JPH06239917A - α‐オレフィン重合用触媒成分およびそれを用いたα‐オレフィン重合体の製造法 - Google Patents

α‐オレフィン重合用触媒成分およびそれを用いたα‐オレフィン重合体の製造法

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JPH06239917A
JPH06239917A JP3093293A JP3093293A JPH06239917A JP H06239917 A JPH06239917 A JP H06239917A JP 3093293 A JP3093293 A JP 3093293A JP 3093293 A JP3093293 A JP 3093293A JP H06239917 A JPH06239917 A JP H06239917A
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carbon atoms
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catalyst
hydrocarbon group
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Toshihiko Sugano
野 利 彦 菅
Hidefumi Uchino
野 英 史 内
Tomohiko Takahama
浜 智 彦 高
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高融点、高分子量のα‐オレフィン重合体を
高収率で得るための触媒成分、触媒、及びそれを用いて
なるα‐オレフィン重合体の製造法を提供すること。 【構成】 下記の化合物〔I〕で表わされるα‐オレフ
ィン重合用触媒成分、及びこれを組合せてなるα‐オレ
フィン重合用触媒、及びこの触媒を用いてなるα‐オレ
フィン重合体の製造法。 【化1】 =H、C1〜6炭化水素基又はC1〜12Si含有炭
化水素基、R及びR=2価のC3〜30炭化水素基
(但し、R及びRの少なくとも一方は、当該縮合環
内にさらなる縮合環を有する多環構造を有する。Q=2
価の、C1〜20炭化水素基、シリレン基、C1〜20炭化
水素基含有シリレン基、ゲルミレン基、又はC1〜20
化水素基含有ゲルミレン基、X及びY=H、ハロゲン、
1〜20炭化水素基、C1〜20含酸素炭化水素基、M=
IVB〜VIB族遷移金属) 【効果】 上記目的が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明はα‐オレフィン重合用の
触媒成分に関する。さらに詳しくは、本発明は、高融点
のα‐オレフィン重合体の製造を可能にする重合用触媒
成分、およびこの触媒成分を使用するα‐オレフィン重
合用触媒、並びにその触媒を用いるα‐オレフィン重合
体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン重合用の均一系触媒として
は、いわゆるカミンスキー触媒がよく知られている。こ
の触媒は非常に重合活性が高く、分子量分布が狭い重合
体が得られるという特徴がある。
【0003】カミンスキー触媒によりアイソタクチック
ポリオレフィンを製造する際に使用する遷移金属化合物
としては、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジ
クロリドやエチレンビス(4,5,6,7‐テトラヒド
ロインデニル)ジルコニウムジクロリド(特開昭61−
130314号公報)が知られているが、製造したポリ
オレフィンの分子量が小さく、また、低温で製造すると
高分子量体が得られるが重合活性が低い等の問題点があ
る。また、このような遷移金属化合物のジルコニウムの
代わりにハフニウム化合物を使用すると、高分子量体が
製造可能であることが知られているが(Journal of Mol
ecular Catalysis, 56(1989) p.237〜247)、この方法に
は重合活性が低いという問題点があるようである。
【0004】さらに、ジメチルシリレンビス置換シクロ
ペンタジエニルジルコニウムジクロリドなどが特開平1
−301704号公報、Polymer Preprints,Japan vol.
39,No.6 p.1614〜1616(1990)、特開平3−12406号
公報により、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジル
コニウムジクロリド等が特開昭63−295007号、
特開平1−275609号各公報により、提案され、比
較的低温の重合では高立体規則性で高融点のポリマーを
得ることが可能となった。しかし、経済性の高い高温重
合条件下では、立体規則性、融点及び分子量の低下が著
しいようであって、改良が望まれている。
【0005】特開平4−268307号および同4−2
68308号各公報には、上記シクロペンタジエニル化
合物の架橋基の隣(2位‐)に置換基をつけることによ
って、立体規則性及び分子量がある程度向上することが
示唆されているが、経済的に有利な、重合温度を上げた
重合条件下の性能はいまだ不充分であるようである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、押出成形や
射出成形が可能な高分子量体で、高融点を保つオレフィ
ン系重合体を高収率で得ることを可能にするα‐オレフ
ィン重合用触媒成分、およびα‐オレフィン重合用触
媒、ならびにα‐オレフィン重合体の製造法を提供しよ
うとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔発明の概要〕 <要旨>本発明は、上記の問題点を解消すべく検討を行
なった結果なされたものである。すなわち、本発明によ
るα‐オレフィン重合用触媒成分は、下記の一般式
〔I〕で表わされる化合物からなること、を特徴とする
ものである。
【0008】
【化2】 (ただし、2個あるRは、それぞれ独立に、水素、炭
素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜12のケイ素
含有炭化水素基を示す。RおよびRは、それぞれ独
立に、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する
2価の炭素数3〜30の炭化水素残基である。ただし、
およびRがそれぞれ成す縮合環の少なくとも一方
は、当該縮合環内にさらなる縮合環を有する多環構造を
有する。Qは二つの五員環を結合する炭素数1〜20の
2価の炭化水素基、シリレン基、炭素数1〜20の炭化
水素基を有するシリレン基、ゲルミレン基、または炭素
