JP2002331575A - 離型用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

離型用二軸延伸ポリエステルフィルム

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JP2002331575A
JP2002331575A JP2001137615A JP2001137615A JP2002331575A JP 2002331575 A JP2002331575 A JP 2002331575A JP 2001137615 A JP2001137615 A JP 2001137615A JP 2001137615 A JP2001137615 A JP 2001137615A JP 2002331575 A JP2002331575 A JP 2002331575A
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polyester film
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JP2001137615A
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Masayuki Teramoto
正行 寺本
Masami Kuno
政己 久野
Yoriyuki Takagi
順之 高木
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環境負荷を低減するために従来品より厚みが薄
いフィルムであっても、加工時のしわや破れ等の問題な
く加工に耐え、塗布、加工欠点につながる厚みムラが良
好で、しかも表面オリゴマ−の析出の少ないセラミック
コンデンサ用グリ−ンシ−ト、液晶偏光板保護、フォト
レジスト、さらにはエポキシ樹脂をコ−ティングして製
造される多層基板用などに好適な各種離型用ポリエステ
ルフィルムを提供する。 【解決手段】複屈折率Δnが、Δn=nMD−nTD、
−0.08≦Δn≦−0.02(ただし、nMDはフィ
ルム長手方向の屈折率、nTDはフィルム幅方向の屈折
率を表す。)を満足する離型用二軸延伸ポリエステルフ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種離型用ポリエス
テルフィルムに関するものであり、具体的にはセラミッ
クコンデンサ生産時に使用されるグリ−ンシ−ト用、液
晶偏光板保護用、フォトレジスト用、またポリエステル
フィルム上にエポキシ樹脂等をコ−ティングして製造さ
れる多層基板用などに好適な各種離型用フィルムに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリエチレンテレフタレ−ト
フィルムは基材として、グリ−ンシ−ト製造用、液晶偏
光板用離型用、液晶保護フィルム用離型用、フォトレジ
スト用、多層基板用などの離型用途として各種使用され
ている。しかし、こうした離型用フィルムは、加工後破
棄される場合が多く、環境面での負荷が大きく、今後無
視出来ない問題となりつつある。更には、今後の使用量
の拡大に伴い、環境負荷低減の一つの方法として、フィ
ルムの薄手化が必要となることが予想される。
【0003】一方、セラミックコンデンサ用グリ−ンシ
−ト製造時に使用される離型用や液晶表示板保護用、さ
らには、セラミック多層基板用などに代表される各種離
型用フィルムは、フィルム走行方向に連続したスジ状の
厚みムラがあったり、フィルム表面に析出するオリゴマ
−欠点が工程での生産性の低下を招くことが指摘されて
いる。具体的には、長手方向につながるフィルムのスジ
状の厚みムラ欠点が、フォトレジスト用やセラミックコ
ンデンサ用のグリ−ンシ−ト製造時に使用される離型用
フィルムに於いて、対局面側のレジスト層やグリ−ンシ
−ト層に転写して、その部分での絶縁不良や漏れ電流が
問題となり、不具合となる可能性もある。また、偏光板
や位相差板用の離型用途に於いては長手方向のスジ状の
厚みムラ欠点は、塗布欠点となり、保護フィルムとして
使用した際、液晶本体の欠点と離型フィルム上での欠陥
が区別出来ずに、検査収率の低下を招き、生産性の低下
となるので解決を望まれている。
【0004】表面オリゴマ−に関しては、特開平11−
156825号公報に記載してあるように、オ−ブン中
で80〜120℃の温度で乾燥させる工程や乾燥工程後
のセラミックグリ−ンシ−トへの金属ペ−スト等の電極
を印刷、乾燥させる工程に於いて、離型フィルムの背面
側にオリゴマ−が析出し、セラミックグリ−ンシ−トに
付着するという問題指摘もなされている。この対策とし
て離型用皮膜を有した背面側にオリゴマ−の析出を実質
的に抑えるための樹脂皮膜を設けるなどの提案がなされ
ているが、樹脂皮膜を設けることでコストアップの問題
が生じてしまう。
【0005】その他のオリゴマ−低減の方法として、特
開昭48−101462号公報、特開昭49−3297
3号公報等には、一旦重合したチップを更に固相で重合
することで、チップ中の低分子量体を減少させたり、溶
剤を用いてチップ中の低分子量体を除去する手法が記載
されている。更に、これらの原料を用いて、製膜する手
法や二軸延伸後熱固定したフィルムを溶剤を用いてオリ
ゴマ−等の低分子量体を抽出除去する方法が記載されて
いる。しかし、こうした固相重合やチップ中の低分子量
成分を溶剤で抽出する方法は、プロセスが増えることや
手間がかかることで、生産性悪化をもたらし、これもコ
ストアップの要因となるなどの問題を有している。
【0006】また、これまで離型用フィルムの強度面に
