JPH06208420A - 湯水混合装置 - Google Patents

湯水混合装置

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JPH06208420A
JPH06208420A JP1816993A JP1816993A JPH06208420A JP H06208420 A JPH06208420 A JP H06208420A JP 1816993 A JP1816993 A JP 1816993A JP 1816993 A JP1816993 A JP 1816993A JP H06208420 A JPH06208420 A JP H06208420A
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JP1816993A
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Toshio Eki
驛  利男
Toshiharu Otsuka
俊治 大塚
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 給水温度の変化および経年変化が生じた場合
でも、適正な初期設定値とし、早期に湯水混合物の温度
を目標温度とする。 【構成】 温度に応じてばね定数が変化する材料からな
る感温コイルスプリング80を用いた湯水混合装置10
に対して、フィードバック制御による温度制御を実施し
ている際、湯水混合物温度TCと目標温度TPとの温度
偏差ΔTの絶対値が閾値Trefより小さいときに(ス
テップS530)、そのときの目標温度TPと現予荷重
調節量FDとを新たな湯水混合物温度TCと予荷重調節
量FSとの関係としてバックアップRAM150dの内
容を更新する(ステップS560)。この結果、季節に
よる給水温度Twの変化により湯水混合物温度TCと予
荷重調節量FSとの関係を更新することができ、給水温
度Twに対して適正な初期値となるため、早期に湯水混
合物温度TCを目標温度TPとすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湯水混合装置に関し、
詳しくは、温度によってばね定数が変化する素材からな
るばねを用いて、可動弁体を付勢して湯水の混合を行な
う湯水混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の湯水混合装置としては、
湯と水の混合比を左右する可動弁体を、温度によって形
状が変化する形状記憶合金を用いて付勢することによ
り、湯水混合物の温度を一定に制御する自動温度調節式
湯水混合栓が提案されている(実公昭61−4406
2)。これは、形状記憶合金が、特定の温度下で一定の
形状にセットしておくと、その他の温度下で物理的に形
状を変化させても当初のセット温度を与えることによ
り、再びセット時の形状に復元するという特徴を有し、
従来の感温素子、例えば、ワックスサーモ等より熱容量
が小さく、温度変化に対して敏感に作動することを利用
したものである。
【0003】この混合栓では、可動弁体の一方を、コイ
ル状形状記憶合金で付勢し、他方を、コイルスプリング
で付勢するように構成されており、コイル状形状記憶合
金は、湯水混合物に直接接触するよう配置されている。
また、コイル状形状記憶合金は、一定温度で一定コイル
長になるとされており、このコイル状形状記憶合金は、
湯水混合物の温度の変化により、次のように作動すると
されている。
【0004】湯水混合物の温度が設定温度で定常状態に
あるとき、可動弁体は、コイル状形状記憶合金とコイル
スプリングとの釣り合いの位置で停止している。定常状
態にあった湯水混合物の温度が外乱等により変化して一
定の温度になると、コイル状形状記憶合金は、その温度
でセットされた一定のコイル長に復元しようとして、形
状復元力を発生する。この形状復元力は、定常状態にあ
ったコイルスプリングとの釣り合いを崩して、可動弁体
をコイルスプリング側またはコイル状形状記憶合金側へ
駆動する。ここで、コイル状形状記憶合金に対して、設
定温度近傍で、連続的にコイル長をセットすれば、湯水
混合物の温度が設定温度近傍での変化に対して、コイル
状形状記憶合金は、温度変化に伴ってコイル長を変化さ
せ、連続的な形状復元力を発生する。従って、可動弁体
が湯水混合物の温度変化に対応して変位し、湯水の割合
を変化させるので、湯水混合物の温度を設定温度に保持
することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
形状記憶合金を用いた湯水混合装置では、湯水混合物の
設定温度の変更は、弁体を付勢するばねに手動で予荷重
を加えることにより行なわれるため、リモコン装置など
を用いて外部からの設定により所望の出湯温度を得るこ
とができないという問題があった。また、形状記憶合金
による温度制御のみでは、所望の出湯温度からずれた温
度で形状記憶合金の形状復元力とコイルスプリングの弾
力が釣り合ったときは、定常温度偏差を生じて所望の出
湯温度とすることができないという問題があった。
【0006】また、ワックスサーモを用いた湯水混合装
置にフィードバック制御を適用したものは従来より知ら
れているが(特開昭61−31784)、このフィード
バック制御を、形状記憶合金を用いた湯水混合装置に適
用した場合には、形状記憶合金の温度特性がワックスサ
ーモの温度特性と異なることにより、目標温度に制御で
きない場合があるという問題があった。特に、形状記憶
合金は、その組成が0.1%異なるだけで、形状記憶効
果を示す温度(マルテンサイト変態温度)が10℃程度
も変化する素材であるので、合金インゴットが異なるこ
とによるマルテンサイト変態温度の相違により、目標温
度に制御できない場合があるという問題があった。同一
の合金インゴットから製造された形状記憶合金でも、ロ
ット間による相違により同様の問題が生じる。
【0007】更に、季節が変わることによって給水温度
や給水圧力等が変化する場合、経年変化によって形状記
憶合金のばね定数が変化する場合等には、前述のフィー
ドバック制御では目標温度に制御できない場合があると
いう問題もあった。
【0008】本発明の湯水混合装置は、こうした問題を
解決し、製品間の温度特性のばらつきをなくし、季節変
化および経年変化に対しても、湯水混合物の温度を目標
温度で安定して保持することを目的としてなされ、次の
構成を採った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の湯水混合装置
は、図1(a)に例示するように、湯水の混合比を調節
する可動弁体を有する湯水混合弁MVと、所定の温度範
囲において温度に応じてばね定数が変化する材料からな
り、前記混合弁から流出する湯水混合物の温度上昇に伴
い湯の割合を減少させる方向に前記可動弁体を付勢する
第1のばねSP1と、前記可動弁体を前記方向とは反対
方向に付勢する第2のばねSP2と、前記第1および第
2のばねの少なくとも一方の予荷重を調節可能な予荷重
調節手段M1と、前記湯水混合物の温度を検出する温度