数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、
XおよびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素
数1〜20の炭化水素基、または酸素を含む炭素数1〜
20の炭化水素残基を示す。Mは周期律表IVB〜VIB族
遷移金属を示す。)本発明は、また、上記の触媒成分か
らなるα‐オレフィン重合用触媒に関する。
【0009】すなわち、本発明によるα‐オレフィン重
合用触媒は、下記の成分(A)および(B)を組合せて
なること、を特徴とするものである。成分(A) 下記の一般式〔I〕で表わされる化合物からなるα‐オ
レフィン重合用触媒成分、
【0010】
【化3】 (ただし、2個あるRは、それぞれ独立に、水素、炭
素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜12のケイ素
含有炭化水素基を示す。RおよびRは、それぞれ独
立に、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する
2価の炭素数3〜30の炭化水素残基である。ただし、
およびRがそれぞれ成す縮合環の少なくとも一方
は、当該縮合環内にさらなる縮合環を有する多環構造を
有する。Qは二つの五員環を結合する炭素数1〜20の
2価の炭化水素基、シリレン基、炭素数1〜20の炭化
水素基を有するシリレン基、ゲルミレン基、または炭素
数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、
XおよびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素
数1〜20の炭化水素基、または酸素を含む炭素数1〜
20の炭化水素残基を示す。Mは周期律表IVB〜VIB族
遷移金属を示す。)成分(B) (イ)アルミニウムオキシ化合物、(ロ)ルイス酸、あ
るいは(ハ)成分(A)と反応して成分(A)をカチオ
ンに変換することが可能なイオン性化合物。
【0011】本発明は、さらにまた、上記の触媒を使用
するα‐オレフィン重合体の製造法に関する。
【0012】すなわち、本発明によるα‐オレフィン重
合体の製造法は、下記の成分(A)および成分(B)を
組合せてなる触媒にα‐オレフィンを接触させて重合さ
せること、を特徴とするものである。成分(A) 下記の一般式〔I〕で表わされる化合物からなるα‐オ
レフィン重合用触媒成分、
【0013】
【化4】 (ただし、2個あるRは、それぞれ独立に、水素、炭
素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜12のケイ素
含有炭化水素基を示す。RおよびRは、それぞれ独
立に、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する
2価の炭素数3〜30の炭化水素残基である。ただし、
およびRがそれぞれ成す縮合環の少なくとも一方
は、当該縮合環内にさらなる縮合環を有する多環構造を
有する。Qは二つの五員環を結合する炭素数1〜20の
2価の炭化水素基、シリレン基、炭素数1〜20の炭化
水素基を有するシリレン基、ゲルミレン基、または炭素
数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、
XおよびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素
数1〜20の炭化水素基、または酸素を含む炭素数1〜
20の炭化水素残基を示す。Mは周期律表IVB〜VIB族
遷移金属を示す。)成分(B) (イ)アルミニウムオキシ化合物、(ロ)ルイス酸、あ
るいは(ハ)成分(A)と反応して成分(A)をカチオ
ンに変換することが可能なイオン性化合物。 <効果>本発明の触媒成分を用いると、経済性の高い高
温重合条件下においても、高融点かつ高分子量のα‐オ
レフィン重合体を高収率で製造することが可能になる。
【0014】本発明の効果発現の理由は明らかではない
が、立体規則性重合体を与える触媒として公知の4,
5,6,7‐テトラヒドロインデニル基を有する触媒の
場合、それを高温の重合に使用するとインデニル基中の
−(CH−の部分が分子運動をおこして高立体規
則性を保つ構造を保ちにくいのに対して、本発明の五員
環と結合して多環が形成されている配位子を有するもの
は、構造的に堅固であって高温条件下でもその構造が変
化することが少ないために、高立体規則性を保つことが
出来ると推定される。また、メタロセン系触媒は、一般
にβ‐水素あるいはβ‐アルキル脱離で主に連鎖移動が
おこるとされているが、本触媒はこの反応も抑える構造
を有しており、高分子量体を得ることが可能である。こ
のような効果は、従来の技術からは、全く予見され得な
いものであると考えられる。 〔発明の具体的説明〕本発明は、下記の成分(A)に示
す化合物からなる重合触媒成分に関するものである。さ
らには、本発明は、下記の成分(A)および成分(B)
を組合せてなるα‐オレフィン重合用触媒、並びにこの
触媒にα‐オレフィンを接触させて重合させることから
なるα‐オレフィン重合体の製造法に関するものであ
る。ここで、「からなる」および「組合せてなる」と
は、本発明の効果を損わない限りにおいては、挙示の化
合物または成分以外の化合物、成分をも組合せて使用す
ることが可能であることを意味する。 <成分(A)>本発明の触媒成分(A)をなすのは、下
記の一般式〔I〕で表わされる遷移金属化合物である。
【0015】
【化5】 (ただし、2個あるRは、それぞれ独立に、水素、炭
素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜12のケイ素
含有炭化水素基を示す。RおよびRは、それぞれ独
立に、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する
2価の炭素数3〜30の炭化水素残基である。ただし、
およびRがそれぞれ成す縮合環の少なくとも一方
は、当該縮合環内にさらなる縮合環を有する多環構造を
有する。Qは二つの五員環を結合する炭素数1〜20の
2価の炭化水素基、シリレン基、炭素数1〜20の炭化
水素基を有するシリレン基、ゲルミレン基、または炭素
数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、
XおよびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素
数1〜20の炭化水素基、または酸素を含む炭素数1〜
20の炭化水素残基を示す。Mは周期律表IVB〜VIB族
