JPH06248555A - ポリプロピレン系網状繊維からなる不織布 - Google Patents
ポリプロピレン系網状繊維からなる不織布Info
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- JPH06248555A JPH06248555A JP5061037A JP6103793A JPH06248555A JP H06248555 A JPH06248555 A JP H06248555A JP 5061037 A JP5061037 A JP 5061037A JP 6103793 A JP6103793 A JP 6103793A JP H06248555 A JPH06248555 A JP H06248555A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 92重量%以上97重量%以下のプロピレン
と3重量%以上8重量%以下のエチレンとがランダム共
重合されたポリプロピレン系共重合体からなり,メルト
フローレート値が0.5g/10分以上30g/10分
以下の網状繊維から構成される不織布であって,該不織
布中の前記網状繊維同士は接着面積率が3%以上50%
以下で部分的に熱接着され,かつ温度100℃における
乾熱面積収縮率が15%以上であることを特徴とするポ
リプロピレン系網状繊維からなる不織布。 【効果】 熱収縮性,熱成形時の形態保持性及び軽量性
が優れ,特に容器保護用フイルタ等の熱成形用素材ある
いは軽量化素材として好適である。
と3重量%以上8重量%以下のエチレンとがランダム共
重合されたポリプロピレン系共重合体からなり,メルト
フローレート値が0.5g/10分以上30g/10分
以下の網状繊維から構成される不織布であって,該不織
布中の前記網状繊維同士は接着面積率が3%以上50%
以下で部分的に熱接着され,かつ温度100℃における
乾熱面積収縮率が15%以上であることを特徴とするポ
リプロピレン系網状繊維からなる不織布。 【効果】 熱収縮性,熱成形時の形態保持性及び軽量性
が優れ,特に容器保護用フイルタ等の熱成形用素材ある
いは軽量化素材として好適である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,熱収縮性,熱成形時の
形態保持性及び軽量性が優れたポリプロピレン系網状繊
維からなる不織布に関するものである。
形態保持性及び軽量性が優れたポリプロピレン系網状繊
維からなる不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から,熱収縮性が優れた熱可塑性合
成長繊維からなる不織布として,溶融紡糸速度を下限付
近まで低速化させて得た低配向度のポリエステル長繊維
からなる不織布が知られている。しかしながら,この不
織布は,低配向度のポリエステル長繊維自体が低配向の
故に熱に対して脆く,不織布として耐磨耗性が劣るとい
う問題を有しており,しかも合成繊維中では比較的比重
が大きいポリエステル繊維からなるため,不織布とした
ときに軽量性が劣るという問題も有している。また,熱
収縮性が優れた熱可塑性合成長繊維からなる他の不織布
として,異収縮性の重合体成分を溶融複合紡糸して得た
捲縮性長繊維あるいは溶融紡糸直後の紡出フイラメント
冷却時に非対称冷却を行って得た捲縮性長繊維からなる
不織布が知られている。しかしながら,これらの不織布
は,熱収縮応力が低いため,熱成形したときに形態保持
性が著しく劣るという問題を有している。一方,網状繊
維からなる不織布として,米国特許第3227794号
公報,特公昭42−19520号公報,特開昭50−7
1974号公報には,熱可塑性重合体を特定の溶媒に高
温高圧下で溶解して得た溶液を自生圧以上にさらに加圧
し大気中に紡出するいわゆるフラツシユ紡糸法により前
記不織布を得る技術が開示されている。しかしながら,
これらの方法により得られる不織布は,寸法安定性は優
れるものの熱収縮性が低いため熱成形時の形態保持性が
劣るという問題を有している。
成長繊維からなる不織布として,溶融紡糸速度を下限付
近まで低速化させて得た低配向度のポリエステル長繊維
からなる不織布が知られている。しかしながら,この不
織布は,低配向度のポリエステル長繊維自体が低配向の
故に熱に対して脆く,不織布として耐磨耗性が劣るとい
う問題を有しており,しかも合成繊維中では比較的比重
が大きいポリエステル繊維からなるため,不織布とした
ときに軽量性が劣るという問題も有している。また,熱
収縮性が優れた熱可塑性合成長繊維からなる他の不織布
として,異収縮性の重合体成分を溶融複合紡糸して得た
捲縮性長繊維あるいは溶融紡糸直後の紡出フイラメント
冷却時に非対称冷却を行って得た捲縮性長繊維からなる
不織布が知られている。しかしながら,これらの不織布
は,熱収縮応力が低いため,熱成形したときに形態保持
性が著しく劣るという問題を有している。一方,網状繊
維からなる不織布として,米国特許第3227794号
公報,特公昭42−19520号公報,特開昭50−7
1974号公報には,熱可塑性重合体を特定の溶媒に高
