JPH08127951A - 網状繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

網状繊維不織布及びその製造方法

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JPH08127951A
JPH08127951A JP6287413A JP28741394A JPH08127951A JP H08127951 A JPH08127951 A JP H08127951A JP 6287413 A JP6287413 A JP 6287413A JP 28741394 A JP28741394 A JP 28741394A JP H08127951 A JPH08127951 A JP H08127951A
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polymer
reticulated
fiber
ester
fibers
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JP6287413A
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Hiroshi Nishimura
弘 西村
Chikayuki Fukushima
周之 福島
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟性に富み、強力も高い網状繊維不織布及
びその製造方法を提供する。 【構成】 網状繊維不織布は、実質的に連続してなる網
状繊維を構成繊維として成るものである。網状繊維は、
オレフィン系重合体を主成分とするオレフィン系フィブ
リル繊維と、エステル系重合体を主成分とするエステル
系フィブリル繊維とが、三次元網状構造となるように相
互に連結されてなるものである。そして、オレフィン系
フィブリル繊維及び/又はエステル系フィブリル繊維中
には、結晶核剤となりうる無機粉末が含有されている。
また、この網状繊維不織布には、網状繊維相互間が自己
融着されてなる接着区域が部分的に存在している。この
ような網状繊維不織布は、溶媒中に、オレフィン系重合
体及びエステル系重合体が溶解しており、且つ無機粉末
が分散している紡糸混合溶液を、フラッシュ紡糸法で吐
出して網状繊維を形成させた後、公知の方法で不織布化
することにより行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極細のフィブリル繊維
が三次元網状構造となるように相互に連結されてなる、
実質的に連続した網状繊維で構成された網状繊維不織布
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、極細の繊維を構成繊維とする
不織布の製造方法として、異形ノズルを用いたスパンボ
ンド法により得られた不織布を、ニードルパンチや揉み
加工等の機械的方法又は高圧水流法等によって、不織布
の構成繊維を割繊させる方法や、溶融ポリマーを紡糸ノ
ズルから押し出し、それを加熱流体で牽引細化させる、
いわゆるメルトブローン法が知られている。しかし、異
形ノズルを用いる方法は、ノズルコストが高くなる他、
工程も複雑になる。また、メルトブローン法は、確かに
極めて細い繊維が得られるが、ポリマーの段階で細化さ
せるため、延伸配向、結晶化が低く、得られた不織布の
強力が極めて低いという欠点を有している。
【0003】一方、極細の繊維を構成繊維とする不織布
の製造方法として、いわゆるフラッシュ紡糸法も従来か
ら知られている。フラッシュ紡糸法とは、米国特許第3
081519号公報に記載されているように、重合体を
低沸点溶媒に溶解させた紡糸溶液を紡糸ノズル(吐出
孔)から吐出させ、瞬間的に低融点溶媒を気化させて、
重合体を析出させ、且つ析出した重合体を気化による爆
発力で超延伸させて極細繊維を形成させると共に、この
極細繊維が三次元網状構造となるように相互に連結して
いる網状繊維を形成させ、この網状繊維を集積して不織
布を製造するというものである。例えば、重合体として
オレフィン系重合体を使用して、フラッシュ紡糸法で製
造したポリオレフィン系不織布は、軽量であり封筒用素
材等として用いられている。しかしながら、このポリオ
レフィン系不織布は、モジュラスが低く、使用・着用感
がなく且つ独特のヌメリ感があり、汎用的に使用するに
は限界があった。また、重合体としてエステル系重合体
を使用して製造したポリエステル系不織布は、強度が低
く、実用化するのは困難であった。
【0004】また、上記したフラッシュ紡糸法で製造さ
れたポリオレフィン系不織布及びポリエステル系不織布
の両者共に、網状繊維を形成している極細繊維の繊度
(直径)を更に細かくするということは困難であった。
何故なら、オレフィン系重合体を使用してフラッシュ紡
糸法を採用する場合には、ある特定範囲の条件におい
て、良好な網状繊維が得られるのであり、この特定範囲
内でしか、極細繊維の繊度調整が行えないからである。
このことは、重合体としてエステル系重合体を使用した
場合も同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、フ
ラッシュ紡糸法で採用される紡糸溶液中に、相溶性の悪
い重合体を複数混在させておき、紡糸溶液が吐出孔から
吐出し、溶媒が気化して極細繊維が形成される際に、相
溶性の悪い重合体の間で互いに単独の成分に分割させ
て、形成される極細繊維を更に細かくしようというもの
である。そして、極細繊維が形成される際に分割が生じ
るため、極細繊維の結晶化が十分に促進されず、これを
回避する目的で、重合体中に結晶核剤となる無機粉末を
混入させておき、十分に結晶化された強度の高い極細繊
維を得ようというものである。なお、フラッシュ紡糸法
で得られる網状繊維を構成する極細繊維は、一般的にフ
ィブリル繊維と呼ばれるため、以下、本発明ではこの例
にしたがうことにする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、オレフィン系