遷移金属を示す。)この発明で使用する式〔I〕のメタ
ロセン化合物は、置換基R、RおよびRを有する
2個の五員環配位子が、基Qを介しての相対位置の観点
において、M、X及びYを含む平面に関して非対称であ
るということを大きな特徴とするものである。
【0016】Rは、上記したように、水素、炭素数1
〜6の炭化水素基または炭素数1〜12のケイ素含有炭
化水素基である。さらに詳しくは、Rは、水素、また
はアルキル、シクロアルキル等の飽和炭化水素基、ビニ
ル、アルケニル等の不飽和炭化水素基、またはアルキル
シリル等のケイ素含有炭化水素基である。具体例として
は、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n
‐ブチル、i‐ブチル、t‐ブチル、n‐アミル、i‐
アミル、n‐ヘキシル、シクロプロピル、アリル、トリ
メチルシリル、ジメチルエチルシリル基等が例示され
る。これらのうち好ましいのは、メチル、エチル、n‐
プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、i‐ブチル、t
‐ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基である。
【0017】RおよびRは、先ず、それぞれ独立
に、それが縮合する五員環に対して縮合環を形成する2
価の炭素数3〜30の炭化水素残基である。また、R
およびRは、もう一つの条件として、RおよびR
がそれぞれ成す縮合環の少なくとも一方が、当該縮合環
内にさらなる縮合環を有する多環構造を有するというこ
とを要件とする。このさらなる縮合環はメチレン基1個
によっても形成することができるから、このさらなる縮
合環を有するR(およびR)は、従って炭素数4〜
30のものということになる。好ましい炭素数は、4〜
20である。
【0018】このさらなる縮合環、すなわちそれが結合
する縮合環(すなわち、五員環に対する縮合環)を親縮
合環と呼べば、子縮合環、は少なくともメチレン基一個
からなる「ブリッジ」を成すことになるが、このブリッ
ジは親縮合環の隣接炭素原子間に形成されていても、非
隣接炭素原子間に形成されていてもよい。また、この子
縮合環は、親縮合環と同一平面上に在っても、同一平面
上になくてもよい(後者が好ましい)。
【0019】このようなRおよびRの具体例を例示
すれば、下記の通りである。
【0020】(1)2価の飽和炭化水素基、たとえばア
ルキレンおよびシクロアルキレン、具体的にはn‐ブチ
レン、1‐メチルブチレン、2‐メチルブチレン、1,
2‐ジメチルブチレン、1‐シクロプロピルブチレンお
よび1‐フェニルブチレン、(2)2価の不飽和炭化水
素基、たとえばアルケニレン、アルカジエニレンおよび
アリーレン、具体的には、1,3‐ブタジエニレン、2
‐メチル‐1,3‐ブタジエニレン、2‐フェニル‐
1,3‐ブタジエニレン、1‐ペンテニレン、1,3‐
ペンタジエニレン、1,4‐ペンタジエニレン、3‐メ
チル‐1,4‐ペンタジエニレン、1,3‐ヘキサジエ
ニレン、3,4‐ジメチル‐1,5‐ヘキサジエニレ
ン、(3)多環を形成する炭化水素基、たとえばシクロ
アルキレンおよびシクロアルケニレン基、具体的にはシ
クロペンタニレン基、ジメチルシクロペンタニレン基、
1,1,3,3‐テトラメチルシクロブチレン基、シク
ロヘキサニレン基、ジメチルシクロヘキサニル基、1,
1‐ジメチルシクロブタン‐2‐メチレン基、1,1‐
ジメチルシクロペンタン‐2‐メチレン基、1,1‐ジ
メチルシクロブタン‐2,4‐ジメチレン基、シクロペ
ンテニレン基、シクロヘキセニレン基、1,1‐ジメチ
ル‐3‐シクロペンテニレン基、Qは、2つの共役五員
環配位子を架橋する2価の基であって、(イ)炭素数1
〜20、好ましくは1〜6、の2価の炭化水素基、さら
に詳しくは、例えばアルキレン基、シクロアルキレン
基、アリーレン等の不飽和炭化水素残基、(ロ)シリレ
ン基、(ハ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の
炭化水素基を有するシリレン基、(ニ)ゲルミレン基、
または(ホ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の
炭化水素基を有するゲルミレン基、を表わす。これらの
中でも好ましいものはアルキレン基、シクロアルキレン
基、アリーレン基、アルキルシリレン基である。なお、
2価のQ基の両結合手間の距離は、その炭素数の如何に
かかわらず、Qが鎖状の場合に4原子程度以下、就中3
原子以下、であることが、Qが環状基を有するものであ
る場合は当該環状基+2原子程度以下、就中当該環状基
のみであることが、それぞれ好ましい。従って、アルキ
レンの場合はエチレンおよびイソプロピリデン(結合手
間の距離は2原子および1原子)が、シクロアルキレン
基の場合はシクロヘキシレン(結合手間の距離がシクロ
ヘキシレン基のみ)が、アルキルシリレンの場合はジメ
チルシリレン(結合手間の距離が1原子)が、それぞれ
好ましい。
【0021】XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち
同一でも異なってもよくて、(イ)水素、(ロ)ハロゲ
ン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは塩素)、
(ハ)炭素数1〜20の炭化水素基、(ニ)炭素数1〜
20の含酸素炭化水素基である。含酸素炭化水素基の酸
素原子はアルコキシ結合、エーテル結合、ケトン結合お
よびエステル結合のいずれであってもよく、またその数
は1個でも複数個でもよいが、好ましいものは酸素原子
を1個有するもの、特にアルコキシ結合のもの、であ
る。
【0022】Mは周期律表IVB〜VIB族の遷移金属、好
ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのIVB族
遷移金属、さらに好ましいMはジルコニウムである。
【0023】本発明の化合物〔I〕は、置換基ないし結
合の形成に関して合目的的な任意の方法によって合成す
ることができる。一つの代表的な合成経路は、下記の通
りである。なお、HRは、下記式の化合物を示す。
【0024】
【化6】 HR+n−CLi→RLi+n−C10 2RLi+QCl→Q(R+2LiCl Q(R+2・n−CLi→Q(RLi)
+2・n−C10 (但し、HR=R) Q(RLi)+ZrCl→Q(RZrCl
+2LiCl 上記遷移金属化合物の非限定的な例として、下記のもの
を挙げることができる。なお、これらの化合物は、単に
化学的名称のみで指称されているが、その立体構造が本
発明でいう非対称性をもつものであるこというまでもな
