JP3893551B2 - ロックボルト支圧板装置 - Google Patents

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富久 吉川
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、急傾斜地におけて地山を切り取ることにより不安定となる法面の安定と、法面処理施工の連続施工を図る切り土法面施工の逆巻き工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より急傾斜地におけて、地山の切り取により法面崩壊が想定される場合は、長期的な法面の安定を図る工法として地山に緊張を与えるアンカー工法と、地山の補強を図るロックボルト工法が用いられている。
通常、滑り土塊が少ない場合は、滑り土塊を抑止するロックボルトと法面の安定を図る現場打ち法枠を併用工法として用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロックボルトと現場打ち法枠の併用工法は、法枠の交点にロックボルトを設計し法面の安定を図る工法として用いられている。
施工手順は、吹き付けモルタル等により法枠工を先行施工しモルタル等の硬化後、法枠の交点にロックボルトを施工する工法であり、法面崩壊が想定される法面の安定に長い施工期間を要している。
【0004】
地山の切り取により法面崩壊が想定される不安定な地山においては、ロックボルトを用いた逆巻きによる法面安定を図りながらの施工を必要とする。
本来、滑り土塊に対するロックボルトの抑止効果は、安定領域と滑り土塊のせん断補強効果と土塊の拘束による支圧補強効果が期待できる。
しかし、現場打ち法枠のモルタル等の硬化中は、滑り土塊に対しロックボルトのせん断強度のみの抑止効果しか期待できない。
そのため、逆巻きによる施工を必要とする場合は、現場打ち法枠のモルタル等の硬化を待っての施工手順となり、長期工程を必要としている。
【0005】
本発明は、施工時の短期的な法面安定を確保する1次支圧板と、長期的な法面安定を確保する2次支圧板の合成構造により、2次支圧板の主部材であるモルタル又はコンクリートが硬化中においても法面上端部から下端部に向け、切り土の施工を可能とする支圧板ロックボルト逆巻き工法及びロックボルト支圧板装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る支圧板ロックボルト逆巻き工法は、施工時等の短期的な法面安定を確保する1次支圧板と、長期的な法面の安定を図る2次支圧板を合成構造とすることにより工期の短縮と施工の安全性向上を図る。
【0007】
具体的な施工法方は、
1)法面上端部から少なくともロックボルト1段の施工が可能範囲の高さで切り土を行う。
2)切り土の施工直後にその段の安定に必要となるロックボルトを施工する。
3)切り土の法面に菱形金網を敷設し、1次支圧板と切り土法面の凹凸とのなじみをよくするため敷きモルタルを施工する。
4)その段の切り取りに対して滑り土塊を抑止するために設置するロックボルトの強度に相当し、施工時の法面安定を確保する大きさの1次支圧板をロックボルトの上端部に取り付ける。
5)敷きモルタルにより整形した切り土法面と波形状の鋼製プレートの隙間をモルタルで充填し、次にロックボルトの打ち込み精度をナットのねじ切り長さにより補正できる長尺ロックボルトナットにより、ロックボルトと1次支圧板を結合する。
6)長期的な法面の安定を図る2次支圧板は、1次支圧板にモルタル又はコンクリートを吹き付ける現場打ち製作とする。
7)1次支圧板の法面抑止効果により、2次支圧板のモルタル又はコンクリートの硬化中においても、法面上端部から下端部に向け下段のロックボルト施工が可能な高さの切り土を施工する。
上記の2)〜7)の繰り返し施工により、切り取り法面上端部からの逆巻きによる連続施工を可能とする。
【0008】
また、ロックボルト支圧板装置は、施工時の法面安定を確保する1次支圧板と長期的な法面安定を確保する2次支圧板の合成構造とする。
1)1次支圧板は、切り土法面の凹凸とのなじみが良く人力により設置が可能な重量で、法面押さえの抑止効果を大きくする形状とするため、波形状の鋼製プレートの中央部にロックボルトが貫通する貫通孔を設け、貫通孔を挟んで1対のアングルを前期波形状の鋼製プレートに平行に取り付け断面強度を確保すると共に、2次支圧板の主鉄筋となる鉄筋駕籠を取り付け現場での施工性向上を図る。
2)1次支圧板の定着は、事前に設置したロックボルトの上端部に1次支圧プレートを介し長尺ロックボルトナットにより結合する。
3)2次支圧板の定着は、長尺ロックボルトナットが2次支圧プレートを介し鉄筋駕籠に吹き付けられたモルタル又はコンクリートが硬化することにより、長期的な法面の安定を図るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態及び実施例について、以下に図面を参照し説明する。
