JPH06227925A - 抗菌多孔質無機カプセル及びその製造方法 - Google Patents

抗菌多孔質無機カプセル及びその製造方法

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JPH06227925A
JPH06227925A JP3282593A JP3282593A JPH06227925A JP H06227925 A JPH06227925 A JP H06227925A JP 3282593 A JP3282593 A JP 3282593A JP 3282593 A JP3282593 A JP 3282593A JP H06227925 A JPH06227925 A JP H06227925A
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antibacterial
porous inorganic
capsule according
oxide
compound
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Kenji Nakamura
憲司 中村
Toshiro Yanase
敏郎 柳瀬
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造し易く、安価であり、合成樹脂、合成繊
維、塗料等に混入することができ、しかも合成樹脂等に
混合、またはバインダーで固定しても、抗菌性が低下す
ることなく、且つ金属イオンによる着色汚染を生ずるこ
とのない改良された抗菌性粉末を提供する。 【構成】 酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅からなる群より選
ばれた1種または2種以上の抗菌剤の周囲に、水不溶性
の多孔質無機化合物が包着してなることを特徴とする抗
菌多孔質無機カプセル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌多孔質無機カプセ
ルおよびその製造方法に関し、更に詳しくは酸化銀、酸
化亜鉛、硫化銅からなる群より選ばれた1種または2種
以上の抗菌剤を用いた抗菌多孔質無機カプセルおよびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン等が抗
菌性を有することは公知である。しかし、金属銀では金
属イオンの生成が少なく抗菌性が殆ど期待できなく、硝
酸銀水溶液では銀イオンの生成により抗菌性はあるが水
溶性のために使い難い。塗料やプラスティックに硝酸銀
を混合した場合、銀の溶出量が許容量を越えてしまう。
銀の規制について米国では50ppb 以下、西独では10
0ppb 以下であり、銀を使用する抗菌剤の銀の溶出を極
力安全な範囲に最小限にする必要がある。硫酸銀、硫酸
亜鉛、硫酸銅、硝酸銅、過塩素酸銀、過塩素酸亜鉛、過
塩素酸銅、酢酸銀、酢酸銅、酢酸亜鉛等についても水に
対する溶出が著しいので安全性に問題があり、また抗菌
効果の耐久性が得られない欠点がある。
【0003】水に不溶で金属イオンの生成が過大になら
ぬようコントロールされたものとしては、抗菌性ゼオラ
イト、抗菌性燐酸ジルコニウム、抗菌性アパタイト抗菌
性チタン、抗菌性シリカゲル、抗菌性モンモリナイト等
(すなわち、ゼオライト、燐酸ジルコニウム、アパタイ
ト、含水チタン、シリカゲル、モンモリナイトにおいて
その中のイオンの一部または全部を銀、亜鉛、銅等の抗
菌性金属とイオン交換したもの)が既に開発されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の抗菌性ゼオライト等は製造コストが極めて高く
なり、高価である。また、合成樹脂や塗料などに混入す
る場合はできるだけ微粒子であることが好ましいが、こ
れらは粒径が1μ以下の粉末とすることが困難である。
【0005】しかも、従来の抗菌性ゼオライト等は金属
イオンにより着色すると言う問題がある。合成樹脂等に
混入したり、バインダーを用いて塗布した場合に、経時
