JPH0623326B2 - 常温乾燥型塗料 - Google Patents

常温乾燥型塗料

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JPH0623326B2
JPH0623326B2 JP61247619A JP24761986A JPH0623326B2 JP H0623326 B2 JPH0623326 B2 JP H0623326B2 JP 61247619 A JP61247619 A JP 61247619A JP 24761986 A JP24761986 A JP 24761986A JP H0623326 B2 JPH0623326 B2 JP H0623326B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 〔産業上の利用分野〕 本発明は、建築、自動謝、鉄道車輛、航空機、船舶及び
電気製品等に好適な塗料に関し、更に詳細には塗膜の大
きな表面硬度、良好な加工性及び耐衝撃性等を同時に発
現できる常温乾燥型(以下、常乾型と略称する)塗料に
関するものである。
〔従来の技術とその問題点〕
従来、塗料の技術開発の大きな目的の一つに塗膜表面硬
度の向上と塗膜の加工性の両立があり、様々な工夫が重
ねられてきた。塗膜表面に傷がつきにくくするために
は、主として塗膜表明硬度を大きくする工夫がなされ、
塗料用樹脂を構成するモノマー又はオリゴマーの種類、
塗料用樹脂の架橋硬化方法(ポリイソシアネート架橋、
メラミン架橋又はシランカップリング基による架橋
等)、架橋密度、顔料の種類及び顔料の配合量等につい
て検討がなされてきた。
これら従来の方法によれば、塗膜表面硬度をかなり大き
くすることができ、耐傷性は優れたものとすることがで
きるが、加工性、低温特性、耐機械的衝撃性及び耐熱的
衝撃性は、一般に悪くなるため、目的とする用途に応じ
て、表面硬度/加工性/耐衝撃性のバランスをとってい
るのが現状であるが、常乾型塗料にあってはこのバラン
スが特に困難である。
例えば代表的な常乾型ラッカー塗料組成物としてメチル
メタクリレート(以下、MMAと略称する)/ブチルア
クリレート(以下、BAと略称する)を主体とする単量
体混合物を重合してなるランダムコポリマーが挙げら
れ、該ランダムコポリマーにおいて表面硬度を大きくす
るためにはMMAの共重合割合を多くするという手段が
一般的に用いられる。該方法によれば、上記ランダムコ
ポリマーは、エンピツ硬度でF程度(キズが発生しない
上限値)の表面硬度に到達することはできるが、反面加
工性(あるいは耐衝撃性)は急速に悪くなり、簡単な折
曲によっても塗膜にひび割れが生じ易く、また耐衝撃に
も弱く、−20℃〜+60℃間の急激な温度変化によっ
てクラックが簡単に入るようになる。通常上記ランダム
コポリマーにおいて、表面硬度と加工性(あるいは耐衝
撃性)のバランスをとるには、MMA単量体単位含有量
を該ランダムコポリマー中60重量%未満としなければ
ならず、この場合の表面硬度は鉛筆硬度で2B程度にま
で低下してしまう。
このように従来技術によっては、塗膜に大きな表面硬度
と加工性(あるいは耐衝撃性)という相反する二つの性
質を同時に具備させることは非常に困難であるが、現在
ではさらに上記性質に併せて優れた耐候性をも具備する
塗料の開発が待ち望まれるという状況にある。
(ロ)発明の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは前記問題点を解決するために鋭意検討した
結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記単量体混合物(A)と下記マクロ
モノマー(B)とを、(A);97〜50重量%および
(B);3〜50重量%の割合でラジカル共重合してな
るグラフトポリマーからなる常温乾燥型塗料である。
(A)アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレー
トからなり、それらを併せて50重量%以上含むラジカ
