JPH06250408A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH06250408A
JPH06250408A JP5930793A JP5930793A JPH06250408A JP H06250408 A JPH06250408 A JP H06250408A JP 5930793 A JP5930793 A JP 5930793A JP 5930793 A JP5930793 A JP 5930793A JP H06250408 A JPH06250408 A JP H06250408A
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JP
Japan
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group
resin
polymer
block
polymer component
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Application number
JP5930793A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Kazuo Ishii
一夫 石井
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像再現性、耐湿性及び耐面強度の改良され
た、特に液体現像剤を用いての高精細な画像の再現性、
低出力のレーザー光を用いたスキャニング露光方式によ
る撮像性の優れた、電子写真感光体を提供する。 【構成】 結着樹脂として、式(I)の重合体成分含有
のAブロックと特定の極性基成分含有のBブロックから
なるABブロック高分子鎖を有機分子中に3個以上結合
する低分子量の樹脂〔A〕と、式(I)の重合体成分含
有のAブロックと特定の極性基含有成分含有の一官能性
マクロモノマー(M)を含有するBブロックとからなる
中〜高分子量のAB及び/又はABAブロック共重合体
である樹脂〔B〕を含有する電子写真感光体。〔式
(I)中、a1 及びa2 は各々水素原子、ハロゲン原
子、シアノ基又は炭化水素基を表す。R11は炭化水素基
を表す。〕 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは画像再現性、耐湿性及び耐面強度に優れた電子
写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、所定の特性を得るた
め、あるいは適用される電子写真プロセスの種類に応じ
て、種々の構成をとる。電子写真感光体の代表的なもの
として、支持体上に光導電層が形成されている感光体及
び表面に絶縁層を備えた感光体があり、広く用いられて
いる。
【0003】支持体と少なくとも1つの光導電層から構
成される感光体は、最も一般的な電子写真プロセスによ
る、即ち帯電、画像露光及び現像、更に必要に応じて転
写による画像形成に用いられる。更には、ダイレクト製
版用のオフセット原版として電子写真感光体を用いる方
法が広く実用されている。特に近年、ダイレクト電子写
真平版は数百枚から数千枚程度の印刷枚数で高画質の印
刷物を印刷する方式として重要となってきている。こう
した状況の中で、電子写真感光体の光導電層を形成する
ために使用する結着樹脂は、それ自体の成膜性および光
導電性粉体の結着樹脂への分散能力が優れるとともに、
形成された記録体層の基材に対する接着性が良好であ
り、しかも記録体層の光導電層は帯電能力に優れ、暗減
衰が小さく、光減衰が大きく、前露光疲労が少なく、且
つ、撮影時の湿度の変化によってこれら特性を安定に保
持していることが必要である等の各種の静電特性および
優れた撮像性を具備する必要がある。
【0004】更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用
原版の研究が鋭意行なわれており、電子写真感光体とし
ての静電特性と印刷原版としての印刷特性を両立させた
光導電層用の結着樹脂が必要である。無機光導電材料、
分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光導電
層において、結着樹脂の化学構造によって、平滑性のみ
ならず静電特性が大きく影響を受けることが判ってき
た。特に静電特性において、暗電荷保持率(D.R.
R.)や光感度が大きく左右される。
【0005】これに対し、酸性基を含有する比較的低分
子量(103 〜104 程度)の樹脂を結着樹脂として用
いる事で、平滑性及び静電特性を良化する技術が種々検
討されている。例えば、特開昭63−217354号に
は酸性基含有重合成分が重合体主鎖にランダムに存在す
る樹脂、同64−70761号には重合体主鎖の片末端
に酸性基を結合して成る樹脂、特開平2−67563
号、同2−236561号、同2−238458号、同
2−236562号及び同2−247656号等には酸
性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合して成る樹
脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有
する樹脂、同3−181948号には酸性基をブロック
で含有するAB型ブロック共重合体等がそれぞれ記載さ
れている。これらは、該低分子量の樹脂が、光導電体の
分散を充分に行ない光導電体同志の凝集を抑制する効果
を有すること及び光導電体と分光増感色素との吸着を疎
外しないで該無機光導電体の化学量論的な欠陥に充分に
吸着するとともに光導電体の表面をゆるやかに且つ充分
に被覆していることによると推定される。
【0006】その作用機構により、無機光導電体の化学
量論的な欠陥部が多少変動しても、充分な吸着領域をも
つ事から比較的安定した無機光導電体、分光増感色素及
び樹脂同志の相互作用が保たれると推論される。更に、
これらの低分子量の樹脂のみでは不充分な光導電層の機
械的強度を充分ならしめるために、中〜高分子量の他の
樹脂を併用する技術あるいは硬化性基を含有した樹脂を
併用して成膜後に硬化する技術、あるいは更に、環境の
変化や半導体レーザー光を用いた場合においても比較的
高い性能を維持する技術等が種々検討されている。例え
ば、特開昭64−564号、同63−220149号、
同63−220148号、特開平1−280761号、
同1−116643号、同1−169455号、同1−
211766号、同2−34859号、同2−5306
4号、同2−56558号、同3−29954号、同3
−77954号、同3−92861号、同3−5325
7号、同3−92863号、同3−206464号、同
3−225344号、同3−181948号、同3−2
23762号、同4−29244号、同4−35576
6号各公報等に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の酸性基を含有する種々の低分子量の樹脂、更にこれら
の樹脂に種々の中〜高分子量の樹脂を組み合わせて用い
ても、実用上の光導電層の機械的強度に問題を生じる場
合のある事がわかった。例えば、感光体がシート状ある
いはロール状で、複写機(あるいは製版機)に供される
場合、これらの感光体は、光導電層表面と感光体の裏面
が常に接触しており、時により激しくコスられることは
避けられない。こうした時、電子写真プロセスを経て、
複写画像を形成して見ると、コスられた部分では画像の
欠落、あるいは非画像部の地汚れを生じてしまうという
問題が現われた。
【0008】又、環境が高温・高湿から低温・低湿まで
著しく変動した場合でも、オリジナルに対する複写画像
再現性が良好且つ安定に維持されることが望ましい。特
に半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式で
は、従来の可視光による全面同時露光方式に比べ、露光
時間が長くなり、また露光強度にも制約があることか
ら、静電特性、特に暗電荷保持特性、光感度に対して、
より高い性能が要求される。
【0009】更に、近年、線画及び網点から成る画像の
複写画像のみならず、連続階調から成る高精細な画像を
液体現像剤を用いて忠実に再現する技術の実現が望まれ
ている。従来の感光体で、実際に画像再現性を試験して
みると、複写画像の階調が軟調になったり、あるいは、
原稿の貼り込み跡が生じたりした。あるいは、静電特性
は良好であるが実際の複写画像は連続階調部に濃度ムラ
が生じたりしてしまった。
【0010】特に、電子写真式平版印刷用原版におい
て、半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
を採用した場合、印刷物に、階調部の濃度ムラ、あるい
は低湿条件下で、ベタ画像部に白班ムラ等生じてしまっ
た。従来公知の技術においては、低分子量の樹脂と併用
する中〜高分子量の樹脂によって、上記低分子量の樹脂
で高性能化された実際の画像再現性が低下することがあ
り、実際に前記した様なこれら公知の樹脂の組合せで用
いた光導電層を有する電子写真感光体は、前述の様な高
精細な画像(特に連続階調画像)の忠実な複写画像の再
現性あるいは、低出力のレーザー光を用いたスキャンニ
ング露光方式による撮像性に対して、問題を生じ得るこ
とが明らかになった。
【0011】本発明は、以上の様な従来公知の電子写真
感光体の有する課題を改良するものである。本発明の目
的は、光導電層の耐コスレ性が著しく良好で、複写画像
再現性の優れた鮮明で良質な画像を有する電子写真感光
体を提供することである。本発明の他の目的は、複写画
像形成時の環境が低温低湿あるいは高温高湿の如く変動
した場合でも、常に安定して良好な静電特性を維持し、
鮮明で良質な画像を有する電子写真感光体を提供するこ
とである。
【0012】本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ
環境依存性の小さいCPC電子写真感光体を提供するこ
とである。本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用
いたスキャンニング露光方式に有効な電子写真感光体を
提供することである。本発明の更なる目的は、静電特性
(特に暗電荷保持性及び光感度)に優れ、原画(特に高
精細な連続階調画像)に対して忠実な複写画像を再現
し、且つ、印刷物の全面一様な地汚れはもちろん点状の
地汚れをも発生させず、また耐刷性の優れた電子写真式
平版印刷原版を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は無機光導電材
料、分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光
導電層を有する電子写真感光体において、該結着樹脂
が、下記に示される樹脂〔A〕の少なくとも1種及び下
記樹脂〔B〕の少なくとも1種を各々含有して成る事を
特徴とする電子写真感光体により達成されることが見出
された。 樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、下記
一般式(I)で示される繰り返し単位を重合体成分とし
て少なくとも1種含有するAブロックと、−PO
3 2 、−SO3 H、−COOH、−P(=O)(O
H)R1 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化
水素基を表す)を表す〕及び環状酸無水物基から選択さ
れる少なくとも1種の極性基を有する重合体成分を含有
するBブロックとから構成されるAB型ブロック高分子
鎖が、有機分子中に少なくとも3個結合してなるスター
型共重合体。
【0014】
【化4】
【0015】〔式(I)中、a1 及びa2 は各々水素原
子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。
11は炭化水素基を表わす。〕 樹脂〔B〕 3×104 〜1×106 の重量平均分子量を有し、上記
一般式(I)で示される繰り返し単位から成る重合体成
分を少なくとも含有するAブロックと、該樹脂〔A〕が
含有する特定の極性基と同様の極性基から選ばれる少な
くとも1種の極性基を有する重合体成分を含有する重合
体主鎖の一方の末端のみに重合性二重結合基を結合して
成る重量平均分子量1×103 〜2×104 の一官能性
マクロモノマー(M)を少なくとも1種含有するBブロ
ックとで構成されるAB型及び/又はABA型ブロック
共重合体。
【0016】即ち、本発明の結着樹脂は、上記一般式
(I)で示される重合体成分を含有するAブロックと上
記特定の極性基含有成分を含有するBブロックとのAB
型ブロック高分子鎖が有機分子中に少なくとも3個結合
してなる低分子量のスター型共重合体(樹脂〔A〕)
と、一般式(I)で示される重合体成分を少なくとも含
有し、且つ上記特定の極性基成分を含有しないAブロッ
クと、上記特定の極性基成分を重合体成分として含有す
る一官能性マクロモノマー(M)を少なくとも共重合成
分として含有するBブロックとから成る中〜高分子量の
AB型及び/又はABA型ブロック共重合体(樹脂
〔B〕)とから少なくとも構成される。
【0017】光導電層の結着樹脂は、無機光導電体粒子
を充分に均一に分散し、且つ凝集しない状態を形成し、
且つ、分光増感色素更には化学増感剤が該粒子表面に充
分に吸着することを阻害しない事がまず重要である。本
発明の樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕は、上記の状態を適切
に形成するものである。
【0018】即ち、本発明の樹脂〔A〕は、低分子量体
で該粒子に吸着する働きをもつ特定の極性基成分を多く
含有することから、樹脂〔B〕よりも吸着性が強く、選
択的に該粒子に充分に吸着する。それにより該粒子を均
一に分散し、更にその高分子鎖が非常に短いことにより
凝集を抑制する働きも有する。従って、無機光導電体の
化学量論的な欠陥部が多少変動しても充分な吸着領域を
もつ事から、常に安定した無機光導電体と樹脂〔A〕と
の相互作用が保たれ、更には分光増感色素、化学増感剤
等の添加剤の吸着疎外を起こさないという重要な作用を
有するものと考えられる。
【0019】また、低分子量の樹脂〔A〕と併用すべき
中〜高分子量としての本発明の樹脂〔B〕は、併用する
樹脂〔A〕よりも特定の極性基成分含有量が少なく且つ
下記化5に示す様に、該極性基が該樹脂〔B〕のブロッ
クポリマーの重合体中において、特定の位置に含有され
ている事を特徴とする。
【0020】
【化5】
【0021】従って、本発明の樹脂〔B〕は、Bブロッ
クのマクロモノマー重合体部分が無機光導電体粒子と吸
着し、逆にAブロックは該粒子表面から離れて存在する
という状態を形成していると考えられる。この事によ
り、樹脂〔A〕及び添加剤の吸着状態を疎外せず、且つ
該樹脂の高分子鎖が長いにも拘わらず、該光導電体粒子
と吸着するブロックと吸着しないブロックになっている
ことで、吸着しないブロックは該粒子間で吸着して、粒
子の凝集を生じることもない。更には、充分に長い鎖長
