JPH062195Y2 - 偏向ヨーク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、インラインカラー受像管に好適な偏向ヨーク
に関するものである。

〔従来の技術〕

周知の如く、インライン型カラー受像管装置の偏向ヨー
クは一般に水平偏向磁界をピンクッション型磁界に、垂
直偏向磁界をバレル型磁界に構成することによってセル
フコンバーゼンスの実現を図っている。しかしながら、
かかる構成磁界のみではインライン配列の電子ビームの
緑色(G)のセンタービームと赤色(R)及び青色(B)の両サ
イドビームとの偏向感度の差に起因して受像管画面上の
水平方向と垂直方向に第４図に示す如きコマ収差(HCR)
と(VCR)を生じる。このうちHCRのコンバーゼンスのずれ
については、水平偏向コイルの巻線分布を変更するなど
して補正することが可能であるが、VCRのコンバーゼン
スずれについては偏向コイルでの補正が困難なため、例
えばカラー受像管のネック部に磁性材よりなる磁界制御
素子（以下FCと記す）を設けるなどして、センタービー
ムＧと両サイドビームR・Bとの偏向感度を受像管面上で
同一とするよう補正していた。しかし、最近のようにカ
ラー受像管装置の高精細度化が進み水平偏向周波数が高
周波になると、前述のようにカラー受像管にFCを用いた
場合にはFCに発生する高周波損失によってコマ収差が逆
に悪化するる。又、別の問題としてカラー受像管の広角
化、大型化の進行が受像管画面の上下糸巻歪の増大、コ
ンバーゼンス品位の低下を生ぜしめている。

このため、上述のようなコンバーゼンス特性の悪化を改
善する目的からFCに代えて、コマ収差を偏向ヨーク自身
の磁界で補正するようにした第３図に示す如き偏向ヨー
クが採用されている。これを第３図を参照して詳述す
る。偏向ヨークの電子銃側開口部近傍にはコの字型磁芯
10,10′の中央辺にコイルボビン6,6′を介して補助コイ
ル3,3′の巻装された一対の垂直磁界補正器1,1′がコの
字型磁芯10,10′の脚部4,4′がインライン配列の電子ビ
ームR・G・Bと直交するようにして対向配設されている。
そして補助コイル3,3′に垂直偏向電流又は垂直偏向電
流に同期した補正電流を流すことにより、第３図（ｃ）
に示す破線矢印方向の垂直偏向磁界と同方向の実線矢印
で示す垂直補正磁界を垂直磁界補正器1,1′のコの字型
磁芯10,10′の脚部4,4′先端の磁界放射部5,5′より放
射させる。この垂直補正磁界により偏向ヨークの管軸方
向の垂直磁界分布は第３図（ｂ）の実戦で示す如くに受
像管の電子銃側に広げられ、また第３図（ｃ）に示すよ
うにセンタービームＧは両サイドビームR・Bより一段と
大きな磁力の作用を受け、偏向感度が増大するので、R・
G・B全ビームが受像管面上で一致し、VCRのコンバーゼン
スずれが補正される。

〔考案が解決しようとする課題） しかし、上述の従来の偏向ヨークの場合、垂直磁界補正
器に巻装される補助コイルのコイルボビンの管軸方向の
寸法が比較的大きなために、磁芯脚部先端の磁界放射部
の位置はこのコイルボビンの管軸方向の寸法のほぼ1/2
程スクリーン面側から離れることになる。このため、垂
直磁界補正器から発生する磁界により偏向ヨーク管軸方
向の垂直磁界分布は第３図（ｂ）の実線の如く電子銃側
に伸びることになる。垂直磁界分布が電子銃側に伸びる
ということは偏向中心がスクリーン面側から離れること
と同じ作用をもたらすため、特に広角型のカラー受像管
の場合或は垂直磁界補正器による垂直偏向磁界の補正量
を大きくしたカラー受像管の場合、ネックシャドー（電
子ビームが受像管のネック部に当りラスターのコーナー
部が欠ける現象）裕度を減少させる欠点を生じさせてい
た。本考案はネックシャドー裕度を拡大し、良好なコン
バーゼンス特性と偏向歪のない偏向ヨークを提供しよう
とするものである。

〔解決するための手段〕

垂直磁界補正器のコの字型磁芯の脚部先端が受像管のス
クリーン面側に接近するよう、垂直磁界補正器を電子ビ
ームの進行方向に傾斜させて対向配設するか或は前記コ
の字型磁芯の脚部を屈曲せしめて形成するものである。

〔作用〕

一対の垂直磁界補正器のコの字型磁芯の脚部先端を受像
管のスクリーン面側に接近するよう垂直磁界補正器を、
電子ビームの進行方向に傾斜させて対向配設するか、或
はコの字型磁芯の脚部を屈曲せしめることにより偏向ヨ
ーク管軸方向の垂直磁界分布がスクリーン面側にせばめ
られ、偏向中心がスクリーン面側に移動させられたと同
じ作用をもたらすのでＶＣＲのコンバーゼンスずれ及び
偏向歪特性に悪影響を与えることなくネックシャドー裕
度が拡大される。

