JPH06217880A - 電子レンジ用蒸し容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】単一の電子レンジ用蒸し容器でありながら、
蒸し加熱のみの調理と蒸し加熱プラスマイクロ波加熱
の調理とを自由に選択できるようにする。 【構成】マイクロ波透過性の容器本体１の底部に水７を
たくわえる。水７から浮かせる状態でマイクロ波非透過
性の内容器２を容器本体１に内嵌合する。内容器２には
調理物ｍを入れ、マイクロ波非透過性の蓋体３で閉じ
る。内容器２の底板部２ｂにスリット状の蒸気通孔兼マ
イクロ波通過孔２ｃを放射状に形成する。底板部２ｂの
上面にマイクロ波調節板６を摺動回動自在に取り付け
る。マイクロ波調節板６には、蒸気通孔兼マイクロ波通
過孔２ｃと重なったときに水蒸気７ａのみを通過させる
蒸気専用通孔６ｃを列状放射状に形成するとともに、蒸
気通孔兼マイクロ波通過孔２ｃと重なったときに水蒸気
７ａおよびマイクロ波１０の両方を通過させる兼用通孔
６ｄを放射状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内部に調理物を入れた
状態でそれ自体は電子レンジの加熱室に収納され、マイ
クロ波加熱によって調理物の蒸し調理を行うための電子
レンジ用蒸し容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の電子レンジ用蒸し容器としては、
マイクロ波加熱は行わず蒸し加熱のみを行うものと、
蒸し加熱にマイクロ波加熱を加えるものとの２種類が
知られている。

【０００３】〔１〕例えば実公昭５２−１６４６６号公
報に開示されているように、調理物および水を入れてお
くマイクロ波透過性の容器本体と、マイクロ波非透過性
の金属製の蓋体とからなっているものである。マグネト
ロンから出射されたマイクロ波は金属製蓋体で反射され
るため、金属製蓋体の直下の調理物を直接にマイクロ波
加熱することはない。すなわち、調理物の急激昇温は避
けている。マグネトロンからのマイクロ波は、加熱室壁
面によって反射され、また、金属製蓋体から反射された
ものが加熱室壁面によって反射されてマイクロ波透過性
の容器本体に至り、容器本体を透過して内部の水をマイ
クロ波加熱し蒸発させる。容器本体内で高温となった水
蒸気は、同じく容器本体内の調理物を蒸し調理すること
になる。すなわち、調理物をマイクロ波で直接的に加熱
するのではなく、水をマイクロ波加熱して水蒸気を発生
させ、その加熱水蒸気で調理物を蒸し調理するのであ
り、これはのタイプである。

【０００４】〔２〕例えば実公昭６１−３２２４５号公
報に開示されているように、マイクロ波透過性の容器本
体と、この容器本体に内嵌合され調理物を入れるマイク
ロ波非透過性のアルミニウム製の内容器と、内容器を閉
じるマイクロ波非透過性のステンレス鋼製の蓋体とから
構成されたものである。内容器の上縁部は容器本体の上
縁部に支持され、内容器の底板部と容器本体の底板部と
の間には一定の間隔があいている。その間隔の部分にお
いて容器本体に水が入れられている。内容器の底板部に
は多数の蒸気通孔が形成されている。マグネトロンから
出射されたマイクロ波はマイクロ波透過性の容器本体を
透過して、容器本体内の水をマイクロ波加熱し蒸発させ
る。加熱水蒸気は内容器の底板部の蒸気通孔を通って内
容器内に流入し、内容器内の調理物を蒸し調理する。ス
テンレス鋼製の蓋体はマイクロ波加熱によって昇温する
ため、内容器内の水蒸気の結露を防止する。この場合も
上記の従来例と同様に、調理物をマイクロ波で直接的に
加熱するのではなく、水をマイクロ波加熱して水蒸気を
発生させ、その加熱水蒸気で調理物を蒸し調理するもの
である。これものタイプである。

【０００５】〔３〕上記の加熱水蒸気による蒸し調理に
マイクロ波加熱をも加える調理法もある。これがのタ
イプである。例えば電子レンジ用蒸し容器を電子レンジ
の加熱室底板上に直接載置し、その加熱室底板から反射
するマイクロ波を調理物の方に導く方法である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
電子レンジ用蒸し容器は、マイクロ波加熱は行わず蒸
し加熱のみを行うタイプか、蒸し加熱にマイクロ波加
熱を加えるタイプかのいずれかしかなかった。すなわ
ち、それぞれ専用の電子レンジ用蒸し容器として構成さ
れていた。