のAブロック部分は、高分子鎖間で充分な絡み合いを形
成し易くなっていると推定される。
【0022】以上の様な事から、本発明の結着樹脂を用
いることにより、環境条件が変動しても、良好で安定し
た複写画像再現性を示し、且つ、膜の機械的強度が飛躍
的に向上し、コスリ等の力に対しても耐久性を有し、い
わゆる圧力カブリの現象が著しく改善されたと考えられ
る。この作用は、近赤外〜赤外光の分光増感用色素とし
て特に有効なポリメチン色素あるいはフタロシアニン系
顔料で特に顕著な効果を示した。
【0023】更には本発明において、樹脂〔A〕とし
て、下記一般式(Ia)及び一般式(Ib)で示され
る、特定の置換基をもつメタクリレート成分と極性基成
分とを含有する樹脂〔A〕(以降この樹脂を特に樹脂
〔A′〕と称する)であることが好ましい。
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA
2 は互いに独立に各々水素原子、炭素数1〜10の炭化
水素基、ハロゲン原子、シアノ基、−COZ2 又は−
COOZ2 (Z2 は炭素数1〜10の炭化水素基を表
す)を表し、B1 及びB2 は各々−COO−とベンゼン
環を結合する単結合又は連結原子数1〜4個の連結基を
表す〕上記特定の樹脂〔A′〕を用いると樹脂〔A〕の
場合よりもより一層電子写真特性(特にV10、D.R.
R、E1/10)の向上とともに、実際の複写画像再現性
も、著しく良化できる。この事の理由は不明であるが、
1つの理由として、メタクリレートのエステル成分であ
る、平面性のベンゼン環又はナフタレン環の効果によ
り、膜中の光導電体界面でのこれらのポリマー分子鎖の
配列が適切に行なわれることによるものと考えられる。
【0027】一方、光導電体として光導電性酸化亜鉛を
用いた本発明の電子写真感光体を従来公知のダイレクト
刷版として用いた場合には優れた撮像性とともに著しく
良好な保水性を示す。即ち、電子写真プロセスを経て複
写画像を形成した本発明の感光体を、従来公知の不感脂
化処理液により非画像部を化学処理により不感脂化し
て、印刷用原版とし、これをオフセット印刷により印刷
した時に優れた印刷用原版としての性能を示すものであ
る。
【0028】本発明の感光体を不感脂化処理すると、非
画像部の親水化が充分になされ、保水性が向上すること
から印刷枚数が飛躍的に向上した。これは、上記した酸
化亜鉛粒子が均一に分散されていること及び酸化亜鉛粒
子表面に存在する結着樹脂の存在状態が適切で不感脂化
処理液との不感脂化反応が疎外されず迅速に且つ効果的
に進行することによるものと考えられる。
【0029】以下に、本発明の結着樹脂について更に詳
しく説明する。まず、本発明の樹脂〔A〕について説明
する。樹脂〔A〕は、一般式(I)で示される重合体成
分を少なくとも含有するAブロックと、特定の極性基か
ら選択される少なくとも一種の極性基を含有する重合体
成分を少なくとも含有するBブロックとから構成される
AB型ブロック高分子鎖を有機分子中に少なくとも3個
結合してなるスター型共重合体である。
【0030】ここにおいて、AブロックとBブロックの
高分子鎖中における配列の順序はいずれでもよい。即
ち、該重合体を模式的に示すと下記の如くになる。
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】〔ここで、Xは有機分子を表し、(A)は
Aブロックを、(B)はBブロックを表し、(A)−
(B)は高分子鎖を表す。〕また、かかるAB型ブロッ
ク高分子鎖は、有機分子中に含まれる上限は多くても1
5個、通常10個程度である。樹脂〔A〕の重量平均分
子量は1×103 〜2×104 、好ましくは3×103
〜1×104 であり、樹脂〔A〕のガラス転移点は好ま
しくは−40℃〜110℃、より好ましくは−20℃〜
90℃である。
【0034】樹脂〔A〕の分子量が1×103 より小さ
くなると、皮膜形成能が低下し充分な膜強度を保てず、
一方分子量が2×104 より大きくなると本発明の樹脂
であっても、特に近赤外〜赤外分光増感色素を用いた感
光体において、高温・高湿、低温・低湿の苛酷な条件下
での電子写真特性(特に初期電位、暗電荷保持率及び光
感度)の変動が多少大きくなり、安定した複写画像が得
られるという本発明の効果が薄れてしまう。
【0035】本発明の樹脂〔A〕中に含有される極性基
含有成分の存在量は、樹脂〔A〕100重量部中に1〜
20重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜
15重量部である。樹脂〔A〕における極性基成分含有
量が1重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な画
像濃度を得ることができない。一方、該極性基成分含有
量が20重量%よりも多いと、いかに低分子量体といえ
ども分散性が低下し、更にオフセットマスターとして用
いるときに地汚れが増大する。
【0036】本発明のスタ−型共重合体(樹脂〔A〕)
の高分子鎖を構成する各ブロックは以下の特徴を有す
る。樹脂〔A〕のAブロック成分における一般式(I)
の繰り返し単位に相当する重合体成分の存在割合は好ま
しくはAブロック成分中30〜100重量%、より好ま
しくは50〜100重量%含有される。また、Aブロッ
クにおいては、Bブロックで含有される特定の極性基含
有成分を含有しないことを特徴とする。
【0037】前記一般式(I)で示される繰り返し単位
を更に説明する。a1 及びa2 は各々水素原子、ハロゲ
ン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、
シアノ基又は炭化水素基(例えば炭素数1〜8の脂肪族
基;例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基等、炭素数6
〜12の芳香族基;フェニル基等)を表す。a1 が水素
原子を表し、及びa2 がメチル基を表す場合が特に好ま
しい。
【0038】R11は炭化水素基を表し、具体的にはアル
キル基、アラルキル基又は芳香族基を表し、好ましくは
ベンゼン環又はナフタレン環を含有する炭化水素基であ
るアラルキル基又は芳香族基である。更に、R11は好ま
しくは炭素数1〜18の置換されていてもよい炭化水素
基を表わす。置換基としては上記ABブロック共重合体
のBブロックを構成する重合成分に含有される前記極性
基以外の置換基であればいずれでもよく、例えば、ハロ
ゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子
等)、−OR5 、−COOR5 、−OCOR5 (R5
炭素数1〜22のアルキル基を表わし、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オ
クタデシル基等である)等の置換基が挙げられる。好ま
しい炭化水素基としては、炭素数1〜18の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2
−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、
2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭
素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例え
ば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、
2−ぺンテニル基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1
−ぺンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル
基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜1
2の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、
ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル
基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメト
キシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい
脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキ
シルエチル基、2−シクロぺンチルエチル基等)又は炭
素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピ
ルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル
基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキ
シフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェ
ニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロ
モフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニ
ルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセト
アミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシ
ロイルアミドフェニル基等)等があげられる。
【0039】R11の示す炭化水素基において、R11が脂
肪族基の場合には好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基
を式(I)で表わされる成分中の60重量%以上含有す
ることが好ましい。このような置換基R11を有する成分
である一般式(I)の繰り返し単位において、より好ま
しくは前記一般式(Ia)及び/又は一般式(Ib)で
示される繰り返し単位の重合体成分が挙げられる。
【0040】式(Ia)において、好ましいA1 及びA
2 として、互いに独立に各々水素原子、ハロゲン原子
(例えば塩素原子及び臭素原子等)、シアノ基の外に、
炭素数1〜10の炭化水素基として、好ましくは炭素数
1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、炭素数7〜9のアラルキル基(例え
ばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、クロロベンジル基、ジクロロベンジル基、ブロモベ
ンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、ク
ロロメチルベンジル基)及びアリール基(例えばフェニ
ル基、トリル基、キシリル基、ブロモフェニル基、メト
キシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル
基)、並びに−COZ2 及び−COOZ2 (好ましいZ
2 としては上記の炭素数1〜10の好ましい炭化水素基
として記載したものを挙げることができる)を挙げるこ
とができる。
【0041】式(Ia)及び(Ib)において、B1
びB2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合
又は−(CH2 a −(aは1〜3の整数を表す)、−
CH2 OCO−、−CH2 CH2 OCO−、−(CH2
O)b −(bは1又は2の整数を表す)、−CH2 CH
2 O−等の如き連結原子数1〜4個の連結基であり、好
ましくは単結合又は連結原子数1〜2個の連結基を挙げ
ることができる。
【0042】本発明の樹脂〔A〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位の具体例を以
下に挙げる。しかし、本発明の範囲はこれに限定される
ものではない。また、以下の(a−1)〜(a−20)
において、cは1〜4の整数、dは0又は1〜3の整
数、eは1〜3の整数、R6 はいずれも−Cc 2c+1
は−(CH2 d −C6 5 (ただし、c、dは上記と
同じ)を表し、D1 及びD2 は同じでも異なってもよ
く、水素原子、−Cl、−Br又は−Iを表す。
【0043】
【化10】
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】該Aブロック中に含有される他の重合体成
分としては、例えば下記一般式(II)で示される成分が
挙げられる。
【0047】
【化13】
【0048】〔式(II)中、X1 は−COO−、−OC
O−、−(CH2 p −OCO−、−(CH2 p −C
OO−(pは1〜3の整数を表す)、−O−、−SO2
−、−CO−、−CON(Q2 )−、−SO2
(Q2 )−、−CONHCOO−、−CONHCONH
−又は−C6 4 −を表す(ここでQ2 は水素原子又は
炭化水素基を表す)。Q1 は炭化水素基を表す。m1
びm2 は、互いに同じでも異なってもよく、前記式
(I)中のa1 、a2 とそれぞれ同一の内容を表す。〕
ここで、Q2 は水素原子のほか、好ましい炭化水素基と
しては、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−ク
ロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−
1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ぺンテニル
基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されて
もよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、
2−シクロぺンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の
置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、
ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェ
ニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブ
トキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフ
ェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シ
アノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボキシフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニ
ル基等)が挙げられる。
【0049】X1 が−C6 4 −を表わす場合、ベンゼ
