JPH06239938A - メタクリル系樹脂の製造方法 - Google Patents

メタクリル系樹脂の製造方法

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JPH06239938A
JPH06239938A JP21011393A JP21011393A JPH06239938A JP H06239938 A JPH06239938 A JP H06239938A JP 21011393 A JP21011393 A JP 21011393A JP 21011393 A JP21011393 A JP 21011393A JP H06239938 A JPH06239938 A JP H06239938A
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勝昭 前田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 遊離基発生触媒と連鎖移動触媒の存在下、メ
タクリル酸メチルと不活性重合溶媒から成る溶液に、不
活性ガスを通じて溶存酸素量を1ppm以下にしたの
ち、これを0.5μ以下のフィルターに通して反応帯域
に連続的に供給し、重合転化率40〜65%になるよう
に、120〜160℃で重合を行わせ、得られた反応組
成物を200〜290℃に加熱して減圧帯域に導入し脱
揮させることにより、メタクリル酸メチル重合体を製造
する。 【効果】 分子の均質性に優れ、かつ光学純度が高い無
色透明なメタクリル系樹脂が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメタクリル系樹脂の製造
方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は、特にレンズ、光ディスク、光繊維などの光学分野に
おいて好適に用いられる、分子の均質性に優れ、かつ光
学純度が高く、無色透明なメタクリル系樹脂の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタクリル系樹脂はその卓越した透明
性、良好な機械的性質、加工性並びに成形品における外
観の美麗さなどによって、例えば照明器具、看板、各種
装飾品及び銘板などに広く用いられているほか、自動車
部品、テーブルウエアーなどにも用いられている。
【0003】ところで、このメタクリル系樹脂は、最近
レンズ、光ディスク、光繊維などの光学分野に用いられ
はじめており、そのため、前記特性に加えて、光学純度
の向上のため例えば微小異物の低減、残存モノマーなど
の揮発成分の低減、高分子量ゲルの極小化などが要求さ
れている。
【0004】従来、メタクリル系樹脂は成形材料とし
て、通常メタクリル酸メチル又はこれと共重合可能な成
分とを水懸濁法又は水性エマルジョン法により重合する
ことによって製造されている。しかしながら、このよう
な方法によって得られるメタクリル系樹脂は、不純物、
重合助剤、異物などの混入は避けられず、さらにはペレ
ット化工程において、ヤケやコゲなどが発生しやすく、
必ずしも光学純度に優れているとはいえず、その上、分
子的に不均質であるため、その成形品にくもりやにごり
が発生するなどの欠点を有している。
【0005】そこで、このような欠点を改良する方法と
して、例えば連続塊状重合法(連続バルク重合法)や連
続溶液重合法が試みられたが、これまで連続重合法によ
って得られたメタクリル系樹脂は、分子の均質性につい
ては改善されているとしても光学純度の向上については
必ずしも満足しうる結果が得られていなかった。
【0006】ところで、塊状重合や溶液重合によって製
造した反応組成物から、未反応単量体、溶剤、副生成物
などの揮発成分を除去して純度の高い成形材料とする方
法は、これまで主としてスチレン系樹脂を中心に検討が
進められており(特公昭35−8557号公報、同38
−120号公報、同44−20097号公報、同45−
31678号公報、特開昭47−27872号公報な
ど)、メタクリル系樹脂については、わずかに2、3が
知られているにすぎない(特公昭52−17555号公
報、特開昭50−88197号公報など)。しかしなが
ら、これらのメタクリル系樹脂についての方法において
は、得られた樹脂が高温長時間滞留による劣化や着色が
著しい上に、副反応生成物が多いなどの問題があり、光
学純度に優れたものは得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、先に光
学純度に優れたメタクリル系樹脂光ファイバーの製造法
を見出したが、この方法は揮発成分の低減及び黄色性の
改良については、必ずしも満足しうるものではなかっ
