JPH06238799A - 積層体 - Google Patents

積層体

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JPH06238799A
JPH06238799A JP2689593A JP2689593A JPH06238799A JP H06238799 A JPH06238799 A JP H06238799A JP 2689593 A JP2689593 A JP 2689593A JP 2689593 A JP2689593 A JP 2689593A JP H06238799 A JPH06238799 A JP H06238799A
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武夫 寺沢
Yoshinori Ikenaga
義則 池永
Katsuaki Tsutsumi
克明 堤
Hirotaka Takoshi
宏孝 田越
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温,低圧成形時の接着性及び耐熱クリープ
性が要求される自動車等の内装用材料として好適に使用
できると共に、基材の種類を問わず優れた接着強度を有
し広範な分野で幅広く使用でき、更に有機溶剤の使用や
複雑な作業性等の製造工程上の問題を生じない積層体を
開発すること。 【構成】 基材層及び接着材層を有し、該接着材層が、
(A)エチレンとラジカル重合性酸無水物及びこれ以外
のラジカル重合性コモノマーからなる多元共重合体(エ
チレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル三元共重
合体)及び(B)エチレンとラジカル重合性酸無水物か
らなるエチレン系二元共重合体(エチレン−無水マレイ
ン酸二元共重合体)を主成分とする樹脂組成物からなる
積層体である。前記の樹脂組成物には所望により(C)
共重合ナイロン(ダイマー酸とジアミンの縮重合体)を
配合する。前記の樹脂組成物には、(A)〜(C)の他
に(D)有機カルボン酸の金属塩(アイオノマー)を配
合する場合もある。

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は積層体に関し、更に詳しくは接着
強度及び耐熱性に優れ、特に、低温,低圧成形時の接着
性及び耐熱クリープ性が要求される自動車,住居等の内
装用材料として好適に使用できると共に、基材の種類を
問わず優れた接着強度を有し、広範な分野で幅広く使用
できる積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリオ
レフィン系のホットメルト型接着剤は、溶剤型接着剤と
異なり、接着時に塗装,乾燥,エージング等の作業が不
要で作業工程が簡単なこと、また、有機溶剤の使用に伴
う労働衛生上の悪影響や火災の危険性等の問題を生じな
いことから積層体の接着材層として好適に使用できる。
このため、この接着剤を使用して製造した積層体が広範
に使用されている。しかしホットメルト型接着剤は、一
般に溶剤型接着剤に比べて接着強度が低いため、耐熱ク
リープ性に欠ける場合が多く、積層体の用途によっては
接着強度が充分でないという問題がある。例えば、自動
車、車両、船舶、住居、その他の建築物等の内装用材料
として、室内の居住性や美観を高めるための表皮材と、
機能性を保持し高めるための基板材を接着した積層体が
使用されているが、この積層体の接着材層として従来使
用されているエチレン−アクリル酸エステル−無水マレ
イン酸三元共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,
エチレン−アクリル酸エステル共重合体又は低融点の共
重合ナイロン等のホットメルト型接着剤は、炎天下の車
内温度のような高温(80℃前後)に長時間置かれる
と、タレや剥がれを生じやすいという欠点を有する。ま
た、接着温度,接着圧力を比較的高温,高圧とすれば接
着性を高めることができるが、この場合には表皮剤の損
傷を招きやすいという欠点を有する。一方、これらの欠
点を有しないホットメルト型接着剤もあるが価格が高価
であり、コスト面からその使用が制限されるという欠点
を有する。また、ホットメルト型接着剤を使用した積層
体は、基材(表皮材及び基板材を含む)の種類によって
は接着強度が充分でないという問題もある。例えば、基
材の表面にウレタン塗料が塗布されている場合、基材が
発泡ウレタン系の場合又は基材が射出成形されたポリプ
ロピレンであって表面が平滑な場合等では、ホットメル
ト型接着剤を使用した積層体は基材層の剥離を生じやす
い。このような場合には、あらかじめ基材の表面に特殊
な処理を施すか、又はホットメルト型接着剤に代えて溶
剤型接着剤を使用する等の処置が必要となるが、前者は
作業工程が複雑になり製造コストの上昇を招くという欠
点を有し、後者は有機溶剤の使用により環境、衛生上の
悪影響を生じるという欠点を有する。上述したように、
自動車,家屋等の内装用材料として使用した場合に良好
な耐熱クリープ性を示すと共に、低温で接着した場合の
接着強度に優れ表皮剤の損傷を防止でき、また基材の種
類を問わず良好な接着強度を有し広範な分野で幅広く使
用することができ、更には作業性,環境問題等の製造工
程上の問題を有さず、コスト面でも満足できる積層体
は、未だ開発されていないのが実情である。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の実情に鑑み、従来の欠点を解消した接着剤を開発
すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定のエチレン系
多元共重合体及び特定のエチレン系二元共重合体を主成
分とする樹脂組成物からなる接着材層を介して基材を接