関しては、特開平10−44350号公報に、スル−ホ
−ル穴打ち抜き時にバリ等の発生の少ないグリ−ンシ−
ト用離型フィルムとして縦及び横方向の引張破断強度の
和が250〜450MPaでかつ全光線透過率を60%以
下である硬化シリコ−ン膜を有する2軸配向ポリエステ
ルフィルムが提案されており、この中で破断強度の最適
範囲が記載されているが、破断強度が高いフィルムはス
ル−ホ−ル穴打ち抜き性が悪化するなど離型フィルムと
して不適である点などが指摘されている。
【0007】さらに、加工性向上の観点からは、特開平
6−254959号公報には離型剤をコ−ティング加工
する際のタルミ防止方法を提案しており、表面粗さや結
晶サイズ、フィルム両端の熱収縮応力差を規定している
ものの、特に薄膜化を前提とした離型フィルムの特性を
最適化した指標や目安を提案しているものではなく、オ
リゴマ−の析出防止や厚みムラに関する有意性を明確に
するものでもない。
【0008】言い換えれば、環境負荷低減のために、フ
ィルムの薄膜化は必要であるが、単にフィルムの厚みを
薄くすると、従来は問題とならなかった加工性や作業性
において、シリコ−ンコ−ティング加工特性や最終製品
のコンデンサ、フォトレジスト、多層基板メ−カ−など
の生産工程で問題が発生する可能性が高い。これは、離
型用フィルムの加工において、通常縦方向(フィルムの
進行方向=長手方向)に張力をかけられるが、横方向
(フィルムの幅方向)に対しては、フィルムの製膜プロ
セス等と違い、クリップ等で把持できない工程が多く、
横方向に張力をかけられないなどの状況が発生し易いこ
とが要因と考えられる。つまり、現行使用されているフ
ィルムより薄いフィルムであってもセラミックスラリ−
層やフォトレジスト層、エポキシ樹脂層などの塗布工程
に耐えられるフィルムの腰だけでなく、当然離型フィル
ムに必要な特性として、前述したオリゴマ−析出防止や
厚みムラ等の特性に優れていることが必要である。
【0009】従って環境負荷を低減するために、フィル
ムの厚みが薄くても加工時の腰が十分にあり、工程で扱
いやすい上、スジ状の厚みムラ欠点が少なく、更には表
面オリゴマ−の析出が少ないグリ−ンシ−ト用、液晶偏
光板保護用、フォトレジスト用、またポリエステルフィ
ルム上にエポキシ樹脂等をコ−ティングして製造される
多層基板用などに好適な各種離型用フィルムが望まれて
いた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、上記のような離型用基材フイルムに関する各種問題
点に着目し、環境負荷を低減するために従来品より厚み
が薄くても、十分にしわや破れ等の問題なく加工に耐
え、しかも厚みムラの良好かつ表面オリゴマ−の析出の
少ないフィルムであって、セラミックコンデンサ生産時
に使用されるグリ−ンシ−ト用、液晶偏光板保護用、フ
ォトレジスト用、またポリエステルフィルム上にエポキ
シ樹脂をコ−ティングして製造される多層基板用などに
好適な各種離型用ポリエステルフィルムを提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実状
に鑑み鋭意検討した結果、特定の複屈折率を有するポリ
エステルフィルムを採用することで、前記の各種課題を
効率的に解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、複屈折率△nが、Δn=nMD−
nTD、−0.08≦Δn≦−0.02(ただし、nM
Dはフィルム長手方向の屈折率、nTDはフィルム幅方
向の屈折率を表す)を満足する離型用二軸延伸ポリエス
テルフィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の離型用二軸延伸ポリエステルフィ
ルムとしては、例えば、いわゆる押し出し法もしくは共
押し出し法により押し出し機から口金を介し、押し出さ
れた未延伸フィルムが、延伸及び熱処理する際、特に縦
方向より横方向に配向を上げて、製膜されたポリエステ
ルフィルムが挙げられる。
【0014】以下、ポリエステルフィルムが単層の場合
を例にして説明するが、本発明の離型用二軸延伸ポリエ
ステルフィルムは、共押し出し2層・3層フィルムなど
のいずれでもよく、特に単層フィルムに限定されるもの
ではない。光学用途に用いられる場合は、光線透過率や
ヘイズの制限も有るため、2層フィルムや3層フィルム
の方が粒子混率に自由度が高く好ましい。また、セラミ
ックコンデンサ用離型フィルムの場合には、光線透過率
やヘイズなどの特性よりも、工程での傷や滑り性等を重
視するために、フィルム表面の走行性や削れ防止や突起
形成の為に3層フィルムとして中層部に粒子を添加した
り、工程で発生する回収原料を入れ、製造時の環境負荷
を低減することも可能である。
【0015】また、上記ポリエステルフィルムを構成す
る樹脂は、ホモポリエステルであっても共重合ポリエス
テルであっても良い。ホモポリエステルからなる場合、
かかるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グ
リコ−ルとを重縮合させて得られる。ただし、芳香族ジ
カルボン酸でなくてもそのエステルとグリコ−ルとを主
たる出発原料として得られるポリエステルであってもか
まわない。
【0016】具体的には、芳香族ジカルボン酸として
は、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸な
どが挙げられ、脂肪族グリコ−ルとしては、エチレング
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−シクロヘキ
