JPH06228338A - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

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JPH06228338A
JPH06228338A JP1482293A JP1482293A JPH06228338A JP H06228338 A JPH06228338 A JP H06228338A JP 1482293 A JP1482293 A JP 1482293A JP 1482293 A JP1482293 A JP 1482293A JP H06228338 A JPH06228338 A JP H06228338A
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acid
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英幸 山内
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Kunio Shibatsuji
邦雄 芝辻
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Abstract

(57)【要約】 【目的】蒸着後の酸素、水蒸気に対するガスバリア性だ
けでなく蒸着層との接着力が極めて大きいフィルムおよ
びインク印刷加工適性に優れたフィルム、及び一般包装
材料、鋼板ラミネート用途に適したフィルムを得ること
を目的とするものである。 【構成】少なくとも片面からエタノールを溶媒として抽
出した際に、下記式(I)を満足することを特徴とする
ポリエステルフィルム。 Xi/Y≦0.2 (I) Xi:抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)装置にて分析した際に環状オリゴマーより速く検出
される中の最大値を持つピークの面積。 Y :抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)装置にて分析した際の環状オリゴマーのピーク面
積。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム金属など
の蒸着適性およびインク印刷適性などに優れており、特
に蒸着後のフィルムが酸素、水蒸気に対するガスバリア
性と同時に蒸着層に対する接着力が極めて強固であるこ
とやインク印刷時のインク接着力や工程通過性に優れて
いるを特徴とするポリエステルフィルムに関する。
【0002】さらに、本発明のフィルムは表面の安定性
に優れており、一般包装材料、鋼板などへのラミネート
フィルムなどにも使用することが可能である。
【0003】
【従来の技術】従来、ポリエステルフィルムに、蒸着適
性、インク印刷適性を付与する方法としては、コロナ放
電処理を施す方法、低結晶性ポリエステルと高結晶性ポ
リエステルとを混合する方法(特公昭64−10188
号など)、脂肪族ジカルボン酸との共重合ポリエステル
を高結晶性ポリエステルに積層する方法(特開平4−3
3853)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コロナ
放電処理を施す方法や低結晶性ポリエステルと高結晶性
ポリエステルとを混合する方法では、酸素、水蒸気に対
するガスバリア性は付与できるものの蒸着層との接着力
が不十分であり、脂肪族ジカルボン酸との共重合ポリエ
ステルを単に高結晶性ポリエステルに積層する方法で
は、ガスバリア性と蒸着層との接着力を両立することは
できないばかりか、品質の均一性に劣るという問題点を
有していた。さらに、インク密着力に対しては経時変
化、湿度による変化が著しく、フィルムを加工工程にお
いて長時間通過させた時にロール汚れ、印刷不良などの
問題が発生するという欠点があった。
【0005】本発明は、上記課題を解決し、蒸着後の酸
素、水蒸気に対するガスバリア性だけでなく蒸着層との
接着力が極めて大きいフィルムおよびインク印刷加工適
性に優れたフィルム、及び一般包装材料、鋼板ラミネー
ト用途に適したフィルムを得ることを目的とするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は少な
くとも片面からエタノールを溶媒として抽出した際に、
