JPH062208U - 蛍光x線分析装置 - Google Patents

蛍光x線分析装置

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JPH062208U
JPH062208U JP8454692U JP8454692U JPH062208U JP H062208 U JPH062208 U JP H062208U JP 8454692 U JP8454692 U JP 8454692U JP 8454692 U JP8454692 U JP 8454692U JP H062208 U JPH062208 U JP H062208U
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rays
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 全反射蛍光X線分析と同等の S/N比が得ら
れ、かつ、微小部分の分析や、分析箇所を正確に設定す
ることができる蛍光X線分析装置を提供する。また、試
料の深さ方向の分析も可能にする。 【構成】 照射装置1はX線源2からの一次X線B1を
モノクロメータ3で単色化し、この単色化した一次X線
B1を、試料50の表面51に対向する方向から試料5
0に集光させて照射する。一次X線B1を受けた試料5
0からの蛍光X線B3は、X線検出器4で検出される。
試料50とX線検出器4との間には、試料50からの蛍
光X線B3を5°以下の取出角βで取り出して、X線検
出器4に入射させるスリット5を設ける。試料50から
X線検出器4までの光路には、高エネルギ成分を除去す
る全反射ミラー6を設ける。スリット5および全反射ミ
ラー6を試料50を中心に回転させる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、試料に一次X線を照射して、試料から発生する蛍光X線を分析す る蛍光X線分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光X線分析装置は、試料に一次X線を照射し、試料から発生する蛍光X線を 検出して、試料の元素や組成を分析する装置である。この種の蛍光X線分析装置 の一種として、試料の表面の分析に適した全反射蛍光X線分析装置がある。(た とえば、特開昭63−78056号公報参照)。この全反射蛍光X線分析装置の 一例を図4に示す。
【0003】 図4において、図示しないX線源から出た一次X線B1は、スリット52を介 して、試料50の表面51に微小な入射角α (たとえば 0.005°〜0.20°程度) で照射される。入射した一次X線B1は、その一部が全反射されて反射X線B2 となり、他の一部が試料50を励起して、試料50を構成する元素固有の蛍光X 線B3を発生させる。蛍光X線B3は、試料表面51に対向して配置したX線検 出器60に入射する。この入射した蛍光X線B3は、X線検出器60において、 そのX線強度が検出された後、X線検出器60からの検出信号aに基づき、多重 波高分析器61によって目的とするX線スペクトルが得られる。
【0004】 この種の全反射蛍光X線分析装置は、一次X線B1の入射角αが微小であるこ とから、反射X線B2および散乱X線がX線検出器60に入射しにくく、X線検 出器60により検出される蛍光X線B3の出力レベルに比べてノイズが小さいと いう利点がある。つまり、大きなS/N 比が得られ、そのため、分析精度が良く、 たとえば、微量の不純物でも検出できるという利点がある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】 しかし、かかる全反射蛍光X線分析装置は、前述のように、入射角αが極めて 小さいことから、一次X線B1の照射方向のスポット径Dが大きくなるのは避け られず、そのため、微小部分の分析が困難である。
【0006】 また、入射角αが極めて小さいことから、試料50の表面51のレベルが設定 レベルに対して若干異なると、スポットPの照射位置が設定位置から照射方向に 大きく位置ずれする。そのため、目的とする分析箇所に一次X線B1を正確に照 射できないので、所定の分析箇所を分析するのが困難となる。
