JP3038698B2 - 電子制御湯水混合装置 - Google Patents

電子制御湯水混合装置

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JP3038698B2
JP3038698B2 JP4214549A JP21454992A JP3038698B2 JP 3038698 B2 JP3038698 B2 JP 3038698B2 JP 4214549 A JP4214549 A JP 4214549A JP 21454992 A JP21454992 A JP 21454992A JP 3038698 B2 JP3038698 B2 JP 3038698B2
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修 筒井
欽也 有田
好信 内村
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東陶機器株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、温度制御機能に優れた
電子制御湯水混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】伝統的な自動温度調節式の湯水混合弁
は、熱膨脹性ワックスが封入された感温素子を備えたも
ので、使用者が温度設定ハンドルを回すことにより希望
給湯温度を設定すると、ワックス感温素子が湯水混合物
の温度に応答しながら混合弁体を位置決めして湯水混合
比を自動的に調節し、湯水混合物の温度を設定値に向っ
て機械的にフィードバック制御するようになっている。
水圧や給湯圧力や給湯機からの給湯温度や水道水温や流
量などの条件が過渡的に変動し、その結果、湯水混合物
の温度が変化すると、ワックス感温素子は温度変化に応
じて伸縮して、混合弁体を変位させて湯水の混合比を修
正し、オーバーシュートとアンダーシュートを繰り返し
ながら湯水混合物温度を次第にほぼ目標値に収斂させ
る。
【0003】この種の自動温調混合弁は、水道管と給湯
機からの給湯管に配管を接続するだけで使用でき、電気
配線工事を必要としないので、設置が簡単であるという
利点がある。しかし、ワックス感温素子は、熱容量が大
きいと共に、熱伝導性が良くないので、温度に対する感
度が充分でなく、従って、温度変化に対する応答が遅
い。その結果、混合弁のオーバーシュートとアンダーシ
ュートが不可避的に発生するという難点がある。また、
構成要素の経時的劣化や摩耗などの原因により、長期間
にわたる使用中には供給温度(混合物温度)と設定値と
の間に定常的なずれ(定常的オフセット)が発生すると
いう問題がある。
【0004】従来技術においては、斯る定常的オフセッ
トを解消するため、ワックス感温素子による機械的フィ
ードバック制御に加えて、温度を電子的にフィードバッ
ク制御することが提案されている(例えば、特開昭60-2
49783号、特開昭60-249784号)。過渡的なオフセットは
主としてワックス感温素子による機械的フィードバック
制御によって対処される。定常的オフセットは、温度検
出器により混合物温度を検出し、検出温度に基づいてモ
ータによってワックス感温素子のピストンを変位させる
ことにより解消される。
【0005】しかし、この混合装置には、感温素子とし
てワックス感温素子が使用してあり、ワックス感温素子
は前述したように熱容量が大きいと共に熱伝導性がよく
ないので、不可避的に応答遅れが伴う。また、温度検出
器としてサーミスタなどを用いる場合には、サーミスタ
も熱容量が大きいので、出力に応答遅れがある。さら
に、制御上の発振を防止するため、温度検出器の出力信
号に対してプログラム上制御の遅れを設けなければなら
ないので、ある程度の応答遅れは不可欠である。従っ
て、この混合装置は、定常的オフセットは解消できる
が、これらの理由により過渡時の応答性には限界がある
ものと考えられる。
【0006】また、この混合装置は、乾電池のエネルギ
によって作動させるに適していない。何故ならば、ワッ
クス感温素子のピストンを押し込む方向にモータを回転
させる場合には、混合弁体をワックス感温素子に対して
付勢するバイアスばねの予荷重と、混合弁体の周りの摺
動シールの抵抗と、ワックス感温素子の周りの摺動シー
ルの抵抗とに抗してモータを回転駆動しなければなら
ず、かなりの電力を要するからである。即ち、通常、バ
イアスばねの予荷重が4〜5kgであり、混合弁体の周
りの摺動シールの抵抗が約0.5kgであり、ワックス
感温素子の周りの摺動シールの抵抗が約0.5kgであ
り、これらの摺動シールの抵抗は更にシール部材の経時
的劣化により1〜1.5kgまで増大するおそれがある
ことを考慮すると、かなりの電力をモータに供給しなけ
ればならない。従って、この混合装置を作動させるには
商用電源が必要となり、混合装置の設置に際しては、水
道配管工事だけでなく、商用電源に電気接続するための
電気配線工事が必要となり、設置に手数と費用を要す
る。
【0007】純粋に電気的にフィードバック制御される
湯水混合装置は特開昭62-256111号に開示されている。
この装置においては、設定値に基づいて湯側弁29と水
側弁30をモータで駆動することにより混合湯温度が制
御される。湯側弁29と水側弁30は止水機能も兼ね備
えており、水圧を受けるので、モータへの負荷の低減を
図るため、減圧弁18、19が使用してある。しかしな
