JPH06234901A - 塩化ビニル系樹脂組成物及びそれより得られるフイルム - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物及びそれより得られるフイルム

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JPH06234901A
JPH06234901A JP30507293A JP30507293A JPH06234901A JP H06234901 A JPH06234901 A JP H06234901A JP 30507293 A JP30507293 A JP 30507293A JP 30507293 A JP30507293 A JP 30507293A JP H06234901 A JPH06234901 A JP H06234901A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長時間にわたる連続操業によつても、金属光沢
を含めて、品質の安定したフイルムを生産効率よくカレ
ンダー加工法によつて製造することができる金属粉を含
有させた塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにあ
る。 【構成】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化
ビニル系重合体100重量部に対して、金属粉1〜10
重量部とシリカ微粉末0.3〜1.5重量部とを含有させて
なることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属粉を含有する塩化
ビニル系樹脂組成物及びそれより得られる金属光沢を有
するフイルム、特に、カレンダー加工により得られる金
属光沢を有する塩化ビニル系樹脂フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系重合体に可塑剤と共
にアルミニウムやブロンズ等の金属粉を配合して、塩化
ビニル系樹脂組成物を調製し、これをカレンダー加工し
て、得られるフイルムに金属光沢を有せしめることは、
既に知られており、そのようなフイルムは、合板や鋼板
等に積層されて、電気機器や住宅関連部材等において、
化粧材として広く好適に用いられている。
【0003】しかし、一般に、アルミニウムやブロンズ
等の金属粉を含有させた塩化ビニル系樹脂組成物をカレ
ンダー加工法によりフイルムに成形するとき、カレンダ
ーロール表面にその金属粉が析出して、付着しやすく
(以下、この現象をプレートアウトという。)、得られ
るフイルムに品質上の問題を生じるのみならず、生産効
率の低下を招く。
【0004】特に、金属粉を多量に含有させた塩化ビニ
ル系樹脂組成物は、カレンダー加工法にてフイルムを成
形する際に、上記金属粉がカレンダーロール表面にプレ
ートアウトするので、成形されたフイルムをカレンダー
ロール表面より引き離すことが困難となる現象を生じ、
また、得られたフイルムも、表面が荒れて、期待する金
属光沢が得られない問題がある。
【0005】そこで、従来、上述したような問題を解決
するために、例えば、プレートアウトを防止するため
に、エステル系滑剤(例えば、勝田化工(株)製アポロ
200)を塩化ビニル系樹脂に少量配合する方法が知ら
れている。また、例えば、アルミニウム等の金属粉をカ
ップリング剤(例えば、味の素(株)製プレーンアクト
ALMやプレンアクト338)にて表面処理して、金属
粉と塩化ビニル系樹脂との結合を強化して、そのプレー
トアウトを防止する方法も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような方法に
よれば、カレンダー加工において、金属粉のプレートア
ウトをある程度は防止することができるが、しかし、
尚、カレンダー加工法にて長時間、フイルムを連続生産
するときは、金属粉が依然としてカレンダーロール表面
にプレートアウトし、得られるフイルムに表面荒れ等の
品質上の欠点を生じ、また、フイルムの金属光沢にも、
ばらつきを生じる。
【0007】そこで、このような問題を解決するために
は、一時的にカレンダー加工の操業を中断して、カレン
ダーロール表面の付着物を除去する作業等が必要となる
が、このような操業の中断は、生産効率の低下を招くの
みならず、得られるフイルムの品質のばらつきも生じ
る。
【0008】本発明は、従来の金属粉を含有させた塩化
ビニル系樹脂組成物のカレンダー加工法によるフイルム
の製造における上述した問題を解決するためになされた
ものであつて、長時間にわたる連続操業によつても、金
属光沢を含めて、品質の安定したフイルムを生産効率よ
くカレンダー加工法によつて製造することができる金属