ン環は置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲ
ン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基
(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブ
トキシ基等)等が挙げられる。
【0050】Q1 は、炭化水素基を表わし、好ましい炭
化水素基としては、炭素数1〜22の置換されてもよい
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、
3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換され
てもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロ
ペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メ
チル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル基、1−ヘキ
セニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセ
ニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベ
ンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジ
メチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数
5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘ
キシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロぺ
ンチルエチル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよ
い芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル
基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル
基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキ
シフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル
基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル
基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニ
ルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミ
ドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙
げられる。
【0051】更に好ましくは、一般式(II)において、
1 は−COO−、−OCO−、−CH2 OCO−、−
CH2 COO−、−O−、−CONH−、−SO2 NH
−又は−C6 4 −を表す。更には、式(II)に示され
る重合体成分とともに該Aブロック中に含有され得る重
合体成分として、該式(II)の重合体成分と共重合しう
る他の繰り返し単位に相当する単量体、例えばアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、複素環ビニル類(例え
ばビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリ
ドン、ビニルチオフェン、ビニルピラゾール、ビニルジ
オキサン、ビニルオキサジン等)等が挙げられる。これ
ら他の単量体はAブロックの全重合体成分100重量部
中20重量部を超えない範囲で用いられる。
【0052】次にスタ−型共重合体の高分子鎖を構成す
るBブロックについて詳述する。Bブロックを構成する
極性基含有成分について説明する。該極性基は、−PO
3 2 、−SO3 H、−COOH、−P(=O)(OH)
1 及び環状酸無水物基から少なくとも1種選ばれるも
のである。ここで、−P(=O)(OH)R1 は、下記化
14で表わされる基を示し、ここにおいて該R1 は炭化
水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基を表す)を表
し、具体的にはR1 は炭素数1〜6の置換されていても
よい炭化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロムエチル
基、2−フロロエチル基、3−クロロプロピル基、3−
メトキシプロピル基、2−メトキシブチル基、ベンジル
基、フェニル基、プロペニル基、メトキシメチル基、エ
トキシメチル基、2−エトキシエチル基)等であり、R
2 はR1 と同一の内容を表す。
【0053】
【化14】
【0054】また、環状酸無水物基とは、少なくとも1
つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される環状
酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族
ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸
無水物の例としては、コハク酸無水物、、グルタコン酸
無水物環、マレイン酸無水物環、シクロぺンタン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.2〕オ
クタジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環
は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチ
ル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基
等が置換されていてもよい。
【0055】また、芳香族ジカルボン酸無水物の例とし
ては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無
水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン
−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、
例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカル
ボニル基(アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、
エトキシ基等)等が置換されていてもよい。
【0056】樹脂〔A〕の極性基を含有する共重合成分
は、例えば一般式(I)〔一般式(Ia)、(Ib)も
含む〕で示される繰り返し単位に相当する単量体と共重
合し得る該極性基を含有するビニル系化合物であればい
ずれでもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・
ハンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に
記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又
はβ置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−ア
セトキシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−
クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチ
ルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ
体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体
等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステ
ル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケ
ニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル
−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−
ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイ
ン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボ
ン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及び
これらのカルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、ア
ミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合物等が
挙げられる。
【0057】以下に極性基含有の共重合成分について例
示する。ここで、d1 はH又はCH3 を示し、d2
H、CH3 又はCH2 COOCH3 を示し、Z11は炭素
数1〜4のアルキル基を示し、R12は炭素数1〜6のア
ルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、fは1〜
3の整数を示し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜
11の整数を示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜
10の整数を示す。
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】
【化20】
【0064】
【化21】
【0065】上記の如き特定の極性基を含有する重合成
分は該Bブロック中に2種以上含有されていてもよく、
その場合における該2種以上の極性基含有成分は該Bブ
ロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の
いずれの態様で含有されていてもよい。また、上記極性
基含有の重合体成分以外の重合体成分をBブロック中に
含有していてもよく、かかる重合体成分としては好まし
くは前記一般式(I)及び(II)の繰り返し単位に相当
する重合体成分が挙げられる。更にこれら以外の他の単
量体を共重合成分として含有してもよい。
【0066】このような他の共重合成分としては、例え
ば一般式(I)で説明した以外の置換基を含有するメタ
クリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン
酸エステル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビ
ニル又はアリル酸エステル類(例えばカルボン酸とし
て、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナ
フタレンカルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類
(例えばジメチルエステル、ジエチルエステル等)、ア
クリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例
えばスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒド
ロキシスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレ
ン、メトキシカルボニルスチレン、メタンスルホニルオ
キシスチレン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン
含有化合物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類
(例えばビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイ
ミダゾール、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、
ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリ
ン、ビニルテトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙
げられる。
【0067】一方、本発明に従う、高分子鎖を少なくと
も3個以上結合してなる有機分子としては、該分子の分
子量が1000以下のものであれば特に限定されるもの
ではない。例を挙げれば、下記化22等の3価の炭化水
素残基が挙げられる。
【0068】
【化22】
【0069】〔ここで、r1 〜r4 はそれぞれ水素原子
又は炭化水素基を表す。但し、r1 及びr2 又はr3
びr4 のうちの少なくとも1つは高分子鎖に連結す
る。〕これらの有機残基は、単独又はこれらの任意の組
合せの構成からなり、組合せの場合は、−O−、−S
−、−N(r5 )−、−COO−、−CON(r5
−、−SO2 −、−SO2 N(r5 )−{ここでr5
それぞれ水素原子又は炭化水素基を表す}、−NHCO
O−、−NHCONH−、酸素原子、イオウ原子、窒素
原子等のヘテロ原子含有の複素環(例えばチオフェン
環、ピリジン環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイ
ミダゾール環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、
ピロール環、ピペラジン環等)等の結合単位の組合せを
含んでいてもよい。
【0070】他の該高分子鎖を結合する有機分子の例と
しては、下記化23又は化24と上記結合単位との組合
せから構成されるものが挙げられる。しかしながら、本
発明に従う有機分子の具体例としては、これらに限定さ
れるものではない。
【0071】
【化23】
【0072】
【化24】
【0073】本発明のスター型共重合体は、従来公知の
極性基含有で且つ重合性二重結合基をもつ単量体のスタ
ー型ポリマーの合成法を利用して合成することができ
る。例えばその一つとしてカルバニオンを開始剤とする
重合反応が挙げられる。具体的には、M.Morto
n、T.E.Helminiak etal、J.Po
lym.Sci.、57、471(1962)、B.G
ordonIII、M.Blumenthal、J.
E.Loftus、etal、Polym.Bul
l.、11、349(1984)、R.B.Bate
s、W.A.Beavers、etal、J.Org.