ル重合性単量体混合物。
(B)メチルメタクリレート単量体単位を主単位とする
重合体の片末端にラジカル重合性官能基を1個有するマ
クロモノマー。
上記の本発明における(B)のマクロモノマーを、以下に
おいてはラジカル重合性MMA系マクロモノマーと称
す。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
〔単量体混合物(A)〕
本発明における単量体混合物(A)は、前記のとおり、
アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート(以
下アルキル(メタ)アクリレートと総称する)からな
り、それらを併せて50重量%以上含むラジカル重合性
単量体混合物である。単量体混合物(A)におけるアル
キル(メタ)アクリレートの合計量が50重量%未満で
あると、得られる塗料の耐候性が劣る。
アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートの使用
割合としては、重量比で10/3〜3/10が好まし
い。アルキルメタクリレートの量が過多になると、得ら
れる塗料の基材密着性が損なわれ、一方アルキルアクリ
レートが過多になると塗膜が汚染されやすくなる。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソノ
ニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート等をあげることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、ブチルアクリ
レート(以下、BAと略称する)およびメチルメタクリ
レート(以下、MMAと略称する)の併用が最も好まし
い。
上記アルキル(メタ)アクリレートと併用できるその他
のラジカル重合性単量体としては、オレフイン系化合物
の例として、エチレン、プロピレンなどの低分子量不飽
和炭化水素、塩化ビニル及びフッ化ビニルの如きハロゲ
ン化ビニル、酢酸ビニルの如き有機酸のビニルエステ
ル、スチレン、スチレン置換体、ビニルピリジン及びビ
ニルナフタレンの如きビニル芳香族化合物、アクリル
酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、アクロレイン、アクリロニトリル、N−ビニルピロ
リドン及びN−ビニルカプロラクタムの如きN−ビニル
化合物、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、N−
ブトキシメチルアクリル酸アミド、N−ブトキシメチル
メタクリル酸アミド等のアミド化合物、無水マレイン
酸、マレイン酸及びフマル酸のエステル、 CnFn+(CHOOCCH=CH(n=
4〜14の混合物)等の如き示性式で表わされるフルオ
ロアルキル基を有するアクリル系モノマー等を挙げるこ
とができる。
これらのラジカル重合性化合物は単独又は2種類以上組
合せて使用することができる。
〔ラジカル重合性MMA系マクロモノマー〕
本発明におけるラジカル重合性MMA系マクロモノマー
とは、メチルメタクリレート単量体単位を主単位とする
重合体の片末端にラジカル重合性官能基を1個有するマ
クロモノマーであり、該マクロモノマーとしては次に示
すような公知の各種の製造法によって得られたもののい
ずれも使用することができる。
本発明におけるラジカル重合性官能基としては、(メ
タ)アクリレートとラジカル共重合性の良い官能基が好
適であり、具体例としてはメタクリロイル基、スチリル
基及びアクリロイル基等が挙げられる。
本発明におけるラジカル重合性MMA系マクロモノマー
の製造法の一例としては、カルボキシル基を含有する連
鎖移動剤の存在下にMMA単量体を通常用いられる重合
開始剤で重合せしめ、片末端にカルボキシル基を有する
重合体を得、該カルボキシル基とグリシジルタメクリレ
ート(以下、GMAと略称する)とを反応させマクロモ
ノマー化する方法が挙げられる。
上記重合体を得る重合反応は、該反応の制御のし易さ及