下記式(I)を満足することを特徴とするポリエステル
フィルムに関するものである。
【0007】Xi/Y≦0.2 (I) Xi:抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)装置にて分析した際に環状オリゴマーより速く検出
される中の最大値を持つピークの面積。
【0008】Y :抽出物をHPLC(高速液体クロマ
トグラフィー)装置にて分析した際の環状オリゴマーの
ピーク面積。
【0009】本発明のポリエステルは、酸成分として、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスル
ホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、
ベンゾフェノンジカルボン酸およびそれらのエステル形
成性誘導体などの芳香族ジカルボン酸成分、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデ
カジオン酸、ドデカジオン酸、ブラシル酸、テトラデカ
ジオン酸、ペンタデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、
ヘプタデカジオン酸オクタデカジオン酸、ノナデカジオ
ン酸、エイコサンジオン酸、ヘネイコサンジオン酸、ド
コサンジオン酸、トリコサンジオン酸、テトラコサンジ
オン酸、ペンタコサンジオン酸、ヘキサコサンジオン
酸、ヘプタコサンジオン酸、オクタコサンジオン酸、ノ
ナコサンジオン酸、トリアコンタンジオン酸およびそれ
らのエステル形成性誘導体、炭素数10〜25の不飽和
脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸およびその水添
体、およびそのエステル形成性誘導体等などの脂肪族ジ
カルボン酸成分等を挙げることができる。グリコール成
分としては、炭素数10以下の脂肪族、脂環族、芳香族
ジオールの中から選ばれる1種以上のグリコール成分、
好ましくは、エチレングリコールである。
【0010】本発明のフィルムは、単層、積層フィル
ム、または延伸、未延伸フィルムのどれでもよいが、透
明性、加工性、ハンドリングの点では積層フィルムが好
ましい。
【0011】さらに、加工適性を良好にする上で、鋼
板、蒸着層などと接着する層は、低融点ポリエステルで
あることが好ましく、融点は好ましくは190℃〜25
0℃、さらに好ましくは200℃〜240℃である。ま
た、結晶融解エネルギー(ΔHu)が10cal/g以
下であることが好ましく、さらに好ましくは、8cal
/g以下であることが望ましい。特に鋼板と接着させる
場合には、接着層の結晶融解エネルギー(ΔHu)が5
cal/g以下、好ましくは4cal/g以下が望まし
い。
【0012】さらに、インク接着性、蒸着性の点では低
融点ポリエステルが芳香族ジカルボン酸残基50〜95
モル%と脂肪族ジカルボン酸残基5〜50モル%および
グリコール残基を主たる構成成分とするポリエステルで
あると、フィルムの経時変化が少なく、加工適性が優れ
るので好ましい。特に脂肪族ジカルボン酸残基が5〜5
0モル%であると、ポリマの熱安定性、低融点化が両立
できるので好ましく、脂肪族ジカルボン酸成分として
は、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、ダイマ
ー酸などが好ましく使用でき、特に、セバシン酸、ドデ
カジオン酸などは好ましい。
【0013】また、鋼板ラミネート用のフィルムとして
は、低融点ポリエステルがイソフタル酸を共重合したポ
リエチレンテレフタレート(以下PETと呼ぶことがあ
る)であることが好ましく、固有粘度としては0.7d
l/g以上が好ましい。
【0014】本発明の積層フィルムにおいてA層を形成
する高融点ポリエステルとは、融点が220〜280
℃、好ましくは230〜270℃である。芳香族ジカル
ボン酸残基および脂肪族グリコール残基を主たる構成成
分とする熱可塑性ポリエステルであって、具体的にはエ
チレンテレフタレート、エチレンナフタレート、ブチレ
ンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル
が好ましい。本発明では、特にその構成成分の90モル
%以上、好ましくは96モル%以上がエチレンテレフタ
レート単位であるポリエステルが加工時の熱負荷に対す