サンジメタノ−ル等が好ましく挙げられる。すなわち、
ポリエステル中にエチレンテレフタレート、エチレン
α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,
4’−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフタレ
ート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要
構成成分とすることが好ましい。代表的なポリエステル
は、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキレ−ト(PEN)
等である。
【0017】また、本発明の離型用二軸延伸ポリエステ
ルフィルムを、光学用途で用いられる光学離型用途、す
なわちドライフォトレジスト用や偏光板保護用フィルム
に使用する場合、ポリエステルは結晶性、あるいは溶融
時、光学異方性であることが好ましい。ここでいう結晶
性とはいわゆる非晶質ではないことを示すものであり、
定量的には結晶化パラメータにおける冷結晶化温度Tc
cが検出され、かつ結晶化パラメータΔTcgが150
℃以下のものが好ましい。さらに、示差走査熱量計で測
定された融解熱(融解エンタルピー変化)が7.5ca
l/g以上の結晶性を示すものが好ましい。なお、本発
明の効果を阻害しない範囲内で、2種以上の熱可塑性樹
脂を混合しても良い。
【0018】一方、共重合ポリエステルの場合は、30
モル%以下の第三成分を含有した共重合体であり、具体
的には、ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フ
タル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸の一
種または、二種以上が挙げられ、グリコ−ル成分として
は、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロ
ピレングリコ−ル、ブタジオ−ル、1,4−シクロヘキ
サンジメタノ−ルネオペンチルグリコ−ル等の一種また
は二種が挙げられる。
【0019】本発明の離型用二軸延伸ポリエステルフィ
ルムは、次式Δn=nMD−nTD、−0.08≦Δn
≦−0.02 (ただし、nMDはフィルム長手方向の
屈折率、nTDはフィルム幅方向の屈折率を表す。)を
満足する必要があり、Δnが−0.03以下であること
が好ましい。
【0020】Δnが−0.02より大きい場合、すなわ
ち、複屈折率が0に近い場合や極端にはプラスサイドの
場合は、フィルム幅方向のヤング率が低下し、フィルム
を薄手化した際、フィルム幅方向の腰が不足して、離型
加工時のタルミや離型時の破れなどの不具合を起こしや
すく、ハンドリング上の問題が発生する上、後述する製
品幅方向に連続したフィルム長手方向のスジ状厚みムラ
の低減効果や表面オリゴマ析出低減効果も低くなる。
【0021】また、フィルムの製膜性からは、一方的に
フィルム幅方向の強度ばかりを上げると製膜安定性を損
なうだけでなく、最低限のフィルム長手方向の強度も保
持しないと、フィルム長手方向方向に張力を掛けた場
合、フィルムの引き裂けが発生する場合があるので、Δ
nは−0.08以上である必要があり、好ましくは−
0.07以上がである。
【0022】さらに、本発明の離型用二軸延伸ポリエス
テルフィルムは、100℃で30分間の熱処理した後に、エ
タノ−ルでフィルム表面から抽出されるオリゴマ−抽出
量が10mg/m2以下であることが好ましい。なおこの時の
エタノ−ルによるオリゴマ−抽出法は、後述するエタノ
ール法に準ずるものとする。
【0023】フィルム表面に析出するオリゴマ−量の測
定に関しても、従来はキシレンやクロロホルムなどを使
用した抽出手法がこれまで採用されていたが、この測定
法についても、本発明者らが鋭意検討した結果、現実に
発生している工程ロ−ル汚れとクロロホルム等によるオ
リゴマ−抽出法では、対応がとれないケ−スもあること
が判明した。そこで、根本的な問題解決の為に、オリゴ
マ−の測定法もあわせて鋭意検討し、抽出にエタノール
を用いることで、現実の工程ロール汚れと対応のとれた
オリゴマ−の測定が可能となることを見いだした。これ
は、オリゴマ−の抽出法に従来使用されているキシレン
やクロロホルムなどは、PETを膨潤、溶解させる能力
が強く、フィルム表層部に存在するオリゴマ−だけでな
く、フィルム内部に存在する非結晶領域に溶解平衡状態
にあるオリゴマ−成分も抽出するのに対して、今回適用
したエタノ−ルを使用した表面オリゴマ−測定では、純
粋に表面に析出しているオリゴマ−だけを抽出出来るた
め、現実に発生するロ−ル工程汚れや、フィルム表面に
熱的エネルギ−により析出する汚れ等の問題との対応が
とれるのではないかと思われる。
【0024】具体的な一例を示せば、フィルム製膜時の
ステンタの熱結晶化温度を下げると、結晶サイズは小さ
くなり、溶解平衡状態にあるオリゴマ−成分が後述する
クロロホルム法で多く抽出されるが、エタノール法によ
れば、熱的なエネルギ−がかかっても、表層にオリゴマ
−が析出しにくい。これは、熱結晶化温度が低い条件の
下で製膜されたフィルムは非晶領域が多い為に、オリゴ
マ−が表面に拡散、生成される過程で非晶部にトラップ
される割合が増えた為、熱的エネルギ−が付与されて
も、一種の拡散律速状態となって析出やエステル交換反
応に時間がかかるためと推定される。
【0025】一方、ステンタでの熱結晶化温度を上げる
ことで、結晶サイズを大きくすることができる。この場
合、非晶領域を減らしていくと、クロロホルム法では、
