JPH06215976A - コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

コンデンサ及びその製造方法

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JPH06215976A
JPH06215976A JP2214593A JP2214593A JPH06215976A JP H06215976 A JPH06215976 A JP H06215976A JP 2214593 A JP2214593 A JP 2214593A JP 2214593 A JP2214593 A JP 2214593A JP H06215976 A JPH06215976 A JP H06215976A
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capacitor
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Kunisaburo Tomono
国三郎 伴野
Kouji Kajiyoshi
浩二 梶芳
Masahiro Yoshimura
昌弘 吉村
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな電極表面積を精度よく実現するととも
に、高誘電率材料であるペロブスカイト構造を有する複
合酸化物を良好な結晶性のもとで、任意の形状を有しか
つ大面積の電極表面上に均一に形成することにより、小
型で、しかも大容量のコンデンサを得る。 【構成】 溝1または穴7を形成することにより表面積
を増大させた金属基体Aと、金属基体Aの表面の少なく
とも一部に形成された誘電体膜2と、誘電体膜2の表面
に形成された導体膜4と、金属基体A及び導体膜4と導
通する外部電極とを具備する。上記誘電体膜2は、Ti
またはZrからなる金属基体Aを、Ca,Sr,Ba,
Pb,Ti,Zrからなる元素群の少なくとも1種を含
有する処理水溶液に浸漬して50℃以上の温度で水熱処
理することにより形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、コンデンサに関し、
詳しくは、小型、軽量で、しかも、大きな静電容量を有
するコンデンサ及び該コンデンサを効率よく製造するこ
とが可能なコンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】電子機
器の小型化にともない、電子機器の部品密度が高くな
り、単位容積当りに収納される電子部品数が著しく増大
している。トランジスタやダイオードのような界面の物
理現象に関わる素子は、集積回路技術の進歩により極め
て小型化されているが、コンデンサは、電極面積に静電
容量が比例するという特性を有していることから、静電
容量を低下させることなく小型化を実現することは容易
ではない。特に、1μF以上の静電容量を有するコンデ
ンサの小型化が遅れているのが実情である。
【0003】ところで、静電容量を低下させることなく
コンデンサの小型化を実現するための主要な方法として
は、以下に説明するような3つの方法がある。
【0004】まず、第1の方法としては、誘電体の誘電
率を大きくする方法がある。誘電率の大きな材料として
は、例えば、BaTiO3に代表されるペロブスカイト
型強誘電体がある。誘電率が1000以上の高誘電率材
料を用いたコンデンサとしては、例えば、高誘電体材料
からなる誘電体層と内部電極層を積層してなる積層セラ
ミックコンデンサがすでに実用されている。この積層セ
ラミックコンデンサは、通常、高誘電率材料の粉末原料
を有機バインダなどと混合してスラリー化し、これを膜
状に成形して誘電体層(膜)を形成し、この誘電体層を
内部電極層と交互に積層した後に、高温で焼成すること
により製造される。したがって、内部電極材料として、
焼成工程で酸化されにくい銀やパラジウムなどの高価な
貴金属を使用しなければならないこと、高温焼成に多大
のエネルギーを要することなどの理由からコスト高とな
り、製造工程も複雑になるという問題点がある。また、
上記のようにスラリーを膜状に成形することにより形成
される誘電体層の厚さは約10μm程度であり、後述の