着した積層体が、基材(表皮材及び基板材を含む)の種
類を問わず良好な接着強度及び耐熱性を有することを見
出した。本発明はかかる知見に基いて完成したものであ
る。すなわち本発明は、基材層(布地を除く)及び接着
材層を有し、該接着材層が、(A)エチレンとラジカル
重合性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマ
ーからなるエチレン系多元共重合体であって、該多元共
重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位の割
合が0.1〜5重量%で、これ以外のラジカル重合性コモ
ノマーに由来する単位の割合が3〜50重量%であるエ
チレン系多元共重合体70〜99重量%及び(B)エチ
レンとラジカル重合性酸無水物とからなるエチレン系二
元共重合体であって、該二元共重合体中のラジカル重合
性酸無水物に由来する単位の割合が0.1〜10重量%で
あるエチレン系二元共重合体30〜1重量%を含有する
樹脂組成物からなることを特徴とする積層体を提供する
ものである。
【0004】本発明の積層体の接着材層を構成する樹脂
組成物(以下「接着材層用樹脂組成物」という。)は、
上述のように、(A)成分であるエチレン系多元共重合
体及び(B)成分であるエチレン系二元共重合体を必須
成分とするが、更に必要に応じて、(C)成分である共
重合ナイロン,(D)成分である有機カルボン酸の金属
塩及びその他の成分の中から選ばれる一以上の成分を含
有していてもよい。
【0005】この接着材層用樹脂組成物中の(A)成分
であるエチレン系多元共重合体は、エチレン,ラジカル
重合性酸無水物及び前記のラジカル重合性酸無水物以外
のラジカル重合性コモノマーからなる多元共重合体であ
る。ここで、ラジカル重合性酸無水物とは、分子中にラ
ジカル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各々1個以
上有し、重合によって酸無水物基を分子中に導入できる
ような化合物を意味する。酸無水物基は環状のものが好
ましい。このような化合物としては、例えば、無水マレ
イン酸,無水イタコン酸,無水エンディック酸,無水シ
トラコン酸,ドデセニル無水コハク酸,1−ブテン−
3,4−ジカルボン酸無水物,炭素数が多くとも18で
ある末端に二重結合を有するアルケニル無水コハク酸,
炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有するア
ルカジエニル無水コハク酸等が挙げられる。これらは単
独で、あるいは二種類以上を組み合わせて用いても差し
支えない。これらの中では、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸が特に好ましい。(A)成分中のラジカル重合性
酸無水物に由来する単位の割合は、0.1〜5重量%の範
囲であり、好ましくは0.5〜4.5重量%の範囲、更に好
ましくは1.0〜4.0重量%の範囲である。ここで、ラジ
カル重合性酸無水物の割合が0.1重量%未満では、接着
性が不足して良好な接着強度が得られない。また、5重
量%を超えると、エチレン系共重合体の製造が困難とな
り、実用的でない。
【0006】ラジカル重合性酸無水物以外のラジカル重
合性コモノマーとしては、様々な化合物があり、例え
ば、エチレン系不飽和エステル化合物,エチレン系不飽
和アミド化合物,エチレン系不飽和酸化合物,エチレン
系不飽和エーテル化合物,その他の化合物等が挙げられ
る。これらを具体的に記すと、エチレン系不飽和エステ
ル化合物としては、例えば、酢酸ビニル,(メタ)アク
リル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)ア
クリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メ
タ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチ
ル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸
ベンジル,フマル酸メチル,フマル酸エチル,フマル酸
プロピル,フマル酸ブチル,フマル酸ジメチル,フマル
酸ジエチル,フマル酸ジプロピル,フマル酸ジブチル,
マレイン酸メチル,マレイン酸エチル,マレイン酸プロ
ピル,マレイン酸ブチル,マレイン酸ジメチル,マレイ
ン酸ジエチル,マレイン酸ジプロピル,マレイン酸ジブ
チル等が挙げられる。エチレン系不飽和アミド化合物と
しては、例えば、(メタ)アクリルアミド,N−メチル
(メタ)アクリルアミド,N−エチル(メタ)アクリル
アミド,N−プロピル(メタ)アクリルアミド,N−ブ
チル(メタ)アクリルアミド,N−ヘキシル(メタ)ア
クリルアミド,N−オクチル(メタ)アクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジ
エチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレ
ン系不飽和酸化合物としては、例えば、(メタ)アクリ
ル酸,フマル酸,マレイン酸等が挙げられる。エチレン
系不飽和エーテル化合物としては、例えば、メチルビニ
ルエーテル,エチルビニルエーテル,プロピルビニルエ
ーテル,ブチルビニルエーテル,オクタデシルビニルエ
ーテル,フェニルビニルエーテル等が挙げられる。更に
上記の他にも、その他の化合物として、スチレン,α−
メチルスチレン,(メタ)アクリロニトリル,アクロレ
イン,クロトンアルデヒド,トリメトキシビニルシラ
ン,トリエトキシビニルシラン,塩化ビニル,塩化ビニ
リデン,ノルボルネン,ブタジエン等が挙げられる。こ
れらの中では、(メタ)アクリル酸エステル類,(メ