い。
【0025】なお、下記の化合物におけるφはフェニル
基を示す。
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】また、これらの化合物のクロリドの一方あ
るいは両方が、臭素、ヨウ素、水素、メチル、フェニ
ル、ベンジル、アルコキシ等にかわった化合物も例示す
ることができる。また、上記のジルコニウムのかわり
に、チタン、ハフニウム、タンタル、ニオブ、バナジウ
ム、タングステン、モリブデン等にかわった化合物も例
示することができる。これらのうちで好ましい化合物
は、Mがチタン、ジルコニウム、ハフニウムのIVB族遷
移金属であるものである。さらに好ましいものはジルコ
ニウム化合物である。
【0031】これらのうち好ましいものは、五員環の隣
の炭素原子の位置で枝分かれして多環を形成する構造の
またはRを有するものである。 <成分(B)>成分(B)は、(イ)アルミニウムオキ
シ化合物、(ロ)ルイス酸、あるいは(ハ)成分(A)
と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能
なイオン性化合物である。
【0032】ルイス酸のあるものは、「成分(A)と反
応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイ
オン性化合物」として捉えることもできる。従って、
「ルイス酸」および「成分(A)と反応して成分(A)
をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物」の
両者に属する化合物は、いずれか一方に属するものと解
することとする。
【0033】アルミニウムオキシ化合物としては、具体
的には下記の一般式〔II〕、〔III〕または〔IV〕であ
らわされる化合物がある。
【0034】
【化11】 (ここで、pは0〜40、好ましくは2〜30、の数で
あり、Rは水素または炭化水素残基、好ましくは炭素
数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6、のもの、を
示す。)一般式〔II〕および〔III 〕の化合物は、アル
モキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリア
ルキルアルミニウム、または二種類以上のトリアルキル
アルミニウムと水との反応により得られる生成物であ
る。具体的には、(イ)一種類のトリアルキルアルミニ
ウムと水から得られるメチルアルモキサン、エチルアル
モキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサ
ン、イソブチルアルモキサン、(ロ)二種類のトリアル
キルアルミニウムと水から得られるメチルエチルアルモ
キサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチル
アルモキサン等が例示される。これらの中で、特に好ま
しいのはメチルアルモキサンおよびメチルイソブチルア
ルモキサンである。
【0035】これらのアルモキサンは、各群内および各
群間で複数種併用することも可能であり、また、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド等
の他のアルキルアルミニウム化合物と併用することも可
能である。
【0036】これらのアルモキサンは公知の様々な条件
下に調製することができる。具体的には以下の様な方法
が例示できる。 (イ) トリアルキルアルミニウムをトルエン、ベンゼ
ン、エーテル等の適当な有機溶剤を用いて直接水と反応
させる方法、(ロ) トリアルキルアルミニウムと結晶
水を有する塩水和物、例えば硫酸銅、硫酸アルミニウム
の水和物と反応させる方法、(ハ) トリアルキルアル
ミニウムとシリカゲル等に含浸させた水分とを反応させ
る方法、(ニ) トリメチルアルミニウムとトリイソブ
チルアルミニウムを混合し、トルエン、ベンゼン、エー
テル等の適当な有機溶剤を用いて直接水と反応させる方
法、(ホ) トリメチルアルミニウムとトリイソブチル
アルミニウムを混合し、結晶水を有する塩水和物、例え
ば硫酸銅、硫酸アルミニウムと水和物、と加熱反応させ
る方法、(ヘ) シリカゲル等に水分を含浸させ、トリ
イソブチルアルミニウムで処理した後、トリメチルアル
ミニウムで追加処理する方法、(ト) メチルアルモキ
サンおよびイソブチルアルモキサンを公知の方法で合成
し、これら二成分を所定量混合し、加熱反応させる方
法、(チ) ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶
媒に硫酸銅5水塩などの結晶水を有する塩を入れ、−4
0〜40℃位の温度条件下トリメチルアルミニウムと反
応させる方法。この場合、使用される水の量は、トリメ
チルアルミニウムに対してモル比で通常0.5〜1.5
である。このようにして得られたメチルアルモキサン
は、線状または環状の有機アルミニウムの重合体であ
る。
【0037】一般式〔IV〕であらわされる化合物は、一
種類のトリアルキルアルミニウム、または二種類以上の
トリアルキルアルミニウムと
【0038】
【化12】 であらわされるアルキルボロン酸(ここで、Rは炭素
数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、のものを示す)
との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ること
ができる。具体的には、(イ)トリメチルアルミニウム
とメチルボロン酸の2:1の反応物、(ロ)トリイソブ
チルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、
(ハ)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミ
ニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、(ニ)ト
リメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応
物、および(ホ)トリエチルアルミニウムとブチルボロ
ン酸の2:1反応物等が例示される。これらの一般式
〔IV〕の化合物は、複数種用いることも可能であり、ま
た一般式〔II〕または〔III 〕であらわされるアルモキ
サンや、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニ
ウムクロリド等の他のアルキルアルミニウム化合物と併
用することも可能である。
【0039】また、成分(A)と反応して成分(A)を
