JP4407269B2 - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4407269B2
JP4407269B2 JP2003417342A JP2003417342A JP4407269B2 JP 4407269 B2 JP4407269 B2 JP 4407269B2 JP 2003417342 A JP2003417342 A JP 2003417342A JP 2003417342 A JP2003417342 A JP 2003417342A JP 4407269 B2 JP4407269 B2 JP 4407269B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
polyester
metal plate
laminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003417342A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005177988A (ja
Inventor
晃宏 青木
秀紀 清水
尚伸 小田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2003417342A priority Critical patent/JP4407269B2/ja
Publication of JP2005177988A publication Critical patent/JP2005177988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4407269B2 publication Critical patent/JP4407269B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、主に3ピース缶用であり、清涼飲料、ビール、缶詰等の食料品用金属容器の腐食防止等の目的で缶の内面に貼り合わされるポリエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
従来、食料品用金属缶の内面、及び外面の腐食防止には一般的には塗料が塗布され、その塗料としては熱硬化性樹脂が広く用いられている。
熱硬化性樹脂塗料を塗装する方法においては、その多くは溶剤型塗料が用いられる。その塗膜の形成には150〜250℃で数分という高温・長時間の加熱が必要であり、かつ焼き付け時に多量の有機溶剤が飛散するため、工程の簡素化や公害防止等の観点から改良が要望されている。
また、前述のような条件で形成される塗膜中には、結果的に少量の有機溶剤が残存することが避けられず、例えば、上記塗膜を形成させた金属缶に食料品を充填した場合、有機溶剤が食料品に移行し、食料品の味や匂いに悪影響を及ぼすことがある。さらに、塗料中に含まれる添加剤や架橋反応の不完全さに起因する低分子量物質が食料品に移行し、前述の残存有機溶剤の場合と同様の悪影響を及ぼす場合がある。
一方、食料品用金属缶の内面、及び外面の腐食防止に関する方法として、熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法がある。例えば、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルムやポリエステルフィルムを、加熱したティンフリースチール等にラミネートし、該積層フィルムラミネート金属板を金属缶に利用するというものである。
熱可塑性樹脂フィルムをラミネートする方法によって、上記した課題のうち、工程の簡素化や公害防止等の課題は解決可能である。
しかし、熱可塑性樹脂フィルムの中で、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系フィルムを用いた場合は、耐熱性が劣るため、製缶工程での熱履歴や、製缶後におけるレトルト処理等の熱履歴を受けた時に、積層フィルムラミネート金属板からフィルムが剥離するといった問題がある。
一方、熱可塑性樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる方法は、上記ポリオレフィン系フィルムが有する問題点が改良されるので、最も好ましい方法である。
また、缶の内面側にラミネートするフィルムとして、ポリエステルフィルムは、耐熱性に優れ、かつ低分子量物質の生成も少ないため、ポリオレフィン系フィルムに比べて該低分子量物質の移行による食料品の味や匂いの劣化が生じにくい特性を持ち、所謂、耐フレーバー性に優れている。
ポリエステルフィルムを用いる場合、該フィルム中に、延伸時に発生する延伸応力が残留し、そのためにフィルムが剥れ易いといった欠点があり、その延伸応力を低減させて金属板との密着性を向上させるため、ポリエステルフィルムの成分としてポリブチレンテレフタレートを含有させる方法が効果的である。(例えば、特許文献1参照)
しかし、ポリエステルフィルムの成分としてポリブチレンテレフタレートを含有させる場合、フィルム生産時にポリブチレンテレフタレートが均一に分散していないと、厚みが不均一になったり、延伸応力の変動により、破断が頻発することがあり、操業を中断しなければならなくなる等の問題が発生するおそれがある。
特開2002−331629号公報
本発明は上記したような従来技術の課題を背景になされたものであり、ポリブチレンテレフタレートを含有した金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを製造する際に、ポリブチレンテレフタレートを均一に分散させ、厚みの不均一を防いで延伸応力の変動による破断の発生を防ぎ、それによる操業不調を低減させることを課題とするものである。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルaと、ブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルbの混合ポリエステルからなるA層と、テレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールとの共重合ポリエステルを主体とするポリエステルからなるB層の二層で構成され、該B層を金属板に接する層とし、該フィルムが該B層の融点より20℃以上低い温度で金属板にラミネート可能であり、該フィルムの全厚みが5〜25μmであり、該フィルムの全厚みに対するB層の厚み比率が25%以下であり、かつ、該フィルムのA層がポリブチレンテレフタレートを15モル%を超えない範囲で含有し、該フィルムのA層における1,000m毎のポリブチレンテレフタレート含有量の平均値からの変位が±2モル%以内であることが必要である。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、縦方向に延伸後、温度83℃の雰囲気下で30秒予熱後に横方向に引張試験を行った時に、上降伏点(σTD)が存在することが好ましい。
