JP3389703B2 - 末端変性ポリエステルの製造法 - Google Patents

末端変性ポリエステルの製造法

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JP3389703B2
JP3389703B2 JP25379394A JP25379394A JP3389703B2 JP 3389703 B2 JP3389703 B2 JP 3389703B2 JP 25379394 A JP25379394 A JP 25379394A JP 25379394 A JP25379394 A JP 25379394A JP 3389703 B2 JP3389703 B2 JP 3389703B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紫外線遮断性に優れた末
端変性ポリエステル及びその製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートで代表され
るポリエステルは優れた機械的性質および化学的特性の
ため、広く繊維、フィルム等に使用されてきたが、近
年、その優れた透明性、気体遮断性、安全衛生性などか
ら、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒やワ
イン用の容器としての好適性が注目を浴び、使用が急増
している。また、ポリエステルフィルムの新用途とし
て、省エネルギー、地震対策の観点から、熱線遮断やガ
ラスの飛散防止を目的とした窓貼フィルムも、着実に使
用されており、また農園芸では、農作物の生長促進及び
収穫増加を目的として、特定波長域の紫外線を選択的に
遮蔽するような透明フィルムの要求が強い(特開昭53
−98242号など)。
【0003】しかしながら、これらのポリエステル容器
およびフィルムは、320nm程度までの短波長側の紫
外線遮断性には極めて優れているが、それ以上の長波長
側の紫外線、可視光線等は、ほとんど透過させてしま
う。このようなポリエステル容器に、例えば、食用油や
みりん、ドレッシングなどの液体調味料を充填し、数カ
月の保存期間を経た場合、それぞれの充填食品により、
また、保存条件によっては、徐々に内容物の劣化、例え
ば色、味、香りに微妙な変化を起こすことが多い。該内
容物の劣化は、酸素、熱、光とりわけ紫外線、微生物な
どの外因によって起こるが、ポリエステルの場合、酸素
遮断性に比較的優れているので、紫外線遮断性を更に改
善できれば、長期保存下でも、内容物の劣化を大幅に防
止することが可能となる。
【0004】現在、当該業界では、その目的のために一
般的には紫外線吸収剤などが添加使用しているが、紫外
線吸収剤として使用される化合物は、一般に高価であ
り、かつ、その添加工程が煩雑である。さらに、これら
の化合物の多くは、一般に昇華性があり、熱安定性も十
分ではないため、添加・成形工程においてトラブルを起
こしたり、また、食品容器や包装に使用した場合には内
容物への移行の恐れもあり、必ずしも好ましくない。
【0005】そこで、紫外線吸収剤の昇華と、容器内容
物等への移行を克服するための手段として、ポリエステ
ル分子鎖中に紫外線吸収剤を共重合する提案がなされて
おり、例えば、シアノアクリレート系を使用するもの
(特開昭62−215650号、特開昭63−2256
24号、特表平3−502814号)や、ベンゾフェノ
ン系を使用するもの(特開平3−31235号)や、ベ
ンゾトリアゾール系を使用するもの(特開昭63−17
2729号)が挙げられる。また、他の方法として、高
分子量紫外線吸収剤を溶融混練することも提案されてい
る(特開平6−107928号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ポリエステル分子鎖中に紫外線吸収剤を共重合する方法
においては、重合、成形時の高温にも耐え得る優れた耐
熱性が要求されるため、耐熱性が低い成分であると重合
時に分解を起こし、目標とする紫外線遮断性が得られな
かったり、色調悪化を招く問題がある。また、分解反応
によりベースとなるポリエステルの重合を妨げたり、成
形時の固有粘度の低下を招く問題もある。また、上記の
高分子量紫外線吸収剤を溶融混練する方法では、耐熱
性、紫外線吸収能の問題の他にポリエステルとの相溶性
が必要となるため、ポリエステルとの相溶性が悪いと、
溶融混練後の樹脂が不透明となったり、色ムラが起きや
すいという問題もある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、以上のよ
うな問題点を解決することができるポリエステルについ
て鋭意検討した結果、耐熱性に優れた特定の紫外線吸収
成分をポリエステル末端に共重合することで、ポリエス
テルの長所である無色透明性を損なうことなく、短波長
側はもちろんのこと、長波長側の紫外線をも十分に遮断
し得る末端変性ポリエステルを見いだし、本発明に到達
した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、ジカルボン酸
成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレン
グリコールを主成分とする極限粘度が0.4〜1.2d
l/gのポリエステルであって、末端に下記一般式
(1)で示される基が、紫外線遮断に有効な量で結合し
ていることを特徴とする末端変性ポリエステルにある。
【0009】
【化6】
【0010】[式(1)中R1、R2、R3は同一でも異
なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキ
シル基、ニトロ基、または置換されていてもよい炭素数
1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、
アラルキル基もしくはアルキルアラルキル基を示し、n
は1〜10の整数を示す。] 以下本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明のポリエステルを構成するジカルボ
ン酸としては、テレフタル酸が主成分であるが、イソフ
タル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、
セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、4-カ