的に茶褐色に着色する欠点があり、この傾向は水分と光
及び吸着物質によって一層著しくなる。特に、抗菌性に
より衛生性を追求する製品では、着色汚れは見た目が悪
いので使用者に好まれない。
【0006】更に、抗菌性ゼオライト等の抗菌剤が抗菌
効果を発揮するには水分の存在が重要であり、合成樹脂
に混合したり、バインダーで固定すると、合成樹脂が水
分を遮蔽し、抗菌性が低下すると言う致命的な問題があ
り、抗菌性ゼオライト等を実用に供した場合に思った程
の抗菌効果が得られていない。
【0007】
【発明の目的】本発明の目的は、上記の問題を解決する
ことであり、製造し易く、安価であり、合成樹脂、合成
繊維、塗料等に混入することができ、しかも合成樹脂等
に混合、またはバインダーで固定しても、抗菌性が低下
することなく、且つ金属イオンによる着色汚染を生ずる
ことのない改良された抗菌性粉末を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、従来は
抗菌剤として使用されていなかった銀化合物、亜鉛化合
物、銅化合物のうち、酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅の微粉
末を抗菌剤として使用し、この抗菌剤の周囲に、水不溶
性の多孔質無機化合物を包着すること、換言すれば上記
無機化合物で上記抗菌剤をカプセル化することによって
上記課題は達成される。
【0009】酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅はいずれも水に
難溶性で、これらの水に対する溶解度は約4×10-5
7×10-5モル/Lである。これらは水分の存在により
僅かに溶けて金属イオンを発生し、抗菌性を発揮する。
酸化銀および硫化銅はそれ自体が最初から暗褐色、黒灰
色であり、そのまま合成樹脂等に混入すると製品にその
色がでる。しかし、本発明では酸化銀、酸化亜鉛、硫化
銅をカプセル化することにより白い粉末とすることがで
きるので、着色の問題を生じることなく、これらのもの
を抗菌剤として合成樹脂、合成繊維、塗料に混合して利
用できる。
【0010】そして上記カプセル化の方法として、下記
の2つの方法のうちのいずれかの方法を採用することに
より、上記カプセル化を確実に行うことができる。 **第一方法(界面反応方法) (イ)酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅からなる群より選ばれ
た1種または2種以上の抗菌剤を、アルカリ金属の水酸
化化合物水溶液を用いてスラリーにする第一工程
(ロ)前記第一工程で得られたスラリーを、アルカリ金
属の珪酸塩の水溶液に添加する第二工程 (ハ)前記第二工程で得られた分散液に、水に対する溶
解度が7%以下の有機溶媒を混合してW/O型エマルジ
ョンとする第三工程 (ニ)前記第三工程で得られたW/O型のエマルジョン
に、前記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る化合物の水
溶液を加えて攪拌し、微多孔粒子を生成する第四工程 とからなる方法を採用する。
【0011】或いは、 **第二方法(加水分解方法) (イ)金属アルコキシドM(OR)n[M;金属元素、
R;アルキル基、n;金属の原子数]を溶剤に溶解させ
る第一工程 (ロ)前記第一工程で得られた溶液に、酸化銀、酸化亜
鉛、硫化銅からなる群より選ばれた1種または2種以上
の抗菌剤を混合する第二工程 (ハ)前記第二工程で得られた分散液に、前記金属アル
コキシドの加水分解剤を加えて反応させる第三工程 とからなる方法を採用する。
【0012】本発明において包着してなる状態とは、水
不溶性の無機化合物を抗菌剤、すなわち酸化銀、酸化亜
鉛、硫化銅からなる群より選ばれた1種または2種以上
の抗菌剤、の周囲に沈着させて、該抗菌剤を多孔質無機
化合物からなる多数の微小の孔を有するカプセルで包み
込んだ状態を言う。
【0013】微多孔の孔径は数十乃至数百オングストロ
ーム程度であり、カプセルを作る化合物(アルカリ金属