重合体を主成分とするオレフィン系フィブリル繊維と、
エステル系重合体を主成分とするエステル系フィブリル
繊維とが、三次元網状構造となるように相互に連結され
てなり、且つ該オレフィン系フィブリル繊維及び/又は
エステル系フィブリル繊維中には、結晶核剤となりうる
無機粉末が含有されてなる、実質的に連続した網状繊維
で構成されており、更に該網状繊維相互間が自己融着さ
れてなる接着区域を部分的に具備していることを特徴と
する網状繊維不織布及びその製造方法に関するものであ
る。
【0007】本発明では、オレフィン系重合体とエステ
ル系重合体とを使用し、フラッシュ紡糸法でフィブリル
繊維よりなる網状繊維を得る。この際に用いるオレフィ
ン系重合体としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,
エチレンを主体とする共重合体,プロピレンを主体とす
る共重合体,エチレン−ビニルアルコール系共重合体等
が採用される。これらの重合体のうち、ポリエチレン等
のエチレン系重合体を採用する場合には、ASTM−D
−1238Eの方法で測定したメルトインデックス値が
0.3〜30g/10分であるものを採用するのが好ま
しい。メルトインデックス値が0.3g/10分未満と
なると、紡糸混合溶液の粘度が上がりすぎて、フラッシ
ュ紡糸して得られるフィブリル繊維の繊度が大きくなる
傾向が生じる。また、メルトインデックス値が30g/
10分を超えると、得られる網状繊維の強度が低下する
ことにより、不織布の強度が低下したり、或いは得られ
る不織布にヌメリ感や粘着性が生じ、ハンドリングの悪
いものとなる傾向が生じる。ポリプロピレン等のプロピ
レン系重合体を採用する場合には、ASTM−D−12
38Lの方法で測定したメルトフローレート値が1〜4
0g/10分であるものを採用するのが好ましい。メル
トフローレート値が1g/10分未満になると、紡糸混
合溶液の粘度が上がりすぎて、得られるフィブリル繊維
の繊度が大きくなる傾向が生じる。また、メルトフロー
レート値が40g/10分を超えると、得られる不織布
の強度が低下したり、或いはヌメリ感や粘着性が生じ、
ハンドリングの悪いものとなる傾向が生じる。
【0008】また、オレフィン系重合体としてエチレン
−ビニルアルコール共重合体を用いる場合は、以下のよ
うな共重合比を持つものを採用するのが好ましい。即
ち、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン
とビニルアルコールとがランダム共重合されてなる結晶
性重合体であるが、エチレンからなる繰り返し単位の共
重合比が20〜70モル%であるものが好ましく、特に
30〜50モル%であるものが最も好ましい。また、エ
チレンの他は、ビニルアルコール単独であるのが最も好
ましいが、ビニルアルコールと共に若干量のビニル系モ
ノマーが混合されていてもよい。エチレンからなる繰り
返し単位が20モル%よりも少ない、即ちビニルアルコ
ール系の繰り返し単位が80モル%よりも多いと、得ら
れた不織布の柔軟性が低下する傾向が生じる。また、エ
チレンからなる繰り返し単位が70モル%を超える、即
ちビニルアルコール系の繰り返し単位が30モル%より
も少ないと、オレフィン系重合体中の水酸基の割合が相
対的に少なくなって、得られる不織布の親和性が低下す
る傾向が生じる。また、エチレン−ビニルアルコール系
共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化す
ることによって得ることもできる。この場合、ケン化度
は約95%以上であることが好ましい。ケン化度が低く
なると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の結晶
性が低下する傾向が生じ、得られるフィブリル繊維の結
晶化が十分に向上せず、軟化点或いは融点が低くなりす
ぎて、例えば、後の自己融着工程でトラブルが発生する
恐れがある。なお、エチレン−ビニルアルコール系共重
合体を採用する場合、通常、数平均分子量が約8000
〜30000のものを採用するのが好ましい。
【0009】本発明で用いるエステル系重合体として
は、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレート等が採用され、更にこれらを主体成分としてイ
ソフタル酸,フタル酸,グルタール酸,アジピン酸,ス
ルホイソフタル酸,ジエチレングリコール,プロピレン
グリコール,1,4−ブタンジオール,2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等が共重
合成分として40モル%までの範囲で共重合されている
もの等も採用される。本発明で用いるエステル系重合体
の粘度は、相対粘度[ηrel]で1.3〜1.8程度の
ものを採用するのが好ましい。即ち、エステル系重合体
としては、相対粘度[ηrel]が1.3〜1.6程度の
繊維グレードのものから、相対粘度[ηrel]が1.7
程度である固相重合によって製造された高粘度ポリエス
テル系樹脂までが、良好に採用されるのである。特に、
粘度の高いエステル系重合体を採用するほど、得られる
不織布の強度が向上する傾向になる。なお、この相対粘
度[ηrel]は、テトラクロルエタンとフェノールの混
合比率1/1(重量比)の溶媒を使用し、温度20℃で
エステル系重合体濃度0.5%とした溶液で測定したも
のである。
【0010】本発明においては、オレフィン系重合体と
エステル系重合体とは、溶媒中に溶解される。フラッシ
ュ紡糸法は、重合体を溶解させた紡糸溶液を、吐出孔か
ら大気中に吐出することによって、重合体を析出させる
ものであるから、溶媒としては、低温且つ低圧下では重
合体が溶解しにくく、高温且つ高圧下では重合体が溶解
しやすいものを採用するのが好ましい。即ち、本発明で
用いる溶媒は、オレフィン系重合体とエステル系重合体
を低温且つ低圧下では溶解させにくく、高温且つ高圧下
で両重合体を溶解させやすいものを採用するのが好まし
い。このような溶媒としては、ベンゼンやトルエン等の