検出手段M2と、湯水混合物の目標温度と前記予荷重と
の関係を記憶する予荷重記憶手段M3と、前記予荷重調
整手段M1を制御して、前記予荷重記憶手段M3により
記憶された関係に従って、予荷重を目標温度に対応した
初期値に設定する予荷重設定手段M4と、該設定の後
に、前記温度検出手段M2により検出された湯水混合物
の温度と目標温度とに偏差が存在する場合には、該偏差
を打ち消す側に前記予荷重調節手段M1を制御する予荷
重制御手段M5と、前記温度検出手段M2により検出さ
れた湯水混合物の温度と目標温度との偏差が所定の状態
となったときの該目標温度と前記予荷重との関係を用い
て、前記予荷重記憶手段M3により記憶された関係を更
新する更新手段M6とを備えたことを要旨とする。
【0010】また、本発明の第2の湯水混合装置は、図
1(b)に例示するように、湯水の混合比を調節する可
動弁体を有する湯水混合弁NVと、所定の温度範囲にお
いて温度に応じてばね定数が変化する材料からなり、前
記混合弁NVから流出する湯水混合物の温度上昇に伴い
湯の割合を減少させる方向に前記可動弁体を付勢する第
1のばねSQ1と、前記可動弁体を前記方向とは反対方
向に付勢する第2のばねSQ2と、前記第1および第2
のばねの少なくとも一方の予荷重を調節可能な予荷重調
節手段N1と、湯水混合物の目標温度と前記予荷重との
関係を複数記憶する複数予荷重記憶手段N2と、所定デ
ータの入力に基づいて、前記複数予荷重記憶手段N2に
より記憶された複数の目標温度と予荷重との関係のう
ち、一つの関係を選択する予荷重選択手段N3と、前記
予荷重調整手段N1を制御して、前記予荷重選択手段N
3により選択された関係に従って、予荷重を目標温度に
対応した初期値に設定する予荷重設定手段N4とを備え
たことを要旨とする。
【0011】ここで、前記第2の湯水混合装置におい
て、湯水混合物の温度を検出する温度検出手段と、前記
予荷重設定手段により初期値が設定された後に、前記温
度検出手段により検出された湯水混合物の温度と目標温
度とに偏差が存在する場合には、該偏差を打ち消す側に
前記予荷重調節手段を制御する予荷重制御手段とを備え
た構成とすることもできる。
【0012】
【作用】以上のように構成された本発明の湯水混合装置
は、出湯開始時に、予荷重設定手段M4が、予荷重調整
手段M1を制御して、予荷重記憶手段M3により記憶さ
れた湯水混合物の目標温度と予荷重との関係に従って、
予荷重を目標温度に対応した初期値に設定する。出湯中
は、第1のばねSP1が、湯水混合物の温度に応じてば
ね定数を変化させ、湯水の混合比を調節する可動弁体を
付勢して、湯水混合物の温度を目標温度へと制御する。
温度検出手段M2により検出された湯水混合物の温度と
目標温度とに偏差が存在する場合には、予荷重制御手段
M5が、該偏差を打ち消す側に予荷重調整手段M1を制
御して、湯水混合物の温度を目標温度とする。更新手段
M6は、温度検出手段M2により検出された温度と目標
温度との偏差が所定の状態となったときの目標温度と予
荷重との関係を用いて、予荷重記憶手段M3により記憶
された関係を更新する。
【0013】また、本発明の第2の湯水混合装置は、出
湯開始時に、予荷重設定手段N4が、予荷重調整手段N
1を制御して、複数予荷重記憶手段N2により記憶され
た複数の目標温度と予荷重との関係のうち、予荷重選択
手段N3により選択された一つの関係に従って、予荷重
を目標温度に対応した初期値に設定する。出湯中は、第
1のばねSQ1が、湯水混合物の温度に応じてばね定数
を変化させ、湯水の混合比を調節する可動弁体を付勢し
て、湯水混合物の温度を目標温度へと制御する。
【0014】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。図2は本発明の一実施例である湯水混合装置の
模式図であり、図3はこの湯水混合装置の斜視図であ
る。
【0015】湯水混合装置10は、水道管から水が給水
される給水用脚金具11と、図示しない給湯機から湯が
給湯される給湯用脚金具12と、湯水の混合を行なう弁
ユニット15と、湯水の混合比を電気的に制御する制御
ユニット18とから構成されている。弁ユニット15
は、機能的には、給水用脚金具11から給水される水お
よび給湯用脚金具12から給水される湯を混合する湯水
混合弁60と、湯水混合弁60に組み込まれた可動弁体
70の位置を調節する予荷重調節機構100と、湯水混
合物温度TCを検出する温度センサ110と、シャワー
130またはカラン140からの混合湯水の選択および
止水をする切換え/止水弁120とを有する。これらの
具体的な構成については後述する。また、制御ユニット
18は、目標温度TPを表示する液晶表示部(LCD)
160と、目標温度TPの設定および吐水の選択等の操
作を行なうパネル操作部170と、温度センサ110に
よって検出される温度信号とパネル操作部170からの
信号を入力して予荷重調節機構100と切換え/止水弁
120とLCD160へ出力信号を出力する電子制御装
置150とを有する。更に、湯水混合装置10は電池1
80に接続されており、各部に必要な電源を供給する構
成となっている。
【0016】制御ユニット18を構成するパネル操作部
170は、図3に示すように、LCD160に表示され
る目標温度TPをデクリメントするスイッチ171と、
目標温度TPをインクリメントするスイッチ172と、
シャワー130からの吐水を選択するシャワー選択スイ
ッチ175と、カラン140からの吐水を選択するカラ
ン選択スイッチ176と、止水を選択する止水スイッチ
177から構成されている。
【0017】次に、給水用脚金具11の拡大断面図であ
る図4を用いて給水用脚金具11の構造について説明す
る。給水用脚金具11は、同図に示すように、水道管に
接続される入口21と湯水混合弁60に接続される出口
29とが形成されたハウジング20を有し、ハウジング
20には、止水弁22と圧力制御弁30が組み込まれて
いる。
【0018】止水弁22は、ハウジング20に液密に締
結されたキャップ27と、キャップ27とハウジング2
0にガイドされた弁体23と、ストレーナ28とを有す
る。弁体23は、ハウジング20とのガイド部24と端
部26とを有しており、ガイド部24には通水時に水の
通路となる開口部25が設けてある。ガイド部24はハ
ウジング20とねじで噛み合っており、弁体23を回転
させることにより弁体23が回転軸方向に変位する構造
になっている。従って、弁体23を回転させて、端部2
6とハウジング20を着脱させることにより、止水また
は通水する。通水時には、端部26とハウジング20と
の隙間から流入した水が開口部25を通り、ストレーナ
28によりゴミを除去した後に圧力制御弁30に流れ込
む。
【0019】圧力制御弁30は、弁ユニット15に供給
する水側圧力を制御する弁であり、ハウジング20内部
に環状に形成された弁座31、この弁座31と協動して
水の流れを制御する弁部材32、弁部材32を摺動可能
に収納するガイド部材35、弁部材32に固定された弁
軸40、弁軸40の末端が組み付けられる金属ベローズ