がら、この装置においても、サーミスタなどの温度検出
器の出力に応答遅れがあると共に、更に、制御上の発振
を防止するために制御の遅れを設けなければならないの
で、過渡時の応答性には限界がある。
【0008】特開昭61-140685号の第2図には、湯水の
圧力を等圧化するピストンを備えた湯水混合装置が開示
されている。この混合装置は、湯水の混合比を手で変え
るようになっているので、水温や給湯温の変動に対して
自動温調をすることができない。特開昭61-140685号の
第1図には、湯水の圧力を等しくする圧力調整弁と電気
的に駆動される混合弁を備えた湯水混合装置が開示され
ている。第1図の装置においても、温度検出器の出力に
応答遅れが伴うと共に、発振を防止するために制御上の
遅れを設けなければならないので、過渡時の応答性が充
分でない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、応答性に優れた湯水混合装置を提供することにあ
る。本発明の付随的目的は、乾電池のエネルギにより作
動させることが可能で、従って、商用電源に接続するた
めの電気配線工事を行うことなく設置することが可能
な、温度制御機能に優れた電子制御湯水混合装置を提供
することにある。
【0010】
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明の湯水混合弁は、
湯水の混合比を調節する可動弁体を有する湯水混合弁
と、湯水混合弁に供給される湯の圧力と水の圧力との間
の差圧を一定にする圧力制御手段と、温度に応じてばね
定数が変化する金属からなり混合弁から流出する湯水混
合物の温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に可動
弁体を付勢する第1のコイルスプリング(感温コイルス
プリング)と、通常のばね材料からなり可動弁体を前記
方向とは反対方向に付勢する第2のコイルスプリング
と、これらのコイルスプリングの少なくとも一方の予荷
重を調節する電動式予荷重調節手段と、湯水混合物の温
度を検出する温度検出手段と、湯水混合物温度の目標値
を設定する温度設定手段と、温度検出手段により検出さ
れた温度と温度設定手段により設定された目標値とに基
づいて予荷重調節手段を制御する電子制御手段、とを備
えてなる。
【0011】
【作用】本発明の第1の特徴は、感温素子として、温度
に応じてばね定数が変化する金属からなるコイルスプリ
ングを用いたことにある。本発明の目的のためには、こ
のように温度に応じてばね定数が変化する金属として
は、形状記憶合金の範疇に属する金属を使用することが
できるもので、斯る金属は温度に応じて弾性係数が変化
し、其の結果として、斯る金属で形成された感温コイル
スプリングのばね定数が温度に応じて変化するものであ
る。このように、本発明の感温コイルスプリングは金属
で形成されているので、従来のワックス感温素子に比較
して、遥かに熱容量が小さいと共に、熱伝導性に優れて
いる。従って、温度変化に対する応答は極めて迅速であ
り、温度変化を感知した時には瞬間的に発生荷重(ばね
力)が変化し、瞬間的に可動弁体を変位させ、湯水混合
物温度を調節する。
【0012】本発明の第2の特徴は、湯水混合弁の可動
弁体は、この感温コイルスプリングによって一方から付
勢されると共に、温度に応じてばね定数が変化しない通
常のばね材料からなる第2のコイルスプリングによって
反対方向に付勢されていることである。このように、湯
水混合弁の可動弁体は感温コイルスプリングと第2コイ
ルスプリングとの釣り合いにより位置決めされているの
で、これらのコイルスプリングから混合弁体に作用する
付勢力は相殺され、合力はゼロとなる。この事は感温コ
イルスプリングのばね力の変化に対する可動弁体の追従
性を向上させる上で非常に有利である。即ち、湯水混合
弁から流出する湯水混合物の温度変動に伴い感温コイル
スプリングのばね力が増減し、感温コイルスプリングの
付勢力と第2コイルスプリングの付勢力との間に力の差
が発生した時には、この力の差は可動弁体を駆動する加
速度として作用するであろう。加速の開始時には、前述
したように可動弁体に作用する合力はゼロであり、前記
力の差による加速度はいづれかのコイルスプリングの反
作用を受けることがないので、混合弁体は迅速に加速さ
れ、迅速に変位し、感温コイルスプリングのばね力の変
化に敏感に追従することができる。
【0013】しかしながら、このように可動弁体が感温
コイルスプリングと第2コイルスプリングとの釣り合い
により位置決めされており、敏感に変位し得るようにな
っているので、湯水の圧力が過渡的に変動することによ
り両者間に圧力差が発生した時には、圧力差に起因して
可動弁体に作用する軸方向スラストによって可動弁体が
不本意に変位するおそれがある。
【0014】そこで、本発明の第3の特徴は、湯水混合
弁に供給される湯の圧力と水の圧力との間の差圧を一定
にする圧力制御手段を設けたことにある。このような圧
力制御手段を設けたので、給水圧力と給湯圧力との間に
過渡的な圧力差が生じたとしても、混合弁の可動弁体に
は一定の差圧が印加され、混合弁体に作用する軸方向ス
ラストは一定となる。
【0015】本発明の第4の特徴は、感温コイルスプリ
ングおよび第2コイルスプリングの少なくとも一方の予
荷重を調節する電動式予荷重調節手段が設けてあり、こ
の予荷重調節手段は電子制御回路によって電子制御され
ることである。この電子制御回路は、温度検出手段によ
