JPH06212067A - 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその射出成形品 - Google Patents

難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその射出成形品

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JPH06212067A
JPH06212067A JP613593A JP613593A JPH06212067A JP H06212067 A JPH06212067 A JP H06212067A JP 613593 A JP613593 A JP 613593A JP 613593 A JP613593 A JP 613593A JP H06212067 A JPH06212067 A JP H06212067A
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JP
Japan
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flame
resin composition
polyester resin
acid amide
acid
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JP613593A
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Shigeru Okita
茂 沖田
Hideo Matsuoka
英夫 松岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記式(1)のポリホスホン酸アミドを難燃
剤として配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。 【化1】 【効果】 本発明のポリエステル樹脂組成物は高い難燃
性能、機械物性、耐加水分解性を示し、さらに成形加工
時や焼却時に環境汚染性の強い有害物を発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非ハロゲン系難燃剤を配
合してなるポリエステル樹脂組成物およびその射出成形
品に関する。さらに詳しくは、機械的性質、耐加水分解
性に優れ、かつ有害性ガス、腐食性ガスの発生がなく、
コネクター、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス
部材、コイルボビン等の電気・電子機器部品、自動車部
品、機械部品に好適な難燃性ポリエステル樹脂組成物お
よびその射出成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート等に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂
はその優れた特性を活かして射出成形材料として機械機
構部品、電気・電子部品、自動車部品などの幅広い分野
で利用されている。しかしながら熱可塑性ポリエステル
樹脂は本質的に可燃性であるため工業材料として使用す
る場合には耐炎性あるいは難燃性が要求されるケースが
多い。
【0003】熱可塑性樹脂に難燃性を付与する方法とし
ては、ハロゲン系有機化合物の配合が一般的であり、さ
らに難燃性を向上させる目的で三酸化アンチモンのよう
な難燃助剤が併用されている。しかしながらこの方法で
は燃焼の際の発煙量が非常に多く、また成形加工時にハ
ロゲンが遊離して腐食性のハロゲン化水素ガスが発生
し、金型の腐食や金属接点部の汚染の原因となる場合が
しばしば見られる。さらに難燃助剤として併用される三
酸化アンチモン等は異物として作用するため成形品の機
械物性を低下させるという欠点がある。また、最近では
一部の臭素系難燃剤を配合した樹脂の成形加工時や燃焼
時にきわめて有毒な臭素化ジベンゾダイオキシンあるい
は臭素化ジベンゾフランが発生することが指摘されてお
り、作業場の労働環境を悪化させるばかりでなく、この
ような難燃剤を含む樹脂製品を焼却処理する際には自然
環境を著しく汚染する危険性も十分考えられる。
【0004】以上のような問題点や危険性のない非ハロ
ゲン系難燃剤の出現が強く待ち望まれており、これまで
にもハロゲン系難燃剤を使用せずに難燃化する方法の検
討がなされている。特にリン化合物が難燃性付与に有効
であることはかなり以前から知られており、実際にリン
化合物を共重合する方法やブレンドする方法が提案され
ている。たとえばホスホン酸構造単位やホスフィン酸構
造単位の共重合(特開昭51−54691号公報、特開
昭50−56488号公報)、環状ホスフィナイト構造
をペンダント基内に有するモノマーの共重合(特開昭5
2−98089号公報、特開昭55−5916号公報、
特開昭60−240755号公報)、ポリホスホネート
のブレンド(米国特許3719727号明細書)、赤リ
ンのブレンド(特開昭49−74240号公報)、ポリ
ホスホン酸アミド(特開昭50−159540号公報)
等がある。これら従来技術では主として繊維、フィルム
用途を対象としているが、特開昭55−5916号公報
および特開昭49−74240号公報には射出成形用途
の例が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
特許公報で開示されている技術には次のような問題点が
ある。
【0006】まず共重合タイプの場合、たとえばホスホ
ン酸構造単位やホスフィン酸構造単位は加水分解しやす
い上に難燃性能もあまり高くない。たとえば電気・電子
部品に要求されるような難燃性レベルを達成しようとす
ると共重合比率を相当高くせざるを得ず、もはやポリエ
ステル樹脂としての特性が失われてしまうばかりでな
く、耐加水分解性も著しく低下してしまう。また、ポリ
ホスホネートをポリエステル樹脂に配合した場合、溶融
成形時にこれらのリン化合物が分解してポリエステル樹
脂の分子量を低下させたり、着色させるという問題点
や、耐加水分解性を低下させるというような欠点があ
る。さらに赤リンの場合には機械的特性の低下、着色、
安全性の問題がある。
【0007】そこで本発明者らは、難燃性が高く、しか
も溶融時に分解や着色を起さないポリエステル樹脂用の
非ハロゲン系難燃剤を探索した結果、本発明にいたっ
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(A)炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸および/ま
たはその低級アルキルエステルと炭素数2〜20の脂肪
族ジオールおよび/または脂環式ジオールを出発原料と
する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して(B)
一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリホ
スホン酸アミド0.5〜100重量部を配合してなる難
燃性ポリエステル樹脂組成物およびそれを射出成形して
なる射出成形品である。
【0009】
【化2】 (ここでRはアリール基、アラルキル基、アルキル基
またはシクロアルキル基を表わし、R、Rは水素ま
たはアルキル基を、Yは2価のヘテロ芳香族環残基を表
わす)。
【0010】本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル
とは芳香族ジカルボン酸および/またはその低級アルキ
ルエステルと、脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジ
オールとを主成分とする重縮合反応により得られる重合
体ないし共重合体である。
【0011】本発明で使用される芳香族ジカルボン酸お
よびその低級アルキルエステルとしてはテレフタル酸、
イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,
5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、3,
3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニル
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジ
フェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,
5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセン
ジカルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、
2,5−ピリジンジカルボン酸、ターフェニルジカルボ
ン酸(各種異性体)、あるいはこれらジカルボン酸の混
合物が挙げられるが、中でもテレフタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸が好ましく用いられる。また、ジ
カルボン酸の2モル%までならアジピン酸、アゼライン
酸、ドデカンジ酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス体、ト
ランス体、あるいは混合物)などの脂環式ジカルボン
酸、あるいはこれらジカルボン酸の混合物で置換しても
かまわない。
【0012】本発明で用いられるジオール成分としては
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,
2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール、あるいは
これらジオールの混合物が挙げられるが、中でもエチレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
【0013】本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル
の具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、(ポリエチレンテレフタレー
ト/ポリエチレンイソフタレート)共重合体、(ポリブ
チレンテレフタレート/ポリブチレンイソフタレート)
共重合体、(ポリエチレンテレフタレート/ポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体などが挙
げられるが、中でも機械的性質、成形性などの諸特性の
バランスが取れたポリブチレンテレフタレート、ポリブ
チレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレートが好ましく用いられる。
【0014】本発明で用いられるポリホスホン酸アミド
は前記化学式で表わされるものである。Rはアリール
基、アラルキル基、アルキル基またはシクロアルキル基
を表わし、中でも炭素数1〜10、特に1〜8のものを
好ましく用いることができる。具体的にはフェニル基、
フェニルメチル基、メチル基、シクロヘキシル基が好ま
しく用いられる。R、Rは水素またはアルキル基を
表わし、アルキル基としては炭素数1〜8、特に1〜4
のものが好ましい。Yは2価のヘテロ芳香族環残基を表
わし、中でも、窒素、硫黄、酸素を含むものであること
が好ましく、特に、ヘテロ環内に少なくとも1個の窒素
を含むものが好ましい。
【0015】本発明で用いられる具体的なポリホスホン
酸アミドとしては次のようなものが挙げられる。
【0016】
【化3】 これらのポリホスホン酸アミドの中でも特にトリアジン
環を有するポリホスホン酸アミドが難燃性の面でも製造
コストの面でも好ましい。
【0017】上記ポリホスホン酸アミドは一般にジアミ
ンとアリールもしくはアルキルホスホン酸ジハライドを
クロロホルム、テトラヒドロフラン等の溶媒中、ハロゲ
ン化水素捕捉剤の存在下で反応させるか、またはジアミ
ンとアリールあるいはアルキルジクロロホスフィンを反
応させた後に酸素や過酸化水素等で酸化することによっ
て製造することができる。
【0018】本発明で使用されるポリホスホン酸アミド
の重合度については特に規定はないが、重合度が低すぎ
ると溶融配合時に揮発してしまったり、成形加工時に金
型表面に析出してモールドデポジットを形成するばかり
でなく成形品の外観を損なったりするので数平均重合度
4以上が好ましい。
【0019】また、ポリホスホン酸アミドの添加量は熱
可塑性ポリエステル100重量部に対して0.5〜10
0重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましく
は5〜50重量部である。ポリホスホン酸アミドの添加
量が0.5重量部より少ないと難燃効果が見られず、ま
た100重量部より多いと成形品の機械物性が低下する
ため好ましくない。
【0020】本発明で使用するポリホスホン酸アミド
は、他の従来公知のリン系難燃剤に比べてポリエステル
の加水分解を促進する作用はきわめて小さいが、長期間
高温に曝された場合にはリン化合物が変性を受け、ポリ
エステルの加水分解を促進させる傾向がある。しかしな
がら本発明においてはヒンダードフェノールを併用する
ことによって加水分解性の低下を抑制することができ
る。このような安定剤としてはトリエチレングリコール
−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオ
ール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチ
ル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート],2,2’−チ
オジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシ
ル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼ
ン)、ビスあるいはトリス(3−t−ブチル−6−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、N,N’−ヘ
キサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ヒドロシンナマミド)、N,N’−トリメチレ
ンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒ
ドロシンナマミド)などが挙げられる。ヒンダードフェ
ノール系安定剤の添加量は全組成物100重量部に対し
て0.01〜1.0重量部、好ましくは0.03〜0.
5重量部である。
【0021】さらに本発明のポリエステル樹脂組成物に
対して本発明の目的を損なわない範囲でリン系あるいは
イオウ系酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、
結晶核剤、離型剤、染料・顔料、充填材、少量の他種ポ
リマー、繊維状および/または非繊維状補強材などの1
種以上を添加してもかまわない。
【0022】繊維状補強材としては、ガラス繊維、アル
ミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト
繊維、石コウ繊維、金属繊維、チタン酸カリウィスカな
どの無機繊維および炭素繊維などが挙げられる。また非
繊維状補強材としては、ワラステナイト、セリサイト、
カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベス
ト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミ
ナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、
酸化チタンなどの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ホ
ウ素、炭化珪素およびシリカなどが挙げられ、これらは
中空であっても良い。
【0023】これらの補強材は必要によりシラン系なら
びにチタン系カップリング剤で予備処理して使用するこ
とが出来る。特に好ましい繊維状補強材はガラス繊維な
らびに炭素繊維であり、非繊維状補強材ではワラステナ
イト、タルクならびに炭酸カルシウムである。
【0024】これら補強材の配合量は、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂100重量部に対して5〜140重量部の範
囲であるが、生成する組成物の耐熱性、機械的強度との
バランスの上から、5〜100重量部の補強材の配合量
が好ましい。
【0025】本発明のポリエステル樹脂組成物の調製方
法について特に制限はないが、原料の混合物を単軸ある
いは2軸の押出機、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−およ
びミキシングロ−ルなど通常公知の溶融混合機による混
練方法を代表例として挙げることができ、原料の混合順
序にも特に制限はない。また、少量添加剤成分について
は、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した
後、成形前に添加することもできる。
【0026】かくして得られた難燃性ポリエステル樹脂
組成物は射出成形、押出成形など種々の成形方法により
各種成形品に成形することが可能であり、とりわけ射出
成形が好ましい。成形方法には特に制限はなく、通常行
なわれる方法でよい。射出成形する場合は、例えば、熱
可塑性ポリエステル、ポリホスホン酸アミドおよびその
他必要な添加剤をエクストルーダーで溶融混合し、続い
て射出成形する方法、あるいは粒子状物どうしを均一に
機械的に混合した後、直接射出成形機で混合と同時に成
形する方法などが挙げられる。
【0027】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物を
成形することにより得られる成形品はコネクター、リレ
ー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビ
ン等の電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品とし
て有用である。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0029】各特性の測定方法は以下のとおりである。
【0030】(1)機械特性 射出成形によって調製した試験片を用い、ASTM D
−638に従って引張強度、引張破断伸度を測定した。
【0031】(2)LOI(限界酸素濃度指数) プレス成形によって調製したシートから150m×6m
m×1mmの短冊状試験片を切り出し、ASTM D−
2863に従ってLOIを測定した。LOIは数値が大
きいほど難燃性能が高いことを意味する。
【0032】(3)耐加水分解性 引張試験片を恒温恒湿槽中、80℃/95%RH条件下
に所定時間処理し、処理前後のポリエステルの分子量変
化をGPCにより測定した。
【0033】(4)結晶化特性 ペレットを用いてDSCにより測定した。20℃/分で
昇温あるいは降温し、ポリマ融点Tmおよび結晶化温度
Tcを測定した。
【0034】参考例 参考例1 ベンゾグアナミン(1.0モル)、トリエチルアミン
(2.1モル)、クロロホルム(1L)を窒素気流下で
混合・撹拌し、これにフェニルホスホン酸ジクロリド
(1.0モル)を約30分間かけて徐々に滴下した。反
応熱の発生により内温が50℃付近まで上昇するが、滴
下終了後は加熱して約5時間還流下で重合反応を行なっ
た。反応終了後、過剰のトリエチルアミンおよびクロロ
ホルムを減圧溜去し、得られた固体状残渣をメタノール
に溶解もしくは懸濁させ、これを多量の純水中に投入し
た。水に不溶の固形物を吸引濾過して集め、さらに多量
の熱水で洗浄した後、減圧乾燥した。収率89%。ガラ
ス転移温度159℃。このポリホスホン酸アミドを難燃
剤Aとする。
【0035】参考例2 ベンゾグアナミンの代わりにアセトグアナミンを使用す
る以外は参考例1と同様にしてポリホスホン酸アミドを
合成した。
【0036】収率30%。ガラス転移温度201℃。こ
のポリホスホン酸アミドを難燃剤Bとする。
【0037】参考例3 ベンゾグアナミンの代わりに2,6−ジアミノピリジン
を用いる以外は参考例1と同様にしてポリホスホン酸ア
ミドを合成した。これを難燃剤Cとする。
【0038】参考例4 ベンゾグアナミンの代わりに2,4−ジアミノ−5−フ
ェニルチアゾールを用いる以外は参考例1と同様にして
ポリホスホン酸アミドを合成した。これを難燃剤Dとす
る。
【0039】参考例5 特開昭50−159540を参考にしてヘキサメチレン
ジアミンとフェニルホスホン酸ジクロリドからポリホス
ホン酸アミドを合成した。収率90%。数平均分子量2
500。融点195℃。これを難燃剤Eとする。
【0040】参考例6 特開昭47−39300を参考にしてビスフェノールS
とフェニルホスホン酸ジクロリドからポリホスホン酸エ
ステルを合成した。収率95%。数平均分子量510
0。これを難燃剤Fとする。
【0041】実施例1〜10、比較例1〜8 極限粘度0.85(25℃、o−クロロフェノール)の
ペレット状ポリブチレンテレフタレートに対して表1に
示す各種リン化合物およびその他の添加剤を混合し、3
0mmΦ2軸エクストルーダーを用いて260℃で溶融
押出した。得られたペレットを熱風乾燥後、射出成形
(金型温度:80℃)によりASTM D−638に規
定されている引張試験片を作製した。また、プレス成形
を行なってLOI測定用サンプルを調製した。