誘電体層の薄膜化の見地からみて十分に薄膜化すること
ができないという問題点がある。
【0005】また、第2の方法としては、電極の表面積
を大きくする方法がある。この方法によるコンデンサと
しては、例えば、電解コンデンサや、電気2重層コンデ
ンサがある。しかし、アルミニウム電解コンデンサやタ
ンタル電解コンデンサなどの電解コンデンサはその寿命
に限界があるとともに、周波数特性が悪く、さらに、誘
電正接が大きく、有極性であるという問題点がある。ま
た、電気2重層コンデンサは、獲得できる静電容量あた
りの体積を小さくすることができるものの、電解液を含
むため、衝撃に弱く、しかも使用電圧が低いという問題
点がある。
【0006】さらに、第3の方法としては、電極及び誘
電体の厚さを極く薄くする方法がある。誘電体の薄膜化
は、単に誘電体の占める体積を低減して小型化に寄与す
るばかりでなく、同じ電極面積であれば、電極間距離が
小さくなる分だけ静電容量が大きくなるという効果があ
る。この方法による薄膜コンデンサとしては、Ta25
などの酸化物薄膜を蒸着やスパッタリングなどの気相法
により形成して利用したものがある。しかし、この方法
に用いられるTa25などの材料の誘電率は、通常、数
十であり、大容量コンデンサを実現するには至っていな
い。
【0007】また、BaTiO3などの強誘電体をTa2
5などと同様の気相法で薄膜化しようとする試みもあ
るが、薄膜形成時の半導体化を防ぐための雰囲気や組成
の制御が容易ではないこと、結晶性が悪く強誘電性を十
分に発現させることが困難であることなどの理由から、
いまだ大容量コンデンサが得られるには至っていない。
さらに、強誘電体の薄膜化に関しては、セラミックコン
デンサの長所である多層化の技術、あるいは、電解コン
デンサや電気2重層コンデンサがその長所としている大
面積の基体表面への薄膜形成技術も極めて不十分である
と言わざるを得ず、実用化には多大の問題点を包含して
いる。
【0008】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、小型かつ軽量で、しかも静電容量が大きく、低コ
ストのコンデンサ及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】すなわち、本願発明は、大きな電極表面積
を精度よく実現することが可能なコンデンサの構造と、
高誘電率材料であるペロブスカイト構造を有する複合酸
化物を良好な結晶性のもとで、任意の形状を有しかつ大
面積の電極表面上に均一に形成することが可能なコンデ
ンサの製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明のコンデンサは、溝または穴を形成するこ
とにより表面積を増大させた金属基体と、前記金属基体
の表面の少なくとも一部に形成された誘電体膜と、前記
誘電体膜の表面に形成された導体膜と、前記金属基体及
び前記導体膜にそれぞれ導通する外部電極とを具備する
ことを特徴とする。
【0011】また、前記金属基体がチタン(Ti)また
はジルコニウム(Zr)からなり、前記誘電体膜が、一
般式:XYO3(但し、X=Ca,Sr,Ba,Pb、
Y=Ti,Zr)で表されるペロブスカイト型複合酸化
物からなることを特徴としている。
【0012】さらに、本願発明のコンデンサの製造方法
は、表面に溝または穴を形成することによりその表面積
を増大させた、チタン(Ti)またはジルコニウム(Z
r)からなる金属基体を、カルシウム(Ca),ストロ
ンチウム(Sr),バリウム(Ba),鉛(Pb),チ
タン(Ti),ジルコニウム(Zr)からなる元素群よ
り選ばれた少なくとも1種を0.1mol/l以上含有する
pH13以上の処理水溶液に浸漬して50℃以上の温度
で水熱処理することにより、前記金属基体の表面に、誘
電体膜として、一般式:XYO3(但し、X=Ca,S
r,Ba,Pb、Y=Ti,Zr)で表されるペロブス
カイト型複合酸化物膜を形成するとともに、前記ペロブ
スカイト型複合酸化物膜の表面に導体膜を形成した後、
前記金属基体及び前記導体膜にそれぞれ導通する外部電
極を形成することを特徴としている。
【0013】また、前記金属基体を前記処理水溶液に浸
漬して水熱処理する工程において、前記処理水溶液中に