＜実施例１＞ 以下、本考案の実施例を図に沿って説明するものであ
る。

第１図は本考案の第１実施例を示す偏向ヨークの概要図
である。図において、1,1′は一対の垂直磁界補正器、
２は偏向ヨーク、4,4′は磁芯脚部、5,5′は磁界放射
部、6,6′はそれぞれボビン幅寸法L,L′を有する分割型
のコイルボビンである。偏向ヨーク２は、偏向ヨーク２
の電子銃側開口部近傍に、コイルボビン6,6′を介して
コの字型磁芯10,10′のそれぞれの中央辺に補助コイル
3,3′を巻装して構成された一対の垂直磁界補正器1,1′
を偏向ヨークの電子銃側の上・下方向から磁芯10,10′
の脚部4,4′先端の磁界放射部5,5′が受像管のスクリー
ン面側に接近するよう電子ビームの進行方向に傾斜させ
対向配設せしめて構成されている。

＜実施例２＞ 第２図は本考案の第２実施例を示す。なお、説明の便宜
上、実施例１に示したと同一のものには同一の符号を付
して説明を省略する。偏向ヨーク２は、偏向ヨーク２の
電子銃側開口部近傍にコイルボビン6,6′を介してコの
字型磁芯11,11′のそれぞれの中央辺7,7′に補助コイル
が巻装されて構成される一対の垂直磁界補正器1,1′が
偏向ヨークの電子銃側の上・下方向からインライン配列
の電子ビームに直交するよう対向配設されている。ここ
でコの字型磁芯11,11′は脚部先端の磁界放射部5,5′が
受像管のスクリーン面側に接近するよう脚部4,4′を屈
曲せしめて構成されている。尚、コの字型磁芯の形状は
実施例のものに限定されることなく各種形状に形成され
ることはいうまでもない。

〔考案の効果〕

本考案によれば、一対の垂直磁界補正器を傾斜させる、
或はコの字型磁芯の脚部を屈曲せしめるという簡便な構
成によりコの字型磁芯の脚部先端を受像管のスクリーン
面側に接近させ、偏向ヨーク管軸方向の垂直磁界分布を
受像管のスクリーン面側にせばめさせることが出来るた
め、ネックシャドー裕度が拡大し、コンバーゼンス特性
の優れた偏向ヨークが得られ、その実用上の効果は大き
なものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案によるの偏向ヨークの第１実施例を示
す偏向ヨークの概要図、第２図は第２実施例であり、同
図（ａ）は偏向ヨークの概要図、同図（ｂ）はコの字型
磁芯の構成を示す斜視図、第３図は従来例を示し、同図
（ａ）は偏向ヨークの概要図、同図（ｂ）は偏向ヨーク
管軸方向の垂直磁界分布図、同図（ｃ）は垂直補正磁界
を説明する電子銃側からの図、第４図はコマ収差の説明
図。 1,1′……垂直磁界補正器，２……偏向ヨーク 3,3′……補助コイル，4,4′……磁芯脚部 5,5′……磁界放射部，6,6′……コイルボビン 7,7′……中央辺， 10,10′，11,11……コの字型磁芯

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インライン配列のカラー受像管に装着され
   る偏向ヨークの電子銃側開口部近傍に、コの字型磁芯の
   中央辺に補助コイルを巻装して２辺の脚部先端間に磁界
   を発生せしめるよう形成した一対の垂直磁界補正器を、
   インライン配列の電子ビーム進行方向に対しこの垂直磁
   界補正器のコの字型磁芯の脚部が直交するよう対向配設
   し、この一対の垂直磁界補正器の補助コイルに垂直偏向
   周期の電流を流し垂直偏向磁界と同方向の垂直補正磁界
   をコの字型磁芯脚部より発生せしめるよう構成した偏向
   ヨークにおいて、前記コの字型磁芯の脚部先端が受像管
   のスクリーン面側に接近するよう構成されたことを特徴
   とする偏向ヨーク。
2. 【請求項２】前記一対の垂直磁界補正器のコの字型磁芯
   脚部先端が受像管のスクリーン面側に接近するよう、前
   記一対の垂直磁界補正器を電子ビーム進行方向に傾斜さ
   せて対向配設して構成したことを特徴とする請求項１項
   記載の偏向ヨーク。
3. 【請求項３】前記コの字型磁芯の脚部先端が受像管のス
   クリーン面側に接近する方向にコの字型磁芯脚部を屈曲
   せしめたことを特徴とする請求項１または請求項２項記
   載の偏向ヨーク。