り検出された湯水混合物温度と目標温度設定手段により
設定された目標温度とに基づいて予荷重調節手段を制御
する。これにより、前記一定の差圧により混合弁体に作
用する軸方向スラストは補償される。また、感温コイル
スプリングのヒステリシスによる影響や、感温コイルス
プリングおよび第2コイルスプリングの製造上の公差に
よるばね定数のバラツキに起因する定常的オフセット
や、他の原因による定常的オフセットも、電子制御によ
り補正される。
【0016】本発明の混合装置では、熱容量が小さく熱
伝導性に優れた金属製感温コイルスプリングが使用して
あると共に、可動弁体は感温コイルスプリングの付勢力
の変化に応答して敏感に変位するべく2つのコイルスプ
リングの釣り合いによって支持されているので、電子制
御の頻度は最小限となる。従って、高精度の温度制御を
行いながらも、乾電池のエネルギによって混合装置を作
動させることが可能となる。また、感温コイルスプリン
グは、制御回路による電子制御が前記所定の遅れをもっ
て実行されるよりも遥かに迅速に温度変化に応答するの
で、混合装置の応答性は著しく向上する。
【0017】好ましくは、可動弁体の周りにおける湯水
間の漏れを防止するために従来から可動弁体の周りに配
置されて来た摺動シールは廃止する。そうすれば、感温
コイルスプリングのばね力の変化に対する弁体の追従性
を一層向上させることができる。
【0018】感温コイルスプリングのばね定数は、湯水
混合物の低温時に湯を遮断するに必要な最低限のばね力
を可動弁体に作用させるような限られた値に制限するの
が好ましい。このように感温コイルスプリングのばね力
を小さく制限した場合には、予荷重調節手段を駆動する
に要する乾電池エネルギ消費量を一層低減することがで
きる。
【0019】本発明の上記特徴や効果、ならびに、他の
特徴や利点は、以下の実施例の記載に従い更に明らかと
なろう。
【0020】
【実施例】図面を参照しながら本発明の実施例を説明す
る。先ず、図1の模式図と図2の斜視図を参照するに、
湯水混合装置10は本体12を有し、水道管からの水は
圧力制御弁14を内蔵した給水用脚金具16を介して本
体12に供給されると共に、給湯機(図示せず)からの
湯は給湯用脚金具18を介して本体12に供給される。
湯水は本体12内に配置された湯水混合弁20によって
混合され、湯水混合物は同じく本体12内に配置された
切換え/止水弁22を介してシャワーヘッド24又はカ
ラン26に選択的に供給される。湯水混合物の温度はサ
ーミスタ28などからなる温度検出手段によって検出さ
れ、その情報は制御回路30に送られる。図2からよく
分かるように、本体12には、使用者が湯水混合物の目
標温度を設定するためのスイッチ32、34が設けてあ
ると共に、設定された目標温度を表示する液晶表示部
(LCD)36が設けてある。図示した実施例では、ス
イッチ32は設定温度をデクレメントするために使用さ
れ、スイッチ34はインクレメントするために使用され
る。さらに、本体12には、シャワーヘッド24への吐
水を選択するためのスイッチ38と、カラン26への吐
水を選択するためのスイッチ40と、吐水を停止させる
ためのスイッチ42が設けてある。これらのスイッチか
らの指令は制御回路30に入力される。制御回路30
は、サーミスタ28により検出された混合物温度とスイ
ッチ32、34によって設定された目標値(場合によっ
ては、後述するように制御回路30によりデフォルト設
定された目標値)とに基づいて、後述する混合弁20の
予荷重調節機構44を制御する。また、制御回路30
は、スイッチ38、40、42からの指令に基づいて切
換え/止水弁22のモータ46を制御する。混合弁20
の予荷重調節機構44、切換え/止水弁22のモータ4
6、制御回路30、および、LCD36を駆動するため
の電力は、乾電池48によって供給されるもので、この
ため、本体12には、例えば4個の単3乾電池を装填し
た防水ケース50を装入し、キャップ52により閉鎖す
るようになっている。
【0021】図2のIII−III断面を拡大して示す図3を
参照するに、給水用脚金具16には、圧力制御弁14が
組み込まれており、混合弁20の湯入口に供給される湯
の圧力と混合弁20の水入口に供給される水の圧力との
間の差圧が一定になるべく水道管からの給水圧力を制御
するようになっている。脚金具16は、水道管に接続さ
れる入口54と混合弁20に接続される出口56とが形
成されたハウジング58を有し、図示した実施例では、
このハウジング58内にはストレーナ60を備えた従来
型の止水弁62が配置されている。
【0022】圧力制御弁14は、ハウジング58に形成
された環状の弁座64と、この弁座64と協動して水の
流れを制御する円板状の閉鎖部材66を有する。この閉
鎖部材66はナット68により弁軸70に固定されてい
る。閉鎖部材66は上方に延長する円筒形のスカート7
2を有し、このスカート72は、ハウジング58に液密
に締結されたガイド部材74のボア76内に摺動自在に
案内されている。ボア76の内径とスカート72の外径
との間には若干のクリアランスが設けてあり、閉鎖部材
66とスカート72とガイド部材74とで形成された二
次圧力室78内に弁座64下流の二次圧力が導入される
ようになっている。弁軸70の下端にはばね受け80が
設けてある。ハウジング58に液密に締結したキャップ
82とこのばね受け80との間には金属ベローズ84が
液密に配置してあり、背圧室86を形成している。金属
