JPH06236823A - 磁気回路部品の製造方法とその成形金型 - Google Patents

磁気回路部品の製造方法とその成形金型

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JPH06236823A
JPH06236823A JP2425893A JP2425893A JPH06236823A JP H06236823 A JPH06236823 A JP H06236823A JP 2425893 A JP2425893 A JP 2425893A JP 2425893 A JP2425893 A JP 2425893A JP H06236823 A JPH06236823 A JP H06236823A
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JP
Japan
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ring
shaped magnet
punch
holder
magnetic yoke
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Application number
JP2425893A
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English (en)
Inventor
Seiji Kojima
清司 小嶋
Koji Ueda
浩司 植田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スピーカ等に使用されるリング状磁石とその
内側に置かれるセンター磁気ヨークとを一体成形する磁
気回路部品の製造方法において、成形毎に金型の分解組
み立てを必要としないようにする。 【構成】 組み立てられた成形金型に対して、リング状
磁石1を下から装填して保持し、磁気ヨーク材料(コン
パウンド)12を上から投入して、その後加圧し一体成形
して、一体成形品を成形金型の下に移動して取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スピーカやモータなど
に用いられる永久磁石と磁気ヨークとからなる磁気回路
部品の製造方法とその成形金型に関するものであり、特
にリング状磁石とセンター磁気ヨークとの一体成形に関
する。
【0002】
【従来の技術】リング状磁石を用いた磁気回路部品は、
これまで主としてモータのロータなどに用いられてきて
いる。多くの場合、リング状磁石は3分割から6分割さ
れた瓦状の磁石を、例えば回転軸の磁気ヨーク部に接着
剤を用いて貼り合わせていた。
【0003】このように、リング状磁石の内側にあって
リング状磁石の内周面に接し、リング状磁石から出る磁
場を通す磁気回路部分となるところをセンター磁気ヨー
クと以下称する。上述の回転軸の磁気ヨーク部もセンタ
ー磁気ヨークの範疇に入る。
【0004】リング状の焼結磁石は、その使用方法から
半径方向の異方性化した、いわゆるラジアル配向磁石が
求められていたが、これまでバリウムフェライト磁石で
は、配向方向(半径方向)とこの配向方向に垂直の方向
(周方向)での熱膨張率の違いから焼結時にクラックが入
りやすく、クラックなしにラジアル配向磁石を作ること
は難しく、あまり用いられていなかった。
【0005】数年前に開発されたネオジム鉄ボロン系磁
石は、機械的強度が上述のバリウムフェライト磁石より
大きいことから、焼結時の熱収縮差によって生じる内部
応力に材料自体が打ち勝つことができ、クラックなしの
ラジアル配向磁石が作られるようになった。しかしなが
ら、焼結体であるため焼結時に不均一な焼き締まりがあ
り、リング形状の寸法精度が悪いため、研磨加工で寸法
精度を出した上でセンター磁気ヨークと貼り合わせてい
た。
【0006】以上のように、リング状の焼結磁石はセン
ター磁気ヨークと接着剤で貼り合わされる場合がほとん
どであるが、それ以外に一体成形する方法が提案されて
いる(特開平4−115699号公開公報参照)。この方法は、
センター磁気ヨークとして磁性粉末とバインダーとを混
合または混練したものである。即ちコンパウンドと称さ
れている粉末状のものを加圧成形して作った成形体を用
いるものであり、その加圧成形の際に磁石の外径寸法に