る耐久性の観点から好ましい。また、結晶融解エネルギ
ー(ΔHu)が6cal/g以上であることが好まし
く、さらに好ましくは、8cal/g以上20cal/
g以下であることが望ましい。
【0015】また、A層には高融点ポリエステル以外
に、回収などにより低融点ポリエステルが特性を損なわ
ない程度に少量ブレンドされていてもよい。
【0016】また、低融点ポリエステルで形成されるB
層の厚みは、インク接着性、蒸着性の点では5μm以下
であることが好ましく、フィルムの透明性、蒸着後のガ
スバリア性の点から0.005〜1μmであることが好
ましい。一方、鋼板ラミネート用途ではB層の厚みは5
〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0017】本発明では、ポリエステルの少なくとも片
面側からエタノールを溶媒として抽出した際に下記式
(I)を満足すると、フィルムの経時変化が少なく、イ
ンク印刷加工適性に優れ、蒸着後の酸素、水蒸気に対す
る良好なガスバリア性、蒸着層に対する良好な接着力を
両立することができる。さらには、鋼板ラミネート用途
として内容物と接する面として味覚の変化が少なく好ま
しい。
【0018】Xi/Y≦0.2 (I) Xi:抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)装置にて分析した際に環状オリゴマーより速く検出
される中の最大値を持つピークの面積。
【0019】Y :抽出物をHPLC(高速液体クロマ
トグラフィー)装置にて分析した際の環状オリゴマーの
ピーク面積。
【0020】特にインキ接着性、蒸着性の点では接着面
が式(I)を満足すると接着力が向上し、経時変化が著
しく少なくなるので好ましい。一方、缶に使用される鋼
板ラミネート用途では内容物と接する面において式
(I)を満足すると味の変化が小さく好ましい。特に式
(I)のXi/Yの値が0.1以下であると、インク接
着性、蒸着性、鋼板ラミネート用途において特性が良好
となるので好ましい。また、Xiとして検出されるピー
クのうち、特にベンゼン骨格を有している低分子量物と
考えられるピーク強度が小さい方が、味覚変化、工程通
過性、バリア性、接着性を良好にするために好ましい。
【0021】式(I)を満足させる方法としては、溶融
製膜する以前のポリエステルのカルボキシル末端基濃度
が50当量/トン以下、好ましくは45当量/トン以
下、特に好ましくは40当量/トン以下とする方法、低
融点ポリエステルと高融点ポリエステルの積層フィルム
を製造する上で、ポリエステルの押出温度を低くするな
どによるポリエステルが受ける熱履歴を低減させる方
法、溶融ポリマ中の低分子量物を真空ベントにより除去
する方法、これらを組み合わせた方法などが好ましく用
いられるが、方法としては特に限定されない。
【0022】また、ポリエステルのカルボキシル末端基
濃度を低減させるには、重合時間を短くしたり、触媒に
よる方法があるが、重合終了温度としては、260℃以
上290℃未満が好ましく、好ましくは260℃以上2
85℃以下、特に好ましくは265℃以上280℃以下
が、適度な重合度とカルボキシル末端基を低減させる上
で好ましい。
【0023】式(I)を満足させる方法例について蒸着
用途を例に詳述すると、例えば低融点ポリエステルとし
てセバシン酸ジメチルをテレフタル酸ジメチルに対して
10モル%仕込み、エチレングリコール、エステル交換
反応触媒として酢酸カルシウムを仕込み、常法によりエ
ステル交換反応を行ない、リン酸トリメチル、三酸化ア
ンチモン、平均粒子径2μmの酸化珪素粒子を添加し、
徐々に真空度、温度を上げながら最終温度275℃で重
縮合反応を行う。次に、上記低融点ポリエステルとポリ
エチレンテレフタレートとをそれぞれ別の押出機を用い
て溶融押し出して、口金マニホールド部または口金に入
るポリマ管内で積層する。さらに、積層された低融点ポ
リエステルからなるA層と高融点ポリエステルからなる
B層を基本構成とする積層体は、シート状または円筒状
に溶融押し出されて、好ましくは静電印加しながら高融
点ポリエステルのガラス転移温度以下に急冷する。その
後、予熱して少なくとも一軸に延伸し延伸フィルムを得
る。延伸倍率は一軸方向に2〜5倍の範囲であることが
好ましく、二軸延伸では面倍率で4〜20倍の範囲であ
ると、機械特性、平面性共に良好となるので好ましい。
その後、加工適性、蒸着後の酸素、水蒸気に対する良好
