JPH0620870Y2 - 曲面引き戸ドア開閉装置のプ−リ取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、曲面引き戸ドア開閉装置におけるプーリ取
付構造に関する。

〔従来の技術〕

近年、建造物の玄関口等に設置される自動ドアとして曲
面引き戸ドア開閉装置の実用化が図られている。この種
の開閉装置、例えば無目内に架設されたレール上を走行
する走行輪を有する一対の扉体を支持させて、各戸機構
に固定された一対のタイミングベルトを一つのドアエン
ジンが夫々正逆方向に旋回移動させることにより、一対
の扉体を引分又は相接近させ、これにより出入口を開放
又は閉鎖するように、構成したものである。そして、こ
のように一対の扉体を一つのドアエンジンにより開閉作
動させるための構成としては、通例無目内における扉体
移動経路の中央部上方に、一方の扉体を開閉作動させる
ためのタイミングが巻回される一対の歯付きプーリ（ア
イドラルプーリ）と、他方の扉体を開閉作動させるため
のタイミングベルトが巻回される一対の歯付きプーリ
と、上記無目内に固定されたブラケットに回動自在に保
持し、且つ、上記２対の歯付きプーリのうちの互いに相
接近した２つの歯付きプーリの夫々同軸上に固定された
一対の歯車を噛み合わせることにより、一つのドアエン
ジンによって上記一対のタイミングベルトを互いに逆方
向に旋回移動させる構成が用いられる。

この場合、上記一対のタイミングベルトは、ドアエンジ
ンが扉体を閉鎖させる方向に一対のタイミングベルトを
所定量だけ旋回移動させた後停止状態となった時点で扉
体の対向端部間が隙間なく確実に閉鎖状態となるよう
に、対応する歯付きプーリに夫々噛み合わされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の如く構成された曲面引き戸ドア開
閉装置においては、扉体の開閉作動時にドアエンジンの
駆動開始時つまり扉体の開作動開始時、或いは扉体の閉
作動中に再び開作動が行われた場合等に両噛合部を離反
させてこの両者間の相対回転を許容し得るような大きな
応力が作用して、扉体の開閉作動時に該タイミングベル
トが振動ないし共振したりすること等により、タイミン
グベルトと歯付きプーリとの間に噛み合い歯飛び現象が
生じることになる。そして、このような歯飛び現象（或
方向への歯合いのズレ）に起因して、ドアエンジンが扉
体を閉鎖させるべくタイミングベルトを所定量だけ旋回
移動させても、一対の扉体の対向端部間には上記の噛み
合いのズレに対応する幅のすきまが生じて扉体の完全閉
鎖が妨げられるという問題が生じる。また、タイミング
ベルトと歯付きプーリとの噛み合いのズレが上記の場合
逆方向になると、一対の扉体の対向端部が密接された後
においてもタイミングベルトが扉体を閉鎖させる方向に
旋回移動しようとするため該タイミングベルトに極めて
大きな張力が作用してその耐久性が悪化するという不具
合を招くことになる。更に、上記の如く歯飛び現象が生
じる場合は、タイミングベルト又は歯付きプーリの歯の
歯先部分が摩耗したり或いは破損したり等の問題も生じ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記事情に鑑み、曲面引き戸ドア開閉装置
における相隣接する２つの歯付きプーリ間の間隔を適切
設定することにより、この両歯付きプーリとこれらに巻
回されたタイミングベルトとの間に生じる歯飛び現象を
防止して、一対の扉体が閉鎖動作された時に確実に且つ
タイミングベルトに無理な張力を作用させることなく良
好に出入口を閉鎖状態とすることを技術的課題としてな
されたものであって、その手段とするところは、少なく
とも、一対の戸袋と、これらの戸袋間に形成される出入
口に配置され且つ円弧状に湾曲された一対の扉体と、上
記両戸袋及び両扉体の上方に位置する無目内の取付部材
に架設させたレールに正逆走行可能に保持されて上記扉
体を支持する一対の戸車機構と、内周面に歯が刻設され
てこの両戸車機構を夫々旋回移動させる一対のタイミン
グベルトと、この一対のタイミングベルトのその両者の
対向側部において巻回される２つの歯付きプーリとが備
えられた曲面引き戸ドア開閉装置のプーリ取付構造にお
いて、この２つの歯付きプーリに夫々タイミングベルト
が噛み合わされて巻回された状態で両タイミングベルト
の外周面間の寸法がタイミングベルトに刻設された歯の
歯底から歯先までの寸法よりも小さくなるように、上記
２つの歯付きプーリが取付けられるように設定したとこ
ろにある。