配設された任意の電極と前記金属基体の間に通電するこ
とにより行う電解処理を前記水熱処理と同時に施すこと
を特徴とする。
【0014】
【作用】本願発明のコンデンサにおいては、溝または穴
を形成することにより表面積を増大させた金属基体の表
面に誘電体膜が形成され、さらにこの誘電体膜上に導体
膜(電極)が形成されているため、導体膜(電極)面積
が増大する。したがって、金属基体を大型化することな
く、大きな静電容量を実現することが可能になる。ま
た、誘電体膜として、ペロブスカイト型複合酸化物から
なる膜を、大面積の金属基体の表面に形成することによ
り、大きな静電容量を実現することが可能になる。
【0015】また、本願発明のコンデンサの製造方法に
おいては、表面に溝または穴を形成することによりその
表面積を増大させたTiまたはZrからなる金属基体
を、Ca,Sr,Ba,Pb,Ti,Zrからなる元素
群より選ばれた少なくとも1種を含有する処理水溶液中
で水熱処理し、金属基体の表面に、誘電体膜として、一
般式:XYO3(但し、X=Ca,Sr,Ba,Pb、
Y=Ti,Zr)で表されるペロブスカイト型複合酸化
物膜を形成することにより、大面積で任意の形状の金属
基体の表面上に、高誘電率材料であるペロブスカイト構
造を有する複合酸化物を容易に形成することが可能にな
り、小型で静電容量の大きなコンデンサを効率よく低コ
ストで製造することが可能になる。
【0016】なお、均一で結晶性が良好なペロブスカイ
ト型複合酸化物膜を形成するためには、Ca,Sr,B
a,Pb,Ti,Zrからなる元素群より選ばれた少な
くとも1種を0.1mol/l以上含有するpH13以上の
処理水溶液を用い、50℃以上の温度で水熱処理を施す
ことが必要である。
【0017】
【実施例】以下、本願発明の実施例を示すことにより、
発明の特徴をさらに詳しく説明する。
【0018】ダイシングソーを用いて、純度99.5%
以上のチタン金属及ジルコニウム金属を、図2に示すよ
うに、長さ(L)3.0mm,幅(W)2.0mm,高さ
(H)2.0mmのチップ状に整形して金属基体Aを作製
し、これに所定の形状の溝や穴を形成するとともに、金
属基体の表面に誘電体膜を形成し、さらにこの誘電体膜
上に導体膜(電極)を形成することにより、下記の実施
例1〜8の各コンデンサを作製した。
【0019】[実施例1]チタン金属からなる金属基体
(チタン金属基体)Aに、図3に示すように、その長さ
方向に垂直な溝1(幅(G)100μm、深さ(D)
1.50mm、ピッチ(互に隣接する2つの溝1の間の距
離)(P)100μm)を形成した。それから、チタン
金属基体Aの表面の微小な加工傷を除くために、チタン
金属基体Aを処理液(蒸留水3重量部+メチルアルコー
ル95重量部+エチレングリコール44重量部+過酸化
水素水4重量部)中に入れて、チタン金属基体Aを陽
極、ステンレスを陰極として30V,10秒間の電解研
磨を施した。
【0020】次に、下記の誘電体膜の形成方法(a)に
より、溝1の内側の面を含むチタン金属基体Aの表面全
体に厚さ0.2μmのSrTiO3膜2を形成した(図
4)。それから、図5に示すように、SrTiO3膜2
の一部分3を除いた部分に銀ペーストを塗布し、これを
硬化することにより導体膜(電極)4を形成した。その
後、チタン金属基体Aの一部分(SrTiO3膜2が露
出している部分)を、処理液(蒸留水85重量部+フッ
酸10重量部+硝酸5重量部)中に30秒間浸漬してエ
ッチングを行うことにより、SrTiO3膜3(図5)
の一部分を取り除き、チタン金属基体Aの一部分5を露
出させることによりコンデンサ素子Bを形成した(図
1)。そして、チタン金属基体Aの一方の端面の露出部
分5と他方の端面の導体膜(電極)4に2つの測定端子
6,6を接続した(図6)。
【0021】上記のようにして作製したコンデンサ素子
Bについて、静電容量(周波数1kHz,印加電圧1.
0Vrms)を測定したところ、その静電容量は1.1
1μFであった。
【0022】誘電体膜の形成方法(a) この実施例1においては、図13に示す装置を用いて誘
電体膜を形成した。すなわち、フッ素樹脂(テフロン)
製のビーカ9に入れた処理水溶液(0.5mol/lのSr
(OH)2水溶液をNaOH水溶液を用いてpH14.
