JPH06215372A - 磁気記録媒体の製造方法及び装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び装置

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JPH06215372A
JPH06215372A JP2361793A JP2361793A JPH06215372A JP H06215372 A JPH06215372 A JP H06215372A JP 2361793 A JP2361793 A JP 2361793A JP 2361793 A JP2361793 A JP 2361793A JP H06215372 A JPH06215372 A JP H06215372A
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JP
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substrate
tension
main drum
cooling main
recording medium
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JP2361793A
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English (en)
Inventor
Junji Nakada
純司 中田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体に磁性材料を蒸着する工程で発生しがち
な搬送しわ、巻取りしわ、巻き取る際のはりつき現象を
未然に防止する磁気記録媒体の製造方法及び装置を提供
する。 【構成】 基体3を冷却用メインドラム5方向に搬送す
る経路、磁性材料10を蒸着した後に巻取る経路に、基
体3の張力を検出する検出手段7a〜7dと、エキスパ
ンダーローラ15とを設け、搬送中の基体3の拡幅と張
力調整とを行うように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の製造方
法及び装置に関し、より具体的には磁性層を蒸着により
形成する磁気記録媒体の製造方法と該製造方法の実行に
公的な製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、γ−Fe
2 3 、CoをドープしたFe3 4、γ−Fe2 3
とFe3 4 のベルトライド化合物、Coをドープした
ベルトライド化合物、CrO3 、Baフェライト等の酸
化物磁性体、或いはFe、Co、Ni等の主成分とする
合金磁性体等からなる粉末磁性材料を、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合、スチレン−ブタジエン共重合体、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機バインダ中に分散
せしめ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
やポリプロピレン等のポリオレフィンからなる基材上に
塗布して、その後乾燥して完成される所謂塗布型のもの
が広く使用されている。
【0003】一方、近時、記録の高密度化の要求が高ま
っており、磁気記録媒体の磁性層中の磁性材料の高密度
化、抗磁力の増加、周波数特性の短波長側へのシフト、
あるいは磁性層の薄膜化といった磁性層の改善が必要と
なっているが、前記のような塗布型磁気記録媒体では、
原理的に磁性層中にバインダが残存することによって、
これらの高密度磁気記録に要求される諸条件を満たすこ
とが比較的困難となっている。
【0004】そこで、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング等の蒸着方法、或いは電気メッキ、無
電解メッキ等のメッキ法による磁気記録媒体の製造方法
が注目され、また種々の提案がなされている。これらの
方法によると、磁性材料を直接基板上に堆積、成長させ
て磁性層を形成できるため、磁性層中の磁性材料の充填