あった成形金型を使用し、リング状磁石がその内側のセ
ンター磁気ヨークの成形体から受ける圧力を成形金型で
支えて一体成形する方法である。
【0007】しかしこの方法では、ネオジム鉄ボロン系
の焼結磁石の場合、他の焼結磁石に比べれば機械的強度
が強いとはいえ、まだ十分ではなく、成形圧力は少なく
とも30kgf/mm2はあるので、リング状磁石にその内側か
ら半径方向に加わる圧力は相当なものであるネオジム鉄
ボロン系の焼結磁石の引張強度は8.0kgf/mm2と弱く、ま
たリング状磁石の外径寸法精度は少なくとも±20μmは
必要とするので、リング状磁石の外径寸法と成形金型の
内径寸法との差、即ちクリアランスは多くの場合、生じ
ることになる。ここで、ネオジム鉄ボロン系の焼結磁石
のヤング率1.6×104kgf/mm2からすると破断時の伸びの
大きさは0.5×10~3と小さく直径25mmのリング状磁石の
場合、12.5μmとなり、クリアランスより小さくリング
状磁石が内圧で膨れて成形金型の内周面に達する前に破
断することになる。実際に成形金型でリング状磁石を支
える方法で一体成形したところでは一体成形されたリン
グ状磁石の80〜90%でクラックが発生した。
【0008】本発明者は、これらの課題を解決してリン
グ状磁石とセンター磁気ヨークとを一体成形する方法を
開発し出願した(特願平4−121605号)。
【0009】この一体成形の方法は、一例として図6の
その模式断面図に示すような成形方法である。図6で中
心の1点鎖線から右側は成形前の状態を、左側は成形後
の状態を示す。この場合、まずリング状磁石1を、下ポ
ンチ28を内包した下ダイス24の中央部分の突起部24aに
置き、次に2つ以上に分割され外周部にテーパ部25aを
有するリングホルダー25をリング状磁石1の外周部分を
囲んで置く。次にリングホルダー25の外周部にテーパ部
25aと同じ勾配のテーパ部26aを内周側に有する円筒状の
リングホルダー押さえ26をリングホルダー25の外側のテ
ーパ部25aの部分で接して置く。
【0010】次に上ダイス27をリングホルダー押さえ26
の内周部26bに嵌め込んでリング状磁石1とリングホル
ダー25の上に置く。この状態で磁気ヨーク材料(コンパ
ウンド)12をこれら金型内の空間に投入し、上ポンチ29
を上ダイス27の内周部27aに差し込む。次にスプリング3
0をリングホルダー押さえ26の上に置いて成形の準備は
完了する。成形は油圧プレスの上ラム34を下降させてス
プリング30を押しながら上ポンチ29を押す。
【0011】ここで、下ポンチ28は固定されており、架
台32はフローティングダイ方式で上ラム34の圧力を受け
てわずか下方向に沈むようにしておく。沈む距離は下ポ
ンチ28の上面28aがリング状磁石1の図5の下面1aと同
じ位置になるところまでになるように設定しておく。ス
プリング30の圧縮圧力がリングホルダー押さえ26に伝わ
り、テーパ部26a,25aを介してリングホルダー25を内側
に押し、リング状磁石1は外周部から半径方向に内側に
加圧され、磁気ヨーク材料12からの圧力に対抗する。
【0012】このとき、スプリング30の種類と圧縮量を
制御することによって一体成形圧力と対抗できてリング
状磁石1にクラックを発生させないでリング状磁石1と
センター磁気ヨーク2とを一体成形する。その後、上ラ
ム34を上昇させて圧力を抜き、スプリング30と下ダイス
24および下ポンチ28を外し、上ダイス27を支えてリング
ホルダー押さえ26を外してリングホルダー25を取り去
り、上ダイス27を支えて上ポンチ29を加圧し、上ダイス
27から一体成形品を取り出す。次に熱硬化処理を施して
磁気ヨーク材料中の有機バインダーを硬化させてリング
状磁石1とセンター磁気ヨーク2とが一体成形された図
5に例示するような磁気回路部品ができあがる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、リン
グ状磁石とセンター磁気ヨークとを一体成形する方法は
焼結磁石の場合、焼結時に不均一な焼き締まりがあり、
リング状磁石1の寸法精度が悪い。そのためセンター磁
気ヨーク2と接着して使うには、貼り合わせる面に磁気
抵抗となる隙間を作らないためにリング状磁石1の内周
面1cを研磨加工する必要が出てくる。外周面1bの加工
は比較的簡単でコストもかからないが、内周面1cの研
磨は小型の砥石を頻繁に取り替えねばならず、このため