ルボキシ桂皮酸等の不飽和ジカルボン酸が、通常、全ジ
カルボン酸の20モル%程度まで共重合されたものでも
よい。
【0012】また、本発明のポリエステルを構成するジ
オール成分としては、エチレングリコールが主成分であ
るが、1,2− 1,3− または1,4−ブチレング
リコール、ジエチレングリコール、1,2− または
1,3−プロパンジオール、テトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、シク
ロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、2,2−
ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパ
ン等のビスフェノール誘導体、更にエチレレングリコー
ルやテトラメチレングリコールの縮合体等が、通常、全
ジオール成分の20モル%程度まで共重合されたもので
もよい。
【0013】また、ポリエステルが実質的に線状を維持
する限り、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロ
パン、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸
等の3官能以上の多官能化合物や、o-ベンゾイル安息香
酸野ような単官能化合物が共重合されたものでもよい。
本発明のポリエステルは、極限粘度が0.4〜1.2d
l/gであり、成形材料としては、好ましくは0.5〜
1.0dl/gの範囲である。極限粘度が0.4dl/
gより低いと成形品の強度が弱くなり、1.2dl/g
より高いと長時間の重合によるコストがかかるので好ま
しくない。ポリエステルの粘度は、例えば中空成形体を
製造する場合、特に成形法との関係で重要である。特に
押し出し吹き込み成形により実質的に無配向の中空成形
体を得る場合はドローダウン防止のため、溶融ポリエス
テルの流動性をある水準以上に保持する必要があり、吹
き込み成形体の容量に依存するが、一般には0.7以
上、好ましくは0.8以上の極限粘度を有するポリエス
テルが使用される。また、延伸中空成形、シート化後、
一軸または二軸延伸してフィルムを得る押し出し成形法
や種々の形態の成形品を得る射出成形法では、押し出し
吹き込み成形の場合に比べて比較的低粘度のポリマーも
使用でき、一般には極限粘度が0.5以上、好ましくは
0.6以上のものが使用されるが、成形品の要求物性次
第では、更に高粘度のポリエステルも使用される。
【0014】本発明のポリエステルの末端に結合して存
在し、紫外線遮断に効果を表す基は、前記の一般式
(1)で示される構造であり、これが[-O-CO-]、
または[-CO-O-]で示されるエステル結合によりポ
リエステル主鎖と結合している。一般式(1)で示され
る基を酸残基またはエステル結合を含む形で表すと、例
えば、2−[3−t−アミル−5−(2H−ベンゾトリ
アゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]酢酸
基、 3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリ
アゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロ
ピオン酸基、 4−[3−t−オクチル−5−(2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェ
ニル]酪酸基、 5−[3−(α,α−ジメチルベンジ
ル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシフェニル]吉草酸基、3−[3−t−ブチ
ル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸基、
5−[3−t−オクチル−5−(5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェ
ニル]吉草酸基、 3−t−ブチル−5−(2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェノキ
シカルボニル基、 2−[3−t−アミル−5−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフ
ェニル]オキシエチレンカルボニル基、 3−[3−t
−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシフェニル]オキシプロピレンカル
ボニル基、 4−[3−t−オクチル−5−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]オキシブチレンカルボニル基、 5−[3−(α,
α−ジメチルベンジル−5−(2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]オキシペン
テンカルボニル基、 3−[3−t−ブチル−5−(5
−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシフェニル]オキシプロピレンカルボニル
基、 5−[3−t−オクチル−5−(5−クロロ−2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ
フェニル]オキシペンテンカルボニル基、等が挙げれ
る。
【0015】以上のようなエステル結合を含有する一般
式(1)で示される基の紫外線遮断に有効なポリエステ
ル中存在量は、本発明の末端変性ポリエステルを用いた
成形体の厚さにも依存するし、マスターバッチとして使
用することもできるので特に制限はされない。しかし、
通常のシート、ボトル、フィルムなどの成形品として使
用する場合を考慮すれば、成形品ポリエステル中の全酸
成分に対して、0.0005〜5モル%の範囲が一般的
であり、好ましくは0.005〜2モル%、更に好まし
くは0.01〜2モル%である。
【0016】以上の本発明の末端変性ポリエステルは、
PETについて従来から公知の方法に準じて製造される
が、一般式(1)で示される基をポリエステル末端に導
入するためには、ジカルボン酸成分とジオール成分とを
溶融重合するに際し、下記一般式(2)、(3)、
(4)または(5)で示されるようなエステル結合を形
