;試験片を20%塩化ナトリウム水
溶液に浸漬し、塗膜に錆が発生するまでの時間を観察
し、5段階(5:200時間以上、4:150〜200
時間、3:100〜150時間、2:50〜100時
間、1:0〜50時間)で評価した。
【0125】碁盤目テスト 1cm角を1mm間かくで縦と横にカッターで切り10
0個のマス目をつくり、セロテープ(積水化学S−83
2) を密着させて、一気にはがし、残ったマス目の数を
表わした。
【0126】尚、表中応用例及び比較例No.の欄のU
V表示は紫外線硬化による重合体被膜の形成を示し、E
B表示は電子線硬化のそれを示す。また表中のA、B、
C、Dは、本文中の化合物をそれぞれ表わしている。
【0127】
【表16】
【0128】
【表17】
【0129】
【表18】
【0130】
【表19】
【0131】
【表20】
【0132】応用例15〜21及び比較応用例13〜1
9 次にポリエステルフィルムに、表−16に示す応用例1
〜14と同じ組成で被覆膜を形成し、その表面平滑性、
表面乾燥性、n−ドデカンの接触角及び転落角、そして
摩擦抵抗低減性を検討した。その結果を表−21に示
す。表−16同様に、表−21中でも、比較応用例と表
示せず、 単に比較例として表示した。
【0133】尚、動摩擦係数の測定は、米国材料試験協
会規格D−1894に準じた方法により、東洋ポールド
ウィン社製摩擦試験治具を使用して行った(錘重量:2
36g、引張強度:100mm/min)。
【0134】
【表21】
【0135】
【表22】
【0136】応用例22〜26及び比較応用例20〜2
4 次に、下記組成の被覆組成物をポリエステルフィルムに
塗布し、紫外線による硬化後、耐溶剤安定性について調
べ、結果を表−18に示した。
【0137】表−18中でも、比較応用例と表示せず、
単に比較例として表示した。
【0138】溶剤はアセトンであり、塗工したフィルム
をアセトンに1時間浸漬した後引き上げ、塗膜の状態を
3段階で表示した。 3:塗膜に全く変化が見られない。
【0139】2:塗膜が膨潤している。 1:塗膜が欠落している。 塗工膜厚:15μm
【0140】被覆組成物の組成: C−17(R3 =H) 40 部 C−14(R3 =H) 20 部 C−1 (R3 =H,n=6) 30 部 含フッ素単量体 1 部 D−5 2.5部
【0141】
【表23】
【0142】応用例27 実施例1で合成されたA−2の粗生成物、精製された単
量体A−2(主ピーク)、そして主ピークが分取された
残りの成分それぞれ10.0部を、C−8(R3 =H)
40.0部、C−13(R3 =H)40.0部、B−7
(R3 =H)7.0部、D−8 30部に配合し実施例
2と同様にして組成物を作り、鋼板に塗布しUV硬化し
た。粗生成物を配合した場合、主ピークを配合した場合
とほぼ同様の表面特性が得られたが、主ピークが分取さ
れた残りの成分を配合したときには、表面特性が著しく
劣っていた。
【0143】
【発明の効果】本発明に係る含フッ素単量体は、エネル
ギー線重合硬化型組成物の一成分としてだけでなく、ビ
ニル基の反応性を利用して、熱硬化型樹脂のモノマー、
又は通常の溶液重合のモノマーとしても使用できる。
【0144】本発明に係る含フッ素単量体を用いて調製
した被覆組成物は、前述の如く各種の固体表面の保護被
覆層として例えば防湿防錆剤、防汚剤、潤滑剤、減摩
剤、剥離剤、離型剤、電子部品等の封止剤等として使用
できるが被膜の薄さと平滑性を生かして特に、記録材料
分野における磁気記録製品の磁性層の被覆に好適に用い
られる。
【0145】例えば、銅、アルミニウム、亜鉛などの非
磁性金属やポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン類、セルロースアセテート等
のセルロース誘導体ポリカーボネート等のプラスチック
や、更に、場合によりガラス、紙、木材、繊維、磁器及
び陶器のようなセラミックス上に蒸着された強磁性合金
(鉄、コバルト及び/又はニッケルを主成分とし、少量
のアルミニウム、シリコン、クロム、マンガン、モリブ
デン、チタン、各種重金属類、希土類金属等を含むも
の)または微量元素存在下で、鉄、コバルト、クロム等
の磁性材料をポリエステル等のプラスチックフィルムに
蒸着した磁気テープ、または磁気ディスクの磁性層等の
保護被覆や、減摩性が特に要求される、磁気テープの背
面処理剤としても好適である。
【0146】また上記した被覆組成物に、磁性粉を分散
させることにより平滑性、減摩性、そして防錆性等を兼
備えたエネルギー線硬化型の磁気バインダーを得ること
ができる。
【0147】一方、本発明の含フッ素単量体は、ガラス
表面上にも透明で平滑な薄い被膜を形成できるので、各
種光学機器の油汚れ防止剤などとして耐油性と耐拭き取
り性を必要とする用途にも使用することができる。
【0148】更に又、防湿性等が特に要求される光ファ
イバー及び光ファイバーケーブルの保護被覆剤としても
好適である。
【0149】また本発明の含フッ素単量体は耐擦傷性に
優れた被膜を形成できるので、各種成形品又はフィル
ム、シート等のハードコート剤としても使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/36 MMQ 7242−4J 220/38 MMU 7242−4J C09D 4/02 PDW 7921−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕 【化1】 〔式中、Rf は炭素数3〜20のパーフロロアルキル基
    であり、Z1 は 【化2】 (但し、R1 は水素原子もしくは炭素数1〜10のアル
    キル基である。)、または−(CH2n −(但し、n
    は1〜6の整数である。)であり、 Z2 は−(CH2m −(但し、mは2〜6の整数であ
    る。)または 【化3】 であり、Rは水素原子、メチル基、またはハロゲン原子
    であり、Xは 【化4】 (但し、Yは炭素数が15以下で、X基中に占める重量
    割合が35〜65%の間である2価の連結基である。)
    にて表わされる2価の連結基であり、 p及びqは、p+q=4(但し、pは2又は3であ
    る。)を満たす整数であり、Aは 【化5】 にて表わされる4価の連結基である。〕にて表わされる
    含フッ素単量体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010105382A (ja) * 2008-09-30 2010-05-13 Fujifilm Corp 平版印刷版原版、平版印刷版の製版方法及び重合性モノマー
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