タ)アクリル酸が、特に好ましい化合物として挙げられ
る。そして、これらのコモノマーは、単独で、あるいは
2種以上を併用しても差し支えない。(A)成分中のラ
ジカル重合性コモノマーに由来する単位の割合は、3〜
50重量%の範囲であり、好ましくは4〜45重量%の
範囲、更に好ましくは5〜40重量%の範囲である。こ
こで、ラジカル重合性コモノマーの割合が3重量%未満
では、エチレン系多元共重合体の結晶融点が充分に低く
ならず、本発明の特徴である低温接着性を充分に発揮す
ることができない。また、50重量%を超えると、樹脂
の取扱いが困難になるとともに、製品の耐熱性が低下す
る。
【0007】上記の(A)成分であるエチレン系多元共
重合体を製造するにあたっては、基本的には通常の高圧
法低密度ポリエチレンの製造設備及びその技術を利用す
ることができる。一般的には、塊状重合法により、70
0〜3,000気圧、好ましくは1,000〜2,500気圧
の重合圧力で、また100〜300℃、好ましくは15
0〜270℃の重合温度で、ラジカル重合にて製造され
る。重合圧力が700気圧未満では、重合体の分子量が
低くなり、成形性、樹脂組成物の樹脂物性が悪化する。
一方、3,000気圧を超えると、製造コストを高めるだ
けで、実質的には無意味である。また、重合温度が10
0℃未満では重合反応が安定せず、共重合体への転化率
が低下し、経済的に問題がある。一方、300℃を超え
ると、共重合体の分子量が低下すると同時に暴走反応の
危険性が生じる。重合装置としては、ベッセル型の反応
器を用いるのが好ましい。特に、ラジカル重合性酸無水
物は重合安定性が乏しいため、高度の反応器内の均一化
が必要である。また、必要に応じて、複数個の反応器を
直列又は並列に接続し、多段重合を行うこともできる。
更に、反応器の内部を複数のゾーンに仕切ることによっ
て、より緻密な温度コントロールを行うこともできる。
【0008】エチレン系多元共重合体の製造は、前記の
反応条件にて少なくとも1種のフリーラジカル開始剤の
存在下で行われる。ここで、フリーラジカル開始剤とし
ては、具体的には例えば、酸素;ジ−t−ブチルパーオ
キシド,t−ブチルクミルパーオキシド,ジクミルパー
オキシド等のジアルキルパーオキシド;アセチルパーオ
キシド,i−ブタノイルパーオキシド,オクタノイルパ
ーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジ−i−プロピ
ルパーオキシ−ジカーボネート,ジ−2−エチルヘキシ
ルパーオキシ−ジカーボネート等のパーオキシ−ジカー
ボネート;t−ブチルパーオキシピバレート,t−ブチ
ルパーオキシラウレート等のパーオキシエステル;メチ
ルエチルケトンパーオキシド,シクロヘキサノンパーオ
キシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス−t−ブ
チルパーオキシシクロヘキサン,2,2−ビス−t−ブ
チルパーオキシオクタン等のパーオキシケタール;t−
ブチルヒドロパーオキシド,クメンヒドロパーオキシド
等のヒドロパーオキシド;2,2−アゾ−i−ブチロニ
トリル等のアゾ化合物等が挙げられる。また、重合にあ
たっては、分子量調節剤として、種々の連鎖移動剤を用
いることができる。その連鎖移動剤としては、例えば、
プロピレン,ブテン,ヘキセン等のオレフィン類;エタ
ン,プロパン,ブタン等のパラフィン類;アセトン,メ
チルエチルケトン,酢酸メチル等のカルボニル化合物;
トルエン,キシレン,エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素等が挙げられる。
【0009】このようにして製造されるエチレン系多元
共重合体は、比較的に低温で融解し、各種基材(表皮材
及び基板材を含む)との物理化学的相互作用、反応性に
富んでいるために、本発明の積層体を低温成形により製
造する場合においても、高い接着強度を確保するのに大
きな役割を果たす。なお(A)成分は、二種類以上を併
用することもできる。
【0010】接着材層用樹脂組成物中の(B)成分であ
るエチレン系二元共重合体は、エチレンとラジカル重合
性酸無水物からなる二元共重合体である。ここで、ラジ
カル重合性酸無水物としては、例えば、(A)成分を製
造するのに使用できる前記のラジカル重合性酸無水物を
挙げることができる。これらは単独で、あるいは二種類
以上を組み合わせて用いても差し支えない。これらの中
では、無水マレイン酸、無水イタコン酸が特に好まし
い。(B)成分中のラジカル重合性酸無水物に由来する
単位の割合は、0.1〜5重量%の範囲であり、好ましく
は0.5〜4.5重量%の範囲、更に好ましくは1.0〜4.0
重量%の範囲である。ここで、ラジカル重合性酸無水物
の割合が0.1重量%未満では、高い耐熱クリープ性が得
られない。また、5重量%を超えると、得られるエチレ
ン系二元共重合体の柔軟性が著しく低下するうえに、生
産コストが高くなり好ましくない。なお、(B)成分の
MFR値は特に制限を受けないが、接着材層用樹脂組成
物を使用して本発明の積層体を製造するに際し良好な成
形性を確保する観点から、0.1〜500g/10分とす
るのが好ましい。なお(B)成分は、二種類以上を併用
することもできる。
【0011】(B)成分は、(A)成分を製造するのと
同様の方法で製造でき、例えば、前記した(A)成分の
製造方法を使用して製造することができる。すなわち、
(B)成分を製造するに当たっては、基本的には通常の
高圧法低密度ポリエチレンの製造設備及びその技術を利
用することができ、一般的には塊状重合法により、70
0〜3,000気圧、100〜300℃で、ラジカル重合
にて製造される。重合装置としては、ベッセル型の反応
器を用いるのが好ましい。重合は、少なくとも1種のフ
リーラジカル開始剤の存在下で行われ、分子量調節剤と
