JP4626279B2 - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム、フィルムラミネート金属板及び金属容器 - Google Patents
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Description
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、A層/B層の2層の積層フィルムである。これは、A層には製缶工程での耐熱性が必要であり、B層にはA層と同様の耐熱性に加え、熱圧着によるラミネート密着性が必要であるからである。また、かかるポリエステルフィルムを金属板にラミネートしたフィルムラミネート金属板から金属容器を形成する場合、A層は内容物である飲食料品に接する層又は容器の表面になる層であり、B層は金属板側にラミネートされる層である。
コールター社製コールター・カウンター(TAーII)を用いて測定した。
株式会社島津製作所の示差走査型熱量計(DSC−60)を用いて測定を行った。実施例1、2、比較例1、2の原材料としてのポリエステルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。その10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度(融点)を測定した。
株式会社島津製作所の示差走査型熱量計(DSC−60)を用いて測定を行った。実施例1、2、比較例1、2の原材料としてのポリエステルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。その10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温して、そのDSCチャートからガラス転移点(Tg)を測定した。
フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比で6/4)に、実施例1、2、比較例1、2の原材料としてのポリエステルを濃度0.4g/dlとなるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて温度30℃で測定した。
実施例1、2、比較例1、2の、A層を形成する原材料としてのポリエステル、及び実施例1、2、比較例1、2で得られたポリエステル系フィルムを試料として、約100mgを精秤し、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール/クロロホルム=2/3(V/V、容量比)、3mlで浸漬してポリエステルを溶解させた。次いで、クロロホルム20mlを加え、メタノール10mlでポリエステルを沈殿させ、沈殿したポリエステルをろ別し、乾燥した後、その量を測定した。また、沈殿したポリエステルをろ別した際に得られたろ液を蒸発乾固した後、該蒸発乾固物をN,N−ジメチルホルムアミド10mlで溶解させた。該溶液を遠心ろ過した溶液をHewlett Packerd社製のHPLC(LC−100)にて分析を行った。主な分析条件を以下に示す。
カラム :μ−Bondasper C18 5μ 100Å 3.9mm×15cm(waters社製)
溶離液A :2%酢酸/水(V/V、容量比)
溶離液B :アセトニトリル
グラジェントB% :10→100%(0→55分)リニアー
流速 :0.8ml/分
検出波長 :UV−258nm
乾燥過程を終了した直後の実施例1、2、比較例1、2の原材料としてのポリエステルチップをそれぞれ容器にサンプリングし、水分率測定まで密封しておく。この原材料チップを約2g程度を秤量し、京都電子工業株式会社製の水分気化装置(ADP−351)付きカールフィッシャ水分計(MKC−210)を用いて、気化温度180℃で測定した。
JIS K7105に示すところによるヘイズ(曇価)の測定方法により、実施例1、実施例2、比較例1、2で得られたポリエステル系フィルムを測定した。
日立製作所社製透過型電子顕微鏡(HU−12型)を用いて、フィルムの超薄断面切片を観察し、フィルム各層の厚み(μm)を測定した。
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、Lタイプブライト仕上げ、表面粗さ0.3〜0.5μm、新日本製鐵社製)を予め決めていた温度(10℃毎)に予熱しておき、該金属板と、実施例1、2、比較例1、2で得られたポリエステル系フィルムのB層表面とを合わせ、圧力を500N/cmとしたゴムロールとゴムロールとの間を、速度10m/分の条件で通過、次いで急水冷させてフィルムラミネート金属板〔厚さ202μm(ポリエステル系フィルム/金属板=12μm/190μm)〕を得た。得られたフィルムラミネート金属板のフィルム面側の中央部をフィルムラミネート進行方向に対して水平に15mm幅にカミソリでカットする。水を付けながらフィルムラミネート板から徐々にカットした15mm幅部分のフィルムを5cm程度剥離させる。剥離させたフィルムの端部とフィルムラミネート板を180°になるように株式会社東洋ボールドウィン製のテンシロン(STM−50)にセットし、引張速度200mm/分で180°剥離強度を測定した。その結果、0.10N/15mm以上を得た温度を金属板へのフィルムラミネート可能温度とした。