温高圧下で溶解して得た溶液を自生圧以上にさらに加圧
し大気中に紡出するいわゆるフラツシユ紡糸法により前
記不織布を得る技術が開示されている。しかしながら,
これらの方法により得られる不織布は,寸法安定性は優
れるものの熱収縮性が低いため熱成形時の形態保持性が
劣るという問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,前記問題を
解決し,熱収縮性,熱成形時の形態保持性及び軽量性が
優れ,特に容器保護用フイルタ等の熱成形用素材あるい
は軽量化素材として好適なポリプロピレン系網状繊維か
らなる不織布を提供しようとするものである。
解決し,熱収縮性,熱成形時の形態保持性及び軽量性が
優れ,特に容器保護用フイルタ等の熱成形用素材あるい
は軽量化素材として好適なポリプロピレン系網状繊維か
らなる不織布を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,前記問題
を解決すべく鋭意検討の結果,本発明に到達した。すな
わち,本発明は,92重量%以上97重量%以下のプロ
ピレンと3重量%以上8重量%以下のエチレンとがラン
ダム共重合されたポリプロピレン系共重合体からなり,
メルトフローレート値が0.5g/10分以上30g/
10分以下の網状繊維から構成される不織布であって,
該不織布中の前記網状繊維同士は接着面積率が3%以上
50%以下で部分的に熱接着され,かつ温度100℃に
おける乾熱面積収縮率が15%以上であることを特徴と
するポリプロピレン系網状繊維からなる不織布,を要旨
とするものである。また,本発明は,92重量%以上9
7重量%以下のプロピレンと3重量%以上8重量%以下
のエチレンとがランダム共重合され,かつQ値(重量平
均分子量/数平均分子量)が20以下のポリプロピレン
系共重合体からなり,メルトフローレート値が0.5g
/10分以上30g/10分以下の網状繊維から構成さ
れる不織布であって,該不織布中の前記網状繊維同士は
接着面積率が3%以上50%以下で部分的に熱接着さ
れ,かつ温度100℃における乾熱面積収縮率が15%
以上であることを特徴とするポリプロピレン系網状繊維
からなる不織布,を要旨とするものである。
を解決すべく鋭意検討の結果,本発明に到達した。すな
わち,本発明は,92重量%以上97重量%以下のプロ
ピレンと3重量%以上8重量%以下のエチレンとがラン
ダム共重合されたポリプロピレン系共重合体からなり,
メルトフローレート値が0.5g/10分以上30g/
10分以下の網状繊維から構成される不織布であって,
該不織布中の前記網状繊維同士は接着面積率が3%以上
50%以下で部分的に熱接着され,かつ温度100℃に
おける乾熱面積収縮率が15%以上であることを特徴と
するポリプロピレン系網状繊維からなる不織布,を要旨
とするものである。また,本発明は,92重量%以上9
7重量%以下のプロピレンと3重量%以上8重量%以下
のエチレンとがランダム共重合され,かつQ値(重量平
均分子量/数平均分子量)が20以下のポリプロピレン
系共重合体からなり,メルトフローレート値が0.5g
/10分以上30g/10分以下の網状繊維から構成さ
れる不織布であって,該不織布中の前記網状繊維同士は
接着面積率が3%以上50%以下で部分的に熱接着さ
れ,かつ温度100℃における乾熱面積収縮率が15%
以上であることを特徴とするポリプロピレン系網状繊維
からなる不織布,を要旨とするものである。
【0005】次に,本発明を詳細に説明する。本発明の
不織布を構成する網状繊維は,92重量%以上97重量
%以下のプロピレンと3重量%以上8重量%以下のエチ
レンとがランダム共重合されたポリプロピレン系共重合
体から構成されるものである。この共重合体において
は,エチレンの共重合が共重合体の融点降下と熱収縮性
に大きく影響し,共重合量に比例して共重合体の融点を
降下させ,かつ熱収縮性を増大させる。この共重合量が
3重量%未満であると共重合体の融点降下が小さくなっ
て,網状繊維を熱処理したときの熱収縮率が低下するの
で好ましくない。一方,この共重合量が8重量%を超え
ると重合するに際し重合溶媒(炭化水素)に可溶性の副
生物の生成割合が増加し生産性が低下して工業的に不経
済となるので好ましくない。したがって,本発明では,
この共重合量を3重量%以上8重量%以下とし,好まし
くは3.2重量%以上7.0重量%以下,特に好ましく
は3.5重量%以上6.0重量%以下とする。また,こ
の共重合体は,前記3重量%以上8重量%以下のエチレ
ンと92重量%以上97重量%以下のプロピレンとがラ
ンダム共重合されたものであり,このランダム共重合
は,共重合体の均一な熱収縮特性と紡出性の点で極めて
重要である。他の共重合形態としてブロツク共重合が挙
げられるが,この共重合では,ポリプロピレンの構造の
中にエチレンの構造部がブロツク単位で存在するため,
共重合体の熱収縮特性が不均一となり,しかも紡出状態
が網状でなく粉体状となるので好ましくない。
不織布を構成する網状繊維は,92重量%以上97重量
%以下のプロピレンと3重量%以上8重量%以下のエチ