45等から構成されている。弁部材32は、ナット34
により弁軸40が固定される本体部32Aと、弁座31
と反対方向に延長する円筒形のスカート33とを有し、
このスカート33はハウジング20に液密に締結された
ガイド部材35のボア36内に若干のクリアランスをも
って収納されている。従って、弁部材32とスカート3
3とガイド部材35とで形成された二次圧力室37内に
は弁座31下流の給水二次圧力P2が導入される。
【0020】弁軸40には、弁部材32と反対側の端に
ばね受け41が設けられており、ハウジング20には、
ばね受け41に対峙してキャップ42が液密に締結され
ている。ばね受け41とキャップ42との間には金属ベ
ローズ45が液密に配置してあり、背圧室46を形成し
ている。金属ベローズ45は一定のばね定数を有するば
ねで、有効受圧面積は弁座31の有効面積に等しくなる
ように設定されている。背圧室46には、給湯用脚金具
12に接続されている圧力導入管58により給湯機から
の給湯圧力P3が導入されている。
【0021】こうして構成された圧力制御弁30は次の
ように作動する。弁部材32は、給水一次圧力P1によ
り開弁方向に作用する力と二次圧力室37の給水二次圧
力P2により閉弁方向に作用する力とを受ける。ばね受
け41は、給水一次圧力P1により閉弁方向に作用する
力と、金属ベローズ45により開弁方向に作用するばね
力と、背圧室46内の給湯圧力P3により開弁方向に作
用する力とを受ける。弁部材32とばね受け41は弁軸
40によって結合しているので、弁部材32の給水一次
圧力P1による開弁方向に作用する力とばね受け41の
給水一次圧力P1による閉弁方向に作用する力とはほぼ
釣り合い、二次圧力室37の給水二次圧力P2による閉
弁方向に作用する力に対して、金属ベローズ45による
開弁方向に作用するばね力と背圧室46内の給湯圧力P
3による開弁方向に作用する力との合力が釣り合う。従
って、給水二次圧力P2は金属ベローズ45のばね力だ
け給湯圧力P3より高くなり、水道管からの給水一次圧
力P1および給湯機からの給湯圧力P3が変動しても、
給水二次圧力P2と給湯圧力P3との差圧は一定とな
る。
【0022】尚、給湯用脚金具12の構成は特に図示し
ないが、給水用脚金具11に組み込まれた止水弁22と
同様の止水弁52が組み込まれている。
【0023】次に、弁ユニット15の拡大断面図である
図5を用いて、弁ユニット15の構造について説明す
る。弁ユニット15は同図に示すように、ハウジング6
1を有し、これに、湯水混合弁60,予荷重調節機構1
00,温度センサ110および切換え/止水弁120が
組み込まれている。ハウジング61には、水入口85と
湯入口95が形成されており、水入口85には給水用脚
金具11の出口29が接続され、湯入口95には給湯用
脚金具12の出口59が接続される。
【0024】湯水混合弁60は、水入口85および湯入
口95に夫々連通する環状通路86および96と、可動
弁体70を軸方向摺動自在に収容する弁室63と、湯水
混合室64を有する。弁室63は、湯水混合弁60の軸
線に垂直な水側弁座87および湯側弁座97と、軸方向
のボア62によって画定されている。可動弁体70は、
円筒部71と半径方向のウェブ72とを有する。円筒部
71の外径とボア62の内径との間には微小なクリアラ
ンスが設けてある。可動弁体70のウェブ72には複数
の開口73が設けてあり、湯入口95から弁室63内に
流入した湯は、開口73を通って湯水混合室64に流れ
込み、水と混合される。水と湯との混合の割合は、可動
弁体70が軸方向に変位することによって変化する。
尚、可動弁体70が水側弁座87と係合する位置まで変
位して水を遮断すれば湯のみが流れ出ることになり、可
動弁体70が湯側弁座97と係合する位置まで変位して
湯を遮断すれば水のみが流れ出ることになる。
【0025】可動弁体70は、湯水混合室64内に配置
された感温コイルスプリング80と弁室63内に配置さ
れた第2コイルスプリング90の力の釣り合いによって
位置決めされる構造となっている。このため、感温コイ
ルスプリング80の一端は止め輪74によりハウジング
61に固定されたばね受け75に支承され、他端は可動
弁体70に固定されたばね受け76に支承されている。
また、第2コイルスプリング90の一端は可動弁体70
と連動するばね受け77に支承され、他端は予荷重調節
機構100の可動ばね受け102に支承されている。組
立の便宜のため、ばね受け76はウェブ72を貫通し、
ばね受け77と螺合する構造になっている。
【0026】感温コイルスプリング80は温度に応じて
ばね定数が変化する金属によって形成されており、第2
コイルスプリング90は温度に関して一定のばね定数を
有する通常のばね材料によって形成されている。温度に
応じてばね定数が変化する金属材料としては、ニッケル
・チタン合金からなる形状記憶合金(SMA)の範疇に
属する合金が知られている。この種のSMAは温度に応
じて弾性係数が変化し、その結果、SMAからなる感温
コイルスプリング80のばね定数が温度に応じて変化す
る。SMAからなる所望の温度特性を有する温度応答性
の感温コイルスプリング80は、種々の供給者から入手
することができる。例えば、関東特殊製鋼株式会社の
「KTS−SMアロイ」がある。
【0027】また、予荷重調節機構100に消費される
電池180のエネルギを節減するために、感温コイルス
プリング80のばね定数と予荷重は、そのばね力(発生
荷重)が充分小さくなるように設定する必要がある。一
方、感温コイルスプリング80は、水のみを吐出すべき
低温条件下(この時には、第2コイルスプリング90に
加える予荷重はゼロにすることができ、可動弁体70は
感温コイルスプリング80のばね力のみによって湯側弁
座97に押圧される)においては、湯の流入を遮断する
に充分な力で可動弁体70を湯側弁座97に押圧するば
ね力を発生する必要がある。このため、感温コイルスプ
リング80のばね定数と予荷重は、低温時(例えば、給
水温度Twが5℃の時)に発生するばね力が500g以
下、好ましくは300g以下になるように設定する。
【0028】予荷重調節機構100は、予荷重調節モー
タ105をいずれかの方向に回転させることにより、第
2コイルスプリング90の予荷重を可変可能に構成され
ている。このため、ハウジング61に液密に締結された
端部部材101には、可動ばね受け102が軸方向変位
自在、かつ回転不能にスプライン嵌合してあり、この可
動ばね受け102の内ねじには予荷重調節モータ105
の出力軸103に形成されたウォーム104が噛み合っ
ている。また、予荷重調節モータ105の出力軸103
はOリング106によって軸封されている。
【0029】こうして構成された予荷重調節機構100
は、予荷重調節モータ105を所定方向に回転させて、
可動ばね受け102を図5右方に変位させることによ
り、第2コイルスプリング90の予荷重を増大させ、予
荷重調節モータ105を反対方向に回転させて、可動ば
ね受け102を左方に変位させることにより、第2コイ
ルスプリング90の予荷重を減少させる。
【0030】温度センサ110は、その感温部が湯水混