明らかにオリゴマ−量は低減するが、エタノ−ル法で測
定した場合はオリゴマ−量は増加し、現実にフィルム表
面に析出するオリゴマ−が工程ロ−ルを汚して問題とな
ることも発見した。これも、従来よくオリゴマ−測定法
として活用されたクロロホルム法では、PETの非結晶
部分部分のオリゴマ−までも抽出する為、現実のロ−ル
汚れや加工時の汚れと対応がとれないものと推定され
る。
【0026】本発明は、フィルム表面のオリゴマ−析出
量はステンタでの熱結晶化温度に起因する結晶サイズだ
けでなく、複屈折率で示される配向結晶性に着目し複屈
折率を最適化することで、オリゴマ−の析出の少ないフ
ィルムを提供することを可能にしたものである。
【0027】配向は、フィルム長手方向でもフィルム幅
方向でも高配向であれば、オリゴマ−析出防止効果があ
ることも本発明者らの研究により判明したが、フィルム
幅方向の配向が強い方が、薄膜化した際のフィルム幅方
向の腰を保持し易い上、口金等に付着した異物やリップ
上の傷等により発生する長手方向のスジ状厚みムラの低
減効果があり、本発明においては、上記複屈折率が負側
である必要がある。理由は、上記Δnの数式の意味合い
から推察できるように、Δnがマイナスである場合は、
フィルム幅方向の配向が強いことを表しており、マイナ
スのついた数値(絶対値)が大きければ大きいほど、フ
ィルム幅方向の配向が強いことを表しているためであ
る。
【0028】更に、本発明の離型用二軸延伸ポリエステ
ルフィルムは、0.3μm以上のフィルム長手方向のス
ジ状厚みムラのないことが好ましい。
【0029】一方、表面オリゴマ−の析出に関しては、
前述したように上記複屈折率だけでなく、結晶サイズと
の関係もあることが判明した。結晶サイズを変化させた
離型用フィルムを100℃で30分間熱処理した後にエタノ
−ルで抽出されるフィルム表面に析出するオリゴマーの
量が10mg/m2以下であることを満たす為には、X線回折
法での[100]面に垂直方向の結晶サイズ(結晶子の大
きさ)が62Å以下であることが好ましい。オリゴマ−
析出防止効果等を考慮すれば、結晶サイズが60Å以下
がより好ましく、さらに好ましくは58Å以下である。
ただし、結晶サイズも小さければ良いというものではな
く、35Å未満と極端に小さい場合には熱処理が不十分
で熱収応力が大きくなり、熱収値が高くなりすぎるなど
加工上の不具合が発生する。この点から結晶サイズは3
5Å以上であり、好ましくは40Å以上である。
【0030】また、本発明の離型用二軸延伸ポリエステ
ルフィルムには、最低限の易滑性付与を主たる目的とし
て粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類
は、フィルムに易滑性を付与出来るものであれば、特に
限定されるものではないが、例えば、シリカ、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシ
ウム、燐酸カルシウム、カオリン、酸化チタン等などの
無機粒子を挙げることが出来るが、架橋ポリスチレンな
どの有機粒子を用いることもできる。
【0031】上記粒子の形状やサイズについても、特に
限定されるものではなく、必要に応じて、2種類以上の
粒子を併用しても良い。ただし、本発明の一部の用途で
ある光学用途で用いられる離型用途、すなわちドライフ
ォトレジスト用や液晶表示板保護用フィルムに使用する
場合の粒子含有量については、その用途の透明性、すな
わちヘイズや光線透過率を損なわない程度に添加量を配
慮することが必要である。
【0032】本発明の離型用二軸延伸ポリエステルフィ
ルムのフィルム厚みに関しても特に限定はされない。具
体的には、現状において製膜可能な1μm以下のサブミ
クロフィルムでもよく、また現状において製膜可能な厚
みの上限である350μm程度のものでもよい。好まし
くは4μm以上125μm以下、本発明の目的が環境負
荷低減であり、上記した現状の各種離型用途の汎用厚み
が用途によっても異なるが16〜100μmであること
を考慮すれば、より好ましくは10〜75μmの範囲で
ある。
【0033】上記本発明の離型用二軸延伸ポリエステル
フィルムは、例えば以下の方法で製造することが出来
る。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、
いわゆる押し出し法もしくは共押し出し法により押し出
し、溶融シ−トを冷却ロ−ルで冷却固化して、未延伸シ
−トを得る。ついで、得られた未延伸シ−トを二軸方向
に逐次あるいは同時に延伸して二軸配向フィルムを得
る。この時、重要なことは、まず、幅方向延伸プロセス
で本発明の必要とする複屈折率や結晶サイズなどの特性
が得られるような配慮が必要である。具体的には、十分
な幅方向倍率を取るために未延伸シ−トの幅が狭く出来
るようにすべきであり、一般によく知られる製膜条件よ
り狭幅の口金を用意するか、未延伸シ−ト幅を可変と出
来る口金を準備するか、もしくは、キャスティング後の
未延伸シ−トを延伸前の段階でエッジ部をレ−ザ−カッ
タ−やシャ−カッタ−刃で切り落として、未延伸シ−ト
幅を狭くする等の改造が必要である。あるいは、十分な
幅方向倍率がとれるように、特別にステンタを改造して
もよく、幅方向倍率を多くとる手法には限定されない。
要は長手方向延伸倍率ダウンや幅方向延伸倍率アップな
どを組み合わせて本発明の必要とする特性が得られるよ
うに十分な幅方向延伸倍率がとれるような設備を備えて
いればよい。
【0034】延伸方法の具体例として、次の方法が挙げ
れる。まず、上記のように得られた未延伸シ−トをロ−
ルまたは、テンター方式の延伸機により延伸する。この
時、長手方向の延伸温度は、通常70〜120℃、好ま