なガスバリア性、蒸着層に対する良好な接着力を両立す
るうえで、低融点ポリエステルの融点(Tm)に対し
て、(Tm−10)〜(Tm+40)℃、好ましくはT
m〜(Tm+35)℃で熱処理することが好ましく、さ
らには高融点ポリエステルの融点−10℃以下である。
熱処理時間としては1〜30秒、好ましくは2〜20秒
程度である。ここで、本発明の熱処理温度とは、後述す
る示唆示差走査型熱量計を用いて観測される、ポリエス
テルの熱処理時の熱履歴として残存している熱結晶化に
伴うメタクリスタルの融解ピークの温度を意味し、必ず
しも製膜中の熱処理ロールあるいはオーブン中の雰囲気
温度に一致するものではない。また、上記条件により熱
処理を施した積層ポリエステルフィルムは、熱処理後直
ちに急冷することが、接着性を良好にする上で好まし
い。
【0024】一方、鋼板ラミネート用途としては、固有
粘度1.0のイソフタル酸5モル%共重合PET(融点
240℃、二酸化ゲルマニウム、リン酸トリメチル、酢
酸マグネシウム含有)、固有粘度1.0のイソフタル酸
17.5モル%共重合PET(融点213℃、二酸化ゲ
ルマニウム、リン酸トリメチル、酢酸マグネシウム含
有)を融点+20℃の温度にてそれぞれ別の押出機を用
いて溶融押し出して、口金マニホールド部または口金に
入るポリマ管内で積層する。さらに、積層された低融点
ポリエステルからなるA層と高融点ポリエステルからな
るB層を基本構成とする積層体は、シート状または円筒
状に溶融押し出されて、好ましくは静電印加、またはエ
アーを吹き付けながら高融点ポリエステルのガラス転移
温度以下に急冷する。その後、このフィルムは延伸して
もよいし、未延伸で巻き取っても良い。
【0025】フイルムの全厚みとしては1〜200μ
m、好ましくは2〜100μm、特に好ましくは3〜5
0μmである。
【0026】フィルム構成としては、A層/B層、B層
/A層/B層、さらには3層より多層の積層構成であっ
てもよい。さらに、A層、B層以外の層を積層してもよ
く、具体的には、帯電防止層、マット層、ハードコート
層、易滑コート層、易接着層、粘着層などが例示され
る。
【0027】本発明ポリエステルフィルムは、例えば、
B層の上に蒸着層を設けて使用される。本発明の蒸着層
としては、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、珪素、
錫、鉄、銅、及びこれらの合金、およびこれらの酸化物
であり、さらに蒸着物の構造としては、上記単独金属、
合金、酸化物から選ばれた、単独層、多層である。
【0028】蒸着層の厚みは目的により適宜選択される
が、通常、1〜500nm、好ましくは5〜100nm
の範囲である。特に蒸着厚みを厚くし過ぎると蒸着層に
発生する内部応力の増大、ポリエステルフィルム中の熱
的歪の増大を招き易く、この結果、蒸着密着力が低下す
る傾向にある。
【0029】さらに、式(I)を満足するB層に例えば
アルミニウムの蒸着層を設けた場合、透過型電子顕微鏡
で約200000倍〜500000倍で厚み方向から蒸
着層を観察すると、60nm以上、好ましくは70nm
以上に成長した構造が多数見られ、構造が密に接してい
ることが望ましい。
【0030】一方、式(I)を満足しないB層に例えば
アルミニウムの蒸着層を設けた場合、透過型電子顕微鏡
で約200000倍〜500000倍で厚み方向から蒸
着層を観察すると、60nm以上の構造はまったく観察
されないか、ほとんど観察されず、平均して30nm程
度の構造が観察され、一部ボイド等を生じている場合が
あり、構造間に明確な境界のない不均一構造が見ること
ができる。
【0031】また、本発明のフィルム、A層および/ま
たはB層には、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジル
コニウム、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機粒
子、架橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼン、シリコ
ーン等の有機粒子から選ばれる1種または2種以上の粒
子を易滑性改善のために添加することが好ましい。
【0032】粒子の平均粒子径としては0.01〜10
μm、好ましくは0.1〜6μmであると易滑性、透明
性のバランスに優れるので好ましい。各層への添加量と