【0007】 また、このように、分析箇所に正確に一次X線B1を照射できないので、試料 50がシリコンウエハである場合には、次のような大きな欠点がある。 図5のシリコンウエハは、一般に、その中央部55よりも周縁近傍部53のほ うが汚染されており、この周縁近傍部53に一次X線B1を照射する必要がある 。しかし、前述のとおり、一次X線B1の照射位置を正確に設定できないので、 図6の拡大図のように、一次X線B1がエッジ部54に照射されることがある。 このように、エッジ部54に一次X線B1が照射されると、エッジ部54からの 反射X線B2や散乱X線が、X線検出器60に入射する。そのため、S/N比が 著しく低下する。したがって、シリコンウエハにおける汚染が大きい周縁近傍部 53の分析を行うことができない。
【0008】 したがって、この出願の各請求項の考案に共通する目的は、全反射蛍光X線分 析と同等の S/N比が得られ、かつ、微小部分の分析や、分析箇所を正確に設定す ることができる蛍光X線分析装置を提供することである。
【0009】 ところで、軽元素の成分についての分析を行う場合には、高エネルギの成分が バックグラウンドとなって分析精度を低下させる。また、高エネルギの成分がX 線検出器に入射すると、これが邪魔になって低エネルギの成分を数え落す率が高 くなり、つまり、計数効率が低くなり、そのため、やはり、分析精度を低下させ る。 したがって、請求項1に係る考案の他の目的は、高エネルギの成分を除去して 分析精度を更に向上させることである。
【0010】 また、試料50によっては、深さ方向の分析が必要になることがある。 したがって、請求項2に係る考案の他の目的は、試料の深さ方向の分析を行う ことである。
【0011】 ところで、試料50がシリコンウエハなどの単結晶である場合は、試料50に 入射した一次X線B1のうち、単結晶の格子面に対しブラッグの式を満足する波 長の一次X線B1が回折される。そのため、この回折された回折X線がX線検出 器60に入射するので、分析の精度を著しく低下させる。 したがって、請求項3に係る考案の他の目的は、試料で回折された回折X線に よる分析精度の低下を防止することである。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するためのこの出願の各請求項に共通の構成および原理を、図 1に基づいて説明する。 図1において、照射装置1はX線源2からの一次X線B1をモノクロメータ3 で単色化し、この単色化した一次X線B1を試料50の表面51に対向する方向 から試料50に照射する。一次X線B1を受けた試料50からの蛍光X線B3は 、X線検出器4で検出される。試料50からX線検出器4までの光路には、試料 50からの蛍光X線B3を5°以下の取出角βで取り出して、X線検出器4に入 射させる光学素子5が設けられている。
【0013】 このように、試料50の表面51に対向する方向から一次X線B1を照射した 場合、反射X線B2や散乱X線は、取出角βが45°の付近において最も大きく なり、取出角βが5°以下になると著しく小さくなる。したがって、この考案の ように取出角βを小さくすることで、ノイズが小さくなる。また、単色化した一 次X線B1を試料50に照射するので、他の特性X線や連続X線が一次X線B1 に含まれておらず、そのため、ノイズが小さくなる。このように、ノイズが小さ くなるので、大きなS/N比が得られ、その結果、従来の全反射蛍光X線分析に 近い程度まで、分析精度が向上する。
【0014】 また、取出角βが小さいので、試料50の深い所からの蛍光X線は試料50に 吸収される。そのため、全反射蛍光X分析と同様に、試料50の表面層の元素分 析に適している。
【0015】 また、試料50の表面51に対向する方向から一次X線B1を試料50に照射 するので、つまり、入射角αが大きいので、試料50の表面レベルが設定レベル に対して若干異なっていても、一次X線B1の照射位置が大きくずれることがな いから、照射位置を容易かつ正確に設定することができる。したがって、分析箇 所を正確に設定することができる。
【0016】 また、一次X線B1を試料50に対向する方向から照射しているので、試料5 0の表面レベルに誤差があっても、集光させた一次X線B1のスポット径が設定 値に近い大きさになる。したがって、微小部分の分析が可能になる。
【0017】 請求項1の考案では、上記共通の構成に加えて、試料からX線検出器までの光 路に全反射ミラーを設けて、蛍光X線のうちの高エネルギの成分を除去している 。 請求項2の考案では、上記共通の構成に加えて、光学素子を試料を中心に回転 させる回転機構を備えている。 請求項3の考案では、上記共通の構成に加えて、照射装置が2種類の入射角度 で一次X線を試料に照射する。