芳香族系炭化水素、ブタン,ペンタン,或いはその異性
体や同族体等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン等の
脂環族系炭化水素、不飽和炭化水素、トリクロルメタ
ン,塩化メチレン,四塩化炭素,クロロホルム,1,1
−ジクロル−2,2−ジフルオルエタン,1,2−ジク
ロル−1,1−ジフルオルエタン,塩化メチル,塩化エ
チル等のハロゲン化炭化水素、アルコール類、エーテル
類、ケトン類、ニトリル類、アミド類、フルオルカーボ
ン類等を単独で又は混合して採用することができる。特
に、近年、地球環境問題が叫ばれている中で、オゾン層
を破壊する溶媒の使用は回避しなければならず、この点
からも塩化メチレン,1,1−ジクロル−2,2−ジフ
ルオルエタン,1,2−ジクロル−1,1−ジフルオル
エタン等を使用するのが好ましい。
【0011】以上の如き溶媒を使用して、オレフィン系
重合体及びエステル系重合体を溶解させて紡糸混合溶液
を得る。オレフィン系重合体とエステル系重合体を使用
して、紡糸混合溶液を得る場合、両重合体の使用割合
は、どのような範囲であっても差し支えないが、一般的
にはオレフィン系重合体:エステル系重合体=5〜9
5:95〜5(重量部)である。そして、紡糸混合溶液
を得る際、紡糸混合溶液中に結晶核剤となりうる無機粉
末を分散させておく。無機粉末としては、溶媒と反応し
たり或いは溶媒に溶解したりするものでなければ、どの
ようなものでも採用しうる。特に、タルク,炭酸カルシ
ウム,酸化チタン,シリカ,酸化マグネシウム等を採用
するのが好ましい。
【0012】無機粉末の粒径は5μm以下であるのが好
ましい。粒径が5μmを超えると、繊度のより細かなフ
ィブリル繊維が得られにくくなる傾向が生じたり、或い
は吐出孔を複数備えている紡糸口金内の瀘過フィルター
に目詰まりが発生しやすくなり、紡糸操業性が低下する
傾向が生じる。従って、無機粉末の粒径は5μm以下が
好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が最
も好ましい。なお、無機粉末の粒径は、電子顕微鏡にて
5000倍の倍率で観察及び撮影した写真より求めた。
【0013】無機粉末の嵩比容は、2〜10cc/gであ
るのが好ましく、3〜9cc/gであるのがより好まし
く、3〜8cc/gであるのが最も好ましい。嵩比容は、
単位重量当りの無機粉末の体積のことである。嵩比容が
大きくなればなるほど、無機粉末の表面積が大きくな
り、結晶核剤としての効果を増大させることになる。無
機粉末の嵩比容が2cc/g以下であると、結晶核剤とし
ての効果が半減し、そのために無機粉末の添加量(重合
体中への含有量)を多くしなければならず、得られるフ
ィブリル繊維の強力が低下する傾向が生じる。また、嵩
比容が10cc/gを超える無機粉末の製造は困難であ
り、このような無機粉末を得ようとすると、無機粉末の
コストが高騰し、ひいては得られる不織布のコストも高
騰する結果となる。
【0014】紡糸混合溶液中に分散させる無機粉末の量
的割合は、両重合体の重量に対して0.1〜5重量%で
あるのが好ましく、0.1〜2重量%であるのがより好
ましい。即ち、[無機粉末の重量/(両重合体の重量+
無機粉末の重量)]×100の値が、0.1〜5重量%
であるのが好ましく、0.1〜2重量%であるのがより
好ましい。無機粉末の混入割合が0.1重量%未満であ
ると、結晶核剤としての効果が少なくなって、得られる
網状繊維及び不織布の強力が十分に向上しない傾向とな
る。また、無機粉末の混入割合が5重量%を超えると、
網状繊維中に多量の無機粉末が含有される結果となり、
網状繊維の強力が低下する傾向が生じる。また、紡糸混
合溶液を吐出する吐出孔の近傍に、多量の無機粉末が付
着して、操業性が低下する傾向が生じる。
【0015】以上説明したオレフィン系重合体,エステ
ル系重合体,溶媒及び無機粉末を使用して、溶媒中に両
重合体を溶解させ且つ無機粉末を溶媒中に分散させた紡
糸混合溶液を作成する。紡糸混合溶液は、例えば、溶媒
中に、オレフィン系重合体,エステル系重合体及び無機
粉末を投入し、オレフィン系重合体とエステル系重合体
とを溶解させることによって作成される。また、オレフ
ィン系重合体に予め0.1〜5重量%の無機粉末を混練
させておき、更にエステル系重合体にも予め0.1〜5
重量%の無機粉末を混練させておいて、この無機粉末が
混練された両重合体を溶媒に溶解させることによっても
作成することができる。更に、オレフィン系重合体とエ
ステル系重合体とを混合した混合物に、予め0.1〜5
重量%の無機粉末を混練し、これを溶媒に溶解させるこ
とによって作成してもよい。
【0016】溶媒に両重合体を溶解させるには、一般的
に昇温する必要があり、150〜240℃に加熱する必
要がある。即ち、溶媒に両重合体が溶解している状態を
保持するためには、紡糸混合溶液を150〜240℃の
温度に保持しておくのが一般的である。紡糸混合溶液の
保持温度が240℃を超えると、オレフィン系重合体等
が分解する恐れがあり、得られる網状繊維に着色が見ら
れたり、或いは網状繊維の強力が低下する傾向が生じ
る。また、紡糸混合溶液の温度が150℃未満である
と、吐出孔から紡糸混合溶液を常温下の大気雰囲気に吐
出しても、温度低下が少ないため、重合体の析出が爆発
的に起こりにくく、フィブリル繊維で構成された網状繊
維となりにくく、空洞部を持つ筒状繊維になりやすくな
る。なお、溶媒中に両重合体が十分に溶解し、良好な物
性を持つ網状繊維が得られる場合には、紡糸混合溶液の
温度を150℃未満或いは240℃を超える温度に保持
しても良いことは勿論である。
【0017】溶媒中に両重合体を溶解させた紡糸混合溶
液において、重合体濃度は5〜30重量%であることが
好ましい。ここで、重合体濃度とは、[(オレフィン系
重合体の重量+エステル系重合体の重量)/紡糸混合溶
液の重量]×100で表されるものである。重合体濃度
が5重量%未満であると、紡糸混合溶液をフラッシュ紡
糸法で吐出孔から吐出しても、実質的に連続した網状繊
