JPH0623290Y2 - リフト付き入浴装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、在宅において要介護者
（例えば、高齢者）を入浴させる、リフト付き入浴装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】在宅用の入浴装置として、架台上に昇降
リフトを立設し、該昇降リフトに水平方向に延びる旋回
アームを介して椅子を支持させた構造のものが知られて
いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の入浴装置にあっては、以下のような欠点を有し
ていた。

【０００４】すなわち、上記入浴装置では、椅子を１軸
の回りにのみ旋回可能な構造（１軸回動機構）になって
いるため、小回りがきかず、浴室が狭い場合に介護作業
が大変であった。 また、上記のように１軸回動機構であるため、浴室内の
昇降リフトに取り付けた椅子を浴室の外側位置まで出す
ことが困難になる。このため、入浴者は、通常、浴室の
出入口部分に突出形成される水切り用の断差を乗り越え
て浴室へ入らなければならず、水きり用の断差を乗り越
えることは重度の要介護者にとって大変な労苦であっ
た。

【０００５】本考案は上記事情に鑑みてなされたもの
で、入浴者が、通常、浴室の出入り口部分に設けられる
水切り用の段差を乗り越える必要がなく、浴室の外部か
らでも直接入浴用椅子に座ってその状態のまま浴室へ入
ることができ、かつ、そのまま入浴することができ、し
かも浴室内において介護スペースを広くとることができ
るリフト付き入浴装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案では係る目的を達
成するために、支柱を浴室の出入口および浴槽の近傍位
置に立設し、該支柱にアームの基端を水平面に沿って回
動自在に設け、該アームの先端に椅子を水平面に沿って
回転自在に設け、前記椅子を昇降調整する昇降機構を設
け、かつ前記アームをその基端を中心として旋回させた
とき前記椅子が浴槽および前記浴室の出入口に至る長さ
に前記アームの長さを設定する構成とした。

【０００７】

【作用】回動部分が支柱とアーム先端の２箇所ある、い
わゆる２軸回動機構であること、並びに旋回時に先端が
浴室の出入口に至るような長さにアーム長を設定してい
るため、アームを旋回させることで椅子を浴室の外側位
置に配置することができる。

【０００８】このため、入浴者が浴室の出入り口部分に
ある水切り用段差を乗り越える必要はなくなり、浴室の
外部からでも直接椅子に座ってその状態のまま浴室へ入
ることができる。

【０００９】また、上記のように椅子を２軸回動機構で
支持しているから、椅子の自由度が増すこととなり、そ
の分浴室内において介護スペースを広くとることができ
る。

【００１０】さらに、椅子を昇降調整する昇降機構を設
けているので、浴室内にとどまらず浴室外でも椅子の高
さ調整が行えることとなり、浴室の外側において入浴者
を例えば車椅子から入浴用椅子に乗り移す場合にその作
業が容易になる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面を参照しなが
ら説明する。 図１は本考案にかかる入浴装置の概略を示す図である。
図において符号１は浴室、２は下部に水切り用の段差２
ａを備える浴室の出入口、３は浴槽、４は浴槽の上面と
面一に仕上げられた棚部であり、該棚部４の下方は中空
構造になっている。

【００１２】浴室１内には、支柱７が、上記棚部４を貫
通するように、かつ浴室の出入口２および浴槽３の近傍
に位置して立設されている。支柱７にはアーム８の基端
が水平面に沿って回動自在に設けられ、該アーム８の先
端には椅子９が支持軸１０を介して水平面に沿って回転
自在に設けられている。

【００１３】前記支柱７の下部であって前記棚部４の下
側部分には油圧シリンダ１１が配置され、該油圧シリン
ダ１１により支柱７およびアーム８を介して椅子９が昇
降調整されるようになっている。

【００１４】また、アーム８がその基端を中心として旋
回されたとき椅子９が浴槽３内および浴室１の出入口２
に至る程度に、前記アーム８の長さおよび支柱７の位置
がそれぞれ設定されている。

【００１５】前記椅子９は、支持軸１０の外周にブラケ
ット１２が取り付けられ、該ブラケット１２には背も垂
れ部１３とコ字状の椅子フレーム１４が取り付けられた
構造になっている。椅子フレーム１４は、互いにヒンジ
結合された垂直部１４ａと水平部１４ｂとから成るもの
であり、水平部１４ｂには座を構成する板１５が取り付
けられている。

【００１６】なお、１６，１６はロックレバーであり、
前記アーム８の基端部及び先端部に取り付けられて、ア
ーム８ならびに椅子９の回動を規制してロック状態にす
るものである。