ベローズ84は、容積可変の背圧室86を形成すると共
に、閉鎖部材66を開弁方向(図3において、上向き)
に付勢するばねとしても作用する。金属ベローズ84の
有効受圧面積は弁座64の有効面積に等しくなるように
設定してある。従って、弁座64上流の一次給水圧力に
より閉鎖部材66に上向きに作用する力は、該一次圧力
によりばね受け80に下向きに作用する力に等しく、こ
れらの力は互いに相殺される。背圧室86は圧力導入管
88によって給湯用脚金具18に接続してあり、給湯機
からの給湯圧力を背圧室86内に導入するようになって
いる。
【0023】この圧力制御弁14の作動原理を説明する
に、前述したように、給水一次圧力P1により閉鎖部材
66に上向きに作用する力と該一次圧力P1によりばね
受け80に下向きに作用する力とは互いに相殺されるの
で、閉鎖部材66は、二次圧力室78内の給水二次圧力
2により閉弁方向(図3において、下向き)に作用す
る力と、金属ベローズ84により開弁方向(図3におい
て、上向き)に作用するばね力と、背圧室86内の給湯
圧力により開弁方向に作用する力とを受ける。従って、
給水二次圧力P2は、金属ベローズ84のばね力の分だ
け、給湯圧力より高くなり、水道管からの給水圧力およ
び給湯機からの給湯圧力が変動しても、給水二次圧力P
2と給湯圧力との差圧は一定となる。
【0024】給湯用脚金具18にも、給水用脚金具16
の止水弁62と同様の止水弁90が設けてある。圧力制
御弁14によって差圧が一定になるように圧力制御され
た湯水は、湯水混合弁20の湯水入口に夫々送られる。
【0025】本体12内には、図4に示したような弁ユ
ニット92が収蔵してあり、この弁ユニット92には、
湯水混合弁20と切換え/止水弁22が組み込まれてい
る。弁ユニット92のハウジング94には湯入口96と
水入口98が形成してあり、湯入口96には給湯用脚金
具18の出口100が接続され、水入口98には給水用
脚金具16の出口56が接続される。
【0026】湯水混合弁20は、湯水入口96および9
8に夫々連通する環状通路102および104と、可動
弁体106を軸方向摺動自在に収容する弁室108と、
湯水混合室110を有する。弁室108は、混合弁20
の軸線に垂直な湯側弁座112および水側弁座114
と、軸方向ボア116によって画定されている。可動弁
体106は、円筒部118と半径方向ウェブ120とを
有する。弁体円筒部118の外径とボア116の内径と
の間には微小なクリアランスが設けてある。しかし、本
発明の好ましい実施態様に従い、円筒部118とボア1
16との間にはOリングのような摺動シール部材は設け
られていない。従って、可動弁体106は実質的に摺動
抵抗を受けることなくボア116内で円滑に軸方向に変
位することができる。可動弁体106が軸方向に変位す
ることにより湯水の混合比が調節され、弁体円筒部11
8の左側端面が湯側弁座112に係合することにより湯
が遮断され、円筒部118の右側端面が水側弁座114
に係合することにより水が遮断される。弁体106のウ
ェブ120には複数の開口122が設けてあり、湯入口
96から弁室108内に流入した湯が開口122を通っ
て混合室110に流れ、水と混合されるようになってい
る。
【0027】本発明に従い、可動弁体106は、基本的
に、混合室110内に配置された感温コイルスプリング
124と弁室108内に配置された第2コイルスプリン
グ126の力の釣り合いによって位置決めされるように
なっている。このため、感温コイルスプリング124の
一端は止め輪128によりハウジング94に固定された
ばね受け130に支承され、他端は可動弁体106と連
動するばね受け132に支承されている。また、第2コ
イルスプリング126の一端は可動弁体106と連動す
るばね受け134に支承され、他端は予荷重調節機構4
4に支承されている。組立の便宜のため、ばね受け13
2は弁体ウェブ120を貫通し、ばね受け134と螺合
するようになっている。図示した実施例では、この予荷
重調節機構44は、乾電池48の電力によりモータ13
6をいづれかの方向に回転させることにより、第2コイ
ルスプリング126の予荷重を可変調節するように構成
されている。このため、ハウジング94に液密に締結さ
れた端部部材138には可動ばね受け140が軸方向変
位自在に、但し、回転不能にスプライン嵌合してあり、
この可動ばね受け140の内ねじにはモータ136の出
力軸142に形成されたウォーム144が噛み合ってい
る。モータ136の出力軸142はOリング146によ
って軸封されており、湯水が漏洩するのを防止するよう
になっている。このような構成であるから、モータ13
6を或る方向に回転させ、ばね受け140を図4中右方
に変位させれば、第2コイルスプリング126の予荷重
を増大させることができる。モータ136を反対方向に
回転させ、ばね受け140を左方に変位させれば、第2
スプリング126の予荷重を減少させることができる。
ばね受け140は、第2スプリング126の予荷重がゼ
ロになるまで左方に移動するに充分なストロークを有す
る。
【0028】本発明に従い、感温コイルスプリング12
4は温度に応じてばね定数が変化する金属によって形成
されている。これに対して、第2コイルスプリング12
6は温度に関して一定のばね定数を有する通常のばね材
料によって形成されている。温度に応じてばね定数が変
化する金属材料としては、ニッケル・チタン合金などか
らなり形状記憶合金(SMA)の範疇に属する合金が知