Chem.、44、3800(1979)に記載の方法
に従って合成できる。
【0074】但し、本反応を用いる際には、本発明の
「特定の極性基」は、保護した官能基として用いて重合
させた後、保護基の脱離を行う。これらの本発明の特定
の極性基の保護基による保護及びその保護基の脱離(脱
保護反応)については、従来公知の知見を利用して容易
に行なうことができる。例えば前記引用文献にも種々記
載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔「反応性高
分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.Gre
ene「Protective Groupsin O
rganic Synthesis」John Wil
ey & Sons(1981年)、J.F.W.Mc
Omie「Protective Groups in
Organic Chemistry」Plenum
Press(1973年)等の総説に詳細に記載され
ている方法を適宜選択して行なうことができる。
【0075】他の方法としては、本発明の特定の極性基
を保護しないままの単量体を用い、ジシオカーバメント
基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する
化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行なって
合成することもできる。例えば、大津隆行、高分子、
、248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Pol
ym.Rep.Jap.37.3508(1988)、
特開昭64−111号、特開昭64−26619号、東
信行等、Polymer Preprints、Jap
an、36(6)、1511(1987)、M.Niw
a、N.Higashi、etal、J.Macrom
ol.Sci.Chem.A24(5)、567(19
87)等に記載の合成方法に従って合成することができ
る。
【0076】本発明の樹脂〔A〕の重量平均分子量の調
整は、重合反応において従来公知の如く、重合に用いる
全単量体総量と各種重合開始剤量との使用割合あるいは
重合温度等によって容易に調整することができる。具体
的には、用いる単量体の種類及び開始剤の種類によって
任意に合成できるものである。
【0077】次に本発明の樹脂〔B〕について説明す
る。樹脂〔B〕は、一般式(I)で示される重合体成分
を含有し且つ特定の極性基を含有しないAブロックと特
定の極性基含有の重合体成分を含有する一官能性マクロ
モノマー(M)を共重合成分として含有するBブロック
とを含むAB型あるいはABA型ブロック共重合体から
成る樹脂である(該重合体のパターンは、前記模式図に
示す)。
【0078】ここで、樹脂〔B〕がABA型ブロック共
重合体である場合には、両端にあるAブロックは各々構
造的に同じであっても異なっていてもよく、それぞれ少
なくともBブロック中の極性基成分を含まず且つ一般式
(I)で示される重合体成分を含んでいればよい。また
それぞれの重合体鎖の長さも同じであっても異なってい
てもよい。
【0079】樹脂〔B〕の重量平均分子量は3×104
〜1×106 、好ましくは5×104 〜5×105 であ
る。樹脂〔B〕の分子量が3×104 より小さくなる
と、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、また分
子量が1×106 より大きくなると本発明の樹脂〔B〕
の効果が少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の電子写
真特性になってしまう。
【0080】該樹脂〔B〕のガラス転移点は、−10℃
〜100℃の範囲のものが好ましいが、より好ましくは
0℃〜90℃である。本発明に供される一官能性マクロ
モノマー(M)は、Bブロック中において、全重合体中
1〜60重量%であり、好ましくは5〜40重量%であ
る。一官能性マクロモノマー(M)の含有量が1重量%
以下になると、Bブロックをグラフト構造にした効果が
薄れてしまい、電子写真特性及び保水性が劣化する。ま
た、60重量%以上になると、他の共重合成分との共重
合性が低下し好ましくなくなる。
【0081】ブロック共重合体〔B〕における、特定の
極性基含有成分の重合体成分量は、共重合体〔B〕の全
重合体総量100重量部当り0.05〜10重量部、好
ましくは0.5〜8重量部の割合で含有される。樹脂
〔B〕における該極性基含有量が0.05重量%より少
ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得ることが
できず、該極性基含有量が10重量%よりも多いと、光
導電体粒子の分散性が低下し、高温高湿での膜平滑度及
び電子写真特性が低下し、更にオフセットマスターとし
て用いるときに地汚れが増大するため、好ましくない。
【0082】更に、樹脂〔B〕中に含有される特定の極
性基含有の重合体成分量は、樹脂〔A〕中に含有される
特定の極性基含有重合体成分の総量に対して10重量%
〜50重量%の範囲で用いられることが好ましい。該量
が10重量%より少ないと、電子写真特性(特に暗電荷
保持率、光感度)の低下が著しく、膜の強度も低下す
る。また、50重量%を超えると、分散の均一化が不充
分となり、電子写真特性が低下し、オフセット原版とし
ては保水性が低下する。
【0083】次に、樹脂〔B〕におけるAブロックの重
合体成分について説明する。Aブロックの主たる重合体
成分は、一般式(I)で示される繰り返し単位であり、
その含有量は、そのAブロックにおける全重量中、好ま
しくは30重量%〜100重量%、より好ましくは50
重量%〜100重量%である。一般式(I)で示される
重合体成分の具体例は、樹脂〔A〕で例示したと同様の
内容のものが挙げられる。
【0084】また、樹脂〔B〕のAブロックにおいて、
上記した重合体成分以外に他の共重合体成分を含有して
もよく、前記樹脂〔A〕のAブロックで説明した一般式
(I)以外に含まれてもよい共重合成分と同様の内容の
ものが挙げられる。これら他の単量体はAブロックの全
重合体成分100重量部中30重量部を超えない範囲で
用いられる。
【0085】次に樹脂〔B〕におけるBブロックの重合
体成分について説明する。Bブロックは、特定の極性基
含有の一官能性マクロモノマー(M)を少なくとも1種
含有し、又、他の重合体成分としては、該特定の極性基
含有の重合体成分を含有しないことを特徴とする。該一
官能性マクロモノマー(M)は、重量平均分子量1×1
3 〜2×104であり、好ましくは3×103 〜1×
104 である。
【0086】マクロモノマー(M)の重量平均分子量が
2×104 を超えると、他の単量体との共重合性が低下
するため好ましくない。他方、重量平均分子量が小さす
ぎると、感光層の電子写真特性の向上効果が小さくなる
ため、1×103 以上であることが好ましい。該マクロ
モノマー(M)は、重合体主鎖の片末端に重合性二重結
合基を結合して成り、具体的には、一般式(III) で示さ
れる二重結合基が挙げられる。
【0087】
【化25】
【0088】〔式(III) 中、b1 及びb2 は各々水素原
子、ハロゲン原子、トリフロロメチル基、シアノ基又は
炭化水素基を表わす。V1 は−COO−、−OCO−、
−(CH2 m3OCO−、−(CH2 m3COO−(m
3は1〜3の整数を表す)、−O−、−SO2 −、−C
O−、−CON(T1 )−、−SO2 N(T1 )−、−
CONHCOO−、−CONHCONH−又は−C6
4 −を表わす(ここで、T1 は水素原子又は炭化水素基
を表す)。
【0089】ここで、T1 は水素原子のほか、好ましい
炭化水素基としては、炭素数1〜18の置換されてもよ
いアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シ
アノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−
メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数
4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2
−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペ
ンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペン
テニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−
メチル−2−ヘキセニル基、等)、炭素数7〜12の置
換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フ
ェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル
基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモ
ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メ
トキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベ
ンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式
基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエ
チル基、2−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6
〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル
基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェ
ニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデ
シルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニ
ル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニ
ル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキ
シカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル
基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェ
ニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミ
ドフェニル基等)あげられる。
【0090】V1 が−C6 4 −を表わす場合、ベンゼ
ン環は置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲ
ン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキシ基
(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブ
トキシ基等)等が挙げられる。
【0091】b1 及びb2 は、互いに同じでも異なって
いてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子等)、トリフロロメチル基、シ
アノ基、炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基等)、−COOZ3
は炭化水素を介した−COOZ3 (Z3 は、水素原子又
は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アラル
キル基、脂環式基またはアリール基を表わし、これらは
置換されていてもよく、具体的には、上記T1について
説明したものと同様の内容を表わす)を表わす。
【0092】上記炭化水素を介した−COOZ3 におけ