の珪酸塩)およびその不溶化剤の種類と濃度によって変
化する。例えば、両者の濃度が高いと大きな粒径のもの
が析出され、従って、孔径は大きくなる。孔径は前記範
囲で適宜変化させることができる。
【0014】また、界面反応や加水分解反応を利用して
微多孔質のカプセルを生成しているので、カプセル生成
後、濾過、洗浄、乾燥して粉末状としてもカプセル内に
水分が保持されている。このように多孔質カプセル層を
通して水の出入りは自由であり、カプセル内部に水が保
持される。このため内包されている抗菌剤は、その水の
影響で抗菌性に有効な微量の金属イオンを発生する。従
って、本発明の抗菌カプセルを合成樹脂に混合またはバ
インダーで固定しても、抗菌効果が低下することがな
い。
【0015】酸化銀は濃い褐色であり、硫化銅は黒色で
あるが、カプセル化により白色の微粉末にすることがで
き、合成樹脂、合成繊維、塗料に混合しても、色の問題
は生じない。
【0016】一方、カプセル内に抗菌剤が内蔵されてい
るので、カプセルによる遮蔽効果により色が外に現れな
いため、抗菌性金属による着色汚染の問題は防止でき
る。すなわち、本発明の抗菌多孔質無機カプセルを合成
樹脂類と併用した場合にも、抗菌剤本来の抗菌性は損な
われず、しかも上述の如く適度の水分をカプセル内に保
持でき、イオン化を促進し、更に、抗菌剤に起因する着
色汚染が確実に防止される。
【0017】界面反応方法においては、カプセル化の前
処理として、抗菌剤をアルカリ金属水酸化物の水溶液に
添加してスラリーとすることにより、抗菌剤の前記水溶
液中での分散性を向上させ、最終的には抗菌剤を多孔質
無機化合物でカプセル化できる。
【0018】また、金属アルコキシドの加水分解反応を
利用し、この反応時に抗菌剤を共存させるという極めて
簡単な方法で、抗菌剤本来の抗菌性を損なうことなく、
加水分解反応により生ずる多孔質無機化合物で抗菌剤を
カプセル化できる。
【0019】多孔質の孔径の大きいカプセルを得るには
第一の方法(界面反応方法)が有効であり、包着層の厚
さの薄い多孔質カプセルを得るには第二の方法(加水分
解反応方法)が効果的である。
【0020】以下に本発明をより具体的に説明する。
【0021】第一方法(界面反応方法)の第一工程で
は、アルカリ金属の水酸化化合物の水溶液を用いて、酸
化銀、酸化亜鉛、硫化銅からなる群より選ばれた1種ま
たは2種以上の抗菌剤をスラリーとする。アルカリ金属
の水酸化化合物としては、例えば苛性ソーダ、苛性カ
リ、水酸化リチウム等の水溶液を用い、その水溶液にお
けるアルカリ金属の水酸化化合物の濃度は0.1〜10
%が用いられ、好ましくは0.2〜3%程度である。得
られるスラリーにおける抗菌剤の濃度は20〜60重量
%、好ましくは50〜60重量%程度となるようにす
る。
【0022】本発明で用いる抗菌剤は酸化銀、酸化亜
鉛、硫化銅の粉末である。これらは微粉末であり、粒径
が1μ以下、好ましくは0.5μ以下のものを用いる。
【0023】次に第二工程において、前記スラリーをア
ルカリ金属の珪酸塩水溶液に攪拌添加して分散液とす
る。この際、分散液における抗菌剤の濃度が10〜50
重量%程度となるようにする。
【0024】前記アルカリ金属の珪酸塩としては、ナト
リウム、リチウム、カリウム等の珪酸塩が使用できる。
この珪酸塩の添加量はSiO2 に換算して2〜6.5モ
ル/Lが適当である。
【0025】第三工程において、上記分散液に、水に対
する溶解度が7%以下の有機溶媒を混合して、W/O型
のエマルジョンとする。この際の有機溶媒としては、例
えば、下記のものが挙げられる。 《脂肪族炭化水素類》n−ヘキサン、イソヘキサン、n
−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタ
ン、ガソリン、石油エーテル、灯油、ベンジン、ミネラ
ルスピリット等 《脂環式炭化水素類》シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、シクロヘキセン、シクロノナン等 《芳香族炭化水素類》ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、メシチレ