た。
【0008】本発明の目的は、このような事情のもと
で、分子の均質性に優れ、かつ微小異物や揮発成分、高
分子量ゲルなどが少なくて光学純度が高く、無色透明な
優れたメタクリル系樹脂を製造する方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは分子の均質
性及び光学純度に優れたメタクリル系樹脂を開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、特定組成の単量体溶液を特定の
手段により処理して、該溶液中の溶存酸素量を1ppm
以下にし、かつ微小異物を取り除いたのち、この単量体
溶液を反応帯域に連続的に供給し、該反応帯域中の重合
体濃度が所定の値になるように重合を行い、次いで得ら
れた反応組成物を特定の条件で加熱処理して、揮発成分
を除去することにより、その目的を達成しうることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、遊離基発生触媒と連
鎖移動触媒の存在下、メタクリル酸メチル単量体単独あ
るいはメタクリル酸メチル85重量%以上とアクリル酸
メチル又はアクリル酸エチル15重量%以下との単量体
混合物、及び全反応混合物の重量に基づき10〜25重
量%の不活性重合溶媒から成る単量体溶液に、不活性ガ
スを導入して該溶液中の溶存酸素量を1ppm以下にし
たのち、この溶液を0.5μ以下のフィルターでろ過
後、反応帯域に連続的に供給して、単量体の重合転化率
が40〜65%の範囲内で実質的に一定になるように、
120〜160℃の温度において重合を行い、次いで得
られた反応組成物を200〜290℃の温度に加熱して
減圧帯域に導入し、脱揮することを特徴とする、GPC
で測定した分子量(Mw)が7万〜15万、熱分解指数
が3.0以下、微粒子カウンターで測定した0.5〜2
5μの微小異物が1万個/gポリマー以下及び色差計で
測定したΔYIが6.00以下である、メタクリル酸メ
チル単独重合体又はメタクリル酸メチル共重合体の製造
方法を提供するものである。
【0011】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明方法により得られるメタクリル系樹脂は、メタクリ
ル酸メチル単独重合体あるいは15重量%以下のアクリ
ル酸メチル単位又はアクリル酸エチル単位を含有するメ
タクリル酸メチル共重合体であるが、好ましいものは、
メタクリル酸メチル単位88〜99重量%とアクリル酸
メチル単位又はアクリル酸エチル単位12〜1重量%と
を含有するメタクリル酸メチル共重合体である。この共
重合体においては、メタクリル酸メチル単位とアクリル
酸メチル単位若しくはアクリル酸エチル単位とはランダ
ムな結合で構成されており、該メタクリル酸メチル単位
は、耐熱性や機械強度特性を向上させるものであり、一
方、アクリル酸メチル単位やアクリル酸エチル単位は、
この樹脂の成形加工時の流動性及び熱分解性を向上させ
るものである。
【0012】このメタクリル酸メチル単独重合体又は共
重合体は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー)法で測定した重量平均分子量(Mw)が7万〜
15万、好ましくは8万〜12万の範囲にあることが必
要である。この分子量が7万未満のものでは、その成形
品は脆弱で工業的使用に耐えないし、一方、15万を超
えるものでは、溶融時の流動性が著しく低下し、成形品
の複屈折が増大して好ましくない。
【0013】また、樹脂中の揮発成分含有量は、重合副
生物のダイマーが好ましくは1000ppm以下、及び
未反応単量体や熱分解生成単量体などの残存単量体が好
ましくは2500ppm以下であることが必要である。
該ダイマー含有量が1000ppmを超えると得られる
成形品の耐熱変形性が低下し、実用使用範囲が狭くなり
好ましくない。また、残存単量体が2500ppmを超
えると高温で成形加工する場合、得られる成形品の表面
に銀条(シルバーストリーク)が発生するなど、該表面
が損なわれ、実用に耐えなくなる。この単量体やダイマ
ーは、一般に重合体を溶融状態で減圧処理して除去する
場合、その蒸気圧が比較的高いために除去が困難であ
り、さらに加熱溶融することにより、メタクリル系樹脂
が熱分解して単量体を生成するという好ましくない傾向
があるが、この樹脂は、該揮発成分を前記の範囲に低減
するのが好ましい。このような樹脂においては、樹脂中
のダイマー及び残存単量体の含有量は、通常それぞれ1
0〜1000ppm及び500〜2500ppmの範囲
にある。
【0014】さらに、本発明方法により得られる樹脂の
耐熱分解性については、熱分解指数αで3.0以下であ