び次の段階で該重合体とGMAとの均一な反応を行なわ
せるために、適当な有機溶媒の溶液中で行なうことが好
ましく、該溶媒としてはトルエン、キシレン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル等が
挙げられ、これら溶媒は単独で又は2種以上併用して使
用することができる。
上記重合反応において使用できる連鎖移動剤としては、
分子中にカルボキシル基を1個含有するメルカプタン系
化合物が好ましく、具体的にはメルカプト酢酸、2−メ
ルカプトプロピオン酸及び3−メルカプトプロピオン酸
等の公知のものが挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は、目的とするラジカル重合性MM
A系マクロモノマーの数平均分子量に応じて決定され
る。即ち、一般的には(MMAのモル数/連鎖移動剤の
モル数)×MMAの分子量の値が、該マクロモノマーの
目的とする数平均分子量の値に一致するように連鎖移動
剤の量を決定する。
また、重合開始剤としては、通常のアゾ系開始剤や過酸
化物開始剤が使用できるが、連鎖移動剤として用いられ
るメルカプタン系化合物との反応を避けるため、アゾ系
開始剤が好ましく、2,2′−アゾビスイソブチロニト
リル(以下、AIBNと略称する)、4,4′−アゾビ
ス−4−シアノバレリックアシッド(以下、ACVAと
略称する)等が特に好ましい。
重合開始剤の量は、その種類、連鎖移動剤の種類、重合
開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度及び重合温度等の影響
を受けるため一概に言えないが、目安としては連鎖移動
剤の仕込量以下である。
重合開始剤が連鎖移動剤に対して大量に存在すると、重
合反応過程で形成される連鎖移動剤ラジカルから重合を
開始する確率に比べ、重合開始剤ラジカルから重合を開
始する確率が相対的に高くなり、その結果、得られる重
合体において重合開始剤切片を持つ重合体の含有量が増
え、片末端にカルボキシル基を有する重合体の含有割合
が低下する。
次にMMA単量体、連鎖移動剤及び重合開始剤の供給方
法について述べれば、これらは反応器に予じめ仕込んで
おいた前記有機溶剤中に全量を初期に仕込む方法あるい
は一定時間内に連続的に序々に供給する方法等の通常の
ラジカル重合において用いられる方法を使用することが
できる。
この重合体製造の重合温度は、50℃〜120℃で適当
であって、好ましくは70°〜90℃であり、また重合
時間は5時間〜24時間が適当であって、好ましくは6
時間〜10時間である。
なお、本発明において使用される片末端にカルボキシル
基を有する重合体におけるカルボキシル基は、連鎖移動
剤に由来するカルボキシル基に限られる必要はなく、重
合開始剤によって導入されるカルボキシル基でも良い。
重合開始剤に由来するカルボキシル基を片末端に有する
重合体を製造する方法としては、前記したMMA単量体
の重合反応において、重合開始剤として分子中にカルボ
キシル基を含有するACVA等を用い、連鎖移動剤とし
て前記のカルボキシル基を含有するメルカプタン系化合
物或いは該基を含有しないメルカプタン系化合物、例え
ばドデシルメルカプタンを用いて重合する方法がある。
かくして得られた片末端にカルボキシル基を有する重合
体とGMAとを、芳香族炭化水素類、エステル類又はケ
トン類等の有機溶媒中で反応させることにより、片末端
にメタクリロイル基を含有するラジカル重合性MMA系
マクロモノマーを得ることができる。
該反応においては触媒を用いるのが好ましく、該触媒と
してはトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエ
チルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルア
ンモニウムブロマイドなどの第3級アミンや第4級アン
モニウム塩が最適である。上記反応の反応条件としては
片末端にカルボキシル基を有する重合体の濃度:30〜
60重合%、触媒濃度:0.1〜5重量%、GMA量:前