25に調整した水溶液)10中に、チタン金属基体Aを
浸漬し、ビーカ9全体をオートクレーブ8内に設置して
密閉した。そして、この状態で150℃まで昇温し、そ
の後60分間150℃に保持して水熱処理を行った。処
理後のチタン金属基体Aを蒸留水中で十分に超音波洗浄
した後、120℃で60分間乾燥した。
【0023】上記の方法により、チタン金属基体Aの表
面全体に厚さ0.1μmのSrTiO3多結晶膜を形成す
ることができた。このように短時間で溝1(図13には
示さず)の内側の表面にまで均一に誘電体膜を形成する
ことができたのは、液相中の反応を利用していること、
及びその反応温度が通常の溶液反応の温度よりも高いこ
とによる。なお、上記の例では、Sr2+イオン源として
Sr(OH)2を用い、pH調整用のアルカリとしてN
aOHを用いた場合について説明したが、Sr2+イオン
源としては、Sr(OH)2に限らず、Sr(NO32
などの他の物質を用いることが可能であり、また、アル
カリとしては、NaOHに限らず、KOH,LiOHな
どを用いることが可能である。
【0024】[実施例2]ダイシングソーを用いて、チ
タン金属基体に、その長さ方向に垂直な溝(幅50μ
m、深さ1.00mm、ピッチ50μm)を形成した。そし
て、このチタン金属基体を実施例1と同様の方法で電解
研磨した後、下記の誘電体膜の形成方法(b)により、
誘電体膜として厚さ1.0μmのBaTiO3膜を形成し
た。それから、上記実施例1と同様の工程を経てコンデ
ンサ素子を作製した。
【0025】上記のようにして作製したコンデンサ素子
の静電容量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrm
s)を測定したところ、その静電容量は0.158μF
であった。
【0026】誘電体膜の形成方法(b) この実施例2においては、図14に示す装置を用いて誘
電体膜を形成した。すなわち、フッ素樹脂(テフロン)
製のビーカ9に入れられた処理水溶液(0.5mol/lの
Ba(OH)2水溶液をNaOH水溶液によりpH1
4.50に調整した水溶液)10中に、チタン金属基体
A及び白金板12を浸漬するとともに、チタン金属基体
A及び白金板12に、オートクレーブ8を密閉したとき
にも、外部の電源14から、電力を供給することができ
るように、あらかじめ配線しておいた一対のフッ素樹脂
コーティングを施した白金線13を接続した。そして、
ビーカ9内の処理水溶液10にチタン金属基体Aと白金
板12が浸漬された状態でオートクレーブ8を密閉し
た。
【0027】この状態で150℃まで昇温し、その後6
0分間この温度に保持して、水熱処理を行うと同時に、
チタン金属基体Aと白金板12の間(すなわち電極間)
に、直流10Vを印加して定電圧電解処理を施した。次
に、処理後のチタン金属基体Aを蒸留水中で十分に超音
波洗浄した後、120℃で60分間乾燥した。
【0028】この方法により、チタン金属基体Aの全表
面に厚さ1.0μmのBaTiO3多結晶膜を形成するこ
とができた。なお、このBaTiO3多結晶膜の膜厚
は、走査電子顕微鏡の視野内で直接に測定した。また、
結晶性は、薄膜X線回折法により確認した。
【0029】なお、電解処理をともなわない誘電体膜の
形成方法(a)では、膜厚約0.5μm以上にまで膜を
成長させるのに、数時間から数十時間を要するのに対し
て、電解処理を伴うこの誘電体膜の形成方法(b)によ
れば、膜厚が数μmの誘電体膜を同程度の時間で形成す
ることができる。
【0030】なお、この誘電体膜の形成方法(b)にお
いても、上記の誘電体膜の形成方法(a)の場合と同様
に、Ba2+イオン源としては、Ba(OH)2に限ら
ず、その他のBa塩などの物質を用いることが可能であ
り、また、アルカリとしては、NaOHに限らず、KO
H,LiOHなどを用いることが可能である。
【0031】[実施例3]電子ビーム加工装置(加速電
圧140kV,ビーム電流100μA,パルス幅80μ
s,パルス周波数50Hz)を用いて、チタン金属基体
に、その長さ方向に垂直な溝(幅25μm、深さ1.0
0mm、ピッチ25μm)を形成した。そして、このチタ
ン金属基体を、pHが14.50、Pb(NO32濃度
が0.5mol/lの処理水溶液中に浸漬し、上記誘電体膜
の形成方法(a)に準じる方法(電解処理をともなわな
い方法)により、200℃,30分間の水熱処理を施
し、その表面に厚さ0.5μmのPbTiO3膜を形成し
た後、上記実施例1と同様の工程を経てコンデンサ素子
を作製した。
【0032】上記のようにして作製したコンデンサ素子
の静電容量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrm
s)を測定したところ、その静電容量は0.562μF
であった。
【0033】[実施例4]図7に示すように、チタン金
属基体Aの、3.0mm×2.0mmの面の、端部からの距
離Dが25μm以内の周辺部を除く全面に、電子ビーム
加工装置を用いて直径20μm、ピッチ(P)25μmの
穴7(貫通穴)を形成した。そして、このチタン金属基
体Aを、pHが14.00、Ca(OH)2濃度が0.