又、本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、ポリブチレンテレフタレートの含有量を、フィルム中の全多価アルコール成分100モル%に対する1,4−ブタンジオール成分の含有量として定義、測定されることが好ましい。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムの製造方法においては、金属板に接する側の反対の層を形成するのに使用される各ポリエステルの原料チップが、溶融押し出しする直前の漏斗状ホッパで混合されることが必要である
本発明による金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、フィルムを製造する際に、破断による操業不調を来たす可能性が極めて低い為、安定した費用、安定した供給が可能であり、そのフィルムをラミネートした積層フィルムラミネート金属板から得られる金属缶は、品質が良好な金属容器として使用することができるという利点がある。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、A層/B層の二層構成である。ここで、該ポリエステルフィルムを金属板にラミネートした積層フィルムラミネート金属板から金属容器を形成する場合、A層は内容物である食料品に接する層または容器の表面になる層であり、B層は金属板側にラミネートされる層である。従って、A層は製缶工程での耐熱性が必要であり、また、B層はA層と同様の耐熱性に加え、熱圧着によるラミネート密着性が必要である。
A層に使用されるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート主体のポリエステルaと、ポリブチレンテレフタレート主体のポリエステルbからなる混合ポリエステルであることが必要である。さらに、その構成比がポリエステルa/ポリエステルb=85〜100/15〜0モル%の範囲であることが必要である。上記構成比とすることにより、フィルムを製造する際に、破断による操業不調を来たす可能性が極めて低く、安定した費用で、安定した供給が可能な金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを得ることが可能となり、製缶加工時に帯状のフィルムを用いて補修すること等を目的とした熱処理を施す時にも、フィルムが収縮したり、余ったフィルムがだぶついたりすることなく、金属板の表面を完全に被覆することが可能となる。
A層を構成するポリエステルのポリエステルa/ポリエステルbの構成比(=85〜100/15〜0モル%)は、A層におけるポリブチレンテレフタレートの含有量と見なすことができ、これは、フィルムにおける全多価アルコール成分100モル%に対する、1,4−ブタンジオール成分の含有量を分析することで測定することができる。即ち、1,4−ブタンジオール成分が15モル%を超えない範囲であれば上記構成比が達成されることになる。1,4−ブタンジオール成分含有量が前記範囲にある場合、即ちポリブチレンテレフタレート含有量が15モル%を超えない範囲にある場合、フィルム生産時の破断等のトラブルの発生が少なくなる。1,4−ブタンジオール成分が15モル%を超えた範囲で構成された場合、即ちポリブチレンテレフタレート含有量が15モル%を超えた範囲で構成された場合、フィルム生産時に破断等のトラブルが多発して、全く製品が採取できない場合もある。
上記A層には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール類等を共重合もしくは、これらの成分からなるポリエステルを添加してもよい。
上記A層に使用されるポリエステルの融点は、240〜260℃の範囲にあるのが良く、好ましくは245〜255℃である。融点が240℃未満であると製缶補修工程等での耐熱性が不十分になるおそれがある。また、融点が260℃を超えると製造コストがかさみ、経済的に不利になるおそれがある。
上記A層は、後述の製造方法に従って積層フィルムラミネート金属板を形成したときに表面層となるので、下記の動摩擦係数測定におけるフィルム表面はA層表面である。本発明のポリエステルフィルムは、該A層表面の80℃での動摩擦係数を0.45以下とするのが良く、好ましくは0.43以下、より好ましくは0.40以下とするのが良い。該動摩擦係数を0.45以下とすることで、製缶工程等においてフィルムの疵付きや、フィルム削れ等による製缶工程汚染等を防止することができる。
上記ポリエステルフィルム表面の動摩擦係数を0.45以下にする方法としては、例えば、架橋高分子粒子及び/または無機微粒子をフィルムに含有させる方法、ポリエステル樹脂の微細な球晶を形成させる方法等が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムには、上記したように、例えば架橋高分子粒子及び/または無機微粒子を含有させることができる。架橋高分子粒子及び/または無機微粒子を含有することによりフィルム表面の動摩擦係数を下げ、製缶加工性を良好にすることができ、耐疵付き性(耐スクラッチ性)を付与することができる。これら架橋高分子粒子及び/または無機微粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋高分子粒子としては、ポリエステルの溶融成形時の温度に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はない。また、そのような架橋高分子粒子を形成する材料としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のアクリル系単量体、スチレンやアルキル置換スチレン等のスチレン系単量体等と、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の架橋性単量体との共重合体;メラミン系樹脂;ベンゾグアナミン系樹脂;フェノール系樹脂;シリコーン系樹脂等を挙げることができる。該架橋高分子粒子は、これらの材料から、従来公知の乳化重合法や懸濁重合法等により製造することができる。また、該架橋高分子粒子の粒子径や粒径分布を調整するために、粉砕や分級等を行ってもよい。