しくは80〜110℃であり、長手方向の延伸倍率は、
製膜するフィルムの厚みにもよるが、幅方向の配向を上
げるために、製膜性が確保出来る限り、長手方向を低目
の延伸倍率とすることが好ましい。
【0035】長手方向の延伸倍率は製膜するフィルム厚
みに依存する為、2倍〜7倍、好ましくは2.5〜5倍
である。次いで、一段目の延伸方向と直交する幅方向に
延伸を行う。
【0036】幅方向の延伸温度は、フィルム 厚み、速
度、インラインコ−ティング有無等によるが、通常70
〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍
率も製膜するフィルム厚み等にもよるが、通常3倍〜8
倍、横配向を上げる点からは好ましくは4〜7倍であ
る。そして、引き続き130〜250℃の温度範囲で、
横強度と熱収値のバランスを確認しながら25%以内の
弛緩を行いながら、二軸延伸フィルムを得る。
【0037】ここでは、最初に長手方向に延伸した後、
幅方向の延伸を行なう方法について述べたが、延伸順序
は逆であってもよい。また、長手方向に延伸した後、幅
方向に延伸し、更に長手方向に延伸、またはそのまま再
度、幅方向に延伸してもよい。つまり延伸は、一方向の
延伸を二段階で行っても、同時に行っても(つまり同時
2軸延伸)特に限定されないが、本発明の特性を満たす
為に最適な温度条件や縦横延伸倍率をとることが重要で
あり、最終的に得られたフィルムの複屈折率が、上記し
た本発明の範囲を満足するものであればよい。
【0038】また、フィルムの少なくとも片面にコーテ
ィングを施すことも好ましく、例えば、延伸工程中にフ
ィルム表面を処理する、いわゆるインラインコ−ティン
グが挙げられる。その具体的な手法としては、例えば、
1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、通常離型
層であるシリコ−ン層との接着を向上させる為の接着
性、帯電防止性、滑り性、耐ブロッキング性等の付与を
目的として、水系エマルジョンや水系スラリ−等のコ−
ティングを付与する方法が挙げられる。また、これらの
コ−ティングをインラインでなく、製膜後のオフライン
で塗布してもよい。
【0039】次に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明における物性の測定方法ならびに効果の
評価方法は、以下の通りである。
【0040】(1)複屈折率 JIS−K−7105に準じてフィルムの各方向の屈折
率を測定した。複屈折率Δnについては、アタゴ光学社
製アッベ式屈折率を用い、MD方向の屈折率をnMD、
TD方向の屈折率をnTDとして、下記数式で各特性値
を定義した。
【0041】Δn=nMD−nTD 尚、各方向の屈折率の測定は、ナトリウムD線を用い、
25℃にて測定した。また、10μm程度の薄手のフィ
ルムでは、特に問題とならないが、通常厚手と呼ばれる
25〜350μmのフィルムにおいては、製膜時の熱履
歴の違いからフィルムの表裏で上記複屈折率が異なる場
合も有るため、その場合は絶対値の大きい方の面の複屈
折率を使用することとする。
【0042】(2)結晶サイズ(結晶子の大きさ) 結晶サイズ、すなわち結晶子測定は、加藤誠軌著(内田
老鶴甫発行)「X線回折分析」の4.7.1項の”結晶子の
大きさ”の項に記載あるので原理については詳細は割愛
するが、[100]面に垂直方向の結晶子の大きさ(Å)
の具体的な測定については、次の手法で行った。
【0043】つまり、フィルムを30mm(長手方向)×20mm
(幅方向)になるようにカットし、該フィルムを約50μ
m以上の厚さに積層してX線回折用試料とし、X線回折
装置(日本フィリッフ゜ス製(株)TYPE PW1840)の試料ホルダ
−に設置する。フィルムの長手方向に垂直な面内でX線
の照射角を変え反射法で回折強度を測定する。測定条件
は下記の通りである。
【0044】時定数:2秒 測定角度範囲:18度〜32度 走行速度:1度/分 Divergency Slit : 1.5mmφ Scattering Slit : 1度 Recelving Slit : 0.3mm X線:Cu対陰極によるCu-Kα(35Kv、15mA、Ni-フィルタ)
【0045】PET結晶の[100], [110]面の回折角
に相当する25.8°、22.5°での回折強度をH1、H2と
し、下記式により、結晶子の大きさをD[hkl]とする
と、仮に[100]面に垂直な結晶子のサイズD[100]を
求める場合は、 D[100]=K・λ/β・cosθ ここで K(半値幅使用時の定数)=0.90 λ(X線の波長)=1.5418(Å) β(回折線幅 rad)=回折強度H1の高さの半分の回折
強度1/2H1で測定した回折線幅(半価幅)×0.01744(r
ad)* * 2π(rad)=360°(1°=0.01744rad) θ([100]面の回折角)=25.8(°) である。
【0046】(3)低分子量物(オリゴマ−)抽出法 (3−1)エタノ−ル法 製品ロ−ルの任意の箇所より、フィルムをカットして、
そこから5×5cm角のサンプルを20枚程度切り出
す。測定に必要な枚数(面積)を決定し、(ここでは6
枚)エタノ−ル(試薬1級以上)に浸し、25℃±2℃
で3分間超音波洗浄を行い、表面にブリ−ドアウトして
いる低分子量成分をエタノ−ル中に洗い流す。このエタ
ノ−ル液を日立製作所(株)製分光光度計U-3410を用
いて、オリゴマ−に起因する238nmの波長で示される
ピ−クの吸光度からオリゴマ−量を求めた。
【0047】なお、あらかじめ、図1のように作成した
検量線(R2乗=0. 993、標本数=4、y=−0.
