JPH06207159A - 1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体 - Google Patents

1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体

Info

Publication number
JPH06207159A
JPH06207159A JP315693A JP315693A JPH06207159A JP H06207159 A JPH06207159 A JP H06207159A JP 315693 A JP315693 A JP 315693A JP 315693 A JP315693 A JP 315693A JP H06207159 A JPH06207159 A JP H06207159A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
group
ultraviolet
acid
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP315693A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Ogiso
章 小木曽
Tsutayoshi Misawa
伝美 三沢
Rihoko Imai
理穂子 今井
Naoto Ito
尚登 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP315693A priority Critical patent/JPH06207159A/ja
Publication of JPH06207159A publication Critical patent/JPH06207159A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱安定性に優れ、昇華性が低く、且つ色を付
けない紫外線吸収剤を含有してなる紫外線遮断効果に優
れた、熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供す
る。 【構成】 特定な構造を有する1,3,4−オキサジア
ゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤、ならび
に該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物お
よび成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1,3,4−オキサジ
アゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならび
に該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物お
よび成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂は機械的強度に優
れ、その化学的性質から、フィルム等の加工成形品に幅
広く利用されている。例えば、ポリエステルは、近年で
はその優れた透明性、気体遮断性、安全衛生性などから
飲料、調味料、酒などの食品用容器として多量に使用さ
れるようになってきた。また、建築用途および車両用と
して、窓ガラスが衝撃を受けた際、粉砕し飛散落下する
ことを防止したり、省エネルギー化に伴い、外部からの
熱線を遮断することを目的として、窓貼りフィルムが開
発されており、特にポリエステル系フィルムが使用され
ている。さらに、ここ最近では、装飾用途としての観点
から、該ポリエステルフィルムに着色を施して、デザイ
ン性を向上したものが上市されており、デザイン的な独
創性かつ高機能性を必要とされる窓ガラスへの窓貼りフ
ィルムとして需要が急速に伸びてきている。他方、農園
芸用に使用される例としては、根菜類など有用な植物の
成育促進と多量収穫を目的として、特に耐光性、光線透
過率、強度からポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビ
ニル等を基材としたマルチング被覆材などがある(特開
昭第53−98242号公報)。
【0003】しかしながら、これらの熱可塑性樹脂容器
およびフィルムは、例えばポリエステルでは、320n
m程度までの短波長側の紫外線遮断性には極めて優れて
いるが、それ以上の長波長側の紫外線、可視光線等は、
ほとんど通過してしまう。したがって、例えば、ポリエ
ステル容器に、ジュース、酒などの飲料、あるいは食用
油、ドレッシング等の液体調味料を装入、密封し、数カ
月の保存期間を経た場合、保存条件や充填食品の種類に
よって差異はあるものの、徐々に内容物の劣化、例え
ば、色、味、香りに微妙な変化を来すことが多い。該内
容物の劣化は、酸素、熱、紫外線などによる酸化、分解
反応によるものであるが、ポリエステル容器の場合、酸
素遮断性に比較的優れているので、紫外線遮断性を更に
改善できれば、長期保存下でも、内容物の劣化を大幅に
改良することが可能である。また、紫外線は人体、特に
皮膚に対する悪影響が従来より指摘されている。そこ
で、建築用の窓貼りフィルムとして、ガラス飛散防止効
果および熱線遮断効果の他に、紫外線遮断効果を付与し
たフィルムを使用すれば、屋内にいる人体の保護が可能
となる。また、農園芸のマルチング栽培では、少なくと
も370nm以下の紫外線透過を実質的に阻止した透明
被覆材でマルチングすることにより、多くの有用植物の
成育を促進し、高品質の作物を早期に、多量に収穫でき
ることが知られている(特開昭第53−124556号
公報)。
【0004】現在、当該業界では、紫外線遮断の目的の
ために、一般的には紫外線吸収剤等が添加使用されてい
る。しかしながら、現在知られているハイドロキノン
系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ
ール系などの紫外線吸収剤は一般に高価な化合物であ
る。さらに熱安定性に劣る物が多く、成形加工時に熱分
解によって、好ましくない着色が樹脂に起こったり、樹
脂中の高分子鎖の開裂を促進して、樹脂の脆弱化を来す
等の問題点がある。そのため、熱分解が起こらぬ程度の
溶融温度で、該紫外線吸収剤の付与をおこなうなど、付
与工程が煩雑であった。さらに、長波長側の紫外領域
(350nm〜390nm強)でのモル吸光係数が低い
ものが多く、高価な該紫外線吸収剤を多量使用するばか
りでなく、該紫外線吸収剤を樹脂中に均一に拡散する工
程に長時間要し、製造効率が思わしくなかった。また、
これらの化合物は、一般に昇華性が大きいため、付与工
程時あるいは成形加工時に機械等への昇華物の付着が起
こったり、また食品容器や包装に使用した場合には、内
容物への移行等のおそれもあり、好ましくはない。
【0005】これらの問題を解決する方法としては、例
