JPH06207415A - 斜面安定化工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 鉄筋組体の正確な設置位置を確保して、かつ
地山と一体化した鉄筋コンクリート枠を省力化して安全
に施工できる斜面安定化工法を提供する。 【構成】 斜面に鉄筋コンクリ−ト梁を設置して斜面の
安定化を図る方法において、鉄筋１１を交差させて組み
立て、かつ鉄筋の自由端部に目地板１４を取り付けた鉄
筋組体１を、斜面に設置したアンカ−２頭部に係止し、
アンカ−を一次緊張して仮止めした後、鉄筋の周囲をコ
ンクリ−トで被覆し、コンクリ−トの硬化後にアンカ−
を再度緊張して鉄筋コンクリ−ト梁を斜面に固定するこ
とを特徴とした、斜面安定化工法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、斜面に鉄筋コンクリ−
ト梁を設置して斜面の安定化を図る方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来から、斜面にコンクリ−トブロック
体や鉄筋コンクリート法枠を設置して斜面の安定化を図
る工法が存在する。従来の工法でコンクリートブロック
体を設置して行う場合には、斜面に先ずコンクリ−トブ
ロック体を設置し、このブロック体の外面からドリフタ
などで斜面に穿孔した後に、この孔内にＰＣ鋼材等のア
ンカ−を挿入、定着して、コンクリ−トブロック体を斜
面に固定していた。しかしこの工法では、穿孔作業中、
コンクリ−トブロック体を斜面上部からワイヤーロープ
等で斜面上に仮止めしておく必要があり、この仮止め作
業が煩雑であった。

【０００３】そこで、斜面に削孔し、この孔内にアンカ
−を挿入した後に、貫通孔を有するコンクリ−トブロッ
ク体を、その貫通孔内にアンカ−の露出部を貫通させて
斜面に設置することによって、上記のような煩雑な仮止
め作業を省略する方法が考えられている。また、鉄筋コ
ンクリート法枠を構築して行う場合は、人力による斜面
上での鉄筋組立作業が非常に困難であり、多大の費用を
必要とする。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】上記の従来技術には
次のような問題点がある。 ＜イ＞アンカ−の挿入後にコンクリ−トブロック体を設
置する方法の場合、アンカ−として用いられるＰＣ鋼材
等はアンカ−孔に比べて細く、曲げ力に対する剛性は弱
い。そのため、コンクリ−トブロック体を設置すると、
その重さで位置がずれたり、曲がったりしてしまい、コ
ンクリ−トブロック体を正確な位置に設置することがで
きず、設計上問題である。

【０００５】＜ロ＞コンクリートブロック体は地山との
密着性が低いので、仮にアンカーが切断した場合、コン
クリートブロック体が斜面上から滑落する。また、凹凸
のある地山ではアンカー緊張による支圧力が地山の凸部
に集中荷重として働いてしまい、コンクリートブロック
体が破壊する危険性がある。

【０００６】＜ハ＞鉄筋コンクリート法枠の施工では、
斜面上の配筋作業となるために、作業効率が悪くなると
ともに、危険性が伴う。

【０００７】

【本発明の目的】本発明は以上の問題を解決するために
成されたもので、鉄筋組体の正確な設置位置を確保し
て、かつ地山と一体化した鉄筋コンクリート枠を省力化
して安全に施工できる斜面安定化工法を提供することを
目的とする。

【０００８】

【問題点を解決するための手段】本発明は、斜面に鉄筋
コンクリ−ト梁を設置して斜面の安定化を図る方法にお
いて、鉄筋を交差させて組み立て、かつ鉄筋の自由端部
に目地板を取り付けた鉄筋組体を、斜面に設置したアン
カ−頭部に係止し、アンカ−を一次緊張して仮止めした
後、鉄筋の周囲をコンクリ−トで被覆し、コンクリ−ト
の硬化後にアンカ−を再度緊張して鉄筋コンクリ−ト梁
を斜面に固定することを特徴とした、斜面安定化工法で
ある。