ることが必要である。この値が3.0を超えると耐熱分
解性に劣るようになり、高温射出成形時にガス発生が激
しく、樹脂の用途範囲が著しく制限されるのを免れない
という問題が生じる。特に、ディスク円盤に用いる場合
には、発生したガスによって記録信号の転写が阻害され
ディスクの品質を著しく低下させ好ましくない。
【0015】本発明方法により得られる樹脂中の微小異
物の含有量については、微粒子カウンターで測定した
0.5〜25μの微小異物が1万個/gポリマー以下で
あることが必要であり、1万個/gポリマーを超える場
合には、光の透過損失が大きくなり使用に耐えない。
【0016】また、本発明方法により得られる樹脂は無
色透明性に優れたものであり、色差計で測定したΔYI
(空気を基準にしたイエローインデックス)が6.0以
下である。この値が6.0を超えると樹脂の黄色性が強
まり、光線透過率が著しく低下する。
【0017】本発明方法の好適な実施態様においては、
まず遊離基発生触媒と連鎖移動触媒の存在下、メタクリ
ル酸メチル単量体単独あるいはメタクリル酸メチル85
重量%以上とアクリル酸メチル又はアクリル酸エチル1
5重量%以下との単量体混合物、及び全反応混合物の重
量に基づき10〜25重量%の不活性重合溶媒から成る
単量体溶液を調製する。
【0018】前記不活性重合溶媒としては、生成する樹
脂の分子量を7万〜15万の範囲に調製可能な溶媒が用
いられる。好ましい溶媒としてはエチルベンゼン、メチ
ルイソブチルケトンなどが挙げられるが、特に好ましい
ものはエチルベンゼンである。この溶媒の使用量は全反
応混合物の重量に基づき10〜25重量%の範囲で選ば
れる。この量が10重量%未満では重量反応系の粘度が
高くて、重量反応の制御が困難であり、また25重量%
を超えると脱揮工程への負荷が急激に増大し、工業的に
好ましくない。
【0019】前記の遊離基発生触媒は、遊離基を発生す
る重合開始剤のことであり、このようなものとしては、
有機過酸化物、例えベンゾイルパーオキシド、クメンハ
イドロパーオキシド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオ
キシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサンなど
を、またアゾ系開始剤、例えば1,1‐アゾビス(1‐
シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2‐アゾビス
(2,4,4‐トリメチルペンタン)などを用いること
ができるが、特に3,3,5‐トリメチルシクロヘキサ
ン‐ジ‐t‐ブチルパーオキシドが好ましい。これらの
遊離基発生触媒の使用量は全反応混合物の重量に基づき
0.001〜0.03重量%の範囲が好ましい。
【0020】一方、連鎖移動触媒としては、メルカプタ
ン類、特にブチルメルカプタン、オクチルメルカプタ
ン、ドデシルメルカプタンなどを好ましく、これらの連
鎖移動触媒の使用量は、通常全反応混合物の重量に基づ
き0.1〜0.5重量%の範囲内で選ばれる。
【0021】次に、このようにして調製された単量体溶
液に、不活性ガスを導入して該溶液中の溶存酸素量を1
ppm以下にする。溶存酸素量が1ppmを超えると得
られる樹脂の無色透明性が損なわれる。単量体溶液中の
溶存酸素量を1ppm以下に減少させる方法については
特に制限はないが、好ましくは向流接触塔へ該溶液を連
続的に供給して、窒素ガスなどの不活性ガスを向流接触
させることにより、溶存酸素を気液平衡を利用して不活
性ガス気流中に追い出し、効果的に取り除く方法を用い
ることが望ましい。通常実施されているフィードタンク
中での不活性ガスバブリング法などでは、溶存酸素を1
ppm以下に低減することは困難であって、10〜20
ppm程度が限界であるので、好ましくない。
【0022】本発明においては、このようにして単量体
溶液中の溶存酸素量を1ppm以下に低減させたのち、
該溶液を0.5μ以下のフィルターでろ過することが必
要である。該フィルターとしては、例えばポール社製の
エンフロンフィルター(MCY 4463FRE)が好
ましく用いられる。このようなろ過処理によって、得ら
れる重合体における微粒子カウンターで測定した0.5
〜25μの微小異物の含有量は1万個/gポリマー以下
となる。
【0023】次に、前記の溶存酸素除去処理及び微小異
物除去処理を施した単量体溶液を、反応帯域に連続的に
供給して、単量体の重合転化率が40〜65%の範囲内
で実質的に一定になるように、120〜160℃の範囲
の温度において重合を行う。該転化率が40%未満では
揮発成分による脱揮工程の負荷が大きく、特に予備加熱