成するためのカルボン酸基、ヒドロキシル基、またはエ
ステル結合の内1種以上を持つ化合物を1種以上添加す
る方法が好適である。
【0017】
【化7】
【0018】[式(2)中、R1、R2、R3は同一でも
異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロ
キシル基、ニトロ基、または置換されていてもよい炭素
数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル
基、アラルキル基もしくはアルキルアラルキル基を示
し、nは1〜10の整数であり、Xは水素原子または置
換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、アリ
ール基、アラルキル基を示す。] ここに、式(2)でnが0であると反応性が低く好まし
くない。反応性と相溶性の観点から、nは、好ましくは
1〜8、更に好ましくは1〜6である。以下のの式
(3)〜(5)においてもnの好ましい範囲は、式
(2)の場合と同様である。
【0019】一般式(2)で示される化合物として具体
的には以下のような化合物が例示できる。 メチル−5
−[3−(α,α−ジメチルベンジル−5−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]バレレート、 エチル−3−[3−t−ブチル−5
−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、 2
−[3−t−アミル−5−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]酢酸、ブチル
−2−[3−t−アミル−5−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]アセテー
ト、 アミル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]プロピオネート、 ベンジル−4−[3−t−オク
チル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−
4−ヒドロキシフェニル]ブチレート、 t−オクチル
−5−[3−t−オクチル−5−(5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェ
ニル]バレレート、エチル−4−[3−t−オクチル−
5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシフェニル]ブチレート。
【0020】
【化8】
【0021】[式(3)中、R1、R2、R3、R4
5、R6は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハ
ロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、または置換され
ていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ
基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアルキルアラ
ルキル基を示し、n、mは1〜10の整数であり、Yは
2価の置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキレ
ン基、フェニレン基、または下記一般式(6)もしくは
(7)で示される基を示す。)
【0022】
【化9】
【0023】(p、qは各々1〜10の整数を示す。)
【0024】
【化10】
【0025】(rは1〜5、sは1〜10の整数を示
す。) 一般式(3)で示される化合物として具体的には以下の
ような化合物が例示できる。 4−[3−t−オクチル
−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
ヒドロキシフェニル]酪酸とエチレングリコールとの縮
合物、 3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プ
ロピオン酸とポリエチレングリコールとの縮合物、 5
−[3−t−オクチル−5−(5−クロロ−2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]吉草酸とジエチレングリコールとの縮合物、 2
−[3−t−アミル−5−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]酢酸とポリエ
チレングリコールとの縮合物、 5−[3−(α,α−
ジメチルベンジル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]吉草酸とビスヒ
ドロキシエチルテレフタレートとの縮合物、3−[3−
t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオ
ン酸とエチレングリコールとの縮合物。
【0026】
【化11】
【0027】[式中R1、R2、R3、nは一般式(2)
と同じものを示す。] 一般式(4)で示される化合物として具体的には以下の
ような化合物が例示できる。 5−[3−(α,α−ジ
メチルベンジル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−4−ヒドロキシフェニル]ペンタノール、
3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]プロパノール、 2−[3−t−アミル−5−(2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ
フェニル]エタノール、 3−[3−t−アミル−5−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロ
キシフェニル]プロパノール、 3−[3−t−ブチル
−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
ヒドロキシフェニル]プロパノール、 4−[3−t−
オクチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシフェニル]ブチレート、 5−