合弁60から流出する混合湯水が直接接触するように、
湯水混合弁60の出口であるばね受け75の下流側に配
置され、ハウジング61に液密に締結されている。
【0031】切換え/止水弁120は温度センサ110
の下流側に配置されており、ハウジング61に固定され
た固定ディスク121と、この固定ディスク121に擦
り合わさった状態で回転する回転ディスク125と、こ
の回転ディスク125を回転駆動する切換え/止水モー
タ127とを有する。固定ディスク121は、図6に示
すように2つの吐水ポート122および123を有し、
一方の吐水ポート122は接続金具131とシャワーホ
ース132(図3参照)を介してシャワー130に接続
され、他方の吐水ポート123は接続金具141と図示
しないスイベル継手を介してカラン140に接続されて
いる。回転ディスク125は、図7に示すように湯水混
合弁60の湯水混合室64に連通する唯一の吐水ポート
126を有する。切換え/止水モータ127を回転させ
て回転ディスク125の吐水ポート126を固定ディス
ク121の吐水ポート122に整合させると、混合湯水
はシャワー130に供給され、吐水ポート126を固定
ディスク121の吐水ポート123に整合させると混合
湯水はカラン140に供給され、吐水ポート126を固
定ディスク121のいずれの吐水ポート122および1
23からもオフセットさせると止水される。
【0032】制御ユニット18を構成する電子制御装置
150は、図8に示すようにマイクロコンピュータを中
心とする論理演算回路として構成される。詳しくは、予
め設定された制御プログラムに従って出湯を制御するた
めの各種演算処理を実行するCPU150a、CPU1
50aで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログ
ラムや制御データ等が予め格納されたROM150b、
同じくCPU150aで各種演算処理を実行するのに必
要な各種データが一時的に読み書きされるRAM150
c、電源オフ時においてもデータを保持可能なバックア
ップRAM150d、温度センサ110からの信号を入
力する温度センサ入力回路150e、パネル操作部17
0からのスイッチ信号を入力するスイッチ入力回路15
0f、CPU150aでの演算結果に応じて予荷重調節
モータ105に駆動信号を出力するモータ駆動回路15
0g、パネル操作部170の吐水選択スイッチ175,
176または止水スイッチ177の入力に応じて切換え
/止水モータ127に駆動信号を出力するモータ駆動回
路150hおよびLCD160に表示信号を出力するL
CD駆動回路150i等を備えている。また、電子制御
装置150は、電池180に接続された定電圧回路15
0jを備えている。
【0033】こうして構成された湯水混合装置10の作
動を以下に説明する。まず、図9の初期予荷重調整ルー
チンについて説明する。このルーチンは、新たに湯水混
合装置10を設置した時または長期間使用しなかった湯
水混合装置10の使用を再開する時に実行される。
【0034】まず、感温コイルスプリング80のばね特
性を表わす特性値T1およびθを使用者が入力する(ス
テップS100)。ここで、特性値T1は、温度上昇に
より感温コイルスプリング80のばね定数BKが変化し
始めるときの温度であり、特性値θは、温度上昇に比例
してばね定数が変化する領域においてばね定数BKの変
化が略一定であるときの傾きである。
【0035】感温コイルスプリング80のばね定数BK
は、図10(a)に示すように、温度TがT1以下の領
域(区間U1)では一定値BK2を、T4以上の領域
(区間U5)では一定値BK1を示し、T1からT4の
領域(区間U2,U3,U4)では湯水混合物温度TC
に応じて変化する。特にT2からT3の領域(区間U
3)では変化率ΔBKが一定となり、傾きθの比例関係
が成立する。T1からT2の領域(区間U2)またはT
3からT4の領域(区間U4)では、湯水混合物温度T
Cに応じてばね定数BKは変化するが、その変化率ΔB
Kは一定でなく、区間U3の変化率ΔBKに比べて小さ
い。
【0036】従って、こうした感温コイルスプリング8
0のばね特性は、温度T1,T2,T3,T4および傾
きθをパラメータとして表わすことができる。このパラ
メータのうち温度T1と傾きθを用いて感温コイルスプ
リング80のばね特性を区分することができ、区分され
た感温コイルスプリング80を湯水混合装置10として
使用する際に、温度T1と傾きθ(特性値T1,θ)を
入力することによりそのばね特性を決定することができ
る。
【0037】次に、湯水混合物温度TCを目標温度TP
に保持するフィードバック制御における制御ゲインKの
パターンを、特性値T1,θと制御ゲインKのパターン
との関係を示す図示しないマップにより決定する(ステ
ップS110)。制御ゲインKは、実施例の湯水混合装
置10では、感温コイルスプリング80のばね定数の変
化率ΔBKが湯水混合物温度TCに伴って変化すること
により、目標温度TPによっては所望する制御ができな
い場合を生じることがあるため、ばね定数の変化率ΔB
Kに基づいて制御ゲインKを決定する構成とした。変化
率ΔBK・制御ゲインKと温度との関係の一例を図10
(b)および(c)に示す。
【0038】実施例では、制御ゲインKを以下のように
ばね定数の変化率ΔBKに基づいて設定する。ばね定数
BKと温度Tが比例関係にある領域である区間U3では
所定値K1とし、ばね定数BKと温度Tが比例関係にな
く変化率ΔBKが変化する領域である区間U2およびU
4ではK1より小さい所定値K2とする。また、ばね定
数BKが変化しない領域である区間U1およびU5では
区間U3と同じ所定値K1とする。
【0039】このように制御ゲインKを設定することに
より、目標温度TPが区間U2またはU4にある場合に
もハンチングすることなく湯水混合物温度TCを目標温
度TPで制御することができる。これは、次の理由によ
る。区間U2またはU4のばね定数の変化率ΔBKは区
間U3の変化率ΔBKに比べて小さいので、同一の温度
変化に対してばね定数BKの変化による作用(温度変化
に抗する作用)は、区間U3より区間U2またはU4の
方が小さい。ここで、同一の予荷重調節モータ105の
駆動量(実予荷重調節量ΔF)を作用させると、湯水混
合物温度TCの温度変化は、ばね定数BKの変化による
作用が小さい分だけ区間U3より区間U2またはU4の
方が大きくなる。従って、区間U3で適正な制御が可能
であった制御ゲインKの値K1を区間U2またはU4で
用いると、制御ゲインKに基づいて算出される実予荷重
調節量ΔFが適正な値より大きくなり、目標温度TP付
近を中心としてハンチングする場合を生じる。この結
果、区間U2またはU4においても適正な制御をするた
めには、制御ゲインKを小さくして温度偏差ΔTに対す
る実予荷重調節量ΔFを小さくすることが好ましい。
【0040】また、区間U1またはU5では、ばね定数
BKが変化しない領域なので、感温コイルスプリング8
0による温度制御はなく、フィードバック制御のみによ
って温度制御される。従って、本実施例では区間U1お