器の伝熱面積の制約から脱揮不十分になる場合があり、
一方65%を超えると重合反応器から予備加熱器までの
配管圧力損失が大きくなって、反応組成物の輸送が困難
となり、好ましくない。重合温度が120℃未満では反
応速度が遅すぎて実用的でなく、また160℃を超える
と反応速度が速すぎて、重合転化率の調節が困難とな
り、かつ副反応が生じたり、製品が着色するので好まし
くない。
【0024】重合圧力については特に制限はなく、常圧
下で反応を行ってもよいし、あるいは加圧下で反応を行
ってもよいが、加圧下で反応を行う場合は4.0kg/
cm2以下の圧力が好ましい。また、反応液のかきまぜ
については、重合反応器の形状や寸法、反応液の粘度な
どにもよるが、ダブルヘリカルリボン、ピッチドパドル
型のかくはん翼を用いてかきまぜるのが好ましい。
【0025】本発明方法において、このような重合反応
によって得られた反応組成物中の揮発成分を除去するに
は、該反応組成物を200〜290℃の温度に加熱し、
揮発成分を除去したのち、上部に十分な空間を有し、か
つ減圧下の脱揮タンクにフィードして揮発成分をさらに
低減させることによって行うことができる。
【0026】ところで、従来未反応モノマー、溶剤及び
重合反応副生物などの揮発成分を反応組成物から除去
し、重合体製品を得る基本的な方法は、反応組成物を高
温に加熱した状態で真空雰囲気中に導き揮発分離する方
法である。揮発成分が10重量%未満程度の場合には、
多段ペント付き二軸押出機などによって効率的に分離可
能であり、最終的に得られたメタクリル系樹脂中に残存
する揮発成分は1.0重量%以下であり、物性の良好な
メタクリル系樹脂成形材料、あるいは押出板を得ること
ができる。
【0027】揮発成分が10重量%を超える多量の場合
には、多段ベント付き押出機を用いる場合、揮発成分の
ガス化に伴う樹脂の発泡が激しく、ベント孔が発泡した
ポリマーにより閉塞するというトラブルがしばしば起こ
り、得られた樹脂の無色透明性が著しく損なわれ、特に
黄色性が強まり、しかも長時間安定運転をすることが困
難である。
【0028】また多段ベント付き押出機を用いない場合
においては、重合体組成物を昇温することが困難である
上に、揮発成分を除去したのちの高粘度流体の搬送方
法、さらに高温、長時間滞留によるポリマーの劣化、副
反応生成物などの問題を生じる。
【0029】高温長時間滞留によるポリマーの劣化、着
色及び副反応生成物は、本発明の目的である光学純度に
優れたメタクリル系樹脂に対して致命的な欠点となる。
【0030】本発明方法によると、揮発成分を多量に含
有する反応組成物を効率的に加熱し、かつ安定な流動状
態を与えながら真空フラッシングを行い、効率的に揮発
成分を除去することができる。
【0031】本発明方法においては、反応組成物を20
0〜290℃、好ましくは220〜270℃の範囲の温
度で加熱すると同時に、揮発成分を除去するが、この
際、フラットプレート型予備加熱板を用いることが好ま
しい。加熱温度が200℃未満では反応組成物の流動性
が低くて揮発成分の除去が十分でなく、また290℃を
超えるとポリマーの熱劣化が生じる。
【0032】このように昇温された反応組成物は、加熱
板と加熱板などとの間隙に形成された狭い出口を通し
て、高真空状態に保持された上部に十分な空間を有する
脱揮タンクに導入される。狭く絞られた出口の機能とし
ては、第1に重合反応領域と脱揮領域の境界として必要
な圧力損失を生じさせることが挙げられ、第2に放出さ
れる反応組成物の流速を速くすることが挙げられる。
【0033】本発明方法においては、脱揮条件が樹脂の
色調の点から特に重要であり、高温、長時間の条件をで
きるだけ避ける必要がある。
【0034】高真空状態に保持された脱揮タンクに導入
された反応組成物は、揮発成分の瞬間的な揮発とそれに
よる発泡を生じて、極めて大きな蒸発面積を形成し、効
率的に短時間で揮発成分が除去される。
【0035】この脱揮タンクにおける条件としては、反
応組成物中の残存揮発成分を所望の含有量まで低減でき
るような加熱温度及び真空度が必要であり、最適条件と
して、温度は220〜250℃、真空度は20〜100
トールの範囲で選ばれる。
【0036】脱揮タンクにおいては、該組成物は、その
粘度が数千ポイズから数万ポイズに変化し、極めて粘調
になるが、滞留時間は通常1〜20分程度である。この
滞留時間が長くなると得られる樹脂は着色劣化が生じや
すく、本発明目的の光学純度に優れたものが得にくくな
る。
【0037】脱揮された重合体は、該脱揮タンクの下部
に設置されたギアポンプによって排出される。このよう
な脱揮処理により、重合体は揮発成分として、1000
ppm以下のダイマー及び2500ppm以下の残存単
量体を含有するものになる。