られており、この種のSMAは温度に応じて弾性係数が
変化し、その結果、SMAからなるコイルスプリングの
ばね定数が温度に応じて変化する。SMAからなる所望
の温度特性を有する温度応答性のコイルスプリング12
4は今日では種々の供給者から入手することができる。
【0029】前述したように、可動弁体106は、基本
的には、感温コイルスプリング124のばね力と第2コ
イルスプリング126のばね力との釣り合いによって位
置決めされる。この釣り合い状態においては、予荷重調
節機構44によって第2コイルスプリング126に加え
られる予荷重は、感温コイルスプリング124の発生荷
重に釣り合っており、両者は等しい。従って、予荷重調
節機構44のモータ136は、第2コイルスプリング1
26の予荷重を増加させる方向に回転する場合には、感
温コイルスプリング124のばね力に抗して作用するこ
とになる。よって、モータ136を駆動するために消費
される乾電池48のエネルギを節減するためには、感温
コイルスプリング124のばね定数と予荷重は、そのば
ね力(発生荷重)が充分小さくなるように設定しなけれ
ばならない。しかしながら、他方において、感温コイル
スプリング124は、水のみを吐出すべき低温条件下
(この時には、第2コイルスプリング126に加える予
荷重はゼロにすることができ、可動弁体106は感温コ
イルスプリング124のばね力のみによって湯側弁座1
12に押圧される)においては、湯の流入を遮断するに
充分な力で可動弁体106を湯側弁座112に押圧する
に必要なばね力を発生させなければならない。このた
め、感温コイルスプリング124のばね定数と予荷重
は、低温時(例えば、給水温度が5℃の時)に感温コイ
ルスプリング124が発生するばね力が500g以下、
好ましくは300g以下になるように設定するのが好ま
しい。
【0030】更に図4を参照するに、湯水混合弁20に
よって形成された湯水混合物は、サーミスタ28によっ
て温度が検出された後、切換え/止水弁22に送られ
る。この切換え/止水弁22は、固定ディスク148
と、回転ディスク150と、この回転ディスク150を
回転駆動するモータ46を有する。図5からよく分かる
ように固定ディスク148は2つの吐水ポート152お
よび154を有し、一方の吐水ポート152は接続金具
156とシャワーホース158(図1)を介してシャワ
ーヘッド24に接続され、他方の吐水ポート154は接
続金具160とスイベル継手(図示せず)を介してカラ
ン26に接続されている。回転ディスク150は、図6
に示したように、混合弁20の混合室110に連通する
唯一のポート162を有する。モータ46を回転させる
ことにより、回転ディスク150のポート162を固定
ディスク148の吐水ポート152に整合させると湯水
混合物はシャワーヘッドに供給され、ポート162を固
定ディスク148の吐水ポート154に整合させると湯
水混合物はカランに供給され、ポート162を固定ディ
スク148のいづれの吐水ポート152および154か
らもオフセットさせると止水が行われる。
【0031】図7はこの湯水混合装置10の制御回路3
0の構成の一例を示すもので、制御回路30はプログラ
ム可能なマイクロコンピュータ164を備え、このマイ
クロコンピュータ164は後述する制御を行うようにプ
ログラムされている。また、マイクロコンピュータ16
4は、混合装置10の使用開始時には何時でも、湯水混
合物の目標温度として安全なデフォルト値(例えば、4
0℃)が設定されるようにプログラムされていると共
に、混合装置10の使用終了時には何時でも、前記デフ
ォルト値の温度の混合物が供給される位置に可動弁体1
06を位置決めするべく予荷重調節モータ136を駆動
して第2コイルスプリング126の予荷重をデフォルト
設定するようにプログラムすることができる。第2コイ
ルスプリング126の予荷重のデフォルト設定に際して
は、後述するように、給水二次圧力と給湯圧力との間の
差圧(この差圧は、圧力制御弁14により一定になるよ
うに制御される)を考慮しなければならず、この一定の
差圧により可動弁体106に作用する軸方向スラストを
補償するだけの予荷重が第2コイルスプリング126に
与えられる。
【0032】次に、この湯水混合装置10の使用方法と
作動を説明するに、使用者がシャワー選択スイッチ38
又はカラン選択スイッチ40を押すと、制御回路30は
湯水混合物の目標温度として先ずマイクロコンピュータ
164のメモリに格納されたデフォルト値(例えば、4
0℃)を設定し、これをLCD36に表示すると同時
に、モータ46を駆動して切換え/止水弁22を使用者
の選択に応じて切換える。これにより、水道管からの水
と給湯機からの湯は圧力制御弁14により差圧が制御さ
れた上で混合弁20に供給される。
【0033】前述したように、前回の使用終了時には、
混合弁20の可動弁体106はデフォルト値(例えば、
40℃)の温度の湯水混合物が得られる位置に位置決め
されているので、混合弁20は、先ず、湯水混合物の温
度が40℃になるような混合比で湯水を混合する。この
状態では、混合室110内の40℃の湯水混合物により
感温コイルスプリング124に発生するばね力と、第2
コイルスプリング126のばね力(予荷重)とは、釣り
合っている。従って、給湯機からの給湯温度や水道水温
や流量などの条件が定常状態にある時には、可動弁体1
06に作用する感温コイルスプリング124のばね力と
第2コイルスプリング126のばね力との合力はゼロで