上記(9)において、予熱温度200℃で得られたフィルムラミネート金属板を、一辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)又はフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)又はフィルム製膜方向(未延伸フィルム)に対して平行となるよう、フィルム試料部と金属板部の面積を合同にして60mm×60mmの正方形に裁断した。次いで、このフィルムラミネート金属板試料を風速1〜10m/秒、温度230℃に調整した熱風オーブン中にオーブンの中央になるように天井からつるし、2分間熱処理を行った後、該フィルムラミネート金属板試料をオーブンより取り出し、直ちに25℃以下の水に1秒間以上浸漬して急水冷させた。次いで、試料のフィルム部分において、フィルム横延伸方向(二軸延伸フィルム)、又はフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)若しくはフィルム面内で製膜方向(未延伸フィルム)に直交する方向の長さを読み取り、熱処理後の寸法(I:単位mm)とした。得られたIから以下の式により寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=(|60−I|/60)×100
上記(9)のようにして得たフィルムラミネート金属板を、一辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)又はフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)又はフィルム製膜方向(未延伸フィルム)に対して平行となるよう、フィルム試料部と金属板部の面積を合同にして100mm×100mmの正方形に裁断し、試料とした。この試料を500ccの蒸留水とともに、120℃で30分間レトルト処理をした。該処理後のフィルムラミネート金属板を風乾し、そのフィルム表面の状態をルーペで観察し、以下に示す基準に基づきオリゴマー析出の有無を判定した。
有:フィルム表面にオリゴマーの結晶が観察される。
無:フィルム表面にオリゴマーの結晶が観察されない。
上記(9)のようにして得たフィルムラミネート金属板を、長辺がフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)又はフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)又はフィルム製膜方向(未延伸フィルム)に対して平行となるよう、フィルム試料部と金属板部の面積を合同にして150mm×100mmの長方形に裁断し、試料とした。次いで、50mm×70mmの接触面積を有する重量1.5kgの滑走子に該フィルム試料を表面にしてフィルム縦延伸方向(二軸延伸フィルム)又はフィルム延伸方向(一軸延伸フィルム)又はフィルム製膜方向(未延伸フィルム)が滑走方向と平行となるようセットし、80℃のティンフリースチール板上を速度250mm/分で滑走させたときの動摩擦係数を測定した。
上記(9)のようにして得たフィルムラミネート金属板を、フィルムラミネート面を内側になるように350ml用の3ピース缶を製缶し、内容物として、5重量%の食塩を含有する炭酸水(炭酸ガス濃度1000ppm)を充填して、140℃で10分間のレトルト処理を実施した後、80℃で2週間保存する。その後、充填液を抜き出し、缶を切り開き、水洗いした後のフィルムラミネート面を観察し、以下に示す基準に基づき耐腐食性を判定した。
○:フィルム表面の変色が観察されない。
×:フィルム表面の変色が観察される。
上記(9)のようにして得たフィルムラミネート金属板を5cm角に切断したものを、密閉型のガラス容器に充填したd−リモネン中に浸漬させたのち、40℃の恒温室で10日間静置し、d−リモネンを吸着させる。表面に付着しているd−リモネンをキムワイプで拭き取り、重量W1を測定した。重量W1を測定後のラミネート金属板を60℃で24時間真空乾燥させた後、重量W2を測定した。また、ラミネート金属板から剥離したフィルムの重量W3を測定した。d−リモネン吸着量を次式により求め重量%で表示した。d−リモネン吸着量が3%以下のものを○と評価し、3%を超えるものを×と評価した。
d−リモネン吸着量(重量%)=(W1−W2)/W3×100
(ポリエステル系フィルムの製造)
A層用の樹脂として、平均粒径1.5μmの凝集タイプのシリカ0.3重量%及び平均粒径3.0μmであるトリメチロールプロパントリメタクリレートで架橋した球状のポリメチルメタクリレート粒子1.0重量%を含み、抽出法(水や有機溶剤で抽出する方法)でエチレンテレフタレート環状三量体量を低下させた、エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.33重量%、極限粘度が0.62、融点が254℃、ガラス転移点が76℃のGe触媒で重合したポリエチレンテレフタレート100重量部を用いた。上記ポリエチレンテレフタレートとしては市販品(商品名:SU554、東洋紡績株式会社製)を用いた。また、上記ポリメチルメタクリレート粒子としては市販品(商品名:TN200、株式会社日本触媒製)を用いた。
