JPH05156138A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂組成物

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JPH05156138A
JPH05156138A JP32617391A JP32617391A JPH05156138A JP H05156138 A JPH05156138 A JP H05156138A JP 32617391 A JP32617391 A JP 32617391A JP 32617391 A JP32617391 A JP 32617391A JP H05156138 A JPH05156138 A JP H05156138A
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JP
Japan
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group
acid
polyester resin
thermoplastic polyester
binaphthalene
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Application number
JP32617391A
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Takuji Hirahara
拓治 平原
Takashi Nakamura
隆 中村
Yuka Furuno
由佳 古野
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱可塑性ポリエステル樹脂に1,1′−ビナ
フタレンテトラカルボン酸またはその無水物、イミドも
しくはエステルの少なくとも1種を紫外線遮断に有効な
量を添加してなることを特徴とする熱可塑性ポリエステ
ル樹脂組成物。 【効果】 紫外線を遮断した成形体を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ポリエステル
樹脂組成物に関する。更に詳しくは、紫外線遮断性に優
れたポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートで代表され
るポリエステルは優れた機械的性質および化学的特性の
ため、広く繊維、フィルム等に使用されてきたが、近年
その優れた透明性、気体遮断性、安全衛生性などから、
炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒やワイン
用の容器としての好適性が注目を浴び、使用されてい
る。また、ポリエステルフィルムの新用途として、省エ
ネルギー、地震対策の観点から、熱線遮断やガラスの飛
散防止を目的とした窓貼フィルムも、着実に使用されて
おり、また農園芸では、農作物の生長促進及び収穫増加
を目的として、特定波長域の紫外線を選択的に遮蔽する
ような透明フィルムの要求が強い(例えば特開昭第53
−98242号)。
【0003】しかしながら、これらのポリエステル容器
およびフィルムは、320nm程度までの短波長側の紫
外線遮断性には極めて優れているが、それ以上の長波長
側の紫外線、可視光線等は、ほとんど透過させてしま
う。このようなポリエステル容器に、例えば、食用油や
みりん、ドレッシングなどの液体調味料を充填し、数カ
月の保存期間を経た場合、それぞれの充填食品により、
また保存条件によって、徐々に内容物の劣化、例えば
色、味、香りに微妙な変化を起こすことが多い。該内容
物の劣化は、酸素、熱、光とりわけ紫外線、微生物など
の外因によって起こるが、ポリエステルの場合、酸素遮
断性に比較的優れているので、紫外線遮断性を更に改善
できれば、長期保存下でも、内容物の劣化を大幅に防止
することが可能となる。
【0004】現在、当該業界ではその目的のために一般
的には紫外線吸収剤などが添加使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の紫外線吸収剤は、一般に高価であり、しかも、その付
与工程が煩雑で、かつ、これらの化合物は、一般に昇華
性が大きく、また、熱安定性に劣るものも多いため、そ
の付与工程や成形加工時に、しばしばトラブルを起こし
たり、また食品容器や包装に使用した場合には、内容物
への移行のおそれもあり、必ずしも好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる目的
に合致したポリエステル樹脂組成物について鋭意検討し
た結果、短波長側はもちろんのこと、長波長側の紫外線
をも十分に遮断し得るポリエステル樹脂組成物を見出し
本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、熱可塑
性ポリエステル樹脂に1,1′−ビナフタレンテトラカ