上記無機微粒子としては、ポリエステルに不溶性で、かつ不活性なものであれば特に制限はない。具体例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等の金属酸化物;カオリン、ゼオライト、セリサイト、セピオライト等の複合酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩等を挙げることができる。これらの無機微粒子は天然品であっても合成品であってもよい。また、粒子の形状も特に制限はない。
上記架橋高分子粒子及び/または無機微粒子の粒径は、好ましくは0.5〜5.0μm、より好ましくは0.8〜4.0μmである。粒径が0.5μm未満であると高温でのフィルムと金属との滑り性の向上効果が小さくなり、フィルムに疵がつき易くなる。一方、5.0μmを越えると上記の効果が飽和し、粒子の脱落が起こり易くなってフィルムの製膜時にフィルムの破断を引き起こし易くなり、衝撃強度が低下する等の傾向が現れ、好ましくない。
上記架橋高分子粒子及び/または無機微粒子のポリエステルフィルム中の含有量は、好ましくはポリエステルフィルムの全量に対して0.3〜5.0重量%、より好ましくは0.5〜3.0重量%である。0.3重量%未満では高温でのフィルムと金属との滑り性の向上効果が小さくなり、フィルムに疵がつき易くなる。又、5.0重量%を越えると上記の効果が飽和し、フィルムの製膜性が低下し、衝撃強度が低下する等の傾向が現れ、好ましくない。また、適度な曇り性、つまりヘイズを25〜60%にするような架橋高分子粒子及び/または無機微粒子を適宜加えることにより、フィルムを金属板にラミネートした金属ラミネート板の加工欠点を検知する欠点検知機の誤作動を防止することも可能である。
上記架橋高分子粒子及び/または無機微粒子のポリエステルフィルムへの配合は、ポリエステル系樹脂の製造工程で行ってもよいし、ポリエステル系樹脂に上記成分を加えて溶融・混練してもよい。また、上記成分を高濃度に含むポリエステル系樹脂を製造し、これをマスターバッチとして、上記成分を含まないか、または少量含むポリエステル系樹脂と共に溶融・混練することも可能である。
また、上記A層は、食料品の保護効果を低下させないため、あるいは缶の美観を損なわないために、レトルト処理後のフィルム表面のオリゴマーの析出が少ないことが好ましい。上記A層は、エチレンテレフタレートを一つの構成成分とするポリエステルであるため、析出するオリゴマーはそのほとんどがエチレンテレフタレート環状三量体である。従って、当該A層に使用されるポリエステルとしては、エチレンテレフタレート環状三量体含有量が少ないものを使用することが好ましい。当該ポリエステル中のエチレンテレフタレート環状三量体含有量は、好ましくは0.70重量%以下、より好ましくは0.50重量%以下である。当該環状三量体含有量が少ないポリエステルは、例えば、減圧加熱処理法、固相重合法等の該環状三量体含有量の少ないポリエステルを製造する方法、ポリエステル製造後に水や有機溶剤により該環状三量体を抽出する方法及びこれらを組み合わせた方法等により製造することができる。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、ロールに巻回されたフィルムの、金属板と接する側の層の反対の層、即ちA層におけるポリブチレンテレフタレートの含有率の変動、即ち1,4−ブタンジオール成分の含有率(モル%)の変動が、フィルムの全長に亘って小さいものでなければならない。すなわち、一定条件で選択された複数の試料について、フィルム中に含まれる1,4−ブタンジオール成分の量を測定したときに、1,4−ブタンジオール成分の含有率(モル%)が平均含有率±2モル%の範囲でなければならない。この範囲を外れてフィルムを生産すると、樹脂を押し出し機内で溶融混練し、溶融樹脂をダイより押し出す際に掛かるダイ直前の圧力変動が大きくなり、均一な厚みのフィルムが得られないばかりでなく、破断等の操業不調により、製品を採取できない場合がある。
1,4−ブタンジオール成分の平均値からの変位が±2モル%以内の範囲にする方法としては、1,4−ブタンジオール成分を含有するポリエステル系原料チップを他に使用する原料チップと共に押し出し機で溶融押し出しする直前の漏斗状ホッパで各原料を連続的に押出機へ定量供給しながら、混合する方法がもっとも好ましい。
本発明のポリエステルフィルムのB層に使用されるポリエステルとしては、特に限定されないが、テレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールとの共重合ポリエステルを主体とするポリエステルであることが好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸の構成比は、テレフタル酸/イソフタル酸=85〜95/15〜5モル%であることが好ましい。また、該共重合ポリエステルの極限粘度は、好ましくは0.55〜1.00である。極限粘度が1.00より大きいポリエステルを使用した場合、金属板にラミネートを施す際に十分なラミネート密着力が得られずに該金属板より剥れる可能性があり、極限粘度が0.55より小さいポリエステルを使用した場合、強度不足による破断等のトラブルが多発する可能性がある。
上記B層に対しても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール類等を共重合もしくは、これらの成分からなるポリエステルを添加することが可能である。
上記B層に使用されるポリエステルの融点は、220〜235℃の範囲にあるのが良く、好ましくは225〜235℃であり、より好ましくは225〜233℃である。該融点が220℃未満であると製缶工程等での熱履歴によってB層の流動性が増加し、A層の寸法変化が大きくなることがある。一方、融点が235℃を超えるとA層の融点に近づいてくるため、熱融着による金属板への密着性を確保するためには過度の熱をA層に与えなければならないことになり、フィルム強度が低下し、フィルム生産時の破損や、フィルムを金属へラミネートする際の破れの原因となるおそれがある。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、上記A層、B層を後述する方法で張り合わせ、二層構成とする。