【０００７】したがって、いずれか一方のタイプの電子
レンジ用蒸し容器しか有していないときには、そのタイ
プがもつ機能での蒸し調理しか行えず、他のタイプの機
能での蒸し調理は行えなかった。そして、特に、いずれ
のタイプの蒸し調理をも行いたいときには、両方のタイ
プの電子レンジ用蒸し容器を取り揃えておかなければな
らず、費用がたかくつく上に、設置場所や収納空間に困
るという問題があった。

【０００８】本発明は、このような事情に鑑みて創案さ
れたものであって、単一の電子レンジ用蒸し容器であり
ながら、蒸し加熱のみの調理と、蒸し加熱プラスマ
イクロ波加熱の調理とを自由に選択できるようにするこ
とを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係る電子レンジ
用蒸し容器は、底部に水をたくわえるマイクロ波透過性
の容器本体と、この容器本体に底面を浮かせた状態で内
嵌合され底面に蒸気通孔を有し調理物を収納するマイク
ロ波非透過性の内容器と、この内容器を閉じるマイクロ
波非透過性の蓋体とを備えた電子レンジ用蒸し容器であ
って、前記内容器の底板部における蒸気通孔の形状をマ
イクロ波をも通過させる形状になすとともに、前記内容
器の底板部に重ね合わせかつその底板部に沿って摺動し
て変位するマイクロ波調節板を設け、このマイクロ波調
節板には、一方への変位状態で前記内容器における前記
蒸気通孔兼マイクロ波通過孔に対して水蒸気のみを通過
させる蒸気専用通孔と、他方への変位状態で前記内容器
における蒸気通孔兼マイクロ波通過孔に対して水蒸気も
マイクロ波も通過させる兼用通孔とを形成してあること
を特徴とするものである。

【００１０】

【作用】マイクロ波調節板を変位させてその蒸気専用通
孔を内容器の蒸気通孔兼マイクロ波通過孔に重ね合わせ
ると、それらの重ね合わせ通孔からは水蒸気しか通過せ
ず、蒸し加熱のみの調理となる。また、マイクロ波調節
板を変位させてその兼用通孔を内容器の蒸気通孔兼マイ
クロ波通過孔に重ね合わせると、それらの重ね合わせ通
孔からは水蒸気もマイクロ波も通過し、蒸し加熱プラス
マイクロ波加熱の調理となる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明に係る電子レンジ用蒸し容器の
一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１２】図１は実施例に係る電子レンジ用蒸し容器
の概略的な垂直断面図である。図において、１はマイク
ロ波透過性の容器本体、２はマイクロ波非透過性の内容
器、３はマイクロ波非透過性の蓋体、４は蓋体３の摘
み、５は蒸し台、ｍは調理物、６はマイクロ波調節板で
ある。

【００１３】容器本体１は、陶器，磁器，ガラス，ポリ
プロピレンなどのマイクロ波透過性の材料で構成されて
おり、拡開された円周状の上縁段部１ａを有している。
この容器本体１は、その底部に水７をたくわえ、また、
内容器２を内嵌合するものである。マイクロ波非透過性
の内容器２はアルミニウム製であり、拡開された円周状
の突縁部２ａが一体的に形成され、この突縁部２ａを容
器本体１の上縁段部１ａに載置させた状態で容器本体１
に内嵌合している。その状態で内容器２の底板部２ｂは
容器本体１の底面（詳しくは水７の表面）よりも上方に
位置している。

【００１４】内容器２の底板部２ｂには複数個の蒸気通
孔兼マイクロ波通過孔２ｃが形成されている。この蒸気
通孔兼マイクロ波通過孔２ｃについては後述する。

【００１５】内容器２の上部開口を閉じるマイクロ波非
透過性の蓋体３はステンレス鋼製であり、その下端縁が
全周にわたって内方に巻き込まれた結露水溜め部３ａと
なっている。蓋体３は、この結露水溜め部３ａが内容器
２の突縁部２ａに載置支持されている。内容器２の突縁
部２ａは、蓋体３との接触部において火花放電が生じな
いようにアルマイト加工により電気的な絶縁処理が施さ
れている。蒸し台５はマイクロ波調節板６上に着脱自在
に載置されるようになっており、その蒸し台５上に調理
物ｍが載置される。