ルボン酸またはその酸無水物、イミドもしくはエステル
の少なくとも1種を紫外線遮断に有効な量添加してなる
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物にある。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいてポリエステル樹脂に添加される化合物としては、
1,1′−ビナフタレンテトラカルボン酸またはその無
水物、イミド、エステルの1,1′−ビナフタレンテト
ラカルボン酸骨格を有する化合物を使用する。また、該
化合物のナフタレン核は置換されていてもよく、置換基
としては、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、ニト
ロ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン酸基もしく
はその塩、置換されていてもよいアルキル基、アルコキ
シ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基もしく
はアルキルアラルキル基などが例示される。
【0008】1,1′−ビナフタレンテトラカルボン酸
またはその無水物としては、1,1′−ビナフタレンの
テトラカルボン酸およびそれらの核置換体、またはそれ
らの無水物であって、4,4′,5,5′体、3,
3′,4,4′体、4,4′,6,6′体、5,5′,
6,6′体、5,5′,7,7′体、6,6′,7,
7′体、3,4,4′,6′体などが例示される。
【0009】これらのうち、1,1′−ビナフタレン−
4,4′,5,5′−テトラカルボン酸またはその酸無
水物が好ましい。1,1′−ビナフタレンテトラカルボ
ン酸エステルとしては、各種のエステルが使用される
が、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル
エステルが好ましい。例えば、1,1′−ビナフタレン
−4,4′,5,5′−テトラカルボン酸テトラメチル
エステル、1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,
5′−テトラカルボン酸テトラエチルエステル、1,
1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカル
ボン酸テトラプロピルエステル、1,1′−ビナフタレ
ン−4,4′,5,5′−テトラカルボン酸テトラブチ
ルエステル、1,1′−ビナフタレン−3,3′,4,
4′−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、1,
1′−ビナフタレン−4,4′,6,6′−テトラカル
ボン酸テトラメチルエステルなどが挙げられる。
【0010】更に、1,1′−ビナフタレンテトラカル
ボン酸4,5−無水−4′,5′−ジメチルエステルの
ように、無水物環とエステル結合の両者を有する化合物
も使用することができる。イミド化合物としては、1,
1′−ビナフタレンテトラカルボン酸のイミド化合物で
あれば使用可能であり、例えば、1,1′−ビナフタレ
ン−4,4′,5,5′−テトラカルボン酸またはこの
酸誘導体とアンモニアやグリシン、アラニン、バリン、
ε−アミノカプロン酸などの脂肪族アミノカルボン酸、
アミノアルコール類、o−,m−またはp−アミノ安息
香酸などの芳香族アミノカルボン酸、ジアミノ類との反
応で製造することができる。イミド化物、特にジイミド
化物は前記のテトラカルボン酸、その酸無水物あるいは
エステル化物に比べ耐熱性に優れるので特に好ましい。
【0011】ジイミド化合物として好ましいものは1,
1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカル
ボン酸のジイミド化合物であり、下記一般式(I)で示
される化合物である
【0012】
【化2】
【0013】((I)式中、R1 ,R2 は同一でも異な
っていてもよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、ま
たは置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、
アリール基、アラルキル基もしくはアルキルアラルキル
基を示し、Q1 ,Q2 は同一でも異なっていてもよく、
ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シア
ノ基、カルボキシル基、スルホン酸基もしくはその塩、
置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アル
ケニル基、アリール基、アラルキル基もしくはアルキル
アラルキル基を示し、l1 ,l2 は同一でも異なってい
てもよく、0〜5の整数である。)上記一般式(I)中
のR1 ,R2 およびQ1 ,Q2 のアルキル基としては炭