ン、テトラリン、スチレン等 《エーテル類》プロピルエーテル、イソプロピルエーテ
ル等 《ハロゲン化炭化水素類》塩化メチレン、クロロフォル
ム、塩化エチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチ
レン等 《エステル類》酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸
イソプロピル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、乳
酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、
酪酸メチル等 この際に用いる有機溶媒としては、水に対する溶解度が
7%以下のものを使用する。7%より大きいものを使用
するとエマルジョンが良好(均一)なものにならないの
で望ましくない。
【0026】上記例示した有機溶媒の1種または2種以
上を、上述の如く第二工程で得られた分散液に混合して
エマルジョンとする。なお、これらの有機溶媒には約1
0重量%までのアルコール類が混在していても差し支え
ない。有機溶媒の使用量は、得られるエマルジョンがW
/O型となる限り特に限定されないが、通常エマルジョ
ンの50重量%以上、好ましくは70〜80重量%とす
るのがよい。
【0027】エマルジョンとする方法は、攪拌方法、震
とう法等の常法によればよい。エマルジョン化に際して
は公知の乳化剤を添加すればよい。乳化剤としては好ま
しくはHLBが3.5〜6.0の範囲にある非イオン性
界面活性剤が使用できる。これを例示すれば次のものが
ある。
【0028】ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、
ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシ
エチレン高級アルコールエーテル系、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル系、グリセリン脂肪酸エステル系、ポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル系等。
【0029】これらの乳化剤は、有機溶媒に対して10
重量%以下、好ましくは0.01〜3重量%の範囲で使
用する。
【0030】次いで第四工程として、上記第三工程で得
られたW/O型エマルジョンに、上記アルカリ金属の珪
酸塩を不溶化し得る化合物の水溶液を加えて、20〜3
0分攪拌して反応させる。この反応は抗菌剤およびアル
カリ金属珪酸塩を含む水溶液と前記不溶化化合物を含む
水溶液とをエマルジョン中で反応させることであり、界
面反応となり、抗菌剤の周囲で反応が進んで、抗菌剤の
周囲に不溶化した無機化合物が析出して、多孔質無機カ
プセルが形成される。なお、多孔質無機カプセルの大き
さはエマルジョン中の水系の小滴(泡)の大きさに影響
されるので、エマルジョン中の小滴の大きさが均一で且
つ極めて小さく(好ましくは2μm以下)なるように攪
拌速度、攪拌時間、乳化剤等を適宜選定すればよい。
【0031】上記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る化
合物の水溶液としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化カルシウム、塩
化マグネシウム、塩化バリウム等が使用できる。
【0032】次いで、抗菌剤の周囲に無機化合物が析出
したものを、常法により濾過、洗浄、乾燥する。
【0033】この第一の界面反応方法で得られるカプセ
ル自体(本発明の多孔質無機カプセルの容器部分)は次
のようなものである。 (イ)サイズ(粒径) 0.05〜2.0μm (ロ)カプセルの膜厚 0.02〜0.5μm (ハ)多孔性(全体) 0.1〜5cc/g (ニ)カプセル壁の空孔径 20〜20,000オング