維が得られにくくなる傾向が生じる。重合体濃度が30
重量%を超えると、フィブリル繊維で構成された網状繊
維が得られにくくなり、気泡を含有したような筒状繊維
が得られる傾向が生じる。
【0018】一方、紡糸混合溶液の溶媒濃度は、70〜
95重量%となるようにするのが好ましい。溶媒濃度が
70重量%未満になると、紡糸混合溶液の溶液粘度が高
くなりすぎて、重合体の溶解が不均一になりやすく、フ
ィブリル繊維で構成された網状繊維が得られにくく、空
洞を持った筒状繊維が生じやすくなる。また、溶媒濃度
が95重量%を超えると、実質的に連続した網状繊維が
得られにくくなり、その結果、得られる不織布の強力が
低下する傾向が生じる。
【0019】紡糸混合溶液を作成する際には、紡糸混合
溶液を収納した密閉容器中に、窒素や二酸化炭素等の不
活性ガスを添加注入しておくのが好ましい。不活性ガス
の添加注入は、紡糸混合溶液を作成する前であっても、
作成した後であってもよい。また、溶媒中に重合体を溶
解させるために昇温を行う場合には、昇温前であっても
昇温後であってもよい。特に、昇温前から不活性ガスを
添加注入しておくと、重合体の劣化防止,昇温速度の向
上,重合体の溶媒に対する溶解性の向上等を図ることが
でき、フラッシュ紡糸法によって得られる網状繊維を構
成しているフィブリル繊維の繊度をより細かくすること
が可能となり、その結果、非常に良好な風合の不織布を
得ることができる。
【0020】このような不活性ガスの注入によって、紡
糸混合溶液を少なくとも自生圧力下に保持することがで
きる。自生圧力は、容器の容積,不活性ガスの注入量及
び容器内の温度によって自発的に生じる圧力のことであ
る。容器の容積は、所望量の紡糸混合溶液を収納するた
め、一定の範囲のものが採用され、容器内の温度は、紡
糸温度によって一定の範囲のものが採用されるので、自
生圧力の値は、一般的には容器内への不活性ガスの注入
量によって決定される。自生圧力は、一般的には40kg
/cm2以上にするのが好ましく、従って混合紡糸溶液
は、40kg/cm2以上の自生圧力下に保持するのが好ま
しい。また、この自生圧力の他に、他の圧力を紡糸混合
溶液に負荷してもよい。このように少なくとも自生圧力
以上の高圧力下に保持された紡糸混合溶液は、圧力降下
室を経て、それよりも実質的に低い圧力領域(一般的に
は大気領域)に吐出され(即ち、フラッシュ紡糸さ
れ)、実質的に連続した網状繊維が得られるのである。
紡糸混合溶液の保持圧力が40kg/cm2(一般的な自生
圧力)未満であると、フラッシュ紡糸時の圧力変化が少
なすぎて、爆発力が低下し、網状繊維を構成するフィブ
リル繊維の配向が低くなり、高強力の網状繊維が得られ
にくくなる傾向が生じる。また、紡糸混合溶液の吐出が
不均一になって、多数のフィブリル繊維が連結した網状
繊維が安定して得られにくくなる傾向が生じる。なお、
紡糸混合溶液の保持圧力の上限は、特にどのような値で
あっても差し支えないが、重合体の粘度低下を抑える観
点から120kg/cm2程度であるのが好ましい。
【0021】所定温度で且つ自生圧力に保持された紡糸
混合溶液は、その後フラッシュ紡糸されて吐出されるわ
けであるが、重合体を溶解した後90分以内で、できる
だけ短時間に吐出するのが好ましい。重合体を溶解させ
た後90分を超えて吐出すると、特にエステル系重合体
に着色や熱分解が生じやすくなり、得られる網状繊維の
強力、ひいては得られる不織布の強力が低下する傾向が
生じる。また、重合体の溶解が十分に進行していない状
態で、紡糸混合溶液を吐出すると、紡糸口金内の瀘過フ
ィルターに目詰まりが生じたり、或いは均一な網状繊維
が得られにくくなる傾向が生じる。
【0022】紡糸混合溶液中には、オレフィン系重合
体,エステル系重合体及び無機粉末の他に、通常の繊維
形成の際に用いられる艶消し剤,耐光剤,耐熱剤,顔
料,開繊剤,耐候剤,紫外線吸収剤,蓄熱剤,安定剤等
を添加しておくのが好ましい。特に、紡糸混合溶液中
に、界面活性剤を添加しておくのが好ましい。即ち、本
発明においては、互いに相溶性を有しないオレフィン系
重合体とエステル系重合体とを溶媒中に溶解させるもの
であるから、両重合体は溶解した溶液相に分離しやす
い。即ち、オレフィン系重合体が主として溶解している
溶液相と、エステル系重合体が主として溶解としている
溶液相の二相に分離しやすい。この相分離を防止するた
めに、界面活性剤を添加すると、紡糸混合溶液を乳化状
態で安定に維持することができるのである。界面活性剤
としては、ノニオン系界面活性剤を使用するのが好まし
く、例えば、ラウリン酸,ステアリン酸,オレイン酸等
の各モノエステルや、ラウリルアルコール,ステアリル
アルコール,オレイルアルコール等のポリオキシエチレ
ン付加物等を使用するのが好ましい。紡糸混合溶液中に
おいて、オレフィン系重合体とエステル系重合体が均一
に溶解しているほど、極めて繊度の小さいフィブリル繊
維で構成された網状繊維が得られるのである。
【0023】以上のようにして調整した紡糸混合溶液
を、フラッシュ紡糸法で吐出孔から吐出して、網状繊維
を得る。即ち、紡糸混合溶液を吐出孔から吐出させ、低
圧力下及び低温度下における溶剤の瞬間的且つ爆発的な
気化によって、超延伸・高配向されたフィブリル繊維よ
りなる網状繊維が得られるのである。この瞬間的且つ爆
発的な気化は、瞬時の速度による気化力であり、速度的
には0.1秒以下の時間で溶媒が一気に気化し、その過
程は極めて短時間で、重合体の濃度増加が生じ、最終的
には重合体のみが析出するのである。そして、この析出
した重合体は、気化による冷却、超延伸・高配向を受
け、極細のフィブリル繊維よりなる網状繊維となるので
ある。従って、本発明に係る方法で得られた網状繊維
は、オレフィン系重合体を主成分とするフィブリル繊維
と、エステル系重合体を主成分とするフィブリル繊維と
が、三次元網状構造となるように連結されてなるもので
ある。そして、フィブリル繊維の直径は極めて細く、一
般的に0.01〜10μm程度である。このような網状
繊維を、集積して網状繊維ウェブを作成する。具体的に
は、吐出孔より水平に約30mm離れた箇所でモーターに