素数1〜20のもの、アルケニル基としては炭素数2〜
20のもの、アリール基としては炭素数6〜20のも
の、アラルキル基としては炭素数7〜20のもの、アル
キルアラルキル基としては炭素数8〜20のものが通常
用いられる。
【0014】具体的には、以下のような化合物が例示で
きる。1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−
テトラカルボキシジイミド
【0015】
【化3】
【0016】N,N′−ビス(α−カルボキシメチル)
−1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テト
ラカルボキシジイミド
【0017】
【化4】
【0018】N,N′−ビス(α−カルボキシメチル)
−7,7′−ビクロロ−1,1′−ビナフタレン−4,
4′,5,5′−テトラカルボキシジイミド
【0019】
【化5】
【0020】N,N′−ビス(α−カルボキシエチル)
−1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テト
ラカルボキシジイミド
【0021】
【化6】
【0022】N,N′−ビス(α−カルボキシ−γ−メ
チルブチル)−1,1′−ビナフタレン−4,4′,
5,5′−テトラカルボキシジイミド
【0023】
【化7】
【0024】N,N′−ビス(α−カルボキシ−γ−メ
チルペンチル)−1,1′−ビナフタレン−4,4′,
5,5′−テトラカルボキシジイミド
【0025】
【化8】
【0026】N,N′−ビス(β−ヒドロキシエチル)
−1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テト
ラカルボキシジイミド
【0027】
【化9】
【0028】N,N′−ビス(11−カルボキシウンデ
シル)−1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′
−テトラカルボキシジイミド
【0029】
【化10】
【0030】N,N′−ビス(β−ブロモエチル)−
1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラ
カルボキシジイミド
【0031】
【化11】
【0032】N,N′−ビス(ベンジル)−1,1′−
ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボキシ
ジイミド
【0033】
【化12】
【0034】N,N′−ビス(カルボキシフェニル)−
1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラ
カルボキシジイミド
【0035】
【化13】
【0036】N,N′−ビス(カルボキシトリル)−
1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラ
カルボキシジイミド
【0037】
【化14】
【0038】N,N′−ビス(n−ブチル)−1,1′
−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボキ
シジイミド
【0039】
【化15】
【0040】N,N′−ビス(ヒドロキシ)−1,1′
−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボキ
シジイミド
【0041】
【化16】
【0042】以上のような1,1′−ビナフタレンテト
ラカルボン酸骨格化合物の紫外線遮断に有効な添加量
は、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を用いた
成形体の厚さにも依存するので特に制限されない。しか
しながら、通常のボトル、シート、フィルムなどの成形
品として使用する場合を考慮すれば、熱可塑性ポリエス
テル樹脂100重量部あたり、通常0.001〜20重
量部、好ましくは0.005〜5重量部の範囲が一般的
である。
【0043】1,1′−ビナフタレンテトラカルボン酸
骨格化合物はポリエステル製造のいかなる段階で添加し
ても良く、また成形加工前のいかなる段階で添加したも
のでも同様に紫外線遮蔽効果を発現させることができ
る。また、いわゆるマスターバッチによる添加方法も利
用することができる。即ち、ポリエステルの成形が終了
するまでの任意の段階、例えば重縮合反応開始前、重縮
合反応中、重縮合反応終了後、粉粒状態、成形段階等に
おいて添加すればよい。
【0044】本発明における熱可塑性ポリエステルは、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエー
テルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成体、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪
族ジカルボン酸及びそのエステル形成体、フマール酸、