レンとがランダム共重合されたポリプロピレン系共重合
体から構成されるものである。この共重合体において
は,エチレンの共重合が共重合体の融点降下と熱収縮性
に大きく影響し,共重合量に比例して共重合体の融点を
降下させ,かつ熱収縮性を増大させる。この共重合量が
3重量%未満であると共重合体の融点降下が小さくなっ
て,網状繊維を熱処理したときの熱収縮率が低下するの
で好ましくない。一方,この共重合量が8重量%を超え
ると重合するに際し重合溶媒(炭化水素)に可溶性の副
生物の生成割合が増加し生産性が低下して工業的に不経
済となるので好ましくない。したがって,本発明では,
この共重合量を3重量%以上8重量%以下とし,好まし
くは3.2重量%以上7.0重量%以下,特に好ましく
は3.5重量%以上6.0重量%以下とする。また,こ
の共重合体は,前記3重量%以上8重量%以下のエチレ
ンと92重量%以上97重量%以下のプロピレンとがラ
ンダム共重合されたものであり,このランダム共重合
は,共重合体の均一な熱収縮特性と紡出性の点で極めて
重要である。他の共重合形態としてブロツク共重合が挙
げられるが,この共重合では,ポリプロピレンの構造の
中にエチレンの構造部がブロツク単位で存在するため,
共重合体の熱収縮特性が不均一となり,しかも紡出状態
が網状でなく粉体状となるので好ましくない。
【0006】また,この共重合体は,Q値(重量平均分
子量/数平均分子量)が20以下のものであるのが好ま
しい。このQ値とは,ゲルパーミエイシヨンクロマトグ
ラフ法により求められる重合体の重量平均分子量と数平
均分子量の比であり,溶融計量された重合体を紡出する
前に採取し冷却した重合体を試料として測定した値であ
る。ポリプロピレン重合体は溶融紡出時に受ける熱及び
剪断の影響で劣化しやすく,溶融紡出後のQ値は,紡出
前のそれに比べ低下することが知られている。Q値は分
子量分布の幅を示すものであり,繊維の製造適性と加工
適性に大きく影響するものである。すなわち,Q値が大
きく分子量分布の幅が広いと,得られた網状繊維を用い
て不織布化するに際しての加工温度領域が広くなり,品
質の安定した不織布を得ることができるばかりでなく,
得られた不織布に熱成形加工を施すに際しても同様の効
果を得ることができる。しかしながら,Q値が大きくな
って分子量分布の幅が広くなりすぎると,紡出繊維の表
面を低分子量物が被覆した状態となって粘着性やヌメリ
感が発現し,しかも網状繊維を用いて不織布化するに際
しての開繊性が低下する。したがって,本発明では,こ
のQ値を20以下とし,好ましくは15以下,特に好ま
しくは10以下とする。
子量/数平均分子量)が20以下のものであるのが好ま
しい。このQ値とは,ゲルパーミエイシヨンクロマトグ
ラフ法により求められる重合体の重量平均分子量と数平
均分子量の比であり,溶融計量された重合体を紡出する
前に採取し冷却した重合体を試料として測定した値であ
る。ポリプロピレン重合体は溶融紡出時に受ける熱及び
剪断の影響で劣化しやすく,溶融紡出後のQ値は,紡出
前のそれに比べ低下することが知られている。Q値は分
子量分布の幅を示すものであり,繊維の製造適性と加工
適性に大きく影響するものである。すなわち,Q値が大
きく分子量分布の幅が広いと,得られた網状繊維を用い
て不織布化するに際しての加工温度領域が広くなり,品
質の安定した不織布を得ることができるばかりでなく,
得られた不織布に熱成形加工を施すに際しても同様の効
果を得ることができる。しかしながら,Q値が大きくな
って分子量分布の幅が広くなりすぎると,紡出繊維の表
面を低分子量物が被覆した状態となって粘着性やヌメリ
感が発現し,しかも網状繊維を用いて不織布化するに際
しての開繊性が低下する。したがって,本発明では,こ
のQ値を20以下とし,好ましくは15以下,特に好ま
しくは10以下とする。
【0007】本発明の不織布を構成する網状繊維は,そ
のメルトフローレート値が0.5g/10分以上30g
/10分以下のものである。網状繊維のメルトフローレ
ート値は,ASTM D 1238(L)に記載の方法
により測定されるものであり,このメルトフローレート
値が0.5g/10分未満であると網状繊維の熱収縮応
力が高くなって熱収縮率や嵩高性を大きくすることはで
きるが,共重合体を溶媒に溶解して得た溶液の溶融粘度
が著しく高くなって網状繊維を得ることが困難となるの
で好ましくない。一方,このメルトフローレート値が3
0g/10分を超えると網状繊維の強度が向上せず,し
かも繊維の熱収縮力が低下するため熱収縮性の優れた不
織布を得ることができず好ましくない。したがって,本
発明では,このメルトフローレート値を0.5g/10
分以上30g/10分以下とし,好ましくは0.7g/
10分以上20g/10分以下,特に好ましくは1.0
g/10分以上15g/10分以下とする。
のメルトフローレート値が0.5g/10分以上30g
/10分以下のものである。網状繊維のメルトフローレ
ート値は,ASTM D 1238(L)に記載の方法
により測定されるものであり,このメルトフローレート
値が0.5g/10分未満であると網状繊維の熱収縮応