00108+12x)にてフィルム表面のオリゴマ−量
を算出した。ここで使用したオリゴマ−の主成分である
環状3量体は、別途キシレンで抽出したPET残査を準
備し、環状3量体以外のオリゴマ−を分離する為にクロ
ロホルムによる溶解抽出/再結晶を繰り返し、液体クロ
マトグラフィ−で純度99%以上となるPET環状3量
体を得た。尚、元素分析により、Cが62.52%、Hが4.1
5%であることを確認し、モル換算で構造をC3024
12(すなわちPET環状3量体)と同定した。更に、エ
タノ−ル中への環状3量体オリゴマ−の溶解量は約1mg
/mlが限度であるから、これを基本として上記の図1の
ような検量線を作成した。
【0048】測定は、同一サンプルにて、3回測定し
て、その平均を求めた。ここでは、1回の測定で5×5
cm角のサンプルを6枚使用したが、図2に示すように
(R2乗=1、標本数=4、y=0. 000548+0.
000294x)、測定に使用する枚数を変えても、
吸光度と面積の関係は1次の関係であり、特に測定の面
積には限定されない。
【0049】なお、オリゴマ−の熱的加速試験として表
面に析出させる手法としては、縦5cm×横5cmのサイズ
に20枚程度カットし、シャ−レに入れた後、100℃
に調整したオーブンに放置して、フィルム表面にオリゴ
マ−を析出させる。30分間オーブンに静置後、シャ−
レごと取り出し、シャ−レからフィルム片を1回の測定
当たり6枚分取り出す。これを、別に用意した洗浄済み
のシャ−レに入れて、25mlのエタノ−ル溶液を注ぎ、シ
ャ−レの蓋をして、超音波洗浄機に入れて、3分間超音
波をかけ、フィルム表面に析出したオリゴマ−を洗い流
した後、上述した測定手法に基づき、238nmの波長で
示されるピ−クの吸光度からオリゴマ−量を定量した。
測定は、同一サンプルにて、3点測定して、下記計算式
によりその平均値を求めた。 オリゴマ−濃度(mg/m2)=(Abs/K)×V×10
4 /S Abs :238nmの吸光度 V :測定に使用したエタノ−ル体積(ここでは25m
l) S :測定面積(サンプルサイズ×両面×測定時枚
数) (この場合、5×5cm2の両面×枚数であるので、300cm
2となる。) K :図1の検量線から算出される傾き(この場合
12となる。)。
【0050】(3−2)クロロホルム法 エタノール法と同じサイズのフィルム片1枚を24℃±
1℃に設定した40mlのクロロホルム(試薬特級)溶液
中に、60分間静置して浸し、フィルム表面とフィルム
内部のオリゴマ−を抽出した。更にクロロホルム中に溶
けだした抽出液をメスフラスコに移し、新しいクロロホ
ルム溶液50mlを加え、規定線まで希釈し、日立製作所
(株)分光光度計U-3410で245nmに相当する吸光度を測
定し、あらかじめ測定した検量線にて、内部オリゴマ−
量として算出した。測定は、同一サンプルにて3点測定
し、その平均を求めた。
【0051】(4)厚みムラ測定法 アンリツ電気社製連続フィルム接触式厚さ型(電子マイ
クロメ−タ−)を用いて、製品から採取した製品幅の厚
みムラをチャ−ト上に記載しながらフィルムの長手方向
と直交する方向(製品の幅方向)に測定する。得られた
チャ−ト用紙から、長手方向に連続するスジ状厚みムラ
部分を抜き出し、フィルム上に存在する長手方向のスジ
状厚みムラの突起状あるいはへこみ状の部分に関して、
スジ状部の起点と終点を結んだ線をベ−スラインとし、
このベ−スラインとスジ状の最も高い山もしくは谷部に
垂線を引き、その高さもしくは深さをスジ状部の厚みム
ラとして読みとる。ちなみに、このときの測定条件は下
記の通りである。 フィルム送り速度 1.5m/分 チャ−ト送り速度 12cm/分 チャ−ト紙上の目盛り 0.1μm/1目盛り。
【0052】(5)工程ロ−ル汚れ評価 ロ−ル状フィルムを1/2インチ幅にマイクロスリット
し、200m長のリ−ルサンプルを作成する。リ−ルサ
ンプルを100℃で30分間オ−ブン中でエ−ジング後、フ
ィルム走行試験機にセットする。巻き出しから巻き取り
の間に黒いドスキン布を巻いた金属ピン上を100g/1/2
インチの張力下で200m/分の速度で200m走行させたあ
とのドスキン布の汚れを以下 ほとんど汚れなし ◎ やや汚れるがOKレベル ○ 汚れ限度レベル △ 汚れ多い × のように判定する。
【0053】(6)ヤング率測定法 まず、フィルムを試料幅10mm、長さ200mmにカット
する。オリエンテック(株)製引っ張り試験機(テンシ
ロン)UTM-4-100にチャック間の測定間隔を100mmとし、
チャッキング初荷重を2gにセット後、引っ張り速度を
200mm/分の条件下で、伸び率約2%まで引っ張る。SS
カ−ブの立ち上がり部に接線を引き、その1%強力から
下記計算式に基づき求める。なお、自動測定モ−ドの場
合は、コンピュ−タによるデ−タ処理なので、下記計算
は不要となる。
【0054】
【式1】
【0055】
【実施例】実施例1 A/B/Aの3層複合フィルムを以下の方法で製造し、
各評価を行なった。すなわち、平均粒径0.3μmの架
橋ポリスチレン粒子と平均粒径1.2μmの炭酸カルシ
ウム粒子を含有するエチレングリコールスラリーを調製
し、このエチレングリコールスラリーを190℃で1.