密度を高め、また磁性層の膜厚も薄くすることができ
る。更に、膜厚の制御も容易で、塗布による製造のよう
に磁性塗布液の調整や塗布後の乾燥といった磁性層形成
に伴う前後の処理工程も不要であり、製造工程が簡素と
なる等種々の利点を有する。
【0005】特に、蒸着による方法では、メッキによる
方法のような廃液処理を必要とせずに、また膜の成長速
度も早いという利点を有する。このように真空蒸着によ
って作成された磁性薄膜を記録層とした磁気テープの如
き磁気記録媒体は、塗布により作成された磁気テープに
比べて、再生出力は格段に大きく、磁気記録の周波数特
性もより短波長側へと伸びており、高密度磁気記録媒体
として有用なものとなっている。
【0006】ここで、蒸着による従来の薄膜型磁気テー
プの製造方法について概略を説明すると、真空中におい
て長尺の高分子フィルム基体を回転している冷却用メイ
ンドラムに巻き掛けて走行させ、走行中の長尺の高分子
フィルム基体の表面に磁性材料を蒸着させ、そして巻き
取り側にて連続してロール状に巻き取っている。また、
場合によっては前述の蒸着後に、連続して所定の表面処
理、加熱処理を施した後、巻き取りロールに巻き取って
磁気テープを作成する。
【0007】一般に、蒸着により形成される磁性層につ
いては、磁性膜の機械的強度を付与する必要があり、こ
のため蒸着領域において高分子フィルムの長さ方向の張
力を所定の値以上に設定している。この張力値が小さい
場合は、高分子フィルムの冷却用メインドラム周面への
密着性が悪くなり、前記冷却用メインドラム上で高分子
フィルムに、「縦じわ」が形成され易くなり、この縦じ
わ形成部分が該ドラム表面から実質的に浮き上がったよ
うな状態となるために、この縦じわの部分が冷却されず
に、蒸着工程中の熱により熱ダメージを受ける、いわゆ
る熱負けと呼ぶ不良が生じてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような熱負け等が
生じる問題を解消するため、従来においては前記冷却用
メインドラム上の例えばポリエチレンテレフタレートフ
ィルムに、例えば15g重/mm幅から40g重/mm幅程
度の張力をかけていた。この結果、前記冷却用メインド
ラムの周面に前記フィルムを充分に密着させることがで
き、良好な蒸着を行うことができる。一方、磁性層を蒸
着した高分子フィルムは、通常前記張力を掛けたままで
巻取りロールに巻き取ることが多いために、張力が大き
い条件で巻取られた高分子フィルムは、強い応力が残留
することになり、カッピング(テープ幅方向に湾曲する
カーリング)が大きくなってしまう。また、高張力のま
まで巻かれた原反は後工程において隣同士のテープにお
けるテープ表裏面がはりつく所謂「はりつき」等の問題
が生じ、取扱いが困難になったり、欠陥が発生する場合
もあった。
【0009】更に、磁性層蒸着前後の高分子フィルム、
或いは磁性体表面の表面処理や加熱処理等の後処理工程
を、前記蒸着工程と一貫させて真空槽中で行い、引き続
いて巻き取るようにして生産性を高めた製造方法があ
る。この製造方法では、蒸着工程における張力値と後処
理工程における張力値との最適値が大きく相違する為
に、前記高分子フィルムの張力値を設定することが非常
に困難であり、この張力値を適宜選定しないと、例えば
基体である前記フィルムの残留応力の緩和効果が充分と
なり難く、特に前記フィルムを熱処理の場合には、磁気
テープにしたときのスキュー特性やカッピング等の機械
的特性を満足させることができない。
【0010】前記のスキュー特性やカッピングと共にハ
リツキ等の問題点を解消するものとして、本願出願人は
先に特開平3−292627号公報により開示されてい
るような磁気記録媒体の製造方法を提案した。即ち、高
分子フィルムに高張力条件で磁性層を蒸着した後、高分
子フィルムの基体を巻き取るまでの工程に複数の駆動ロ
ーラやエキスパンダーロールを設け、各駆動ローラで多
段的に張力を低下させるものである。しかし、磁性層を
蒸着した高分子フィルムにしわが発生しないように張力
を低下させるためには、各駆動ローラ前後の高分子フィ
ルムの張力差を小さく設定しなければならず、従って駆
動ローラの設置数が多くなり、また、エキスパンダーロ
ールはロール長手方向に湾曲させて基体(高分子フィル
ム)に接触させる構造であり、その回転駆動構造が複雑
化し、さらにその湾曲を大きくすると基体の高速搬送
(ロールの高速回転)ができなくなる等の欠点を抱え、
装置の構造が複雑で高価になる上に、メンテナンス等が
面倒になる等の問題点があった。
【0011】本発明は、基体に磁性材料を蒸着する工程
で発生しがちな搬送しわ、巻き取りしわ、更に基体を巻
き取る際のはりつき現象等の発生を未然に防止すると共
に製造装置を複雑化させることがない磁気記録媒体の製
造方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、真
空槽内に配置された冷却用メインドラムの周面上にフィ
ルム状の長尺な基体を掛け渡して連続的に送り出し且つ
巻き取るようにして搬送し、前記冷却用メインドラムの
下方側に配置した磁性材料を蒸発させ、該蒸発による蒸
気流を前記基体表面に蒸着して磁性薄膜を形成する磁気
記録媒体の製造方法において、前記基体を前記冷却用メ
インドラム方向に供給する供給側と、前記冷却用メイン
ドラム上にて前記磁性材料が蒸着された前記基体の巻取
り側との間で、それぞれ搬送中における前記基体の張力
を検出して所望張力に調整しつつ搬送すると共に、少な
くとも前記冷却用メインドラムを通過した後の前記基体
を該基体全面に接触しつつ駆動された搬送手段により幅
方向に拡幅することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
法により達成される。更に、前記冷却用メインドラム上
にて前記磁性材料が蒸着された前記基体の巻取り側にて
巻き取る前に、前記基体の熱処理工程を一貫して行う磁
気記録媒体の製造方法によっても達成される。また、前
記基体の張力調整を、前記基体の供給側から前記冷却用
メインドラムに至る間の張力をT1、前記磁性材料の蒸
着工程に前記搬送手段に巻掛ける間の張力をT2、前記
搬送手段から前記巻き取り側に至る間の張力をT3とし
たとき、T1≧T2>T3の関係に調整すると共にT3
/T2の値を0.4〜0.8の範囲に設定する磁気記録
媒体の製造方法によっても上記目的は達成される。本発
明に係る前記目的は、真空槽内に配置された冷却用メイ
ンドラムの周面上にフィルム状の長尺な基体を掛け渡し
て連続的に送り出し且つ巻き取るようにして搬送し、前
記冷却用メインドラムの下方側に配置した磁性材料を蒸
発させ、該蒸発による蒸気流を前記基体表面に蒸着して
磁性薄膜を形成する磁気記録媒体の製造装置において、
前記基体を前記冷却用メインドラム方向に供給する供給
側の領域から、前記冷却用メインドラム上にて前記磁性
材料が蒸着された前記基体を巻き取る巻取り側の領域に
至る搬送経路上の両領域に、前記基体の張力を検出する
張力検出手段を設け、さらに少なくとも前記巻き取り側
の領域に前記張力検出手段の検出結果にもとづき速度制
御されて前記基体の張力を所望値に調整するとともに、
前記基体を幅方向に拡幅するエキスパンダーロールを設
けたことを特徴とする磁気記録媒体の製造装置により達
成される。さらに、前記冷却用メインドラム上にて前記
磁性材料が蒸着された前記基体の巻取りロールと前記エ
キスパンダーロールとの間に、前記基体の後処理工程を
行う後処理部を設けたことを特徴とする磁気記録媒体の
製造装置によっても達成される。さらに、前記エキスパ
ンダーロールは、軟性材料により形成されたローラ外筒
と、該ローラ外筒を内面から回転自在に支持する複数の
回転カラーと、該回転カラーを支持する軸とを備え、且
つ前記基体を支持する側からみて前記各回転カラーが前
記ローラ外筒の中心部から両端部に向けて中心部を境に
略対称に傾斜状態に取り付けられ、前記基体が接触走行
することにより該基体をその幅方向に引っ張るように構
成された磁気記録媒体の製造装置によっも上記目的は達
成される。
【0013】
【実施態様】以下、図1〜図3を参照して本発明の磁気
記録媒体の製造装置の一実施態様について説明する。図
1は、本発明に係る磁気記録媒体である磁気テープの製
造装置の模式的構成図であり、図2は図1に示す製造装
置における駆動型のエキスパンダーロール及びその駆動
系の要部の概略図であり、図3は駆動型のエキスパンダ
ーロールローラの内部構造を示す部分断面概略図であ
る。磁気テープ製造装置1(以下、単に製造装置と略称
する)は、真空槽1a内に後述する各搬送系や蒸着系の
各種部材が配置された構造である。先ず、前記製造装置
1の構成について説明すると、原反ロール2は巻装した
ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるフィ
ルム状の基体3を供給するものであり、図示を省略した
モータ等の駆動部材により前記基体3を繰り出す方向に
適宜回転駆動される。前記基体3は、前記原反ロール2
から繰り出され、パスローラ4a、冷却用メインドラム
5、パスローラ4b、パスローラ4c、駆動型のエキス
パンダーロール15、パスローラ4dに順次巻掛けられ
る搬送系により適宜速度にて移動され、巻取りローラ6
に巻取られるようになっている。なお、駆動型の前記エ
キスパンダーロール15の構造については、後に図2及
び図3を参照して詳細に説明する。前記パスローラ4
a、4c、4dの近傍には、搬送中における前記基体3
の張力を検出するための張力検出器7a、7b、7cが
設けられている。
【0014】前記冷却用メインドラム5は−30°C程
度に冷却され、その周面に接触しつつ矢印A方向に搬送
される前記基体3を冷却するようになっている。また、
前記冷却用メインドラム5の下部には、磁性材料10を
収納した蒸発源11及び該蒸発源11を加熱して前記磁
性材料10を蒸発させるための電子銃12が配置されて
いる。なお、前記冷却用メインドラム5と前記蒸発源1
1との間には、前記蒸発源11から発生した蒸発原子
が、前記基体3に蒸着される際の最小入射角等を規制す
るマスク13が適宜配置されている。
【0015】前記基体3は、ポリエチレンテレフタレー
トやポリエチレンナフタレート等の如きポリエステル、
ポリプロピレンの如きポリオレフィン、三酢酸セルロー
ズや二酢酸セルローズ等の如きセルローズ誘導体、ポリ
塩化ビニルの如きビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポ
リアミド、ポリフェニレンサルファイドなどのプラスチ
ックをフイルム状に加工したものであり、必要に応じて
放電処理や熱処理、薬品処理等の前処理が施されたもの
である。前記基体3は、フィルム状に加工された状態で
適宜巻芯に巻かれて前記原反ロール2とされるものであ
り、その走行速度は例えば前記冷却用メインドラム5の
周面上を10〜100mm/min程度の速度で矢印A
方向に搬送して、最終的に前記巻取りローラ6に巻き取
られる。
【0016】前記蒸発源11の加熱は、電子ビーム加熱
の他に、誘導加熱、レーザビーム加熱、抵抗加熱等が可
能であるが、電子ビーム加熱が最も適している。前記磁
性材料10は、例えばCo、Co−Ni合金、Co−W
合金、Co−V合金、Co−Rh合金、Co−Ni−P
合金、Co−Ni−Fe合金、Co−Ni−Fe−B合
金、Co−Ni−Zn合金等の強磁性金属又は強磁性合
金から適宜選択することができる。
【0017】次に、図2及び図3を参照して駆動型の前
記エキスパンダーロール15の構造を説明する。前記エ
キスパンダーロール15は、一対の軸受け23により両
端部分が固定支持された固定軸22によって外側部分だ
けが回動するように支持された構造である。すなわち、
前記エキスパンダーロール15は、前記軸22に回転自
在な多数の回転カラー31が固定され、該回転カラー3
1の外周面に接するように例えばEPTやNBR等のゴ
ム質の柔軟性のある材料からなる円筒状のロール外筒2
1が被せられた構造である。そして、前記回転カラー3
1は、図3の一部断面図で例示したように、前記軸22
に固定された固定部31a、該固定部31aの外側のベ
アリング31b、該ベアリング31bの外側で回転する
外輪部31cにより構成されている。更にまた、前記回
転カラー31のうち前記軸22の中心部に位置決めされ
たものは該軸22に対し直角に取り付けられているが、
他の前記回転カラー31は両端部に位置するのに伴って
次第に傾斜角度(θ1〜θn)が大きくなるように取り
付けられている。この傾斜角度は前記基体3が掛け渡さ
れる側からみた傾斜角度であり、この傾斜角度(θ1〜
θn)は例えば0°0′〜32°0′程度に設定するこ
とができる。一方、前記エキスパンダーロール15を回
転させる駆動構造は、例えば搬送制御用モータ25、カ
ップリング26、該カップリング26を介して動力が伝
達される回転軸27、該回転軸27を回転自在に支持す
る一対の軸受け28、該回転軸27の適所に固定された
一対のプーリ29、該プーリ29と前記エキスパンダー
ロール15のロール外筒21との間に掛け回した一対の
ベルト30を備えた構造である。なお、搬送制御用モー
タ25は、図示を省略した制御部によって速度調整を自
在に行い得るように構成されている。
【0018】前記エキスパンダーロール15に前記基体
3が掛け回されるのであるが、該エキスパンダーロール
15は図2に示すように前記基体3を搬送する際にその
幅W1をW2に拡幅する作用を有している。この拡幅作
用は、前記エキスパンダーロール15の上述の構成によ
るものである。すなわち、前記回転カラー31のうち中
心部のものを境にしてその両側の回転カラーが両端部に
向けて次第に傾斜角度(基体と接触する側における傾斜
角度)が大きくなるように取り付けられ、且つ前記ロー
ル外筒21が前記ベルト30により駆動されるので、前
記ロール外筒21が駆動されると、該ロール外筒21と
ともに前記回転カラー31の外輪部31aも回転する。
この結果、前記回転カラー31が前記ロール外筒21を
その長手方向の中心部から両端部に向けてロール回転に
伴った引き伸ばす作用(基体3が接触している領域にお
いて引き伸ばす作用)が生じる。そして、この引き伸ば
し動作が生じている部分に前記基体3が接触して搬送さ
れているので、前記基体3はこの引き伸ばし作用に引き
ずられて基体幅方向の両縁部側に適宜引っ張られ、その
幅がW1からW2に伸ばされることになる。
【0019】このように構成された前記蒸着装置1を用
いて前記基材3上に前記磁性材料10からなる薄膜を蒸
着するのであるが、その蒸着方法は下記のようにして行
われる。蒸着は、前記真空槽内を排気して真空状態を保
持した後、前記蒸発源11の磁性材料10を前記電子銃
12から照射される電子ビームにより加熱して、前記磁
性材料10の蒸気を発生させる。発生した前記磁性材料
10の蒸気流(原子)は、矢印Bに示すように前記冷却
用メインドラム5に向かって飛散し、前記マスク13に
より形成される開口部8を通じて、前記基体3上に蒸着
される。
【0020】この際、前記冷却用メインドラム5に巻掛
ける直前の前記基体3の張力は、張力検出器7aにより
検出され、予め設定された張力値、例えば25g重/m
m幅になるように原反ロール6の回転をその駆動モータ
により制御する。そして、前記基体3に例えば磁性材料
Co80Ni20等を2000Å程度の厚さで蒸着により薄
膜形成した後、前記パスローラ4bや前記パスローラ4
cを介して搬送し前記巻き取りロール6に巻取らせるの
であるが、このとき、前記冷却用メインドラム5と前記
エキスパンダーロール15との間の張力は、前記張力検
出器7bにより検出され、張力が予め設定した張力値、
例えば25g重/mm幅になるように前記モータ25を
回転制御する。また、前記エキスパンダーロール15と
前記巻き取りロール6間の前記基体3の張力は、前記張
力検出器7cにより検出される。そして、前記巻き取り
ロール6の図示しないモータの回転制御により、前記基
体3の張力値を適宜状態にして巻き取る。前記基体3が
前記巻き取りロール6に巻かれるときの張力値は、前記
基体3の「しわ」や「ハリツキ」などの発生具合をみて
適宜調整することができる。
【0021】そして、前記基体3の張力調整は、例えば
前記基体3の供給側から前記冷却用メインドラム5に至
る間の張力をT1(張力検出器7aにて測定した張
力)、前記磁性材料の蒸着工程に前記エキスパンダーロ
ールに巻掛ける間の張力をT2(張力検出器7bにて測
定した張力)、前記エキスパンダーロールから前記巻き
取り側に至る間の張力をT3(張力検出器7cにて測定
した張力)としたときに、T1≧T2>T3の関係に調
整すると共にT3/T2の値を0.4〜0.8の範囲に
設定することにより、前記基体3の「しわ」や「ハリツ
キ」などが発生することなく高品質な磁気テープを製造
することができる。
【0022】本発明の装置は図1に示すような構造に限
るものではなく、種々変更できるものであり、前記エキ
スパンダーロール15は一つに限らす複数設置するよう
にしてもよく、例えば前記冷却用メインドラム5の前に
も配置した構成を採用することにより、該ドラム5に前
記基体3が掛け渡されるとき皺の発生を抑えて良好な蒸
着を実施する効果を奏することもできる。さらに又、本
発明の装置は図4に示す構造でもよい。次に、図4を参
照して本発明の他の実施態様を説明する。また、本実施
態様と前記第1実施態様との構成上の相違は、前記基体
3の搬送経路に加熱ドラムを設けるとともに、新たに張
力検出器を設けた構成であり、前記基体3を加熱処理す
る後処理工程を、前記蒸着工程と一貫させて真空槽中で
行って生産性を高めた製造装置である。なお、前記第1
の実施態様と同様の作用をなす部材には同一の符号を付
して説明を省略する。図4に示すように、駆動型のエキ
スパンダーロール15と巻取りローラ6との間には、前
記基体3の移動順にパスローラ4e、パスローラ4f、
加熱ローラ9、パスローラ4gを設けた。また、加熱ド
ラム9と巻取りローラ6との間の前記基体3の張力を張
力検出器7dにより検出し、その検出結果のデータに基
づいて前記巻き取りロール6を駆動するモータの回転制
御を行い、前記基体3の巻き取り時の張力を調整できる
ようにした。
【0023】本実施態様の構成によれば、前記第1実施
態様同様に前記基体3のしわや張りつきを防止すること
ができる。また、このように加熱処理の如き後処理工程
を蒸着工程と同じラインにて一貫生産する製造方法で
は、一般に蒸着工程における張力値と後処理工程におけ
る張力値との最適値が大きく相違するが、前記エキスパ
ンダーロール15により、該ロール15を挟んでその前
後の領域の張力の変化を許容でき、各領域における張力
値を所望に設定することができ、前記熱処理による例え
ば前記基体3の残留応力の緩和効果が充分でき、磁気テ
ープのスキュー特性やカッピング等の機械的特性を満足
させることができると共に、しわやハリツキを極めて効
果的に防止することができる。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、基体を冷
却用メインドラム方向に供給する供給側と、この冷却用
メインドラム上にて磁性材料が蒸着された基体の巻取り
側との間で、それぞれ搬送中における基体張力を検出し
て所望張力に調整しつつ搬送し、かつ前記冷却用メイン
ドラムを通過した後の前記基体を該基体全面に接触しつ
つ駆動された搬送手段により幅方向に拡幅する方法及び
この方法を実施した装置である。したがって、本発明に
よれば、前記基体のしわを防止するような基体幅方向へ
の引っ張り力と各搬送領域間の張力の分断とを同時に達
成できるので、各工程における最適な張力を極めて容易
に設定でき、しかも、しわやハリツキ等の問題も同時に
解消でき、さらに従来の如く張力分断のための多数のロ
ーラを配置するような複雑な構成を回避することができ
る。
【0025】
【実施例】以下に示す実施例により、本発明をより明確
にすることができる。 (実施例−1)なお、本実施例は図1〜図3にに示した
製造装置1を用いて磁気テープを製造した。基体3は、
幅500mm、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレー
トからなり、60m/分の速度で前記冷却メインドラム
5上に搬送させた。前記冷却メインドラム5は、直径R
は800mmに構成し、−30°に冷却、保持した。磁
性材料10としてCo80Ni20合金を使用し、750m
m幅のセラミックス製ルツボ内に投入して蒸発源11と
した。蒸発源11の加熱は、電子銃12から照射される
電子ビームにより行い、電子ビームをスキャンすること
により磁性材料10を蒸発させた。磁性材料10の蒸着
厚さは2000Åに形成した。
【0026】一方、エキスパンダーロール15及び原反
ロール2の駆動系により前記基体3の張力を表1に示す
ように25g重/mm幅に設定した。なお、この張力値
は張力検出機7aおよび7bにて測定した。更に、巻き
取りロール6側の駆動系により前記基体3の張力を表1
に示すように25g重/mm幅〜5g重/mm幅に段階
的に調整した。なお、この間の張力は張力検出器7cに
よって検出した。
【0027】
【表1】
【0028】この結果、前記表1におけるサンプルNO.
2〜4に示されているように、前記エキスパンダーロー
ル15と前記巻取りローラ6との間における前記基体3
の張力を20g重/mm幅〜10g重/mm幅に調整し
た場合(張力比で示すとT3/T2の値が0.4〜0.
8の範囲)に、搬送しわ、巻き取りしわ、前記巻取りロ
ーラ6に巻き取った際の巻き取りしわのいずれも発生し
なかった。従って、磁気記録媒体の特性のばらつきを大
幅に改善できる上に、製品歩留りと作業効率とを向上さ
せることができた。
【0029】(実施例−2)次に、図4に示す装置40
を使用して磁気テープを製造した。基体3は、幅500
mm、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートからな
り、60m/分の速度で前記冷却メインドラム5上に搬
送させた。前記冷却メインドラム5は、直径Rは800
mmに構成し、−30°に冷却、保持した。磁性材料1
0としてCo80Ni20合金を使用し、750mm幅のセ
ラミックス製ルツボ内に投入して蒸発源11とした。蒸
発源11の加熱は、電子銃12から照射される電子ビー
ムにより行い、電子ビームをスキャンすることにより磁
性材料10を蒸発させ、斜方蒸着により蒸着させた。な
お、磁性材料10の蒸着厚さは2000Åに形成した。
【0030】各部の張力は実施例1の場合と同様に、原
反ロール2の駆動系、巻き取りロール6駆動系及び駆動
型のエキスパンダーロール15の駆動系により調節し、
また張力値の検出は張力検出器7a、7b、7c、7d
により行う。そして張力検出器7aの部分における前記
基体3の張力を表1に示すように25g重/mm幅、と
して一定に保ち、更に張力検出器7bの部分における張
力を25g重/mm幅、張力検出器7c並びに7dの部
分における張力を25g重/mm幅〜5g重/mm幅の
範囲に変化させた。なお、前記加熱ドラム9から前記巻
取りローラ6との間の前記基体3の張力は、前記張力検
出器7dにより検出した検出結果にもとづいて巻取りロ
ーラ6の回転制御を行うことにより行った。
【0031】そして、前記加熱ドラム9の温度を本実施
例では115℃に加熱、保持し、前記エキスパンダーロ
ール15と前記加熱ローラ9間のしわの発生状況、巻取
り後の前記基体3の張りつき状況、更に各張力条件での
熱処理後の蒸着ベースのカール値(カッピングの程度)
及び磁性薄膜のひび割れを評価し、下記の表2に示すよ
うな結果を得た。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、サンプル8、9
において極めて良好な結果を、またサンプル7において
もかなり満足できる結果を得た。なお、カール値は蒸着
ベースを幅方向(搬送方向と直角の方向)に幅3cm、
長さ10cmの短冊状に切り取ってサンプルとし、各サ
ンプルの長辺を下にして水平の板上に立て、そのときの
曲率半径R(cm)を読み取り、10/R(cm-1)を
カール値としたものである。また、表2に示した前記磁
性体薄膜のひび割れは、微分干渉顕微鏡(100倍)で
観察した結果を×、△、○表示(×印はひび割れが多く
見られて実用に敵さない。△印はひび割れが見られるが
実用的に問題ない。○印はひび割れがほとんど見られな
かった。)にて示した。
【0034】比較例として、実施例2における前記エキ
スパンダーロール15を従来の駆動型の搬送ロールを使
用した場合の製造結果をサンプル11〜15として表3
に示す。
【0035】
【表3】
【0036】前記表2と表3とを比較すれば明らかなよ
うに、張力検出器7c、7dによる張力調整が同一条件
であっても、本実施例の評価が搬送しわ、巻取りしわ、
張りつき状況のいずれにおいても優れていることが判
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の一実施態様の概略構成図で
ある。
【図2】図1に示す製造装置におけるエキスパンダーロ
ール及びその駆動系の要部の概略図である。
【図3】本発明の製造装置におけるエキスパンダーロー
ルの内部構造を示す部分断面概略図である。
【図4】本発明の他の実施態様を示す製造装置の概略構
成図である。
【符号の説明】
1 製造装置 2 原反ロール 3 基体 4a〜4g パスローラ 5 冷却用メインローラ 6 巻取りローラ 7a〜7d 張力検出器 9 加熱ドラム 10 磁性材料 11 蒸発源 12 電子銃 13 マスク 15 エキスパンダーロール 21 外筒ローラ 22 軸 25 モータ 30 ベルト 31 回転カラー 40 製造装置 W1、W2 基体の幅 A 搬送方向