えば、昇華性を改善するために、紫外線吸収剤として、
ナフタレンテトラカルボン酸またはその酸無水物、イミ
ドもしくはエステル、更には、ナフタレンジカルボン酸
またはその誘導体を使用する方法(特開昭63−225
650号公報)、さらに、ナフタレンテトラカルボン酸
またはその酸無水物、イミドもしくはエステル、更に
は、ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体をポリブ
チレンテレフタレート樹脂製造槽に直接添加して、均一
な組成物を製造したのち、ポリエチレンテレフタレート
樹脂に配合する方法がある(特開平3−20353号公
報)。
【0006】しかしながら、上記前者の方法である特開
昭63−225650号公報記載の組成物から成る容
器、あるいはフィルムは、黄色に着色する傾向が強く、
無色透明な飲料、酒等の内容物の包材としては、十分に
満足できるものではなかった。また、上記後者の方法で
ある特開平3−20353号公報記載の樹脂成形体の製
造方法では、黄着色性を改善するために、紫外線吸収能
を有するナフタレンテトラカルボン酸および/またはナ
フタレンテトラカルボン酸の誘導体を添加したポリブチ
レンテレフタレート樹脂組成物を一度製造しておき、さ
らにポリエチレンテレフタレート樹脂に配合する工程を
有するため、製造工程が煩雑であり、しかも、ナフタレ
ンテトラカルボン酸および/またはナフタレンテトラカ
ルボン酸の誘導体をポリブチレンテレフタレート樹脂製
造槽に直接添加し、ポリマー鎖に結合させなければ、紫
外線遮断効果があまり好ましくないので、多量に使用さ
れる樹脂成形体の製造方法として、必ずしも好ましくは
ない。
【0007】また、食品容器や包装フィルムとして使用
するのに適した樹脂組成物として、7位に反応活性基で
あるヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、アミ
ノ基、あるいはアシロキシアルキルアミノ基等を持つ2
H−1−ベンゾピラン−2−オン誘導体をポリエチレン
テレフタレート樹脂製造槽に直接添加し、ポリマー鎖に
結合することで、該化合物の内容物への溶出のない、且
つ紫外線吸収能を持つポリエステル樹脂組成物が提案さ
れている(米国特許第4,882,412号公報、米国
特許第4,892,922号公報)。さらに、公知の2
H−1−ベンゾピラン−2−オン誘導体を含有するポリ
エステル樹脂組成物を製造するに関して、該誘導体の製
造工程およびポリエステル樹脂の製造工程を融合した製
造方法、すなわち該誘導体の原料であるo−ハロ桂皮酸
またはそのエステルをポリエステル製造槽に直接添加す
ることで、ポリエステル樹脂の製造とともに同時に該誘
導体を製造することを特徴とする、ポリエステル樹脂組
成物の新しい製造方法が提案されている(米国特許第
5,091,501号公報)。
【0008】しかしながら、米国特許第4,882,4
12号公報ならびに米国特許第4,892,922号公
報記載の樹脂組成物は、370nmまでの短波長の紫外
線を実質的に遮断するまでには到らず、例えば250n
mから351nmまでの波長の光線、あるいは250n
mから371nmまでの波長の入射光線に対して10%
以下の光線透過が認められる(例えば、米国特許第4,
882,412号公報記載実施例98ならびに実施例9
9)。したがって、該樹脂組成物を利用したポリエステ
ル容器にジュース、食用油、酒等を充填した場合、容器
を透過した紫外線による、これら内容物の劣化は避けら
れない。さらに、米国特許第4,892,922号公報
記載の樹脂組成物、ならびに米国特許第5,091,5
01号公報記載の製造方法で得られる樹脂組成物は、黄
色に着色しており(例えば、米国特許第4,892,9
22号公報記載実施例92、および米国特許第5,09
1,501号公報記載実施例3)、そのため着色剤を添
加しても、所望の色調を得られないため、該樹脂組成物
は紫外線遮断効果を付与した装飾用窓貼りフィルム材料
としては不向きである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
樹脂を着色すると言う従来の問題点の原因を纏めたとこ
ろ、まず第一に、使用する紫外線吸収剤が耐熱性不足か
ら、紫外線吸収剤の分解により樹脂の着色を来すことで
ある。さらに、もう一つ重要な点として、紫外線吸収剤
そのものの着色により、それを含有してなる樹脂に着色
が起こることである。これを分光学的に説明すれば、紫
外線吸収剤が可視領域である400nm弱〜800nm
弱にある極大値を持つ光吸収能を有するということであ
る。すなわち、本発明である、紫外線吸収剤による着色
がなく、且つ効果的に長波長側の紫外領域(350nm
〜390nm強)特に380nm以下の短波長の紫外線
を、完全に遮断する樹脂組成物を得るために用いる紫外
線吸収剤の性質としては、耐熱性を有すること長波
長側の紫外領域、特に380nmにおけるモル吸光係数
ε380 が高い値を示し、且つ可視領域(400nm弱〜
800nm弱)での光吸収がない、あるいは、せいぜい
紫外領域に近い可視領域(400nm弱〜410n
m)、特に400nmでのモル吸光係数ε400 がε380
に比して極端に低い値であることが必要である。具体的
に言えば、 1)熱可塑性樹脂の成形温度(例えばポリエチレンテレ
フタレートでは280〜320℃)において樹脂中で熱
安定性を有し、且つ樹脂中からの昇華が困難すなわち難
昇華性であること。 2)380nmにおけるモル吸光係数ε380 、および4
00nmでのモル吸光係数ε400 の比が少なくとも、ε
380 /ε400 ≧40であること。 前記2点の条件を満たす紫外線吸収剤を使用することに
より、本発明の目的である、紫外線吸収剤による着色の
ない、紫外線遮断能に優れた熱可塑性樹脂組成物および
成形体を提供することを可能にする。また、紫外線吸収
剤の使用量を削減する一つの方法として、長波長側の紫
外領域(350nm〜390nm強)、特に380nm
でのモル吸光係数ε380 が高い値を持つ紫外線吸収剤を
選択することが挙げられる。具体的には、ε380 が少な
くとも15,000以上(溶媒としてクロロホルム使
用)の紫外線吸収剤が本発明の目的を達成するに必要な
条件である。
【0010】即ち、本発明の目的は、熱安定性および難
昇華性に優れ、且つ樹脂着色性のない、380nmでの
モル吸光係数ε380 が高い値を持つ紫外線吸収剤を熱可
塑性樹脂に添加することで、該紫外線吸収剤による着色
のない、紫外線遮断能に優れた熱可塑性樹脂組成物およ
び成形体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、上記課題で述べた
如く、熱可塑性樹脂の成形温度において樹脂中で熱安定
性を有し、且つ難昇華性であり、且つ380nmにおけ
るモル吸光係数ε380 、および400nmでのモル吸光
係数ε400 の比が少なくとも、ε380 /ε400 ≧40で
あり、且つε380が少なくとも15,000以上である