ストローム (ホ)空隙率(嵩密度) 0.1〜5cc/g (ヘ)平均細孔半径 20〜20,000オング
ストローム 上記反応で生成され、多孔質無機カプセルを形成する多
孔質無機化合物は、次のようなものである。
【0034】珪酸、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウ
ム、珪酸カリウム、珪酸バリウム。
【0035】第二方法(加水分解反応方法)について説
明する。第一、二工程において、先ず、金属アルコキシ
ドを溶剤にて溶解し、この溶液に酸化銀、酸化亜鉛、硫
化銅からなる群より選ばれた1種または2種以上の抗菌
剤を分散させる。
【0036】金属アルコキシドとしては、M(OR)n
(但しMは金属、Rは同一または相異なるアルキル基
を、nは金属原子価を示す)で表されるアルコキシドを
使用することが好ましい。
【0037】金属(M)としては、加水分解により生じ
た金属水酸化物もしくはそれを更に乾燥して得られる金
属酸化物で、例えば白色を呈する金属が使用され、具体
的にはAl、Si、Ti、Zr等である。また、Rで表
されるアルキル基としては炭素数1〜20、好ましくは
1〜5程度のものであり、好ましい具体例としてはメチ
ル、エチル、プロピル(n及びisoいずれも含む)、
ブチル(n及びisoいずれも含む)等である。
【0038】溶剤としては上記金属アルコキシドを溶解
し得るものが使用され、例えばアルコール類及び芳香族
炭化水素が例示でき、更に具体的にはエタノール、イソ
プロパノール、ベンゼンが例示できる。なお、金属アル
コキシドの溶剤溶液の濃度は通常90%以下、好ましく
は10〜30%程度である。この溶液に酸化銀、酸化亜
鉛、硫化銅からなる群より選ばれた1種または2種以上
の抗菌剤を通常10〜80重量%濃度となるように分散
させる。この際に、分散剤を必要に応じて使用してもよ
い。
【0039】かくして得られる分散液に、第三工程にお
いて、金属アルコキシドを加水分解し得る加水分解剤を
添加して、上記アルコキシドを加水分解する。この際の
加水分解剤としては通常酸またはアルカリ性物質が使用
され、具体的にはアンモニア、水酸化ナトリウム、塩
酸、酢酸、硫酸等が使用される。加水分解剤として酸を
用いると、場合によっては抗菌剤を溶解することがあ
り、アルカリを用いる方が好ましい。
【0040】この方法においては加水分解反応を利用す
るため、抗菌剤を分散させた液には水分が含まれている
ことが必須である。この水分は溶剤溶液を調製する段階
で、溶剤と共に加えてもよく、また加水分解剤と共に
(例えばアンモニアを使用する際には、アンモニア水と
して)加えてもよい。水の量は加水分解し得る量であれ
ば充分であり、化学当量以上とする。
【0041】また、加水分解剤の添加量は抗菌剤の分散
液に対し通常0.001〜0.1重量%程度である。
【0042】この加水分解により抗菌剤の周囲に多孔質
の無機化合物が形成され、カプセル状となる。
【0043】なお、本発明の金属アルコキシド、その溶
剤、加水分解剤の組み合わせの1、2を例示すれば以下
の通りである。
【0044】金属アルコキシドとしてアルコキシシラン
の場合、エタノールを溶剤とし溶解し(第一工程)、こ
の溶液に抗菌剤を分散させて(第二工程)、加水分解剤
としてアンモニア水を加える(第三工程)。この場合、
抗菌剤の周囲に珪酸からなる多孔質無機カプセルが形成
される。
【0045】金属アルコキシドとしてトリイソプロピル
オキシドアルミニウムの場合は、イソプロピールアルコ
ールを溶剤とし溶解し(第一工程)、この溶液に抗菌剤
を分散させて(第二工程)、加水分解剤として0.1N
程度の塩酸を添加(第三工程)すれば、抗菌剤の周囲が
多孔質のアルミナで包着された抗菌多孔質無機カプセル
を得ることができる。
【0046】また、Tiの金属アルコキシドの場合は酸
化チタンのカプセルが形成され、Zrの金属アルコキシ
ドの場合は酸化ジルコンのカプセルが形成される。
【0047】この第二の加水分解反応方法により得られ
るカプセル自体(本発明の多孔質無機カプセルの容器部