よびU5での制御ゲインKを区間U3と同じ所定値K1
としたが、区間U3と同じ所定値K1でなくてもよく、
より大きな値でも小さな値でも構わない。
【0041】こうして制御ゲインKのパターンを決定し
た後、ROM150bに予め格納されている予荷重調節
量FSの所定値FMを読み込み、予荷重が所定値FMと
なるよう予荷重調節モータ105を駆動する(ステップ
S120)。この所定値FMは、感温コイルスプリング
80に製品ばらつきがあったとしても、湯側開度と水側
開度がほぼ同一となる予荷重である。次に、切換え/止
水弁120をカラン側に駆動し(ステップS130)、
湯水混合物温度TCが一定になるまで吐水する(ステッ
プS140)。この処理(ステップS130,S14
0)により、給水管および給湯管に滞水した死水を吐水
する。死水吐水が終了すると予荷重を値0とする(ステ
ップS150)。すなわち、湯側全閉として水のみの吐
水とする。次に、温度センサ110によって測定された
給水温度Twを読み込む処理を実行し(ステップS16
0)、給水温度Twに値1を加えた値として目標温度T
Pを算出する(ステップS170)。
【0042】次に、算出した目標温度TPをLCD16
0に表示し(ステップS180)、温度センサ110に
よって測定された湯水混合物温度TCの読み込む処理を
実行する(ステップS190)。目標温度TPから読み
込んだ湯水混合物温度TCを減じて温度偏差ΔTを計算
し(ステップS200)、温度偏差ΔTを所定の偏差に
相当する閾値Trefと比較する(ステップS21
0)。ここで、閾値Trefは、湯水混合物温度TCが
目標温度TPから許容される温度偏差の最大値(許容温
度偏差)である。この閾値Trefは、予荷重調節モー
タ105を駆動制御できる最小値および感温コイルスプ
リング80の特性等により定められる。
【0043】温度偏差ΔTが閾値Trefより大きいと
きは、温度偏差ΔTに制御ゲインKを乗じて実予荷重調
節量ΔFを算出し(ステップS220)、現在の予荷重
調節量である現予荷重調節量FDを実予荷重調節量ΔF
だけ増加して(ステップS230)、ステップS190
に戻る。この閉ループは(ステップS190ないしS2
30)、温度偏差ΔTの絶対値が閾値Tref以下にな
るまで続けられる。
【0044】温度偏差ΔTが閾値Tref以下になる
と、目標温度TPと現予荷重調節量FDの値をバックア
ップRAM150dに格納する(ステップS240)。
バックアップRAM150dには湯水混合物温度TCと
予荷重調節量FSとの関係を表わすマップとして予め領
域が確保されており、目標温度TPと現予荷重調節量F
Dとの値を湯水混合物温度TCと予荷重調節量FSとの
関係を表わすデータとして格納する。
【0045】次に、目標温度TPをインクリメントし
(ステップS250)、目標温度TPを値60と比較す
る(ステップS260)。目標温度TPが値60以下の
ときはステップS180に戻り、ステップS180ない
しS260のループを繰り返す。目標温度TPが値61
になると、初期予荷重の調整が終了したとして本ルーチ
ンを終了する。ここで、初期予荷重の調整を60℃で終
了したが、調整の終点は使用温度によって定めればよ
く、何度であっても構わない。
【0046】実施例では、目標温度TPを給水温度Tw
からインクリメントして初期予荷重を調整したが、湯水
混合物温度TCと予荷重調節量FSの関係を表わせばよ
いので、給湯温度Thから目標温度TPをデクリメント
して初期予荷重を調整する構成でもよく、所定の温度範
囲のみ、例えば35℃から45℃の温度範囲のみ、目標
温度TPをインクリメントまたはデクリメントして初期
予荷重を調整する構成でもよい。また、目標温度TPの
増加量を目標温度TPに基づいて決定する構成、例え
ば、35℃から45℃の温度範囲は目標温度TPを値1
ずつ増加し、それ以外の温度範囲では値2ずつ増加する
構成等も好適である。
【0047】このルーチンを実行することにより、感温
コイルスプリング80のばね特性が若干相違していて
も、ばね特性に適合した制御ゲインKのパターンを選択
するので、適正なフィードバック制御をすることができ
る。また、湯水混合物温度TCと予荷重調節量FSとの
関係を表わすマップを、湯水混合装置10が設置された
後、実際に湯水を混合することにより設定するので、き
わめて適合性を有するマップとすることができ、本ルー
チン終了後は早期に湯水混合物温度TCを目標温度TP
とすることができる。
【0048】次に、出湯を開始するときに実行される出
湯開始時処理ルーチン図11に基づいて説明する。この
ルーチンは、パネル操作部170のシャワー選択スイッ
チ175またはカラン選択スイッチ176が押され、ス
イッチ信号がスイッチ入力回路150fを介して入力さ
れることにより実行される。
【0049】先ず、混合湯水の目標温度TPとしてRO
M150bに格納されたデフォルト値TD(例えば、4
0℃)と、バックアップRAM150dに格納された現
予荷重調節量FDとを読み込む処理を実行し(ステップ
S300,S310)、デフォルト値TDをLCD16
0に表示する(ステップS320)。次いで、図9に示
した初期予荷重調整ルーチンによりバックアップRAM
150dに格納された湯水混合物温度TCと予荷重調節
量FSとの関係を表わす図示しないマップにより、デフ
ォルト値TDに対応した予荷重調節量FSを求める(ス
テップS330)。求めた予荷重調節量FSと現予荷重
調節量FDとの差を実予荷重調節量ΔFにセットし(ス
テップS340)、現予荷重調節量FDを実予荷重調節
量ΔFだけ増加させる(ステップS350)。
【0050】ここで、デフォルト値TDは何度に設定さ
れていてもよいが、出湯開始時に熱水または冷水がシャ
ワー等から出湯するのを防止するために、通常使用する
湯水混合物温度TCとすることが望ましい。また、デフ
ォルト値TDがない構成でもよいが、出湯を終了する時
に通常使用する湯水混合物温度TCとなるよう可動弁体
70を調節する構成も望ましい。この場合は、ステップ
S300ないしS350は不要である。
【0051】次に、シャワー選択スイッチ175とカラ
ン選択スイッチ176とのどちらのスイッチが押された
かを判定する(ステップS360)。スイッチの判定に
従い、切換え/止水モータ127を駆動して、押された
スイッチの側の吐水ポートに回転ディスク125の吐水
ポート126を整合する(ステップS370,S38
0)。吐水ポート122または123と回転ディスク1
25の吐水ポート126が整合されることにより、シャ
ワー130またはカラン140から出湯が開始され、本
ルーチンを終了する。
【0052】次に、目標温度の設定が変更されたときの
処理を、図12に示す目標温度変更時処理ルーチンによ
り説明する。このルーチンは、混合湯水の目標温度TP
を設定するためのスイッチ171または172が押され
たときに実行される。
【0053】先ず、設定された目標温度TPと現予荷重
調節量FDとを読み込む処理を実行し(ステップS40
0,S410)、湯水混合物温度TCと予荷重調節量F
Sとの関係を表わす前記のマップにより目標温度TPに