5時間熱処理した後、テレフタル酸ジメチルとエステル
交換反応後、重縮合し、架橋ポリスチレン粒子を2重量
%、炭酸カルシウム1重量%を含有するPETのチップ
を作った。この時、重縮合時間を調節し、固有粘度を
0.70とした(ポリエステル原料I)。また、常法に
より得られた実質的に粒子を含まない極限粘度0.65
のチップ(ポリエステル原料II)を調整し、複合フィ
ルムの表層側のA層にはポリエステル原料Iを15部、
ポリエステル原料IIを85部混合したポリエステルA
を用い、一方、中間層にはポリエステル原料IIを単独
で用いた。
【0056】これらを別々の押出機から厚み方向にA/
B/Aの積層順になるようにポリエステルを溶融し、2
90℃の温度で口金より押出し、静電印加キャスト法を
用いて表面温度30℃のキャスティング・ドラム上に急
冷固化せしめて、未延伸フィルムを作った。この時、口
金幅は、最終のステンタでの幅方向延伸倍率が最終出口
幅で8倍までとれる狭幅口金を使用した。また、押出機
の吐出量を調節し、最終ポリエステルフィルムの厚みが
30μmになるように調整した。
【0057】上記の未延伸フィルムは、エッジ部と中央
部の出力を個別に調整出来る赤外線式ヒ−タ−を利用し
ながら、エッジ部の温度を製品部より高め傾向としてエ
ッジ部を延伸しやすくした上で実質製品部に相当する位
置を115℃で3.0倍長手方向に延伸後、幅方向に1
10℃で5.0倍延伸(横倍率=ステンタ出口幅/入口
幅)した後、205℃で熱処理を施し、厚み30μmの
二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。その際のフィル
ム厚み構成は、1.5μm/27μm/1.5μmのA/B/A
の3層フィルムであった。更にこの時のフィルムの△n
は−0.06であり、また、結晶サイズは54Åであっ
た。製膜したフィルムを100℃で30分間熱的加速後のエ
タノ−ル法での表面オリゴマ−抽出量は2mg/m2と良好
であり、工程ロ−ル汚れ評価においても全く問題なかっ
た。更に、口金ポリマ−吐出部にポリマ−の変成物を強
制的に付着させて、未延伸フィルム上にスジ状厚みムラ
を形成させ、延伸後のフィルム上で長手方向のスジ状の
厚みムラを観察したが、良好であった。一方、製品幅方
向(TD)方向のヤング率は6.6GPaをキ−プして
おり、通常のポリエステルフィルムにおける38μmの
4.5GPaを上回るヤング率を有していた。
【0058】実施例2 実施例1において、幅方向の延伸倍率を4.6倍にする
以外は、全く実施例1と同様にして、30μmの二軸延
伸フィルムを製膜した。得られたフィルムの△nは−
0.05で、結晶サイズは52Åであった。この製膜し
たフィルムを100℃で30分間熱的加速し、エタノ−ル法
での表面オリゴマ−抽出量を測定したところ、4mg/m2
と良好であった。工程ロ−ル汚れ評価においてもやや汚
れがあったものの問題のないレベルであった。また、未
延伸フィルムに強制的に形成させたフィルム上の長手方
向のスジ状厚みムラは延伸後0.1μmまで軽減され、問
題となるレベルではなかった。
【0059】実施例3 実施例1において、長手方向延伸後、幅方向に4.1倍
延伸した後、185℃で熱処理を施す以外は、実施例1
と同様にして、30μmの二軸延伸フィルムを得た。得
られたフィルムの△nは−0.02で、結晶サイズは4
5Åであった。また、クロロホルム法による低分子量の
抽出量は75mg/m2と多目であったが、この製膜したフィ
ルムを100℃で30分間熱的加速し、エタノ−ル法での表
面オリゴマ−抽出量を測定したところ、0mg/m2と極めて
良好であった。更に、工程ロ−ル汚れ評価においても全
く問題なかった。更に、口金ポリマ−吐出部にポリマ−
の変成物を強制的に付着させ未延伸フィルム上にスジ状
厚みムラを形成させた後、延伸後のフィルム上で厚みム
ラを観察したところ、長手方向のスジ状厚みムラは最も
高いところで0.2μmまで軽減され、問題となるレベル
ではなかった。
【0060】実施例4 実施例1において、長手方向倍率を2.6倍とし、幅方
向に110℃で5.0倍で延伸後225℃で熱処理を施
した以外は、全く実施例1と同様にして30μmのフィ
ルムを得た。得られたフィルムの△nは−0.065で
結晶サイズは60Åであった。また、クロロホルム法に
よる低分子量の抽出量は25mg/m2と少な目であったが、
この製膜したフィルムを100℃で30分間熱的加速し、エ
タノ−ル法での表面オリゴマ−抽出量を測定したとこ
ろ、7mg/m2であった。また、工程ロ−ル汚れ評価におい
てもやや汚れがあったが問題のないレベルであった。ま
た、未延伸フィルム上に強制的に形成させた長手方向の
スジ状厚みムラもスジ状の厚みムラは観察されず、極め
て良好だった。
【0061】比較例1 実施例1において、長手方向延伸時にエッジ部と製品部
の温度を変えずに従来手法と同じ加熱方法を採用し、1
15℃で3.5倍長手方向に延伸後、幅方向に110℃
で3.5倍延伸する。その後240℃で熱処理を施し、
厚み30μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの△nは−0.004で結晶サイズは
66Åであった。また、クロロホルム法による低分子量
の抽出量は18mg/m2と少なかったが、この製膜したフィ