記重合体のカルボン酸当量の1.0〜2.0倍当量、反応温
度:70〜150℃、反応時間:3〜15時間が適当で
ある。
更に好ましくは、GMAの重合を防止するために重合防
止剤、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチ
ルエーテル等を50〜500ppm添加するとよい。
前記以外のラジカル重合性MMA系マクロモノマーの製
造方法としては、連鎖移動剤としてメルカプトエタノー
ルを用い前記の片末端にカルボキシル基を有する重合体
の合成反応と同様の条件で片末端に水酸基を有する重合
体を得、次にトルイレンジイソシアナートで該水酸基を
イソシアナート化し、次いで2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートでマクロモノマー化する方法(米国特許第3,
689,593号)がある。
また、最近注目されているグループトランスファー重合
法(以下GTP法と略称する)によるラジカル重合性M
MA系マクロモノマー製造法も好ましく用いることがで
きる。その最も代表的な例としては、ケテンシリルアセ
タールを開始剤としHF を触媒とするデュポン(du
pont)社の方法が挙げられ、該方法によれば次に示す反
応式に従い片末端にカルボキシル基を有する重合体を得
ることができ、これにGMAを反応させラジカル重合法M
MA系マクロモノマーを得ることができる。
さらにまた、最近開発されたGTP法としてビニルフェ
ニルケテンメチルトリメチルシリルアセタールを重合開
始剤とする方法があり(浅見ら、第51回日化秋季大会
予講集、2BO3(1985))、同方法によれば次に
示す反応式に従い、スチリル基を含有するラジカル重合
性MMA系マクロモノマーが得られる。
本発明に使用するラジカル重合性MMA系マクロモノマ
ーは、数平均分子量が1,000〜20,000のものが好ましい
が、更に好ましくは2,000〜10,000のものである。数平
均分子量が1,000未満のラジカル重合性MMA系マクロ
モノマーでは、得られる樹脂組成物から形成される塗膜
の表面硬度が向上せず、又数平均分子量が20,000を越え
る該マクロモノマーではラジカル重合性が低下して、グ
ラフトポリマーが得られ難くなるからである。
なお、本発明でいう上記数平均分子量は、次の条件下で
のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下GPC
という)により測定されたポリスチレン換算の平均分子
量である。
カラム:ポリスチレンのゲル(例えば東洋曹達工業
(株)製商品名G4000H8,G3000H8) 溶出溶媒:テトラヒドロフラン 流出速度:1.0m/mm カラム温度:40℃ 検出器:RI検出器 〔グラフトポリマー〕 本発明におけるグラフトにポリマーは、前記単量体混合
物(A)とラジカル重合性MMA系マクロモノマー
(B)とを、(A);97〜50重量%および(B);
3〜50重量%の割合でラジカル共重合して得られる共
重合体であって、該ラジカル共重合によって形成される
高分子鎖を幹成分とし、該連鎖中の前記マクロモノマー
単位中に存在するMMA重合体を枝成分とするグラフト
ポリマーである。
上記ラジカル共重合の方法としては、従来公知の方法を
使用でき、例えば放射線照射法、ラジカル重合開始剤を
用いる方法等使用できるが、ラジカル重合開始剤を用い
る方法が重合操作の容易さ、分子量の調節の容易さの点
で好ましく、具体的には溶媒を用いる溶液重合法、バル
ク重合法、エマルジョン重合法等のいずれの方法も行な
うことができる。
ラジカル共重合におけるラジカル重合性MMA系マクロ
モノマーの仕込み割合が、3重量%未満であると、得ら
れるグラフトポリマーから形成される塗膜の表面硬度が
向上せず、一方50重量%を越えると、該マクロモノマ
ーの重合性が悪くなり、グラフトポリマーを高収率で得
ることができない。
〔グラフトポリマー溶液またはグラフトポリマー水性分散液の調製〕
上記方法によって合成されるグラフトポリマーは、水又