して種々の連鎖移動剤を用いることができる。
【0012】このようにして製造されるエチレン系二元
共重合体は100℃以上の融点を持っており、接着材層
用樹脂組成物の耐熱クリープ特性を向上させるのに大き
な役割を果たす。一般に、融点の高い重合体を樹脂組成
物に配合すれば、樹脂組成物の耐熱クリープ特性を向上
させることができるが、一方において、低温成型時の接
着力を低下させるという欠点を有している。これに対し
て、上記二元共重合体を(A)成分であるエチレン系多
元共重合体に配合した場合には、低温成型時の接着力を
低下させることなく、耐熱クリープ特性を向上させるこ
とができ、この点が本発明の大きな特徴となっている。
その作用機構は必ずしも明らかでないが、上記二元共重
合体が樹脂組成物全体に対する酸無水物基の含有量低下
を抑制するためと推定される。即ち接着材層用樹脂組成
物が低温成型時に優れた接着力を発揮するに際して、
(A)成分であるエチレン系多元共重合体に含まれる多
量の酸無水物基と基材との間の相互作用又は反応が大き
な要因となっているが、上記二元共重合体にも酸無水物
基が含まれているために樹脂組成物全体に対する酸無水
物基の含有量低下を抑制することができ、低温成型時の
接着力低下を防止できると推定される。
【0013】接着材層用樹脂組成物中の(C)成分であ
る共重合ナイロンとしては、各種のものを用いることが
できるが、好ましくは炭素数10以上の高級ナイロン
塩,ω−アミノ酸又はラクタムに由来する構造を含むナ
イロンである。具体的には、例えば、ナイロン6/66
共重合体,ナイロン6/12共重合体,ナイロン6/6
6/610共重合体,ナイロン6/66/12共重合
体,ナイロン6/612/12共重合体,ナイロン6/
610/12共重合体,ナイロン6/66/11共重合
体,ナイロン6/66/610/12共重合体等が挙げ
られる。また、上記以外の(C)成分の例としては、ト
ール油脂肪酸,大豆油脂肪酸等の不飽和脂肪酸を加熱縮
合して得られるダイマー酸とエチレンジアミン,ヘキサ
メチレンジアミン,イソホロンジアミン,キシリレンジ
アミン,4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン,
p,p’−メチレンジアニリン,ピペラジン,トリメチ
ルヘキサメチレンジアミン等のジアミンとの縮重合体等
が挙げられる。この中で特に好ましい共重合ナイロンと
しては、ナイロン6/66/12,ナイロン6/612
/12,トール油脂肪酸等の不飽和脂肪酸を加熱縮合し
て得られるダイマー酸とエチレンジアミン等のジアミン
との縮重合体等が挙げられる。そして、これらの共重合
ナイロンは、一種のみを単独で用いるだけでなく、二種
以上を併用することもできる。
【0014】(C)成分である共重合ナイロンは、20
0℃における粘度が200〜8,000センチポイズ(c
P)の範囲であり、好ましくは300〜7,000cPの
範囲、更に好ましくは500〜6,500cPの範囲であ
る。ここで言う粘度とは、円筒回転式粘度計で測定した
値をいう。この粘度が200cP未満では、接着材層用
樹脂組成物のべたつきや耐熱性の低下を生じ、一方、8,
000cPを超えると、(A)成分又は(B)成分との
相溶性又は混合性が低下し、接着材層用樹脂組成物の製
造が困難になる。また、操作性及び低温接着時の接着性
の観点から、共重合ナイロンの融点又は軟化点は180
℃以下であることが好ましい。
【0015】上記の(C)成分は、積層体を製造する場
合において(A)成分又は(B)成分基づく接着強度を
損なうことなく、従来の接着性樹脂では充分な接着強度
が得られなかった基材に対して高い接着強度を獲得ため
に、又は低温接着時の接着強度を向上させるために配合
される。(A)成分及び(B)成分のみからなる接着材
層用樹脂組成物では、基材の種類や接着温度によっては
積層体の接着強度が充分でない場合があり、そのような
場合には(C)成分を配合することが有効である。この
ような(C)成分の作用の詳細な機構は明らかでない
が、共重合ナイロン中のアミド基が基材と親和性を有
し、適正な粘度条件下において、接着材層用樹脂組成物
中での(C)成分の分散及び接着界面への移行が良好に
行われるためと推定される。
【0016】接着材層用樹脂組成物中の(D)成分であ
る有機カルボン酸の金属塩とは、有機カルボン酸を金属
で完全に又は部分的に中和した形の化合物をいう。上記
の有機カルボン酸としては様々なものを用いることがで
きるが、例えば、ラウリン酸,ミリスチン酸,ステアリ
ン酸,パルミチン酸,デカノイックアシッド,ペンタデ
カノイックアシッド,エイコサノイックアシッド,ドコ
サノイックアシッド,トリコサノイックアシッド,トリ
アコンタノイックアシッド,スベリン酸,アゼライン
酸,セバシン酸,ヘキサデカンジオイックアシッド等の
炭素数10以上(通常は10〜40)の飽和脂肪酸;オ
レイン酸,エルカ酸,リノレイン酸,リノレニン酸,ア
ラキドン酸等の炭素数10以上(通常は10〜40)の
不飽和脂肪酸;エチレンと(メタ)アクリル酸の共重合
体等の高分子カルボン酸を挙げることができる。一方、
有機カルボン酸と共に塩を形成する金属は特に制限を受
けないが、好適には周期表IA族,IIA族又はIIB族に
属する金属が用いられる。(D)成分の中で好ましいも
のとしては、ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナト
リウム,オレイン酸カルシウム,一般にアイオノマーと
称される高分子カルボン酸の金属塩(例えば、エチレン
−(メタ)アクリル酸共重合体のナトリウム化合物又は
亜鉛化合物による部分的中和物)等が挙げられる。これ
らの(D)成分は、一種のみを単独で用いるだけでな
く、二種以上を併用することもできる。
【0017】上記の(D)成分は、本発明の積層体の耐