しては0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜
0.5重量%である。
【0033】原料回収などにより、A層には特性を損ね
ない範囲で高融点ポリエステル以外のポリエステル、例
えばB層のポリエステル成分が少量含有されていてもよ
い。
【0034】さらに、本発明のポリエステルフイルムの
各層には、その用途に応じて結晶核剤、酸化防止剤、着
色防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、易滑
剤、難燃剤、帯電防止剤などを配合することができる。
【0035】以上のようにして得られたフィルムは必要
に応じて、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、火炎処
理等の表面処理、さらにはコーティング処理などを行う
ことができる。
【0036】
【物性の評価方法】以下に、本発明の説明、および後述
の実施例の説明に用いた各物性、特性の測定、評価方法
について説明する。
【0037】(1)固有粘度(IV) ο−クロロフェノールを溶媒として、25℃で測定す
る。単位はdl/g。
【0038】(2)融解エネルギー(ΔHu)、融点
(Tm)、ガラス転移温度(Tg) 示差走差型熱量計DSC2(パーキンエルマー社製)を
用いて求める。
【0039】窒素気流下にて、280℃×5分間溶融保
持し、次いで液体窒素を用いて冷却した。
【0040】こうして得られたサンプルを10℃/分の
昇温速度で昇温していった際に、ガラス転移温度(T
g)とする。また、結晶融解に基ずく吸熱ピーク温度を
融点(Tm)とし、該ピーク面積より融解エネルギー
(ΔHu)を求めた。なお、補正はインジウムの融解エ
ネルギーを用いて行った。
【0041】(3)表面抽出特性(Xi/Y) フィルム表面だけを溶媒(エタノール)と接触させて、
70℃で1時間抽出する。溶媒を常温減圧下で除去し、
抽出物をアセトニトリル2mlに溶解し、HPLC(高
速液体クロマトグラフィー)装置(検出器:島津製作所
製SPD−6AV、カラム:ODS−2)を用いて、移
動相条件:水/アセトニトリル(25%/75%)、流
速:1.5ml/分、測定波長:242nm、温度:4
5℃で分析した。その時の約4.592分に検出される
PET環状オリゴマーのピーク面積(Y)とその時間内
に検出されるピークの中で最大値を持つピーク面積(X
i)を求め、その比Xi/Yを計算する。
【0042】(4)熱処理温度 (2)と同様に示差走査型熱量計を用い、ポリエステル
の結晶融解に帰属されるピークの内、メタクリスタルに
対応する融解ピーク温度を熱処理温度とする。
【0043】(5)積層厚み 積層の厚みは以下のようにして求める。
【0044】層厚みが0.2μm未満の場合 エリプソメトリ法(自動エリプソメータ(溝尻光学工業
所製DVA−36L)により求めた。
【0045】層厚みが0.2μm以上の場合 サンプルの厚みを電子マイクロメータで測定する。つい
でB層は溶かすが、A層は溶かさない溶媒を用いて、該
測定部のB層を除去して、再度同一部位の厚みを測定
し、これらの値の差より求める。この測定を20点行
い、ばらつきの大きい値を大きい方2点、小さい方2点
の計4点を除去して、平均して求めた。
【0046】(6)水蒸気透過率 水蒸気透過率測定装置(ハネウエル製:W825型)を
用いて40℃、100%RHの条件にて測定した。
【0047】(7)酸素透過率 ASTM−D−3985に準じて、酸素透過率測定装置
(モダンコントロールズ社製:OX−TRAN100)
を用いて20℃、0%RHの条件にて求めた。
【0048】(8)アルミニウム接着力 アルミニウム金属を電子ビーム加熱式蒸着機を用いて、
蒸着層厚み50nm蒸着し、次いでポリエステル系接着
剤を用いて未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)
(東レ合成フィルム(株)製T3501、50μm)を
積層して、40℃、90%RHの雰囲気に48時間放置
後、CPPを剥離した際の剥離強度を求めて、200g
/15mm以上のものを合格(A)、200g/15m
m未満のものを不合格(C)とした。
【0049】(9)インク印刷加工性 トルエン混合溶媒系のインクをグラビアロールで印刷
し、5000m走行させた時のロール汚れによりインク
印刷加工性を下記のように判定した。