【0038】以上説明したような製造方法によって、
(1)GPCで測定した分子量(Mw)が7万〜15
万、(2)揮発成分としてダイマーが1000ppm以
下及び残存単量体が2500ppm以下、(3)熱分解
指数αが3.0以下、(4)微粒子カウンターで測定し
た0.5〜25μの微小異物が1万個/gポリマー以下
及び(5)色差計で測定したΔYIが6.00以下のメ
タクリル系樹脂が容易に得られる。
【0039】
【発明の効果】本発明方法により得られるメタクリル系
樹脂はメタクリル酸メチル単独重合体又はメタクリル酸
メチルとアクリル酸メチル若しくはアクリル酸エチルと
の共重合体であって、分子の均質性に優れ、かつ光学純
度が高く、無色透明であるなど、優れた特徴を有し、特
にレンズ、光ディスク、光繊維などの光学分野において
好適に用いられる。
【0040】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、重合体の各性質は次のようにして
求めた。
【0041】(1)GPCによる分子量測定 「ゲルクロマトグラフィ(基礎編)」(講談社発行)第
97〜122ページに記載の方法に従って測定した。す
なわち、カラムとしてHSG−20、50[島津製作所
(株)製]2本を使用し、プレツシヤケミカル社製の標
準ポリスチレンを用いて検量線を作り、重合体75mg
をメチルエチルケトン30mlに溶解した試料溶液を用
いて得られた溶出曲線を等分割し、分割点における高さ
を測定し次式によりMwを求めた。
【0042】
【数1】
【0043】ただしHiは分割点における溶出曲線の高
さ、Mi(p)は分割点iにおける標準ポリスチレンの
分子量、Qm、Qpは共重合体とポリスチレンのQ因子
であり、それぞれ40と41とした。
【0044】(2)熱分解指数αの測定 熱分解ガスクロマトグラフィーを用い、450℃で重合
体をN2雰囲気下で分解させ、60分間に分解する全分
解ガスを検出積算しこれをXとし、270℃で30分間
に分解発生するガスを積算しこれをYとし、熱分解指数
α=(Y/X)×100としてαを計算した。
【0045】 (3)微小異物の測定(HIAC−ROYCO使用) 重合体5gを秤量し、ジクロロエタン30mlに溶解
し、レーザー光の散乱をあらかじめこう正されたカウン
ターにより検知することにより、0.5〜25μの微粒
子を測定した。
【0046】(4)色差計によるΔYIの測定 樹脂5オンスを射出成形機を用いて成形し、15×22
5×3mmの試片をえた。この試片を日本分光社製色差
計にセットし長光路(225mm)方向のYI値を測定
した。
【0047】実施例1 重合フィード液として、メタクリル酸メチル78重量
%、アクリル酸メチル2重量%、エチルベンゼン20重
量%、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,
3,5‐トリメチルシクロヘキサン150ppm、オク
チルメルカプタン2500ppmを含有するものを用
い、この液を連続的に、窒素‐フィード液向流接触塔
(窒素‐フィード比=1/50重量%)に供給し、原料
フィード液中に溶存する酸素濃度を0.55ppmとし
たのち、ポール社製フィルター(0.5μ以上の粒子カ
ット率85%)を使用し、フィード液中の0.5−25
μの微粒子を300個/(フィード液1ml)に低減
し、高純度フィード液を得た。
【0048】添付図面は、この高純度フィード液の重合
及び脱揮処理を行うのに用いた装置のフローシートであ
る。すなわち、この図において該高純度フィード液を重
合反応槽1に供給して、重合温度135℃、重合圧力
1.3kg/cm2、単量体の重合転化率62.5%、
重合系の固体成分含有量50重量%の条件で重合を行
い、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が10万
のメタクリル系樹脂50重量%と、未反応単量体、開始
剤、連鎖移動剤の残留物、分解物、溶剤50重量%とを
含む反応組成物を得た。
【0049】次いで、この反応組成物を定量ポンプ2に
より定常的に取り出して、加熱板3で260℃に加熱
し、加熱板間の間隙を通して脱揮タンク4に流延落下せ
しめた。脱揮タンクは30トール、200℃に維持し残
存揮発成分を除去した。重合体中の残存ダイマーは22
ppm、残存単量体10ppmであった。この重合体を
押出ダイス5より押し出した。得られたペレットの残存
単量体は2500ppm、残存ダイマーは20ppmで
あった。次に、このペレットを3オンス射出成形機で成
形し、試験片を作成した。このものの外観は無色透明で
あり、ポリマー1g当りの微小異物は4000個、色差
計で測定したΔYIは4.52、熱分解性指数αは2.