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、Lタイプブライト仕上げ、表面粗さ0.3〜0.5μm、新日本製鐵株式会社製)を200℃に予熱しておき、該金属板と上記ポリエステル系フィルムのB層側の面とを合わせ、圧力を500N/cmとしたゴムロールとゴムロールとの間を速度10m/分の条件で通過、次いで急水冷させてフィルムラミネート金属板〔厚さ202μm(ポリエステル系フィルム(A層/B層)/金属板=12μm(11.0μm/1.0μm)/190μm)〕を得た。このときにフィルムの破断等、ハンドリング性に問題は生じず、良好なものであった。得られたフィルムラミネート金属板について上記に示すポリエステル系フィルムの熱処理による寸法変化率を測定したところ、縦方向が0.7%、横方向が0.3%であった。また、フィルム表面の80℃での動摩擦係数は0.39であった。さらに、オリゴマーの析出の有無を観察したところ、フィルム表面にオリゴマーの析出は観察されなかった。金属へのラミネート可能温度を見たところ170℃であった。
得られたフィルムラミネート金属板を用い、350ml用の3ピース缶として製缶したところ、製缶工程において高速度で製缶をすることができ、該工程での熱処理後においてもフィルムのだぶつきや金属板の表面露出等の問題は生じなかった。耐腐食性は○、保香性も○であった。
A層用の樹脂として、上記実施例1のA層に用いたポリエチレンテレフタレート80重量部と実施例1で得られたポリエステル系フィルムの再生原料20重量部との混合物(エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.35重量%、極限粘度が0.59、融点が250℃、ガラス転移点が72℃:ポリエチレンテレフタレート中のテレフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール以外の単量体成分の含有量が0.29モル%)を用いた。
上記実施例1において、A層で用いたポリエチレンテレフタレートに替えて、極限粘度が0.75、融点が254℃、ガラス転移点が76℃、エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.40重量%、乾燥後の水分率が45ppmのポリエチレンテレフタレートを用いた以外は上記実施例1と同様にした。上記ポリエチレンテレフタレートとしては市販品(商品名:SR554、東洋紡績株式会社製)を用いた。実施例1と同様の条件でフィルムを得ようとしたが、押出機の負荷が上がり過ぎて、目標とする厚みのフィルムが得られなかった。やむを得ずA層の樹脂温度を300℃に変更して、ポリエステル系フィルム及びフィルムラミネート金属板を製造した。フィルム製造時に破断はなかった。
A層用の樹脂として、上記実施例1のA層に用いたポリエチレンテレフタレート85重量部と極限粘度が1.20、融点が224℃、ガラス転移点が30℃のTi触媒で重合したポリブチレンテレフタレート15重量部との混合物(エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.35重量%、極限粘度0.68、融点248℃、ガラス転移点71℃、ポリエチレンテレフタレート中のテレフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール以外の単量体成分の含有量が13.3モル%)を用いた。上記ポリブチレンテレフタレートとして、市販品(商品名:ノバデュラン5020S、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)を用いた。B層用ポリエステルとしては、実施例1と同一の樹脂を用いた。
Claims (3)
- A層/B層の2層で構成される積層ポリエステル系フィルムであって、A層を形成する樹脂が、テレフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール以外の単量体成分が1モル%以下であるポリエチレンテレフタレートからなり、B層を形成する樹脂がブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとの混合ポリエステルからなり、その構成比が15〜5/85〜95重量%であり、層の厚み比率がA層:B層=75〜95:25〜5%、B層と金属板とのラミネート可能温度が200℃以下であり、かつ、A層を形成する樹脂及びB層を形成する樹脂の極限粘度(IV)がそれぞれ0.5〜0.7dl/gの範囲であることを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
- 請求項1記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムのB層が、金属板の少なくとも一方の面にラミネートされてなることを特徴とするフィルムラミネート金属板。
- 請求項2記載のフィルムラミネート金属板を成形してなることを特徴とする金属容器。
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