【0018】
【実施例】
以下、この考案の実施例を図面にしたがって説明する。 図2は第1実施例を示す。 この実施例では、図2(a)に示すように、照射装置1がX線管(X線源)2 と、湾曲結晶のような分光結晶(モノクロメータ)3を備えており、試料50の 表面51に対向して配設されている。上記X線管2は、たとえばモリブデンMo のターゲットを有している。なお、試料50は、たとえばシリコンウエハで、図 示しない、試料台が水平に回転、走行することで、試料50の任意の位置に、一 次X線B1が照射されるようになっている。
【0019】 上記試料50からX線検出器4までの光路には、スリット(光学素子)5およ び全反射ミラー6が配設されている。上記スリット5および全反射ミラー6は、 回転機構7に取り付けられており、試料50の照射位置Pを中心に回転機構7に より矢印R方向に回転される。上記回転機構7の回転により、スリット5は、試 料50から発生した蛍光X線B3を 0.005°〜 0.2°程度の範囲の任意の取出角 βで取り出して、全反射ミラー6からX線検出器4に入射させる。上記全反射ミ ラー6は、蛍光X線B3のうちの低エネルギの成分B31を全反射させるととも に、高エネルギの成分B32を吸収ないし散乱させて除去する。
【0020】 上記X線検出器4の前方には、フィルタ8が光路に対して、挿入退避自在に設 けられている。このフィルタ8は、たとえばマイラやポリプロピレンなどからな り、試料50の主成分であるシリコンの固有X線(蛍光X線)の成分を除去する ものである。
【0021】 多重波高分析器61は、X線検出器4からの検出信号aを入力とし、X線検出 器4に入射した蛍光X線B3(B31)のうちの目的とするスペクトルを得る。 その他の構成は、上記図1の分析装置と同様であり、同一部分または相当部分に 同一もしくは類似の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0022】 つぎに、試料50の分析方法について説明する。 まず、取出角βをたとえば0.01°(図2(c)の第1の取出角β1)に設定し た状態でX線管2から一次X線B1を出射し、これを分光結晶3で単色化すると ともに集光させて、たとえば、Mo−Kα線B1をを試料50の表面51に照射 する。つづいて、回転機構7によりスリット5および全反射ミラー6を一体的に 矢印R方向に回転させて、取出角βをたとえば0.02°(図2(c)の第2の取出 角β2)に設定する。この状態で、再びX線管2から一次X線B1を出射し、こ れを分光結晶3で単色化するとともに集光させて、Mo−Kα線B1を試料50 に照射する。これらの一次X線B1は、試料50の原子を励起し、その元素固有 の蛍光X線B3が試料50から発生する。発生した蛍光X線B3の一部は、スリ ット5を通過して、低エネルギの成分B31が全反射ミラー6で全反射されてX 線検出器4に入射し、多重波高分析器61で目的とするスペクトルが得られる。
【0023】 上記構成において、一次X線B1の照射により、反射X線B2や散乱X線が試 料50から出射されるが、この反射X線B2などは、取出角が45°付近で大き く、小さな取出角βの方向には殆ど出射されない。このように、単色化された一 次X線B1を試料50に照射し、かつ、取出角βを小さく設定したので、ノイズ が小さくなって、従来の全反射蛍光X線分析に近い程度の分析精度が得られる。
【0024】 また、照射装置1を試料50の表面51に対向して配置しているから、一次X 線B1が大きな入射角αで入射するので、前述の作用の項で述べたように、目的 とする分析箇所に一次X線B1を照射させて、その分析を行うことができる。し たがって、試料50が図5のシリコンウエハである場合には、シリコンウエハ( 試料)50のエッジ部54に一次X線B1が当たらないように、一次X線B1を 周縁近傍部53のみに照射することができるので、シリコンウエハにおける汚染 の大きい周縁近傍部53を分析することができる。
【0025】 ところで、試料50の表面51に照射された一次X線B1は、その一部がトム ソン散乱されて、スリット5へ向う。この一次X線B1は、波長が短い高いエネ ルギを有しており、X線検出器4に入射すると、バックグラウンドとなったり、 あるいは、計数効率を低下させる原因となる。