1であった。
【0050】実施例2〜6 実施例1における条件を次表に示すように変えた以外
は、実施例1と全く同様な操作を行った。その結果を次
表に示す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例7 実施例1において、溶存酸素濃度を1ppmに変えた以
外は、実施例1と全く同様な操作を行った。得られた試
験片のΔYIは5.55、熱分解指数αは2.12であ
った。
【0053】比較例1 実施例1において、溶存酸素濃度を40ppmに変えた
以外は、実施例1と全く同様な操作を行った。得られた
試験片のΔYIは13.55、熱分解指数αは3.66
であった。
【0054】比較例2 実施例1において得られた反応組成物を定量ポンプ2に
より定常的に取り出して、2軸脱揮押出機に供給した。
押出温度は260℃−280℃で、反応組成物からのガ
ス発生量が非常に多く、第一ベント、第二ベント部はポ
リマー詰りが発生し、安定した脱揮押出は困難であっ
た。
【0055】実施例8 実施例1において、単量体の重合転化率を65重量%と
した以外は、実施例1と全く同様な操作を行った。ペレ
ット作成前の重合体の残存ダイマーは35ppm、残存
単量体は10ppmであり、ペレットの残存ダイマーは
15ppm、残存単量体は2300ppmであった。ま
た、試験片の外観は無色透明であり、ポリマー1g当り
の微小異物は4100個、色差計で測定したΔYIは
4.55、熱分解指数αは2.0であった。
【0056】比較例3 実施例1において、単量体の重合転化率を75重量%と
した以外は、実施例1と同様な操作を行ったところ、反
応組成物を定量ポンプで定常的に抜き出すのが困難であ
り、抜き出し量が絶えず変化し、その結果得られた試験
片は無色透明性が損なわれ、ΔYIは23.0であっ
た。
【0057】比較例4 実施例1において、フィルターを使用した微粒子の低減
操作を行わないこと以外は、実施例1と同様な操作を行
った。得られたポリマー1g当りの微小異物は3400
0個であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法によりメタクリル系樹脂を製造す
る際の重合及び脱揮工程の1例を示すフローシート
【符号の説明】
1 重合反応槽 2 定量ポンプ 3 加熱板 4 脱揮タンク 5 押出ダイス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチル単量体単独あるいは
    メタクリル酸メチル単量体とアクリル酸メチル単量体又
    はアクリル酸エチル単量体とを連続的に重合させるに当
    り、遊離基発生触媒と連鎖移動触媒の存在下、メタクリ
    ル酸メチル単量体単独あるいはメタクリル酸メチル85
    重量%以上とアクリル酸メチル又はアクリル酸エチル1
    5重量%以下との単量体混合物、及び全反応混合物の重
    量に基づき10〜25重量%の不活性重合溶媒から成る
    単量体溶液に、不活性ガスを導入して該溶液中の溶存酸
    素量を1ppm以下にしたのち、この溶液を0.5μ以
    下のフィルターでろ過後、反応帯域に連続的に供給し
    て、単量体の重合転化率が40〜65%の範囲内で実質
    的に一定になるように、120〜160℃の温度におい
    て重合を行い、次いで得られた反応組成物を200〜2
    90℃の温度に加熱して減圧帯域に導入し、脱揮するこ
    とを特徴とする、GPCで測定した分子量(Mw)が7
    万〜15万、熱分解指数αが3.0以下、微粒子カウン
    ターで測定した0.5〜25μの微小異物が1万個/g
    ポリマー以下及び色差計で測定したΔYIが6.00以
    下である、メタクリル酸メチル単独重合体又はメタクリ
    ル酸メチル共重合体の製造方法。
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