は適当な有機溶媒で希釈して被塗物に塗布することがで
き、該有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メチル
エチルケトン(以下、MEKと略称する)及びメチルイ
ソブチルケトン(以下、MIBKと略称する)等が挙げ
られる。水又は上記有機溶媒により、樹脂分濃度を10
〜40重量%程度に調節すると塗布するのに都合がよ
い。
本発明において、媒体を有機溶媒とする有機性の塗料を
得るには、溶液重合法によって製造された前記グラフト
ポリマーの溶液そのものの固形分濃度を調節するか、又
は種々の方法によって製造されたグラフトポリマーの乾
燥品を有機溶媒で希釈すればよく、また媒体を水とする
水性の塗料を得るには、乳化重合法又は懸濁重合法等に
よって製造されたグラフトポリマーの乳液乃至懸濁液の
固形分濃度を調節するか、又は種々の方法によって製造
されたグラフトポリマーの乾燥品を水で希釈すればよ
い。
〔充填剤、顔料〕
本発明の塗料には種々の充填、顔料等を添加することが
できる。それらの例としては各種シリカ類、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、ガラス
繊維、分散安定剤、紫外線吸収剤等をあげることができ
る。
〔被塗物〕
本発明の塗料の対象となる被塗物は、本発明の高耐候性
塗料が各種下地に対し優れた密着性を有しているので、
金属、プラスチックス、セラミックス、木材等のいずれ
でもよい。
〔作用〕
本発明の塗料は、被塗物に塗布し溶媒を乾燥させるだけ
で塗膜を形成し得る、所謂常乾型でありながら、塗膜に
おいて大きな表面硬度及び優れた加工性(即ち、耐衝撃
性及び低温特性に優れる)が同時に発現され、かつ該塗
膜の耐候性が優れるという特性を有するものである。上
記特性は、本発明における前記グラフトポリマーが、そ
の幹成分と枝成分によるミクロな2相構造を形成するこ
とに起因すると考えられる。すなわち、該グラフトポリ
マーがミクロな相分離構造を形成し、枝成分からなる相
により大きな表面硬度が発現され、幹成分からなる相に
より優れた加工性が発現されるものと推測される。
又、優れた耐候性を示すことに関しては、本発明におけ
るグラフトポリマーの構成単位の大部分が、アルキル
(メタ)アクリレート単量体単位であることに起因する
と判断される。
〔実施例、比較例及び参考例〕
以下の実施例、比較例及び参考例における塗膜物性の評
価は次のような方法で行なった。なお、各例における部
及び%は、いずれも重量部及び重量%を意味する。
QUV促進耐候性試験(UV/結露サイクル促進耐候
性試験)東洋精機製作所製のATLAS−UVCONを用い、60
℃×紫外線照射×4Hrs/40℃×飽和湿度×4Hrsのく
り返し条件で行なった。
光沢保持率 JIS K5400 60度鏡面光沢度測定法に従って
行なった。QUV促進耐候性試験前の光沢度を100と
した場合の保持率〔%〕で表わした。
耐屈曲性(折曲げ試験) JIS K5400耐屈曲性試験法に従って行なった。
該屈曲試験器の心棒の直径をいろいろかえて試験を行な
い、塗膜にわれ、はがれが認められないときの最小径の
心棒の直径で表わした。
耐熱衝撃性 (株)ベッセル製熱衝撃試験機ATT−2R型を用い、
−40℃に0.5時間維持と+90℃に0.5時間維持とを交
互に40回繰返した(温度変化に要した時間は1秒以
内)後、塗膜表面を顕微鏡で観察した。塗膜にクラッ
ク、割れが発生した場合には×印で、特に激しい場合に
は××印で、またクラック、割れが認められない場合に
は○印で観察結果を示した。
表面硬度 JIS K−5400に準拠する鉛筆硬度とする。
タックフリー 塗膜表面のタックを指触により判定した。タックが無い
ときは○印で、タックがあるときは×印で判定結果を示
した。
参考例1 メタクリロイル基を含有するラジカル重合性MMA系マ
クロモノマーの合成。撹拌機、還流冷却器、滴下ロー
ト、温度計及びNガス吹込口を備えたガラスフラスコ
に溶剤としてMIBK106.2部を仕込み、窒素ガスを吹
き込みながら、80〜85℃にてMMA100部、連鎖