対応した予荷重調節量FSを求める(ステップS42
0)。次いで、求めた予荷重調節量FSと現予荷重調節
量FDとの差を実予荷重調節量ΔFにセットし(ステッ
プS430)、現予荷重調節量FDを実予荷重調節量Δ
Fだけ増加させて(ステップS440)、本ルーチンを
終了する。
【0054】以上、説明した図11および図12の処理
により、目標温度TPを設定するためのスイッチ17
1,172によって、設定された温度で混合湯水が吐水
される。このときの出湯温度の調整はSMAを用いた感
温コイルスプリング80により行なわれる。次に、この
動作について説明する。
【0055】湯水混合物温度TCが目標温度TPとなっ
て、給湯機からの給湯温度Th、水道水温または流量等
の条件が定常状態にある時には、可動弁体70は、湯水
混合室64内の混合湯水により感温コイルスプリング8
0に発生するばね力と第2コイルスプリング90のばね
力(予荷重)との釣り合いにより位置が決定され、静止
している。この状態から、給湯機からの給湯温度Th、
水道水温または流量等の条件が外乱により変動すると、
この変動に応じて湯水混合室64内の湯水混合物温度T
Cが目標温度TPからずれて温度偏差ΔTを生じる。感
温コイルスプリング80は、この温度変化に応じてばね
定数を変化させ、その結果、感温コイルスプリング80
のばね力が変化する。得られる湯水混合物温度TCが目
標温度TPより高い場合には、感温コイルスプリング8
0のばね力が増大し、第2コイルスプリング90の予荷
重を増加させながら可動弁体70を図5左方に変位させ
るので、湯の割合が減少し、湯水混合物温度TCが低下
する。反対に、湯水混合物温度TCが目標温度TPより
低い場合には、感温コイルスプリング80のばね力が減
少し、第2コイルスプリング90の作用により可動弁体
70が図5右方に変位するのを許容するので、水の割合
が減少し、湯水混合物温度TCが上昇する。こうした感
温コイルスプリング80の作用により湯水混合物温度T
Cは目標温度TPに保持される。
【0056】出湯開始時処理ルーチンにより出湯が開始
された後または目標温度変更時処理ルーチンにより目標
温度TPが変更された後は、図13に示すフィードバッ
ク制御処理ルーチンにより、湯水混合物温度TCが制御
される。本ルーチンは所定時間毎、例えば100ms毎
に実行される。
【0057】本ルーチンでは、先ず、目標温度TPと温
度センサ110により検出される湯水混合物温度TCを
読み込む処理を実行し(ステップS500)、目標温度
TPと湯水混合物温度TCの差を温度偏差ΔTとして算
出する(ステップS510)。算出された温度偏差ΔT
の絶対値を閾値TR1と比較し(ステップS520)、
温度偏差ΔTの絶対値が閾値TR1より大きいときは、
フィードバック制御を行なう領域にないとして本ルーチ
ンを終了する。
【0058】ここで、閾値TR1は、フィードバック制
御の開始を判定する値であって、出湯開始時処理ルーチ
ンまたは目標温度変更時処理ルーチンにより初期設定さ
れた位置で可動弁体70が定常状態になったときの目標
温度TPと湯水混合物温度TCとの偏差よりは大きい値
として定められている。この偏差は、感温コイルスプリ
ング80および第2コイルスプリング90の製品毎のバ
ラツキや、経年変化による感温コイルスプリング80の
ばね定数の変化等により定まる。従って、閾値TR1
は、この偏差に若干の余裕を加えた値とするのが好まし
い。
【0059】温度偏差ΔTの絶対値が閾値TR1より大
きいときは、まだ給湯管等の死水の吐水中か予荷重調節
モータ105の作動中である。このときにフィードバッ
ク制御を行なうと、死水吐水等が完了すれば適正な予荷
重調節量FSであるものを、過渡期の湯水混合物温度T
Cにより不適正な予荷重調節量FSとしてしまい、かえ
って、湯水混合物温度TCを目標温度TPとするのが遅
れることになる。従って、この場合にはフィードバック
制御を行なわないのである。
【0060】一方、温度偏差ΔTの絶対値が閾値TR1
以下のときは(ステップS520)、温度偏差ΔTの絶
対値と閾値Trefとを比較する(ステップS53
0)。温度偏差ΔTの絶対値が閾値Trefより大きい
ときは、温度偏差ΔTに制御ゲインKを乗じて実予荷重
調節量ΔFを算出し(ステップS380)、現予荷重調
節量FDを実予荷重調節量ΔFだけ増加する(ステップ
S390)。温度偏差ΔTの絶対値が閾値Tref以下
のときは、従来の湯水混合物温度TCと予荷重調節量F
Sとの関係に代えて、目標温度TPと現予荷重調節量F
Dの値を新たな湯水混合物温度TCと予荷重調節量FS
との関係としてバックアップRAM150dに格納する
(ステップS560)。従って、バックアップRAM1
50dに記憶された湯水混合物温度TCと予荷重調節量
FSとの関係は、湯水混合装置10を使用する毎に、そ
の一部が更新されることになる。
【0061】以上、説明した実施例の湯水混合装置10
によれば、感温コイルスプリング80のばね特性を区分
し、湯水混合装置10として使用する際に、特性値T
1,θを入力することにより制御ゲインKのパターンを
決定してフィードバック制御するので、感温コイルスプ
リング80に製品ばらつきが生じる場合でも適正に温度
制御することができる。
【0062】また、湯水混合物温度TCと予荷重調節量
FSの関係を表わすマップを湯水混合装置10を設置し
てから作成するので、設置条件に応じた湯水混合物温度
TCと予荷重調節量FSとの関係を求めることができ、
出湯開始時および目標温度変更時に早期に湯水混合物温
度TCを目標温度TPとすることができる。更に、フィ
ードバック制御中に湯水混合物温度TCが目標温度TP
となって安定したときに、そのときの目標温度TPと現
予荷重調節量FDとを新たな湯水混合物温度TCと予荷
重調節量FSの関係としてバックアップRAM150d
に格納するので、季節による給水温度Twの変化により
湯水混合物温度TCと予荷重調節量FSとの関係を更新
することができる。また、感温コイルスプリング80の
ばね定数の経年変化等により湯水混合物温度TCと予荷
重調節量FSとの関係を更新することができる。従っ
て、季節による給水温度Twの変化やばね定数の経年変
化等などが生じても、適正な初期値となるため、早期に
湯水混合物温度TCを目標温度TPとすることができ
る。
【0063】もとより、ばね定数が温度によって変化す
るSMAを材料とした感温コイルスプリング80を用い
たので、外乱等により湯水混合物温度TCが変化して
も、感温コイルスプリング80のばね定数が温度に応じ
て変化することにより可動弁体70を温度変化を打ち消
す側に変位させて、湯水混合物温度TCを目標温度TP
とすることができる。また、感温コイルスプリング80
は熱容量の小さいSMAを材料とし、混合湯水に直接接
触する構成としたので、湯水混合物温度TCの変化に素
早く応じることができる。
【0064】また、外乱等により湯水混合物温度TCと
目標温度TPに温度偏差ΔTが生じ、感温コイルスプリ
ング80による温度制御だけでは温度偏差ΔTを解消す
ることができないときには、フィードバック制御を行な
うことにより温度偏差ΔTを解消するので、湯水混合物
