JPH0625291B2 - ガンマ−線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

ガンマ−線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH0625291B2
JPH0625291B2 JP27090785A JP27090785A JPH0625291B2 JP H0625291 B2 JPH0625291 B2 JP H0625291B2 JP 27090785 A JP27090785 A JP 27090785A JP 27090785 A JP27090785 A JP 27090785A JP H0625291 B2 JPH0625291 B2 JP H0625291B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガンマー線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物に関
し、詳しくは塩化ビニル系樹脂、有機カルボン酸のカル
シウム塩、有機カルボン酸の亜鉛塩、エポキシ化植物油
及び2-ヒドロキシベンゾフェノン系化合物からなるガン
マー線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
従来、塩化ビニル系樹脂を医療用具に用いた場合日本薬
局方に定められた通りエチレンオキサイドガスによる滅
菌(以下EOG滅菌という)が通常行われている。しか
しEOG滅菌を行う際の滅菌室付近の環境問題あるいは
EOG滅菌を行った医療用具へのエチレンオキサイドガ
スの付着、浸透の問題から、必ずしも良い滅菌方法であ
るとは言えなかった。
EOG滅菌のほかに、放射線同位元素を含む線源からの
ガンマー線を照射することによって滅菌する方法(以下
γ線滅菌という)がある。γ線滅菌は通常60Coまたは
137Csなどを含む放射線源が用いられ、滅菌されるもの
の材質、性状または汚染状況などによって、照射総線量
を調整し滅菌するが、通常の医療用具は2.5Mardで、最
高でも5Mardである。また、塩化ビニル系樹脂を食品包
装容器、フィルム、シート等に用いた場合、該包装材料
あるいは内容食品の滅菌等を目的としてガンマー線を照
射することがある。
しかしながら、塩化ビニル系樹脂で作成した医療用具あ
るいは食品包装材をガンマー線滅菌を行うと、黄色化し
たり、強度あるいは伸びが低下したりすることがあっ
た。
そのために、ガンマー線滅菌を行う医療用具、食品包装
材にはポリエチレンやポリプロピレン又はエチレン−酢
ビ等のようなガンマー線滅菌に耐える樹脂を使用するこ
とも提案されている。しかしながら、これらの樹脂は、
塩化ビニル系樹脂並の透明性や柔軟性が得られないた
め、これらの特性を要求される軟らかいチューブ類等の
用途には不適であり、これらの特性に優れる塩化ビニル
系樹脂を使用することが望まれているが、上記のように
ガンマー線滅菌で変色したり、品質の劣化が起こるため
に使用が制限されていた。
これらの欠点を解決するため、例えば特公昭60-23622号
公報には可塑剤、高級脂肪酸亜鉛塩及び高級脂肪酸カル
シウム塩を含む塩化ビニル系組成物が提案されている
が、まだ不充分であった。
また、ジャーナルオブビニルテクノロジー第6巻2号
(1984年)73頁〜76頁には、高級脂肪酸の亜鉛
/カルシウム塩とエポキシ化植物油併用ではその効果が
不充分であるので、有機錫メルカプタイド化合物を使用
することが記載されている。
しかしながら、有機錫メルカプタイド化合物は臭気を有
するため、その使用は好ましくなく、高級脂肪酸の亜鉛
/カルシウム塩を用いで耐ガンマー線性の優れた塩化ビ
ニル系樹脂組成物を得ることが望まれていた。
かかる状況に鑑み、本発明者らはガンマー線滅菌に耐え
る材料の開発を鋭意行った結果、塩化ビニル系樹脂に対
し、有機カルボン酸のカルシウム塩、有機カルボン酸の
亜鉛塩、エポキシ化植物油及び2−ヒドロキシベンゾフ
ェノン系化合物を添加することにより、ガンマー線滅菌
に耐える塩化ビニル系樹脂組成物が得られるという新た
な事実を見出し本発明を完成するに到った。
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物について詳細に
説明する。
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビ
ニル単独重合体及びビニルと共重合可能なモノマー、例
えば酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸ジエチ
ル、エチレン、プロピレン等との共重合体が挙げられ
る。これら塩化ビニル系樹脂類は乳化重合、懸濁重合、
溶液重合、塊状重合等の如き従来公知の重合法の何れに
よって得られたものであってもよい。
本発明で用いられる有機カルボン酸のカルシウム塩及び
亜鉛塩を構成する有機カルボン酸としては、カプロン
酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、2−エチルヘキシル
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ウンデシレン酸、リ
シノール酸、リノール酸、リノレイン酸、ネオデカン
酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソデカン酸、イソス
テアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、サルキン
酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸並びに獣脂脂肪
酸、やし油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実
油脂肪酸の如き天然に産出する上記の酸の混合物及び、
安息香酸、トルイル酸、第三ブチル安息香酸等が挙げら
れる。
これら高級脂肪酸カルシウム塩及び高級脂肪酸亜鉛塩の
添加量は塩化ビニル樹脂100重量部に対していずれも