熱性を向上させるために、又は特殊な基材を使用する積
層体の接着強度を向上させるために配合される。(A)
成分及び(B)成分のみからなる接着材層用樹脂組成物
では、基材の種類や積層体の用途等によっては、耐熱性
等が充分でない場合があり、そのような場合には、
(A)成分との相互作用により高温下での接着材層用樹
脂組成物の接着強度を高める(D)成分を配合すること
が有効である。
【0018】接着材層用樹脂組成物には、前記の
(A),(B),(C)及び(D)の各成分以外にも、
本発明の積層体の特徴を損なわない範囲で、各種の添加
剤,配合剤,充填剤等を配合することができる。具体的
には例えば、酸化防止剤(耐熱安定剤),紫外線吸収剤
(光安定剤),帯電防止剤,防曇剤,難燃剤,滑剤(ス
リップ剤,アンチブロッキング剤),ガラスフィラー等
の無機充填剤,有機充填剤,補強剤,着色剤(染料,顔
料),発泡剤,架橋剤,香料等が挙げられる。これらの
添加剤等は、接着材層用樹脂組成物を製造する際に添加
してもよいし、(A),(B),(C)又は(D)成分
に初めから添加されていてもよい。
【0019】接着材層用樹脂組成物は、(A)成分及び
(B)成分を一定範囲の比率で配合することによって得
られる。両成分の配合比率は、接着材層用樹脂組成物の
全量に対して、(A)成分が70〜99重量%、好まし
くは72〜97重量%、更に好ましくは75〜95重量
%であり、一方(B)成分が30〜1重量%、好ましく
は28〜3重量%、更に好ましくは25〜5重量%であ
る。ここで(A)成分が70重量%未満の場合又は
(B)成分が30重量%を超える場合には、接着強度が
不足する。一方、(A)成分が99重量%を超える場合
又は(B)成分が1重量%未満の場合には、良好な耐熱
クリープ性が得られないため実用に耐えない。(C)成
分及び(D)成分の配合比率は、製造すべき本発明の積
層体の要求特性に応じて変えることができるが、一般的
には、本発明の積層体の接着強度を確保する観点から、
(C)成分及び(D)成分の合計量が接着材層用樹脂組
成物の50重量%以下とするのが好ましい。なお、
(C)成分及び(D)成分は、それぞれ二種類以上を併
用することもできる。
【0020】接着材層用樹脂組成物は、前記の(A)成
分及び(B)成分を各配合比率に従って混合することに
よって調製される。また接着材層用樹脂組成物は、
(A)成分及び(B)成分の他に、必要に応じて(C)
成分,(D)成分又はその他の成分を混合することによ
っても調製される。各成分の混合にあたっては、通常知
られている種々の方法を用いることができる。具体的に
は例えば、各成分を高温のトルエンのような溶媒に溶
解、再沈させる方法、各成分を溶融状態で混合する方
法、すなわち一般的に用いられている加圧ニーダー,ロ
ール,バンバリーミキサー,スタティックミキサー,ス
クリュー式押出機を用いる方法等が挙げられる。また、
場合によっては、各成分をドライブレンドし成形時に組
成物化することもできる。
【0021】本発明の積層体の基材層を構成する基材と
しては、製造すべき積層体の用途等に応じて、従来から
知られている様々な基材(布地を除く)を使用すること
ができる。従って本発明は、広範な分野に接着強度の優
れた積層体を提供することができ、この点が本発明の特
徴の一つとなっている。ここで使用可能な基材として
は、例えば、上質紙,クラフト紙,グラシン紙,和紙,
ダンボール原紙,合成紙,アート紙,コート紙等の各種
紙類;木板;鉄,アルミニウム,銅,ブリキ等の各種金
属板又は箔;ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチ
レン,ポリエステル,ナイロン,ポリカーボネート,ア
クリル樹脂,フェノール樹脂,ポリウレタン等の各種プ
ラスチックにより形成された板,成形品,フィルム又は
発泡体;ガラス繊維,セラミックス等の各種無機物等を
挙げることができる。また、これらの基材は必要に応じ
て、表面処理、コーティング、印刷等が施されていても
差し支えない。
【0022】本発明の積層体は、任意に選ばれた一の基
材の片面上又は両面上に接着材層用樹脂組成物を積層す
るか、或いは、任意に選ばれた二以上の基材を接着材層
用樹脂組成物で接着することにより製造できる。製造に
際しては、従来から知られている様々な成形方法を適用
できる。前者の積層体の場合には、例えば、接着材層用
樹脂組成物をインフレーション成形又はTダイ成形等す
ることによって得たフィルムを基材に熱ロールラミネー
ト成形する方法;基材に接着材層用樹脂組成物を押出し
ラミネート成形によってコーティングする方法;接着材
層用樹脂組成物を、粉体接着剤として基材上に振りかけ
て使用する方法等が挙げられる。また、後者の積層体の
場合には、例えば、上記のフィルムを基材間に挟み熱接
着させる方法;熱ロールラミネート成形又は押出しラミ
ネート成形して得た上記の積層体の接着材層側を、更に
他の基材に熱プレス又は熱ロールで加熱圧着する方法等
が挙げられる。ここで前者の積層体は、接着材層が積層
体の表面に存在することから、後者の積層体を製造する
際の中間体として使用されるだけでなく、基材以外の物
品,構造物等、例えば、家具,外壁等に接着可能な積層
体として各種の分野に使用することができる。なお、本
発明の積層体には、接着材層用樹脂組成物を使用しない
接着材層を介して、或いは接着材層を介さずに、更に基
材層を積層することもできる。
【0023】本発明の積層体を製造する際の接着温度及
び接着圧力は、基材の種類,接着材層用樹脂組成物の組
成,成形条件等を考慮し適宜選択できる。接着温度につ
いては、接着材層用樹脂組成物の軟化点以上で、かつ基
材に影響を及ぼさない温度以下の範囲とする必要がある
が、本発明の積層体の接着材層を構成する接着材層用樹
脂組成物は60〜130℃程度の比較的低い融点を有し
ており、接着温度を低く抑えることができる。また接着
圧力についても、本発明の積層体の接着材層を構成する
接着材層用樹脂組成物は0.01〜0.8kg/cm2 程度
の比較的低い圧力で強力な接着が可能である。このため
基材(特に表皮材)の風合い,感触等を損なうことなく
積層体を製造できる。更に、このような低温,低圧成形
により得られた積層体は接着強度及び耐熱クリープ性も
良好であり、広い温度範囲で亀裂,反り,剥離,クリー
プ等の変形を殆ど生じない。
【0024】本発明の積層体の各層(基材層及び接着材
層)の厚さは、基材の種類,接着材層用樹脂組成物の組
成,積層体の用途,積層体に要求される物性等の諸条件
に応じて適宜選択できる。接着材層の厚さについては、
一般に、10〜200μmの範囲であり、好ましくは2
0〜100μmの範囲である。ここで、10μm未満で
は充分な接着強度が得られない場合があり、一方、20
0μmを超えると熱伝導性の低下により充分な接着強度
が得られない場合があり、いずれも好ましくなく、実用
的でない。
【0025】本発明の積層体は、上述のように低温,低
圧で製造することができると共に、そのような製造条件
であっても良好な接着強度及び耐熱クリープ性を有す
る。従って本発明の積層体は、基材として表皮材及び基
板材を使用することにより、特に、低温,低圧で接着し
た場合の接着強度及び高温下での耐熱クリープ性が要求
される自動車,住居等の内装用材料として、好適に使用
することができる。この点も本発明の特徴の一つであ
る。ここで、使用可能な表皮材及び基板材に特に制限は
なく、現在一般に自動車,車両,船舶,住居等の内装用
材料に用いられている種々の材料に適用することができ
る。例えば、表皮材としては、ポリエステル不織布,起
毛ニット,ファブリック,スウェード調合成皮革,塩化
ビニル(塩ビ)レザー,ポリウレタンレザー,ポリプロ
ピレン系熱可塑性エラストマーあるいはクッション性を
与えるためにこれらの材料に発泡ウレタン,発泡ポリプ
ロピレン,発泡ポリエチレン,発泡ポリビニリデン等の
発泡体を貼り合わせたもの等が挙げられる。一方、基板
材としては、例えば、レジンフェルト,レジンウッド,
ガラス繊維入りフェノール樹脂板,段ボール,ポリプロ
ピレンハニカム,ポリスチレンフォーム,ガラス繊維強
化ポリプロピレン板あるいはこれらの材料に不織布を貼
り合わせたもの、更にはハードボード,ガラス強化ウレ
タン,メタルラス/ポリエチレンフォーム,ハイインパ
クトポリスチレエン(HIPS)フォーム/HIPSシ
ート,プラスチック/段ボール,フェノール含浸機械パ
ルプ(RMP)マット,プラスチックボード(アクリロ
ニトリル−エチレンプロピレンジエンターポリマー−ス
チレン樹脂(AES)ボード,アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン樹脂(ABS)ボード,ガラス繊維強
化ABS(ABSG)ボード,ガラス繊維強化アクリロ
ニトリル−スチレン樹脂(ASG)ボード,ポリ塩化ビ
ニル(PVC)ボード,ポリプロピレン(PP)ボー
ド,熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマ
ー,ABSブレンド半硬質PVC等)及びこれらにアン
カーコート剤を塗布したもの等が挙げられる。
【0026】上記の内装用材料を製造する場合にも、内
装用材料以外の本発明の積層体を製造する場合と同様
に、従来から知られている様々な成形方法を適用でき
る。例えば、基板材を所定の温度に加熱し、真空成形機
にセットし、この上にインフレーション成形又はTダイ
成形等によってフィルム化した接着材層用樹脂組成物を
置き、次いで予め所定の温度に加熱した表皮材を重ねて
真空圧着する方法;表皮材と基板材の間に上記のフィル
ムを挟み、熱プレスする方法;表皮材に接着材層用樹脂
組成物を押出しラミネート成形によってコーティングし
て得た積層体の接着材層側を、更に基板材に熱プレス又
は熱ロールで加熱圧着する方法;接着材層用樹脂組成物
を粉末にし、熱プレス上に置いた基板材に振りかけ、そ
の上に表皮材を熱プレスする方法;更には、表皮材の接
着側に上記のフィルムを予め熱ロールラミネートして得
た積層体を、更に基板材に熱プレス又は熱ロールで加熱
圧着する方法等が挙げられる。
【0027】
【実施例】更に、本発明を参考例,比較参考例,実施例
及び比較例によって、具体的に説明する。なお、参考例
とは、実施例で開示された本発明の積層体に使用された
接着材層用樹脂組成物の製造例であり、一方、比較参考
例とは、比較例で示された積層体に使用された樹脂組成
物の製造例である。 参考例1 エチレン系多元共重合体(A)として、エチレン−無水
マレイン酸−メタクリル酸メチル三元共重合体を用い
た。この三元共重合体(以下「三元共重合体(a)」と
言う。)は高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を
利用し、重合温度200℃,重合圧力1,800kg/c
2 の条件で製造した。この三元共重合体(a)のMF
R(JIS−K7210,表1,条件4、以下MFRは
全てこの条件を使用。)は15g/10分、無水マレイ
ン酸に由来する単位の割合は2.2重量%、メタクリル酸
メチルに由来する単位の割合は16重量%であった。な
お、コモノマーの組成は赤外吸収スペクトルにより決定
した。また、エチレン系二元共重合体(B)としては、
エチレン−無水マレイン酸二元共重合体を用いた。この
二元共重合体(以下「二元共重合体(a)」と言う。)
は高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を利用し、
重合温度195℃,重合圧力1,900kg/cm2 の条
件で製造した。この二元共重合体(a)のMFRは10
g/10分、無水マレイン酸に由来する単位の割合は2.
0重量%であった。なお、コモノマーの組成は赤外吸収
スペクトルにより決定した。上記2成分の重量比( (A)
/(B) )を80/20とし、この(A)成分及び(B)の
合計量に対し、添加剤として珪酸マグネシウム0.2重量
%、エルカ酸アミド0.2重量%をタンブラーでドライブ
レンドした後、65mmφ単軸押出機を用い170℃で
溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0028】参考例2 エチレン系多元共重合体(A)として三元共重合体
(a)を使用し、エチレン系二元共重合体(B)として
二元共重合体(a)を使用した。また、共重合ナイロン
(C)として、富士化成工業(株)製トーマイド#13
50を使用した。これは、トール油脂肪酸等の不飽和脂
肪酸を加熱縮合して得られるダイマー酸とエチレンジア
ミン等のジアミンとの縮重合体であり、200℃におけ
る粘度は2,900cP、軟化点は150℃であった。上
記3成分の重量比( (A)/(B)/(C) )を75/15/10
とし、参考例1と同様に操作して樹脂組成物のペレット
を得た。
【0029】参考例3 エチレン系多元共重合体(A)として三元共重合体
(a)を使用し、エチレン系二元共重合体(B)として
二元共重合体(a)を使用し、共重合ナイロン(C)と
して富士化成工業(株)製トーマイド#1350を使用
し、有機カルボン酸の金属塩(D)としてアイオノマー
(a)を使用した。このアイオノマー(a)は、エチレ
ン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量20重
量%)を、水:メタノール=1:1の溶媒中で50℃,
2時間,酢酸ナトリウムによって処理し、55モル%中
和して製造した。上記4成分の重量比( (A)/(B)/(C)/
(D) )を70/10/10/10とし、参考例1と同様
に操作して樹脂組成物のペレットを得た。
【0030】比較参考例1 二元共重合体(a)を配合しなかったこと以外は、参考
例1と同様に操作し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0031】比較参考例2 三元共重合体(a)を配合しなかったこと以外は、参考
例1と同様に操作し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0032】実施例1 参考例1で得られたペレットをインフレーションフィル
ム成形機で厚さ50μmのフィルムにした。このフィル
ムを接着材層として用い、実際に自動車用内装材料に用
いられている表皮材及び基板材を接着し、その接着性を
試験した。表皮材は厚さ0.2mmのポリ塩化ビニルレザ
ーを貼った厚さ2mmの発泡ポリプロピレン(PVCレ
ザー/PPF)を使用し、基板材は厚さ3mmのレジン
フェルト(RF)を使用した。接着は120℃,実質面
圧2kg/cm2 ,20秒の条件で熱プレスして行っ
た。接着後、30℃で4分間冷却し、25mm幅の試験
片に切断し、引張試験機を用いて常温(25℃)におけ
る180°剥離試験を実施した。原則として剥離時の接
着強度(kg/25mm幅)を測定したが、剥離前に表皮材
又は基板材が材料破壊した場合には、破壊時の強度を測
定した。更に、途中まで剥離した試験片に100gの荷
重をつり下げ、80℃雰囲気に24時間放置した場合の
剥離距離(mm)を測定し、耐熱クリープ性の目安とし
た。なお、接着強度の値は試験片5個の平均値(最大、
最小2点カット)、また耐熱クリープ性は試験片3個の
平均値である。結果を第1表に示す。
【0033】実施例2〜3 第1表に示したように、接着材層として実施例1のフィ
ルムを使用し、表皮材及び基板材の種類を変えた以外は
実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0034】実施例4 接着材層として実施例1で得られたフィルムを用い、表
皮材は厚さ0.2mmのポリ塩化ビニルレザーを貼った厚
さ2mmの発泡ポリプロピレン(PVCレザー/PP
F)を使用し、基板材はアンカーコート剤を塗布した厚
さ2mmのポリプロピレン板(PP)使用した。接着
は、先ず130℃に加熱したテフロンコートロールで表
皮とフィルムを挟み、5m/分のスピードで熱ロールラ
ミネート処理して、これらを貼り合わせた。次に、基板
材を80℃に3分間加熱し、表皮は120℃に加熱し、
真空接着法で接着した。この積層体について実施例1と
同様の方法で接着性を試験した。結果を第1表に示す。
【0035】実施例5 第1表に示したように、接着材層として実施例1のフィ
ルムを使用し、表皮材及び基板材の種類を変えた以外は
実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0036】実施例6〜7 第1表に示したように、接着材層用樹脂組成物として参
考例2の樹脂組成物を使用し、実施例1と同様に操作し
て接着材層用のフィルムを得た。次いで、表皮材及び基
板材の種類を変え、実施例1と同様に操作し、接着性を
試験した。結果を第1表に示す。
【0037】実施例8〜10 第1表に示したように、接着材層用樹脂組成物として参
考例3の樹脂組成物を使用し、実施例1と同様に操作し
て接着材層用のフィルムを得た。次いで、表皮材及び基
板材の種類を変え、実施例1と同様に操作し、接着性を
試験した。結果を第1表に示す。
【0038】実施例11 第1表に示したように、接着材層として実施例8のフィ
ルムを使用し、表皮材及び基板材の種類を変え、実施例
4と同様の方法で真空接着し、次いで実施例1と同様の
方法で接着性を試験した。結果を第1表に示す。
【0039】実施例12 第1表に示したように、接着材層として実施例8のフィ
ルムを使用し、表皮材及び基板材の種類を変えた以外は
実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0040】比較例1〜2 比較参考例1で得られたペレットから、実施例1と同様
の方法でフィルムを製造した。このフィルムを接着材層
として用い、第1表に示したように、表皮材及び基板材
の種類を変え、実施例1と同様に操作した。結果を第1
表に示す。
【0041】比較例3〜4 比較参考例2で得られたペレットから、実施例1と同様
の方法でフィルムを製造した。このフィルムを接着材層
として用い、第1表に示したように、表皮材及び基板材
の種類を変え、実施例1と同様に操作した。結果を第1
表に示す。
【0042】
【表1】
【0043】*1 PVCレザー:厚さ0.2mmのポリ
塩化ビニルレザー *2 PPF:厚さ2mmの発泡ポリプロピレン *3 PET不織布:厚さ2mmのポリエチレンテレフ
タレート系の不織布 *4 SBRコート:スチレンブタジエンゴム系接着剤 *5 PUF:厚さ2mmの発泡ウレタン *6 RF:厚さ3mmのレジンフェルト *7 GFP:厚さ3mmのグラスファイバーフェノー
ル板 *8 PP:アンカーコート剤を塗布した厚さ2mmの
ポリプロピレン板
【0044】
【表2】
【0045】第1表に示された接着性試験の結果を見る
と、実施例1の積層体の場合、接着界面が全く剥離せ
ず、基材の材料破壊が起こった。破壊時の接着強度は2.
5kg/25mm幅だった。本発明の積層体は、種々の
基材(表皮材及び基板材を含む)及び接着材層用樹脂組
成物を組み合わせた場合も接着界面は全く剥離せず、基
材の材料破壊が起こり、良好な常温時接着強度及び耐熱
クリープ性が認められた(実施例2〜12)。これらの結
果から、本発明の積層体は、従来は充分な接着強度が得
られなかった発泡ウレタン系基材やポリプロピレン射出
成形板を含め、基材の種類を問わずに優れた接着強度及
び耐熱性を有することがわかる。また、本発明の積層体
は、塩化ビニルレザー(塩ビレザー)を貼った表皮材を
使用する場合(実施例1,4〜6,8,11,12 )に塩ビ
レザー特有の模様をおかすことなく保て、表皮材の損傷
を招くことなく製造できた。更に、接着作業は非常に容
易かつ衛生的であり作業性の点でも良好であった。一
方、比較例1及び2の積層体の場合(比較参考例1の樹
脂組成物を使用)、接着強度は比較的良好であったが、
耐熱クリープ性が大幅に劣っており、自動車等の内装用
材料として使用するには問題が大きい。また、比較例3
及び4の積層体の場合(比較参考例2の樹脂組成物を使
用)には、耐熱クリープ性の測定以前に、接着強度が全
く不充分であり、実用に耐えるものではなかった。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明の積層体は、基材
の種類を問わず優れた接着強度を有することから、広範
な分野で好適に使用することができる。また、表皮材を
損傷させることなく低温,低圧で製造できるため表皮材
の風合いを損なわず審美性に優れている点、及び、常温
から高温に至る広い温度範囲において高い接着強度を有
するため変形等を生じず、耐熱クリープ性に優れている
点から、特に自動車,住居等の内装用材料として好適に
使用することができるものである。しかも、製造時に有
機溶剤を使用する必要がなく、また作業工程が簡単なこ
とから、製造工程上の問題も生じない。更に、本発明の
積層体に使用される接着材層用樹脂組成物は、従来の接
着性樹脂と同様の方法、設備を用いて製造できることか
ら、比較的安価かつ容易に製造することができる。従っ
て、本発明の積層体は、自動車,住居等の内装用材料を
始めとする各種の分野で有効に利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田越 宏孝 大分県大分市大字中ノ洲2番地 昭和電工 株式会社大分研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材層(布地を除く)及び接着材層を有
    し、該接着材層が、(A)エチレンとラジカル重合性酸
    無水物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからな
    るエチレン系多元共重合体であって、該多元共重合体中
    のラジカル重合性酸無水物に由来する単位の割合が0.1
    〜5重量%で、これ以外のラジカル重合性コモノマーに
    由来する単位の割合が3〜50重量%であるエチレン系
    多元共重合体70〜99重量%及び(B)エチレンとラ
    ジカル重合性酸無水物とからなるエチレン系二元共重合
    体であって、該二元共重合体中のラジカル重合性酸無水
    物に由来する単位の割合が0.1〜10重量%であるエチ
    レン系二元共重合体30〜1重量%を含有する樹脂組成
    物からなることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 接着材層を構成する樹脂組成物が、更に
    (C)200℃における粘度が200〜8,000センチ
    ポイズ(cP)である共重合ナイロンを含有する請求項
    1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 接着材層を構成する樹脂組成物が、更に
    (C)200℃における粘度が200〜8,000センチ
    ポイズ(cP)である共重合ナイロン及び(D)有機カ
    ルボン酸の金属塩を含有する請求項1記載の積層体。
  4. 【請求項4】 少なくとも二層の基材層及び一層の接着
    材層を有し、接着材層を介して基材層を接着した構成で
    ある請求項1から3いずれかに記載の積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE4015706A1 (de) * 1990-05-16 1991-11-21 Santrade Ltd Doppelbandpresse
JP2008508403A (ja) * 2004-07-29 2008-03-21 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 高度に官能化されたエチレンコポリマーから誘導された接着剤組成物
JP2008524365A (ja) * 2004-12-16 2008-07-10 アルケマ フランス エチレンコポリマーをベースにした押出し被覆および押出ラミネーションで有用な各種支持体用接着剤組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE4015706A1 (de) * 1990-05-16 1991-11-21 Santrade Ltd Doppelbandpresse
JP2008508403A (ja) * 2004-07-29 2008-03-21 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 高度に官能化されたエチレンコポリマーから誘導された接着剤組成物
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