2mol/lの処理水溶液中に浸漬し、上記の誘電体膜の形
成方法(a)に準じる方法(電解処理をともなわない方
法)により、200℃,30分間の水熱処理を施し、そ
の表面に厚さ0.2μmのCaTiO3膜を形成した。そ
れから、上記実施例1と同様の工程を経てコンデンサ素
子を作製した(図8)。
【0034】こうして作製したコンデンサ素子の静電容
量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrms)を測定
したところ、その静電容量は6.79μFであった。
【0035】[実施例5]実施例4と同様に、チタン金
属基体の、3.0mm×2.0mmの面の、端部からの距離
が25μm以内の周辺部を除く全面に、電子ビーム加工
装置を用いて直径20μm、ピッチ25μmの穴(貫通
穴)を形成した。そして、上記の誘電体膜の形成方法
(a)により、このチタン金属基体の表面に厚さ0.1
μmのSrTiO3膜を形成した後、上記実施例1と同様
の工程を経て実施例4のコンデンサ素子(図8)と同様
の形状のコンデンサ素子を作製した。
【0036】こうして作製したコンデンサ素子の静電容
量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrms)を測定
したところ、その静電容量は23.0μFであった。
【0037】[実施例6]実施例4と同様に、チタン金
属基体の、3.0mm×2.0mmの面の、端部からの距離
が12μm以内の周辺部を除く全面に、電子ビーム加工
装置を用いて直径10μm、ピッチ12μmの穴(貫通
穴)を形成した。そして、上記の誘電体膜の形成方法
(a)に準じる方法(電解処理をともなわない方法)に
より、このチタン金属基体の表面に厚さ0.1μmのB
aTiO3膜を形成した後、上記実施例1と同様の工程
を経て実施例4のコンデンサ素子(図8)に準じる形状
のコンデンサ素子を作製した。
【0038】こうして作製したコンデンサ素子の静電容
量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrms)を測定
したところ、その静電容量は104μFであった。
【0039】[実施例7]ジルコニウム金属に、実施例
3の場合と同様に、電子ビーム加工装置を用いて、その
長さ方向に垂直な溝(幅25μm、深さ1.00mm、ピ
ッチ25μm)を形成した。そして、このジルコニウム
金属基体を、pHが14.50、Pb(NO 3)2濃度が
0.5mol/lの処理水溶液中に浸漬し、上記の誘電体膜
の形成方法(a)に準じる方法(電解処理をともなわな
い方法)により、250℃,30分間の水熱処理を施
し、その表面に厚さ0.6μmのPbZrO3膜を形成し
た。それから、上記実施例1と同様の工程を経てコンデ
ンサ素子を作製した。
【0040】こうして作製したコンデンサ素子の静電容
量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrms)を測定
したところ、その静電容量は0.334μFであった。
【0041】[実施例8]チタン金属に、実施例3の場
合と同様に、電子ビーム加工装置を用いて、その長さ方
向に垂直な溝(幅25μm、深さ1.00mm、ピッチ2
5μmになるように形成することによりチタン金属基体
を作製した。そして、このチタン金属基体を、pHが1
4.50で、Pb(NO32及びオキシ硝酸ジルコニウ
ム(ZrO(NO32・H2O)をそれぞれ0.5mol/
l含有する処理水溶液中に浸漬し、上記の誘電体膜の形
成方法(a)に準じる方法(電解処理をともなわない方
法)により、270℃,30分間の水熱処理を施し、そ
の表面に厚さ0.7μmのPb(Ti0.5Zr0.5)O3
を形成した。この膜のTiとZrの比は、格子定数から
見積もった値である。それから、上記実施例1と同様の
工程を経てコンデンサ素子を作製した。
【0042】こうして作製したコンデンサ素子の静電容
量(周波数1kHz,印加電圧1.0Vrms)を測定
したところ、その静電容量は1.16μFであった。
【0043】上述の各実施例において得られたコンデン
サ素子の静電容量の値は、それぞれの高誘電率材料の薄
膜を平面に形成して測定した値及び各実施例のコンデン