【００１７】次に、上記リフト付き入浴装置の作用につ
いて説明する。要介護者を入浴させる場合には、まず、
アーム８および椅子９を適宜回動させて、椅子９を浴室
１の出入口２から外側に位置させる。そして、車椅子等
により運んできた要介護者を椅子９上に移し替える。こ
のとき、必要に応じて油圧シリンダ１１を伸張させて椅
子９の高さ調整し、車椅子の高さに合わせればよい。

【００１８】次いで、椅子９上に要介護者を乗せたま
ま、アーム８等を回動させて椅子９ごと要介護者を浴室
１内に入れる。このとき、要介護者は椅子９に乗ったま
ま浴室１内に移されるので出入口２の段差２ａを乗り越
える必要がない。次いで、要介護者の体を適宜洗った
後、油圧シリンダ１１を伸張させて要介護者を椅子９上
に乗せた状態のまま上昇させ、アーム８を回動させて浴
槽３の側壁を乗り越えらせ浴槽３内に至らしめて入浴状
態にする。

【００１９】次いで、要介護者を出浴させる場合には、
上記とは逆の操作を行い、浴室１の出入口から外側へ出
し、車椅子等に適宜移し替えて所定箇所まで移送する。

【００２０】上記浴室１内に要介護者に代わって通常の
人が入浴する場合には、図中２点鎖線で示すように、ア
ーム８を浴室１の出入口２とは逆側の壁面１Ａに当接す
るまで回動させ、この状態で椅子９を垂直部１４ａと水
平部１４ｂとのヒンジ部を利用して折り畳む。この状態
では、浴室１内で占める椅子９やアーム８のスペースを
できるだけ小さくできることから、通常の人の入浴に支
障はない。

【００２１】なお、上記実施例では、椅子９を昇降させ
るのに油圧シリンダ１１を用いているが、これに限られ
ることなく、駆動源としてモータを用い、スプロケット
およびチェーンを介して椅子９を昇降させる構成でもよ
い。 また、アーム８の構造はこれに限られることなく、例え
ばロッドを２段組み合わせた伸縮調整自在な構成として
もよい。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、回
動部分が支柱とアーム先端の２箇所ある、いわゆる２軸
回動機構であること、並びに旋回時に先端が浴室の出入
口に至るような長さにアーム長を設定しているため、ア
ームを旋回させることで椅子を浴室の外側位置に配置す
ることができ、このため入浴者が浴室の出入り口部分に
ある水切り用段差を乗り越える必要はなくなり、浴室の
外部からでも直接椅子に座ってその状態のまま浴室へ入
ることができ、かつ、そのまま入浴することができる。 また、上記のように椅子を２軸回動機構で支持している
から、当該入浴装置によって入浴者を入浴させる場合、
入浴者を椅子に移す際に入浴状態を想定して移す必要が
なく、介助者にとって作用性がよくかつかつ入浴者にと
って最も適切な姿勢で、入浴者を椅子上に移すことがで
きる。また、仮に、入浴者を支柱を背にして椅子上に移
した場合でも、その後、入浴者の足がアーム先端の接線
方向あるいはアームの半径方向内方を向くように椅子の
向きを変えて、アームを支柱の回りに回転させるように
すれば、入浴者を入浴させるために要する占有スペース
は狭くて足りる。さらに、支柱の立設位置の自由度が広
がる他、椅子の自由度が増すこととなり、その分浴室内
において介護スペースを広くとることができる。加え
て、椅子を昇降調整する昇降機構を設けているので、浴
室内にとどまらず浴室外でも椅子の高さ調整が行えるこ
ととなり、浴室の外側において入浴者を例えば車椅子か
ら入浴用椅子に乗り移す場合にその作業が容易になる等
の優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる入浴装置の斜視図である。

【符号の説明】

１ 浴室 ２ 出入口 ３ 浴槽 ７ 支柱 ８ アーム ９ 椅子 １０ 支持軸 １１ 油圧シリンダ（昇降機構） １４ 椅子フレーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 支柱を浴室の出入口および浴槽の近傍位
   置に立設し、該支柱にアームの基端を水平面に沿って回
   動自在に設け、該アームの先端に椅子を水平面に沿って
   回転自在に設け、前記椅子を昇降調整する昇降機構を設
   け、かつ前記アームをその基端を中心として旋回させた
   とき前記椅子が浴槽および前記浴室の出入口に至る長さ
   に前記アームの長さを設定していることを特徴とするリ
   フト付き入浴装置。