カチオンに変換することが可能なイオン性化合物として
は、一般式〔V〕であらわされるものがある。
【0040】 〔K〕e+〔Z〕e− 〔V〕 ここで、Kはイオン性のカチオン成分であって、例えば
カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アルモ
ニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウム
カチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。ま
た、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金
属の陽イオン等も挙げられる。これらのカチオンの具体
例としては、(イ)トリフェニルカルボニウム、ジフェ
ニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデ
ニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモ
ニウム、トリブチルアンモニウム、N,N‐ジメチルア
ニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシ
ルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチ
ルホスホニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウ
ム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニ
ルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチ
ルオキソニウム、ピリリウム、および銀イオン、金イオ
ン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イ
オン、フェロセニウムイオン等がある。
【0041】上記の一般式〔V〕におけるZはイオン性
のアニオン成分であり、成分(A)が変換されたカチオ
ン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位
の)であって、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有
機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物ア
ニオン、有機リン化合物アニオン、有機ひ素化合物アニ
オン、有機アンチモン化合物アニオンなどが挙げられ
る。具体的には、(イ)テトラフェニルホウ素、テトラ
キス(3,4,5‐トリフルオロフェニル)ホウ素、テ
トラキス(3,5‐ジ(トリフルオロメチル)フェニ
ル)ホウ素、テトラキス(3,5‐ジ(t‐ブチル)フ
ェニル)ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ホウ素、(ロ)テトラフェニルアルミニウム、テト
ラキス(3,4,5‐トリフルオロフェニル)アルミニ
ウム、テトラキス(3,5‐ジ(トリフルオロメチル)
フェニル)アルミニウム、テトラキス(3,5‐ジ(t
‐ブチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペン
タフルオロフェニル)アルミニウム、(ハ)テトラフェ
ニルガリウム、テトラキス(3,4,5‐トリフルオロ
フェニル)ガリウム、テトラキス(3,5‐ジ(トリフ
ルオロメチル)フェニル)ガリウム、テトラキス(3,
5‐ジ(t‐ブチル)フェニル)ガリウム、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ガリウム、(ニ)テトラフ
ェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リ
ン、(ホ)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ヒ素、(ヘ)テトラフェニルアンチモ
ン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモ
ン、(ト)デカボレート、ウンデカボレート、カルバド
デカボレート、デカクロロデカボレート等がある。
【0042】また、ルイス酸、特に成分(A)をカチオ
ンに変換可能なルイス酸、としては、種々の有機ホウ素
化合物、金属ハロゲン化合物、あるいは固体酸等が例示
される。具体的には、(イ)トリフェニルホウ素、トリ
ス(3,5‐ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物、
(ロ)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化ア
ルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨ
ウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化
マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシ
ウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシ
ド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシ
ウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の
金属ハロゲン化合物、および(ハ)シリカ‐アルミナ、
アルミナ等の固体酸がある。
【0043】これらのイオン性化合物やルイス酸は、成
分(B)として単独で用いることもできるし、一般式
〔II〕、〔III 〕あるいは〔IV〕のアルミニウムオキシ
化合物と併用することができる。また、トリ低級アルキ
ルアルミニウム、ジ低級アルキルアルミニウムモノハラ
イド、モノ低級アルキルアルミニウムジハライドおよび
低級アルキルアルミニウムセスキハライド、ならびにこ
れらの低級アルキル基の一部がフェノキシ基と替ったも
の、たとえばトリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアル
ミニウムフェノキシド、ジメチルアルミニウムクロリド
等の有機アルミニウム化合物と併用することも可能であ
る。 <触媒の形成>本発明の触媒は、上記の成分(A)およ
び成分(B)を、重合槽内であるいは重合槽外で、重合
させるべきモノマーの存在下あるいは非存在下に接触さ
せることにより得ることができる。
【0044】本発明で使用する成分(A)および成分