【００１６】図２は内容器２の平面図である。内容器２
の底板部２ｂに通常形成される蒸気通孔は直径が３〜５
ｍｍの丸孔であるが、それでは水蒸気は通過させること
ができてもマイクロ波を通過させることはできない。本
実施例においては、蒸気通孔兼マイクロ波通過孔２ｃを
形成するのであるが、水蒸気もマイクロ波も通過させる
ことができるように細長いスリット状に形成してある。
その幅は３〜５ｍｍ程度である。複数のスリット状の蒸
気通孔兼マイクロ波通過孔２ｃが等しい中心角をなす放
射状に形成されている。底板部２ｂの周辺部分には、複
数のスライドピン孔２ｄと複数のクリック突起２ｅが形
成され、中央部分には凹部２ｆが形成されている。

【００１７】図３はマイクロ波調節板６の平面図であ
る。マイクロ波調節板６の周辺部分には内容器２のスラ
イドピン孔２ｄに対応して円弧長孔状のスライド長孔６
ａが複数形成されているとともに、内容器２のクリック
突起２ｅに対応してそれぞれ一対のクリック孔６ｂが複
数形成されている。図１に示すように、マイクロ波調節
板６の各スライド長孔６ａに挿通したスライドピン８が
内容器２の底板部２ｂのスライドピン孔２ｄに挿入固定
されており、マイクロ波調節板６は、スライド長孔６ａ
がスライドピン８に沿って円弧状に摺動する状態で内容
器２の底板部２ｂに取り付けられていることになる。

【００１８】マイクロ波調節板６には２種類の通孔が形
成されている。一方は水蒸気のみを通過させる直径３〜
５ｍｍ程度の丸孔からなる蒸気専用通孔６ｃであり、他
方は水蒸気もマイクロ波も通過させるように幅１〜２ｍ
ｍ程度のスリット状に形成された兼用通孔６ｄである。
スリット状の兼用通孔６ｄは、放射状に形成され、その
中心角は内容器２の蒸気通孔兼マイクロ波通過孔２ｃの
中心角と等しくなっている。蒸気専用通孔６ｃは、隣接
する一対の兼用通孔６ｄ，６ｄの丁度中間でそれぞれ複
数個が列状になって配置されている。マイクロ波調節板
６の中心部には、マイクロ波調節板６を回転させるため
の道具を係合する小さな長方形状の操作孔６ｅが形成さ
れている。操作孔６ｅへの回転道具の係合が抵抗なく行
えるように内容器２の底板部２ｂの中央に凹部２ｆを形
成してあるのである。

【００１９】図４はスライド長孔６ａをスライドピン８
に案内させる状態でマイクロ波調節板６を反時計方向の
限界まで回し、放射状各１列の蒸気専用通孔６ｃが内容
器２の各蒸気通孔兼マイクロ波通過孔２ｃに位置対応し
た状態を示している。このときは、重ね合わせ通孔２
ｃ，６ｃの開口面積が結局は蒸気専用通孔６ｃの開口面
積となるため、水蒸気のみを通す状態となる。

【００２０】なお、マイクロ波調節板６を回すときは、
操作孔６ｅに硬貨やフォークやねじ回しなどを係合させ
て回せばよく、きわめて簡単な操作でマイクロ波調節板
６の角度調節を行うことができる。図４の状態では、一
対のクリック孔６ｂのうち時計方向側のクリック孔６ｂ
がクリック突起２ｅに係合して回り止め状態を確保して
いる。

【００２１】図５はスライド長孔６ａをスライドピン８
に案内させる状態でマイクロ波調節板６を時計方向の限
界まで回し、各スリット状の兼用通孔６ｄが内容器２の
各蒸気通孔兼マイクロ波通過孔２ｃに位置対応した状態
を示している。このときは、重ね合わせ通孔２ｃ，６ｄ
の開口面積が結局はスリット状の兼用通孔６ｄの開口面
積となるため、水蒸気だけでなくマイクロ波をも通す状
態となる。なお、一対のクリック孔６ｂのうち反時計方
向側のクリック孔６ｂがクリック突起２ｅに係合して回
り止め状態を確保している。

【００２２】次に、以上のように構成された電子レンジ
用蒸し容器Ａの動作を説明する。

【００２３】マイクロ波調節板６を図４か図５のいずれ
かの状態にする。容器本体１に水７を入れ、内容器２を
容器本体１に内嵌合し、蒸し台５をマイクロ波調節板６
上に載置し、蒸し台５上に調理物ｍを置く。そして、蓋
体３を閉める。この状態で電子レンジ用蒸し容器Ａを電
子レンジの加熱室内に入れ、加熱室底板９上に載置す
る。