0.01〜3重量部である。
本発明で用いられるエポキシ化植物油としては、例えば
エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ヒ
マシ油等が挙げられる。
これらエポキシ化植物油の添加量は塩化ビニル樹脂10
0重量部に対して0.5〜30重量部である。
本発明で用いられる2−ヒドロキシベンゾフェノン系化
合物としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′
−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′
−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−イソオクトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノ
ン、メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン)等が挙げられる。
これらの2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物の添加
量は塩化ビニル樹脂100重量部に対して、0.001〜1
重量部である。
これらの2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物は、紫
外線吸収剤として知られており、塩化ビニル系樹脂に用
いることも知られているが、一般に、ベンゾフェノン系
紫外線吸収剤よりも紫外線吸収能が優れていると言われ
ている2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤は、耐ガンマー線性の改善効果は小さく、む
しろ耐ガンマー線性を低下させることすらあり、本発明
の効果は極めて特異なものである。
本発明の樹脂組成物には可塑剤、例えばフタル酸エステ
ル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼラ
イン酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリッ
ト酸エステル、クエン酸エステル、燐酸エステル、ポリ
エステル系可塑剤等の通常塩化ビニル系樹脂に用いられ
る可塑剤を配合することができる。また、必要に応じて
他の熱可塑性樹脂、ゴム、充填剤、顔料及び加工助剤等
を配合することができる。
他の熱可塑性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、塩素化ポリエチレン、ABS樹脂、ウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂等があげられ、ゴムとしてはNB
R、CR等が用いられる。
本発明のガンマー線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物は、
各種のチューブ、シート、フイルム、射出成形部品と
し、コネクターを組み合わせた血液バツグ、血液セッ
ト、輸液セット、人工腎臓血液回路、人工心肺血液回路
等の医療用具あるいは食品包装材として用いられる。
以下実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれ
ら実施例によって制限されるものではない。
実施例1 下記配合物を二本ロールミルにより170℃で混練し、
シートを作成した。次いで熱プレスして厚さ3mmの試験
シートを作成した。このシートをガンマー線で2.5及び
5.0Mard照射し、照射直後及び照射後65℃で10日間保
存後のシートの黄色度を東京電色(株)製のColor and
Color Difference Meter TC-360 DPで測定し、表−1に
示した。
〔配合〕
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部 ジオクチルフタレート 50 エポキシ化大豆油 5 ステアリン酸カルシウム 0.1 ステアリン酸亜鉛 0.3 試料化合物(表−1) 0.1 実施例2 次の配合により、実施例1と同様にして試験を行った。
その結果を表−2に示す。
〔配合〕
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1100)100重量部 ジオクチルアジペート 50 エポキシ化大豆油 5 ステアリン酸カルシウム 0.5 ステアリン酸亜鉛 0.5 試料化合物(表−2) 0.1 実施例3 次の配合により、実施例1と同様にして試験を行った。
その結果を表−3に示す。
〔配合〕
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部 ジオクチルフタレート 50 エポキシ化大豆油 7 ステアリン酸カルシウム 0.02 ステアリン酸亜鉛 0.03 試料化合物(表−3) 0.1 実施例4 ベンゾフェノン化合物の添加量による効果をみるため
に、次の配合により、実施例1と同様にして試験を行っ
た。その結果を表−4に示す。
〔配合〕
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部 ジオクチルフタレート 50 エポキシ化大豆油 5 ステアリン酸カルシウム 0.1 ステアリン酸亜鉛 0.3 試料化合物 (表−4)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂、有機カルボン酸のカル
    シウム塩、有機カルボン酸の亜鉛塩、エポキシ化植物油
    及び2-ヒドロキシベンゾフェノン系化合物からなる、ガ
    ンマー線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物。
JP27090785A 1985-12-02 1985-12-02 ガンマ−線滅菌用塩化ビニル系樹脂組成物 Expired - Fee Related JPH0625291B2 (ja)

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