【0026】 これに対し、この実施例では、試料50からX線検出器4までの光路に全反射 ミラー6を設けている。この全反射ミラー6は、図2(b)に示すように、入射 角θを所定値θnに設定することにより、高エネルギ成分であるたとえばMo− Kα線を吸収ないし散乱させ、一方、低エネルギ成分であるAl(アルミニウム )やNa(ナトリウム)の蛍光X線などを全反射する。そのため、図2(a)の 高エネルギの成分B32が除去されて、分析対象となる低エネルギの成分B31 が、X線検出器4に向う。したがって、低エネルギの成分B31を数え落す率が 減少するとともに、軽元素の分析においてバックグラウンドとなる高エネルギの 成分B32を除去し得るので、分析精度がより一層向上する。
【0027】 ところで、試料50から発生する蛍光X線B3には、試料50の主成分である シリコンの固有X線(Si−Kα線)が含まれているが、このSi−Kα線もA lやNa(ナトリウム)の微量元素の分析のバックグラウンドになるとともに、 分析対象の固有X線の計数効率を低下させる原因となる。これに対し、この実施 例では、フィルタ8をX線検出器4の前方の光路に挿入自在に設けているから、 妨害となるSi−Kα線がフィルタ8により吸収されて、X線検出器4に入射す るのを制限している。したがって、やはり、分析精度がより一層向上する。
【0028】 また、前述のように、Mo−Kα線やSi−Kα線を除去し得るので、計数効 率が向上して、計数時間の短縮を図ることもできる。
【0029】 ところで、この実施例では、回転機構7を設けて、蛍光X線B3を図2(c) のような第1の取出角β1と第2の取出角β2で取り出している。ここで、蛍光 X線B3は試料50によって吸収されるので、小さな第1の取出角β1で蛍光X 線B1を取り出した場合は、破線で示すように、表面51から若干深く入った部 分から発生した蛍光X線B3が吸収される。そのため、より小さな第1の取出角 β1で取り出した蛍光X線B3には、試料50の表面51により近い部分から発 生した固有X線の割合が多く含まれており、一方、第2の取出角β1で取り出し た蛍光X線B3には、第1の取出角β2の場合よりも深い箇所からの固有X線も 含まれている。したがって、取出角βを変化させることにより、周知のように、 深さ方向の組成の変化を知ることもできる。
【0030】 また、取出角βが極めて小さいので、取出角βをたとえば0.01°と0.02°に設 定するなどのように若干変化させればよく、そのため、図2(a)のX線検出器 4を回転させる必要がないという利点もある。
【0031】 一方、一次X線B1を単色化しているので、一次X線B1の強度が弱くなるの に伴い、蛍光X線B3の強度が弱くなるが、一次X線B1を集光させて試料50 に照射することで、一次X線B1の強度を大きくしているから、蛍光X線B3の 強度が十分大きくなる。
【0032】 図3は第2実施例を示す。 図3(a)において、この実施例では、照射装置1は、第1および第2のX線 管2A,2Bと、第1および第2のシャッタ9A,9Bと、第1および第2の分 光結晶3A,3Bとを備えており、第1および第2の一次X線B11,B12を 2種類の入射角度α1,α2で試料50に入射させる。なお、第1の入射角度α 1はたとえば90°に設定され、第2の入射角度α2はたとえば50°程度に設定さ れる。
【0033】 上記第1および第2のシャッタ9A,9Bは、それぞれ、第1および第2のX 線管2A,2Bから出射される第1および第2の一次X線B11,B12の光路 に交互に挿入されて、両一次X線B11,B12を試料50に交互に入射させる ものである。上記第2のX線管2Bから第2の分光結晶3Bまでの光路には、吸 収板10が設けられている。この吸収板10は、第2のX線管2Bからの一次X 線B12を吸収することで、試料50に入射する第1の一次X線B11と第2の 一次X線B12の強度を同等にするためのものである。