[3−t−オクチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]
ペンタノール、 4−[3−t−オクチル−5−(5−
クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
ヒドロキシフェニル]ブタノール。
【0028】
【化12】
【0029】[式中R1、R2、R3、R4、R5、R6
n、m、Yは一般式(3)と同じものを示す。] 一般式(5)で示される化合物として具体的には以下の
ような化合物が例示できる。 4−[3−t−オクチル
−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
ヒドロキシフェニル]ブタノールとテレフタル酸との縮
合物、 5−[3−(α,α−ジメチルベンジル−5−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロ
キシフェニル]ペンタノールとコハク酸との縮合物、
2−[3−t−アミル−5−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エタノー
ルとアジピン酸との縮合物、 3−[3−t−アミル−
5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒ
ドロキシフェニル]プロパノールとシクロヘキサンジカ
ルボン酸との縮合物、3−[3−t−ブチル−5−(5
−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシフェニル]プロパノールとコハク酸との縮
合物、 3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プ
ロパノールとアジピン酸との縮合物、 5−[3−t−
オクチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]ペンタノー
ルとテレフタル酸との縮合物、 4−[3−t−オクチ
ル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−4−ヒドロキシフェニル]ブタノールとセバ
シン酸との縮合物。
【0030】本発明の末端変性ポリエステルの製造法
は、溶融重合法のみでもよいし、溶融重合で得られたプ
レポリマーを、さらに固相重合してもよい。前記の一般
式(2)、(3)、(4)または(5)で示される化合
物の添加の時期は、ジカルボン酸成分とジオール成分を
溶融重合する際であれば特に制限はない。溶融重合法は
PETについて従来から知られている方法に準じて行え
ばよく、例えば、テレフタル酸に代表されるジカルボン
酸と、エチレングリコールに代表されるジオール成分
に、一般式(2)、(3)、(4)または(5)で示さ
れる化合物の1種以上を加えて、加圧下で直接エステル
化反応を行った後、更に昇温すると共に次第に減圧して
重縮合反応させる方法がある。また、ジカルボン酸成分
とジオール成分との直接エステル化反応を行った後に、
一般式(2)、(3)、(4)または(5)で示される
化合物の1種以上を加えて更に昇温すると共に次第に減
圧して重縮合反応させる方法でもよい。あるいは、テレ
フタル酸のエステル誘導体、例えば、テレフタル酸ジメ
チルエステルとエチレングリコールに、一般式(2)、
(3)、(4)または(5)で示される化合物のうち1
種以上を加えてエステル交換反応を行い、その後得られ
た反応物を更に重縮合する方法でもよいし、テレフタル
酸ジメチルエステルとエチレングリコールを用いエステ
ル交換反応を行った後に、一般式(2)、(3)、
(4)または(5)で示される化合物のうち1種以上を
加えて、更に昇温すると共に次第に減圧して重縮合反応
させる方法でもよい。
【0031】このような重縮合反応は、1段階で行って
も、複数段階に分けて行ってもよい。複数段階で行う場
合、重合反応条件は第1段階目の重縮合の反応温度が通
常250〜300℃、好ましくは260〜290℃であ
り、圧力が通常1333〜1.3Pa(10〜0.1ト
ール)、好ましくは667〜2.6Pa(5〜0.2ト
ール)である。重縮合反応を2段階で実施する場合には
第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上
記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には第2段
目から最終段の1段前までの重縮合反応条件は、上記1
段目の反応条件と最終段目の反応条件との間である。例
えば、重縮合反応が3段階で実施される場合には、第2
段目の重縮合反応の反応温度は通常260〜295℃、
好ましくは270〜285℃であり、圧力は通常666
5〜27Pa(50〜2トール)、好ましくは5532
〜667Pa(40〜5トール)である。
【0032】以上のエステル化反応、エステル交換反応
および重縮合反応では、エステル化触媒、エステル交換
触媒、重縮合触媒、安定剤などを使用することが好まし
い。エステル交換触媒としては公知の化合物、例えばカ
ルシウム、チタン、マンガン、亜鉛、ナトリウムおよび
リチウム化合物などのうち、1種以上を用いることがで
きるが、透明性の点からマンガン化合物が好ましい。重
合触媒としては公知のゲルマニウム、アンチモン、チタ
ン、およびコバルト化合物などのうち1種以上を用いる
ことができるが、好ましくはゲルマニウムまたはアンチ
モン化合物が用いられる。添加量としては、エステル化
触媒、重合触媒とも金属量として全ポリマー成分に対し
て通常10〜500重量ppm、好ましくは20〜20
0重量ppmの範囲で用いられる。該範囲に満たない場
合には十分な反応速度が得られず、また該範囲を越える
場合には耐熱性の低下、色調の悪化等が見られ、好まし
くない。
【0033】安定剤としては、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホス
フェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスフ
ァイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフ
ェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチル
アシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェ
ート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェ
ートなどの酸性リン酸エステル類およびリン酸、亜リン
酸、ポリリン酸などのリン化合物が好ましい。安定剤
は、安定剤中のリン原子の重量として、全ポリマーの成
分に対して通常10〜1000重量ppm、好ましくは
20〜200重量ppmの範囲で用いられる。
【0034】以上のような溶融重合で得られたポリマー
は、必要に応じては更に固相重合を行い、高重合度化、
低アルデヒド化、低オリゴマー化してもよい。溶融重合
で得られたポリマーは、通常チップ化し、あらかじめ固
相重合を行うより低い温度に加熱して予備結晶化を行っ
た後、固相重合工程に供給することが望ましい。このよ
うな予備結晶化工程は、ポリマーチップを、乾燥状態
で、通常100〜200℃、好ましくは110〜180
℃で、通常1分〜4時間加熱して行う。固相重合工程は
少なくとも1段からなり、固相重合温度が、通常190
〜230℃、好ましくは190〜225℃、圧力が通常
1KG〜10トール、好ましくは常圧ないし100トー
ルの条件下で、窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不活
性雰囲気下で実施される。重合時間は固相重合温度が高
いほど短時間で所望の物性に到達するが、通常1〜60
時間、好ましくは5〜40時間である。
【0035】なお、本発明の末端変性ポリエステルで
は、公知の添加剤、例えば、安定剤、離型剤、帯電防止
剤、分散剤や染顔料等の着色剤をポリエステル製造時の
いずれかの段階で添加してもよく、あるいは、成形加工
前にいわゆるマスターバッチ処方で添加してもよい。染
顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、フタロ
シアニンブルー、フタロシアニングリーン、群青、コバ
ルトブルー、チタンイエロー、赤色酸化鉄、焼アンバ
ー、黄色酸化物等や、多環系を中心とした耐熱性油溶性
染料、具体的にはペリノン系、キノフタロン系、アンス
ラピリドン系、アンスラキノン系等の骨格を有する油溶
性染料が挙げられる。ポリエステル官能基と反応してポ
リエステル鎖に結合する構造を持ったものが特に望まし
く、また、ポリエステルとの相溶性が良く、ポリエステ
ルの製造および加工温度においても十分な耐熱安全性、
色調安定性を示し、さらに安全衛生上問題のない染顔料
が望ましい。
【0036】本発明の末端変性ポリエステルは溶融成形
して成形品とされる。その際、ポリエステルにおいて一
般的に使用される溶融成形法の全てが適用可能である。
具体的には通常の押し出し吹き込み法、射出吹き込み
法、予備成形体を再加熱後に二軸延伸するコールドパリ
ソン法などの吹き込み成形により、紫外線遮断性、気体
遮断性、強靱性、耐薬品性に優れると共に、高級感のあ
るガラス様の透明性を有した中空成形体を得ることが可
能である。また、押し出し成形によりシート化した後、
一軸または二軸延伸フィルム、あるいは他の樹脂との積
層フィルムとされる。なお、場合によっては、所定濃度
の数倍ないし100倍、実質的には5〜60倍程度の高
濃度の末端変性ポリエステルを、いわゆるマスターバッ
チとなし、これを他のポリエステルで希釈したり、ある
いは他のマスターバッチとブレンドして希釈したりして
使用することもできる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中「部」は「重量部」を意味する。本
実施例で使用した種々の測定法を以下に示す。 ・極限粘度 フェノール/テトラクロロエタン(50/50重量比)
中、30℃、1.0g/dlの濃度で測定した。 ・紫外線透過率 島津製作所製UV−3100S型、UV−VIS−NI
Rレコーディングスペクトロフォトメーターを用い測定
した。 ・ポリエステル末端に結合した紫外線遮断に有効な一般
式(1)で示される基の量 ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸を溶媒として
約2wt/vol%の濃度で、日本電子製JNM−EX270
FT−NMR装置を用いて1H−NMRスペクトルを測
定し、ポリエステルの全酸成分に対する末端共重合単位
量(モル%)を求めた。 ・一般式(1)で示される基がポリエステルの共重合成
分を構成していることの確認 末端変性ポリエステルにつき、下記の条件でゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)を行うことに
より確認した。すなわち、一般式(1)で示される基に
基づくUV吸収によりピークを検出したした場合、共重
合されていれば高分子量に相当する保持時間のピークが
観測されるが、共重合されていない場合は高分子量に相
当する保持時間のピークが観測されず、代わりに低分子
量に相当する保持時間のピークにおいて吸収が観測され
る。
【0038】(GPC条件)カラム:東ソー製 G5000H
×L+G4000H×L+G3000H×L 溶離液:ヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルムの5対95(vol)混
合液 検出 :350nmUV光 <実施例1>ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタ
レート20000部に、二酸化ゲルマニウム2部、正り
ん酸2部、及び3−[3−t−ブチル−5(2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]プロピオン酸とポリエチレングリコール(n=1
3)との2:1縮合物80部を加え、260℃から徐々
に昇温すると共に、常圧より漸次減圧し、280℃、1
33Pa(1torr)の真空下、全重合時間3.5時
間で極限粘度が0.60dl/gの透明ポリエステルを
得た。
【0039】該ポリエステルを通常の真空乾燥後、シリ
ンダーおよびノズルの各部を280℃、スクリュー回転
240rpm、射出時間20秒、金型温度20℃に設定
した、日本製鋼所製J28 2SA型射出成形機で60
mm×60mmの大きさで肉厚1mmシートを500枚
連続的に射出したときのシートの外観を観察した。更
に、得られたシートを、内槽温度90℃に設定したT.