【００２４】電子レンジを駆動してマイクロ波加熱を開
始すると、マグネトロンから出射されたマイクロ波はス
テンレス鋼製の蓋体３で反射されるため、調理物ｍを蓋
体３を通して直接にはマイクロ波加熱することはない。
マイクロ波はマイクロ波透過性の容器本体１を透過し、
水７に吸収されて水７をマイクロ波加熱し、破線矢印で
示すように水蒸気７ａを発生させる。また、水７をも透
過した一部のマイクロ波は、一点鎖線で示すように加熱
室底板９で反射され、内容器２の方に向かう（符号１０
参照）。

【００２５】図４のようにマイクロ波調節板６の蒸気専
用通孔６ｃが内容器２の蒸気通孔兼マイクロ波通過孔２
ｃに重なり合っているときには、重ね合わせ通孔２ｃ，
６ｃには加熱室底板９から反射したマイクロ波１０は通
過せず、水蒸気７ａのみが重ね合わせ通孔２ｃ，６ｃを
通って内容器２内に入り込み、調理物ｍに対する蒸し加
熱のみの調理となる。

【００２６】また、図５のようにマイクロ波調節板６の
兼用通孔６ｄが内容器２の蒸気通孔兼マイクロ波通過孔
２ｃと重なり合っているときには、重ね合わせ通孔２
ｃ，６ｄには加熱室底板９から反射したマイクロ波１０
も通過する。もちろん、水蒸気７ａも通過する。したが
って、調理物ｍに対しては、蒸し加熱プラスマイクロ波
加熱の調理となる。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、マイク
ロ波調節板の変位により、内容器の蒸気通孔兼マイクロ
波通過孔に対して蒸気専用通孔を重ね合わせるか兼用通
孔を重ね合わせかの選択を行うことで、単一の電子レン
ジ用蒸し容器でありながら、調理物の種類や量や使用者
の好みなどに応じて、蒸し加熱のみの調理と、蒸し
加熱プラスマイクロ波加熱の調理とを自由に選択するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る電子レンジ用蒸し容器
の概略的な構造を示す垂直断面図である。

【図２】実施例における内容器の平面図である。

【図３】実施例におけるマイクロ波調節板の平面図であ
る。

【図４】実施例においてマイクロ波調節板の放射状各１
列の蒸気専用通孔を内容器の蒸気通孔兼マイクロ波通過
孔に位置対応させた状態を示す平面図である。

【図５】実施例においてマイクロ波調節板の兼用通孔を
内容器の蒸気通孔兼マイクロ波通過孔に位置対応させた
状態を示す平面図である。

【符号の説明】

ｍ……調理物 １……容器本体 ２……内容器 ２ｂ……底板部 ２ｃ……蒸気通孔兼マイクロ波通過孔 ２ｄ……スライドピン孔 ２ｅ……クリック突起 ２ｆ……凹部 ３……蓋体 ４……摘み ５……蒸し台 ６……マイクロ波調節板 ６ａ……スライド長孔 ６ｂ……クリック孔 ６ｃ……蒸気専用通孔 ６ｄ……兼用通孔 ６ｅ……操作孔 ７……水 ７ａ……水蒸気 ８……スライドピン ９……加熱室底板 １０……マイクロ波

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部に水をたくわえるマイクロ波透過性
   の容器本体と、この容器本体に底面を浮かせた状態で内
   嵌合され底面に蒸気通孔を有し調理物を収納するマイク
   ロ波非透過性の内容器と、この内容器を閉じるマイクロ
   波非透過性の蓋体とを備えた電子レンジ用蒸し容器であ
   って、 前記内容器の底板部における蒸気通孔の形状をマイクロ
   波をも通過させる形状になすとともに、 前記内容器の底板部に重ね合わせかつその底板部に沿っ
   て摺動して変位するマイクロ波調節板を設け、 このマイクロ波調節板には、一方への変位状態で前記内
   容器における前記蒸気通孔兼マイクロ波通過孔に対して
   水蒸気のみを通過させる蒸気専用通孔と、他方への変位
   状態で前記内容器における蒸気通孔兼マイクロ波通過孔
   に対して水蒸気もマイクロ波も通過させる兼用通孔とを
   形成してあることを特徴とする電子レンジ用蒸し容器。