1,3,4−オキサジアゾール誘導体を紫外線吸収剤と
して用いることにより本発明を完成するに到った。即
ち、本発明は、一般式(I)(化2)
【0012】
【化2】 (式中、R1 およびR2 は各々独立に、置換または無置
換の直鎖、分岐または環状の炭素数が1〜20のアルキ
ル基を表す。ここで、R1 とR2 は環を形成していても
良い。)で表される1,3,4−オキサジアゾール誘導
体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤、および該紫外線吸
収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体に
関するものである。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
樹脂中に、本発明の1,3,4−オキサジアゾール誘導
体からなる紫外線吸収剤の少なくとも一種を、紫外線遮
断に有効な量を添加することにより、長波長の紫外線を
実質上遮断しうることを特徴とするものである。ここで
いう「紫外線遮断」とは、該樹脂組成物を成形体とした
時に、少なくとも380nm以下の短波長の紫外線を完
全に(ほぼ100%)遮断することをいう。
【0014】本発明の一般式(I)で表される1,3,
4−オキサジアゾール誘導体における、置換基R1 およ
びR2 としては、置換または無置換の直鎖、分岐または
環状の炭素数1〜20のアルキル基であり、R1 とR2
は環を形成していても良いが、直鎖、分岐または環状の
置換又は未置換アルキル基の例としては、メチル基、エ
チル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、
iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル
基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチル−
プロピル基、n-ヘキシル基、cyclo-ヘキシル基、1,3-ジ
メチル−ブチル基、1-iso-プロピルプロピル基、1,2-ジ
メチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル
基、2-メチル1-iso-プロピルプロピル基、1-エチル-3-
メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、
3-メチル-1-iso−プロピルブチル基、2-メチル-1-iso−
プロピル基1-t-ブチル-2−メチルプロピル基、n-ノニル
基、等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシク
ロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基などの炭素数
1〜8の環状のアルキル基、ベンジル基、2−フェニル
エチル基などの炭素数1〜8のアリルアルキル基、メト
キシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、
プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、γ−メトキシ
プロピル基、γ−エトキシプロピル基、メトキシエトキ
シエチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメ
チル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジ
エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、アルコキ
シアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコ
キシアルキル基、クロロメチル基、2,2,2-トリクロロエ
チル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリクロロエチ
ル基、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ-2−プロピル基、
などのハロゲン化アルキル基、アルキルアミノアルキル
基、ジアルキルアミノアルキル基、アルコキシカルボニ
ルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、
アルコキシスルホニルアルキル基、アルキルスルホニル
基などが挙げられる。また、R1 とR2 が環を形成して
いる例としては、1−ピロリジル基、1−ピペリジル
基、4−フェニルピペラジノ基、4−モルホリノ基など
が挙げられる。本発明の一般式(I)で表される1,
3,4−オキサジアゾール誘導体は、公知の技術(例え
ば、特公昭34−5466号公報記載の方法)によって
製造することができる。即ち、ヒドラジン硫酸塩を溶か
した発煙硫酸(24%SO3 )中に、冷却しながら4−
ジアルキルアミノ安息香酸を加え、60〜70℃で2〜
3時間熱し、氷上に注いでアルカリ中和後、濾過して得
られた濾塊を乾燥するこで得られる。あるいは、下記に
記載する製造方法により、製造することもできる。すな
わち、一般式(I)の化合物は、下記一般式(II)
(化3)
【0015】
【化3】 (式中、R1 およびR2 は一般式(I)で定義したもの
と同義である)で表されるp−ジアルキルアミノ安息香
酸の酸塩化物である一般式(III)(化4)
【0016】
【化4】 (式中、R1 およびR2 は一般式(I)で定義したもの
と同義である)あるいは、一般式(II)のエステル化
物である一般式(IV)(化5)
【0017】
【化5】 (式中、R1 およびR2 は一般式(I)で定義したもの
と同義であり、Mはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、ベンジル基を表
す)で表される化合物を溶媒中、ヒドラジン一水和物と
反応して得られる下記一般式(V)(化6)
【0018】
【化6】 (式中、R1 およびR2 は一般式(I)で定義したもの
と同義である)または下記一般式(VI)(化7)
【0019】
【化7】 (式中、R1 およびR2 は一般式(I)で定義したもの
と同義である)で表される化合物を溶媒中で脱水閉環反
応させることにより得られる。
【0020】本発明において、一般式(II)で表され
るp−ジアルキルアミノ安息香酸化合物は、公知の方法
を用いて容易に製造することができる。例えば、アリル
スルホニルイソシアネートを対応するN,N−二置換ア
ニリンと反応させて、アリルスルホンアミドを中間体と
して得たのち、加水分解する方法(M.Seefeld
er;Ber.96,3243(1963))、あるい
は、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノ
ンを水酸化カリウムと混ぜ、300℃に熱することで得