〔作用〕

上記手段によると、２つの歯付きプーリのうちの一方の
歯付きプーリに巻回されたタイミングベルトの外周面
と、他方の歯付きプーリに巻回されたタイミングベルト
の外周面との間の寸法が、該タイミングベルトに刻設さ
れた歯（もしくは該ベルトの歯と同一諸元のプーリの
歯）の歯底から歯先までの寸法つまり全歯たけよりも小
さく設定されているので、扉体の開作動開始時或いはク
ッション作動時に上記歯付きプーリとタイミングベルト
との両噛合部が互いに離反した場合においても、この離
反される寸法は上記寸法よりも長くなることはない。つ
まり、一方のタイミングベルトが対応する歯付きプーリ
から離反されてもこのタイミングベルトの外周面が他方
のタイミングベルトの外周面に当接することにより、上
記離反寸法が全歯たけ以上となることが阻止されるので
ある。

従って、これにより、上記両タイミングベルトとこれに
対応する両歯付きプーリとの間に噛み合いのズレが生じ
ることはない。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

先ず、曲面引き戸ドア装置の概略構成を第１図に基づい
て説明する。

屋外（図面上手前側）と屋内とを連絡する玄関口に備え
付けられた曲面引き戸ドア装置１は、屋外側に配設され
て横断面が円弧状に湾曲された１対の戸袋２，２と、こ
の両戸袋２，２間に形成される出入口３に配設さて同じ
く円弧状に湾曲された一対の扉体４，４と、風除室５を
隔ててこれらに対向配置された屋内側の戸袋２′，
２′、出入口３′及び扉体４′，４′とを有する。そし
て、上記各戸袋２，２（２′，２′）及び各扉体４，４
（４′，４′）の上方に配置された無目６内の取付部材
７にはレール８，８が架設されており、このレール８，
８に正逆走行自在に支持された各戸車機構９…９を介し
て、上記扉体４，４（４′，４′）が引分け或いは相接
近されるように構成されている。

上記戸車機構９は夫々、対応するレール８上を走行する
走行輪が取り付けられた一対のドアハンガ９ａ，９ｂ
と、この両ハンガ９ａ，９ｂに跨がって固定された吊枠
体９ｃとからなり、一方のハンガ９ａに固定されたタイ
ミングベルト１０をドアエンジン１１が旋回移動させる
ことにより、吊枠体９ｃ及び扉体４（４′）が夫々円弧
状に案内移動される構成である。そして、上記戸車機構
９，タイミングベルト１０及びドアエンジン１１等から
なる駆動装置は、屋外側については取付部材７の外周部
に、また、屋内側については該部材７の内周部に夫々装
備されている。

更に、上記の如きレイアウトに加えてこの装置１におい
ては、屋外側の一対の扉体４，４が戸袋２，２の外周部
に、また屋内側の扉体４′，４′が戸袋２′，２′の内
周側に配置されている。つまり、全ての扉体が対応する
各戸袋に対して屋外側に統一してオフセットされている
のである。

尚、上記タイミングベルト１０としては、４つの扉体
４，４（４′，４′）に対応させて合計４本のタイミン
グベルト１０…１０が使用されており、このベルト１０
は、扉体開閉径路の中央部上方に位置するブラケット１
２に保持された歯付きセンタープーリ１３と、扉体４
（４′）の引分け側端部上方に位置する歯付きサイドプ
ーリ１４との相に巻回されている。そして、上記ブラケ
ット１２には（第２図参照）、相隣接する２つの歯付き
センタープーリ１３，１３と同軸上に固着された一対の
歯車１５，１５が保持さていると共に、この両歯車１
５，１５が噛合わされていることにより、屋内側及び屋
外側に夫々１個ずつ設けられたドアエンジン１１により
各一対のタイミングベルト１０，１０が同時に駆動され
る構成である。

また、上記取付部材７には、複数のガイドロール用ブラ
ケット１６…１６が固定されており、これらのブラケッ
ト１６…１６に夫々２個ずつ保持されたガイドローラ１
６ａ、１６ｂにより、上記タイミングベルト１０が円弧
状に取り渡された状態で移動可能とされている。尚、上
記２個のガイドローラ１６ａ，１６ｂのうち、一方のロ
ーラ１６ａはタイミングベルト１０の反歯側に当接する
ので歯なしローラとされており、また他方のローラ１６
ｂはタイミングベルト１０の歯側に当接するので歯付き
ローラとされている。