また、本発明のフィルムの全厚み、即ちA層、B層を張り合わせた二層フィルムの厚みは、5〜25μmであることが必要である。厚みが5μm未満であるとバリヤー性に劣り、耐食性が悪くなり、更に、食品や飲料に金属容器からの低分子量物質が浸透してくるので、不適である。一方、上記フィルムの厚みが25μmを超えた場合、バリヤー効果は飽和しており、製造する為の費用が掛かるだけでメリットがない。
更に、本発明のフィルムの全厚みに対する金属板に接する層の厚み比率、即ち上記のB層の厚み比率は、25%以下であることが必要である。B層の厚み比率が、前記範囲にあれば、金属板に貼り合わせ、成形加工した時に要求される密着性、耐熱性等に問題は生じない。一方、B層の厚み比率が25%を超える場合、例えば費用削減の為にフィルムの厚みを下げる必要が生じた場合などに、A層の厚みが薄くなり過ぎ、フィルム強度が低下し、フィルム生産時の破損や、フィルムを金属へラミネートする際の破れの原因となるおそれがあり、好ましくない。
また、本発明のポリエステルフィルムのA層、B層には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤等を含有することができる。
フィルムの製造方法としては、使用される各ポリエステルの原料チップを残留する水分率が150ppm以下になるようにホッパドライヤ、パドルドライヤ等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す方法が挙げられる。あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す方法でも製造可能である。残留する水分率が150ppmを超えた原料チップを使用すると得られたフィルムの粘度が低下し、製造時破断等のトラブルが発生することがある。更にフィルムの強度が低下し、金属板にラミネートする際にフィルムが破れる等のトラブルが発生する場合がある。押し出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。A層用ポリエステルとB層用ポリエステルを、それぞれ別の押出機で所定の温度で溶融し、それぞれの溶融体を例えばダイ内で合流させた後、冷却ドラム上にフィルム状に押し出し、積層フィルムとする。押し出し後は、急冷して未延伸積層フィルムを得る。
上記フィルムは、好ましくは二軸延伸フィルムである。ポリエステルフィルムを二軸延伸することで、前記したポリエステルフィルムの具備する耐フレーバー性をさらに優れたものにすることができる。二軸延伸する方法としては、特に限定されないが、逐次二軸延伸法を使用する方が製造可能な厚みの範囲が広くなり好ましい。この場合、延伸倍率としては、縦方向、横方向とも、好ましくは2〜5倍、より好ましくは2.5〜4倍であり、延伸温度としては、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。
A層/B層の二層構成のA層に、ポリブチレンテレフタレート(1,4−ブタンジオール成分)を15モル%を超えない範囲で含有させることにより、延伸する時の応力が低減し、また、後に述べるような条件で熱固定をすることで、残留応力を低減させることが可能である。但し、このような効果が得られるのは、A層のポリブチレンテレフタレート(1,4−ブタンジオール成分)が15モル%を超えない範囲で構成され、上記のような条件で縦方向に延伸した場合に限る。
該延伸後のフィルムの中央部を切り出し、後述する試験装置で引張試験をすると、上降伏点(σTD)が存在すること、即ち弾性変形する範囲が存在することが確認される。上降伏点(σTD)が存在しないようなフィルムを上記の条件で横方向に延伸すると横方向の配向が小さい為、後に述べるような条件の熱固定をすると破断が多発し、製品を採取することができなくなるおそれがあり、好ましくない。
A層/B層の二層構成であるポリエステルフィルムのA層の二軸延伸による残留収縮応力は、熱固定法等によって低減または除去されていることが好ましい。そうすることによって製缶工程等での熱履歴による寸法変化を低減させることができるからである。また、B層は、A層が熱固定されることにより、残留収縮応力を低減または除去の際に、その熱履歴によって、非晶質化または無配向化されることが好ましい。これにより予熱させた金属板に該フィルムをラミネートさせる際、金属板をB層の融点まで予熱させなくても十分なラミネート密着力を得ることができるからであり、ラミネート工程の低温化及び高速化が実現できるからである。
当該A層の二軸延伸による残留収縮応力の低減または除去、ならびにB層の非晶質化または無配向化は、好ましくは当該フィルムを、当該B層を構成するポリエステルの(融点−5℃)以上、A層を構成するポリエステルの(融点−15℃)以下、より好ましくは当該B層を構成するポリエステルの(融点−2℃)以上、A層を構成するポリエステルの(融点−20℃)以下、の温度条件で熱固定することで上記の衝撃強度、所謂ラミネート操業性またはハンドリング性の確保も含めて達成することができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートして積層フィルムラミネート金属板を得ることができ、得られる積層フィルムラミネート金属板は、製缶加工性に優れたものである。
上記積層フィルムラミネート金属板に用いられる金属板としては、特に限定しないが、例えば、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等が挙げられる。また、その厚さは、特に限定しないが、材料の費用や製缶加工速度等に代表される経済性、一方では材料強度の確保の点から、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜400μmである。
また、上記ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートする方法としては、従来公知の方法が適用でき、特に限定しないが、好ましくはサーマルラミネート法が挙げられ、特に好ましくは金属板を通電加熱させてサーマルラミネートする方法が挙げられる。また、ポリエステルフィルムは、金属板の両面にラミネートされていてもよい。ポリエステルフィルムを金属板の両面にラミネートする場合、同時にラミネートしても逐次でラミネートしてもよい。