力が高くなって熱収縮率や嵩高性を大きくすることはで
きるが,共重合体を溶媒に溶解して得た溶液の溶融粘度
が著しく高くなって網状繊維を得ることが困難となるの
で好ましくない。一方,このメルトフローレート値が3
0g/10分を超えると網状繊維の強度が向上せず,し
かも繊維の熱収縮力が低下するため熱収縮性の優れた不
織布を得ることができず好ましくない。したがって,本
発明では,このメルトフローレート値を0.5g/10
分以上30g/10分以下とし,好ましくは0.7g/
10分以上20g/10分以下,特に好ましくは1.0
g/10分以上15g/10分以下とする。
【0008】本発明の不織布を構成する網状繊維は,繊
度0.1デニール以下のフイブリルが集合し網状に広が
った構造を有するものである。このフイブリル繊度が小
さいほど,得られた網状繊維をを用いて不織布としたと
き透湿性を十分に保持したまま通菌性を低下させ,しか
も柔軟性が高い不織布を得ることができる。そして,こ
のフイブリル繊度が0.1デニールを大きく超えるよう
な場合,紡出された網状繊維はそのフイブリルがその側
面で相互に接合し,かつ内部に空洞を有する中空構造の
繊維となり,不織布としたときその地合いが低下した
り,あるいは網状繊維を用いて不織布化するに際しての
開繊性が低下したりするため好ましくない。
度0.1デニール以下のフイブリルが集合し網状に広が
った構造を有するものである。このフイブリル繊度が小
さいほど,得られた網状繊維をを用いて不織布としたと
き透湿性を十分に保持したまま通菌性を低下させ,しか
も柔軟性が高い不織布を得ることができる。そして,こ
のフイブリル繊度が0.1デニールを大きく超えるよう
な場合,紡出された網状繊維はそのフイブリルがその側
面で相互に接合し,かつ内部に空洞を有する中空構造の
繊維となり,不織布としたときその地合いが低下した
り,あるいは網状繊維を用いて不織布化するに際しての
開繊性が低下したりするため好ましくない。
【0009】本発明の不織布は,該不織布を構成する前
記ポリプロピレン系網状繊維同士が部分的に熱接着され
てなるものである。ここでいう部分的熱接着とは,前記
ポリプロピレン系網状繊維同士が規則的な接着部を形成
しているということである。この部分的な熱接着は,不
織布中の最小繰り返し単位面積当りの熱接着部面積を百
分率表示すなわち接着面積率が3%以上50%以下のも
のであり,この接着面積率が3%未満あると不織布とし
ての形態が保持されず,一方,接着面積率が50%を超
えると接着部が多過ぎ不織布中で未固定の網状繊維の自
由度が小さくなって不織布の熱収縮性が低下するため,
いずれも好ましくない。したがって,本発明では,この
接着面積率を3%以上50%以下とし,好ましくは4%
以上30%以下とする。この部分的熱接着部は,例えば
熱エンボスローラや超音波溶着機を用いて形成されるも
のである。また,熱エンボスローラを用いる場合,部分
的熱接着部の形態は,エンボス機における彫刻ローラの
突起部先端面の形状により決定され,丸形,楕円形,菱
形,三角形,T形,+形,−形,井形あるいは格子形等
の任意の形状とすることができる。
記ポリプロピレン系網状繊維同士が部分的に熱接着され
てなるものである。ここでいう部分的熱接着とは,前記
ポリプロピレン系網状繊維同士が規則的な接着部を形成
しているということである。この部分的な熱接着は,不
織布中の最小繰り返し単位面積当りの熱接着部面積を百
分率表示すなわち接着面積率が3%以上50%以下のも
のであり,この接着面積率が3%未満あると不織布とし
ての形態が保持されず,一方,接着面積率が50%を超
えると接着部が多過ぎ不織布中で未固定の網状繊維の自
由度が小さくなって不織布の熱収縮性が低下するため,
いずれも好ましくない。したがって,本発明では,この
接着面積率を3%以上50%以下とし,好ましくは4%
以上30%以下とする。この部分的熱接着部は,例えば
熱エンボスローラや超音波溶着機を用いて形成されるも
のである。また,熱エンボスローラを用いる場合,部分
的熱接着部の形態は,エンボス機における彫刻ローラの
突起部先端面の形状により決定され,丸形,楕円形,菱
形,三角形,T形,+形,−形,井形あるいは格子形等
の任意の形状とすることができる。
【0010】本発明の不織布は,温度100℃における
乾熱面積収縮率が15%以上のものである。この乾熱面
積収縮率とは,エアーオーブン型熱処理機を用い処理温
度100℃×処理時間15分間の条件で熱処理を施した
不織布の熱処理前の不織布に対する面積比を百分率表示
したものであり,乾熱面積収縮率が高いほど熱成形時の
形態保持性が向上する。この乾熱面積収縮率が15%未
満であると熱収縮性が優れ,かつ熱成形時の形態保持性
が優れた不織布を得ることができず好ましくない。した
がって,本発明では,この乾熱面積収縮率を15%と
し,好ましくは20%以上とする。
乾熱面積収縮率が15%以上のものである。この乾熱面
積収縮率とは,エアーオーブン型熱処理機を用い処理温
度100℃×処理時間15分間の条件で熱処理を施した
不織布の熱処理前の不織布に対する面積比を百分率表示