よって回転する回転板に、吐出孔から吐出されて形成さ
れた網状繊維を打ち当て、綾振りをして幅だしを行いな
がら、回転板の下方に設置したネットコンベアー上に
て、網状繊維ウェブを形成する。この網状繊維ウェブ
は、そのままで、又はこの網状繊維ウェブを複数枚積層
した後に、以下に示すような熱融着工程に供給される。
【0024】即ち、このような網状繊維ウェブ(積層さ
れているものも含む。以下同じ。)の所定の区域に熱を
付与して、その区域で網状繊維の一部を軟化又は溶融さ
せて、自己粘着力によって網状繊維相互を融着し、網状
繊維不織布を得るのである。網状繊維ウェブの所定の区
域に熱を付与する方法としては、例えば、少なくとも加
熱された凹凸ローラーを装備した一対のローラーからな
るエンボス装置間に、網状繊維ウェブを通して、凹凸ロ
ーラーの凸部と網状繊維ウェブとが当接する区域に熱を
付与する方法、凹凸ローラーと超音波発信ホーンとで構
成された超音波熱融着装置に、網状繊維ウェブを通し
て、凹凸ローラーの凸部と網状繊維ウェブとが当接する
区域に超音波を施して、その区域に摩擦熱を生じさせる
方法等を採用することができる。
【0025】エンボス装置を使用する場合、加熱された
凹凸ローラー又はこの凹凸ローラーと対をなすローラー
の温度は、[オレフィン系重合体の融点−40℃]の温
度以上で、エステル系重合体の融点未満の温度であるの
が好ましい。更に詳細に言えば、網状繊維ウェブ中にお
けるオレフィン系重合体の割合が20重量%以上(即
ち、エステル系重合体の割合が80重量%未満)であれ
ば、[オレフィン系重合体の融点−40℃]の温度以上
で、エステル系重合体の融点未満の温度であるのが好ま
しく、網状繊維ウェブ中におけるオレフィン系重合体の
割合が20重量%未満であれば、オレフィン系重合体の
融点以上で、エステル系重合体の融点未満の温度である
のが好ましい。このような温度範囲より低い温度に凹凸
ローラー等を加熱すると、所定の区域における網状繊維
相互間の融着の程度が低くなり、得られる不織布に毛羽
が多発したり、或いは不織布の強度が低下する傾向が生
じる。一方、このような温度範囲より高い温度に凹凸ロ
ーラー等を加熱すると、融着された所定の区域がフィル
ム化したり、或いは得られる不織布が着色したりする恐
れがある。また、エンボス装置を使用する場合、一対の
ローラー間に通される網状繊維ウェブに負荷される線圧
は、1.0〜30kg/cm程度が好ましい。線圧が1.0
kg/cm未満であると、所定の区域における網状繊維相互
間の融着の程度が低くなり、得られる不織布に毛羽が多
発したり、或いは不織布の強度が低下する傾向が生じ
る。一方、線圧が30kg/cmを超えると、融着された所
定の区域がフィルム化しやすくなり、得られる不織布の
風合が粗悪になる傾向が生じる。なお、網状繊維ウェブ
をエンボス装置間に通す回数は、一回であっても、二回
以上の複数回であっても差し支えない。
【0026】以上のようにして、本発明に係る網状繊維
不織布が得られるのである。本発明に係る網状繊維不織
布の目付(g/m2)は、どのような値であっても差し
支えないが、一般的には10〜100g/m2程度が好
ましい。また、この網状繊維不織布は、このままで、或
いは後工程で染色されて各種製品の素材として用いられ
るのである。この網状繊維不織布を素材とする製品とし
ては、農業用・土木用シート,衣料品,手術着等の医療
用品,保護服,カーテン,テーブルクロス,マスク,ワ
イパー,瀘過フィルター,ハウスラップ等が挙げられ
る。
【0027】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を更に具体的
に説明する。なお、実施例における各種特性の測定及び
評価は、次の方法により行った。 [重合体の融点]:パーキンエルマ社製の示差走査型熱
量計DSC−2型を用いて、昇温速度20℃/分で測定
した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。 [不織布の比表面積]:日本ベル株式会社製「BELS
ORP28」を用いて、BET窒素吸着法によって比表
面積を測定し、単位をm2/gに換算して不織布の比表
面積とした。 [不織布の見掛け密度]:試料幅10cm,試料長10cm
の試料片を計5個準備して、各試料ごとに目付を測定し
た後、大栄科学精機製作所製の厚さ測定器を用い、4.
5g/cm2の荷重を負荷し、10秒放置した後の厚さを
測定し、次式により見掛け密度を算出して、その平均値
を不織布の見掛け密度とした。見掛け密度(g/cm3
=目付(g/m2)/厚さ(mm)/1000 [不織布の強力及び伸度]:東洋ボールドウィン社製の
テンシロンUTM−4−1−100を用い、JIS L
−1096に記載のストリップ法に準じて測定した。即
ち、試料長20cm、試料幅5cmの試料片を10個準備
し、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minの条件
で最大強力及び伸度を測定し、その平均値を100g/
2の目付に換算した値を、不織布の強力及び伸度とし
た。 [圧縮剛軟度]:試料幅5cm、試料長10cmの試料片を
5個準備し、個々の試料片を横方向に曲げて円筒状とし
(試料幅が高さとなる円筒体とし)、その端部を接合し
て試料とした後、東洋ボールドウィン社製のテンシロン
UTM−4−1−100を用い、圧縮速度5cm/分の条
件で試料を高さ方向に圧縮し、その最大荷重時の応力
(g)を測定し、これを圧縮剛軟度とした。 [不織布の透湿度]:JIS L−1099−A−1に
準じ、温度40℃,湿度90%RHの条件下で、透湿度
(g/m2/hr)を測定した。 [不織布の染色性]:下記の要領で分散染料による染色
を実施した後、更に還元染色を行い、その後水洗して乾
燥した後、不織布の染色性を次の如く評価した。◎…極
めて良好、○…良好、△…やや良好、×…不良。なお、
分散染料による染色は、分散染料Blue E-FBL(住友化学
工業株式会社製)を1%o.w.f.,分散剤Disper-tl(明
成化学株式会社製)を1g/l,助剤として蟻酸を0.