また、上記A層/B層の二層構成であるポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートする場合、上記のようにB層を金属板側にラミネートさせる層として用いるが、この場合、B層のバリヤー性や耐食性を優れたものとし、またラミネート密着性を更に向上させるために、熱硬化性樹脂を主成分とした従来公知の接着剤を予めB層に塗布しておき、ラミネートを実施してもよい。
本発明のポリエステルフィルムをラミネートした前述の積層フィルムラミネート金属板を成形することによって積層フィルムラミネート金属容器が得られる。金属容器の形状は特に限定されないが、例えば、缶状、瓶状、樽状等とすることができる。また、金属容器の成形方法も特に限定されないが、例えば、絞り成形法、しごき成形法、絞り・しごき成形法等の公知の方法を使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容及び効果を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、及び比較例におけるフィルムの各特性の測定方法を以下に記載する。
(1)1,4−ブタンジオール成分の含有率の測定方法
(A)クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に、カミソリでA層側のみを削り取った試料(約30mg程度)を溶解し、試料溶液を調製する。
(B)NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定する。
(C)ブチレン構造単位、すなわち−O−CHCH −CH −CH−O−における下線部のメチレンプロトンのピーク強度を算出し、多価アルコール成分100モル%中、1,4−ブタンジオール成分が何モル%含まれているかを算出する。
フィルムロールから、1,000m毎に1mのサンプルを切出し、切り取られた各試料について、上記方法で、多価アルコール成分100モル%中の1,4−ブタンジオール成分の含有率(モル%)を測定し、平均含有率(モル%)を算出する。
最大含有率がXmax(モル%)、平均含有率がXave(モル%)で、n番目に測定した含有率がYn(モル%)であるとすると、Xmax≦15モル%で、|Xave−Yn|≦2モル%であれば、本発明の要件を満足する。平均値からの変位について以下のように判定した。
○;|Xave−Yn|≦2モル%
×;|Xave−Yn|>2モル%
(2)引張試験による上降伏点(σTD)の確認方法
縦方向延伸後のフィルムの中央部を、縦方向に15mm、横方向に100mmの大きさに切り出して試料とし、該試料をThermostatic Chamber付き島津オートグラフAG−Iシリーズ(株式会社島津製作所製)にチャック間50mmで横方向にセットし、温度83℃の雰囲気下で30秒予熱後の引張速度200mm/分で引張試験を行い、得られたチャートから上降伏点(σTD)の存在を確認する。
(3)金属板へのフィルムラミネート可能温度の測定方法
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、Lタイプブライト仕上げ、表面粗さ0.3〜0.5μm、新日本製鐵株式会社製)を設定温度(10℃毎)に予熱しておき、該金属板と、厚さ12μmとしたポリエステルフィルム試料の片面とを合わせ、圧力を500N/cmとしたゴムロールとゴムロールとの間を、速度10m/分の条件で通過、次いで急水冷させて積層フィルムラミネート金属板[厚さ202μm(ポリエステルフィルム/金属板=12μm/190μm)]を得た。得られた積層フィルムラミネート金属板の中央部をフィルムラミネート進行方向に対して水平に15mm幅にカミソリでカットする。水を付けながらフィルムラミネート板から徐々にカットした15mm幅部分のフィルムを5cm程度剥離させる。剥離させたフィルムの端部とフィルムラミネート板を両者の角度が180°になるようにテンシロン(STM−50、株式会社東洋ボールドウィン製)にセットし、引張速度200mm/分で180°剥離強度を測定する。その結果0.10N/15mm以上の値を得た温度を金属板へのフィルムラミネート可能温度とした。
(4)積層フィルムラミネート金属板の熱処理におけるポリエステルフィルムの寸法変化率の測定方法
上記(3)において、予熱温度200℃で得られた積層フィルムラミネート金属板を、1辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)またはフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)またはフィルム製膜方向(未延伸フィルム)に対して平行となるよう、フィルム試料部と金属板部の面積を合同にして60mm×60mmの正方形に裁断した。次いで、この積層フィルムラミネート金属板試料を風速1〜10m/秒、温度230℃に調整した熱風オーブン中にオーブンの真ん中になるように天井からつるし、2分間熱処理を行った後、該積層フィルムラミネート金属板試料をオーブンより取り出し、直ちに25℃以下の水に1秒間以上浸漬して急水冷させた。次いで、試料のフィルム部分において、フィルム横延伸方向(二軸延伸フィルム)、またはフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)もしくはフィルム面内で製膜方向(未延伸フィルム)に直交する方向の長さを読み取り、熱処理後の寸法(I:単位mm)とした。得られたIから以下の式により寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=(|60−I|/60)×100
(5)エチレンテレフタレート環状三量体の含有率測定方法
試料をヘキサフルオロイソプロピルアルコール/クロロホルムの混合溶媒(容量比=2/3)に浸漬してポリエステルを溶解させた。次いで、メタノールでポリエステルを沈澱させ、沈澱したポリエステルを濾別し、乾燥した後、その重量を測定した。また、沈殿したポリエステルを濾別した際に得られた濾液を蒸発乾固した後、該蒸発乾固物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた。該溶液を液体クロマトグラフィー法で展開し、エチレンテレフタレート環状三量体量を定量した。その値を上記の濾別・乾燥したポリエステルの重量で割って含有率を求めた。