ルムを100℃で30分間熱的加速し、エタノ−ル法で表面
オリゴマ−抽出量を測定したところ、15mg/m2と多めで
あった。更に、工程ロ−ル汚れ評価においてもかなり汚
れがひどく、問題となるレベルであった。また、未延伸
フィルム上に強制的に形成させたシャ−プなスジ状厚み
ムラもスジ状の厚みムラは0.5μmと問題となるレベル
であった。
【0062】比較例2 比較例1において、熱固定温度を235℃にする以外
は、全く比較例1と同様にして、30μmのフィルムを
製膜した。得られたフィルムの△nは−0.008で結
晶サイズは64Åであった。また、クロロホルム法によ
る低分子量の抽出量は25mg/m2とやや少な目であった
が、この製膜したフィルムを100℃で30分間熱的加速
し、エタノ−ル法で表面オリゴマ−抽出量を測定したと
ころ、13mg/m2と多めであった。更に、工程ロ−ル汚れ
評価においてもかなり汚れがひどく問題となるレベルで
あった。また、未延伸フィルム上に強制的に形成させた
シャ−プなスジ状厚みムラもスジ状の厚みムラは0.4μ
mと問題となるレベルであった。
【0063】比較例3 比較例2において、フィルムの厚みを30μmから38
μmにする以外は、全く比較例2と同様にして、38μ
mのフィルムを製膜した。得られたフィルムの△nは−
0.01で、結晶サイズは63Åであった。また、この
製膜したフィルムを100℃で30分間で熱的加速し、エタ
ノ−ル法で表面オリゴマ−抽出量を測定したところ、11
mg/m2とやや多めであった。更に、工程ロ−ル汚れ評価
においてもやや汚れが目立ち、限度レベルと判断した。
また、未延伸フィルム上に強制的に形成させたシャ−プ
なスジ状厚みムラもスジ状の厚みムラは0.4μmと問題
となるレベルであった。
【0064】以上の実施例および比較例の結果を表1に
示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明の離型用二軸延伸ポリエステルフ
ィルムは、環境負荷を低減するために厚みを薄くして
も、加工時の腰が十分にあり、工程で扱いやすい上、ス
ジ状の厚みムラ欠点が少なく、更に表面オリゴマ−の析
出が少なく、グリ−ンシ−ト用、液晶偏光板保護用、フ
ォトレジスト用、またポリエステルフィルム上にエポキ
シ樹脂等をコ−ティングして製造される多層基板用など
に好適な離型用フィルムである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はオリゴマー濃度と吸光度との関係を示す
検量線である。
【図2】図2は測定面積と吸光度との関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:00 C08L 67:00 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA46 AF11Y AF31Y AH19 BB08 BC01 4F100 AA08 AK41A AK42 AK53 AT00B BA01 BA02 BA03 BA06 DE04 EH46B EJ38A GB41 GB43 JA11A JA20A JB12 JK06A JK15A JN18A YY00A 4F210 AA24 AE10 AF16 AG01 AG03 AH33 AH36 QC05 QC06 QG01 QG15 QG18 QW31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複屈折率Δnが次式を満足する離型用二軸
    延伸ポリエステルフィルム。 Δn=nMD−nTD −0.08≦Δn≦−0.02 (ただし、nMDはフィルム長手方向の屈折率、nTD
    はフィルム幅方向の屈折率を表す。)
  2. 【請求項2】100℃で30分間熱処理した後にフィルム表
    面に析出するオリゴマ−をエタノ−ルで抽出した量が1
    0mg/m2 以下である請求項1記載の離型用二軸延伸ポリ
    エステルフィルム。
  3. 【請求項3】0.3μm以上のフィルム長手方向のスジ
    状厚みムラがない請求項1または2記載の離型用二軸延
    伸ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】X線回折法での[100]面に垂直方向の結
    晶サイズが62Å以下である請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の離型用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】ポリエステルフィルムの厚みが10μm以
    上75μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の離型用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】少なくとも片面にコ−ティングを施した請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の離型用二軸延伸ポリ
    エステルフィルム。
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