1g/l,浴比1:50として60分間ボイル染色する
ことにより行った。また、還元染色は、精練剤としてサ
ンモールFL-100(日華化学株式会社製)を1g/l,ハ
イドロサルファイトを2g/l,カセイソーダを1g/
l,浴比1:50として80℃×20分間の条件で行っ
た。
【0028】実施例1 まず、融点132℃,密度0.96g/cm3,メルトイ
ンデックス値が0.8g/10分である高密度ポリエチ
レン600gを準備した。一方、融点256℃,相対粘
度[ηrel]が1.7であるポリエチレンテレフタレー
ト900gを準備した。また、結晶核剤として、粒径1
μmで嵩比容5cc/gのタルク粉末を準備した。そし
て、このタルク粉末3gを高密度ポリエチレンに混練
し、またこのタルク粉末4.5gをポリエチレンテレフ
タレートに混練した。そして、10リットルのオートク
レーブ中に、この各混練物と塩化メチレン6000gと
を充填した。また、この際、界面活性剤としてイソオク
チルステアレートとイソステアリルエステルとを、各々
3gづつ添加した。その後、オートクレーブを閉じ、引
き続き窒素を50kg/cm2となるようにオートクレーブ
中に注入して、適度な速度で攪拌を開始すると共に加熱
も開始した。温度が100℃に達してから温度220℃
に達する時間は25分間であり、そして温度220℃に
保持しながら10分間攪拌を継続して均一な紡糸混合溶
液を得た。このときの、オートクレーブ中の圧力は10
1kg/cm2のゲージ圧を示した。
【0029】以上のようにして、温度220℃で圧力1
01kg/cm2に保持された紡糸混合溶液が得られると直
ちに、3個のバルブを開放して圧力降下室を持つ吐出孔
径0.65mmφ,L/D=1の3個の吐出孔より紡糸混
合溶液を吐出し、得られた網状繊維を回転板に衝突させ
た後、開繊させながら移動するコンベアーネット上に網
状繊維を堆積させて網状繊維ウェブを形成した。なお、
圧力降下室の圧力は95kg/cm2であった。この網状繊
維ウェブを複数枚積層した後、油圧式クリアランスエン
ボス装置に通して、目付50g/m2の網状繊維不織布
を得た。このエンボス装置は、上部ローラーとして凹凸
ローラーが用いられ、下部ローラーとしてフラットロー
ラーが用いられ、いずれも加熱されている一対のローラ
ーよりなるものである。ローラーの加熱温度は125℃
であり、凹凸ローラーとフラットローラーとの間にクリ
アランスは取られておらず、線圧は20kg/cmであっ
た。また、網状繊維ウェブが凹凸ローラーとフラットロ
ーラーとの間を通過する速度は、10m/minであっ
た。更に、凹凸ローラーの表面積に対して凸部の占める
割合は25%であり、単位面積当りの凸部の密度は60
個/cm2であった。
【0030】以上のようにして得られた網状繊維不織布
は、繊度の非常に細かいフィブリル繊維が三次元網状構
造となるように連結されてなる、実質的に連続した網状
繊維で構成されてなるものであった。また、この網状繊
維不織布に着色は見られず、高強力で、透湿性にも優れ
たものであった。更に、この網状繊維不織布を分散染料
を用いて染色したところ、鮮明に染色できることが確認
できた。なお、この網状繊維不織布の特性値等は、下記
のとおりであった。 記 見掛け密度 :0.28g/cm3 比表面積 :31m2/g 強力(MD,CD):20.5kg/5cm,21.7kg/
5cm 伸度(MD,CD):30%,32% 圧縮剛軟度 :130g 透湿度 :250g/m2/hr 染色性 :◎
【0031】実施例2 融点162℃,密度0.910g/cm3,メルトフロー
レート値が4g/10分であるポリプロピレン400g
を準備した。一方、融点256℃,相対粘度[ηrel
が1.6であるポリエチレンテレフタレート1100g
を準備した。また、結晶核剤として、粒径1μmで嵩比
容5cc/gのタルク粉末を準備した。そして、このタル
ク粉末2gをポリプロピレンに混練し、またこのタルク
粉末5.5gをポリエチレンテレフタレートに混練し
た。そして、10リットルのオートクレーブ中に、この
各混練物と塩化メチレン6000gとを充填した。ま
た、この際、界面活性剤としてイソオクチルステアレー
トとイソステアリルエステルとを、各々3gづつ添加し
た。その後、オートクレーブを閉じ、引き続き窒素を5
0kg/cm2となるようにオートクレーブ中に注入して、
適度な速度で攪拌を開始すると共に加熱も開始した。温
度が100℃に達してから温度200℃に達する時間は
30分間であり、そして温度200℃に保持しながら1
0分間攪拌を継続して均一な紡糸混合溶液を得た。この
ときの、オートクレーブ中の圧力は98kg/cm2のゲー
ジ圧を示した。
【0032】以上のようにして、温度200℃で圧力9
8kg/cm2に保持された紡糸混合溶液が得られると直ち
に、3個のバルブを開放して圧力降下室を持つ吐出孔径
0.65mmφ,L/D=1の3個の吐出孔より紡糸混合
溶液を吐出し、得られた網状繊維を回転板に衝突させた
後、開繊させながら移動するコンベアーネット上に網状
繊維を堆積させて網状繊維ウェブを形成した。なお、圧
力降下室の圧力は92kg/cm2であった。この網状繊維
ウェブを複数枚積層した後、凹凸ローラー及びフラット
ローラーの加熱温度を135℃とした他は、実施例1と
同様にして、油圧式クリアランスエンボス装置に通し、
目付50g/m2の網状繊維不織布を得た。
【0033】以上のようにして得られた網状繊維不織布
は、繊度の非常に細かいフィブリル繊維が三次元網状構
造となるように連結されてなる、実質的に連続した網状
繊維で構成されてなるものであった。また、この網状繊
維不織布に着色は見られず、高強力で、透湿性にも優れ
たものであった。更に、この網状繊維不織布を分散染料
を用いて染色したところ、鮮明に染色できることが確認
できた。なお、この網状繊維不織布の特性値等は、下記