粉を含有させた塩化ビニル系樹脂組成物を提供すること
を目的とし、更に、そのような組成物からカレンダー加
工法によつて得られる金属光沢を有するフイルムを提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による塩化ビニル
系樹脂組成物は、塩化ビニル系重合体100重量部に対
して、金属粉1〜10重量部とシリカ微粉末0.3〜1.5
重量部とを含有させてなることを特徴とする。
【0010】このように、本発明に従つて、金属粉と共
にシリカ微粉末を含有させた塩化ビニル系樹脂組成物に
よれば、カレンダー加工法にてフイルムを成形する際
に、カレンダーロール表面に金属粉がプレートアウトす
ることないので、安定した金属光沢を有する塩化ビニル
系樹脂フイルムを長時間にわたる連続操業によつて効率
よく製造することができる。
【0011】本発明において、塩化ビニル系重合体と
は、塩化ビニルの単独重合体のほか、塩化ビニルの共重
合体、例えば、塩化ビニルと、酢酸ビニル等のビニルエ
ステル類、エチレンやプロピレン等のα−オレフイン
類、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等のシアン化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸
等のエチレン性脂肪族不飽和カルボン酸、フマル酸やマ
レイン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸やそのエステル類の
ような単量体との共重合体を挙げることができる。ま
た、共重合体として、塩化ビニル重合体とポリウレタン
との共重合樹脂も挙げることができる。
【0012】塩化ビニルの共重合体としては、具体的に
は、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−エチレン
(−プロピレン)共重合体、塩化ビニル−プロピレン共
重合体、塩化ビニル−アクリル酸(−メタクリル酸)共
重合体等を挙げることができる。しかし、本発明におい
ては、塩化ビニル系重合体としては、塩化ビニルの単独
重合体、即ち、ポリ塩化ビニルが最も好ましく用いられ
る。
【0013】本発明において用いられる金属粉は、特
に、限定されるものではなく、例えば、アルミニウム
粉、ブロンズ粉、銅粉、スズ粉、鉛粉、亜鉛粉等を挙げ
ることができるが、これらのなかでは、アルミニウム粉
又はブロンズ粉が好ましく用いられ、最も好ましくは、
アルミニウム粉が用いられる。
【0014】特に、アルミニウム粉又はブロンズ粉等の
金属粉は、得られる塩化ビニル系樹脂フイルムに金属光
沢を付与するために有用であつて、これらは、金属を微
粉砕することによつて得ることができる。本発明におい
ては、このような金属粉として、市販品を好適に用いる
ことができる。例えば、微粉砕したアルミニウム粉を塩
化ビニル系樹脂組成物に練り込んだマスターバッチを市
販品(例えば、日弘ビックス(株)製コロナB1126
SR)として入手することができ、本発明において、好
適に用いることができる。
【0015】これら金属粉は、フイルム表面に現われ
て、フイルムに金属光沢を付与するものであるので、本
発明においては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、金属粉1〜10重量部を配合することが必要であ
る。塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、金属粉の
配合量が1重量部よりも少ないときは、明瞭な金属光沢
を得ることができず、他方、10重量部を越えるとき
は、樹脂組成物において、金属粉の分散不良を生じ、カ
レンダー加工に際して、カレンダーロール表面に付着
し、得られるフイルムに孔あき等の欠陥を多発させるこ
ととなる。
【0016】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物にお
いては、上記金属粉と共に、シリカ微粉末が配合され
る。このようなシリカ微粉末としては、ケイ酸ナトリウ
ム水溶液に硫酸等の酸を作用させることによつて製造さ
れる無定形シリカ微粉末が好適に用いられる。本発明に
おいては、例えば、徳山曹達(株)製ファインシールB
が好ましく用いられる。
【0017】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物にお
いて、シリカ微粉末は、その界面活性的な作用によつ
て、金属粉の塩化ビニル系樹脂への分散性を高めると共
に、金属粉と塩化ビニル系樹脂との親和性を強くして、
かくして、組成物のカレンダー加工に際して、金属粉の
プレートアウトを防止するものとみられる。