M.Long Ltd製延伸機で3×3倍に同時二軸延
伸し、約100μm厚のフィルムを得、該フィルムの3
40nm及び380nmにおける光線透過率を測定し
た。以上の結果を表−1に示す。また、光線透過率曲線
を図1に示す。 <実施例2>3−[3−t−ブチル−5(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]
プロピオン酸とポリエチレングリコール(n=13)と
の2:1縮合物80部の代わりに、5−[3−t−オク
チル−5(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−4−ヒドロキシフェニル]吉草酸とジエチレ
ングリコールとの2:1縮合物100部を添加した以外
は、実施例1と同様に反応を行い、極限粘度0.58d
l/gの透明ポリエステルを得た。
【0040】実施例1と同様の条件で、500枚の連続
射出したときのシートの外観を観察した。また、実施例
1と同様にして得られた約100μm厚のフィルムの3
40nm及び380nmにおける光線透過率を測定し
た。以上の結果を表−1に示す。また、光線透過率曲線
を図1に示す。 <比較例1>3−[3−t−ブチル−5(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]
プロピオン酸とポリエチレングリコール(n=13)と
の2:1縮合物80部を用いなかった以外は実施例1と
同様な条件で重合し、極限粘度0.60dl/gの透明
ポリエステルを得た。実施例1と同様にして得られた約
100μm厚のフィルムの340nm及び380nmに
おける光線透過率の測定結果を表−1に示す。また、光
線透過率曲線を図1に示す。 <比較例2>ブロー用ポリエチレンテレフタレート樹脂
RT−543G(日本ユニペット製、極限粘度0.78
dl/g)300部に市販の代表的紫外線吸収材である
チヌビン326(Ciba Geigy社商品名、2−
(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール )1部をドライ
ブレンドし、実施例1と同様の条件で500枚の連続射
出をした。このとき成形機のノズル先端に黄色粉末状物
が付着し、射出200枚目頃からシート表面に黄色付着
物が目立った。実施例1と同様にして得られた約100
μm厚のフィルムの340nm及び380nmにおける
光線透過率の測定結果を表−1に示す。また、光線透過
率曲線を図1に示す。
【0041】
【表1】 <実施例3>ジメチルテレフタレート20000部に、
エチレングリコール12800部、酢酸マンガン4部、
3−[3−t−ブチル−5(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸
とポリエチレングリコール(n=13)との2:1縮合
物30部を加え、エステル交換槽内を260℃に昇温し
た。メタノールを留出させながら、240℃まで徐々に
昇温し、計3時間エステル交換反応を行った。該反応液
を重縮合槽に移した後、正リン酸3部、二酸化ゲルマニ
ウム3部を加えた後、漸次昇温、減圧しつつ、最終的に
280℃、1torrとし、計3.5時間重縮合反応
で、極限粘度0.61dl/gの透明ポリエステルを得
た。
【0042】該チップをBepex社製攪判型結晶化機
中にて、150℃で結晶化させた後、静置固相重合塔に
移し、30L/kg/hの窒素気体流通下、120℃〜
160℃で3時間乾燥後、210℃で20時間固相重合
処理を行った。該固相重合ポリエステルの極限粘度は
0.85dl/gであった。このポリエステルからシリ
ンダーおよびノズルの各部を275℃、スクリュー回転
100rpm、射出時間10秒、金型温度10℃に設定
した、東芝製IS−60B射出成形機でプリフォームを
成形した。このプリフォームを自製の二軸延伸ブロー成
形機でブロー成形し、内容積1.5Lの瓶を得た。この
瓶の350μm肉厚部の340nm及び380nmにお
ける光線透過率を表−2に示す。また、光線透過率曲線
を図2に示す。 <実施例4>3−[3−t−ブチル−5(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]
プロピオン酸とポリエチレングリコール(n=13)と
の2:1縮合物30部の代わりに、エチル−4−[3−
t−オクチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]ブチレ
ート240部を添加した以外は実施例3と同様に反応を
行い、極限粘度0.54dl/gの透明ポリエステルを
得た。
【0043】該ポリエステルを実施例3と同様な手法で
固相重合を行い、極限粘度0.80dl/gのチップを
得た。このチップ1部に対し、10部の割合でブロー用
ポリエチレンテレフタレート樹脂RT−543G(日本
ユニペット製)をドライブレンドした以外は実施例3と
同様な条件で成形し、1.5Lの瓶を得た。この瓶の3
50μm肉厚部の340nm及び380nmにおける光
線透過率を表−1に示す。また、光線透過率曲線を図2
に示す。 <実施例5>テレフタル酸13000部およびエチレン