したものであり,乾熱面積収縮率が高いほど熱成形時の
形態保持性が向上する。この乾熱面積収縮率が15%未
満であると熱収縮性が優れ,かつ熱成形時の形態保持性
が優れた不織布を得ることができず好ましくない。した
がって,本発明では,この乾熱面積収縮率を15%と
し,好ましくは20%以上とする。
【0011】本発明の不織布は,その目付けとして例え
ば容器保護用フイルタ等の熱成形用素材では10g/m
2 以上150g/m2 以下程度とするのが好適である
が,用途に応じて適宜定めることができ,特に限定され
るものではない。
ば容器保護用フイルタ等の熱成形用素材では10g/m
2 以上150g/m2 以下程度とするのが好適である
が,用途に応じて適宜定めることができ,特に限定され
るものではない。
【0012】本発明の不織布は,例えば米国特許第32
27794号公報に記載されたようないわゆるフラツシ
ユ紡糸法により効率良く製造することができる。まず,
前記ポリプロピレン系共重合体を溶媒に高温高圧下で溶
解して得た溶液を自生圧以上にさらに加圧し大気中に紡
出する。溶媒としては,ベンゼン,トルエン等の芳香族
炭化水素,ブタン,ぺンタン,ヘキサン,ヘプタン,オ
クタン又はこれらの異性体や同族体等の脂肪族炭化水
素,シクロヘキサン等の脂環族炭化水素,塩化メチレ
ン,四塩化炭素,クロロホルム,塩化エチル,塩化メチ
ル,フルオロカーボン等のハロゲン化炭化水素,アルコ
ール,エステル,エーテル,ケトン,ニトリル,アミ
ド,二酸化硫黄,二硫化炭素,ニトロメタン等の不飽和
炭化水素,あるいは上述した溶媒の混合物を用いること
ができる。次いで,紡出された網状繊維をコロナ放電等
の開繊手段により開繊し,移動するコンベア上に堆積し
てウエブを形成する。
27794号公報に記載されたようないわゆるフラツシ
ユ紡糸法により効率良く製造することができる。まず,
前記ポリプロピレン系共重合体を溶媒に高温高圧下で溶
解して得た溶液を自生圧以上にさらに加圧し大気中に紡
出する。溶媒としては,ベンゼン,トルエン等の芳香族
炭化水素,ブタン,ぺンタン,ヘキサン,ヘプタン,オ
クタン又はこれらの異性体や同族体等の脂肪族炭化水
素,シクロヘキサン等の脂環族炭化水素,塩化メチレ
ン,四塩化炭素,クロロホルム,塩化エチル,塩化メチ
ル,フルオロカーボン等のハロゲン化炭化水素,アルコ
ール,エステル,エーテル,ケトン,ニトリル,アミ
ド,二酸化硫黄,二硫化炭素,ニトロメタン等の不飽和
炭化水素,あるいは上述した溶媒の混合物を用いること
ができる。次いで,紡出された網状繊維をコロナ放電等
の開繊手段により開繊し,移動するコンベア上に堆積し
てウエブを形成する。
【0013】本発明の不織布の製造に用いるポリプロピ
レン系共重合体としては,繊維形成性を有し,通常,繊
維グレードとして市販されているものであれば使用する
ことができ,例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂あるい
はエチレンとプロピレンをチーグラー−ナツタ触媒によ
り前記各成分比となるようにして実質的にランダム共重
合させた共重合ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。な
お,ここでいう繊維グレードとは,繊維形成性を有し溶
融紡出できるようなものである。なお,前記重合体に
は,通常,繊維に用いられる艶消し剤,耐光剤,耐熱剤
あるいは顔料等を本発明の効果が損なわれない範囲であ
れば,添加することができる。
レン系共重合体としては,繊維形成性を有し,通常,繊
維グレードとして市販されているものであれば使用する
ことができ,例えば結晶性ポリプロピレン系樹脂あるい
はエチレンとプロピレンをチーグラー−ナツタ触媒によ
り前記各成分比となるようにして実質的にランダム共重
合させた共重合ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。な
お,ここでいう繊維グレードとは,繊維形成性を有し溶
融紡出できるようなものである。なお,前記重合体に
は,通常,繊維に用いられる艶消し剤,耐光剤,耐熱剤
あるいは顔料等を本発明の効果が損なわれない範囲であ
れば,添加することができる。
【0014】また,溶融紡糸は,通常のフラツシユ紡糸
装置を用いて行うことができる。紡出に際しては,前記
共重合体としてメルトフローレート値が0.4g/10
分以上25g/10分以下のものを用い,得られた前記
共重合体からなる網状繊維のメルトフローレート値が
0.5g/10分以上30g/10分以下となるように
して紡出する必要がある。これにより,共重合体を溶媒
に溶解して得た溶液の溶融粘度が適度に制御され網状構
造の繊維を安定して得ることができ,得られた網状繊維
の強度が向上し,しかもその熱収縮力が向上して熱収縮
性の優れた不織布を得ることができる。
装置を用いて行うことができる。紡出に際しては,前記
共重合体としてメルトフローレート値が0.4g/10
分以上25g/10分以下のものを用い,得られた前記
共重合体からなる網状繊維のメルトフローレート値が