図1〜図5に、地山の切り取により法面崩壊が想定される不安定な層が想定される場合における、短期的な法面の安定を図る1次支圧板の設置と長期的な法面の安定を図る2次支圧板の施工手順を示す。
第一段階施工(図1参照)として、法面上端部から少なくともロックボルト1段の施工が可能な範囲で切り土を行い、切り土の施工直後にその段の安定に必要となるロックボルトの施工する。
第二段階施工(図2参照)として、切り土の法面に菱形金網を敷設し1次支圧板と切り土法面の凹凸とのなじみをよくするため敷きモルタルの施工する。
第三段階施工(図3参照)として、その段の切り取りに対して滑り土塊を抑止するために設置するロックボルトの強度に相当し、施工時の安定を確保するために必要な大きさの1次支圧板をロックボルトの上端部に取り付け、敷きモルタルにより整形した切り土法面と波形状の鋼製プレートの隙間をモルタルで充填しロックボルトの上端部に1次支圧プレートを介し長尺ロックボルトナットにより1次支圧板とロックボルを結合する。
第四段階施工(図4参照)として、長期的な法面の安定を図る2次支圧板は、1次支圧板にモルタル又はコンクリートを吹き付け現場打ちの製作とする。
第五段階施工(図5参照)として、第4段階までの施工により2次支圧板の主部材となるモルタル又はコンクリートの硬化中においても、法面上端部から下端部に向け下段のロックボルト施工が可能な高さの切り土の施工を可能とする。
【0010】
図6〜図10に、施工時等の短期的な法面安定を確保ための1次支圧板と、2次支圧板により長期的な法面の安定を図るロックボルト支圧板装置の構造を示す。
1次支圧板は、切り土法面の凹凸とのなじみが良く法面押さえの抑止効果を大きくするため、波形状の鋼製プレートの中央部にロックボルトが貫通する貫通孔を設け、貫通孔を挟んで1対のアングルを前期波形状の鋼製プレートに平行に取り付け、2次支圧板の主鉄筋となる鉄筋駕籠を取り付ける。
ロックボルトと1次支圧板の結合は、ロックボルトの上端部に1次支圧板を取り付け、長尺ロックボルトナットの締め付けにより1次支圧プレートを介しロックボルトと結合する。
次に、長期的な法面の安定を図る2次支圧板は、1次支圧板にモルタル又はコンクリートを吹き付け製作する。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、上述のとおり構成されており、以下に記載されるような効果を奏する。
地山の切り取により法面崩壊が想定される不安定な土塊に対し、支圧板ロックボルト逆巻き工法及びロックボルト支圧板装置は、ロックボルトにより安定領域と滑り土塊のせん断補強と土塊の拘束による支圧補強効果があり、施工時の安全確保の向上と災害の未然防止を図ることができる。
また、支圧板ロックボルト逆巻き工法は、切り土後の地質状況を確認し施工位置を確定できるため、不必要な構造物の施工を回避できる。
また、支圧板間の法面は、地山の状態として残るため緑化吹き付け工法の併用により法面の植栽化が可能となる。
【0012】
【図面の簡単な説明】
【図 1】 支圧板ロックボルト逆巻き工法の第一段階の施工断面図を示す。
【図 2】 支圧板ロックボルト逆巻き工法の第二段階の施工断面図を示す。
【図 3】 支圧板ロックボルト逆巻き工法の第三段階の施工断面図を示す。
【図 4】 支圧板ロックボルト逆巻き工法の第四段階の施工断面図を示す。
【図 5】 支圧板ロックボルト逆巻き工法の第五段階の施工断面図を示す。
【図 6】 1次支圧板の断面図を示す。
【図 7】 1次支圧板の正面図を示す
【図 8】 1次支圧板の側面図を示す
【図 9】 1次支圧板の設置状況を示す。
【図10】 2次支圧板の断面を示す。
【符号の説明】
A ロックボルト
B 1次支圧板
C 2次支圧板
D 菱形金網
1 波形状の鋼製プレート
2 貫通孔
3 アングル
4 鉄筋駕籠
5 長尺ロックボルトナット
6 1次支圧プレート
7 2次支圧プレート
8 吹き付けモルタル又はコンクリート
9 敷きモルタル

Claims (1)

  1. 波形状の鋼製プレート(1)の中央部にロックボルトが貫通する貫通孔(2)を設け、貫通孔(2)を挟んで1対のアングル(3)を前期波形状の鋼製プレート(1)に平行に取り付け、前期波形状の鋼製プレート(1)に2次支圧板(C)の主鉄筋となる鉄筋駕籠(4)を取り付けた1次支圧板(B)を、事前に設置したロックボルト(A)の上端部に1次支圧プレート(6)を介し、長尺ロックボルトナット(5)により結合し短期的な法面安定を図ると共に、長尺ロックボルトナット(5)が2次支圧プレート(7)を介し、鉄筋駕籠(4)に吹き付けられたモルタル又はコンクリート(8)が硬化することにより、長期的な法面の安定を図ることを特徴とするロックボルト支圧板装置。
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