サ素子の電極表面積の計算値から見積もった値に、98
%の確度で一致した。
【0044】なお、上記実施例では、金属基体の幅方向
全体に溝を形成した場合、及び平面形状が円形で金属基
体を貫通する穴を形成した場合について説明したが、本
願発明のコンデンサ及びその製造方法においては、溝や
穴の形状はもちろん、溝や穴の形成位置、ピッチ、形成
方向などについても、上記実施例により限定されるもの
ではなく、この発明の要旨の範囲内において、種々の変
形や応用を加えることができる。したがって、例えば、
図9に示すように、金属基体Aに平面形状が細長い形状
の穴(貫通穴)15を形成してもよく、さらに、図10
に示すように、金属基体Aの長手方向と幅方向の2つの
方向に互に直交する溝16,17を形成して、金属基体
Aの表面積をさらに増大させることも可能である。ま
た、金属基体Aに穴を形成する場合、図7や図9に示し
たような貫通穴7,15ではなく、図11に示すよう
に、金属基体の途中までの有底の穴18を形成すること
も可能である。さらに、図12に示すように、金属基体
Aの3つの面から互に直交するような方向に複数の貫通
穴19,20,21を形成することも可能である。
【0045】なお、上記実施例では、金属基体及び導体
膜(電極)と導通する外部電極を設けた例を具体的に示
していないが、外部電極は、金属基体の外周面や、組み
合わせて用られる他の部材の表面などの任意の位置に導
電ペーストを塗布、硬化する方法などにより形成するこ
とが可能であり、金属基体の外周面の所定の位置に外部
電極を形成することにより、表面実装に適したチップ型
のコンデンサを得ることができる。また、金属基体及び
導体膜に端子を取り付けることにより端子付きのコンデ
ンサを構成することも可能である。
【0046】
【発明の効果】上述のように、本願発明のコンデンサ
は、溝または穴を形成することにより表面積を増大させ
た金属基体の表面の少なくとも一部に誘電体膜を形成す
るとともに、この誘電体膜の表面に導体膜(電極)を形
成し、金属基体と導体膜(電極)との間に容量を形成す
るようにしているので、大きな電極表面積を実現するこ
とが可能になり、小型かつ軽量で、しかも静電容量が大
きく、低コストで経済性に優れたコンデンサを得ること
ができる。さらに、目標とする大きさの静電容量を確実
に形成することが可能になるため、設計の精度が向上
し、信頼性を向上させることができる。
【0047】また、本願発明のコンデンサの製造方法
は、表面に溝または穴を形成することによりその表面積
を増大させた金属基体を、水熱処理することにより、金
属基体の表面に、誘電体膜として、ペロブスカイト型複
合酸化物膜を形成し、このペロブスカイト型複合酸化物
膜の表面に導体膜(電極)を形成した後、金属基体及び
導体膜(電極)と導通する外部電極を形成するようにし
ているので、任意の形状を有し、かつ大面積の金属基体
の表面に、高誘電率材料であるペロブスカイト構造を有
する複合酸化物を、良好な結晶性のもとで、均一に形成
することが可能になり、小型かつ軽量で、しかも静電容
量が大きいコンデンサを、特に大きな製造コストを必要
とすることなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例にかかるコンデンサ素子を
示す斜視図である。
【図2】本願発明の一実施例にかかるコンデンサの出発
物質である金属チップ(金属基体)を示す斜視図であ
る。
【図3】溝を形成した金属基体を示す斜視図である。
【図4】表面に誘電体膜を形成した状態の金属基体を示
す斜視図である。
【図5】誘電体膜の一部以外の部分に導体膜(電極)を
形成した状態の金属基体を示す斜視図である。
【図6】本願発明の一実施例にかかるコンデンサ素子に
測定端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】本願発明の他の実施例にかかる、穴(貫通穴)
を形成した金属基体を示す斜視図である。
【図8】本願発明の他の実施例にかかる、穴(貫通穴)
を形成した金属基体を用いたコンデンサ素子を示す斜視
図である。
【図9】本願発明のさらに他の実施例における金属基体
への穴の形成例を示す斜視図である。
【図10】本願発明のさらに他の実施例における金属基
体への溝の形成例を示す斜視図である。