(6)オリゴマー析出の判定方法
上記(3)のようにして得た積層フィルムラミネート金属板を、1辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)またはフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)またはフィルム製膜方向(未延伸フィルム)に対して平行となるよう、フィルム試料部と金属板部の面積を合同にして100mm×100mmの正方形に裁断し、試料とした。この試料を500ccの蒸留水とともに、120℃で30分間レトルト処理をした。該処理後の積層フィルムラミネート金属板を風乾し、そのフィルム表面の状態をルーペで観察し、以下に示す基準に基づきオリゴマー析出の有無を判定した。
○:フィルム表面にオリゴマーの結晶が観察されない。
×:フィルム表面にオリゴマーの結晶が観察される。
(7)動摩擦係数の測定方法
上記(3)のようにして得た積層フィルムラミネート金属板を、長辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)またはフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)またはフィルム製膜方向(未延伸フィルム)に対して平行となるよう、フィルム試料部と金属板部の面積を合同にして150mm×100mmの長方形に裁断し、試料とした。次いで、50mm×70mmの接触面積を有する重量1.5kgの滑走子に該フィルム試料を表面にしてフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)またはフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)またはフィルム製膜方向(未延伸フィルム)が滑走方向と平行となるようセットし、80℃のティンフリースチール板上を速度250mm/分で滑走させたときの動摩擦係数を測定した。
(8)融点の測定方法
試料を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。その10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度を示差走査型熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)で測定した。
(9)極限粘度の測定方法
フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比=6/4)に、試料を濃度0.4g/dl(デシリットル)となるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて温度30℃で測定した。
(10)ヘイズの測定方法
JIS K7105に示すところによるヘイズ(曇価)の測定方法により測定した。
(11)水分率測定方法
乾燥過程を終了した直後のポリエステル原料チップをそれぞれ容器にサンプリングし、水分率測定まで密封しておく。原料チップ約2gを秤量し、水分気化装置(ADP−351、京都電子工業株式会社製)付きカールフィッシャ水分計(MKC−210)を用いて、気化温度180℃で測定した。
[実施例1]
(ポリエステルフィルムの製造)
A層用のポリエステルとして、平均粒径1.5μmの凝集タイプのシリカ0.3重量%及び平均粒径3.0μmであるトリメチロールプロパントリメタクリレートで架橋した球状のポリメチルメタクリレート粒子1.0重量%を含み、抽出法でエチレンテレフタレート環状三量体量を低下させた、エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.33重量%、極限粘度が0.70、融点が254℃のGe触媒で重合したポリエチレンテレフタレート90重量部と、極限粘度が1.10、融点が223℃のTi触媒で重合したポリブチレンテレフタレート10重量部との混合物(融点250℃、極限粘度0.60)を用いた。一方、B層用のポリエステルとして、平均粒径1μmの球状シリカ0.1重量%を含むGe触媒で重合したテレフタル酸及びイソフタル酸(モル比90/10)とエチレングリコールとの共重合ポリエステル(融点233℃、極限粘度0.60)を用いた。A層用の各ポリエステルは、それぞれ別のパドルドライヤで乾燥させた。乾燥後のポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの水分率はそれぞれ、46ppm、35ppmであった。また、これら乾燥後のポリエステルをそれぞれ、押出機直上の漏斗状のホッパに記載の比率になるように定量スクリューフィーダで連続的に別々に供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸式押出機で溶融させた。B層用のポリエステルは、未乾燥のままベント式押出機内で水分を除去しながら、280℃で溶融させた。この溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上に押し出し、無定形シートとした。その後、上記無定形シートを90℃で縦方向に3.3倍、横方向に4.0倍延伸し、230℃で熱固定して、A層厚さ9.5μm及びB層厚さ2.5μm(総厚さ12μm)のポリエステルフィルムを製造したところ、破断が発生することはなかった。得られたポリエステルフィルムロールのA層側の1,4−ブタンジオール成分の分析を行った結果、平均値からの変位が±2モル%以内であった。また、縦方向に延伸した後のサンプルを83℃下30秒予熱後、引張試験をすると上降伏点(σTD)が存在していた。
(積層フィルムラミネート金属板の製造)