グリコール6000部のスラリーを調整し、あらかじめ
300部のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ートを添加し、250℃に保持したエステル化槽に4時
間かけて順次供給した。 供給終了後、更に250℃で
1時間保持してエステル化反応を進行させた後、半量を
250℃に保持した重縮合槽に移し、3−[3−t−ブ
チル−5(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸とポリエチレング
リコールとの2:1縮合物80部、正リン酸1.1部、
および二酸化ゲルマニウム0.9部を加え、漸次昇温、
減圧しつつ、最終的に280℃、1torrとし、計
3.5時間の重縮合反応で、極限粘度0.52dl/g
の透明ポリエステルを得た。
【0044】このチップ1部に対し、5部の割合でブロ
ー用ポリエチレンテレフタレート樹脂RT−543G
(日本ユニペット製)をドライブレンドした以外は実施
例3と同様な条件で成形し、1.5Lの瓶を得た。この
瓶の350μm肉厚部の340nm及び380nmにお
ける光線透過率を表−2に示す。また、光線透過率曲線
を図2に示す。 <比較例3>3−[3−t−ブチル−5(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]
プロピオン酸とポリエチレングリコール(n=13)と
の2:1縮合物30部を用いなかった以外は、実施例3
と同様な条件で重縮合し、極限粘度0.61の透明ポリ
エステルを得た。さらに、実施例3と同様な手法で固相
重合を行い、極限粘度0.87dl/gの透明ポリエス
テルを得た。
【0045】このポリエステルを実施例3と同様な条件
で成形し、内容積1.5Lの瓶を得た。この瓶の350
μm肉厚部の340nm及び380nmにおける光線透
過率を表−2に示す。また、光線透過率曲線を図2に示
す。
【0046】
【表2】 <実施例6>実施例1で得られた約100μm厚のフィ
ルムを40mm×70mmに切り出し、n−ヘプタン5
60ml、40℃中に浸漬した。10日後フィルムを取
り出し、水洗、風乾後の340nm及び380nmにお
ける光線透過率は各々8.0%および37%を示した。 <実施例7>実施例2で得られた約100μm厚のフィ
ルムを用い、実施例6と同様にn−ヘプタン中、40
℃、10日間処理した後の、340nm及び380nm
における光線透過率は各々1.3%および10%を示し
た。 <比較例4>比較例1で得られたポリエステル250部
に対し、3−[3−t−ブチル−5(2H−ベンゾトリ
アゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロ
ピオン酸とポリエチレングリコール(n=13)との
2:1縮合物1部の割合で、シリンダーおよびノズルの
各部を275℃、スクリュー回転40rpmに設定し
た、東芝製TEM−35二軸押出機にて混練し、透明チ
ップを得た。
【0047】実施例1と同様にして得られた約100μ
m厚のフィルムの340nm及び380nmにおける光
線透過率は各々8.2%および39%を示した。更に、
実施例6と同様にn−ヘプタン中、40℃、10日間処
理した後の、340nm及び380nmにおける光線透
過率は各々22%および55%を示した。 <比較例5>比較例1で得られたポリエステル250部
の代わりに200部、3−[3−t−ブチル−5(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフ
ェニル]プロピオン酸とポリエチレングリコール(n=
13)との2:1縮合物1部の代わりに、5−[3−t
−オクチル−5(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]吉草酸とジ
エチレングリコールとの2:1縮合物1部を用いて、比
較例4と同様に操作して得られた約100μm厚のフィ
ルムの340nm及び380nmにおける光線透過率は
各々1.4%および10%を示した。更に、実施例6と
同様にn−ヘプタン中、40℃、10日間処理した後
の、340nm及び380nmにおける光線透過率は各
々5.4%および21%を示した。
【0048】表−3に実施例6〜7と比較例4〜5の溶
出試験の結果をまとめたが、これより実施例6、7では
添加化合物がポリエステル鎖に共重合されていて溶出が
全くなく、光線透過率が一定であることがわかる。
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】本発明の末端変性ポリエステルは、短波
長領域のみならず、長波長領域の紫外線も十分に遮断し
得るものであり、透明性も良好である。また、耐熱性に
優れ、分解しにくいので、重合・成形の際のトラブル
や、成形品や金型表面への着色付着物の発生という問題
も少ない。更に、耐加水分解性が改善され、従来のポリ
エステルで問題となっている成形時のアセトアルデヒド
やオリゴマーの副生も抑制される。
【0051】従って、本発明の末端変性ポリエステル
は、低分子化合物の移行が問題となる食品容器や包装に
用いることができ、特に紫外線により劣化しやすい内容