4−カルボキシ桂皮酸の様な不飽和ジカルボン酸及びそ
のエステル形成体などから選ばれた1種以上のジカルボ
ン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコールのような脂肪族グリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールのような脂環族グリコ
ール、2,2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4′−β−ヒドロキシエトキ
シフェニル)スルホンのようなビスフェノール誘導体な
どから選ばれた1種以上のグリコール成分から成るポリ
エステルである。
【0045】以上の熱可塑性ポリエステルとしては、成
形体として延伸可能なものであれば特に制限はないが、
一般的には、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主
成分とするもの、具体的には、テレフタル酸を通常、5
0モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが好
ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリシクロヘキザメチレンテレフタレー
トなどが例示される。また、これらの熱可塑性ポリエス
テルは、相互のブレンド物の他、ポリエステルエラスト
マー、ポリアリレート、ポリカーボネートなどの他の熱
可塑性樹脂とブレンドした組成物としてもよい。
【0046】以上の熱可塑性ポリエステル樹脂のうち、
ポリエチレンテレフタレート樹脂を更に詳述すると、該
樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分と
したものであって、ジカルボン酸成分の通常80モル%
以上、好ましくは90モル%以上がテレフタル酸、グリ
コール成分の通常80モル%以上、好ましくは90モル
%以上がエチレングリコールであるポリエステル樹脂で
ある。そして、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分、
エチレングリコール以外のグリコール成分は、前述の本
発明の熱可塑性ポリエステル樹脂で述べたものと同様な
化合物が用いられる。
【0047】本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル
は極限粘度が0.5以上のものが好ましく、更に好まし
くは0.6以上のものが使用される。ポリエステルの粘
度は例えば中空成形体を製造する場合、特に成形法との
関係で重要である。特に押出吹込成形により実質的に無
配向の中空成形体を得る場合はドローダウン防止のた
め、吹込成形体の容量に依存するが、溶融ポリエステル
の流動性をある水準以上に保持する必要があり、一般に
は0.7以上、好ましくは0.8以上の極限粘度を有す
るポリエステルが使用される。また、延伸中空成形、シ
ート化後、一軸または二軸延伸してフィルムを得る押出
成形法や種々の形態の成形品を得る射出成形法では、押
出吹込成形の場合に比べて比較的低粘度のポリマーも使
用でき、一般には極限粘度が0.5以上、好ましくは
0.6以上のものが使用されるが、成形品の要求物性次
第では、更に高粘度のポリエステルも使用される。
【0048】また、本発明では、熱可塑性ポリエステル
組成物として従来から公知の添加剤、例えば、安定剤、
離型剤、帯電防止剤、分散剤や染顔料等の着色剤をポリ
エステル製造時のいずれかの段階で添加したものでも良
く、成形加工前、いわゆるマスターバッチ処法で添加し
たものでも良い。本発明で好ましい染顔料としては、酸
化チタン、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーン、群青、コバルトブルー、チタ
ンイエロー、赤色酸化鉄、焼アンバー、黄色酸化物等
や、多環系を中心とした耐熱性油溶性染料、具体的には
ペリノン系、キノフタロン系、アンスラピリドン系、ア
ンスラキノン系等の骨格を有する油溶性染料が挙げられ
るが、ポリエステル官能基と反応してポリエステル鎖に
結合する構造を持ったものが特に好ましく、またポリエ
ステルとの相溶性が良く、ポリエステルの製造および加
工温度においても十分な耐熱安全性、色調安定性を示
し、かつ食品等の包装容器として使用する場合には、安
全衛生上、何ら問題のない染顔料を選択して添加する。
【0049】本発明の熱可塑性ポリエステルは樹脂組成
物はそのままで成形体としてもよく、また必要に応じて
は更に、高真空下または不活性気体流通下で、固相重合
を行い、高重合度化、低アルデヒド化、低オリゴマー化
して成形するか、またキシレンやクロロホルムによる溶
剤抽出などの後処理を加えてから使用してもよい。また
所定濃度の数倍ないし100倍、実用的には50倍程度
までの高濃度の所望色に着色した、いわゆるマスターバ