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、Lタイプブライト仕上げ、表面粗さ0.3〜0.5μm、新日本製鐵社製)を200℃に予熱しておき、該金属板と上記ポリエステルフィルムのB層側の面とを合わせ、圧力を500N/cmとしたゴムロールとゴムロールとの間を速度10m/分の条件で通過、次いで急水冷させて積層フィルムラミネート金属板[厚さ202μm(ポリエステルフィルム(A層/B層)/金属板=12μm(9.5μm/2.5μm)/190μm)]を得た。この時にフィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであった。得られた積層フィルムラミネート金属板について上記に示すポリエステルフィルムの熱処理による寸法変化率を測定したところ、縦方向が0.9%、横方向が0.3%であった。また、フィルム表面の80℃での動摩擦係数、フィルムのヘイズ、及びフィルム中のエチレンテレフタレート環状三量体含有量を測定したところ、それぞれ動摩擦係数;0.39、ヘイズ;48%、及びエチレンテレフタレート環状三量体含有量;0.39重量%であった。さらに、オリゴマーの析出の有無を観察したところ、フィルム表面にオリゴマーの析出は観察されなかった。また、金属へのラミネート可能温度を見たところ170℃で、B層の融点(233℃)より63℃低い温度でラミネート可能であった。
(金属容器の製造)
前述の積層フィルムラミネート金属板を用い、350ml用の3ピース缶として製缶したところ、製缶工程において高速度で製缶をすることができ、該工程での熱処理後においてもフィルムのだぶつきや金属板の表面露出等の問題は生じなかった。また、こうして得られた缶に食料品を充填して125℃、30分間のレトルト処理を実施し、40℃、6ヶ月間の貯蔵テストを実施したところ、耐食性の良好な、食料品の保護性に優れたものであった。
[実施例2]
上記実施例1において、A層のポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの混合比率を95重量部/5重量部に、B層用ポリエステルとして、平均粒径1μmの球状シリカ0.1重量%を含むGe触媒で重合したテレフタル酸及びイソフタル酸(モル比90/10)とエチレングリコールとの共重合ポリエステル(融点233℃、極限粘度0.60)90重量部と極限粘度が0.70、融点が223℃のTi触媒で重合したポリブチレンテレフタレート10重量部との混合物(融点230℃、極限粘度0.60)を用いた。A層厚さを10μm、B層厚さを2μmにした以外は、上記実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム及び積層フィルムラミネート金属板を製造した。フィルム製造時は、破断はなかった。また、フィルムのA層側の1,4−ブタンジオール成分の平均値からの変位は、±2モル%以内であった。縦方向に延伸した後のサンプルを温度83℃の雰囲気下で30秒予熱後、引張試験をすると上降伏点(σTD)が存在していた。
当該ポリエステルフィルムの測定結果はそれぞれ、ヘイズ;50%、積層フィルムラミネート金属板の熱処理における寸法変化率(縦方向;1.0%、横方向;0.4%)、動摩擦係数;0.40、及びエチレンテレフタレート環状三量体含有量;0.41重量%であった。また、金属へのラミネート可能温度を見たところ160℃で、B層の融点(230℃)より70℃低い温度でラミネート可能であった。
また、当該積層フィルムラミネート金属板を用いて350ml用の3ピース缶を製造したところ、製缶工程において高速度で製缶をすることができ、該工程での熱処理後においてもフィルムのだぶつきや金属板の表面露出等の問題は生じなかった。また、こうして得られた缶に食料品を充填して125℃、30分間のレトルト処理を実施し、40℃、6ヶ月間の貯蔵テストを実施したところ、耐食性の良好な、食料品の保護性に優れたものであった。
[比較例1]
上記実施例1において、A層のポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの混合比率を75重量部/25重量部にし、各原料を記載の比率になるように定量スクリューフィーダで連続的に別々にホッパ内に供給し、パドルドライヤで乾燥させた後、いくつかの中間(緩衝)ホッパを介して、最終ホッパに供給とした以外は上記実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを製造しようとしたが、破断が頻発して、生産を中止した。
また、縦方向に延伸した後のサンプルを温度83℃の雰囲気下で30秒予熱後、引張試験をすると上降伏点(σTD)が存在していなかった。フィルムのA層側の1,4−ブタンジオール成分の平均値からの変位は、±2モル%を超えるものであった。
上記実施例1、実施例2、及び比較例1の測定、評価結果を表1に示す。
Figure 0004407269
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、フィルムを製造する際に破断による操業不調を来たす可能性が極めて低い為、安定した費用、安定した供給が可能であり、そのフィルムをラミネートした積層フィルムラミネート金属板から得られる金属缶は、品質が良好な金属容器として使用することができ、産業界に寄与すること大である。

Claims (1)

  1. エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルaとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルbの混合ポリエステルからなるA層と、テレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールとの共重合ポリエステルを主体とするポリエステルからなるB層の二層で構成され、該B層を金属板に接する層とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルムにおいて、該フィルムが該B層の融点より20℃以上低い温度で金属板にラミネート可能であり、該フィルムの全厚みが5〜25μmであり、該フィルムの全厚みに対するB層の厚み比率が25%以下であり、かつ、該フィルムのA層がポリブチレンテレフタレートを15モル%を超えない範囲で含有し、該フィルムのA層における1,000m毎のポリブチレンテレフタレート含有量の平均値からの変位が±2モル%以内である積層ポリエステルフィルムを製造する方法であって、金属板に接する側の反対の層を形成するのに使用される各ポリエステルの原料チップを溶融押出しする直前の漏斗状ホッパで混合することを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルムの製造方法。