【0018】このような効果を有効に得るために、本発
明による塩化ビニル系樹脂組成物においては、シリカ微
粉末は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3
〜1.5重量部の範囲で配合される。塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して、シリカ微粉末の配合量が0.3重量
部よりも少ないときは、金属粉のプレートアウトを抑制
する効果を十分に得ることができず、他方、1.5重量部
を越えるときは、カレンダー加工時の加熱によつて、得
られるフイルムが薄い褐色を帯びる所謂黄変現象が生じ
る結果、明るい金属光沢を有するフイルムを得ることが
困難となる。2.0重量部を配合すれば、黄変が激しくな
り、混練りによる塩化ビニル系樹脂組成物のゲル化(ま
とまり)が悪くなる等の問題があり、実用に耐えない。
特に、本発明によれば、塩化ビニル系樹脂100重量部
に対して、シリカ微粉末を0.5〜1.3重量部の範囲で配
合することによつて、最も望ましい結果を得ることがで
きる。
【0019】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、
上記金属粉及びシリカ微粉末のほか、従来、カレンダー
加工用の塩化ビニル系樹脂組成物に通常に配合される添
加剤を適宜に含有してもよい。そのような添加剤とし
て、例えば、可塑剤、安定剤、着色剤等を挙げることが
できる。
【0020】本発明において用いる可塑剤は、特に、限
定されるものではなく、従来より知られているものが適
宜に用いられる。例えば、フタル酸ジ2−エチルヘキシ
ル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタ
ル酸ジイソノニル等のフタル酸ジエステル、トリメリッ
ト酸トリオクチル等のトリメリット酸系可塑剤や、その
他、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、エポキシ系可塑
剤等を好適に用いることができる。これら可塑剤は、塩
化ビニル系重合体100重量部に対して、通常、5〜8
0重量部の範囲で用いられる。
【0021】また、安定剤としては、従来より知られて
いるもょが適宜に用いられるが、例えば、そのような安
定剤として、例えば、鉛系、カドミウム・バリウム系、
バリウム・亜鉛系、カルシウム・亜鉛系、バリウム・亜
鉛・スズ系安定剤等を挙げることができる。これら以外
にも、例えば、有機スズ化合物やその他金属系安定剤、
非金属系安定剤等を挙げることができる。これら安定剤
は、塩化ビニル系重合体100重量部に対して、通常、
1.5〜3.5重量部の範囲で用いられる。
【0022】本発明によるフイルムは、上述したような
塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー加工法によつてフ
イルムとすることによつて得ることができる。本発明に
よる組成物を用いれば、そのカレンダー加工に際して、
カレンダーロール表面に金属粉がプレートアウトするこ
とないので、安定した金属光沢を有するフイルムを長時
間にわたる連続操業によつて効率よく製造することがで
きる。
【0023】以下に実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。
【0024】
【実施例】
実施例1〜3及び比較例1〜4 平均重合度1050のポリ塩化ビニル(チッソ(株)製
ニポリットSL)100重量部に対して、可塑剤ジオク
チルフタレート28重量部と安定剤バリウム・亜鉛・ス
ズ系液状安定剤2.2重量部を配合し、更に、これに表1
に示すように、アルミニウム粉8.0重量部と種々のシリ
カ微粉末とを配合して、塩化ビニル樹脂組成物を調製し
た。
【0025】アルミニウム粉としては、前述したアルミ
ニウム粉を塩化ビニル系樹脂組成物に練り込んだマスタ
ーバッチである日弘ビックス(株)製コロナB1126
SRを用い、シリカ微粉末としては、徳山曹達(株)製
ファインシールBを用いた。また、一部の比較例におい
ては、味の素(株)製カップリング剤で処理したアルミ
ニウム粉を用いた。
【0026】得られた塩化ビニル系樹脂組成物のカレン
ダー加工におけるプレートアウトの抑制の効果を次のよ
うにして判定した。即ち、上記塩化ビニル系樹脂組成物
をフロントロール温度180℃、バックロール温度17
8℃、ロールギャップ0.2mmに設定した直径12イン
チ、長さ36インチのテストロールに投入した後、5
分、10分及び15分におけるロール表面へのプレート
アウト状況を評価した。結果を表1に示す。
【0027】各測定時毎にテストロールを停止し、バッ
クロールの20cm×20cmの部分を黒い布で強く拭い