のとおりであった。 記 見掛け密度 :0.29g/cm3 比表面積 :29m2/g 強力(MD,CD):17.2kg/5cm,18.5kg/
5cm 伸度(MD,CD):32%,33% 圧縮剛軟度 :125g 透湿度 :231g/m2/hr 染色性 :◎
【0034】実施例3 実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートに代え
て、融点が247℃,相対粘度[ηrel]が1.3であ
る、スルホイソフタル酸を5モル%共重合したポリエス
テルを使用し、紡糸混合溶液の保持温度を200℃に、
保持圧力を99kg/cm2とし、更に圧力降下室の圧力を
94kg/cm2とした他は、実施例1と同様の条件で網状
繊維不織布を得た。
【0035】以上のようにして得られた網状繊維不織布
は、繊度の非常に細かいフィブリル繊維が三次元網状構
造となるように連結されてなる、実質的に連続した網状
繊維で構成されてなるものであった。また、この網状繊
維不織布に着色は見られず、高強力で、透湿性にも優れ
たものであった。更に、この網状繊維不織布をカチオン
染料を用いて染色したところ、鮮明に染色できることが
確認できた。なお、この網状繊維不織布の特性値等は、
下記のとおりであった。 記 見掛け密度 :0.30g/cm3 比表面積 :28m2/g 強力(MD,CD):16.5kg/5cm,16.9kg/
5cm 伸度(MD,CD):35%,39% 圧縮剛軟度 :120g 透湿度 :247g/m2/hr 染色性 :◎
【0036】実施例4 実施例1で使用したタルク粉末に代えて、粒径1μmの
炭酸カルシウム粉末を使用し、且つ炭酸カルシウム粉末
6gを高密度ポリエチレンに混練し、またこの炭酸カル
シウム粉末9gをポリエチレンテレフタレートに混練
し、更に紡糸混合溶液の保持圧力を102kg/cm2
し、圧力降下室の圧力を95kg/cm2とした他は、実施
例1と同様の条件で網状繊維不織布を得た。
【0037】以上のようにして得られた網状繊維不織布
は、繊度の非常に細かいフィブリル繊維が三次元網状構
造となるように連結されてなる、実質的に連続した網状
繊維で構成されてなるものであった。また、この網状繊
維不織布に着色は見られず、高強力で、透湿性にも優れ
たものであった。更に、この網状繊維不織布を分散染料
を用いて染色したところ、鮮明に染色できることが確認
できた。なお、この網状繊維不織布の特性値等は、下記
のとおりであった。 記 見掛け密度 :0.28g/cm3 比表面積 :31m2/g 強力(MD,CD):18.7kg/5cm,20.0kg/
5cm 伸度(MD,CD):31%,32% 圧縮剛軟度 :127g 透湿度 :250g/m2/hr 染色性 :◎
【0038】実施例5〜8及び比較例1 融点132℃,密度0.96g/cm3,メルトインデッ
クス値が0.6g/10分である高密度ポリエチレン6
00gを準備した。一方、融点256℃,相対粘度[η
rel]が1.4であるポリエチレンテレフタレート90
0gを準備した。また、結晶核剤として、粒径1μmで
嵩比容5cc/gのタルク粉末を準備した。そして、表1
に示した量のタルク粉末を高密度ポリエチレン及びポリ
エチレンテレフタレートに混練した。そして、10リッ
トルのオートクレーブ中に、この各混練物と塩化メチレ
ン6000gとを充填した。また、この際、界面活性剤
としてイソオクチルステアレートとイソステアリルエス
テルとを、各々3gづつ添加した。その後は、実施例と
全く同一の条件で、不織布を製造し、この不織布の特性
値等を表1に示した。
【0039】
【表1】 なお、表1中の1)は、高密度ポリエチレンに対するタル
ク粉末の添加混練量であり、2)は、ポリエチレンテレフ
タレートに対するタルク粉末の添加混練量である。
【0040】表1の結果から明らかな通り、タルク粉末
を使用していない比較例1に係る方法で得られた不織布
は、実施例5〜8に係る方法で得られた網状繊維不織布
に比べて、強力が低く且つ圧縮剛軟度の数値が小さく柔
軟性に欠けることが分かる。なお、実施例8に係る方法
で得られた網状繊維不織布は、タルク粉末の使用量が多
すぎるため、実施例5〜7に係る方法で得られた網状繊
維不織布に比べて、強力が低下しているが、その反面、
柔軟性が向上していることが分かる。更に、実施例8に
係る方法を採用すると、吐出孔の周囲にタルク粉末が付
着しやすく、煩雑にメンテナンスをしなければならず、
操業性については劣るものであった。
【0041】実施例9〜11及び比較例2〜6 表2及び表3に示したように、紡糸混合溶液を作成する
際の塩化メチレンの量を変更して重合体濃度を変更した
り、紡糸混合溶液の保持温度を変更したり、重合体を溶
解した後、紡糸混合溶液を吐出するまでの時間を変更し
たり、或いは圧力降下室の圧力を変更する他は、実施例
1と同様の条件で不織布を得た。この不織布の特性値等
を表2及び表3に示した。なお、溶媒である塩化メチレ
ンの量を変更する場合には、オートクレーブの大きさ
も、それに適合するように変更した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】実施例9〜11に係る方法によって得られ
た網状繊維不織布は、着色もなく、高強力で他の特性も
良好で、満足のできるものであった。これに対して、比
較例2〜6に係る方法で得られた不織布は、以下の点で
満足のできるものではなかった。即ち、比較例2に係る
方法においては、紡糸混合溶液の保持温度が低く、重合
体が十分に溶媒に溶解していないものであった。従っ
て、フラッシュ紡糸を行っても、網状繊維を得ることが
できなかった。比較例3に係る方法においては、紡糸混
合溶液の保持温度が高すぎて、溶媒中に溶解している重
合体に分解が生じており、フラッシュ紡糸を行っても、
網状繊維を得ることができなかった。比較例4に係る方
法においては、紡糸混合溶液の保持時間が長いために、