(B)の使用量は任意である。例えば溶媒重合の場合、
成分(A)の使用量は遷移金属原子として10-7〜10
ミリモル/リットル、さらには10-4〜1ミリモル/
リットルの範囲内が好ましい。アルミニウムオキシ化合
物の場合Al/遷移金属のモル比は通常10以上、10
0,000以下、さらに100以上、20,000以
下、特に100以上、10,000以下の範囲が好んで
用いられる。一方、成分(B)としてイオン性化合物あ
るいはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比で
0.1〜1,000、好ましくは0.5〜100、さら
に好ましくは1〜50、の範囲で使用される。
【0045】本発明の触媒は、成分(A)および(B)
以外に、他の成分を含みうるものであることは前記した
通りであるが、成分(A)および(B)に加えることが
可能な第三成分(任意成分)としては、例えばHO、
メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水素含有
化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供与性化
合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミニウ
ム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジフェ
ニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物を例示
することができる。
【0046】オレフィンの重合にこれらの触媒系を使用
するときには、成分(A)および(B)は反応槽に別々
に導入してもよいし、成分(A)および(B)を予め接
触させたものを反応槽に導入してもよい。成分(A)お
よび(B)を予め接触させる際に、重合させるべきモノ
マーの存在下でこれを行ってオレフィンを一部重合させ
る(いわゆる予備重合する)ことも可能である。 <触媒の使用/オレフィンの重合>本発明の触媒は、溶
媒を用いる溶媒重合に適用されるのはもちろんである
が、実質的に溶媒を用いない液相無溶媒重合、気相重
合、溶融重合にも適用される。また連続重合、回分式重
合に適用される。
【0047】溶媒重合の場合の溶媒としては、ヘキサ
ン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独あ
るいは混合物が用いられる。
【0048】重合温度は−78〜200℃程度、好まし
くは−20〜100℃、である。反応系のオレフィン圧
には特に制限がないが、好ましくは常圧〜50Kg/cm2
・Gの範囲である。
【0049】また、重合に際しては公知の手段、例えば
温度、圧力の選定あるいは水素の導入、により分子量調
節を行なうことができる。
【0050】本発明の触媒により重合するα‐オレフィ
ン、即ち本発明の方法において重合反応に用いられるα
‐オレフィン(エチレンも包含する)は、炭素数2〜2
0、好ましくは2〜10、のα‐オレフィンである。具
体的には、例えばプロピレン、1‐ブテン、4‐メチル
‐1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン、1‐デ
セン、1‐ドデセン、1‐テトラデセン、1‐ヘキサデ
セン、1‐オクタデセン、1‐エイコセンなど、本発明
の触媒は、立体規則性重合を目的とする炭素数3〜10
のα‐オレフィンの重合に好ましく、特に好ましくはプ
ロピレン、がある。これらのα‐オレフィン類は、二種
以上混合して重合に供するこができる。
【0051】また、本発明の触媒は、上記α‐オレフィ
ン類とエチレンとの共重合も可能である。さらには、上
記α‐オレフィンと共重合可能な他の単量体、例えばブ
タジエン、1,4‐ヘキサジエン、7‐メチル‐1,6
‐オクタジエン、1,8‐ノナジエン、1,9‐デカジ
エンなどのような共役および非共役ジエン類、または、
シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、ノル
ボルネン、ジシクロペンタジエンなどの様な環状オレフ
ィンの共重合にも有効である。
【0052】
【実施例】次の実施例は、本発明をさらに具体的に説明
するためのものである。
【0053】実施例1 〔ジメチルシリレンビス(4‐(5,9,9‐トリメチ
ルトリシクロ〔6.1.1.0〕デカ‐4,6‐ジエ‐
3‐ニル))ジルコニウムジクロリドの合成〕3リット
ルのガラス製反応容器中に、アセトニトリル300ml、
四塩化炭素300ml、および水450mlを加え、さらに
β‐ピネン40g、メタ過よう素酸ナトリウムを60g
加えた。続いて三塩化ルテニウムを0.6gゆっくりと
加え24時間反応を行った。終了後、塩化メチレンで抽
出し、濃縮、蒸留を行い32gの6,6‐ジメチルビシ
クロ〔3.1.1〕ヘプタン‐2‐オンを得た。以後、
反応はすべて不活性ガス雰囲気下で行った。また反応溶
媒はあらかじめ乾燥させたものを使用した。
【0054】次に500mlガラス製反応容器で、ジイソ
プロピルアミン35mlを120mlのテトラヒドロフラン
に溶解させ、冷却下、n‐ブチルリチウムの1.6Mヘ
キサン溶液150mlをゆっくりと反応容器中に滴下し、
1時間後に6,6‐ジメチルビシクロ〔3.1.1〕ヘ
プタン‐2‐オン32g滴下し、0.5時間後にヘキサ
メチルフォスフォルアミド43ml加え、続いてブロモ酢
酸メチル43ml加えた。このものを徐々に昇温し、10
時間反応を行った。反応終了後、水を300ml加え、ジ
エチルエーテルで抽出し、濃縮、蒸留を行って、36g
の3((メトキシカルボニル)メチル)6,6‐ジメチ
ルビシクロ〔3.1.1〕ヘプタン‐2‐オンを得た。
【0055】1リットルのガラス製反応容器中にメチル
リン酸ジメチル37mlを入れ、これをテトラヒドロフラ
ン400mlに溶解させ、冷却下、n‐ブチルリチウムの
1.6Mヘキサン溶液を210ml滴下し、1時間後、上
記で得た3((メトキシカルボニル)メチル)6,6‐
ジメチルビシクロ〔3.1.1〕ヘプタン‐2‐オン3
6gを滴下し、徐々に昇温し、室温で4時間反応を行っ
た。反応物に300mlの水を加え、塩化メチレンで抽出
し、濃縮後シリカゲルカラムにて分離した。その結果、
30gの3‐(3‐ジメチルフォスフォノ)2‐オキソ
プロピル)6,6‐ジメチルビシクロ〔3.1.1〕ヘ
プタン‐2‐オンを得た。
【0056】次に500mlガラス製反応容器にテトラヒ
ドロフラン250mlおよび水素化ナトリウム5.0gを
加え、続いて上記の3‐(3‐ジメチルフォスフォノ)
2‐オキソプロピル)6,6‐ジメチルビシクロ〔3.