0.5g/10分以上30g/10分以下となるように
して紡出する必要がある。これにより,共重合体を溶媒
に溶解して得た溶液の溶融粘度が適度に制御され網状構
造の繊維を安定して得ることができ,得られた網状繊維
の強度が向上し,しかもその熱収縮力が向上して熱収縮
性の優れた不織布を得ることができる。
【0015】次に,得られたウエブに接着面積率が3%
以上50%以下で熱接着処理を施すことにより,ウエブ
を構成する前記網状繊維同士を部分的に熱接着させる。
部分的な熱接着処理を施すに際しては,例えば熱エンボ
スローラを用いることができ,この場合,処理温度を前
記ポリプロピレン系共重合体の融点未満の温度とし,ま
たローラの線圧を50kg/cm以下とする。この処理
温度が共重合体の融点以上であると処理時にウエブがロ
ールに接着したりして,操業性が低下するので好ましく
ない。したがって,この処理温度は共重合体の融点未
満,好ましくは融点より10℃以上低い温度とする。ま
た,超音波溶着機を用いることもできる。この超音波溶
着機とは,例えば周波数が20kHz程度の超音波によ
る振動で繊維間を融着させる装置であって,この装置に
よれば繊維間の融着部の他は殆ど熱の影響を受けないた
め網状繊維の熱収縮性を維持したまま不織布としての形
態が保持され,熱収縮性の優れた不織布を得ることがで
きる。
以上50%以下で熱接着処理を施すことにより,ウエブ
を構成する前記網状繊維同士を部分的に熱接着させる。
部分的な熱接着処理を施すに際しては,例えば熱エンボ
スローラを用いることができ,この場合,処理温度を前
記ポリプロピレン系共重合体の融点未満の温度とし,ま
たローラの線圧を50kg/cm以下とする。この処理
温度が共重合体の融点以上であると処理時にウエブがロ
ールに接着したりして,操業性が低下するので好ましく
ない。したがって,この処理温度は共重合体の融点未
満,好ましくは融点より10℃以上低い温度とする。ま
た,超音波溶着機を用いることもできる。この超音波溶
着機とは,例えば周波数が20kHz程度の超音波によ
る振動で繊維間を融着させる装置であって,この装置に
よれば繊維間の融着部の他は殆ど熱の影響を受けないた
め網状繊維の熱収縮性を維持したまま不織布としての形
態が保持され,熱収縮性の優れた不織布を得ることがで
きる。
【0016】本発明では,この網状繊維は前記ポリプロ
ピレン系共重合体をフラツシユ紡糸法により製造される
ので高度に分子配向され,かつ結晶領域が成長すると共
に非晶領域が増大した構造を有するため,この繊維を用
いて得たウエブに前記のような熱接着処理を施して不織
布としたとき,少なくとも20%まで熱収縮性が一層向
上した不織布を得ることができる。なお,このような延
伸長繊維からなるウエブに熱接着処理を施すに際し,前
記超音波溶着機を用いると,熱収縮性が更に向上した不
織布を得ることができて好ましい。
ピレン系共重合体をフラツシユ紡糸法により製造される
ので高度に分子配向され,かつ結晶領域が成長すると共
に非晶領域が増大した構造を有するため,この繊維を用
いて得たウエブに前記のような熱接着処理を施して不織
布としたとき,少なくとも20%まで熱収縮性が一層向
上した不織布を得ることができる。なお,このような延
伸長繊維からなるウエブに熱接着処理を施すに際し,前
記超音波溶着機を用いると,熱収縮性が更に向上した不
織布を得ることができて好ましい。
【0017】
【実施例】次に,実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお,実施例における各種特性の測定及び評価
は,次の方法により実施した。 重合体の融点:パーキンエルマ社製示差走査型熱量計D
SC−2型を用い,昇温速度20℃/分で測定した融解
吸収熱曲線の極値を与える温度を融点とした。メルトフ
ローレート値(g/10分):ASTM D 1238
(L) に記載の方法により測定した。 不織布のKGSM引張強力(kg/5cm):東洋ボー
ルドウイン社製テンシロンUTM−4−1−100を用
い,JIS L−1096Aに記載のストリツプ法にし
たがい,試料長10cm,試料幅5cmの試料片を引張
速度10cm/分で測定し,得られた引張強力の平均値
を不織布の目付け100g/m2 当りに換算し,KGS
M引張強力(kg/5cm)とした。 不織布の引張伸度(%):東洋ボールドウイン社製テン
シロンUTM−4−1−100を用い,JIS L−1
096Aに記載のストリツプ法にしたがい,試料長10
cm,試料幅5cmの試料片を引張速度10cm/分で
測定した。 不織布の乾熱面積収縮率(%):試料長20cm,試料
幅20cmの試料片計4個を準備し,各試料片ごとに面
積S1 を測定し,次いでエアーオーブン型熱処理機中で
100℃×15分間熱処理した後の面積S2 を測定し,
次式(b)により収縮率を算出し,その平均値を乾熱面
積収縮率とした。 乾熱面積収縮率(%)=(S1 −S2 )×100/S1 ・・・・・(b) 不織布の品位:目視観察により,次の3段階で評価し
た。○:良好,△:やや良好,×:不良 紡出性:目視観察により,次の3段階で評価した。○:
良好,△:やや良好,×:不良
明する。なお,実施例における各種特性の測定及び評価
は,次の方法により実施した。 重合体の融点:パーキンエルマ社製示差走査型熱量計D
SC−2型を用い,昇温速度20℃/分で測定した融解
吸収熱曲線の極値を与える温度を融点とした。メルトフ
ローレート値(g/10分):ASTM D 1238
(L) に記載の方法により測定した。 不織布のKGSM引張強力(kg/5cm):東洋ボー
ルドウイン社製テンシロンUTM−4−1−100を用
い,JIS L−1096Aに記載のストリツプ法にし
たがい,試料長10cm,試料幅5cmの試料片を引張
速度10cm/分で測定し,得られた引張強力の平均値
を不織布の目付け100g/m2 当りに換算し,KGS
M引張強力(kg/5cm)とした。 不織布の引張伸度(%):東洋ボールドウイン社製テン
シロンUTM−4−1−100を用い,JIS L−1
096Aに記載のストリツプ法にしたがい,試料長10
cm,試料幅5cmの試料片を引張速度10cm/分で
測定した。 不織布の乾熱面積収縮率(%):試料長20cm,試料
幅20cmの試料片計4個を準備し,各試料片ごとに面
積S1 を測定し,次いでエアーオーブン型熱処理機中で
100℃×15分間熱処理した後の面積S2 を測定し,
次式(b)により収縮率を算出し,その平均値を乾熱面
積収縮率とした。 乾熱面積収縮率(%)=(S1 −S2 )×100/S1 ・・・・・(b) 不織布の品位:目視観察により,次の3段階で評価し
た。○:良好,△:やや良好,×:不良 紡出性:目視観察により,次の3段階で評価した。○:
良好,△:やや良好,×:不良
【0018】実施例1 表1に示したQ値とメルトフローレート値,融点を有
し,プロピレンとエチレンがランダム共重合されたポリ
プロピレン系共重合体(重合体No.ニ)とドライアイ
スとをオートクレーブに充填・閉鎖し,次いで塩化メチ
レンをオートクレーブに注入し,この溶液を適度な速度
で攪拌しながら加熱した。この溶液は,共重合体濃度が
17重量%,炭酸ガスが17重量%,塩化メチレンが6
6重量%である。この溶液を温度150℃で45分間攪
拌維持し,次いで温度190℃で20分間攪拌して均一
な溶液とした後,オートクレーブのバルブを開放して圧
力降下室を有する孔径0.7mmの紡出孔3孔から大気
中に紡出し網状繊維を得た。引き続き,前記紡出繊維を
紡出孔下に配設された回転板に衝突させた後,連続して
コロナ放電により開繊し,移動するコンベア上に堆積さ
せてウエブを形成した。次いで,+型形状の突起部を有
し接着面積率が16%の彫刻ロールを具備する超音波溶
着機を用い,超音波周波数を20kHz,加工速度を5
m/分としてウエブに接着処理を施し,このポリプロピ
レン系網状繊維同士が部分的に熱接着された目付けが2
0g/m2 の不織布を得た。得られた不織布の特性と紡
出性の結果を表2に示す。この網状繊維からなる不織布
は,網状繊維のメルトフローレート値が1.1g/10
分で,表2から明らかなように実用的な不織布強力を有
し,しかも熱収縮性が優れ,熱成形用不織布として好適
なものであった。また,不織布の表面を電子顕微鏡で写
真撮影しその表面形態を観察したところ,この不織布
は,繊度が0.1デニール以下の多数のフイブリルが集
合し網状に広がった構造を有するものであった。
し,プロピレンとエチレンがランダム共重合されたポリ
プロピレン系共重合体(重合体No.ニ)とドライアイ
スとをオートクレーブに充填・閉鎖し,次いで塩化メチ
レンをオートクレーブに注入し,この溶液を適度な速度
で攪拌しながら加熱した。この溶液は,共重合体濃度が
17重量%,炭酸ガスが17重量%,塩化メチレンが6
6重量%である。この溶液を温度150℃で45分間攪
拌維持し,次いで温度190℃で20分間攪拌して均一
な溶液とした後,オートクレーブのバルブを開放して圧
力降下室を有する孔径0.7mmの紡出孔3孔から大気
中に紡出し網状繊維を得た。引き続き,前記紡出繊維を
紡出孔下に配設された回転板に衝突させた後,連続して
コロナ放電により開繊し,移動するコンベア上に堆積さ
せてウエブを形成した。次いで,+型形状の突起部を有
し接着面積率が16%の彫刻ロールを具備する超音波溶
着機を用い,超音波周波数を20kHz,加工速度を5
m/分としてウエブに接着処理を施し,このポリプロピ
レン系網状繊維同士が部分的に熱接着された目付けが2
0g/m2 の不織布を得た。得られた不織布の特性と紡
出性の結果を表2に示す。この網状繊維からなる不織布
は,網状繊維のメルトフローレート値が1.1g/10
分で,表2から明らかなように実用的な不織布強力を有
し,しかも熱収縮性が優れ,熱成形用不織布として好適
なものであった。また,不織布の表面を電子顕微鏡で写
真撮影しその表面形態を観察したところ,この不織布
は,繊度が0.1デニール以下の多数のフイブリルが集
合し網状に広がった構造を有するものであった。
【0019】実施例2〜5及び比較例1〜4 表1に示したQ値とメルトフローレート値,融点を有
し,プロピレンとエチレンがランダム共重合されたポリ
プロピレン系共重合体(実施例2〜5の重合体No.