分)は次の通りである。 (イ)サイズ(粒径) 0.05〜2.0μm (ロ)カプセルの膜厚 0.01〜1μm (ハ)多孔性(全体) 0.05〜1cc/g (ニ)カプセル壁の空孔径 20〜100オングストロ
ーム (ホ)空隙率(嵩密度) 0.05〜1cc/g (ヘ)平均細孔半径 20〜100オングストロ
ーム 本発明に係る上記いずれの方法でも、抗菌剤の周囲に水
不溶性の多孔質無機化合物が包着してなる、本発明の抗
菌多孔質無機カプセルが得られる。しかしながら、その
製法の違いにより、すなわち、第一の界面反応と第二の
加水分解反応方法で得られるカプセル自体が若干異なっ
た特性を有している。例えば、材質、多孔性、空孔性、
及び膜厚の点において異なっており、この相違はカプセ
ル化に際しての原料および方法の差異によるものであ
る。この相違を利用して抗菌性のコントロールが可能と
なる。
【0048】本発明の抗菌多孔質無機カプセルは、抗菌
性が要求される各分野において広く有効に使用でき、例
えば繊維、紙、プラスチック製品、シートおよび容器、
塗料等の分野において極めて有効に使用できる。
【0049】
【実施例1】酸化銀10g、酸化亜鉛25g、硫化銅5
gを混合し、水40gに苛性ソーダ0.2gを溶解した
液に加えてスラリーとした。次いでこのスラリーを珪酸
ソーダ(6.5モル/L)180ccに攪拌添加して超音
波にて2分間処理した。この分散液にポリオキシエチレ
ンソルビタントリオレエート15g/l を含むノルマルヘ
キサンとシクロヘキサンの1:1の混合液600ccを加
えて、6000rpm で1分間攪拌してW/O型のエマル
ジョンを得た。このW/O型エマルジョンに、炭酸水素
アンモニウム(1.5モル/L)1Lを混合して30分
間常温で攪拌して反応を行った。次いで濾過し、水洗、
エタノール洗浄を行い、110℃で24時間乾燥した。
このようにして酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅を2:3:1
の比率で内包した粒径0.8μmの抗菌多孔質無機カプ
セル110gを製造した。このようにして得られた粉末
は白いものであった。
【0050】水型アクリル・エポキシ樹脂を成分とする
塗料に、塗料固形分当り前記抗菌多孔質無機カプセルを
3%添加攪拌した。抗菌多孔質無機カプセルの塗布量が
3g/m2 になるようにこの塗料を塩化ビニール製床材
(試験片)に塗布した。
【0051】滅菌した液体ブイヨンにメチシリン耐性黄
色ブドウ球菌(MRSA菌)を懸濁させ、前記塩化ビニ
ール床材に0.2ml接種した。菌数は約38万個であっ
た。温度37℃で18時間培養した後、取り出して試験
片上の菌数を測定した結果、MRSA菌はゼロであっ
た。
【0052】
【実施例2】酸化銀30gを、水40gに苛性ソーダ
0.2gを溶解した液に加えてスラリーとした。次いで
このスラリーを珪酸ソーダー(6.5モル/L)180
ccに攪拌添加して超音波にて3分処理して分散性を良く
した。この分散液にポリオキシエチレンソルビタンステ
アレートの1%シクロヘキサン溶液600ccを添加し
て、攪拌機で2分間7500rpm の攪拌をしてW/O型
のエマルジョンを得た。このW/O型エマルジョンに、
塩化マグネシウム(2モル/L)1Lを混合して40分
間常温で攪拌して反応を終了した。次いで濾過し、水
洗、洗浄をして110℃で24時間乾燥した。このよう
にして酸化銀を内包する粒径0.3〜0.5μmの抗菌
多孔質無機カプセルを100gを製造した。このように
して得られた粉末は白いものであった。
【0053】2液水型変性脂肪族ポリアミン・エポキシ
樹脂を成分とする塗料に、塗料固形分当り前記抗菌多孔
質無機カプセルを3%添加攪拌して混入した。この塗料
を抗菌多孔質無機カプセルの塗着重量が3g/m2 とな
るように塩化ビニール製床材に塗布した。酸化銀に起因
する着色汚染は全く認められなかった。滅菌した液体ブ
イヨンにメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA菌)
を懸濁させ、この塩化ビニール床材(試験片)上に0.