る方法(P.N.Fedoseev,E.A.Doro
chinskii;Metody Poluch.Kh
im.Reaktiv.Prep.,22,80(19
70))、また、4−アミノ安息香酸エステルをスズヨ
ウ化物の存在下、適当なアルキルアルコールを用いて熱
反応することで、アミノ基をアルキル化する方法(東ド
イツ特許第245,194号公報(1987))、4−
(ジアルキルアミノ)ベンズアルデヒドおよびアルカリ
金属の水酸化物あるいはアルカリ土類金属の水酸化物の
混合物を空気酸化する方法(東ドイツ特許第291,0
78号公報(1991))などが挙げられる。
【0021】さらに、一般式(I)のR1 およびR2
共にエチル基のものについて、公知の製造方法が知られ
ている。例えば、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド
および水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムの混合
物を空気酸化する方法(D.G.Ott,F.N.Ha
yes,E.Hansbury and V.N.Ke
er;J.Am.Chem.Soc.79,5448
(1957))、4−ブロモ−N,N−ジエチルアニリ
ンをマグネシウムと反応させ、グリニャール試薬を作
り、次いでオートクレーブ中に固体の二酸化炭素と一緒
に装填して、加圧および加熱することで得る方法(M.
H.Benn,A.M.Creighton,L.N.
Owen,and G.R.White;J.Che
m.Soc.2365(1961))などがある。
【0022】また、一般式(I)のR1 およびR2 がと
もにメチル基のものについて、公知の製造方法が知られ
ている。例えば、p−ブロモジメチルアニリンおよび金
属ナトリウムの混合物に炭酸ガスを吹き込んだ後、酸析
する方法(A.A.Morton,J.R.Steve
ns;J.Am.Chem.Soc.53,4028
(1931))、また、p−ブロモジメチルアニリンを
ノルマルブチルリチウムでリチオ化した後、二酸化炭素
を加え、次いで酸析する方法(H.Gilman,I.
Banner;J.Am.Chem.Soc.62,3
44(1940))、また、p−ニトロ安息香酸および
ホルマリンを塩化パラジウムおよび炭素の存在下で、水
素ガスを吹き込み、ニトロ基をジメチルアミノ基に変換
する方法(R.E.Bowman,H.H.Strou
d;J.Chem.Soc,1342(1950))な
どが挙げられる。
【0023】一般式(III)で表される酸塩化物は、
一般式(II)の化合物を溶媒中、塩化チオニルを反応
させて得られる。一般式(II)で表される化合物に対
する塩化チオニルのモル比は、好ましくは一般式(I
I)の総モル数を1としたとき、塩化チオニルのモル数
は1〜1.5である。
【0024】使用する溶媒としては、好ましくは、N,
N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチ
ル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロ
ベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼンなどの芳
香族溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は、一般式(I
I)の化合物の1〜100重量部を用いれば良い。
【0025】一般式(II)の化合物を溶媒中、塩化チ
オニルと反応させ、一般式(III)の酸塩化物を生成
せしめる温度は、好ましくは0〜120℃であり、反応
時間は1分〜10時間程度である。
【0026】また、一般式(IV)のエステル化物は、
一般式(III)の酸塩化物の溶液に、適当なアルコー
ルを加えることで得られる。適当なアルコールとして
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
プロパノール、ベンジルアルコール、n−ブタノールな
どが挙げられる。また、アルコールの使用量は、一般式
(III)の総モル数を1としたとき、アルコールのモ
ル数が1〜100となる量が好ましい。
【0027】一般式(III)の酸塩化物を溶媒中、ア
ルコールと反応させる温度は、10〜200℃程度が良
く、好ましくは40〜150℃である。反応時間は30
分〜10時間程度である。
【0028】使用する溶媒としては、好ましくは、N,
N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチ
ル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロ
ベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼンなどの芳
香族溶媒が挙げられる。
【0029】あるいは、一般式(IV)のエステルは、
一般式(II)のp−ジアルキルアミノ安息香酸、なら
びに適当なアルコールを有機溶媒および硫酸の混合液中
に装入して、得ることもできる。適当なアルコールとし
ては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n
−プロパノール、ベンジルアルコール、n−ブタノール
などが挙げられる。また、アルコールの使用量は、一般
式(III)の総モル数を1としたとき、アルコールの
モル数が1〜100となる量が好ましい。
【0030】また、一般式(II)のp−ジアルキルア
ミノ安息香酸を溶媒中、アルコールと反応させる温度
は、10℃〜140℃程度が良く、好ましくは20〜1
00℃である。反応時間は30分〜10時間程度であ
る。
【0031】使用する有機溶媒としては、好ましくは、
N,N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−
メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼンなど
の芳香族溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は、一般式
(III)の化合物の1〜100重量部を用いれば良
い。また硫酸の使用量は、一般式(III)の総モル数
を1としたとき、硫酸のモル数が0.01〜1となる量
が好ましい。
【0032】一般式(III)の酸塩化物を溶媒中、ヒ
ドラジン一水和物と反応させ、一般式(V)あるいは一
般式(VI)の酸ヒドラジドを生成せしめる温度は、好
ましくは零下30℃〜180℃であり、作用時間は1分
〜10時間程度である。
【0033】一般式(III)の酸塩化物に対するヒド
ラジン一水和物のモル比は、好ましくは一般式(II
I)の酸塩化物の総モル数を1としたとき、ヒドラジン
一水和物のモル数は0.4〜20である。
【0034】使用する溶媒としては、好ましくは、N,
N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、2−エトキシエタノール、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン
などの非プロトン性極性溶媒、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナ
フタレン、ニトロベンゼンなどの芳香族溶媒が挙げられ
る。溶媒の使用量は一般式(III)の酸塩化物の1〜
100重量部を用いれば良い。
【0035】一般式(IV)のエステルを溶媒中、ヒド
ラジン一水和物と反応させ、一般式(V)あるいは一般
式(VI)の酸ヒドラジドを生成せしめる温度は、好ま
しくは零下30℃〜180℃であり、作用時間は1分〜
10時間程度である。
【0036】一般式(IV)のエステルに対するヒドラ
ジン一水和物のモル比は、好ましくは一般式(IV)の
エステルの総モル数を1としたとき、ヒドラジン一水和
物のモル数は0.4〜20である。
【0037】使用する溶媒としては、好ましくは、N,
N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、2−エトキシエタノール、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン
などの非プロトン性極性溶媒、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナ
フタレン、ニトロベンゼンなどの芳香族溶媒が挙げられ
る。溶媒の使用量は一般式(IV)のエステルの1〜1
00重量部を用いれば良い。
【0038】一般式(V)あるいは一般式(VI)の酸
ヒドラジドを脱水閉環反応する際の溶媒としてポリリン
酸、0〜30%の発煙硫酸、100%硫酸などの無機
酸、またはニトロベンゼン、スルホラン、N,N−ジメ
チルイミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンな
どの極性溶媒が挙げられる。また場合により塩化亜鉛、
塩化チオニルなどの脱水剤を加えてもよい。
【0039】溶媒の使用量は、溶媒の種類により異なる
が、一般式(V)あるいは一般式(VI)の酸ヒドラジ
ドの1〜100重量部を用いれば良い。また脱水剤の使
用量は酸ヒドラジドのモル数に対して、1〜10倍モル
となるのが良い。
【0040】一般式(V)あるいは一般式(VI)の酸
ヒドラジドを溶媒中、脱水閉環反応させ、一般式(I)
の1,3,4−オキサジアゾール誘導体を生成せしめる
温度は、好ましくは10℃〜250℃であり、作用時間
は30分〜20時間程度である。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記1,
3,4−オキサジアゾール誘導体を少なくとも一種含む
ものであり、これらは単独または複数で用いてもよい。
また、使用される1,3,4−オキサジアゾール誘導体
は、粗製のまま使用することもできるが、再結晶その他
の精製手段を用いて精製されたものが好ましく、また数
ミクロン以下に粉砕して使用することが好ましい。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性
樹脂に、本発明の紫外線吸収剤の少なくとも一種を紫外
線遮断に有効な量を添加してなるが、本発明の紫外線吸
収剤である1,3,4−オキサジアゾール誘導体は、熱
可塑性樹脂製造のいかなる段階で、例えば、重縮合反応
開始前、重縮合反応中、重縮合反応終了後、粉粒状態、
成形段階等において添加しても良く、また成形加工前の
いかなる段階で添加したものでも同様に紫外線遮断効果
を発現させることができる。特に、市販の容易に入手可
能な熱可塑性樹脂を用いて、成形加工前のいかなる段階
において添加することが、本発明の熱可塑性樹脂組成物
の製造上、簡便で、最も好ましい。その際、本発明の紫
外線吸収剤を熱可塑性樹脂に添加する温度は、400℃
以下が好ましく、300℃以下が特に好ましい。あるい
は、かかる紫外線吸収剤を所定濃度の数倍ないし100
倍、実用的には5〜50倍程度の濃度になるまで添加し
た、いわゆるマスターバッチを作製し、これを紫外線吸
収剤の未だ添加されていない熱可塑性樹脂で希釈するこ
とで、最終的に所望の紫外線遮断能を有する樹脂組成物
を得ることもできる。
【0043】本発明の紫外線吸収剤は、長波長側の紫外
領域、特に350〜390nmの領域において、市販の
紫外線吸収剤と比較して大きなモル吸光係数を示す。と
ころが、本発明の紫外線吸収剤は、逆に、短波長側の可
視領域、特に400〜410nmの領域でのモル吸光係
数が極めて小さく、且つ410nm以上の長波長の可視
光線の吸収はない。したがって、本発明の紫外線吸収剤
は、市販の紫外線吸収剤に比して、熱可塑性樹脂に対す
る添加量が極めて少量でも、効果的に紫外線を遮断する
成形体を製造することが可能であり、且つ、従来通りの
量を用いても、該樹脂を着色することなく、所望の色調
を有する樹脂成形体を製造することができるのである。
【0044】本発明の紫外線吸収剤である1,3,4−
オキサジアゾール誘導体の添加量としては、使用する熱
可塑性樹脂の種類、フィルム、シートなどの成形品の厚
み等に依存して広範に変えることができるが、本発明の
方法が目的としている380nm以下の短波長の紫外線
の透過率が、ほぼ0%となるためには、熱可塑性樹脂1
00重量部あたり0.0001重量部以上添加すればよ
い。0.0001重量部より少ないときは、充分な紫外
線遮断性を示さない。また、380nm以下の短波長の
紫外線を遮断するのに十分な量としては、該樹脂100
部あたり20重量部もあれば良く、添加量として好適な
範囲は、0.001〜10重量部である。本発明の熱可
塑性樹脂成形体の中で、厚みが30〜800μmである
成形体に対する該紫外線吸収剤の添加量は、該樹脂10
0部あたり0.01〜3重量部が特に好ましい。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用しうる
熱可塑性樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリエス
テル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、
またはこれら重合体を主体とする共重合体もしくは混合
物等が含まれる。耐光性、光線透過性、機械的強度等の
点から、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポ
リカーボネートが好ましく、特にポリエステルが優れた
機械的強度、ならびに成形加工性を有しており、もっと
も好ましい。
【0046】本発明に使用されるポリエステルとして
は、分子構造上、特に限定を受けることはないが、熱可
塑性を有することが好ましい。具体的には、テレフタル
酸、イソタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
ビス−α,β−(2−クロルフェノキシ)ブタン酸、ジ
フェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
およびそのエステル誘導体、シクロヘキサン−1,4−
ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸およびそのエステ
ル誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル誘導
体、フマル酸、4−カルボキシ桂皮酸のような不飽和ジ
カルボン酸およびそのエステル誘導体で示される一種以
上のジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ルのような脂肪族の二価アルコール、シクロヘキサンジ
メタノールのような脂環族グリコール、ビス−(4'−β
−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのようなビス
フェノール誘導体、更には、一般式(VII)(化8)
【0047】
【化8】 (式中nは、1〜6の整数、mは、3以上の整数)で示
されるようなポリエーテルジオールで示される一種以上
の二価アルコール成分から得られるポリエステル、なら
びにオキシ酸であるグリコール酸、乳酸、ヒドロキシプ
ロピオン酸、ヒドロキシ酪酸等を重縮合して得られるポ
リグリコール酸、ポリ乳酸、あるいは各種オキシ酸を共
重合して得られるポリエステルである。なかでも耐熱
性、耐湿性に優れたポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリエチレンビス−α,β−
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボ
キシレートが好ましい。特に透明性に優れたポリエチレ
ンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートがも
っとも有用で好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成
物はかかるポリエステル成分を少なくとも50重量%以
上、好ましくは80重量%以上含む樹脂組成物である。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリメチル
メタクリレート、ポリカーボネート等の他の熱可塑性樹
脂を含んでもよい。
【0048】本発明の紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂を
着色しないため、着色剤を用いて所望する色調を有する
熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。本発明の熱可
塑性樹脂組成物に使用する着色剤としては、例えば、多
環系を中心とした耐熱性疎水性染料、具体的には、ペリ
ノン系、アンスラピリドン系、キノフタロン系、アンス
ラキノン系等の骨格を有する疎水性染料が挙げられる。
【0049】これらの着色剤については、熱可塑性樹脂
との相溶性が良く、熱可塑性樹脂の製造および加工温度
においても十分な耐熱安定性、色調安定性を示し、かつ
食品等の包装容器として使用する場合には、安全衛生
上、何ら問題のない染顔料を選択したうえで、添加使用
する。あるいは、これらの着色剤を所定濃度の数倍ない
し100倍、実用的には5〜50倍程度の濃度になるま
で添加した、いわゆるマスターバッチを作製し、これを
無着色ないしは着色した熱可塑性樹脂で希釈すること
で、最終的に所望の色調を持った樹脂組成物を得ること
もできる。
【0050】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応
じて他の通常の樹脂添加物、例えば、光安定剤、熱安定
剤、離型剤、帯電防止剤、酸化防止剤や分散剤等を含む
こともできる。あるいは、他の紫外線吸収剤、特に20
0nm〜350nmの波長の紫外線を吸収する紫外線吸
収剤を含有しても良い。
【0051】本発明で得られる紫外線遮断性に優れた熱
可塑性樹脂組成物は、一般的溶融成形法を用いること
で、有用な成形品を製造することができる。例えば、ポ
リエステル樹脂組成物に対して、押し出し成形法により
シートを作製し、この後一軸延伸、二軸延伸することで
得たフィルムは食品等の包装材として、また農園芸用の
マルチング材としての使用が特に好ましい。また、吹込
成形法を用いることで、紫外線遮断性、気体遮断性、強
靱性さらには無着色透明性を有する中空成形体を製造す
ることが可能である。この中空成形体はジュース、食用
油、調味料、酒など食品用容器として使用するのが好ま
しい。あるいは、射出成形法によって所望する形状を有
する無着色成形品を製造可能である。
【0052】あるいはまた、着色剤を添加した本発明の
熱可塑性樹脂組成物もまた、一般的溶融成形法を用いる
ことで、有用な成形品を製造することができる。例え
ば、所望の色調を有するポリエステル樹脂組成物を用い
て、押し出し成形法によりシートを作製し、この後一軸
延伸、二軸延伸することで得たフィルムに粘着層、アル
ミ蒸着層等を設けた機能性膜は、建築用途あるいは車両
用途におけるガラス飛散防止膜、および熱線遮蔽膜とし
ての使用が適している。さらに、射出成形法によって、
所望する色調ならびに形状を有する成形品を製造可能で
ある。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例に基ずいて詳細に説明
する。なお、本実施例中「部」は「重量部」を意味す
る。また、実施例中で示した熱重量測定は、島津製作所
(株)製「TGA−50」熱重量測定装置を使用し、サ
ンプル重量を3mgとして、昇温速度10℃/minと
して測定した。また、本発明の紫外線吸収剤の吸光度測
定ならびに熱可塑性樹脂成形体の透過率測定は、島津製
作所(株)製「UV−240」分光測定装置を使用し
た。各実施例で得られた本発明の紫外線吸収剤について
は、クロロホルム100mlに該紫外線吸収剤を約1〜
2mg溶解し、光路長1cmの石英セルを用いて、測定
をおこなった。また、各実施例で得られた約100μの
フィルムについて、300〜700nmの波長域で測定
した。 実施例1 4−ジエチルアミノ安息香酸メチルエステル200部を
2−エトキシエタノール500部に25℃で溶解し、さ
らに、ヒドラジン一水和物800部を加えて、120℃
まで内容液を昇温した。同温度にて12時間保温した
後、25℃に内容液を冷却した。内溶液を水20000
部に排出したのち、次いで濾過して濾塊を水洗し、乾燥
して、N,N’−ビス(4−ジエチルアミノベンゾイ
ル)ヒドラジン120部を得た。次いで、反応器にポリ
リン酸1200部を170℃に昇温し、器内に窒素を流
しながら、N,N’−ビス(4−ジエチルアミノベンゾ