ロ,ハ,ホ及びト,比較例1〜3の重合体No.イ,ヘ
及びチ),表1に示したQ値とメルトフローレート値,
融点を有するポリプロピレン重合体(比較例4の重合体
No.リ)を用い,かつ丸型形状の突起部を有し接着面
積率が25%の彫刻ロールを具備する超音波溶着機を用
いた以外は実施例1と同様にして,各々ポリプロピレン
系網状繊維同士が部分的に熱接着された目付けが20g
/m2程度の不織布を得た。得られた不織布の特性と紡
出性の結果を表2に示す。実施例2,4及び5の不織布
は,表2から明らかなように実用的な不織布強力を有
し,熱収縮性が極めて優れ,熱成形用不織布として好適
なものであった。実施例3の不織布は,共重合体のQ値
がやや高くフイブリルがその側面で相互に接合し,かつ
内部に空洞を有する中空構造の繊維を一部含有している
ため,地合いが若干劣るものであった。これに対し,比
較例1の不織布は,網状繊維のメルトフローレート値が
55g/10分と高く,すなわち共重合体の重合度が低
過ぎるために強度が低く,したがってこの網状繊維の特
性が反映し不織布強力が低く,しかも熱収縮性が若干低
いものであった。一方,比較例2では,用いた共重合体
の重合度が高いために溶解性が低下し,しかも共重合体
の溶融粘度が高過ぎるため安定して網状繊維を得ること
が困難であった。比較例3の不織布は,エチレンのラン
ダム共重合量が少いため熱収縮性が低いものであった。
比較例4の不織布は,重合体としてエチレンがランダム
共重合されていない通常のポリプロピレン重合体を用い
ているため熱収縮性が極めて低いものであった。
し,プロピレンとエチレンがランダム共重合されたポリ
プロピレン系共重合体(実施例2〜5の重合体No.
ロ,ハ,ホ及びト,比較例1〜3の重合体No.イ,ヘ
及びチ),表1に示したQ値とメルトフローレート値,
融点を有するポリプロピレン重合体(比較例4の重合体
No.リ)を用い,かつ丸型形状の突起部を有し接着面
積率が25%の彫刻ロールを具備する超音波溶着機を用
いた以外は実施例1と同様にして,各々ポリプロピレン
系網状繊維同士が部分的に熱接着された目付けが20g
/m2程度の不織布を得た。得られた不織布の特性と紡
出性の結果を表2に示す。実施例2,4及び5の不織布
は,表2から明らかなように実用的な不織布強力を有
し,熱収縮性が極めて優れ,熱成形用不織布として好適
なものであった。実施例3の不織布は,共重合体のQ値
がやや高くフイブリルがその側面で相互に接合し,かつ
内部に空洞を有する中空構造の繊維を一部含有している
ため,地合いが若干劣るものであった。これに対し,比
較例1の不織布は,網状繊維のメルトフローレート値が
55g/10分と高く,すなわち共重合体の重合度が低
過ぎるために強度が低く,したがってこの網状繊維の特
性が反映し不織布強力が低く,しかも熱収縮性が若干低
いものであった。一方,比較例2では,用いた共重合体
の重合度が高いために溶解性が低下し,しかも共重合体
の溶融粘度が高過ぎるため安定して網状繊維を得ること
が困難であった。比較例3の不織布は,エチレンのラン
ダム共重合量が少いため熱収縮性が低いものであった。
比較例4の不織布は,重合体としてエチレンがランダム
共重合されていない通常のポリプロピレン重合体を用い
ているため熱収縮性が極めて低いものであった。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】本発明の不織布は,前記特定のポリプロ
ピレン系網状繊維から構成されるものであり,熱収縮
性,熱成形時の形態保持性及び軽量性が優れ,特に容器
保護用フイルタ等の熱成形用素材あるいは軽量化素材と
して好適に使用することができるものである。
ピレン系網状繊維から構成されるものであり,熱収縮
性,熱成形時の形態保持性及び軽量性が優れ,特に容器
保護用フイルタ等の熱成形用素材あるいは軽量化素材と
して好適に使用することができるものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 92重量%以上97重量%以下のプロピ
レンと3重量%以上8重量%以下のエチレンとがランダ
ム共重合されたポリプロピレン系共重合体からなり,メ
ルトフローレート値が0.5g/10分以上30g/1
0分以下の網状繊維から構成される不織布であって,該
不織布中の前記網状繊維同士は接着面積率が3%以上5
0%以下で部分的に熱接着され,かつ温度100℃にお
ける乾熱面積収縮率が15%以上であることを特徴とす
るポリプロピレン系網状繊維からなる不織布。 - 【請求項2】 92重量%以上97重量%以下のプロピ
レンと3重量%以上8重量%以下のエチレンとがランダ
ム共重合され,かつQ値(重量平均分子量/数平均分子
量)が20以下のポリプロピレン系共重合体からなり,
メルトフローレート値が0.5g/10分以上30g/
10分以下の網状繊維から構成される不織布であって,
該不織布中の前記網状繊維同士は接着面積率が3%以上
50%以下で部分的に熱接着され,かつ温度100℃に
おける乾熱面積収縮率が15%以上であることを特徴と
するポリプロピレン系網状繊維からなる不織布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5061037A JPH06248555A (ja) | 1993-02-24 | 1993-02-24 | ポリプロピレン系網状繊維からなる不織布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5061037A JPH06248555A (ja) | 1993-02-24 | 1993-02-24 | ポリプロピレン系網状繊維からなる不織布 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06248555A true JPH06248555A (ja) | 1994-09-06 |
Family
ID=13159680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5061037A Pending JPH06248555A (ja) | 1993-02-24 | 1993-02-24 | ポリプロピレン系網状繊維からなる不織布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06248555A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003507585A (ja) * | 1999-08-13 | 2003-02-25 | ファースト・クオリティ・ノンウォーヴンズ・インコーポレイテッド | 非対称接合構造を有する改良不織布 |
-
1993
- 1993-02-24 JP JP5061037A patent/JPH06248555A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003507585A (ja) * | 1999-08-13 | 2003-02-25 | ファースト・クオリティ・ノンウォーヴンズ・インコーポレイテッド | 非対称接合構造を有する改良不織布 |
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