【図11】本願発明のさらに他の実施例における金属基
体への穴の形成例を示す斜視図である。
【図12】本願発明のさらに他の実施例における金属基
体への穴の形成例を示す斜視図である。
【図13】本願発明の一実施例にかかる水熱処理の方法
を示す図である。
【図14】本願発明の他の実施例にかかる水熱処理の方
法を示す図である。
【符号の説明】
A 金属基体 1 溝 2 誘電体膜(例えば、SrTiO
3薄膜) 3 誘電体膜の露出部分 4 導体膜(電極) 5 金属基体の露出部分 6 端子(測定端子) 7 穴(貫通穴) 10 処理水溶液 12 白金板(電極)
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01G 4/18 330 Z 9375−5E (72)発明者 梶芳 浩二 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 吉村 昌弘 神奈川県綾瀬市寺尾中一丁目6番12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溝または穴を形成することにより表面積
    を増大させた金属基体と、前記金属基体の表面の少なく
    とも一部に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜の表面
    に形成された導体膜と、前記金属基体及び前記導体膜に
    それぞれ導通する外部電極とを具備することを特徴とす
    るコンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記金属基体がチタン(Ti)またはジ
    ルコニウム(Zr)からなり、前記誘電体膜が、一般
    式:XYO3(但し、X=Ca,Sr,Ba,Pb、Y
    =Ti,Zr)で表されるペロブスカイト型複合酸化物
    からなることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  3. 【請求項3】 表面に溝または穴を形成することにより
    その表面積を増大させた、チタン(Ti)またはジルコ
    ニウム(Zr)からなる金属基体を、カルシウム(C
    a),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba),鉛
    (Pb),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr)から
    なる元素群より選ばれた少なくとも1種を0.1mol/l
    以上含有するpH13以上の処理水溶液に浸漬して50
    ℃以上の温度で水熱処理することにより、前記金属基体
    の表面に、誘電体膜として、一般式:XYO3(但し、
    X=Ca,Sr,Ba,Pb、Y=Ti,Zr)で表さ
    れるペロブスカイト型複合酸化物膜を形成するととも
    に、前記ペロブスカイト型複合酸化物膜の表面に導体膜
    を形成した後、前記金属基体及び前記導体膜にそれぞれ
    導通する外部電極を形成することを特徴とするコンデン
    サの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属基体を前記処理水溶液に浸漬し
    て水熱処理する工程において、前記処理水溶液中に配設
    された任意の電極と前記金属基体の間に通電することに
    より行う電解処理を前記水熱処理と同時に施すことを特
    徴とする請求項3記載のコンデンサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6777363B2 (en) 2002-07-05 2004-08-17 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Non-reducable, low temperature dielectric ceramic composition, capacitor and method of preparing

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