る炭化水素としては、メチレン基、エチレン基、プロピ
レン基等が挙げられる。更に好ましくは、一般式(III)
において、V1 は−COO−、−OCO−、−CH2
CO−、−CH2 COO−、−O−、−CONH−、−
SO2 NH−又は−C6 4 −を表わし、b1 及びb2
は互いに同じでも異なってもよく、水素原子、メチル
基、−COOZ3 又は−CH2 COOZ3 {Z3 は好ま
しくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基等)を表わす)を表わす。更により好ましくは、b1
及びb2 においていずれか一方が水素原子を表わす。
【0093】本発明において供されるマクロモノマー
(M)は重合体主鎖の片末端に、一般式(III) で示され
る重合性二重結合基が、直接結合するか、あるいは、任
意の連結基で結合された化学構造を有するものである。
連結する基としては、炭素−炭素結合(単結合又は二重
結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例
えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子
等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組
合せで構成されるものである。
【0094】任意の連結基を具体的に挙げるとすれば、
−C(e1 )(e2 )−〔e1 、e2 は同じでも異なっ
てもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(塩素原子、臭
素原子等)、OH基、シアノ基、アルキル基、(メチル
基、エチル基、2−クロロエチル基、2−ヒドロキシエ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)、アラ
ルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、フェニル基
等を表す〕、−〔C(e3 )=C(e4 )〕−〔e3
4 はe1 、e2 と同一の内容を表す〕、−C6
10−、−C6 4 −、−O−、−S−、−N(e5 )−
〔e5 は、水素原子又は炭化水素基を表す(炭化水素基
として具体的には炭素数1〜12の炭化水素基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−メトキシ
エチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、
ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、フェニ
ル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル
基、ブチルフェニル基等)が挙げられる)〕、−CO
−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NH
CONH−、−CON(e5 )−、−SO2 N(e5
−、−SO2 −、−NHSO2 −、−CONHCOO
−、−CONHCONH−、複素環(ヘテロ原子とし
て、O、S、N等を少なくとも1種含有する5〜6員環
又はこれらの縮合環であればいずれでもよい:例えばチ
オフェン環、ピリジン環、フラン環、イミダゾール環、
ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる)又は−S
i(e6 )(e7)−(e6 、e7 は同じでも異なって
もよく、炭化水素基又は−Oe8 (e8 は炭化水素基を
表す)を表す。これらの炭化水素基としては、e5 で挙
げたものと同一のものを挙げることができる)等の結合
基の単独又は、これらの組合わせにより構成された連結
基等が挙げられる。
【0095】該マクロモノマー(M)の重合体成分とし
ては、特定の極性基を含有する重合体成分を少なくとも
1種含有する。これら極性基含有重合体成分の具体的内
容については、樹脂〔A〕で例示した重合体成分と同様
のものが挙げられる。
【0096】又該極性基含有の重合体成分とともに含有
される他の共重合成分としては、前記一般式(I)で示
す重合体成分が挙げられ、マクロモノマー(M)の全重
合体成分100重量部中30〜99.5重量%であり、
好ましくは50〜99重量%である。更には、その他の
重合体成分を含有してもよく、上記極性基含有重合体成
分及び一般式(I)で示される重合体成分に各々相当す
る単量体と共重合する単量体に相当する重合成分であれ
ばいずれでもよい。これらその他の重合体成分は、好ま
しくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量
%以下である。
【0097】これら他の重合体成分としては、前記樹脂
〔A〕のBブロックで例示した一般式(I)及び極性基
成分以外に含有してもよい共重合成分と同様のものが挙
げられる。又、該特定の極性基を含有する重合体成分
は、マクロモノマー(M)の重合体主鎖中において、ラ
ンダム共重合又はAB型ブロック共重合のいずれの態様
で含有されてもよい。
【0098】但し、ブロック共重合で含有される場合に
は、重合性二重結合基の結合したと反対側のブロックに
極性基含有重合体成分が含まれる。更には、極性基含有
成分を含むブロックにおいて、他の重合体成分を含有し
てもよく、具体的には、前記した樹脂〔B〕のBブロッ
クの極性基含有重合体成分以外に含まれてもよい他の重
合体成分のいずれでもよい。
【0099】本発明のマクロモノマー(M)は、従来公
知の合成方法によって製造することができる。例えば、
該特定の極性基を含有する重合体成分に相当する単量体
において、極性基を予め保護した官能基としておき、有
機金属化合物(例えばアルキルリチウム類、リチウムジ
イソピルアミド類、アルキルマグネシウムハライド類
等)あるいはヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオン重合
反応、ポルフィリン金属錯体を触媒とする光重合反応、
あるいはグループ移動重合反応等の公知のいわゆるリビ
ング重合反応で共重合体を合成した後、このリビングポ
リマーの末端に種々の試薬を反応させて重合性二重結合
基を導入する。
【0100】この後、極性基を保護した官能基を加水分
解反応、加水素分解反応、酸化分解反応あるいは光分解
反応等によって脱保護反応を行ない、極性基を形成させ
る方法が挙げられる。その1つの例を下記の反応スキー
ム(1)に示した。
【0101】
【化26】
【0102】例えば、P.Lutz、P.Masson
et al、Polym.Bull.、12、79
(1984)、B.C.Anderson、G.D.A
ndrews et al、Macromolecul
es、14、1601(1981)、K.Hatad
a、K.Ute et al、Polym.J.17、
977(1985)、18、1037(1986)、右
手浩一、畑田耕一、高分子加工、36、366(198
7)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46、18
9(1989)、M.Kuroki、T.Aida、
J.Am.Chem.Soc.109、4737(19
87)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43、3
00(1985)、D.Y.Sogoh、W.R.He
rtler etal、Macromolecule
s、20、1473(1987)等に記載の合成方法に
従って容易にリビングポリマーを合成することができ
る。又、該リビングポリマーの末端に重合性二重結合基
を導入する方法としては、従来公知のマクロモノマー法
の合成法に従って容易に本発明のマクロモノマーとする
ことができる。
【0103】具体的には、P.Dreyfuss an
d R.P.Quirk,Encycl.Polym.
Sci.Eng.、,551(1987)、P.F.
Rempp,E.Franta,Adv.Polym.
Sci.、58,1(1984)、V.Percec、
Appl.Polym.Sci.、285,95(19
84)、R.Asami、M.Takari、Makr
amol.Chem.Suppl.、12,163(1
985)、P.Rempp et al、Makram
ol.Chem.Suppl.、8、3(1984)、
川上雄資,化学工業、38、56(1987)、山下雄
也、高分子、31、988(1982)、小林四郎、高
分子、30、625(1981)、東村敏延,日本接着
協会誌18、536(1982)、伊藤浩一、高分子加
工、35、262(1986)、東貴四郎、津田隆、機
能材料、1987、No.10、5等の総説及びそれに
引例の文献、特許等に記載の方法に従って合成すること
ができる。
【0104】又、本発明の特定の極性基を保護する保護
基及びその保護基の脱離(脱保護反応)については、従
来公知の知見を利用して容易に行なうことができる。例
えば、前記した引用文献にも種々記載されており、更に
は、岩倉義男、栗田恵輔「反応性高分子」(株)講談社
刊(1977年)、T.W.Greene、「Prot
ective Groups in Organic
Synthesis」John Wiley and
Sons(1981)、J.F.W.McOmie、
「Protective Groups in Org
anic Chemistry」Plenum Pre
ss(1973)等の総説に詳細に記載されている方法
を適宜選択して行なうことができる。
【0105】他の合成法としては、ジシオカーバメイト
化合物を開始剤とした光イニファーター重合法によって
合成することもできる。例えば、大津隆行、高分子、3
7、248(1988年)、檜森俊一、大津隆一、Po
lym.Rep.Jap.37、3508(1988
年)、特開昭64−111号、特開昭64−26619
号等に記載の合成方法に従って合成され、これを上記し
たマクロモノマー合成法を利用して本発明のマクロモノ
マーを得ることができる。
【0106】より具体的な、本発明のマクロモノマーの
合成法としては、米国特許555017号、同6389
22号等の明細書中により具体的に記載されている。本
発明の樹脂〔B〕において、Aブロック/Bブロック比
は50〜99/50〜1(重量比)で、好ましくは60
〜95/40〜5(重量比)である。光導電層中に供さ
れる本発明の樹脂〔B〕としては、AB型またはABA
型共重合体を各々いずれか一種含まれても良いし、AB
型及びABA型共重合体を両方含まれても良い。
【0107】本発明の光導電層に供される結着樹脂とし
て、本発明の樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕以外に前記した
無機光導電体用の公知の樹脂を併用することもできる。
但し、これらの他の樹脂の使用割合は、全結着樹脂10
0重量部中30重量%を越えない範囲が好ましい。この
割合を越えると、本発明の効果は著しく低下してしま
う。
【0108】併用可能な他の樹脂としては例えば、代表
的なものは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリレート共重
合体、メタクリレート共重合体、アクリレート共重合
体、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アル
キド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエ
ステル樹脂、ポリエステル樹脂等である。
【0109】具体的には、柴田隆治・石綿次郎「高分
子」第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視・
武井英彦「イメージング」1973(No.8)第9
頁、中村孝一編「絶縁材料用バインダーの実際技術」第
10章、C.H.C.出版(1985年刊)、D.D.
Tatt、S.C.Heidecker、Tappi、
49(No.10)、439(1966)、E.S.B
altazzi、R.G.Blanclotte et
al、Photo.Sci.Eng.16(No.