物を充填するボトル、農芸用フィルム、その他の紫外線
遮断シートとして好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜2及び比較例1〜2で得られたポリ
エステル樹脂の光線透過率曲線を示す図である。
【図2】実施例3〜5及び比較例3で得られたポリエス
テル樹脂組成物の光線透過率曲線を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−267937(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
    ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とする
    極限粘度が0.4〜1.2dl/gのポリエステルであ
    って、末端に下記一般式(1)で示される基が、紫外線
    遮断に有効な量で結合している末端変性ポリエステルを
    製造するに際し、ジカルボン酸成分とジオール成分と
    を、下記一般式(2)で示される化合物を添加して溶融
    重合した後、更に固相重合することを特徴とする末端変
    性ポリエステルの製造法。 【化1】 [式(1)中、R1 、R2 、R3 は同一でも異なってい
    てもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、
    ニトロ基、または置換されていてもよい炭素数1〜10
    のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アラルキ
    ル基もしくはアルキルアラルキル基を示し、nは1〜1
    0の整数を示す。] 【化2】 [式(2)中、R1 、R2 、R3 は同一でも異なってい
    てもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、
    ニトロ基、または置換されていてもよい炭素数1〜10
    のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アラルキ
    ル基もしくはアルキルアラルキル基を示し、nは1〜1
    0の整数であり、Xは水素原子または置換されていても
    よい炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラル
    キル基を示す。]
  2. 【請求項2】 ジカルボン酸成分とジオール成分とを溶
    融重合するに際し添加する化合物が、前記一般式(2)
    におけるXが置換基を有さないアルキル基の化合物であ
    ることを特徴とする請求項1の末端変性ポリエステルの
    製造法。
  3. 【請求項3】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
    ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とする
    極限粘度が0.4〜1.2dl/gのポリエステルであ
    って、末端に請求項1記載の一般式(1)で示される基
    が、紫外線遮断に有効な量で結合している末端変性ポリ
    エステルを製造するに際し、ジカルボン酸成分とジオー
    ル成分とを、下記一般式(3)で示される化合物を添
    して溶融重合することを特徴とする末端変性ポリエステ
    ルの製造法。 【化3】 [式(3)中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6
    同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原
    子、ヒドロキシル基、ニトロ基、または置換されていて
    もよい炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、ア
    ルケニル基、アラルキル基もしくはアルキルアラルキル
    基を示し、n、mは1〜10の整数であり、Yは2価の
    置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキレン基、
    フェニレン基、または下記一般式(6)もしくは(7)
    で示される基を示す。] 【化4】 [式(6)中、p、qは各々1〜10の整数を示す。] 【化5】 [式(7)中、rは1〜5、sは1〜10の整数を示
    す。]
  4. 【請求項4】 溶融重合した後、更に固相重合すること
    を特徴とする請求項3の末端変性ポリエステルの製造
    法。
  5. 【請求項5】 紫外線遮断に有効な量が、ポリエステル
    中の全酸成分に対して0.0005〜5モル%であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至のいずれかの末端変性ポ
    リエステルの製造法。
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