温度TCを常に目標温度TPに制御することができる。
【0065】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。第2実施例の湯水混合装置は、第1実施例と同一
のハードウエア構成を備え、図11の出湯開始時処理ル
ーチン,図12の目標温度変更時処理ルーチンおよび図
13のフィードバック制御ルーチンも同一である。第2
実施例では第1実施例の初期予荷重調整ルーチン(図
9)に代えて、図14の初期値選定ルーチンが実行され
る。以下に、初期値選定ルーチンについて説明する。な
お、本ルーチンは、新たに湯水混合装置10を設置した
時または長期間使用しなかった湯水混合装置10の使用
を再開する時に実行される。
【0066】まず、感温コイルスプリング80のばね特
性を表わす特性値T1およびθを使用者が入力すること
により(ステップS600)、制御ゲインKのパターン
が決定される(ステップS610)。この処理について
は詳細に前述したので、ここでは省略する。
【0067】次に給水温度Twと給湯温度Thを使用者
が入力する(ステップS620)。使用者は、LCD1
60に表示される「高」・「中」・「低」の3種類から
選択することにより給水温度Twを入力する。「高」を
選択すると夏期の給水温度Twとして25℃が設定さ
れ、「中」が選択されると春期または秋期の給水温度T
wとして15℃が設定され、「低」が選択されると冬期
の給水温度Twとして5℃が設定される。「高」・
「中」・「低」の変更は、パネル操作部170のスイッ
チ171,172等により行なうことができ、スイッチ
171を操作する毎に、LCD160の表示が「高」か
ら「中」へ、「中」から「低」へと変化し、スイッチ1
72を操作する毎に、LCD160の表示が「低」から
「中」へ、「中」から「高」へと変化する。LCD16
0の表示が所望の表示のときに、スイッチ177を操作
することにより給水温度Twを決定する。
【0068】給湯温度Thも同様に「高」・「中」・
「低」により入力するが、「高」が選択されると給湯温
度Thが90℃に設定され、「中」が選択されると給湯
温度Thが75℃に設定され、「低」が選択されると給
湯温度Thが60℃に設定される。
【0069】次に、入力された給水温度Twおよび給湯
温度Thの組み合わせにより、湯水混合物温度TCと予
荷重調節量FSとの関係を表わす図示しないマップを選
定する(ステップS630)。このマップは、予めRO
M150bに給水温度Twと給湯温度Thの組み合わせ
の数だけ格納されている。選定されたマップはバックア
ップRAM150dの所定の場所に複写される(ステッ
プS640)。
【0070】本実施例では、給水温度Twおよび給湯温
度Thを、それぞれ「高」・「中」・「低」の3種類に
区分し、その組み合わせの数の湯水混合物温度TCと予
荷重調節量FSとの関係を表わすマップを用意したが、
給水温度Twおよび給湯温度Thの区分数はいくつでも
構わない。また、直接、温度を入力する構成でもよい。
給水温度Twおよび給湯温度Thの「高」・「中」・
「低」を、給水温度Twでは25℃・15℃・5℃、給
湯温度Thでは90℃・75℃・60℃としたが、使用
される場所および給湯機の性能等により決定すればよ
く、その数値はいくつであっても構わない。実施例で
は、この組み合わせを所定データとしたが、給湯機の種
類の指定等であっても構わない。
【0071】以上、説明した第2実施例の湯水混合装置
10によれば、予めROM150bに湯水混合物温度T
Cと予荷重調節量FSとの関係を表わすマップを複数用
意しておき、給水温度Twと給湯温度Thを入力するこ
とによって使用するマップを決定するので、初期値の設
定を簡易・迅速に行なうことができ、湯水混合装置10
を設置した季節の給水温度Twおよび実際に湯水混合装
置10に給湯される給湯温度Thに応じた初期値とする
ことができる。
【0072】また、フィードバック制御を行なうので、
初期値で設定した予荷重では湯水混合物温度TCと目標
温度TPとに温度偏差ΔTを生じる場合にも、湯水混合
物温度TCを目標温度TPとすることができる。なお、
その他の効果については第1実施例と同一である。
【0073】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、例えば、第2実施例において湯水混合物の温度を用
いてフィードバック制御しない構成、湯水混合物の温度
と目標温度との偏差を予測して更新する構成等、本発明
の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様で実
施し得ることは勿論である。
【0074】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の湯水混合
装置では、湯水混合物の温度と目標温度との偏差が所定
の状態となったときの目標温度と予荷重との関係を用い
て、予荷重記憶手段M3により記憶された関係を更新
し、更新された関係に従って予荷重設定手段M4により
予荷重を目標温度に対応した初期値に設定するので、第
1のばねSP1のばね特性に製品によるばらつきが生じ
る場合でも、その第1のばねSP1のばね特性に対して
適正な初期値とすることができる。また、季節により給
水温度・給湯温度等の給水状態が変化する場合、第1の
ばねSP1または第2のばねSP2のばね定数が経年変
化した場合でも、季節変化または経年変化にかかわら
ず、常に適正な初期値とすることができる。
【0075】もとより、本発明の湯水混合装置では、所
定の温度範囲内において温度に応じてばね定数が変化す
る材料からなるばねを用いており、これによる湯水混合
物の温度の制御も行なわれる。更に、目標温度からずれ
た温度で第1のばねと第2のばねのばね力が釣り合うこ
とにより、湯水混合物の温度と目標温度に偏差を生じた
場合には、偏差を打ち消す側に予荷重調節手段M1を制
御するので、湯水混合物の温度を目標温度とすることが
できる。
【0076】また、本発明の第2の湯水混合装置では、
予荷重設定手段N4により予荷重を目標温度に対応した
初期値に設定する際に用いられる目標温度と予荷重との
関係を、所定データを入力し、複数予荷重記憶手段N2
に記憶された複数の関係のうちから、一つの関係を選択
するので、容易に給水温度および給湯温度等に応じた初
期値とすることができ、湯水混合物の温度を早期に目標
温度とすることができる。
【0077】更に、第2の湯水混合装置で、予荷重制御
手段を備えたときには、初期値で設定した予荷重では湯
水混合物の温度と目標温度とに偏差を生じる場合にも、
湯水混合物の温度を目標温度とすることができる。
【0078】もとより、第2の湯水混合装置では、所定
の温度範囲内において温度に応じてばね定数が変化する
材料からなるばねを用いており、これによる湯水混合物
の温度の制御も行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湯水混合装置の基本的構造を例示する
ブロック図である。
【図2】本発明の湯水混合装置10を例示する模式図で