以上のような構成からなる曲面引き戸ドア開閉装置１に
おいて、上記相隣接する２つの歯付きセンタープーリ１
３，１３間の間隔は、両歯付きプーリ１３，１３に夫々
タイミングベルト１０，１０が巻回された状態で、両タ
イミング１０，１０の外周面間の寸法Ｌ１が、歯付きセ
ンタープーリ１３の周面に刻設された歯又はこれと同一
諸元のベルト１０の歯の歯底から歯先までの寸法（全歯
たけ）Ｌ２よりも小さくなるように設定されており、こ
れによりタイミングベルト１０と歯付きセンタープーリ
１３との噛合いのズレつまり歯飛び現象を防止し得るよ
うに配慮がなされている。

このように構成されてなる曲面引き戸ドア開閉装置のプ
ーリの取付構造によると、２つの歯付きセンタープーリ
１３、１３のうちの一方のプーリ１３に巻開されたタイ
ミングベルト１０の外周面と、他方のプーリ１３に巻回
されたタイミングベルト１０の外周面との間の寸法Ｌ１
が、該タイミングベルト１０に刻設された歯（もしくは
該ベルトの歯と同一諸元のプーリの歯）の歯底から歯先
までの寸法（全歯たけ）Ｌ２よりも小さく設定されてい
るので、扉体４、４（４′、４′）の開作動開始時或い
はクッション作動時に上記プーリ１３とタイミングベル
ト１０との両噛合部が互いに離反した場合においても、
この離反される寸法は上記寸法Ｌ１よりも長くなること
はない。つまり、一方のタイミングベルト１０が対応す
る歯付きセンタープーリ１３から離反されてもこのタイ
ミングベルト１０の外周面が他方のタイミングベルト１
０の外周面に当接することにより、上記離反寸法が全歯
たけＬ２以上となることが阻止されるのである。

従って、これにより、上記両タイミングベルト１０とこ
れに対応する２つの歯付きセンタープーリ１３との間に
噛み合いのズレを防止できるのである。

〔考案の効果〕

以上の説明からも明らかなように、この考案は、２つの
歯付きプーリに夫々タイミングベルトが噛み合わされて
巻回された状態で両タイミングベルトの外周面間の寸法
がタイミングベルトに刻設された歯の歯底から歯先まで
の寸法よりも小さくなるように構成したものであるの
で、噛み合い歯飛び現象の発生を防止することができ
る。その結果、閉鎖時に、一対の扉体の対向端部間にす
きまが生じることもなく、又、逆に必要以上に２つの扉
体を閉鎖する方向へ押す力が作用しないので、タイミン
グベルトの耐久性が向上する。更に、タイミングベルト
又はプーリの歯の歯先部分の摩耗及び破損の防止に役立
つ利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示し、第１図は曲面引き戸ド
ア開閉装置の全体構成を示す斜視図、第２図はこの装置
に備えられる歯付きセンタープーリ周辺の構造を示す一
部破断拡大正面図、第３図は第２図のIII−III線断面
図。 １……曲面引き戸ドア開閉装置、２、２′……戸袋、
３、３′……出入口、４、４′……扉体、６……無目、
７……取付部材、８……レール、９……戸車機構、１０
……タイミングベルト、１３……歯付きセンタープー
リ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも、一対の戸袋と、これらの戸袋
   間に形成される出入口に配置され且つ円弧状に湾曲され
   た一対の扉体と、上記両戸袋及び両扉体の上方に位置す
   る無目内の取付部材に架設させたレールに正逆走行可能
   に保持されて上記扉体を支持する一対の戸車機構と、内
   周面に歯が刻設されてこの両戸車機構を夫々旋回移動さ
   せる一対のタイミングベルトと、この一対のタイミング
   ベルトのその両者の対向側部において巻回される２つの
   歯付きプーリとが備えられた曲面引き戸ドア開閉装置の
   プーリ取付構造において、 この２つの歯付きプーリに夫々タイミングベルトが噛み
   合わされて巻回された状態で両タイミングベルトの外周
   面間の寸法がタイミングベルトに刻設された歯の歯底か
   ら歯先までの寸法よりも小さくなるように、上記２つの
   歯付きプーリが取付けられることを特徴とする曲面引き
   戸ドア開閉装置のプーリ取付構造。