5)、354(1972)、グエン・チャン・ケー、清
水 勇、井上英一、電子写真学会誌18(No.2)、
28(1980)、特公昭50−31011号、特開昭
53−54027号、同54−20735号、同57−
202544号、同58−68046号各号公報等に開
示の樹脂が挙げられる。
【0110】本発明の光導電層において用いられる結着
樹脂の総量は、無機光導電体100重量部に対して、1
0重量部〜100重量部であることが好ましく、より好
ましくは15重量部〜50重量部である。本発明の樹脂
〔A〕と樹脂〔B〕の使用割合は、樹脂〔A〕/樹脂
〔B〕の重量比で0.05〜0.8/0.95〜0.2
0であることが好ましく、より好ましくは0.10〜
0.50/0.90〜0.50である。
【0111】結着樹脂の総量比が10重量部以下となる
と、光導電層の膜強度が維持できなくなる。又100重
量部以上になると、静電特性が低下し、実際の撮像性に
おいても複写画像の悪化を生じてしまう。又、本発明の
樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使用割合において樹脂〔A〕
の重量比が0.05以下になると、静電特性向上の効果
が薄れてしまう。一方0.8以上になると光導電層の膜
強度が充分維持できなくなる場合(特に電子写真式平版
印刷用原版として)が生じる。
【0112】本発明に使用する無機光導電材料として
は、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウ
ム、炭酸カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウ
ム、セレン化テルル、硫化鉛等を併用してもよい。本発
明に使用する分光増感色素としては、必要に応じて各種
の色素を単独又は併用して用いる。例えば、宮本晴視,
武井英彦、イメージング1973(No.8)第12
頁、C.J.Young等、RCA Review
,469(1054)、清田航平等、電気通信学会論
文誌J63−C(No.2)、97(1980)、原崎
勇次等、工業科学雑誌66、78及び188(196
3)、谷忠昭、日本写真学会誌35、208(197
2)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジフェニルメ
タン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン系色
素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例えば、オキ
ソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、ロダ
シアニン色素、シチリル色素等)、フタロシアニン色素
(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0113】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン色素、キサンテン系色素、フタレイン
系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許第3,052,540号、同4,054,45
0号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げ
られる。
【0114】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Harmmer 「The Cyani
neDyes and Related Compou
nd」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的
には、米国特許第3,047,384号、同3,11
0,591号、同3,121,008号、同3,12
5,447号、同3,128,179号、同3,13
2,942号、同3,622,317各、英国特許第
1,226,892号、同1,309,274号、同
1,405,898号、特公昭48−7814号、同5
5−18892号等に記載の色素が挙げられる。
【0115】更に700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許第3,619,154
号、同4,175,956号、「Research D
isclosure」1982年、216、第117〜
118頁等に記載のものが挙げられる。本発明の感光体
は種々の増感色素を併用させても、その性能が増感色素
により変動しにくい点において優れている。更には、必
要に応じて、化学増感剤等の従来知られている電子写真
感光層用各種添加剤を併用することもできる。例えば、
前記した総説:イメージング1973(No.8)第1
2頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えば、ハロゲ
ン、ベンゾキノン、クロラニル、酸無水物有機カルボン
酸等)、小門宏等、「最近の光導電材料と感光体の開発
・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)出版部
(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化合
物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジア
ミン化合物等が挙げられる。
【0116】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
001〜2.0重量部である。光導電層の厚さは1〜1
00μm、特に10〜50μmが好適である。また、電
荷発生層と電荷輸送層の積層型感光体の電荷発生層とし
て光導電層を使用する場合は電荷発生層の厚さは0.0
1〜1μm、特に0.05〜0.5μmが好適である。
【0117】感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の
改善等を主目的として絶縁層を付設させる場合もある。
この時は絶縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の
電子写真プロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比
較的厚く設定される。後者の場合、絶縁層の厚さは、5
〜70μm、特には、10〜50μmに設定される。
【0118】積層型感光体の電荷輸送材料としてはポリ
ビニルカルバゾール、オキサゾール系色素、ピラゾリン
系色素、トリフェニルメタン系色素などがある。電荷輸
送層の厚さとしては5〜40μm、特には10〜30μ
mが好適である。絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用
いる樹脂としては、代表的なものは、ポリスチレン樹
脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル
樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビー酸ビ共
重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン
樹脂の熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が適宜用いられる。
【0119】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレ
コート層が設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電
化プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。
【0120】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例としては、坂本幸男、電子写真、14(No.1)
第2〜11頁(1975)、森賀弘之「入門特殊紙の化
学」高分子刊行会(1975)、M.F.Hoove
r,J.Macromol.Sci.Chem.A−4
(6)、第1327〜第1417頁(1970)等に記
載されているもの等を用いる。
【0121】本発明の電子写真感光体は、従来公知のあ
らゆる電子写真プロセスを利用した用途において利用す
ることができる。即ち、本発明の感光体はPPC方式お
よびCPC方式のいずれの記録方式にも利用でき、又、
現像剤として乾式現像剤あるいは液体現像剤のいずれの
組合せにも用いることができる。
【0122】特に、高精細なオリジナルの忠実な複写画
像形成が可能なことから、液体現像剤との組合せで利用
すると、本発明の効果がより発揮される。又カラー現像
剤との組合せとすることで、黒白複写画像のみならず、
カラー複写画像にも応用することができる(例えば、滝
沢九郎「写真工業」33、34(1975年)、安西正
保「電子通信学会技術研究報告」77、17(1977
年)等に記載の方法)。
【0123】更に近年の電子写真プロセスを利用した他
の用途への利用のシステムにおいても有効である。例え
ば光導電体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の感
光体は、オフセット平版印刷用原版として、又無公害で
白色度の良好な光導電性酸化亜鉛あるいは光導電性酸化
チタンを用いた感光体は、オフセット印刷プロセスで用
いられる版下用記載材料あるいはカラープループ等に用
いることができる。
【0124】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。 〔樹脂〔A〕の合成〕 樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 ベンジルメタクリレート47.5g、下記開始剤〔I−
1〕24.8g及びテトラヒドロフラン70gの混合物
を、窒素気流下に温度40℃とした。この溶液に400
Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルター
を通して10時間光照射して光重合した。
【0125】
【化27】
【0126】次に、この重合物に、メタクリル酸2.5
g及びテトラヒドロフラン5gの混合溶液を加え、窒素
気流下、温度40℃で更に上記と同様にして光照射を1
0時間行なった。水/メタノール(2/1)の混合溶液
800ml中に再沈し、沈殿物を捕集し、乾燥した。得
られた重合体の収量は38gでMw8.5×103 であ
った。
【0127】
【化28】
【0128】樹脂〔A〕の合成例2〜10:〔A−2〕
〜〔A−10〕 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレー
ト47.5g及びメタクリル酸2.5gの代わりに、下
記表−Aに示した成分に相当する各単量体に各々代えた
他は、樹脂〔A〕の合成例1と同様に操作して各重合体
を合成した。得られた各重合体のMwは7×103 〜1
×104 の範囲であった。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】樹脂〔A〕の合成例11〜16:〔A−1
1〕〜〔A−16〕 2−クロロフェニルメタクリレート40g、下記表−B
の開始剤0.02モル及びテトラヒドロフラン50gの
混合溶液を樹脂〔A〕の合成例1と同様にして光照射を
8時間行なった。次に、この反応物に、ベンジルメタク
リレート7.5g、メタクリル酸2.5g及びテトラヒ
ドロフラン10gの混合溶液を加えた後、上記合成例1
と同様にして反応を行なった。得られた重合体のMwは
5×103 〜9×103 の範囲であった。
【0133】
【表4】
【0134】
【表5】
【0135】樹脂〔A〕の合成例17〜25:〔A−1
7〕〜〔A−25〕 メチルメタクリレート52.5g、メチルアクリレート
17.5g、下記開始剤〔I−8〕44g及びテトラヒ
ドロフラン75gの混合溶液を、温度50℃で窒素気流
下に、樹脂〔A〕の合成例1と同様の条件下に光照射を
15時間行なった。
【0136】
【化29】
【0137】この重合物に、下記表−Cの重合成分に相
当する各単量体及びテトラヒドロフラン25gを加え、
再び上記と同様にして光照射を15時間行なった。得ら
れた重合体のMwは5×103 〜8×103 の範囲であ
った。
【0138】
【表6】
【0139】
【表7】
【0140】
【表8】
【0141】樹脂〔A〕の合成例26〜31:〔A−2
6〕〜〔A−31〕 下記表−Dに記載の重合成分に相当する各単量体、及び
下記開始剤〔I−9〕0.03モルを用いた他は、樹脂
〔A〕の合成例1と同様に操作して、各重合体を得た。
得られた重合体のMwは4×103 〜9×103 の範囲
であった。
【0142】
【化30】