移動剤としてメルカプト酢酸2.2部及び重合開始剤とし
てAIBN2部からなる混合濃液を3時間かけて連続的
に滴下して重合を行なった。
更にその後2時間加熱して重合を終了し、片末端にカル
ボキシル基を有する重合体溶液を得た。該溶液の一部を
取り出し、これにn−ヘキサンを添加することにより該
重合体を沈澱、ろ過し、これを減圧下で乾燥して酸価を
測定した結果は、0.22mg当量/gであった。
次に上記重合体溶液に触媒としてトリエチルアミン0.5
%、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテ
ル200ppm及び酸価に対し1.3倍当量のGMAを加
え、反応温度110℃にて4時間反応させて反応を終了し
た。酸価の減少から求めた反応率は96%であった。
次に上記反応液を大過剰のn−ヘキサン中に投入し、沈
澱物を得、これをろ過し、減圧乾燥してマクロモノマー
を得た。GPCによる数平均分子量は4,800、重量平均
分子量は10,000であった。
参考例2 メルカプト酢酸9.2部、AIBN3部を用いる以外は、
参考例1と同様に実験を行ない、メタクリロイル基を含
有するラジカル重合性MMA系マクロモノマーを得た。
GPCによる数平均分子量は1,000、重量平均分子量は
2,300であった。
参考例3 参考例1の装置にアセトン160部、トルエン660部
の混合溶媒を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、還流
下に、開始剤としてACVA5部、MMA500部及び
メルカプト酢酸4.6部からなる混合溶液を6時間連続的
に滴下して重合を行なった。更にその後2時間加熱して
重合を終了した。
次に上記重合反応液からアセトンの一部を留去した溶液
に、トリエチルアミン2%、ハイドロキノンモノメチル
エーテル200ppm及び酸価に対して1.3倍モルのG
MAを加え、反応温度110℃にて8時間反応させた。
酸価の減少から求めた反応率は98%であった。反応液
を10倍量のn−ヘキサンに投入して沈澱物を得、これ
をろ過し、80℃で減圧乾燥を行ない、メタクリロイル
基を含有するラジカル重合性MMA系マクロモノマーを
得た。
GPCによる数平均分子量は10,500、重量平均分子量は
20,000であった。
参考例4 スチリル基を含有するラジカル重合性MMA系マクロモ
ノマーの合成。開始剤としてビニルフェニルケテンメチ
ルトリメチルシリルアセタール(以下、VPKTSAと
略称する)を用い、次のGTP法で合成した。
乾燥窒素下で100mの無水テトラヒドロフラン中
に、m,p−VPKTSA(メタ体60%とバラ体40
%の混合物)1.385部(5.65ミリモル)とトリス(ジメ
チルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケ
ート0.03部(0.11ミリモル)とカルシウムハイドライド
(CaH)上で精製したMMA16.9部(0.17モル)を
加え、室温下3時間重合させた。5%メタノール入りヘ
キサン溶液に上記重合反応溶液を加え、重合体を沈澱さ
せ、ろ過した後、これを減圧乾燥してスチリル基を含有
するラジカル重合性MMA系マクロモノマーを収率90.3
%で得た。
GPCによる数平均分子量は3,500、重量平均分子量は
3,800であった。
実施例1〜13及び比較例1〜6 撹拌機、コンデンサー、N導入管及び滴下ロートを備
えたガラスフラスコにトルエン100部を仕込んだ後、窒
素ガスのバブリングを充分に行ないトルエン中に溶存す
る酸素ガスを窒素ガスに置換した。次に参考例1で得た
ラジカル重合性MMA系マイクロモノマー、MMA、B
A及びエチルアクリレート(以下、EAと略称する)を
表−1の各例において示す割合で混合してなる混合物1
00部、AIBN0.5部並びにトルエン50部からなる
溶液を滴下ロートに入れ、窒素ガスのバブリングを行な
いながら、温度75〜80℃で該溶液を3時間かけて滴
下し重合を行なった。この時点でAIBN0.5部を追加
し上記温度で更に4時間加熱し重合を終了した。