コストがかかって磁石単価を大幅に押し上げており、大
きな課題となっていた。また貼り合わせによってリング
状磁石1の外周面1bの寸法精度や軸中心を合わせるの
は困難なことであり、できれば接着工程をなくしたいと
いう要求が高かった。
【0014】これに対して上述のリング状磁石1とその
内側のセンター磁気ヨーク2とを一体成形する方法で
は、リング状磁石1の内周面1cは焼結状態のまま使う
ことができ接着工程も省くことができる。一体成形のう
ちで、はじめに記載した成形金型の内周面でリング状磁
石を支える方法ではクラックの発生が十分に抑えること
はできないが、本発明者が開発し提案している方法、即
ち、リング状磁石の外周面1b側から半径方向に圧力を
加えながら磁気ヨーク材料を加圧成形してリング状磁石
1とセンター磁気ヨーク2とを一体成形する方法では、
リング状磁石1にクラックが発生することなく一体成形
の磁気回路部品を作ることができる。
【0015】しかしながら、この方法においては、リン
グ状磁石1と磁気ヨーク材料(コンパウンド)12の投入か
ら一体成形品の取り出しまでの一連の製造工程のなか
で、成形毎に金型の分解や組み立てを必要とし、繁雑で
製造に時間がかかり、そのため製造工程の簡素化と時間
短縮が大きな課題となっていた。
【0016】本発明はこのような課題を解決し、成形毎
に金型の分解組み立てを必要としない、リング状磁石と
その内側に配置したセンター磁気ヨークとを一体成形す
る磁気回路部品の製造方法および成形金型を提供するこ
とを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、本発明の製造方法は、金型の下方向からリン
グ状磁石を前記金型の内部に装填して保持し、磁気ヨー
ク材料を前記金型の上部から前記金型の内部に投入し
て、加圧成形し、前記リング状磁石とセンター磁気ヨー
クとの一体成形品を前記金型の下方向に移動して取り出
すことを特徴とする。
【0018】そして、上記製造方法の各工程は次によ
る。
【0019】リング状磁石をリングポンチの上端部に置
き、組み合わされた金型が固定されている架台を降下
し、前記リングポンチを押し上げて前記リング状磁石を
リングホルダーの内側でかつ上ダイスの底端部に押し付
けて保持する工程と、前記上ダイスと前記リング状磁石
と前記リングポンチのそれぞれの内周面と下ポンチの端
面とで構成される空間部分に前記上ダイスの上方から磁
気ヨーク材料を投入する工程と、前記リングホルダーの
外周部のテーパ面と相接する内周部のテーパ面を有する
円筒状のリングホルダー押さえの上部を加圧して前記リ
ングホルダーを介して前記リング状磁石の外周部から半
径方向に圧力を加えながら、前記磁気ヨーク材料を軸方
向に上ポンチと前記下ポンチで加圧成形して前記リング
状磁石とセンター磁気ヨークとを一体成形とする工程
と、前記リングホルダー押さえの下部を上方向に加圧し
て前記リングホルダーとのテーパ面での噛み合いを開放
して前記リング状磁石の外周部を前記リングホルダーの
内周面から開放し、前記上ポンチで一体成形品を押さえ
た状態で前記架台を上昇させてセンター磁気ヨークを上
ダイスから外し、次に前記上ポンチを上昇させて前記リ
ング状磁石とセンター磁気ヨークとの一体成形品を取り
出す工程とからなる。
【0020】また、本発明の製造方法に用いられる成型
金型は、油圧により上下に稼働する架台に固定された中
心軸方向に円穴を有する下ダイスと、周方向に2つ以上
に分割され外周部にテーパを設けたリング状からなり前
記下ダイスの上面に互いに中心軸を一致させるように配
置して半径方向に移動するリングホルダーと、前記リン
グホルダーの外側に配置され内周部に前記テーパと同じ
傾きのテーパを有する円筒状のリングホルダー押さえ
と、前記リングホルダー押さえの内周部に外周部が当接
し底端部が前記リングホルダーの上面と接し前記架台に
固定された円筒状の上ダイスと、油圧プレスの固定台に
固定された下ポンチと、前記下ポンチに内周部を接して
配置され圧力によって上下に稼働するリングポンチと、
油圧プレスと上ラムに固定され上下に稼働する上ポンチ
とからなることを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明によれば、1回の成形毎に組み合わされ
た金型を分解したり組み合わせたりすることなく、リン
グ状磁石を供給して金型内に嵌め込んで保持し、磁気ヨ
ーク材料を上部から供給して、リングホルダー押さえを
加圧してリングホルダーを介してリング状磁石をその外
周面から加圧しながら上ポンチで磁気ヨーク材料(コン
パウンド)を加圧しさらに金型を降下させることによ
り、上下両方向から加圧した状態にしてリング状磁石と
センター磁気ヨークとを一体成形し、その後、一体成形
品を上ポンチで押さえながらリングホルダー押さえを上
に押し上げてテーパ面での噛み合いを外す。
【0022】そしてリング状磁石を外周面で加圧するの
を止めてその状態で金型を引き上げてセンター磁気ヨー
クを上ダイスから押し出して離し、上ポンチを上げて一
体成形品を取り出すことができる。
【0023】この一連の動作を繰り返すことにより、リ
ング状磁石にクラックを発生させることなく、リング状
磁石とセンター磁気ヨークとを一体成形した磁気回路部
品を短時間に容易に製造することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。図1ないし図4は本発明の一実施
例における磁気回路部品の成形方法の各工程と成形金型
を説明する模式断面図、図5はその成形方法により作成
したスピーカの磁気回路部品の模式断面図である。
【0025】まず図5に示すスピーカの磁気回路部品に
おいて、1は磁化容易軸が半径方向に配向したいわゆる
ラジアル配向磁石からなるリング状磁石、2はこのリン
グ状磁石1に内接する段付き円柱形状のセンター磁気ヨ
ーク、3はセンター磁気ヨーク2の端面に内側底面が接
着固定された円筒コップ状のアウター磁気ヨークで、こ
のアウター磁気ヨーク3の端部とリング状磁石1の外周
面1bとでスピーカのボイスコイルを挿入する磁気ギャ
ップMGが構成されている。
【0026】次に、リング状磁石1とセンター磁気ヨー
ク2とを一体成形する際に用いる成形金型について説明
する。図1において、11は油圧により矢印G−H方向の
上下に稼働する架台で、この上に組み合わされた金型が
固定される。普通フローティングダイ方式ではこの架台
11が上ポンチ9による加圧に応じて降下し、あたかも下
ポンチ8が上昇して加圧したかのように両方向からの加
圧成形を実現する。4は下ダイスで前記架台11に固定さ
れた中心軸方向に円穴を有し、4aはその上面である。
5はリングホルダーで、周方向に2つ以上に分割され外
周部にテーパ部5aを設けたリング状からなり、前記下
ダイス4の上面4aにリングホルダー5の下面5bを載置
し、かつリングホルダー5と下ダイス4が互いに中心軸
を一致させるように配置して半径方向に移動する。なお
5cはリングホルダー5の上面、5dは内周面である。6
はリングホルダー押さえで、前記リングホルダー5の外
側に配置され内周部に前記テーパ部5aと同じ傾きのテ
ーパ部6aを有し円筒状を形成し、6bは内周部、6cは
上面、6dは下面である。7は上ダイスで、前記リング
ホルダー押さえ6の内周部6bに外周部7aが当接し底端
部7bが前記リングホルダー5の上面5cと接し前記架台
11に固定されている。8は下ポンチで油圧プレスの固定
台8Aに固定されており、8aは外周部、8bは上面であ
る。
【0027】9は上ポンチで、図示せざる油圧プレスの
上ラムに固定されて矢印A−B方向の上下に稼働する。
10はリングポンチで前記下ポンチ8の外周部8aに内周
部10bを接して配置され圧力によって矢印C−D方向の
上下に稼働するものであり、10aは上面である。
【0028】この成形金型に関連して、リングホルダー
押さえ6を矢印E−F方向の上下に加圧する図示せざる
加圧発生機器は架台11に固定され、架台11の矢印G−H
方向の上下の動きとは独立に圧力を発生することができ
ることが望ましい。しかしながらプレス機のスペースの
関係で架台11が取りつけられないときには図示せざる上
ラムと下の固定台8Aに分割して固定しても差し支えな
い。またリングポンチ10を矢印C−D方向の上下へ稼働
させる図示せざる加圧発生機器は下ポンチ8が固定され
ているのと同じ固定台8Aに固定されていて、架台11と
ともに下降するときは一定圧力を発生した状態を保持す
ることができるようにしてある。
【0029】次に成形方法について図1ないし図4によ
り説明する。図1はリング状磁石1を金型内に装填した
状態を示し、図1において、一体成形された成形品を取
り出した後に下ポンチ8とリングポンチ10の各上面8b
と10aは一致した状態にあり、そこへ成形品の取り出し
と同時にリング状磁石1を置く。リングポンチ10はリン
グ状磁石1を乗せた状態で矢印C方向へ上昇し、同時に
金型が固定されている架台11が矢印H方向へ降下し、リ
ング状磁石1はリングホルダー5の内側に嵌め込まれ上
ダイス7の底端部7bに押しつけられて保持される。リ
ングポンチ10が下ポンチ8に対して上昇する距離は磁気
ヨーク材料(コンパウンド)12を充填する量によって決め
られる。
【0030】図2は磁気ヨーク材料(コンパウンド)12を
金型内に投入する状態を示し、下ポンチ8の上面8b
と、リングポンチ10,リング状磁石1,上ダイス7の内
周面で囲まれた空間Gに、コンパウンド12の投入器をス
ライドさせてコンパウンド12を投入する。この投入方式
は一般的に用いられているもので投入量は投入器の端で
すり切って決める方式であり、コンパウンドの流動性が
良い場合は最も簡単で投入量の誤差も小さく実績のある
方法である。
【0031】図3は加圧成形状態を示し、磁気ヨーク材
料(コンパウンド)12の投入が終わって投入器が横に退い
た後、リングホルダー押さえ6の上面6cを矢印W1方向
から加圧して下降させ、リングホルダー押さえ6とリン
グホルダー5の両テーパ部6a,5aのテーパ面で当接し
ているリングホルダー5を半径方向の内側方向に動か
し、リング状磁石1の外周面1bをリングホルダー5の
内周面5dで押さえて、リング状磁石1をその外周面か
ら半径方向に矢印W2方向から加圧する。この状態で上
ポンチ9を矢印B方向へ降下させてコンパウンド12を加
圧する。
【0032】上ポンチ9の降下位置と加圧力に従って、
金型が架台11毎降下し、リングポンチ10はリング状磁石
1を矢印C方向の上方向に押し上げながら架台11ととも
に降下し、固定されている下ポンチ8があたかも上昇し
ているかのように振る舞い下方向から上向きに加圧しコ
ンパウンド12は上,下から両押しされる。この際コンパ
ウンドが圧縮される時にリング状磁石1はこの圧縮され
るコンパウンドから半径方向の外側方向に圧力を受け
る。
【0033】この圧力でリング状磁石1にクラックが入
らないように、上述のリングホルダー押さえ6の上面6
cを加圧する圧力(矢印W1)でリング状磁石1を外周面1
bから加圧(矢印W2)し、内側からの圧力と対抗させて、
実質的にリング状磁石1には半径方向において両方向か
ら圧力がかかるもののその大きさはほぼ等しいか、やや
外周面からの圧力が大きいため、リング状磁石1は全く
動かないか、または、半径方向の内側方向に圧縮されて
いる状態であり、この状態でリング状磁石1はコンパウ
ンド12と一体成形される。このような状態での一体成形
であるのでリング状磁石1には外側に膨張させる力は作
用せずクラックは発生しない。
【0034】図4は一体成形品の金型からの取り出し状
態を示し一体成形が終わった後、上ポンチ9からの圧力
を小さくする。リングホルダー押さえ6の上面6cから
の圧力を抜き、逆に下面6dから矢印E方向の上方向に
圧力をかけてリングホルダ押さえ6とリングホルダー5
の両テーパ部6a,5aのテーパ面でのリングホルダー5
との噛み合いを開放し、リングホルダー5の内周面5d
でリング状磁石1の外周面1bを拘束していたのを開放
する。この状態になったところで架台11を上昇させて加
圧成形されたセンター磁気ヨーク2を上ダイス7から抜
き出し、一体成形品を架台11の下面よりも下に位置する
ようにする。その後上ポンチ9の矢印B方向の下方向へ
の圧力を抜いて上昇させ、リングポンチ10と下ポンチ8
の上面8bに乗っている状態の一体成形品を外へ取り出
す。
【0035】次に、本実施例で使用する材料について説
明する。ここで用いているリング状磁石1はネオジム鉄
ボロン系焼結磁石で外周面1bはセンタレス加工され、
軸方向に垂直な上下面は平行研磨され、それぞれの寸法
は精度内に収められている。内周面1cについては焼結
のままの状態である。
【0036】また一体成形するセンター磁気ヨーク2と
しては、磁性粉末と有機バインダーとからなる複合軟磁
性材料を用いている。磁性粉末としては飽和磁化の大き
な純鉄やFe−Co材が望ましく、特に入手しやすく、安
価なアトマイズ鉄粉が好ましい。有機バインダーとして
は140℃前後で硬化できるエポキシ樹脂が扱いやすい。
この複合軟磁性材料を用いると、磁性粉末と有機バイン
ダーの混合物または混練後の解砕物はコンパウンドと称
される粉体であり、加圧成形によって一体成形するのに
適している。しかし磁気ヨークとして用いるためには密
度で6.2g/cm3以上は必要でありこのためには成形圧力は
少なくとも30kgf/mm2は必要である。
【0037】以上のように望ましい材料条件を述べた
が、これに拘束されることはなく、磁気回路部品として
望まれる特性を満足するものであればどのようなものを
用いても差しつかえはない。
【0038】リング状磁石1にクラックを発生させない
ように、加圧成形による内側からの圧力に対応してリン
グ状磁石1の外周面1b側から半径方向の内周面1c側方
向に加圧するが、その圧力はやや大きくしてリング状磁
石1を内周面側方向に圧縮する方が望ましい。
【0039】リング状磁石1にクラックを発生させない
ように、加圧成形による内側からの圧力に対応してリン
グ状磁石1の外周面1b側から半径方向の内周面1c側方
向に加圧するが、その圧力はやや大きくしてリング状磁
石1を内周面側方向に圧縮する方が望ましい。これは一
体成形後金型から取り出すときに、それまで押さえられ
ていた成形体のセンター磁気ヨーク2が金型がなくなる
ことによって開放され膨張する。すなわちスプリングバ
ックが生じ、リング状磁石1も金型の支えがなくなるの
でスプリングバックの力を材料自体の機械的強度で持ち
こたえなければならない。
【0040】また熱硬化樹脂をバインダーとするときは
熱硬化処理を施さねばならず、このときに熱膨張があり
ネオジム鉄ボロン系磁石は熱膨張係数が小さいのでセン
ター磁気ヨーク2の熱膨張による応力をやはり材料自体
の機械的強度で持ちこたえなければならない。これは機
械的強度がそれほどないネオジム鉄ボロン系磁石にとっ
ては苦しく、クラックの発生を招くことになる。この内
側からの圧力を緩和するために一体成形時に上述の2つ
の要因の膨張分をリング状磁石1の圧縮によって相殺す
ることが望ましい。これはリングホルダー押さえ6の上
面6cに加える矢印W1方向からの圧力を制御することで
できる。
【0041】本発明の具体例を以下に示す。
【0042】図1を用いて説明した成形方法により、磁
気回路部品を作成した。用いた材料は、リング状磁石1
はネオジム鉄ボロン系焼結磁石で半径方向に磁化容易軸
を配向化したラジアル配向磁石である。外周面はセンタ
レス加工を、軸方向に垂直な上下面は平行研磨を施し、
その大きさは外径が25mm,内径が約18mm,高さが7mmで
ある。コンパウンド12は、アトマイズ鉄粉100部に対し
てエポキシ樹脂(主材と硬化剤)1部を混合混練して解砕
したものを用いた。
【0043】センター磁気ヨーク2のリング状磁石1の
下の部分の直径の大きさは19mmとし、上ダイス7の内径
および上ポンチ9の直径はこの大きさに成形できるよう
に寸法を決めて上ダイス7および上ポンチ9を用意し
た。リングホルダー押さえ6およびリングホルダー5の
テーパの角度を2°にし、リングホルダー押さえ6の上
面を加圧する全荷重を1.0tonとした。一体成形圧力は40
kg/mm2とした。成形は連続して行ない、多数の一体成形
品を作成したが、リング状磁石にクラックの入るものは
なかった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、金
型を成形の前に組み上げ、1回の成形動作は、リング状
磁石を金型の固定されている架台11の下から装填し、コ
ンパウンド12を金型の上部から投入して、加圧して一体
成形し、成形された一体成形品を金型の下の位置に引き
移して取り出すことで終了する。この成形動作により一
体成形品は作成され、その間金型は分解や組み立てられ
ることなく、リング状磁石1とコンパウンド12の供給だ
けですませることができる。
【0045】このように本発明は、リング状磁石1にク
ラックを発生させることなく、リング状磁石1とセンタ
ー磁気ヨーク2とを一体成形でき、リング状磁石1とセ
ンター磁気ヨーク2とを一体成形した磁気回路部品を短
時間に容易に製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における磁気回路部品の製造
方法の各工程と成形金型を説明する模式断面図であり、
リング状磁石を金型内に装填した状態を示す。
【図2】本発明の一実施例における磁気回路部品の製造
方法の各工程と成形金型を説明する模式断面図であり、
磁気ヨーク材料を金型に投入する状態を示す。
【図3】本発明の一実施例における磁気回路部品の製造
方法の各工程と成形金型を説明する模式断面図であり、
加圧成形状態を示す。
【図4】本発明の一実施例における磁気回路部品の製造
方法の各工程と成形金型を説明する模式断面図であり、
一体成形品の金型からの取り出し状態を示す。
【図5】本発明の一実施例におけるスピーカ用磁気回路
部品の模式断面図である。
【図6】従来の磁気回路部品の製造方法および成形金型
を説明する模式断面図である。
【符号の説明】
1…リング状磁石、 2…センター磁気ヨーク、 3…
アウター磁気ヨーク、4…下ダイス、 5…リングホル
ダー、 6…リングホルダー押さえ、 7…上ダイス、
8…下ポンチ、 8A…固定台、 9…上ポンチ、
10…リングポンチ、 11…架台、 12…磁気ヨーク材料
(コンパウンド)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H02K 15/03 Z 7103−5H

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型の下方向からリング状磁石を前記金
    型の内部に装填して保持し、磁気ヨーク材料を前記金型
    の上部から前記金型の内部に投入して、加圧成形し、前
    記リング状磁石とセンター磁気ヨークとの一体成形品を
    前記金型の下方向に移動して取り出すことを特徴とする
    磁気回路部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 リング状磁石をリングポンチの上端部に
    置き、組み合わされた金型が固定されている架台を降下
    し、前記リングポンチを押し上げて前記リング状磁石を
    リングホルダーの内側でかつ上ダイスの底端部に押し付
    けて保持する工程と、 前記上ダイスと前記リング状磁石と前記リングポンチの
    それぞれの内周面と下ポンチの端面とで構成される空間
    部分に前記上ダイスの上方から磁気ヨーク材料を投入す
    る工程と、 前記リングホルダーの外周部のテーパ面と相接する内周
    部のテーパ面を有する円筒状のリングホルダー押さえの
    上部を加圧して前記リングホルダーを介して前記リング
    状磁石の外周部から半径方向に圧力を加えながら、前記
    磁気ヨーク材料を軸方向に上ポンチと前記下ポンチで加
    圧成形して前記リング状磁石とセンター磁気ヨークとを
    一体成形する工程と、 前記リングホルダー押さえの下部を上方向に加圧して前
    記リングホルダーとのテーパ面での噛み合いを開放して
    前記リング状磁石の外周部を前記リングホルダーの内周
    面から開放し、前記上ポンチで一体成形品を押さえた状
    態で前記架台を上昇させてセンター磁気ヨークを上ダイ
    スから外し、次に前記上ポンチを上昇させて前記リング
    状磁石とセンター磁気ヨークとの一体成形品を取り出す
    工程とからなることを特徴とする請求項1記載の磁気回
    路部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 油圧により上下に稼働する架台に固定さ
    れた中心軸方向に円穴を有する下ダイスと、周方向に2
    つ以上に分割され外周部にテーパを設けたリング状から
    なり前記下ダイスの上面に互いに中心軸を一致させるよ
    うに配置して半径方向に移動するリングホルダーと、前
    記リングホルダーの外側に配置され内周部に前記テーパ
    と同じ傾きのテーパを有する円筒状のリングホルダー押
    さえと、前記リングホルダー押さえの内周部に外周部が
    当接し底端部が前記リングホルダーの上面と接し前記架
    台に固定された円筒状の上ダイスと、油圧プレスの固定
    台に固定された下ポンチと、前記下ポンチに内周部を接
    して配置され圧力によって上下に稼働するリングポンチ
    と、油圧プレスと上ラムに固定され上下に稼働する上ポ
    ンチとからなることを特徴とする成形金型。
JP2425893A 1993-02-12 1993-02-12 磁気回路部品の製造方法とその成形金型 Pending JPH06236823A (ja)

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