イル)ヒドラジン80部を5時間かけて粉体装入した。
同温度で8時間攪拌した後、80℃まで反応液を冷却
し、氷水8000部に同反応溶液を排出した。20%可
性ソーダで溶液を弱アルカリ性として、沈殿した縮合化
合物を濾過により採取し、乾燥させて2,5−ビス(p
−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジア
ゾール48部を得た。この化合物を熱重量測定したとこ
ろ258℃まで質量変化がみられなかった。また300
℃における質量変化は、初期重量の7.8重量%であっ
た。この化合物の吸光度測定を行った結果、380nm
でのモル吸光係数が23200であり、400nmでの
モル吸光係数は245であった。最大吸収波長は357
nmであった。
【0054】実施例2 ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(ユニチカ
(株)製)10000部を280℃にて溶融したもの
に、実施例1で得られた2,5−ビス(p−ジエチルア
ミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール20部
を添加し、280℃にて溶解した。溶解したものを30
mmφ押出機を使用して、原反厚み約200μmの薄肉
シートを得た。続いて、バッチ式延伸機を使用して、予
熱75℃、延伸温度75℃にて、かかる薄肉シートを固
定幅一軸延伸し、フィルム厚み102μmの実施例2の
透明フィルムを得た。該フィルムの370nmおよび3
80nmにおける紫外線透過率は共に0.0%を示し
た。また、該フィルムに着色は観察されなかった。な
お、紫外線および可視光線吸収スペクトルを図1に示
す。また、該紫外線吸収剤を用いて薄肉シートを得る
際、押出機のノズルに付着物は観察されなかった。
【0055】実施例3 ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(ユニチカ
(株)製)10000部を280℃にて溶融したもの
に、実施例1で得られた2,5−ビス(p−ジエチルア
ミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール誘導体
25部および市販のアントラキノン系建染染料である赤
色色素(Indanthrene RedFBB)10
部をそれぞれ添加し、280℃にて溶解した。溶解した
ものを30mmφ押出機を使用して、原反厚み約200
μmの薄肉シートを得た。続いて、バッチ式延伸機を使
用して、予熱75℃、延伸温度75℃にて、かかる薄肉
シートを固定幅一軸延伸し、フィルム厚み110μmの
実施例3の透明フィルムを得た。該フィルムの370n
mおよび380nmにおける紫外線透過率は共に0.0
%を示した。また、該フィルムは赤色の着色が観察され
た。なお、紫外線および可視光線吸収スペクトルを図2
に示す。
【0056】比較例1 実施例3において実施例1の2,5−ビス(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール2
H−1−ベンゾピラン−2−オン誘導体100部を使用
する代わりに、市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤である2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール10
0部を使用した以外は、同一条件で製造し、フィルム厚
み103μmの透明フィルムを得た。該フィルムの37
0nmおよび380nmにおける紫外線透過率は、それ
ぞれ、0.7%および3.7%を示した。また該フィル
ムに着色は観察されなかった。なお、紫外線および可視
光線吸収スペクトルを図1に示す。また、該紫外線吸収
剤を用いて薄肉シートを得る際、押出機のノズルに淡黄
色の粉が付着し、成形したシートを約1kg得た時点か
ら押し出したシート中に黄色の付着物が徐々に目に付く
ようになった。
【0057】比較例2 実施例3において実施例1の2,5−ビス(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール2
H−1−ベンゾピラン−2−オン誘導体100部を使用
する代わりに、市販のベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤である2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール15
0部を使用した以外は、同一条件で製造し、フィルム厚
み111μmの透明フィルムを得た。該フィルムの37
0nmおよび380nmにおける紫外線透過率は、それ
ぞれ、0.0%および0.5%を示した。また、該フィ
ルムは淡黄色の着色が観察された。なお、紫外線および
可視光線吸収スペクトルを図1に示す。また、該紫外線
吸収剤を用いて薄肉シートを得る際、比較例1と同様
に、押出機のノズルに淡黄色の粉が付着し、さらに成形
したシートを約1kg得た時点から押し出したシート中
に黄色の付着物が徐々に目に付くようになった。
【0058】以上のことから、樹脂10000部あたり
使用する紫外線吸収剤は、比較例1では100部、比較
例2では150部要したのに対し、実施例2では20部
という少ない量で、同等以上の優れた紫外線遮断能を有
することが明らかとなった。
【0059】
【発明の効果】本発明の紫外線吸収剤は熱安定性に優
れ、且つ昇華性の極めて少ないものであり、さらに該紫
外線吸収剤を熱可塑性樹脂に添加する量が僅かでも、紫
外線遮断能に優れた、且つ該紫外線吸収剤による着色が
ない、熱可塑性樹脂組成物を製造できることから、紫外
線遮断効果を必要とする容器、フィルムなどの機能性を
有する成形品の製造に大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2および比較例1、2で得られた熱可塑
性樹脂組成物の紫外線および可視光線スペクトルを示
す。図の縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示す。──
──は実施例2、------- は比較例1、−・− は比較
例2を示す。
【図2】実施例3で得られた熱可塑性樹脂組成物の紫外
線および可視光線スペクトルを示す。図の縦軸は透過率
を示し、横軸は波長を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 尚登 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地三井東 圧化学株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)(化1) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は各々独立に、置換または無置