【0034】 この分析装置は、判別手段62および合成手段63を備えている。判別手段6 2は、第1の一次X線B11により発生した蛍光X線B3のスペクトルと、第2 の一次X線B12により発生した蛍光X線B3のスペクトルとを比較して、後述 するように、両蛍光X線B3に回折X線が含まれているか否かを判別する。合成 手段63は、判別の結果、回折X線が含まれている場合には、この回折X線を減 算した2つの蛍光X線B3の強度の和を算出し、回折X線が含まれていない場合 には、2つの蛍光X線B3の強度の和を算出する。 その他の構成は、上記図1の構成と同様であり、同一部分または相当部分に同 一もしくは類似の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0035】 上記構成において、シリコンウエハで構成された試料50は、単結晶であるか ら、図3(b)の二点鎖線で示すような格子面56を多数有しているので、一次 X線B11,B12のうちブラッグの式を満足する波長のX線を、格子面56へ の入射角と同一の回折角で回折させる。この回折X線B4は、一次X線B11, B12が入射する方向によっては、図3(a)の蛍光X線B3と同一の方向に反 射されて、X線検出器4に入射する場合がある。この場合、分析の精度が著しく 低下する。
【0036】 これに対し、この実施例では、以下のように、回折X線B4(図3(b))の 影響を除去して分析を行うことができる。 まず、第1のシャッタ9Aを開放して、第1の一次X線B11を大きな第1の 入射角度α1で試料50に照射し、蛍光X線B3の強度をX線検出器4および多 重波高分析器61により測定する。つづいて、第1のシャッタ9Aを閉じる一方 、第2のシャッタ9Bを開放して、第2の一次X線B12を比較的小さな第2の 入射角度α2で試料50に照射し、同様に蛍光X線B3の強度を測定する。
【0037】 ここで、上記2回の測定において、回折X線B4(図3(b))が蛍光X線B 3に含まれていなければ、測定した蛍光X線B3のスペクトルは、そのピーク位 置がほぼ一致しているはずである。そこで、上記測定後、判別手段62は、上記 2つの蛍光X線B3のスペクトルを比較し、スペクトルのピーク位置がほぼ一致 しておれば、蛍光X線B3に回折X線B4(図3(b))が含まれていないと判 断する。この場合、合成手段63が2つの蛍光X線B3の強度の和を算出し、こ の強度の和に基づいて所定の元素分析がなされる。
【0038】 一方、上記判別手段62が2つの蛍光X線B3のスペクトルを比較した結果、 スペクトルのピークに一致していないものがあれば、このピークを回折X線B4 (図3(b))であると判断する。この場合、合成手段63は、上記2つの蛍光 X線B3の強度の和から回折X線B4の強度を減算して、真の蛍光X線B3の強 度を求める。その後、この強度に基づいて所定の元素分析がなされる。
【0039】 なお、この種の判別手段62による判別方法や合成手段63による合成の方法 は、周知であるから、その詳しい説明は省略する。
【0040】 このように、この実施例によれば、第1および第2の一次X線B11,B12 を2種類の入射角度α1,α2で試料50に入射させるので、各々の蛍光X線B 3のスペクトルを比較することにより、回折X線B4(図3(b))が蛍光X線 B3に含まれているか否かを判断することができる。したがって、蛍光X線B3 の強度を合成する際に、回折X線B4(図3(b))の強度を除去することがで きるから、分析精度が向上する。
【0041】 ところで、周知のように、分光結晶3A,3Bは、格子面間隔が大きい程回折 される一次X線B11,B12のX線の強度が大きくなる一方で、分解能が低下 する。このように、分解能が低いと、一次X線B11,B12に種々の波長のX 線が含まれているので、図2(b)の回折X線が生じ易い。ここで、この実施例 では、上記のように回折X線B4(図3(b))の影響を除去することができる から、分解能が低くてもよいので、分光結晶3A,3Bの格子面間隔を大きくし て、一次X線B11,B12の強度を大きくすることができる。したがって、分 析精度が向上する。
【0042】 なお、蛍光X線B3の強度(信号)を合成することにより、測定時間を、X線 管が1つの場合と同程度にすることができる。
【0043】 ところで、上記第2実施例では、X線管2A、2Bおよび分光結晶3A,3B などを各々2つ設けた。しかし、この考案では、X線管および分光結晶などを1 つだけ設け、これらをゴニオメータにより回動させて、2種類の入射角度で一次 X線を試料に入射させてもよい。
【0044】 また、上記第2実施例では、吸収板10を設けて、第1および第2の一次X線 B11,B12の強度を同等に設定して、2つの蛍光X線B3を比較した。しか し、この考案では、吸収板10を必ずしも設ける必要はなく、蛍光X線B3の強 度を演算により補正して同等の強度とすることにより、2つの蛍光X線B3を比 較してもよい。
【0045】 さらに、上記各実施例の分光結晶3A,3Bは、平板結晶であってもよく、あ るいは、湾曲結晶であってもよい。また、上記第1および第2実施例を組合せた 分析装置としてもよい。
【0046】 また、図2(a)のX線管2から出射された一次X線B1を集光する方法とし ては、湾曲型の分光結晶3に代えて、だ円型の全反射ミラーにより一次X線B1 を集光させてもよい。また、一次X線B1を単色化する方法としては、分光結晶 を用いる代わりに、フィルタを設けてもよい。さらに、上記各実施例では、一次 X線B1を試料50の上方から照射したが、下方から照射した場合も、この考案 に含まれることは、いうまでもない。
【0047】
【考案の効果】
以上説明したように、各請求項の考案によれば、一次X線を単色化して大きな 入射角度で試料に照射し、かつ、小さな取出角で蛍光X線を取り出すので、従来 の全反射蛍光X線分析に近い高い精度で試料表面の分析を行うことができるとと もに、全反射蛍光X線分析では行うことができなかった微小部分の分析が可能に なり、かつ、分析箇所も正確かつ容易に設定することができる。
【0048】 また、請求項1の考案によれば、試料からX線検出器までの光路に全反射ミラ ーを設けて、蛍光X線のうちの高エネルギの成分を除去するので、バックグラウ ンドを除去することができるとともに、低エネルギの成分の数え落し率が低くな るから、軽元素の成分の分析精度が向上する。
【0049】 一方、請求項2の考案によれば、蛍光X線を5°以下の取出角で取り出してX 線検出器に入射させる光学素子を、試料を中心に回転させるので、試料の深さの 異なる部分から蛍光X線が出射され、したがって、試料の深さ方向の分析を行う ことができる。
【0050】 また、請求項3の考案によれば、一次X線を2種類の入射角度によって試料に 入射させるので、2つの蛍光X線から回折X線の有無を判断することができ、し たがって、回折X線の影響を除去して、分析精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の原理を示す分析装置の概略構成図で
ある。
【図2】(a)はこの考案の第1実施例を示す分析装置
の概略構成図、(b)は入射角θに対する全反射率の変
化を示す特性図、(c)は試料の拡大図である。
【図3】(a)は第2実施例を示す分析装置の概略構成
図、(b)は試料の模式的な拡大断面図である。
【図4】一般的な全反射蛍光X線分析装置を示す概略構
成図である。
【図5】シリコンウエハの斜視図である。
【図6】シリコンウエハの周縁近傍部の拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1…照射装置、4…X線検出器、5…光学素子、6…全
反射ミラー、7…回転機構、50…試料、51…表面、
B1,B11,B12…一次X線、B3…蛍光X線、α
1,α2…入射角度、β…取出角。

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次X線を単色化して試料の表面に対向
    する方向から試料に照射する照射装置と、上記一次X線
    を受けた試料からの蛍光X線を検出するX線検出器と、
    上記試料からの蛍光X線を5°以下の取出角で取り出し
    て上記X線検出器に入射させる光学素子と、上記試料か
    らX線検出器までの光路に配設されて高エネルギの成分
    を除去する全反射ミラーとを備えた蛍光X線分析装置。
  2. 【請求項2】 一次X線を単色化して試料の表面に対向
    する方向から試料に照射する照射装置と、上記一次X線
    を受けた試料からの蛍光X線を検出するX線検出器と、
    上記試料からの蛍光X線を5°以下の取出角で取り出し
    て上記X線検出器に入射させる光学素子と、上記光学素
    子を試料を中心に回転させる回転機構とを備えた蛍光X
    線分析装置。
  3. 【請求項3】 一次X線を単色化して試料の表面に対向
    する方向から2種類の入射角度で試料に照射する照射装
    置と、上記一次X線を受けた試料からの蛍光X線を検出
    するX線検出器と、上記試料からの蛍光X線を5°以下
    の取出角で取り出して上記X線検出器に入射させる光学
    素子とを備えた蛍光X線分析装置。
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