ッチとなし、これを無着色ないしは他の色調に着色した
ポリエステルで希釈したりまた他の新たな色調を発現さ
せ最終的に所望の色調として使用することもできる。
【0050】本発明で得られる紫外線遮断性に優れた熱
可塑性ポリエステル樹脂組成物は溶融成形して成形品と
される。その際、ポリエステルにおいて一般的に使用さ
れる溶融成形法の全てが適用可能である。具体的には通
常の押出吹込法、射出吹込法、予備成形体を再加熱後に
二軸延伸するコールドパリソン法などの吹込成形により
紫外線遮断性、気体遮断性、強靫性、耐薬品性に優れる
と共に、高級感のあるガラス様の透明性を有した中空成
形体を得ることが可能であり、調味料、食用油、炭酸飲
料、果汁飲料、酒、ワインその他化粧品や薬品用容器と
して特に適している。また押出成形によりシート化した
後、一軸または二軸延伸フィルムあるいは他の樹脂との
積層フィルムとして一般食品や薬品、化粧品等の包装
用、更には窓貼用や農園芸で使用されるマルチング被覆
材としても特に好ましく使用され、その他射出成形によ
って種々の形状の成形品としても好ましく使用される。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお実施例中「部」は「重量部」を意味する。本実
施例で使用した種々の測定法を以下に示す。 ・極限粘度 フェノール/テトラクロロエタン(50/50重量比)
中、30℃、1.0g/dlの濃度で測定した。 ・紫外線透過率 島津製作所 UV−3100S型、UV−VIS−NI
Rレコーディングスペクトロフォトメーターを用い測定
した。 ・アセトアルデヒド量 160℃で2時間水抽出後、高感度ガスクロマトグラフ
で定量した。 ・不活性気体流量 不活性気体流量は単位時間(hr.)当り及び単位樹脂
重量(kg)当りの流通した気体量を1気圧、25℃に
換算した体積量(1)で示した。
【0052】実施例1 ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート200
00部に二酸化ゲルマニウム2部、正りん酸2部、及び
1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラ
カルボン酸二無水物25部を加え、260℃から徐々に
昇温すると共に、一方重合槽内は常圧より漸次減圧し、
280℃,1torrの真空下、全重合時間3.0時間
で極限粘度が0.66の透明ポリエステルを得た。
【0053】該ポリエステルを通常の真空乾燥後、シリ
ンダーおよびノズルの各部を275℃、スクリュー回転
数40rpm、押し出し量80g/minに設定した3
0mmφ押出機で肉厚350μのシートを成形した。該
シート370nm及び380nmにおける光線透過率を
表−1に示す。また、光線透過率チャートを図1に示
す。更に、この乾燥ポリエステルを、シリンダー各部お
よびノズル275℃,スクリュー回転数100rpm,
射出時間10秒、金型冷却水温10℃に設定した東芝
(株)射出成形機IS−60Bで100mm×100m
mの大きさで肉厚2mmシートを500枚連続的に射出
したときの板の外観も表−1に示す。
【0054】実施例2 1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラ
カルボン酸二無水物の代わりにN,N′−ビス(α−カ
ルボキシメチル)1,1′−ビナフタレン−4,4′,
5,5′−テトラカルボン酸ジイミド25部を添加した
以外は、実施例1と同様に反応を行い、極限粘度0.6
7の透明ポリエステルを得た。実施例1と同様の操作で
成形した肉厚350μシートの光線透過率を表−1に示
す。また、光線透過率チャートを図2に示す。更に、実
施例1と同時に500枚の連続射出後のシートの外観も
表−1に示す。
【0055】実施例3 N,N′−ビス(α−カルボキシメチル)1,1′−ビ
ナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボン酸ジ
イミド25部の代わりに同化合物40部を添加した以外
は実施例2と同様に反応を行い、極限粘度0.64の透
明ポリエステルを得た。実施例1と同様にして成形した
肉厚350μのシートの光線透過率および外観を表−1
に示す。また、光線透過率チャートを図1に示す。該ポ
リエステルチップ表面をソリッドエアー式攪拌結晶化機
(米国Bepex社製)中、レジン温度165℃で結晶
化させた後静置式固相重合塔に移し、30l/kg・h
rの窒素気体流通下、120℃〜160℃で3時間乾燥
後、レジン温度210℃で10時間固相重合した。
【0056】該固相重合品の極限粘度は0.74でチッ
プ材質中に3.5ppmのアセトアルデヒドを含有し
た。このポリエステルからシリンダー各部及びノズル2
75℃、スクリュー回転数100rpm,射出時間10
秒、金型冷却水温10℃に設定した射出成形機IS−6
0Bでプリフォームを成形した。このプリフォームを自
製の二軸延伸ブロー成形機でブロー成形し、内容積1.