かくして、固形分濃度が約40%のグラフトポリマーの
トルエン溶液を得て、これにトルエンを追加して固形分
濃度を35%としたものをバーコーターを用いてアルミ
ニウム板に塗装し、60℃で1時間熱風乾燥を行ない膜
厚30〜35μの無色透明な塗膜を得た。
塗膜の表面硬度、耐屈曲性、耐熱衝撃性、タックフリ
ー、QUV促進耐候性を前記した方法で評価し、その結
果を表−1に実施例1〜13として示した。
一方、本発明におけるラジカル重合性MMA系マクロモ
ノマーを使用せずに、MMAとBAからなるモノマー混
合物又はMMAとEAからなるモノマー混合物を、上記
した重合方法によって重合し、得られた共重合体溶液よ
り形成された塗膜について同様な物性を評価し、その結
果を表−1に比較例1〜6として示した。
実施例14 参考例2で得られたラジカル重合性MMA系マクロモノ
マーを用いる以外は実施例4と同様に実験を行なった。
塗膜厚は35μでありその物性は表面硬度がF/4H、
耐屈曲性は2mm以下、耐熱衝撃は良好であった。
実施例15 参考例3で得られたラジカル重合性MMA系マクロモノ
マーを用いる以外は実施例1と同様に実験を行なった。
塗膜厚は30μでありその物性は表面硬度が2H/4
H、耐屈曲性は2mm以下、耐衝撃性は良好であった。
実施例16 参考例4で得られたラジカル重合性MMA系マクロモノ
マーを用いる以外は実施例4と同様に実験を行なった。
塗膜厚は35μでありその物性は表面硬度がH/4H、
耐屈曲性は2mm以下、耐熱衝撃性は良好であった。
比較例7 比較例2で得られたランダムコポリマー40%溶液25
0部に、参考例1で得られたラジカル重合性MMA系マ
クロモノマーを10部加え均一溶液とした。以下、実施
例1と同様に実験を行ない、膜厚35μの透明な塗膜を
得た。該塗膜物性は表面硬度がHB/H、耐屈曲性は2
mm、耐熱衝撃ではクラックが数多く入った。
本比較例7より本発明におけるラジカル重合性MMA系
マクロモノマーをランダムコポリマーに単にブレンドす
るだけでは物性が何ら向上しないことが判った。
(ハ)発明の効果 本発明の効果を、従来技術のMMA/BA系ランダムコ
ボリマーとMMA/BA/本発明におけるラジカル重合
性MMA系マクロモノマーを共重合してなるグラフトポ
リマーとについて、常乾型ラッカー塗料用樹脂としての
性能の比較により示せば、MMA単量体単位含有量が全
単量体単位の合計量を基準にして60重量%以上のと
き、上記ランダムコポリマーよりなる塗膜の鉛筆硬度/
耐屈曲性/耐熱衝撃性は、それぞれHB/不良/不良で
あるが、本発明におけるグラフトポリマーからなる塗膜
ではそれらがF〜2H/良/良となり、またMMA単量
体単位含有量が30重量%以上60重量%未満の範囲で
は、ランダムコポリマーよりなる塗膜の鉛筆硬度/耐屈
曲性/耐熱衝撃性/タックフリーは2B/良/良/良〜
不良となるが、本発明におけるグラフトポリマーからな
る塗膜ではそれらがHB〜H/良/良/良の如くであ
る。
以上示したように、本発明におけるグラフトポリマーに
よれば、表面硬度に優れ(耐傷性に優れ)、同時に加工
性、耐衝撃性にも優れ又、耐候性にも優れた塗膜を得る
ことができるので、屋内用及び屋外用塗料としてきわめ
て広く利用でき、工業的に有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記単量体混合物(A)と下記マクロモノ
    マー(B)とを、(A);97〜50重量%および
    (B);3〜50重量%の割合でラジカル共重合してな
    るグラフトポリマーからなる常温乾燥型塗料。 (A)アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレー
    トからなり、それらを併せて50重量%以上含むラジカ
    ル重合性単量体混合物。 (B)メチルメタクリレート単量体単位を主単位とする
    重合体の片末端にラジカル重合性官能基を1個有するマ
    クロモノマー。
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