【0143】
【表9】
【0144】
【表10】
【0145】〔樹脂〔B〕の合成〕 〔マクロモノマーの合成〕 マクロモノマー(M)の合成例1:(MM−1) トリフェニルメチルメタクリレート10g及びトルエン
100gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し−20
℃に冷却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム0.
02 gを加え10時間反応した。更にこの混合溶液に、
エチルメタクリレート90g及びトルエン100gの混
合溶液を窒素気流下に充分に脱気した後添加し、更に1
0時間反応した。この混合物を0℃にした後、炭酸ガス
を毎分60mlの流量で30分間通気し、重合反応を停
止させた。得られた反応液を、攪拌下に、温度25℃と
し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6gを加え、
更に、ジシクロヘキシルカルボジイミド10g、4−
N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g及び塩化メチ
レン30gの混合溶液を30分間で滴下し、そのまま3
時間攪拌した。
【0146】析出した不溶物を濾別後、この混合溶液に
30重量%塩化水素・エタノール溶液10mlを加え1
時間攪拌した。次に減圧下に反応混合物を全体量が半分
になるまで溶媒を留去した後、石油エーテル1リットル
中に再沈した。沈澱物を捕集し、減圧乾燥して得られた
重合体は、Mw6.5×103 で収量56gであった。
【0147】
【化31】
【0148】マクロモノマー(M)の合成例2:(MM
−2) ベンジルメタクリレート5g、(テトラフェニルポルフ
ィナート)アルミニウムメチル0.01g及び塩化メチ
レン60gの混合溶液を窒素気流下に温度30℃とし
た。これに300W−キセノンランプ光をガラスフィル
ターを通して25cmの距離から光照射し、18時間反
応した。この混合物に更にブチルメタクリレート45g
を加え、同様に20時間光照射した後、この反応混合物
に2−ブロモエチルメタクリレート8gを加え3分間攪
拌し反応を停止させた。
【0149】次にこの反応混合物にPd−Cを加え、温
度25℃で1時間接触還元反応を行なった。不溶物を濾
別した後、石油エーテル500ml中に再沈し、沈澱物
を捕集し乾燥した。得られた重合体は収量33gでMw
7×103 であった。
【0150】
【化32】
【0151】マクロモノマー(M)の合成例3:(MM
−3) メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート20
g、ベンジル−N−ヒドロキシエチル−N−エチルジチ
オカーバメート6.3g及びテトラヒドロフラン80g
の混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度60℃に
加温した。これに400Wの高圧水銀灯で10cmの距
離からガラスフィルターを通して10時間光照射し光重
合した。これにアクリル酸10g、メチルメタクリレー
ト10g及びテトラヒドロフラン40gを加えた後、窒
素置換し再び10時間光照射した。
【0152】得られた反応混合物に、2−イソシアナー
トエチルメタクリレート6g及びテトラブトキシチタネ
ート0.01gを温度30℃で1時間で滴下し更に4時
間攪拌した。得られた反応物をヘキサン1.5リットル
中に再沈し、捕集し乾燥した。得られた重合体は、68
gでMw8.0×103 であった。
【0153】
【化33】
【0154】マクロモノマー(M)の合成例4:(MM
−4) メチルメタクリレート66.5g、メチルアクリレート
28.5g、トリメチルシリルメタクリレート6.8
g、チオグリコール酸2.5g及びテトラヒドロフラン
200gの混合溶液を、窒素気流下に温度75℃とし
た。これに2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(略
号A.I.B.N)0.8gを加え4時間反応し、更に
A.I.B.N.0.3gを加えて4時間反応した。温
度25℃に冷却後、この反応混合物に2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート7.0gを加え、ジシクロヘキシル
カルボジイミド(略号D.C.C.)10.0g、4−
N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g及び塩化メチ
レン20gの混合溶液を攪拌下に1時間で滴下し、その
まま更に、4時間反応した。
【0155】次にこの反応物に85%ギ酸水溶液10g
を加え、2時間攪拌した後、析出物を吸引濾過により濾
別した。濾液をメタノール1リットル中に再沈し、デカ
ンテーションで沈澱物を補集した。この沈澱物を、トル
エン300gに溶解し、不溶物を濾別後、濾液を、n−
ヘキサン/エタノール(3/1)比溶液1リットル中に
再び再沈し、沈澱物を補集した。減圧乾燥して得られた
重合体は、7×103 で収量58gであった。
【0156】
【化34】
【0157】マクロモノマー(M)の合成例5:(MM
−5) エチルメタクリレート96g、3−スルホプロピルメタ
クリレート4g、2−メルカプトエタノール3g、テト
ラヒドロフラン150g及びメタノール50gの混合溶
液を窒素気流下に攪拌しながら温度65℃に加熱した。
これに2,2′−アゾビスイソバレロニトリル(略号
A.I.V.N)0.8gを加え4時間反応し、更に
A.I.V.N.0.5gを加えて4時間反応した。冷
却後、メタノール1リットル中に再沈した。沈澱物を補
集し減圧乾燥した後、重合体63gを得た。
【0158】この重合体50gをテトラヒドロフラン1
00gに溶解し、アクリル酸5.5gを加え、攪拌下温
度25℃とした。D.C.C.15.9g、4−(N,
N−ジメチルアミノ)ピリジン0.6g及び塩化メチレ
ン20gの混合溶液を1時間で滴下し、そのまま更に3
時間攪拌した。85%ギ酸水溶液8gを加えて、1時間
攪拌した後、不溶物を吸引濾過にて濾別した。
【0159】濾液をヘキサン/エタノール(3/1)溶
液700mlに再沈し、沈澱物を補集後、減圧乾燥して
得られた重合体は、6×103 であった。
【0160】
【化35】
【0161】樹脂〔B〕の合成例1:〔B−1〕 メチルメタクリレート54g、メチルアクリレート26
g、n−ブチル−N,N−ジエチルジチオカーバメイト
1.7g及びテトラヒドロフラン80gの混合溶液を、
窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃に加温した。こ
れに400Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラス
フィルターを通して8時間光照射し光重合した。これ
に、メチルアクリレート10g、マクロモノマー(MM
−1)10g及びテトラヒドロフラン30gを加えた
後、窒素置換し、再び18時間光照射した。
【0162】この反応物を、メタノール1リットル中に
再沈し沈澱物を濾集し減圧乾燥して、Mw8.5×10
4 の重合体75gを得た。
【0163】
【化36】
【0164】樹脂〔B〕の合成例2:〔B−2〕 メチルメタクリレート75g、マクロモノマー(MM−
2)25g、下記構造の開始剤〔II−1〕5.4g及び
テトラヒドロフラン105.4gの混合溶液を、窒素気
流下に容器に密閉した。温度50℃で、合成例1と同様
の光重合反応条件下で12時間光重合した。
【0165】
【化37】
【0166】上記重合体20g(固形分量10g)、メ
チルメタノール58g、メチルアクリレート19.5
g、N−ビニルピロリドン2.5g及びテトラヒドロフ
ラン100gの混合溶液を窒素気流下に容器に密閉し
た。温度50℃にて、上記光重合反応条件で10時間光
重合した。次にメタノール、1リットル中に再沈し、沈
澱物を濾集し、減圧乾燥して、Mw1.2×105 の重
合体を80g得た。
【0167】
【化38】
【0168】樹脂〔B〕の合成例3:〔B−3〕 メチルメタクリレート70g、マクロモノマー(MM−
3)30g、下記構造の開始剤〔II−2〕4.3g及び
テトラヒドロフラン104.3gの混合溶液を〔B−
2〕の合成例と同じ条件で、光重合した。
【0169】
【化39】
【0170】上記重合体10g(固形分量5g)、メチ
ルメタノール60.3g、メチルアクリレート29.7
g、及びテトラヒドロフラン100gの混合溶液を、上
記〔B−2〕の合成例と同様にして、更に光重合した。
次にメタノール1リットル中に再沈し、沈澱物を濾集
し、減圧乾燥して、Mw1×105 の重合体を76g得
た。
【0171】
【化40】
【0172】樹脂〔B〕の合成例4:〔B−4〕 メチルメタクリレート67g、ブチルメタクリレート3
3g、ベンジル−N,N−ジメチルジチオカーバメイト
0.8g及びテトラヒドロフラン100gの混合溶液を
〔B−1〕の合成例と同様の条件で光重合した。この重
合体溶液に、エチルメタクリレート24g、マクロモノ
マー(MM−5)6g及びテトラヒドロフラン30gの
混合溶液を混合した後、上記と同条件で更に光重合し
た。
【0173】この重合体溶液に、メチルメタクリレート
42g、エチルアクリレート18g及びテトラヒドロフ
ラン60gの混合溶液を混合した後、更に上記と同条件
で光重合した。得られた反応物を、メタノール1リット
ル中に再沈し、沈澱物を補集・乾燥してMw1.1×1
5 の重合体152gを得た。
【0174】
【化41】
【0175】樹脂〔B〕の合成例5〜11:〔B−5〕
〜〔B−11〕 〔B−1〕の合成例と同様の方法で、下記表−Eの各重
合体を合成した。得られた重合体のMwは8×104
1×105 の範囲であった。
【0176】
【表11】
【0177】
【表12】
【0178】樹脂〔B〕の合成例12〜36:〔B−1
2〕〜〔B−36〕 〔B−3〕の合成例と同様にして、下記表−F及び表−
Gの樹脂〔B〕を合成した。各樹脂〔B〕のMwは9×
104 〜2×105 の範囲であった。
【0179】
【表13】
【0180】
【表14】
【0181】
【表15】
【0182】
【表16】
【0183】
【表17】
【0184】
【表18】
【0185】
【表19】
【0186】
【表20】
【0187】実施例1並びに比較例1及び比較例2 樹脂〔A−10〕5g(固形分量として)、樹脂〔B−
2〕35g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g、下記構造の色素〔I〕0.018g、無水フタル
酸0.15g及びトルエン300gの混合物をホモジナ
イザー(日本精機(株)製)中、回転数7×103 rp
mで5分間分散して、感光層形成物を調製し、これを導
電処理した紙に、乾燥付着量が25g/m2 となる様に
ワイヤーバーで塗布し、110℃で10秒間乾燥し、つ
いで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置
することにより、電子写真感光材料を作製した。
【0188】
【化42】
【0189】比較例1 実施例1において、樹脂〔B−2〕35gの代わりに下
記構造の樹脂〔R−1〕とした他は、実施例1と同様に
操作して電子写真感光材料を作製した。
【0190】
【化43】
【0191】比較例2 実施例1において、樹脂〔B−2〕35gの代わりに下
記構造の樹脂〔R−2〕とした他は、実施例1と同様に
操作して電子写真感光材料を作製した。
【0192】
【化44】
【0193】これらの感光材料について、光導電層の平
滑性、耐コスレ性、印刷性並びに環境条件(20℃、6
5%RH)、(30℃、80%RH)及び(15℃、3
0%RH)とした時の撮像性を調べた。以上の結果を表
−Hに示す。
【0194】
【表21】
【0195】表−Hに記した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 表面層の平滑性: 感光材料は、ベック平滑度試験機(熊谷理工(株)製)
を用い、空気容量1ccの条件にて、その平滑度(se
c/cc)を測定した。 注2) 撮像性: 感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、感光材
料を−6kVで帯電し、光源として2.8mW出力のガ
リウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波長
780nm)を用いて、感光材料表面上で64erg/
cm2 の照射量下、ピッチ25μm及びスキャニング速
度300m/secのスピード露光後液体現像剤とし
て、ELP−T(富士写真フィルム(株)製)を用いて
現像し、イソパラフィンアイソパーG(エッソ化学
(株)製)溶媒のリンス液で洗浄後定着することで得ら
れた複写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。