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内に配置された冷却用メインドラ
    ムの周面上にフィルム状の長尺な基体を掛け渡して連続
    的に送り出し且つ巻き取るようにして搬送し、前記冷却
    用メインドラムの下方側に配置した磁性材料を蒸発さ
    せ、該蒸発による蒸気流を前記基体表面に蒸着して磁性
    薄膜を形成する磁気記録媒体の製造方法において、前記
    基体を前記冷却用メインドラム方向に供給する供給側
    と、前記冷却用メインドラム上にて前記磁性材料が蒸着
    された前記基体の巻取り側との間で、それぞれ搬送中に
    おける前記基体の張力を検出して所望張力に調整しつつ
    搬送すると共に、少なくとも前記冷却用メインドラムを
    通過した後の前記基体を該基体全面に接触しつつ駆動さ
    れた搬送手段により幅方向に拡幅することを特徴とする
    磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記冷却用メインドラム上にて前記磁性
    材料が蒸着された前記基体の巻取り側にて巻き取る前
    に、前記基体の熱処理工程を一貫して行うことを特徴と
    する請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基体の張力調整を、前記基体の供給
    側から前記冷却用メインドラムに至る間の張力をT1、
    前記磁性材料の蒸着工程に前記搬送手段に巻掛ける間の
    張力をT2、前記搬送手段から前記巻き取り側に至る間
    の張力をT3としたとき、T1≧T2>T3の関係に調
    整すると共にT3/T2の値を0.4〜0.8の範囲に
    設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気
    記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 真空槽内に配置された冷却用メインドラ
    ムの周面上にフィルム状の長尺な基体を掛け渡して連続
    的に送り出し且つ巻き取るようにして搬送し、前記冷却
    用メインドラムの下方側に配置した磁性材料を蒸発さ
    せ、該蒸発による蒸気流を前記基体表面に蒸着して磁性
    薄膜を形成する磁気記録媒体の製造装置において、前記
    基体を前記冷却用メインドラム方向に供給する供給側の
    領域から、前記冷却用メインドラム上にて前記磁性材料
    が蒸着された前記基体を巻き取る巻取り側の領域に至る
    搬送経路上の両領域に、前記基体の張力を検出する張力
    検出手段を設け、さらに少なくとも前記巻き取り側の領
    域に前記張力検出手段の検出結果にもとづき速度制御さ
    れて前記基体の張力を所望値に調整するとともに、前記
    基体を幅方向に拡幅するエキスパンダーロールを設けた
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記冷却用メインドラム上にて前記磁性
    材料が蒸着された前記基体の巻取りロールと前記エキス
    パンダーロールとの間に、前記基体の熱処理工程を行う
    後処理部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の磁
    気記録媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記エキスパンダーロールは、軟性材料
    により形成されたローラ外筒と、該ローラ外筒を内面か
    ら回転自在に支持する複数の回転カラーと、該回転カラ
    ーを支持する軸とを備え、且つ前記基体を支持する側か
    らみて前記各回転カラーが前記ローラ外筒の中心部から
    両端部に向けて中心部を境に略対称に傾斜状態に取り付
    けられ、前記基体が接触走行することにより該基体をそ
    の幅方向に引っ張るように構成されたことを特徴とする
    前記請求項4又は5記載の磁気記録媒体の製造装置。
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