【０００９】

【実施例１】以下図面を参照しながら本発明について説
明する。 ＜イ＞鉄筋組体 図２に示すように、組体１は、工場等で製作した既製の
十字状等の鉄筋組体である。複数の鉄筋１１を交差さ
せ、その交差部は例えばコンクリートで固定してウェイ
ト１２を形成する。図２は、４本ずつの鉄筋１１を十字
状に交差させ、ウェイト１２を方形に形成した場合であ
るが、鉄筋１１の本数及び交差形状またはウェイト１２
の形状は、施工条件等に合わせて適宜選択する。ウェイ
ト１２の中央部には、上面から下面に貫通する貫通孔１
３を開設する。この貫通孔１３はアンカ−貫通用のもの
であるため、アンカ−径よりも大径に形成する。各鉄筋
１１の自由端には、鉄筋１１と面直交させて目地板１４
を取り付ける。この目地板１４は、止水性を有し、かつ
コンクリ−トが付着しにくい材質のものを用いるとよ
い。また、目地板１４はコンクリ−ト梁の端面となるた
め、通常はコンクリ−ト梁の断面形状と等しい形状のも
のを使用する。

【００１０】＜ロ＞仮止め 図３に示すように、斜面にＰＣ鋼材等の公知のアンカー
２を設置する。アンカ−２の一端は地中に定着し、頭部
は斜面より露出させ、緊張しない状態とする。次に、ク
レーン等を用いて組体１を斜面上に吊り上げ、ウェイト
１２の貫通孔１３にアンカ−２の頭部を貫通させて設置
する。そして、アンカ−２を緊張し、その頭部をウェイ
ト１２の上面に公知の定着具により定着する。これによ
って、アンカ−２の緊張力が組体１に伝達され、組体１
を斜面上に確実に仮止めすることができる。従って、組
体１が斜面上でずれることがなく、正確な位置に設置す
ることができる。

【００１１】 ＜ハ＞コンクリ−トの被覆、組体の本定着 図４に示すように、斜面に仮止めした組体１の鉄筋１１
を、吹き付け等によりコンクリ−ト３で被覆し、鉄筋コ
ンクリ−ト梁を構築する。そして、コンクリ−ト３の養
生、硬化後にアンカ−２を再度緊張し、頭部をウェイト
１２の上面に固定し、組体１の本定着を完了する。この
ように硬化後のコンクリ−ト３に新たにアンカ−２の緊
張力を伝達するため、コンクリ−ト３の底面を斜面に圧
着させて、確実に定着することができる。

【００１２】＜ニ＞組体の連続構築 斜面上の所定範囲の安定化を図る場合は、図１に示すよ
うに、組体１を格子状等に斜面上に連続して構築する。
このとき、組体１間は目地板１４により縁が切られてい
るため、隣接する組体１のコンクリ−ト３が硬化するの
を待つこと無く、順次組体１をアンカ−２により斜面上
に本定着することができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上説明したようになるから次
のような効果を得ることができる。 ＜イ＞アンカ−の緊張力が組体に伝達され、組体を斜面
上に確実に仮止めすることができる。従って、組体が斜
面上でずれることがなく、正確な位置に設置することが
できる。

【００１４】＜ロ＞硬化後のコンクリ−トに新たにアン
カ−の緊張力を伝達するため、コンクリ−トの底面を斜
面に圧着させて、確実に定着することができる。

【００１５】＜ハ＞斜面上の所定範囲の安定化を図る場
合は組体を格子状等に斜面上に連続して構築する。この
とき、組体間は目地板により縁が切られているため、隣
接する組体のコンクリ−トが硬化するのを待つこと無
く、順次組体をアンカ−により斜面上に本定着すること
ができる。従って、施工能率の向上を図ることができ
る。

【００１６】＜ニ＞予め組み立てた鉄筋組体を斜面に設
置することにより、斜面での鉄筋の組立て作業が大幅に
省力化できる。

【００１７】＜ホ＞現場打ち鉄筋コンクリート梁である
ため、地山との付着力が強くコンクリートブロック体の
ように斜面から滑落する危険性がない。また、地山の凹
凸にコンクリートが充填されるため、組体全体へ均一に
緊張力が分散されるため、ブロック体のようにアンカー
緊張による応力の集中がなく、梁としての土留め効果が
高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】 施工全体の説明図

【図２】 組体の説明図

【図３】 組体の仮止め工程の説明図

【図４】 組体の本設工程の説明図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 斜面に鉄筋コンクリ−ト梁を設置して斜
   面の安定化を図る方法において、 鉄筋を交差させて組み立て、かつ鉄筋の自由端部に目地
   板を取り付けた鉄筋組体を、 斜面に設置したアンカ−頭部に係止し、アンカ−を一次
   緊張して仮止めした後、 鉄筋の周囲をコンクリ−トで
   被覆し、 コンクリ−トの硬化後にアンカ−を再度緊張して鉄筋コ
   ンクリ−ト梁を斜面に固定することを特徴とした、 斜面安定化工法。