【0196】撮像時の環境条件は20℃65%RH
(I)、30℃80%RH(II)及び15℃30%R
H(III)で実施した。
【0197】注3) 耐コスレ性 感光材料の表面上に、同じ感光材料を裏面と重なる様に
して置き、更にその上に重量75gの分銅を置いて、上
の感光層を、ゆっくり水平方向に引く、その後光導電層
がコスられた感材を用いて注2)と同様の操作で製版
(即ち、複写画像の形成)を行ない、分銅でコスられた
部分の画像及び非画像部の画像を目視評価した。
【0198】撮像時の環境条件は(20℃65%RH)
(I)で行なった。
【0199】注4) 印刷性 注3)と同様にして、感光体表面にコスレ操作を行なっ
た後、前記注2)の撮像性と同条件にして製版して、ト
ナー画像を形成した後、ELP−EXを用いてエッチン
グプロセッサーに2回通して不感脂化処理し、これをオ
フセットマスターとして、オフセット印刷機(桜井製作
所(株)製オリバー52型)にかけ、印刷物の非画像部
の地汚れ及び画像部の画質に問題が生じないで印刷でき
る枚数を示す(印刷枚数が多い程、印刷性が良好なこと
を表わす)。
【0200】表−Hに示す様に、本発明の感光材料は、
環境条件が変動しても静電特性が良好で、実際の複写画
像も地カブリがなく複写画質も鮮明であった。一方、比
較例1及び2は、環境条件が変動すると、高精細な複写
画像である複写原稿の連続階調部分に、中間濃度でのム
ラの発生を生じた。又、光導電層表面に荷重をかけての
コスリテストでは、本発明の感材は、コスリの有無にか
かわらず、良好な画像を示した。しかし、比較例1及び
2の感材は、コスリテストをしたものではコスられた部
分の画像部はカスレが、又非画像部は地汚れが各々著し
く発生し実用に供しえない複写画像のものとなってしま
った。
【0201】更に、これらの製版後の感材を不感脂化処
理して、オフセット印刷版として印刷機で印刷してみた
所、本発明の印刷版は、鮮明な画像で地汚れのない印刷
物が1万枚得られた。他方、比較例1及び2は、画像部
のカスレがそのまま印刷物の画像に現われ且つ、非画像
部の汚れも、不感脂化処理しても除去されず、印刷物の
非画像部の地汚れとして、刷り出しから発生してしまっ
た。
【0202】以上のことより、本発明の樹脂を用いた場
合にのみ、耐コスレに優れた撮像性(特に高精細な画
像)を設定する電子写真感光体が得られ、特に半導体レ
ーザー光スキャンニング露光方式の感光体システムに優
位になること及び、電子写真式平版印刷原版として用い
ても、極めて良好な印刷版の性能を示すことが明らかと
なった。 実施例2及び実施例3 樹脂〔A−31〕4g(固形分量として)(実施例2)
又は樹脂〔A−26〕4g(固形分量として)(実施例
3)、樹脂〔B−3〕36g(固形分量として)、光導
電性酸化亜鉛200g、下記構造の色素〔II〕0.0
20g、N−ヒドロキシマレインイミド0.20g及び
トルエン300gの混合物を、実施例1と同様に操作し
て、電子写真感光材料を作製した。
【0203】
【化45】
【0204】各感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、耐
コスレ性、印刷性及び環境条件を20℃、65%RH、
30℃、80%RH及び15℃、30%RHとした時の
撮像性を実施例1と同様にして調べた。更に、電子写真
式平版印刷用原版として用いた時の印刷性を調べた。そ
の結果を表−Iに示す。
【0205】
【表22】
【0206】各感光材料とも、実施例1と同様に各性能
を調べた所、いずれの性能とも良好であった。特に、特
定の置換基を含有する樹脂〔A〕を用いた実施例2は、
より優れた撮像性を示した。 実施例4〜6 実施例1において用いた色素〔I〕の代わりに下記表−
Jの色素に代えた他は実施例1と同様の条件で電子写真
感光体材料を作製した。
【0207】
【表23】
【0208】本発明の各感光材料は、いずれの複写画像
も高温・高湿(30℃、80%RH)及び低温低湿(1
5℃、30%RH)の過酷な条件においても、地カブリ
の発生のない、鮮明な画像を与えた。又耐コスレ性も、
極めて良好で、更にオフセット印刷版として印刷した
所、1万枚印刷しても、良好な印刷物を得ることができ
た。 実施例7〜26 実施例1において、樹脂〔A−10〕5g及び樹脂〔B
−2〕35gの代わりに、下記表−Kの各樹脂〔A〕5
g及び各樹脂〔B〕35gを各々用いた他は実施例1と
同様にして各感光材料を作成した。
【0209】
【表24】
【0210】各感光材料の撮像性を実施例1と同様にし
て測定した。いづれの感光材料も実際の撮像性は、細線
・文字の再現性良好で中間調のムラの発生もなく、地カ
ブリの全くない鮮明な複写画像のものが得られた。耐コ
スレ性も、極めて良好であった。また、オフセットマス
ター原版として用いて、実施例2と同様にして印刷した
ところ、いづれも少なくとも1万枚以上良好に印刷する
ことができた。
【0211】以上のことから、本発明の各感光材料は光
導電層の平滑性、膜強度、静電特性及び印刷性の全ての
点において良好なものであった。 実施例27及び比較例3 樹脂〔A−27〕6g及び樹脂〔B−26〕34g、光
導電性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズ
ベンガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03
g、無水フタル酸0.40g及びトルエン300gの混
合物を、ホモジナイザー中で回転数7×103 rpmで
5分間分散して感光層形成物を調整し、これを導電処理
した紙に、乾燥付着量が25g/m2 となる様にワイヤ
ーバーで塗布し、110℃で20秒間乾燥した。次いで
暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置する
ことにより、各電子写真感光材料を作製した。 比較例3 実施例27において、樹脂〔B−26〕の代わりに、前
記した樹脂〔R−2〕とした他は、実施例27と同様に
操作して電子写真感光材料を作製した。
【0212】各感光材料の平滑性、撮像性、耐コスレ性
及び印刷性を実施例1と同様にして測定した。その結果
を表−Lに示した。
【0213】
【表25】
【0214】表−L中、撮像性及び耐コスレ性は、下記
の操作に従い、その他は実施例1と同様に行なった。 注5) 撮像性: 感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全自動
製版機EPL−404V(富士写真フィルム(株)製)
でEPL−Tをトナーとして用いて製版して得られた複
写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮像時
の環境条件は20℃65%RH(I)、30℃80%R
H(II)及び15℃30%RH(III)で実施し
た。但し、複写用の原稿(即ち、版下原稿)には、ほか
の原稿を切り抜いて、貼り込みを行なって作成したもの
を用いた。 注6) 耐コスレ性 注3)の耐コスレテストにおいて、撮像方法を注5)に
代えた他は、注3)と同様にして行なった。
【0215】本発明の感光材料及び比較例3ともに、光
導電層の平滑性は良好であった。実際の撮像性を調べて
見ると、比較例3は、複写画像として原稿以外に、切り
抜いて貼り込んだ部分の枠(即ち、貼り込み跡)が非画
像部の地汚れとして認められた。更に、撮像時の環境条
件が高温高湿(II)、低温低湿(III)下で複写画
像の連続階調部の中間調域にムラの発生、ベタ画像部の
白ヌケの微小のムラの発生等がみられた。しかし、本発
明のものは、いずれも、地汚れのない、鮮明な画像のも
のが得られた。
【0216】耐コスレ性は、本発明のものは、極めて良
好であったが、比較例3は、コスられた所は、画像部分
では画像のカスレ、他方非画像部では地汚れが各々顕著
に認められた。更に、これらをオフセット印刷用原版と
して不感脂化処理して印刷した所、本発明のものはいず
れも地汚れのない鮮明な画質の印刷物が1万枚得られ
た。しかし、比較例3は、上記の貼り込み跡が、不感脂
化処理でも除去されず、更に、コスられた部分の非画像
部の地汚れ・画像部のカスレが刷り出しの印刷物から発
生してしまった。
【0217】以上の事から、本発明の感光材料は、撮像
性、耐コスレ性及び印刷性の全ての点において良好なも
のであった。 実施例28〜51 実施例27において、樹脂〔A−27〕6g及び樹脂
〔B−26〕34gの代わりに、下記表−Mに記載の各
樹脂〔A〕4g及び樹脂〔B〕36gを用いた他は、実
施例27と同様にして各感光材料を作製した。
【0218】
【表26】
【0219】本発明の各感光材料は、いずれも、撮像
性、耐コスレ性及び印刷性ともに実施例27と同様に良
好な性能を示した。
【0220】
【発明の効果】本発明によれば、鮮明で良質な画像を有
し、更に優れた画像再現性、耐湿性及び耐面強度を有す
る電子写真感光体を得ることができる。特に、半導体レ
ーザー光を用いたスキャニング露光方式に有効である。
式(Ia)又は(Ib)で示される特定のメタクリレー
ト成分を含有する繰り返し単位を本発明に用いることに
より、更に画像再現性が向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機光導電材料、分光増感色素及び結着
    樹脂を少なくとも含有する光導電層を有する電子写真感
    光体において、該結着樹脂が、下記樹脂〔A〕の少なく
    とも1種及び下記樹脂〔B〕の少なくとも1種を各々含
    有して成ることを特徴とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、下記
    一般式(I)で示される繰り返し単位を重合体成分とし
    て少なくとも1種含有するAブロックと、−PO
    3 2 、−SO3 H、−COOH、−P(=O)(O
    H)R1 〔R1 は炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化
    水素基を表す)を表す〕及び環状酸無水物基から選択さ
    れる少なくとも1種の極性基を有する重合体成分を含有
    するBブロックとから構成されるAB型ブロック高分子
    鎖が、有機分子中に少なくとも3個結合してなるスター
    型共重合体。 【化1】 〔式(I)中、a1 及びa2 は各々水素原子、ハロゲン
    原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。R11は炭化水
    素基を表わす。〕 樹脂〔B〕 3×104 〜1×106 の重量平均分子量を有し、上記
    一般式(I)で示される繰り返し単位から成る重合体成
    分を少なくとも含有するAブロックと、該樹脂〔A〕が
    含有する特定の極性基と同様の極性基から選ばれる少な
    くとも1種の極性基を有する重合体成分を含有する重合
    体主鎖の一方の末端のみに重合性二重結合基を結合して
    成る重量平均分子量1×103 〜2×104 の一官能性
    マクロモノマー(M)を少なくとも1種含有するBブロ
    ックとで構成されるAB型及び/又はABA型ブロック
    共重合体。
  2. 【請求項2】 上記樹脂〔A〕が、一般式(I)で示さ
    れる共重合体成分として下記一般式(Ia)及び下記一
    般式(Ib)で示されるアリール基含有のメタクリレー
    ト成分のうちの少なくとも1つを含有することを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。 【化2】 【化3】 〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA2 は互いに独
    立に各々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロ
    ゲン原子、シアノ基、−COZ2 又は−COOZ2 (Z
    2 は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)を表し、B1
    及びB2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結
    合又は連結原子数1〜4個の連結基を表す〕
  3. 【請求項3】 上記樹脂〔B〕において、全共重合体中
    に含有される特定の極性基含有重合体成分の総量が、上
    記樹脂〔A〕中に含有される特定の極性基含有重合体成
    分の総量に対し10重量%〜50重量%であることを特
    徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感
    光体。
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