1.1〕ヘプタン‐2‐オンを30g滴下し、60℃で
17時間反応を実施した。反応終了後、反応物に水を2
00ml加え、ジエチルエーテルで抽出した後、濃縮し、
蒸留を行って、9,9‐ジメチルトリシクロ〔6.1.
1.0〕デカ‐3‐エン‐5‐オンを13g得た。
【0057】さらに、200mlガラス製反応容器のテト
ラヒドロフラン100mlに、先に得た化合物13gを溶
解させ、冷却下メチルリチウム1.1Mエーテル溶液を
76ml滴下し、ゆっくりと昇温し、室温で6時間反応を
実施した。反応終了後、水を50ml加え、ジエチルエー
テルにて抽出した。濃縮後、濃縮物をベンゼン50ml、
p‐トルエンスルホン酸0.2gの入った100mlガラ
ス製反応容器中に加えた。2時間後炭酸ナトリウムで中
和し、硫酸ナトリウムで脱水した後、乾燥した。その結
果、11gの5,9,9‐トリメチルトリシクロ〔6.
1.1.0〕デカ‐3,5‐ジエン11gを得た。
【0058】続いて200mlガラス製反応容器中で50
mlのジエチルエーテルに5,9,9‐トリメチルトリシ
クロ〔6.1.1.0〕デカ‐3,5‐ジエン11gを
溶解し、冷却下、n‐ブチルリチウムの1.6Mヘキサ
ン溶液を40ml滴下した。徐々に昇温し、4時間還流を
行った。反応終了後、析出固体をろ過し、n‐ヘキサン
で洗浄し乾燥を行って、7.7gのリチウム化物を得
た。
【0059】さらに200mlガラス製容器中に先に合成
したリチウム化物7.3gをトルエン50mlに分散し、
氷冷下、ジメチルジクロロシランを2.4ml滴下した。
室温にて1時間反応後さらに還流下6時間反応を行っ
た。反応終了後、水を50ml加え、ジエチルエーテルで
抽出し、濃縮後、シリカゲルカラムにて分離し、1.0
gのジメチルビス(4‐(5,9,9‐トリメチルトリ
シクロ〔6.1.1.0〕デカ‐4,6‐ジエ‐3‐ニ
ル))シランを得た。
【0060】100mlのガラス製反応容器に先に合成し
たケイ素化合物をジメトキシエタン50mlに溶解し、冷
却下、n‐ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液を
3.1ml滴下し、室温にて10時間反応させた後、さら
に50mlのジメトキシエタンに四塩化ジルコニウム0.
58g加えた200mlガラス製反応溶液に移送した。室
温にて3時間反応させた後、還流下、6時間反応を実施
した。乾燥後塩化メチレンを加え、リチウムクロライド
を除去した後、結晶化によって、ジメチルシリレンビス
(4‐(5,9,9‐トリメチルトリシクロ〔6.1.