    換の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20のアルキル
    基を表す。ここで、R1 とR2 は環を形成していても良
    い。)で表される1,3,4−オキサジアゾール誘導体
    からなる成形樹脂用紫外線吸収剤。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂に、請求項1の紫外線吸収
    剤の少なくとも一種を紫外線遮断に有効な量を添加して
    なる熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂に、紫外線吸収剤を、該樹
    脂100重量部あたり0.0001重量部以上添加して
    なる請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂であ
    る請求項2または請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項2〜請求項4のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂組成物を成形加工してなる熱可塑性樹脂成
    形体。
JP315693A 1993-01-12 1993-01-12 1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体 Pending JPH06207159A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP315693A JPH06207159A (ja) 1993-01-12 1993-01-12 1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP315693A JPH06207159A (ja) 1993-01-12 1993-01-12 1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06207159A true JPH06207159A (ja) 1994-07-26

Family

ID=11549493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP315693A Pending JPH06207159A (ja) 1993-01-12 1993-01-12 1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06207159A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106917151A (zh) * 2017-02-15 2017-07-04 杭州琪瑶纺织有限公司 一种紫外吸收面料

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106917151A (zh) * 2017-02-15 2017-07-04 杭州琪瑶纺织有限公司 一种紫外吸收面料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3055698B2 (ja) 白色度の改良された線状ポリエステル
JP2966087B2 (ja) 着色ポリエステル組成物及びそれから製造された成形物品
JPH04505032A (ja) 共重合化メチン着色剤ポリエステルの着色濃厚物
US7048978B2 (en) Polyester resin, polyester resin composition, and sheet, film and hollow molded container obtained therefrom
JP2784181B2 (ja) メチン化合物の残基を含む縮合ポリマー
US5281659A (en) Colored polyester compositions
CN102510882B (zh) 用于使聚合物着色的无迁移着色共缩聚物
EP0263705B1 (en) The use of thermoplastic polyester resin composition for uv-screening
US6787589B2 (en) Amber polyester compositions and container articles produced therefrom
TW200825127A (en) Polyester polymer and copolymer compositions containing titanium and yellow colorants
EP0335595B1 (en) Thermoplastic polyester resin composition and molded articles produced therefrom
US5554720A (en) Naphthalenedicarboxylic acid polymers containing aryl thioethers and having reduced fluorescene
US5482986A (en) Benzopyran compound and use of the same
JPH06207159A (ja) 1,3,4−オキサジアゾール誘導体からなる成形樹脂用紫外線吸収剤ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体
JP3556970B2 (ja) ベンゾピラン化合物及びその用途
JPH0320353A (ja) ポリエステル樹脂成形体の製造方法
JPH06145164A (ja) 紫外線吸収剤およびそれに適したベンゾピラン誘導体ならびに該紫外線吸収剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物および成形体
Kobrakov et al. New aroyleneimidazoles as dyes for thermoplastic polymeric materials
JPH086014B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JPH01247453A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JPH07267937A (ja) ベンゾトリアゾール系化合物およびその用途
JPH07118378A (ja) ポリエステルおよびその用途
JPH02188581A (ja) 2―ヒドロキシフエニルベンゾトリアゾール系化合物およびその用途
JPH045291A (ja) ベンゾトリアゾール系化合物およびその用途
JPH05156138A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物