ある。
【図3】図2に示した湯水混合装置10の斜視図であ
る。
【図4】湯水混合装置10を構成する給水用脚金具11
の断面図である。
【図5】湯水混合装置10を構成する弁ユニット15の
拡大断面図である。
【図6】切換え/止水弁120に組み込まれた固定ディ
スク121の構造図である。
【図7】切換え/止水弁120に組み込まれた回転ディ
スク125の構造図である。
【図8】CPU150aを中心とした制御系の電気的な
構成を例示するブロック図である。
【図9】電子制御装置150により実行される初期予荷
重調整ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】感温コイルスプリング80のばね定数BK・
ばね定数の変化率ΔBK・制御ゲインKと温度Tとの関
係を例示するグラフである。
【図11】電子制御装置150により実行される出湯開
始時処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】電子制御装置150により実行される目標温
度変更時処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】電子制御装置150により実行されるフィー
ドバック制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】第2実施例の電子制御装置150により実行
される初期値選定ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
M1…予荷重調節手段 M2…温度検出手段 M3…予荷重記憶手段 M4…予荷重設定手段 M5…予荷重制御手段 M6…更新手段 MV…湯水混合弁 N1…予荷重調節手段 N2…複数予荷重記憶手段 N3…予荷重選択手段 N4…予荷重設定手段 NV…湯水混合弁 10…湯水混合装置 11…給水用脚金具 12…給湯用脚金具 15…弁ユニット 18…制御ユニット 20…ハウジング 21…入口 22…止水弁 23…弁体 24…ガイド部 25…開口部 26…端部 27…キャップ 28…ストレーナ 29…出口 30…圧力制御弁 31…弁座 32…弁部材 33…スカート 34…ナット 35…ガイド部材 36…ボア 37…二次圧力室 40…弁軸 41…ばね受け 42…キャップ 45…金属ベローズ 46…背圧室 52…止水弁 58…圧力導入管 59…出口 60…湯水混合弁 61…ハウジング 62…ボア 63…弁室 64…湯水混合室 70…可動弁体 71…円筒部 72…ウェブ 73…開口 74…止め輪 75,76,77…ばね受け 80…感温コイルスプリング 85…水入口 86,96…環状通路 87…水側弁座 90…第2コイルスプリング 95…湯入口 97…湯側弁座 100…予荷重調節機構 101…端部部材 102…可動ばね受け 103…出力軸 104…ウォーム 105…予荷重調節モータ 106…Oリング 110…温度センサ 120…切換え/止水弁 121…固定ディスク 122,123,126…吐水ポート 125…回転ディスク 127…切換え/止水モータ 130…シャワー 131…接続金具 132…シャワーホース 140…カラン 141…接続金具 150…電子制御装置 150a…CPU 150b…ROM 150c…RAM 150d…バックアップRAM 150e…温度センサ入力回路 150f…スイッチ入力回路 150g…モータ駆動回路 150h…モータ駆動回路 150i…LCD駆動回路 150j…定電圧回路 160…LCD 170…パネル操作部 171,172…スイッチ 175…シャワー選択スイッチ 176…カラン選択スイッチ 177…止水スイッチ 180…電池

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯水の混合比を調節する可動弁体を有す
    る湯水混合弁と、 所定の温度範囲において温度に応じてばね定数が変化す
    る材料からなり、前記混合弁から流出する湯水混合物の
    温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に前記可動弁
    体を付勢する第1のばねと、 前記可動弁体を前記方向とは反対方向に付勢する第2の
    ばねと、 前記第1および第2のばねの少なくとも一方の予荷重を
    調節可能な予荷重調節手段と、 前記湯水混合物の温度を検出する温度検出手段と、 湯水混合物の目標温度と前記予荷重との関係を記憶する
    予荷重記憶手段と、 前記予荷重調整手段を制御して、前記予荷重記憶手段に
    より記憶された関係に従って、予荷重を目標温度に対応
    した初期値に設定する予荷重設定手段と、 該設定の後に、前記温度検出手段により検出された湯水
    混合物の温度と目標温度とに偏差が存在する場合には、
    該偏差を打ち消す側に前記予荷重調節手段を制御する予
    荷重制御手段と、 前記温度検出手段により検出された湯水混合物の温度と
    目標温度との偏差が所定の状態となったときの該目標温
    度と前記予荷重との関係を用いて、前記予荷重記憶手段
    により記憶された関係を更新する更新手段とを備えた湯
    水混合装置。
  2. 【請求項2】 湯水の混合比を調節する可動弁体を有す
    る湯水混合弁と、 所定の温度範囲において温度に応じてばね定数が変化す
    る材料からなり、前記混合弁から流出する湯水混合物の
    温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に前記可動弁
    体を付勢する第1のばねと、 前記可動弁体を前記方向とは反対方向に付勢する第2の
    ばねと、 前記第1および第2のばねの少なくとも一方の予荷重を
    調節可能な予荷重調節手段と、 湯水混合物の目標温度と前記予荷重との関係を複数記憶
    する複数予荷重記憶手段と、 所定データの入力に基づいて、前記複数予荷重記憶手段
    により記憶された複数の目標温度と予荷重との関係のう
    ち、一つの関係を選択する予荷重選択手段と、 前記予荷重調整手段を制御して、前記予荷重選択手段に
    より選択された関係に従って、予荷重を目標温度に対応
    した初期値に設定する予荷重設定手段とを備えた湯水混
    合装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項2記載の湯水混合装置であっ
    て、 前記湯水混合物の温度を検出する温度検出手段と、 前記予荷重設定手段により初期値が設定された後に、前
    記温度検出手段により検出された湯水混合物の温度と目
    標温度とに偏差が存在する場合には、該偏差を打ち消す
    側に前記予荷重調節手段を制御する予荷重制御手段とを
    備えた湯水混合装置。
JP1816993A 1992-11-25 1993-01-08 湯水混合装置 Pending JPH06208420A (ja)

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