【0050】A:ロール汚れが発生せず、実用上問題な
い。
【0051】B:ロール汚れが少量あるが、実用上問題
ない。
【0052】C:ロール汚れが多量発生し、実用上問題
あり。
【0053】(10)インク接着力 東洋インキ製ウレタン系1液インクマルチセットをグラ
ビアロールで印刷後、60℃1分の熱風オーブンに導
き、直ちにセロハンテープ剥離テストを行い、下記のよ
うに判定した。
【0054】A:インクが剥離しない。
【0055】B:インクの10%未満しか剥離しない。
【0056】C:インクの10%以上が剥離する。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0058】実施例1 低融点ポリエステルとしてセバシン酸ジメチルをテレフ
タル酸ジメチルに対して10モル%仕込み、エチレング
リコール(酸成分に対するモル比1.9)、エステル交
換反応触媒として酢酸カルシウム0.08重量%(対ポ
リマ)を仕込み、常法によりエステル交換反応を行な
う。次にリン酸トリメチル0.04重量%(対ポリ
マ)、三酸化アンチモン0.4重量%(対ポリマ)、平
均粒子径2μmの酸化珪素粒子をポリマに対して0.1
5重量%となるように添加し、徐々に真空度、温度を上
げながら最終温度275℃で重縮合反応を行い、IV=
0.72、Tg56℃、Tm234℃、ΔHu6.9c
al/gの低融点ポリエステルを得た。さらに、高融点
ポリエステルとしてテレフタル酸ジメチル、エチレング
リコールを原料とし、同様にして平均粒子径2μmの酸
化珪素粒子をポリマに対して0.15重量%含有する、
IV=0.68、Tg76℃、Tm257℃、ΔHu1
0.0cal/gのポリエチレンテレフタレートを得
た。次に、押出機I(平均滞留時間約40分)により高
融点ポリエステルを285℃で溶融し、押出機II(真
空ベントつき2軸押出機+ギアポンプ、平均滞留時間約
30分)低融点ポリエステルを250℃で溶融して、口
金内でA層(高融点ポリエステル)/B層(低融点ポリ
エステル)に積層後、25℃に保ったキャスティングド
ラムに静電荷を印加しながら密着冷却固化し、ついで延
伸温度90℃で3.5倍の縦延伸、テンター内で100
℃で3.5倍の横延伸を行い、240℃で熱処理し、5
%リラックスして、室温付近で急冷した。得られたフィ
ルムは、Xi/Y=0.06、熱処理温度238℃、B
層厚み0.06μm、トータル厚み12μmのフィルム
であり、水蒸気透過率1.3g/m2 /day、酸素透
過率1.4cc/m2 /day、アルミニウム接着力2
40g/15mm、インク印刷加工性A、インク接着力
Bと良好な特性が得られた。
【0059】実施例2〜実施例4 実施例2は粒子の平均粒子径、B層厚みを変更した。実
施例3は低融点ポリエステルをセバシン酸・イソフタル
酸共重合ポリエチレンテレフタレート(セバシン酸7モ
ル%、イソフタル酸3モル%、IV=0.71、Tg6
2℃、Tm232℃、ΔHu5.9cal/g)を使用
した。実施例4は、押出機を真空ベントなしの1軸押出
機とし、低融点ポリエステルを120℃、1時間予備乾
燥した後に150℃で3時間真空乾燥したものを使用し
た。いずれもフィルム特性は良好であった。
【0060】実施例5 鋼板ラミネート用途としては、固有粘度1.0のイソフ
タル酸5モル%共重合PET(融点240℃、二酸化ゲ
ルマニウム、リン酸トリメチル、酢酸マグネシウム含
有)、固有粘度1.0のイソフタル酸17.5モル%共
重合PET(融点213℃、二酸化ゲルマニウム、リン
酸トリメチル、酢酸マグネシウム含有)をそれぞれ液相
重合後に120℃で予備乾燥をし固相重合をして得た。
そして、融点+20℃の温度にてそれぞれ別の押出機を
用いて溶融押し出して、口金マニホールド部でA層/B
層に積層し、エアーを吹き付けながら30℃のキャステ
ィングドラムにキャストする。さらに、積層された低融
点ポリエステルからなるA層と高融点ポリエステルから
なるB層を基本構成とする積層体(A層厚み22μm、
B層厚み3μm)を未延伸で巻き取った。得られたフィ
ルムは、固有粘度が0.85dl/g、B層がXi/Y
=0.07であり、A層を鋼板に接着させ製缶したとこ
ろ、金属鋼板との接着性、接着後のしごき工程での成形
性が良好であるだけでなく、B層を内容物(d−リモネ
ン20ppm、ショ糖エステル10ppm含有水溶液)
に1カ月接した後の味の変化を官能検査したところ変化
がなかった。