1.0〕デカ‐4,6‐ジエ‐3‐ニル))ジルコニウ
ムジクロリドを0.17g得た。 〔プロピレンの重合〕内容積1.5リットルの撹拌式オ
ートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後、充分に
脱水および脱酸素したトルエン500ミリリットル導入
し、次いで東ソーアクゾ社製メチルアルモキサン(重合
度16)をAl原子換算で3mmol(0.174g)、お
よび上記で合成したジメチルシリレンビス(4‐(5,
9,9)トリメチルトリシクロ〔6.1.1.0〕デカ
‐4,6‐ジエ‐3‐ニル)ジルコニウムジクロリドを
0.566mg(1μmol )導入し、次いでプロピレンを
導入し、20℃で1kg/cm2 Gで15分予備重合を行な
った。次いで40℃に昇温し7kg/cm2 Gで2時間重合
操作を行なった。重合終了後、得られたポリマースラリ
ーを濾過により分離しポリマーを乾燥させた結果、5
6.4グラムのポリマーを得た。また濾液を濃縮したと
ころ0.5グラムのポリマーが得られた。触媒活性は1
0.1×104 gポリマー/g成分(A)、数平均分子
量(Mn)は24.5×104 、分子量分布(Mw/M
n)=2.21、融点は154.5℃であった。
【0061】実施例−2 〔プロピレンの重合〕重合温度は70℃にする以外は実
施例−1と同一条件でプロピレンを重合させた。結果を
表1に示す。
【0062】実施例−3 〔プロピレンの重合〕実施例−1と同様の方法で、トル
エン500ml、トリイソブチルアルミニウム139mg
(0.7mmol)、ジメチルシリレンビス(4‐(5,
9,9)トリメチルトリシクロ〔6.1.1.0〕デカ
‐4,6‐ジエ‐3‐ニル)ジルコニウムジクロリドを
0.566mg(1μmol )導入し、次いでジメチルアニ
リニウム〔テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート〕を1.6mg(2μmol )用いる以外は、全て実施
例−1と同様にしてプロピレンの重合を行なった。結果
を表1に示す。
【0063】比較例−1 〔ジメチルシリレンビス(4,5,6,7‐テトラヒド
ロインデニル)ジルコニウムジクロリドの合成〕ジメチ
ルシリレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウ
ムジクロリドを、J.Orgmet.Chem. (342)21〜29 1988
びJ.Orgmet.Chem.(369)359〜370 1989に従って合成し
た。
【0064】具体的には、窒素置換した300ミリリッ
トルフラスコに、ビス(インデニル)ジメチルシラン
5.4gをテトラヒドロフラン150ミリリットルに希
釈し、−50℃以下に冷却した後、n‐ブチルリチウム
(1.6M/L)を23.6ミリリットルを30分かけ
て滴下した。滴下終了後、1時間かけて室温まで昇温
し、室温下で4時間反応させて反応液Aを合成した。
【0065】窒素置換した500ミリリットルフラスコ
にテトラヒドロフランを200ミリリットル導入し−5
0℃以下に冷却した後、四塩化ジルコニウム4.38グ
ラムをゆっくり導入した。次いで反応液Aを全量導入し
た後、3時間かけてゆっくり室温まで昇温した。室温下
で2時間反応させた後、さらに60℃に昇温し2時間反
応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した後、トルエ
ン100ミリリットルに溶解し再留去によりジメチルシ
リレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド粗結
晶を3.86グラム得た。
【0066】次いで、この粗結晶をジクロロメタン15
0ミリリットルに溶解し、500ミリリットルオートク
レーブに導入し、白金‐カーボン(0.5重量%白金担
持)触媒5グラム導入後、H=50kg/cm2 G、50
℃の条件下で5時間水添反応を行なった。反応終了後、
触媒を濾別した後、溶媒を減圧留去し、トルエンで抽出
した後再結晶することにより、目的のジメチルシリレン
ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリ
ド1.26グラムを得た。 〔プロピレンの重合〕上記の成分(A)を0.456mg
(1μmol )用いる以外は全て実施例−1と同一条件で
プロピレンを重合させた。結果を表1に示す。
【0067】比較例−2 重合温度を70℃で行なう以外は全て比較例−1と同様
にプロピレンの重合を行った。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の触媒成分を用いると、経済性の
高い高温重合条件下においても、高融点かつ高分子量の
α‐オレフィン重合体を高収率で製造することが可能に
なることは「発明の概要」の項において前記したところ
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式〔I〕で表わされる化合物か
    らなることを特徴とする、α‐オレフィン重合用触媒成
    分。 【化1】 (ただし、2個あるRは、それぞれ独立に、水素、炭
    素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜12のケイ素
    含有炭化水素基を示す。RおよびRは、それぞれ独
    立に、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する
    2価の炭素数3〜30の炭化水素残基である。ただし、
    およびRがそれぞれ成す縮合環の少なくとも一方
    は、当該縮合環内にさらなる縮合環を有する多環構造を
    有する。Qは二つの五員環を結合する炭素数1〜20の
    2価の炭化水素基、シリレン基、炭素数1〜20の炭化
    水素基を有するシリレン基、ゲルミレン基、または炭素
    数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基を示し、
    XおよびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素
    数1〜20の炭化水素基、または酸素を含む炭素数1〜
    20の炭化水素残基を示す。Mは周期律表IVB〜VIB族
    遷移金属を示す。)
  2. 【請求項2】下記の成分(A)および成分(B)を組合
    せてなることを特徴とする、オレフィン重合用触媒。成分(A) 請求項1のオレフィン重合用触媒成分、成分(B) (イ)アルミニウムオキシ化合物、(ロ)ルイス酸、あ
    るいは(ハ)成分(A)と反応して成分(A)をカチオ
    ンに変換することが可能なイオン性化合物。
  3. 【請求項3】請求項2の成分(A)および成分(B)を
    組合せてなる触媒にα‐オレフィンを接触させて重合さ
    せることを特徴とする、α‐オレフィン重合体の製造
    法。
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