【0042】各サンプルのLOI、機械的特性、成形品
の色調、耐加水分解性の測定結果を表1および表2にま
とめて示す。なお、表中、難燃剤の添加量とはリン含量
の重量%のことを表わし、また、酸化防止剤としてはペ
ンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(チバ・ガイギー社製”IR−1010”)を用いた。
【0043】実施例1〜10、比較例1〜8のLOI値
を見ると明らかに本発明の樹脂組成物の難燃性は従来の
リン系難燃組成物より優れていることがわかる。またガ
ラス繊維の有無にかかわらず本発明の難燃性が優れてい
ることがわかる。また、本発明の組成物の機械的特性お
よび結晶化特性も難燃剤を配合していない比較例1〜2
と同等レベルにあることがわかる。
【0044】実施例1、5と比較例1、2、あるいは実
施例2、6と比較例1、2の耐加水分解性について見る
と本発明の組成物が若干劣るものの、酸化防止剤を配合
した実施例3、4、7、8では比較例1、2に近いレベ
ルまで改善されていることがわかる。
【0045】以上のように本発明の組成物はきわめて難
燃性が高く、しかも機械的物性、結晶化特性、耐加水分
解性にも優れるていることがわかる。
【0046】一方、他のリン系難燃剤E、Fや赤リンを
配合した比較例3〜8の組成物は難燃性もあまり高くな
い上に結晶化特性、機械的物性、耐加水分解性、色調が
比較例1、2より劣っている。
【0047】
【表1】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物
およびその射出成形品は従来公知のリン系難燃剤を配合
してなるポリエステル樹脂成形物品と比較して非常に高
い難燃性を示すばかりでなく、成形加工時における揮発
物の発生がなく、さらに耐加水分解性も良好であるため
電気・電子部品、家庭・事務電気製品部品、機械関連部
品、光学機器・精密機械関連部品、自動車・車両関連部
品、その他各種用途に有用である。
【0049】さらに耐加水分解性も良好である。
【0050】またハロゲン系難燃剤を配合してなるポリ
エステル樹脂成形物品のように、成形加工時や焼却時に
ハロゲン化水素、ハロゲン化ジベンゾダイオキシン、ハ
ロゲン化ジフェニルベンゾフランが発生しないため、労
働環境や自然環境を悪化させる心配がまったくないとい
う利点を有している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)炭素数8〜20の芳香族ジカルボン
    酸および/またはその低級アルキルエステルと炭素数2
    〜20の脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオール
    を出発原料とする熱可塑性ポリエステル100重量部に
    対して(B)一般式(1)で表わされる繰り返し単位を
    有するポリホスホン酸アミド0.5〜100重量部を配
    合してなる難燃性ポリエステル樹脂組成物。 【化1】 (ここでRはアリール基、アラルキル基、アルキル基
    またはシクロアルキル基を表わし、R、Rは水素ま
    たはアルキル基を、Yは2価のヘテロ芳香族環残基を表
    わす)。
  2. 【請求項2】一般式(1)におけるYがトリアジン残基
    であるポリホスホン酸アミドを用いることを特徴とする
    請求項1記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の難燃性ポリエステ
    ル樹脂組成物を射出成形してなる難燃性ポリエステル樹
    脂組成物射出成形品。
JP613593A 1993-01-18 1993-01-18 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその射出成形品 Pending JPH06212067A (ja)

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JP (1) JPH06212067A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004509205A (ja) * 2000-09-15 2004-03-25 イーストマン ケミカル カンパニー 生分解性ポリマー及び生分解性ポリマー組成物の分解速度の減速方法並びにそれらの組成物
US9334373B2 (en) * 2014-08-29 2016-05-10 The Board Of Regents Of The Nevada System Of Higher Education On Behalf Of The University Of Nevada, Las Vegas Fire retardant materials and devices including same
US10240090B2 (en) 2014-08-29 2019-03-26 The Board Of Regents Of The Nevada System Of Higher Education On Behalf Of The University Of Nevada, Las Vegas Fire retardant materials and devices including same

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