主としてポリエステル系重合体に分解が生じ、実質的に
連続している網状繊維を得ることができなかった。従っ
て、網状繊維に着色が見られ、また不織布の強力も低い
ものであった。比較例5に係る方法においては、紡糸混
合溶液の重合体濃度が低いために、実質的に連続してい
る網状繊維を得ることができず、強力の低い不織布しか
得られなかった。比較例6に係る方法においては、紡糸
混合溶液の重合体濃度が高いために、フィブリル繊維で
構成された網状繊維が得られず、空洞を持つ筒状繊維し
か得られなかった。従って、不織布の強力は高いもの
の、透湿度が低く且つ地合の悪い不織布しか得られなか
った。
【0045】実施例13〜16 実施例1で使用した油圧式クリアランスエンボス装置に
おいて、凹凸ローラーとフラットローラーの加熱温度及
び両ローラー間によって網状繊維ウェブに負荷される線
圧を表4に記載したとおりの条件に変更した他は、実施
例1と同様の条件で網状繊維不織布を得た。この網状繊
維不織布の特性値等は、表4に示したとおりであった。
【0046】
【表4】
【0047】実施例13〜16に係る方法によって得ら
れた網状繊維不織布は、着色もなく、高強力で他の特性
も良好で、満足のできるものであった。
【0048】
【作用】本発明に係る網状繊維不織布の製造方法は、オ
レフィン系重合体とエステル系重合体とを溶媒に溶解し
てなる紡糸混合溶液を使用し、フラッシュ紡糸法を適用
するというものである。オレフィン系重合体とエステル
系重合体とは、互いに相溶性を有しないものであるた
め、フラッシュ紡糸されると直ちに、両重合体が分離若
しくは分割されてフィブリル繊維が形成される。従っ
て、極めて繊度の細いフィブリル繊維であって、オレフ
ィン系重合体を主成分とするフィブリル繊維とエステル
系重合体を主成分とするフィブリル繊維が得られ、且つ
この両フィブリル繊維が三次元網状構造となるように連
結されてなる網状繊維が得られるのである。更に、本発
明で使用する紡糸混合溶液には、結晶核剤となりうる無
機粉末が混入されているので、極めて細いフィブリル繊
維は十分に結晶化しており、繊度は細いけれども、その
強力は比較的高いものとなっている。
【0049】
【発明の効果】依って、本発明に係る網状繊維不織布
は、極細で高強力のフィブリル繊維で形成された網状繊
維を構成繊維としているため、柔軟性に富むと共に高強
力であるという効果を奏する。また、本発明に係る網状
繊維不織布は、所定の区域において網状繊維の一部が相
互に融着しているが、他の区域では網状繊維は融着して
いないため、柔軟性が更に向上すると共に透湿性や染色
性にも優れるという効果を奏する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系重合体を主成分とするオレ
    フィン系フィブリル繊維と、エステル系重合体を主成分
    とするエステル系フィブリル繊維とが、三次元網状構造
    となるように相互に連結されてなり、且つ該オレフィン
    系フィブリル繊維及び/又は該エステル系フィブリル繊
    維中には、結晶核剤となりうる無機粉末が含有されてな
    る、実質的に連続した網状繊維で構成されており、更に
    該網状繊維相互間が自己融着されてなる接着区域を部分
    的に具備していることを特徴とする網状繊維不織布。
  2. 【請求項2】 結晶核剤となりうる無機粉末が、オレフ
    ィン系フィブリル繊維及びエステル系フィブリル繊維の
    各々に、0.1〜5重量%含有されている請求項1記載
    の網状繊維不織布。
  3. 【請求項3】 溶媒中に、オレフィン系重合体及びエス
    テル系重合体が溶解しており、且つ結晶核剤となりうる
    無機粉末が分散している紡糸混合溶液であって、所定温
    度及び少なくとも自生圧力下に保持した紡糸混合溶液
    を、吐出孔から該所定温度及び該自生圧力よりも低い温
    度及び圧力下の領域に吐出して実質的に連続した網状繊
    維を形成させると共に、該網状繊維を集積させて網状繊
    維ウェブを形成した後、該網状繊維ウェブの所定の区域
    に熱を付与することにより、該網状繊維相互間が自己融
    着されてなる接着区域を部分的に形成させることを特徴
    とする網状繊維不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 オレフィン系重合体及びエステル系重合
    体の各々に、0.1〜5重量%の結晶核剤となりうる無
    機粉末を混合した後、溶媒中に該オレフィン系重合体及
    び該エステル系重合体を溶解させると共に該無機粉末を
    分散させて、該オレフィン系重合体と該エステル系重合
    体の合計重合体濃度が5〜30重量%の紡糸混合溶液を
    作成し、該紡糸混合溶液を150〜240℃の温度で4
    0kg/cm2以上の圧力下に保持しながら、該オレフィン
    系重合体及び該エステル系重合体を溶解させた後90分
    以内に、該紡糸混合溶液を吐出孔から大気雰囲気下に吐
    出して実質的に連続した網状繊維を形成させると共に、
    該網状繊維を集積させて網状繊維ウェブを形成した後、
    該網状繊維ウェブの所定の区域に熱を付与することによ
    り、該網状繊維相互間が自己融着されてなる接着区域を
    部分的に形成させることを特徴とする網状繊維不織布の
    製造方法。
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KR19980073194A (ko) * 1997-03-12 1998-11-05 이웅렬 급지성이 향상된 폴리에스터 부직포 인쇄기포지 및 그의 제조방법
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