ある。
【0034】給湯機からの給湯温度や水道水温や流量な
どの条件が過渡的に変動し、この過渡的変動に応じて混
合室110内の湯水混合物の温度がデフォルト値40℃
からずれると、この温度変化に応じて感温コイルスプリ
ング124の弾性係数が変化してそのばね定数が変化
し、感温コイルスプリング124が発生するばね力が変
化する。得られる混合物温度が設定値より高い場合に
は、感温コイルスプリング124のばね力が増大し、第
2コイルスプリング126の予荷重を増加させながら可
動弁体106を図4中左方に変位させるので、湯の割合
が減少し、混合物温度が低下する。反対に、混合物温度
が設定値より低い場合には、感温コイルスプリング12
4のばね力が減少し、第2コイルスプリング126の作
用により可動弁体106が図4中右方に変位するのを許
容するので、水の割合が減少し、混合物温度が上昇す
る。
【0035】斯る作動において、感温コイルスプリング
124は金属で形成されており、従って、従来技術のワ
ックス感温素子に比較してその熱容量が著しく小さいと
共に熱伝導性が高いので、感温コイルスプリング124
のばね定数は殆ど瞬間的に混合物の温度変化に応答して
増減し、感温コイルスプリング124のばね力は瞬間的
に変化するであろう。この感温コイルスプリング124
のばね力の変化は、感温コイルスプリング124のばね
力と第2コイルスプリング126のばね力との釣り合い
を崩すことになる。前述したように混合弁条件の定常状
態においては、可動弁体106に作用する2種のコイル
スプリング124および126の合力はゼロであるか
ら、可動弁体106を変位させるべく可動弁体106に
作用する力は、最初は、コイルスプリング124又は1
26の反作用を受けないであろう。また、可動弁体10
6は摺動シール部材を介在することなく混合弁20の軸
方向ボア116に嵌合されており、実質的な摺動抵抗を
受けることがない。これらの結果、可動弁体106は非
常に動き易い状態、つまり、加速され易い状態にある。
従って、混合物温度の過渡的変動に伴い感温コイルスプ
リング124のばね力と第2コイルスプリング126の
ばね力との間に差が発生した瞬間には、この力の差は可
動弁体106を駆動して加速し始めるのであり、殆ど瞬
間的に可動弁体106を変位させる。従って、可動弁体
106は、ワックス感温素子によって位置決めされた従
来技術の混合弁体のようにオーバーシュートやアンダー
シュートをすることがなく、湯水混合物の温度変化に瞬
間的に応答して混合物温度を目標値に制御することがで
きる。
【0036】しかしながら、このように可動弁体106
は非常に動き易い態様で支持されていると共に、感温コ
イルスプリング124のばね定数と予荷重は限られたば
ね力しか発生させないように制限されているので、もし
も、給湯圧力と給水圧力との間に差圧変動が発生するな
らば、可動弁体106は差圧変動の影響を敏感に受ける
であろう。特に、低温時に約300g以下のばね力しか
発生しないように感温コイルスプリング124のばね定
数と予荷重を制限した場合には、差圧変動の影響は顕著
となるであろう。図8の模式図を参照してこの現象を説
明するに、湯側弁座112と可動弁体106の円筒部1
18の左端面166との間の隙間は絞りとして作用し
て、湯の入来圧力PH1を圧力PH2に低下させ、同様に、
水側弁座114と円筒部右端面168との間の隙間は水
の入来圧力PC1を圧力PC2に低下させる。図示したよう
に、入来圧力PH1およびPC1は、夫々、円筒部118の
厚さ方向中央面170を境界とする外側受圧面積AH
よびACに対して作用し、出力圧力PH2およびPC2は中
央面170の内側の受圧面積に作用するものと考えるこ
とができる。開口122の存在により出力圧力PH2とP
C2はほぼ等しく(PC2≒PH2)、これらの圧力による力
はほぼ相殺されると見なすことができるので、結局、可
動弁体106には、AH×PH1の力とAC×PC1の力が作
用する。湯の入来圧力PH1および水の入来圧力PC1の過
渡的変動の結果、両者間の差圧が変動すると、可動弁体
106には、AH×PH1とAC×PC1との差に等しい軸方
向スラストが作用する。本発明の圧力制御弁14が無
く、水道からの給水圧力がそのまゝ混合弁20に印加さ
れると仮定した場合には、この軸方向スラストは、場合
によっては約100g程度の力となるであろう。斯る力
は、感温コイルスプリング124の低温時発生荷重が好
ましくは約300gに制限されていることを考慮すれ
ば、無視できない値であり、可動弁体106の不本意な
変位を招き、その温度調節機能を阻害するであろう。
【0037】しかしながら、本発明の混合装置10にお
いては、圧力制御弁14が設けてあり、混合弁20への
湯の入力圧力PH1と水の入来圧力PC1との間の差圧が一
定になるようになっているので、可動弁体106は差圧
変動の影響を受けることがない。むしろ、混合装置10
の使用中は、可動弁体106はこの一定の差圧により図
4中左方へ向かう一定の軸方向スラストを受けることに
なり、この軸方向スラストは第2コイルスプリング12
6によって支持される。この一定の軸方向スラストによ
ってオフセットが発生するのを防止するため、制御回路
30は、この軸方向スラストを補償するだけの予荷重を
第2コイルスプリング126に加えるべくプログラムさ
れている。混合装置10の使用開始時には何時でも適切
な温度の湯水混合物が出力されるようにするため、混合