【0061】比較例1 押出機を真空ベントなしの1軸押出機とし、低融点ポリ
エステルを20分沸水処理し、150℃で3時間真空乾
燥し、溶融温度280℃で平均滞留時間50分にて単層
フィルムを製膜したところ、表2に示すようにXi/Y
=0.30、熱処理温度220℃、トータル厚み12μ
mのフィルムであり、水蒸気透過率3.6g/m2 /d
ay、酸素透過率3.2cc/m2 /day、アルミニ
ウム接着力160g/15mm、インク印刷加工性C、
インク接着力Cとなった。
【0062】比較例2 実施例5の押出温度を285℃とした以外は同様にして
フィルムを得た。得られたフィルムは、固有粘度が0.
69dl/g、B層がXi/Y=0.22であり、A層
を鋼板に接着させ製缶したところ、金属鋼板との接着
性、接着後のしごき工程での成形性は良好であったが、
B層を内容物(d−リモネン20ppm、ショ糖エステ
ル10ppm含有水溶液)に1カ月接した後の味の変化
を官能検査したところ変化が大きかった。
【0063】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0064】
【発明の効果】本発明のフィルムは、表層の安定性に優
れており、表面加工適性、特にアルミニウム金属などの
蒸着適性およびインク印刷適性などに優れている。特に
蒸着後のフィルムが酸素、水蒸気に対するガスバリア性
と同時に蒸着層に対する接着力が極めて強固であること
やインク印刷時のインク接着力や工程通過性、缶内面用
フィルムとして内容物と接した際の味の変化が少ないこ
とに優れており、包装材料、鋼板ラミネート用途、工業
材料用途に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝辻 邦雄 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面からエタノールを溶媒と
    して抽出した際に、下記式(I)を満足することを特徴
    とするポリエステルフィルム。 Xi/Y≦0.2 (I) Xi:抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ
    ー)装置にて分析した際に環状オリゴマーより速く検出
    される中の最大値を持つピークの面積。 Y :抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ
    ー)装置にて分析した際の環状オリゴマーのピーク面
    積。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフィルムが、高融点ポリエ
    ステルからなるA層と低融点ポリエステルからなるB層
    を積層した積層ポリエステルフィルムであり、B層面が
    前記式(I)を満足することを特徴とする請求項1に記
    載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 低融点ポリエステルが芳香族ジカルボン
    酸残基50〜95モル%と脂肪族ジカルボン酸残基5〜
    50モル%およびグリコール残基を主たる構成成分とす
    るポリエステルであることを特徴とする請求項2に記載
    のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムが、高融点ポリエ
    ステルからなるA層と低融点ポリエステルからなるB層
    を積層した積層ポリエステルフィルムであり、A層面が
    前記式(I)を満足することを特徴とする請求項1に記
    載のポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH05255491A (ja) * 1991-07-15 1993-10-05 Mitsubishi Kasei Corp 共重合ポリエステルならびにそれより成る中空容器および延伸フィルム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH05255491A (ja) * 1991-07-15 1993-10-05 Mitsubishi Kasei Corp 共重合ポリエステルならびにそれより成る中空容器および延伸フィルム

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