51の瓶を得た。この瓶の350μ肉厚部の370nm
および380nmの紫外線透過率はそれぞれ0.0%,
0.2%であった。
【0057】実施例4 比較例1と同様な操作で得たポリエステル100部当
り、N,N′−ビス(α−カルボキシメチル)1,1′
−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボン
酸ジイミド0.15部を添加しV−型ブレンダーでよく
混合した後、真空乾燥し、実施例1と同様にして肉厚3
50μのシートを成形した。該シートの光線透過率を表
−1に示す。また、光線透過率チャートを図1に示す。
更に、実施例1と同様に500枚連続射出後の板の外観
も表−1に示す。
【0058】実施例5 1,1′−ビナフタレン−4,4′,5,5′−テトラ
カルボン酸二無水物の代わりに1,1′−ビナフタレン
−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸30部を加え
た以外は、実施例1と同様に操作し、極限粘度0.67
の透明ポリエステルを得た。該ポリエステル肉厚350
μシートの光線透過率および外観を表−1に示す。更
に、実施例1と同様に500枚の連続射出後のシートの
外観も表−1に示す。
【0059】実施例6 N,N′−ビス(α−カルボキシメチル)1,1′−ビ
ナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボン酸ジ
イミド0.15部の代わりにN,N′−ビス(α−カル
ボキシメチル)1,1′−ビナフタレン−3,3′,
4,4′−テトラカルボン酸ジイミド0.20部を添加
した以外は実施例4と同様に操作を行い、350μの透
明シートを成形した。該シートの光線透過率を表−1に
示す。また、実施例1と同様に500枚の連続射出後の
シートの外観も表−1に示す。
【0060】比較例1 二酸化ゲルマニウム2部および正リン酸2部のみを用い
て実施例1と同様な条件で極限粘度0.68のポリエス
テルを得た。実施例1と同様にして成形した肉厚350
μシートの紫外線透過率を表−1に示す。また、光線透
過率チャートを図1に示す。
【0061】比較例2 η=0.78のポリエチレンテレフタレート(日本ユニ
ペット製RT−543C)5kgに市販の代表的UV
(紫外線)吸収剤であるチヌビン326(2(2′−ヒ
ドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、Ciba Geigy社商品名)
5.5gをドライブレンドし、実施例1と同様に操作し
350μ肉厚シートを成形した。このときの光線透過率
を表−1に、また、光線透過率チャートを図2に示す。
更に、実施例1と同様にして、シートを連続的に射出し
たところ、成形機のノズル先端に黄色粉末状物が付着
し、200枚目頃からシート表面に黄色付着物が目立っ
た。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、短
波長領域のみならず、長波長領域の紫外線も十分に遮断
し得るものであり、しかも組成物の均一分散安定性、熱
安定性にも優れ、成形に際し、成形品や金型表面に着色
付着物が発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1,3及び比較例1で得られたポリエス
テル樹脂の光線透過率を示す図である。
【図2】実施例2,4及び比較例2で得られたポリエス
テル樹脂組成物の光線透過率を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂に1,1′−
    ビナフタレンテトラカルボン酸またはその無水物、イミ
    ドもしくはエステルの少なくとも1種を紫外線遮断に有
    効な量添加してなることを特徴とする熱可塑性ポリエス
    テル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 1,1′−ビナフタレンテトラカルボン
    酸のイミドが下記一般式(I)で示される1,1′−ビ
    ナフタレン−4,4′,5,5′−テトラカルボン酸ジ
    イミド化合物である請求項1の組成物。 【化1】 ((I)式中、R1 ,R2 は同一でも異なっていてもよ
    く、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、または置換され
    ていてもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、
    アラルキル基もしくはアルキルアラルキル基を示し、Q
    1 ,Q2 は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン、ヒ
    ドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボ
    キシル基、スルホン酸基もしくはその塩、置換されてい
    てもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ア
    リール基、アラルキル基もしくはアルキルアラルキル基
    を示し、l1 ,l2 は同一でも異なっていてもよく、0
    〜5の整数である。)
  3. 【請求項3】 紫外線遮断の有効添加量が、熱可塑性ポ
    リエステル樹脂の100重量部あたり0.001〜20
    重量部である請求項1の組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステル樹脂の重合時に
    1,1′−ビナフタレンテトラカルボン酸またはその無
    水物、イミドもしくはエステルを添加してなる請求項1
    の組成物。
  5. 【請求項5】 重合後に得られた熱可塑性ポリエステル
    樹脂に1,1′−ビナフタレンテトラカルボン酸または
    その無水物、イミドもしくはエステルを添加してなる請
    求項1の組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1127543C (zh) * 1998-12-14 2003-11-12 新光合成纤维股份有限公司 阻光性聚酯组合物,阻光性聚酯纤维和由其制得的布种及物品
JP2020075980A (ja) * 2018-11-06 2020-05-21 大阪ガスケミカル株式会社 ビナフチル骨格を有するポリエステル樹脂並びにその製造方法及び用途

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