装置10の使用終了時にはこの軸方向スラスト補償分の
予荷重を予め与えた上で混合装置10の電源が切れるよ
うにプログラムするのが好ましい。
【0038】次に、使用者が設定温度インクレメント・
スイッチ34又はデクレメント・スイッチ32を操作す
ることにより目標混合物温度の増減を入力した場合に
は、設定値は例えば1℃づつ増減され、新たな目標温度
が設定されると共にLCD36に表示される。制御回路
30はサーミスタ28の出力信号に基づいて湯水混合物
の温度を監視し、混合物温度が目標温度になる位置に可
動弁体106を位置決めするべく予荷重調節機構44を
フィードバック制御する。設定温度が高くなるにつれ
て、制御回路30は第2コイルスプリング126の予荷
重を増加させて、水の混合割合を減少させる。水を完全
に遮断する場合には、可動弁体106が充分な圧力で水
側弁座114に当接するべく第2コイルスプリング12
6の予荷重を増加させなければならない。反対に、目標
温度が低くなるにつれて、第2コイルスプリング126
の予荷重は低減される。湯を完全に遮断する場合には、
第2コイルスプリング126の予荷重がゼロになるまで
可動ばね受け140を退却させることができる。この状
態では、可動弁体106は感温コイルスプリング124
のばね力のみによって湯側弁座112に係合する。乾電
池のエネルギの消費を節減するため、ばね力の小さな感
温コイルスプリング124を使用する場合には、湯を遮
断するに際してはモータ136の力により可動弁体10
6を図4中左方に牽引してもよい。
【0039】前述したように、過渡的条件の変動に基づ
く温度変動は感温コイルスプリング124による機械的
フィードバック制御により敏速に対処されると共に、斯
る機械的フィードバック制御はオーバーシュートやアン
ダーシュートを伴うことがないので、制御回路30によ
る電子制御の頻度は最小限となる。制御回路30による
電子的フィードバック制御の主たる役割は、感温コイル
スプリング124のヒステリシスを補正すること、感温
コイルスプリング124および第2コイルスプリング1
26のばね定数のバラツキに基づくオフセットを除去す
ること、構成要素の経時的劣化などに起因する定常的オ
フセットを除去することである。一般に、コイルスプリ
ングの製造に際しては、製品毎にばね定数にかなりのバ
ラツキが生じる。従来のワックス感温素子の製造公差が
±1%程度であるのに対して、コイルスプリングのばね
定数には一般に比較的大きな製造公差(±10%程度)
が許容されているのが現状である。本発明の混合装置1
0においては、感温コイルスプリング124と第2コイ
ルスプリング126との2つのコイルスプリングが使用
してあるので、感温コイルスプリング124による機械
的フィードバック制御のみによって湯水混合物の温度調
節を行おうとする場合には、コイルスプリングの製造公
差に起因して混合装置毎にかなりのオフセットが発生
し、事実上、温度制御を不可能にするであろう。しかし
ながら、本発明においては、湯水混合物の温度はサーミ
スタ28の出力信号に基づいて電子的にフィードバック
制御されるので、感温コイルスプリング124および/
又は第2コイルスプリング126のばね定数のバラツキ
に基づくオフセットは除去される。
【0040】以上に説明した実施例は、圧力制御弁14
は混合弁20に供給される湯水の差圧が一定になるよう
に作動し、この一定の差圧により混合弁20の可動弁体
106に作用する軸方向スラストは予荷重調節機構44
によって補償されるというものであった。図9および図
10は、前述した圧力制御弁14の変化形を示すもの
で、この変化形は、混合弁20に印加される湯水の差圧
がゼロになるように、つまり、混合弁20に供給される
湯の圧力と水の圧力とが等しくなるように構成されてい
る。図9は図1と同様の模式図で、図1の構成要素と共
通する要素は同じ参照番号で示し、説明は省略する。
【0041】図9を参照するに、脚金具18および16
からの湯水は、圧力制御弁180によって等しい圧力に
制御された上で、混合弁20に供給される。この圧力制
御弁180は、本体12内に配置するのが有利であろ
う。図10を参照するに、圧力制御弁180は、湯側弁
体182と水側弁体184とピストン186を有し、こ
れらは弁軸188によって一体に連結されている。湯側
弁体182は湯側弁座190と協動し、水側弁体184
は水側弁座192と協動する。湯側弁座190と水側弁
座192とピストン186の有効受圧面積は等しくなっ
ている。従って、湯入口194内の湯の圧力により湯側
弁体182に作用する力とピストン186に作用する力
とは相殺されると共に、水入口196内の水の圧力によ
り水側弁体184に作用する力とピストン186に作用
する力とは相殺される。湯側弁体182は湯出口198
内の背圧により湯側弁座190を閉じる方向に付勢さ
れ、水側弁体184は水出口200内の背圧により水側
弁座192を閉じる方向に付勢されるので、結局、この
圧力制御弁180は、湯水の二次圧力が等しくなるよう
に作動する。
【0042】この圧力制御弁180を用いた場合には、
給湯機からの給湯一次圧力や水道からの給水一次圧力に
過渡的変動が生じても、湯水混合弁20の可動弁体10
6に作用する湯水の圧力は互いに等しい関係で変動する
ので、可動弁体106には差圧による軸方向スラストは
全く作用しない。従って、予荷重調節機構44の駆動に
当り軸方向スラストの補償を考慮する必要がなくなるの
で、制御を簡素化することができる。また、湯水間の漏