2ml接種(総菌数は約38万個)し、温度37℃で18
時間培養した後、取り出して試験片上の菌数を測定し
た。その結果、MRSA菌はゼロになっていた。
【0054】また、前記抗菌多孔質無機カプセルをセル
ロースジアセテートに2%添加して単糸3dのトウを製
造した。酸化銀に起因する着色汚染のないスフが得られ
た。このスフ1.5gと黄色ブドウ球菌(14万個/m
l)5mlを滅菌リン酸緩衡液70mlの入った三角フラス
コに入れて25℃で1時間沸騰して菌数を測定した結
果、黄色ブドウ球菌はゼロになった。
【0055】
【実施例3】テトラエトキシシラン、Si(OC
2 5 4 200gにエタノール120ccを加えて溶解
した溶液に、酸化銀40gを加えて攪拌し、0.1Nア
ンモニア水90ccを添加して、超音波分散器により10
分間攪拌して、60℃で24時間加熱した。これを濾
過、洗浄し、110℃で24時間乾燥して酸化銀を内部
に含む粒径1〜0.5μの抗菌多孔質無機カプセルを1
20g得た。このようにして得られた粉末は白いもので
あった。
【0056】この抗菌カプセルをポリエチレンに3%混
合して包装用シートを製造した。このシートに包装した
肉は常温放置で4日後でも一般細菌の増殖はなく肉は安
全であった。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅からなる群よ
    り選ばれた1種または2種以上の抗菌剤の周囲に、水不
    溶性の多孔質無機化合物が包着してなることを特徴とす
    る抗菌多孔質無機カプセル。
  2. 【請求項2】 前記抗菌剤が酸化銀である請求項1記載
    の抗菌多孔質無機カプセル。
  3. 【請求項3】 前記抗菌剤が酸化亜鉛である請求項1記
    載の抗菌多孔質無機カプセル。
  4. 【請求項4】 前記抗菌剤が硫化銅である請求項1記載
    の抗菌多孔質無機カプセル。
  5. 【請求項5】 前記多孔質無機化合物が珪酸である請求
    項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  6. 【請求項6】 前記多孔質無機化合物が珪酸マグネシウ
    ムである請求項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  7. 【請求項7】 前記多孔質無機化合物が珪酸カルシウム
    である請求項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  8. 【請求項8】 前記多孔質無機化合物が珪酸バリウムで
    ある請求項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  9. 【請求項9】 前記多孔質無機化合物が酸化アルミニウ
    ムである請求項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  10. 【請求項10】 前記多孔質無機化合物が酸化チタンで
    ある請求項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  11. 【請求項11】 前記多孔質無機化合物が酸化ジルコニ
    ウムである請求項1記載の抗菌多孔質無機カプセル。
  12. 【請求項12】(イ)酸化銀、酸化亜鉛、硫化銅からな
    る群より選ばれた1種または2種以上の抗菌剤を、アル
    カリ金属の水酸化化合物水溶液を用いてスラリーにする
    第一工程 (ロ)前記第一工程で得られたスラリーを、アルカリ金
    属の珪酸塩の水溶液に添加する第二工程 (ハ)前記第二工程で得られた分散液に、水に対する溶
    解度が7%以下の有機溶媒を混合してW/O型エマルジ
    ョンとする第三工程 (ニ)前記第三工程で得られたW/O型のエマルジョン
    に、前記アルカリ金属珪酸塩を不溶化し得る化合物の水
    溶液を加えて攪拌し、微多孔粒子を生成する第四工程 とからなることを特徴とする抗菌多孔質無機カプセルの
    製造方法。
  13. 【請求項13】(イ)金属アルコキシドM(OR)n
    [M;金属元素、R;アルキル基、n;金属の原子数]
    を溶剤に溶解させる第一工程 (ロ)前記第一工程で得られた溶液に、酸化銀、酸化亜
    鉛、硫化銅からなる群より選ばれた1種または2種以上
    の抗菌剤を混合する第二工程 (ハ)前記第二工程で得られた分散液に、前記金属アル
    コキシドの加水分解剤を加えて反応させる第三工程 とからなることを特徴とする抗菌多孔質無機カプセルの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記金属アルコキシドの加水分解剤が
    アルカリ性である請求項13記載の抗菌多孔質無機カプ
    セルの製造方法。
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