て、アルミニウム粉の付着状況を目視で観察して、付着
の極めて少ないものをプレートアウト得点5とし、付着
量の多いものをプレートアウト得点1とする5段階評価
を行なつた。
【0028】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、
これをテストロールに投入して、5分後、10分後及び
15分後の3回の評価において、合計得点が9以上であ
り、且つ、それぞれの混練り時間において、得点が3以
上であつて、アルミニウム粉のプレートアウトが効果的
に抑制されて、長時間にわたつて連続してカレンダー加
工を行なつて、金属光沢を有するフイルムを安定して得
ることができる。
【0029】
【表1】
【0030】本発明による上記塩化ビニル系樹脂組成物
から得られるフイルムは、限定されるものではないが、
例えば、合板等に積層して、家具や内装板等の化粧に有
用である。
【0031】実施例4〜8及び比較例5及び6 平均重合度1050のポリ塩化ビニル(チッソ(株)製
ニポリットSL)100重量部に対して、可塑剤ジオク
チルフタレート28重量部と安定剤バリウム・亜鉛・ス
ズ系液状安定剤2.2重量部を配合し、更に、これに表2
に示すように、アルミニウム粉3.0重量部と種々のシリ
カ微粉末とを配合して、塩化ビニル樹脂組成物を調製し
た。
【0032】アルミニウム粉としては、前述したアルミ
ニウム粉を塩化ビニル系樹脂組成物に練り込んだマスタ
ーバッチである日弘ビックス(株)製コロナB1126
SRを用い、シリカ微粉末としては、徳山曹達(株)製
ファインシールBを用いた。得られた塩化ビニル系樹脂
組成物のカレンダー加工におけるプレートアウトの抑制
の効果を前述したと同じ方法によつて評価した。
【0033】尚、実施例7及び8と比較例6及び7にお
いては、ロール耐熱性を調べた。即ち、前述した条件に
て組成物をテストロールにを投入し、15分間混練した
後、黄変度(YI値)を調べた。YI値は、厚さ0.2mm
のシートについて、JISK 7103に規定されてい
る方法に従つて色差計にて測定した。YI値が20以上
では、黄変が著しい。尚、YI値は次式で定義される。 YI=100(1.28X−1.06Z)/Y 但し、ここに、X、Y及びZは、標準光Cにおける三刺
激値である。以上の結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例9〜13及び比較例7 平均重合度1050のポリ塩化ビニル(チッソ(株)製
ニポリットSL)100重量部に対して、可塑剤ジオク
チルフタレート28重量部と安定剤バリウム・亜鉛・ス
ズ系液状安定剤2.2重量部を配合し、更に、これに表3
に示すように、市販ブロンズ粉8.0重量部と種々のシリ
カ微粉末とを配合して、塩化ビニル樹脂組成物を調製し
た。シリカ微粉末としては、徳山曹達(株)製ファイン
シールBを用いた。得られた塩化ビニル系樹脂組成物の
カレンダー加工におけるプレートアウトの抑制の効果を
前述したと同じ方法によつて評価した。結果を表3に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明による塩化ビニル系樹脂組成物に
よれば、長時間にわたる連続したカレンダー加工によつ
ても、カレンダーロールへの金属粉のプレートアウトが
効果的に抑制されるので、金属光沢を含めて、品質の安
定した塩化ビニル系樹脂フイルムを生産効率よく製造す
ることができる。本発明によるこのような金属光沢を有
するフイルムは、家具、内装材等の住宅関連用途に好適
に用いることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系重合体100重量部に対し
    て、金属粉1〜10重量部とシリカ微粉末0.3〜1.5重
    量部とを含有させてなることを特徴とする塩化ビニル系
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】金属粉がアルミニウム粉である請求項1記
    載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】金属粉がブロンズ粉である請求項1記載の
    塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3いずれかに記載の塩化ビニ
    ル系樹脂組成物をカレンダー加工法にて成形してなる塩
    化ビニル系樹脂フイルム。
JP5305072A 1992-12-14 1993-12-06 金属光沢を有する化粧材用塩化ビニル系樹脂フイルムの製造方法 Expired - Lifetime JP2563886B2 (ja)

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