れが生じないので、可動弁体106の周りの摺動シール
を廃止し、可動弁体106を一層動き易くすることがで
きる。
【0043】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明の
混合装置は、熱容量が小さく熱伝導が良い感度に優れた
金属製感温コイルスプリング124が使用してあると共
に、可動弁体は感温コイルスプリングの付勢力の変化に
応答して敏感に変位するべく2つのコイルスプリング1
26の釣り合いによって支持されているので、過渡的条
件変動に対してほぼ瞬間的に可動弁体106を変位さ
せ、高応答の温度制御を行うことができる。従って、使
用者が体感する程の応答遅れはなく、オーバーシュート
やアンダーシュートが発生することもない。
【0044】しかも、圧力制御弁14により混合弁20
に加わる湯水の差圧が一定になるようにしたので、この
ように可動弁体106を非常に変位し易いように支持し
たにも拘わらず、圧力変動による影響を除去することが
できる。
【0045】制御回路による電子制御が不可避的に所定
の制御遅れをもって実行されるのに対し、感温コイルス
プリングは遥かに迅速に温度変化に応答するので、混合
装置の応答性は著しく向上する。その結果、電気的駆動
手段の駆動頻度が最小限になり、消費電力が低減するの
で、混合装置を乾電池で駆動することが可能となる。そ
の場合には、商用電源に接続するための電気配線工事を
行うことなく設置することができる。
【0046】更に、第2コイルスプリング126の予荷
重は、サーミスタ28により検出される混合物温度と目
標温度とに基づいて電子制御回路30によりフィードバ
ック制御されるので、感温コイルスプリング124のヒ
ステリシスによる影響や、感温コイルスプリング124
および第2コイルスプリング126の製造上の公差によ
るばね定数のバラツキに起因する定常的オフセットや、
他の原因による定常的オフセットも、補正される。
【0047】圧力制御弁180によって湯水の差圧をゼ
ロにした場合には、更に、摺動シールを廃止しても湯水
間の漏れを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の湯水混合装置の模式図であ
る。
【図2】図2は、図1に示した混合装置の斜視図であ
る。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った拡大断面図
である。
【図4】図4は、図2のIV−IV線に沿った拡大断面図
で、左右のモータは切り詰めて示してある。
【図5】図5は、図4のV−V線に沿った拡大断面図であ
る。
【図6】図6は、図4のVI−VI線に沿った拡大断面図で
ある。
【図7】図7は、制御回路のブロック図である。
【図8】図8は、湯水混合弁の模式図である。
【図9】図9は、図1同様の模式図で、圧力制御弁の変
化形を使用した湯水混合装置を示す。
【図10】図10は、圧力制御弁の変化形の模式的断面
図である。
【符号の説明】
10: 湯水混合装置 14、180: 圧力制御手段(圧力制御弁) 20: 湯水混合弁 28: 温度検出手段 30: 電子制御手段(制御回路) 30/32/34: 温度設定手段 44: 予荷重調節手段 106: 混合弁の可動弁体 124: 第1コイルスプリング 126: 第2コイルスプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16K 31/70 F16K 31/66

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯水の混合比を調節する可動弁体を有す
    る湯水混合弁と、 前記湯水混合弁に供給される湯の圧力と水の圧力との間
    の差圧を一定にする圧力制御手段と、 温度に応じてばね定数が変化する金属からなり、前記混
    合弁から流出する湯水混合物の温度上昇に伴い湯の割合
    を減少させる方向に前記弁体を付勢する第1のコイルス
    プリングと、 実質的に一定のばね定数を有する材料からなり、前記弁
    体を前記方向とは反対方向に付勢する第2のコイルスプ
    リングと、 前記第1および第2コイルスプリングの少なくとも一方
    の予荷重を調節する電動式予荷重調節手段と、 前記湯水混合物の温度を検出する温度検出手段と、 湯水混合物温度の目標値を設定する温度設定手段と、 前記温度検出手段により検出された温度と前記温度設定
    手段により設定された目標値とに基づいて前記電動式予
    荷重調節手段を制御する電子制御手段、とを備えてなる
    湯水混合装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力制御手段は、湯水混合弁に供給
    される湯の圧力と水の圧力との間の前記差圧がゼロにな
    るように湯水の圧力を制御することを特徴とする請求項
    1に基づく湯水混合装置。
  3. 【請求項3】 前記湯水混合弁は、該可動弁体が摺動抵
    抗を実質的に受けることなく変位するべく構成されてい
    ることを特徴とする請求項1又は2に基づく湯水混合装
    置。
  4. 【請求項4】 前記電動式予荷重調節手段は乾電池のエ
    ネルギにより駆動されることを特徴とする請求項1から
    3のいづれかに基づく湯水混合装置。
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