JP2003417342A 2003-12-15 2003-12-15 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4407269B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003417342A JP4407269B2 (ja) 2003-12-15 2003-12-15 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003417342A JP4407269B2 (ja) 2003-12-15 2003-12-15 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005177988A JP2005177988A (ja) 2005-07-07
JP4407269B2 true JP4407269B2 (ja) 2010-02-03

Family

ID=34779875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003417342A Expired - Fee Related JP4407269B2 (ja) 2003-12-15 2003-12-15 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4407269B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6102422B2 (ja) * 2013-03-29 2017-03-29 東洋紡株式会社 ポリエステル樹脂及び缶内面ラミネート用ポリエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005177988A (ja) 2005-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6519605B2 (ja) ポリエステルフィルム
KR102291804B1 (ko) 백색 폴리에스테르계 필름, 적층체 및 포장봉지
US6878442B1 (en) Polyester film for metal plate laminate, film-laminated metal plate and metal container
EP3269549B1 (en) Polyester-based film for laminating metal plate
JP2006289989A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP4407269B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法
JP6760262B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム
JP4433943B2 (ja) 金属板被覆用ポリエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム被覆金属板およびポリエステル系フィルム被覆金属容器
JP2001207040A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板、および金属容器
JP4799066B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP4106174B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2002331629A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2001260295A (ja) ラミネート用ポリエステル積層フィルム、積層フィルムラミネート金属板および金属容器
JP4626279B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム、フィルムラミネート金属板及び金属容器
JP4655551B2 (ja) 金属板被覆用ポリエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム被覆金属板およびポリエステル系フィルム被覆金属容器
JP4682444B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2001192480A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2002331630A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2002307632A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2002331612A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2006062367A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JP2002241516A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器
JPH106436A (ja) 金属ラミネート用ポリエステル系フィルムおよびその製法、並びに該フィルムを用いたラミネート金属板およびラミネート金属容器
JP2021171987A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP2006240248A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板及び金属容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091020

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091102

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4407269

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131120

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees