JPH0620546B2 - 分子ふるい炭素及びその製造法 - Google Patents

分子ふるい炭素及びその製造法

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JPH0620546B2
JPH0620546B2 JP63057175A JP5717588A JPH0620546B2 JP H0620546 B2 JPH0620546 B2 JP H0620546B2 JP 63057175 A JP63057175 A JP 63057175A JP 5717588 A JP5717588 A JP 5717588A JP H0620546 B2 JPH0620546 B2 JP H0620546B2
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千郷 丸茂
英司 早田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は分子ふるい炭素および、その製造法に係り、さ
らに詳しくは、微細な細孔の分子ふるい効果により、混
合ガスの分離精製等の分野に応用される分子ふるい炭素
および、その製造法に関する。
(従来の技術) 従来より、分子ふるい効果を有する吸着剤としては、シ
リカ・アルミナ系のゼオライトが広く用いられ、ガスの
分離および精製に重要な役割を果たしている。しかしな
がら、上記ゼオライト系分子ふるいは、極性且つ親水性
であり耐熱性,耐薬品性に劣り、そして水のような極性
物質に対する選択的吸着性が強く、極性物質の存在下で
は分子ふるい効果を示さないという欠点を有している。
ところで、最近、非極性であって疎水性を示す炭素を素
材とした分子ふるいの製造が可能となった。この種の分
子ふるい炭素は、耐熱性,耐薬品性に優れ、極性物質の
存在下においても使用可能な分子ふるいとして注目を集
めている。
特公昭49−37036号公報には、重合又は縮合によ
りフェノール系樹脂あるいはフラン系樹脂を作る原料物
質を活性炭に吸着させ、重合又は縮合させたのち、40
0〜1000℃に加熱して分子ふるい炭素吸着剤を製造
する方法を開示している。この方法は、予め製造してお
いた細孔の大きい活性炭に上記の如き合成樹脂原料物質
を触媒とともに吸着させた後、再び炭化処理する方法を
理解される。
特公昭52−47758号公報には、サラン廃棄物を高
温で加熱した後粉砕し、コールタールピッチの如き焼結
剤,アビヤルの如き造粒剤を加えて造粒後、再び400
〜900℃の温度に加熱乾溜する方法が開示されてい
る。この方法によれば、安価な原料(サラン廃棄物)を
利用して、分子ふるい炭素を製造することができるとい
う利点がある。
特公昭52−18675号公報には、5%までの揮発性
成分を含有するコークスを、熱分解によって炭素を放出
する炭化水素を添加して600〜900℃の温度で1〜
60分間又はそれ以上の時間処理することによって、放
出されたカーボンを該コークスの細孔中に吸着させ、か
くして約4Å以下の小さな分子直径をもつガスの分離に
使用されるカーボン含有分子篩を製造する方法が開示さ
れている。
特公昭54−8200号公報には、分子篩コークスを空
気と接触させて空気中の酸素を選択的に吸着させ、次い
で減圧下で脱着させて酸素富化空気を製造するための装
置が開示されている。
特公昭49−106982号公報には、コースクに常圧
ないし減圧下での沸点が200〜360℃の有機化合物
を含浸させることにより、コースクの過大な細孔を2〜
6Åに減少せしめて、特に0とNの分離に適した分
子篩コークスを製造する方法を開示している。
特公昭54−17595号公報には、前記特公昭52−
18675号公報に記載された方法により製造された分
子篩コークスを用いて空気の如き窒素以外に少なくとも
酸素を含有するガスから窒素富化ガスを製造する方法が
開示されている。
特公昭58−54083号公報には、粘結剤を用いて微
粒子の、活性炭でない炭又はコークスを成形し、成形物
を乾留して炭素含有吸着媒を製造する方法において、活
性炭でない炭又はコークスを100μm以下の粒度に粉
砕し、5〜20重量%の天然及び/又は合成ゴム並びに
1〜15重量%の熱可塑性物質と混合し、この混合物を
成形物に加上し、そしてこの成形物を不活性な雰囲気の
下で約400〜1400℃に加熱する方法が開示されて
いる。
また特公昭59−45914号公報には、やし殻炭粉末
をコールタールピッチ及び/又はコールタールをバイン
ダーとして造粒し、750℃〜900℃で乾留し、乾留
炭を希鉱酸水溶液で洗浄しそして水洗したのち乾燥した
ものに、1〜3%のコールタールピッチ及び/又はコー
ルタールを加えて200〜400℃にて含浸させたのち
950〜1000℃まで昇温し、該温度で10〜60分
間熱処理を行い、不活性ガス中で冷却後製品を取出す方
法によって炭素系分子篩を製造する方法が開示されてい
る。
(発明が解決しよとする問題点) 本発明の目的は、新規な分子ふるい炭素を提供すること
にある。
本発明の他の目的は、極めて特殊な多孔質構造を有する
分子ふるい炭素を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、吸着選択係数および拡散速
度比が大きくしかも吸着容量も極めて大きい分子ふるい
炭素を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記分子ふるい炭
素の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記分子ふるい炭
素がある種のガス混合物の分離に最適であるという発見
に基づき、該分子ふるい炭素をそのようなガス混合物の
分離に使用することを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から
明らかとなろう。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、 (A)粒径0.8〜120μmの多数の球状炭素粒子が三
次元的に不規則に重なり且つ合体された構造を有し、 (B)該多数の炭素粒子の間には三次元的に不規則に走
る平均直径0.1〜20μmの連続通路が存在し、 (C)該多数の炭素粒子の夫々は、該粒子の間の通路に
連通する平均細孔直径10Å以下の多数の細孔を有し、
該細孔容積は0.1〜0.7cc/gであり (D)少なくとも85重量%の炭素含有率を有し、 (E)嵩密度0.7〜1.2g/cc であることを特徴とする分子ふるい炭素によって達成さ
れる。
添付図面の第1図および第2図は、本発明の分子ふるい
炭素の走査型電子顕微鏡写真である(倍率は第1図で約
300倍、第2図で約1000倍である)。
第3図は本発明の分子ふるい炭素の吸着特性の測定装置
の系統図である。
第4図は本発明の分子ふるい炭素を吸着剤として使用す
る圧力スイング吸着装置の系統図である。
また、本発明の上記分子ふるい炭素は、本発明によれ
ば、 (イ)(A)熱硬化性フェノール樹脂微粉末、 ここで、該熱硬化性フェノール樹脂微粉末は、(a)粒径
1〜150μmのフェノール樹脂の球状一次粒子または
それとその二次凝集物からなり、 (b)少なくとも全体の50重量%は100タイラーメッ
シュ篩を通過し得る大きさであり、 (c)KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルにおいて
1600cm-1のピークの吸収強度をD1600,900〜
1015cm-1の範囲の最も大きなピークの吸収強度を
900〜1015,890cm-1のピークの吸収強度をD890
で表わした場合に、下記式 D900〜1015/D1600=0.2〜9.0 D890/D1600=0.09〜1.0 を満足し、且つ (d)還流下でのメタノールに対する溶解度が50重量%
以下である、 によって特定される、 (B)熱硬化性樹脂の溶液、 ここで、該熱硬化性樹脂はフェノール樹脂又はメラミン
樹脂である。
および (C)高分子バインダー、 ここで、該高分子バインダーは、ポリビニルアルコール
および水溶性又は水膨潤性セルロース誘導体から選らば
れる。
から構成され且つ該熱硬化性フェノール樹脂微粉末(A)
100重量部当り、該熱硬化性樹脂の溶液(B)5〜50
重量部(固形分として)および高分子バインダー(C)1
〜30重量部である。
原料混合物を準備し、 (ロ)この原料混合物を粒状物に成形し、 そして (ハ)この粒状物を、非酸化性雰囲気下、500〜110
0℃の範囲の温度で、加熱処理して炭化した粒状物を生
成する。
ことを特徴とする方法によって製造される。
本発明方法において、工程(1)において用いられる熱硬
化性フェノール樹脂微粉末(A)は粒径1〜150μmの
フェノール樹脂の球状一次粒子または、それとその二次
凝集物からなる。好ましい球状一次粒子の粒径は2〜8
0μmの範囲にある。
また、上記微粉末(A)は全体の少なくとも50重量%
は、100タイラーメッシュ篩を通過しうる大きさであ
る。より好ましくは、全体の少なくとも90重量%は1
00タイラーメッシュ篩を通過しうる大きさである。
上記微粉末(A)は適度にしかしながら可成りの割合でメ
チロール基を含有する。すなわち、上記微粉末(A)は、
KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルにおいて16
00cm-1(ベンゼンに帰属する吸収ピーク)の吸収強
度をD1600,900〜1015cm-1(メチロール基に
帰属する吸収ピーク)の範囲の最も大きな吸収強度をD
900〜1015,890cm-1(ベンゼン核の孤立の
水素原子の吸収ピーク)の吸収強度をD890で表わした
場合に下記式 D900〜1015/D1600=O.2〜9.0 および D890/D1600=0.09〜1.0 を満足する。
900〜1015/D1600の比の値は、好ましくは0.3〜7.
0の範囲にあり、より好ましくは0.4〜0.5の範囲にあ
る。
さらに、上記微粉末(A)は、還流下でのメタノールに対
する溶解度が50重量%以下であることによっても特定
される。
ここで上記メタノール溶解度は、試料約100gを精秤
し(その精秤重量Cとする)、100%のメタノール約
500m中において30分間還流下で加熱処理した
後、ガラスフィルターで濾過し、さらにフィルター残試
料をフィルター上で約100mのメタノールで洗浄
し、ついでフィルター残試料を100℃の温度で2時間
乾燥し(その精秤重量をDとする)下記の式で求められ
るものである。
上記式で定義されるメタノール溶解度は上記フェノール
樹脂微粉末(A)が架橋密度が適度にコントロールされ且
つメチロール基を可成り多量に含有しているという構造
を有することによって発現する性質である。
すなわち、架橋密度が低くメチノール基の含有量が大き
い場合にはメタノール溶解度が高く、逆に架橋密度が高
く、反応性メチロール基が減少するとメタノール溶解度
は低くなる。この発明に用いるフェノール樹脂微粉末
(A)のメタノール溶解度は好ましくは1〜40%であ
り、より好ましくは2〜35%である。
本発明で用いられる上記フェノール樹脂微粉末(A)は、
塩酸(HCl)濃度が5〜28%であり、且つホルムア
ルデヒド(HCHO)濃度が3〜25%である塩酸・ホ
ルムアルデヒド浴に、下記式(1) で表される浴比が8以上となるように維持してフェノー
ル類を接触させる。そして、この接触をフェノール類が
この浴と接触した後白濁を生成し、しかる後少なくとも
ピンク色の球状の固形分が形成されるように行うことに
よって製造することができる。
上記フェノール類としては、フェノールが最も好適であ
るが、少なくとも70重量%(以下「%」と略す)、特
に少なくとも75%のフェノールを含有するものであれ
ばo−クレゾール,m−クレゾール,p−クレゾール,
ビス−フェノールA,o−,m−またはp−C〜C
アルキルフェノール,p−フェニルフェノール,キシレ
ノール,ハイドロキノンまたはレゾルシン等の公知のフ
ェノール誘導体の1種またはそれ以上との混合物である
ことができる。上記製法の特徴は、塩酸濃度をかなり高
濃度に設定し、しかもフェノールに対してホルムアルデ
ヒドが過剰になるように含有する塩酸・ホルムアルデヒ
ド水溶液を、浴比が8以上、好ましくは10以上という
大きな比率でフェノールと接触させることにある。この
ようなフェノール−ホルムアルデヒドの反応条件は、公
知のノボラック樹脂およびレゾール樹脂の反応条件とは
根本的に異なっている。すなわち、従来のノボラック樹
脂の製造と対比すると、酸触媒を使用することは同じで
あるが、この製法では、酸触媒の濃度がノボラック樹脂
製造に比べてかなり高く、かつホルムアルデヒド濃度も
かなり高い点で相違する。すなわち、ノボラック樹脂
は、通常、フェノール(A)とホルムアルデヒド(B)のモル
比(A)/(B)が例えば1/0.7〜1/0.9となるようなフ
ェノール過剰の状態において、例えばシユウ酸のような
酸触媒の存在下(通常0.2〜2%)でフェノールとホル
マリンとを反応させることによって製造されている。こ
のような方法で得られるノボラック樹脂では、フェノー
ル核がメチレン基によって結合された3〜5量体が主成
分をなしており、活性に富んだメチロール基を殆ど含有
しない。したがって、ノボラック樹脂自体は自己架橋性
を有せず、熱可塑性である。このようなノボラック樹脂
は、例えばヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)の
ようなそれ自体ホルムアルデヒド発生剤であるとともに
有機塩基(触媒)発生剤でもある架橋剤と加熱下におい
て反応させるか、または例えば固体酸触媒とパラホルム
アルデヒド等と混合し、加熱反応させることによって硬
化樹脂となる。従って、製造法の相違に伴い本発明で使
用されるフェノール樹脂微粉末(A)はノボラック樹脂と
完全に相違する。
また従来のレゾール樹脂の製造と対比すると、過剰のホ
ルムアルデヒドを使用する点では同じであるが、レゾー
ル樹脂の製造とは異なり酸触媒を使用する。
レゾール樹脂は、例えば、水酸化ナトリウム,アンモニ
ウム,有機アミンのような塩基性触媒(約0.2〜2%)
の存在下において、フェノール(A)対ホルムアルデヒド
(B)のモル比(A)/(B)を1〜1/2のようなホルムアル
デヒド過剰の条件に設定し、反応させることによって製
造されている。このようにして得られるレゾール樹脂
は、比較的多量の活性メチロール基を有するフェノール
の1〜3量体が主成分をなしており、反応性が極めて大
であるために通常、固形分60%以下の、水またはメタ
ノール溶液として使用に供される。このレゾール樹脂
は、極めて反応性が高いために粒状または粉末状として
長期にわたって安定な固形物にはできず、またその硬化
物は三次元構造が硬度に進行しているために硬度が大き
く、これを微小な粉末状にすることは非常に困難であ
る。
それ故、本発明で使用されるフェノール樹脂微粉末(A)
はレゾール樹脂とも全く相違する。
本発明で用いられる上記微粉末(A)の上記製法は例えば
特開昭57−177011号公報および特開昭58−1
11822号公報に開示されている。
本発明で用いられる上記微粉末(A)は、一般に、アセチ
ル重量増加率が23〜80%であるという特性をも有し
ている。ここでアセチル重量増加率とは、乾燥試料約1
0gを精秤し(その精秤重量はAとする)、この精秤し
た試料を無水酢酸78%,酢酸20%およびO−リン酸
2%からなるアセチル化浴約300g中に添加し、つい
で室温から115℃まで45分間かけて昇温加熱し、さ
らに115℃で15分間保持し、その後放冷し、ガラス
フィルターで吸引濾過しフィルター上で純水により充分
に洗浄した後、少量の冷メタノールで洗浄し、フィルタ
ー残留物を2時間70℃で乾燥し、さらにデシケーター
中において一昼夜放置し(フィルター残留物の乾燥重量
をBとする)、下記の式で求められる。
上記アセチル重量増加率が23〜80%という特性は、
フェノール樹脂粉末が上記アセチル重量増加率に対応す
るメチノール基およびアセチル化可能なフェノール性水
酸基を含有している事実を示している。
本発明方法の工程(1)で用いられる他の原料(B)の熱硬化
性樹脂の溶液はフェノール樹脂又はメラミン樹脂の溶液
である。
フェノール樹脂の溶液としては、例えば液状のレゾール
樹脂またはノボラック樹脂が挙げられる。レゾール樹脂
は、フェノール類をアルデヒド類と塩基性触媒の存在下
で反応させることにより得られる初期生成物であり、通
常メチロール基に富む分子量約600以下の自己熱架橋
性のフェノール樹脂である。通常メタノールやアセトン
を溶媒として液状樹脂として使用されることが多いが、
フェノール1モルに対し、1.5〜3.5モルのアルデヒド
類をやや過剰のアルカリ触媒の存在下で反応させた初期
縮合物を安定な水溶性の状態に保った水溶性レゾール樹
脂としても使用される。レゾール樹脂の硬化を促進する
硬化触媒としては、硫酸,塩酸等の無機酸,あるいはシ
ュウ酸,酢酸,パラトルエンスルホン酸,マイレン酸,
マロン酸等の有機酸類を使用することができる。ノボラ
ック樹脂は、前述の如く、フェノール類とアルデヒド類
をモル比が例えば1/0.7〜1/0.9となるようなフェ
ノール過剰の状態において、例えばシュウ酸,ギ酸,塩
酸等の酸触媒の存在下で、フェノールとホルマリンを反
応させて得られる。メタノール,アセトン等の溶媒によ
り液状樹脂として供給することができる。このノボラッ
ク樹脂は、例えばヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミ
ン)を加えて加熱反応させることにより硬化することが
できる。
メラミン樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒドの初期縮
合物であり、水溶性を有するので水溶液として使用でき
る。メラミン樹脂の硬化剤としては、例えば塩酸,硫酸
等の無機酸やシュウ酸ジメチルエステルの様なカルボン
酸エステル類,エチルアミン塩酸塩やトリエタノールア
ミン塩酸塩のようなアミン類の塩酸塩等を用いることが
できる。
さらに、上記工程(1)で用いられる高分子バインダーは
ポリビニルアルコール又は、水溶性もしくは水膨潤性セ
ルロース誘導体である。ポリビニルアルコールとして
は、重合度100〜5000.けん化度70%以上のも
のが好ましく使用される。カルボキシル基等で一部変性
されたものも好適に用いられる。
また、セルロース誘導体としては、例えばメチルセルロ
ース,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等が好適に使用される。セルローズ
誘導体は、メトキシ基(−OCH),ヒドロキシプロ
ポキシ基(−OCOH)の導入量,重合度等によ
り各種粘度のものとして用いることが出来る。
本発明方法の工程(イ)は、上記の如き、熱硬化性フェノ
ール樹脂微粉末(A)、熱硬化性樹脂の溶液(B)および高分
子バインダー(C)を混合することによって実施される。
その際、熱硬化性フェノール樹脂微粉末(A)100重量
部に対し、熱硬化性樹脂の溶液(B)を固形分として5〜
50重量部および高分子バインダー(C)1〜30重量部
を使用する。また、熱硬化性フェノール樹脂微粉末(A)
100重量部当り熱硬化性樹脂の溶液(B)が7〜40重
量部、より好ましくは10〜30重量部であり、高分子
バインダーが好ましくは、2〜20重量部、より好まし
くは3〜15重量部である。
上記成分(A),(B)および(C)の場合は、上記成分(A),
(B)および(C)をそのまま混合することができ、あるいは
成分(A),(B)および(C)の他に例えば水を加え、水の存
在下に、充分に混合することもできる。水は、例えば成
分(A),(B)および(C)を混合する前に、成分(C)を水に溶
解した形で添加することもできる。水は、好ましくは、
工程(1)で得られる均一混合物固形分を基準にして5〜
30重量%であり、より好ましくは8〜20重量%であ
る。
また、本発明方法の工程(イ)を実施する際には、成分
(A),(B)および(C)の他に、例えば澱粉、その誘導体ま
たは変性体を、熱硬化性フェノール樹脂微粉末(A)10
0重量部当り5〜50重量部より好ましくは10〜40
重量部で使用することができる。
澱粉の如き上記化合物としては、例えば馬鈴薯澱粉,と
うもろこし澱粉の如き澱粉;酢酸澱粉,硫酸澱粉,燐酸
澱粉の如きエステル化澱粉,ヒドロキシアルキル澱粉,
カルボキシメチル澱粉の如きエーテル化澱粉,燐酸ジス
ターチ,グリセロールジスターチの如き架橋澱粉等の澱
粉誘導体,あるいは酵素変性デキストリンの如き変性澱
粉等を用いることができる。澱粉等のこれらの成分は、
気孔形成材として好適に作用するものであり、後述する
非酸化性雰囲気下での炭化時の熱分解による気孔の生成
に関与するものと信じられる。これらの成分は、工程
(イ)において、粉体として、水に分散させた状態で、あ
るいは温水でアルファー化処理等の熱処理をした状態
で、使用することができる。
また、本発明の分子ふるい炭素の製造にあたっては、そ
の特性を失なわない範囲で、作業性の向上のため、例え
ばエチレングリコール,ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポリカル
ボン酸アンモニウム塩等の界面活性剤,液状熱硬化性樹
脂の硬化剤,ポリビニルアルコールの架橋剤,押出造粒
用の可塑剤,ヤシガラ微粉末,コール微粉末,タール,
ピッチあるいはその他の合成樹脂等を少量加えることが
できる。
工程(イ)の均一混合物の準備には、上記の如き原料物質
を、例えばリボンミキサー,V型ミキサー,コーンミキ
サー,ニーダー等で混合することができる。
例えばこれらの混合機の中で、所定量の熱硬化性フェノ
ール樹脂微粉末(A)に、場合により澱粉等を加えて乾式
混合したのち、所定量の熱硬化性樹脂の溶液(B)および
予め温水に溶解して準備したポリビニルアルコールの如
き高分子バインダー(C)を加えて十分に混合することに
よって、工程(イ)が実施できる。
本発明法によれば、工程(イ)で準備された均一混合物は
次いで工程(ロ)で粒状物に成形される。粒状物への成形
は、例えば単軸あるいは、二軸の湿式押出造粒機,バス
ケット・リューザーの如き竪型造粒機,半乾式でのディ
スクペレッター等により行うことができる。
特に湿式の押出造粒剤機により造粒した粒状体は、粒子
の強度が大きく、炭化後の分子ふるい炭素の分離能も大
きいので好ましい。粒状物の形状は、例えば円柱状ある
いは球状である。工程(ロ)の造粒により得られる粒状体
の大きさは特に制限されないが、例えば円柱では、直径
0.5〜5mm、長さ1〜10mm程度、球状の場合には
直径0.5〜10mm程度が好ましい。
工程(ロ)で成形された粒状物は、本発明方法によれば、
次いで工程(ハ)において、非酸化性雰囲気下、500〜
1100℃の範囲の温度で加熱処理して炭化した粒状物
を主成する。
非酸化性雰囲気は例えばH,Ar,He,Nである
ことができる。
工程(ハ)の加熱処理温度が500℃より低い場合には、
比表面積が小さく、充分な吸着容量がなくしかも吸着選
択性の低い炭化物しか得られない傾向が大きく、また同
温度が1100℃より高い場合には得られた炭化物の細
孔が収縮して結局比表面積、細孔容積が減少しそして吸
着容量が低い炭化物しか得られない傾向が大きくなる。
工程(3)の好ましい加熱処理温度は600℃〜1000
℃であり、さらに好ましい加熱処理温度は650℃〜9
50℃である。
また、工程(3)の加熱処理温度に到達するまでの昇温速
度は好ましくは5〜300℃/hrであり、より好まし
くは10〜180℃/hrであり、さらに好ましくは1
5〜120℃/hrである。
本発明によれば、上記工程(3)に引き続いて、該炭化し
た粒状物を、酸化性雰囲気下、500〜1100℃の範
囲の温度で該炭化した粒状物が15重量%までの範囲で
重量減少するまで、加熱処理することができる。
酸化性雰囲気は、例えば空気,HO,CO等である
ことができる。
酸化性雰囲気での加熱温度は好ましくは500〜100
0℃であり、より好ましくは650〜950℃である。
(発明の効果) かくして、本発明によれば、上記のとおり、 (A)粒径0.8〜120μmの多数の球状炭素粒子が三次
元的にランダムに重なり且つ合体された構造を有し、 (B)該多数の炭素粒子の間には三次元的にランダムに走
る連続通路が存在し、 (C)該多数の炭素粒子の夫々は、該粒子の間の通路に連
通する多数の細孔を有し、そして (D)少なくとも85重量%の炭素含有率を有する、こと
を特徴とする分子ふるい炭素が提供される。
本発明の分子ふるい炭素の上記(A),(B)の構造上の特徴
は、添付の第1図及び第2図の走査型電子顕微鏡写真に
よく表われている。
本発明の分子ふるい炭素は、好ましくは多数の球状炭素
粒子が粒径2〜80μmを有する。
また、上記(B)の特性に関し、本発明の分子ふるい炭素
は、好ましくは多数の炭素粒子の間の連続通路の平均直
径は0.1〜20μmである。
本発明の分子ふるい炭素は、上記(A),(B)の特徴と合俟
って、上記多数の炭素粒子の夫々が、上記粒子間の通路
に連通する多数の細孔を有する。この多数の細孔の存在
が本発明の分子ふるい炭素の選択吸着性の発現に大きく
寄与している。
多数の炭素粒子の中の該細孔は好ましくは約10Å以下
の平均直径を有する。
また、該細孔の占める容積は分子ふるい炭素の重量1g
当り好ましくは0.1〜0.7ccであり、より好ましくは
0.15〜0.5ccであり、さらに好ましくは0.2〜0.4
ccである。
本発明の分子ふるい炭素は、組成上の特徴として、少な
くとも85重量%の炭素含有率を有し、好ましくは少な
くとも90重量%の炭素含有率を有する。
上記製造方法から理解されるとおり、本発明の分子ふる
い炭素の上記多数の球状炭素粒子は粒径1〜150μm
のフェノール樹脂の球状粒子に、由来するものと信じら
れる。
本発明の分子ふるい炭素は、気孔率が好ましくは25〜
50容積%であり、より好ましくは30〜45容積%で
ある。
また、本発明の分子ふるい炭素は嵩密度が好ましくは0.
7〜1.2g/ccであり、より好ましくは0.8〜1.1g
/ccである。
本発明の分子ふるい炭素は、上記の如く、好ましくは、
平均直径10Å以下の細孔を有するが好ましくはこの細
孔は平均直径3〜5Åの範囲に最も多く分布している。
また、本発明の分子ふるい炭素は、これより大きい細
孔、例えば平均直径15〜200Åの細孔を、通常0.2
cc/g以下、好ましくは0.15cc/g以下、より好
ましくは0.1CC/g以下の細孔容積でしか有さない点
でも特徴的と言える。
本発明の分子ふるい炭素の比表面積は、N吸着による
B.E.T.法により測定した値として、通常5〜60
0m/g、好ましくは10〜400m/g、最も好
ましくは20〜350m/g程度である。
この点に関し、通常用いられている比表面積1000〜
1500m/gの活性炭は、ミクロ孔の細孔径分布の
極大値は細孔直径15Å程度以上の領域にあり、細孔直
径15〜200Åの範囲の細孔容積は0.4〜1.5cc/
g程度であり、本発明の分子ふるい炭素のような分子ふ
るい特性を有していない。
本発明の分子ふるい炭素は、例えば円柱状あるいは球状
で通常提供される。本発明の分子ふるい炭素は、直径0.
5〜5mm、長さ1〜10mmの円柱状又は直径0.5〜
10mmの球状の形態にある。
本発明の分子ふるい炭素は、上記の如く極めて容易に製
造することができ、また優れた吸着容量と選択的吸着特
性を有する。そのため、本発明の分子ふるい炭素は種々
の混合ガスの分離に使用することができる。例えば、窒
素ガスと酸素ガスの気体混合物、メタンガスと水素ガス
の気体混合物、キシレン異性体,ブタン異性体,ブテン
異性体等の炭化水素異性体混合物,エチレンとプロピレ
ンの混合物、水素と一酸化炭素の気体混合物、アルゴン
を含む気体混合物等の分離に使用できる。より具体的
に、例えば窒素ガスと酸素ガスを含有する気体混合物か
ら、窒素ガス、酸素ガス又は窒素ガスを酸素ガスのいず
れが一方が富化された気体混合物を取得するために使用
することができ、あるいはメタンガスと水素ガスを含有
する気体混合物から、メタンガス、水素ガス又はメタン
ガスと水素ガスのいずれか一方が富化された気体混合物
を取得するために使用することができる。
そのために、圧力スイング吸着法を採用するのが望まし
い。この方法によって、その他、スチームリフォーミン
グガス,エチレンプラントオフガス,メタノール分解ガ
ス,アンモニア分解ガス、コークス炉排ガス等よりの水
素回収あるいは転炉排ガスよりの一酸化炭素の回収等を
実施することができ、それによって好結果を得ることが
できる。
次に、本発明に用いた測定方法について以下に示す。
(1)細孔容積,細孔径分布の測定: 本発明の分子ふるい炭素の細孔容積及び細孔径分布は、
細孔直径60Å〜500μmの範囲の細孔については、
ポロシメーターによる水銀圧入法(島津製作所製,ポア
サイザー9310)により測定した。
また、細孔直径60Å以下の細孔については、窒素ガス
の吸着等温線により、下記のいわゆるケルビン式により
求めた。
P :吸着ガスが細孔に吸着するときの飽和蒸気圧、 Po:常態での吸着ガスの飽和蒸気圧、 γ :表面張力、 V :液体窒素の1分子体積、 R :ガス定数、 T :絶対温度、 γk:細孔のケルビン半径、 細孔のケルビン半径に対する補正は、 Cranston−Inkley法によりおこなった。
(2)ガス濃度分析:島津ガスクロマトグラフGC−9A
及びベックマン社製酸素濃度分析計 (Model 0260)により分析した。
以下実施例により本発明をより具体的に説明する。
実施例1 400の反応容器に、塩酸18%およびホルムアルデ
ヒド9%からなる混合水溶液300Kgを入れ、濃度を
20℃とした。つぎに、この反応容器に、濃度98%
(2%は水)のフェノールと水とを用いて調整した濃度
90%のフェノール水溶液(20℃)を12Kg添加し
た。添加後30〜40秒間攪拌し、反応容器内の内容物
が急激に白濁すると同時に攪拌を中止し静置した。静置
をつづけると内温が徐々に上昇し、内容物は次第に淡い
ピンクに変色し、白濁してから30分後にはいずれもス
ラリー状あるいは樹脂状物の生成がみられた。上記反応
を6バッチ繰り返し行い、このうち第1バッチ(参考
例)を除く残り5バッチについては、上記工程の後、引
き続いて内容物を75〜76℃まで30分間で昇温し、
この温度で攪拌しながら第1表に示す所定時間保持し
た。つぎに、この内容物を水洗した後、濃度0.1%のア
ンモニア水溶液中で、50℃において6時間中和処理
し、ついで水洗濾過し80℃において6時間乾燥した。
その結果、目的とする粒子形状が球状のフェノール樹脂
粉末が得られた。このフェノール樹脂粉末の還流下のメ
タノールに対する溶解度(以下メタノール溶解度とい
う)を前記試験法に従って測定した。
つぎに上記方法により作製した各バッチの球状フェノー
ル樹脂粉末10Kgを計量し、更に該球状フェノール樹
脂粉末100重量部に対し水溶性レゾール樹脂(昭和高
分子(株)製,ショウノール,BRL−2854,固形
分濃度60重量%)を固形分の量で16重量部,重合度
1700,けん化度88%のポリビニルアルコール2.7
重量部,重合度500,けん化度99%のポリビニルア
ルコール1.3重量部および馬鈴薯澱粉13重量部を計量
した。
上記原料のうちまず、球状フェノール樹脂粉末と馬鈴薯
澱粉をニーダーで15分間乾式混合した。一方上記ポリ
ビニルアルコールを温水で15重量%の水溶液となるよ
うに溶解し、このポリビニルアルコール溶液と、水溶性
レゾール樹脂を加えて更に15分間混合した。
この混合組成物を2軸押出造粒機(不二パウダル(株)
製,ペレッタダブル,EXDF−100型)で押出し、
平均粒子径が3mmφ×6mmLの粒状体を造粒した。
該粒状体を80℃で24時間加熱処理した後、各粒状体
を500gづつ取り、有効寸法100φ×1000mm
Lのロータリーキルンに入れ、窒素雰囲気下60℃/h
rで昇温し、750℃で1時間保持し、その後炉冷し、
粒状の炭化物を得た。
この粒状炭化物の分子ふるい特性を評価するため、第3
図に示す吸着特性測定装置により窒素ガスおよび酸素ガ
スの吸着量を測定した。第3図において、試料室4(2
26.9m)に約13gの試料を入れ、バルブ11,8
を閉じ、バルブ2,3を開けて30分間脱気した後バル
ブ2,3を閉じ、バルブ11を開けて調整室5(231.
7m)内に酸素ガスまたは窒素ガスを送り込み、設定
圧(6.88Kg/cm)になったところでバルブ11
を閉じ、バルブ3を開け所定時間における内部圧力の変
化を測定して、酸素および窒素の各々の吸着速度を求め
た。窒素と酸素の分離性能を吸着開始1分後の窒素吸着
(Q),酸素吸着量(Q)および下記式(II) ΔQ=Q−Q……(II) で示される吸着量差(ΔQ)により、また窒素吸着圧力
をP,酸素吸着圧力をPとして、下記式(III) の選択係数により求めた。
以上の実施例1の結果を第1表に示す。
なお、第3図において、1…真空ポンプ、2,3,8,
11,12,13…バルブ、4…試料室、5…調整室、
6,7…圧力センサー、9…記録計、10…圧力計、1
4,15…ガスレギュレーター、16…窒素ボンベ、1
7…酸素ボンベである。
第1表に示すように、メタノール溶解度40%以下の球
状フェノール樹脂粉末を原料とした場合に良好な分離能
を有する粒状分子ふるい炭素が得られた。
なお、参考例は原料となる球状フェノール樹脂粉末とし
て、架橋度合が低く、メタノール溶解度が50重量%を
超えるものを使用したものであり、得られた分子ふるい
は大幅に劣っている。
実施例2 重合度1000,けん化度88%のポリビニルアルコー
ルを所定量熱水で溶解し、20重量%の水溶液とした。
これとは別に、実施例1の試料4と同様にして作製した
メタノール溶解度2.4%,平均粒子径28μmの球状フ
ェノール樹脂粉末と水溶性レゾール樹脂(昭和高分子
(株)製,ショウノールBRL−2854,固形分濃度
60重量%),水溶性メラミン樹脂(住友化学工業
(株)製,スミテックスレジンM−3,固形分濃度80
重量%)メチルセルロール粉末(信越化学工業(株)製
品,メトローズ60SH−4000)、馬鈴薯澱粉,エ
チレングリコールをそれぞれ所定量計量した。
上記球状フェノール樹脂粉末,馬鈴薯澱粉及びメチルセ
ルロース粉末をニーダーで15分間乾式混合した後、ポ
リビニルアルコール水溶液,水溶性レゾール樹脂,水溶
性メラミン樹脂及びエチレングリコールを加えて更に1
5分間混合した。該混合組成物を2軸押出造粒機(不二
パウダル(株)製,ペレッタ・ダブルEXDF−100
型)により押出し第2表に示す5種類の組成の円柱状ペ
レットを製造した。該円柱状ペレットの平均粒子径3φ
×6mmLであった。このペレットを、80℃で24時
間硬化および乾燥した後、500gを有効径100φ×
1000mmLのロータリーキルンに入れ、2/mi
nの窒素気流下において10℃/Hで900℃まで昇温
し、該温度で1時間保持した後、炉冷した。
こうして得られた粒状炭化物の窒素と酸素の分離性能を
実施例1と同様にして測定した。その結果を第2表に示
す。
第2表に於て、試料6は、造粒時の作業性が悪く、造粒
不可能であった。水溶性高分子バインダー量が本発明で
規定する割合より多く用いた試料7では、O吸着量が
少なく分子ふるい炭素として好ましくないことがわか
る。
試料8,9,10では好ましいN,O吸着量及び分
離特性が得られ、特に試料9の特性が優れていた。
本発明方法で規定する範囲外にある原料組成物から得ら
れた試料11では、N,O吸着量差,選択係数が小
さく好ましくないこともわかる。
実施例3 実施例2のNo.9の試料と同一組成,同一条件で造粒し
た平均粒径3mmφ×6mmLの円柱状ペレット前駆体
を100φ×1000mmLのロータリキルンに入れ、
3/minの窒素を流しながら、15℃/Hの昇温速
度で所定の温度まで昇温し、該温度で30分間保持し、
その後炉冷して炭化物を得た。
該炭化物の窒素,酸素の分離能を第3表に示す。
炭化時の加熱処理温度が本発明で規定する温度よりも低
い温度で得られた試料12では、酸素吸着量が少なく、
また、吸着量差ΔQ,選択係数αとも小さく分子ふるい
炭素として好ましくない。試料13,14,15は、酸
素吸着量,吸着量差ΔQ,選択係数とも大きく分子ふる
い炭素として実用性を有しており特に試料14の特性が
優れていることがわかる。
また、炭化時の加熱処理温度が本発明で規定する温度よ
りも高い温度で得られた試料16では、選択係数αが大
きいが、酸素吸着量,吸着量差ΔQが小さく好ましくな
い。
実施例4 実施例3の試料14と同様にして、作製した粒状分子ふ
るい炭素を用い、圧力スイング吸着(PSA)法により
空気中の窒素と酸素の分離実験を実施した。
本実験に用いたPSA装置の概略図を4図に示す。吸着
塔のサイズは、内径50φ×1000mmLであり、2
本の吸着塔内に上記分子ふるい炭素(比表面積163m
/g)を充填した。その充填密度は0.58g/cm
であった。
まず、コンプレッサーで圧縮した空気を吸着塔に送り、
吸着時の圧力をゲージ圧で4Kgf/cm・Gとし、
脱着(排気)再生は真空ポンプにより約100torr
まで減圧することにより実施した。PSA操作は、均圧
(加圧)−吸着−均圧(減圧)−排気−昇圧の5工程で
実施し、各工程の切換えは電磁弁をシーケンサーで自動
制御して行なった。PSA操作条件を第4表に示す。
本実験では、製品窒素ガスの取出し量が1/minで
純度99.9%(N+Ar),2/minで99.7%
であった。
なお、第4図において、21…空気圧縮機、22…エア
ードライヤー、23,23a…吸着塔、24,24a…
第1の開閉弁、25,25a…流入路パイプ、26…真
空ポンプ、28…吸引路パイプ、29,29a…取出路
パイプ、31…メインパイプ、34…リザーバータン
ク、36…製品ガス取出パイプ、27,27a,30,
30a,33,33a,35,37…開閉弁である。
実施例5 実施例4と同一組成の前駆体を、実施例4と同様にして
850℃で窒素雰囲気中で1時間炭化した後、引続き水
蒸気雰囲気中で10分間賦活した。炉冷後取出した試料
は、炭化物重量を基準として5.2重量%の重量減少を示
した。
上記の如くして得られた粒状分子ふるい炭素は、比表面
積620m/g,充填密度0.54g/cmであっ
た。
該分子ふるい炭素を実施例4と同じPSA装置に充填
し、水素ガス70%、メタン30%の原料ガスをPSA
法により分離する実験をおこなった。
圧縮機により加圧状態とした原料ガスを吸着塔に導入
し、2塔を交互に均圧(加圧)−吸着−均圧(減圧)−
排気−昇圧の5工程をくり返すことによりPSA操作を
実施した。吸着圧力は5Kgf/cm・Gとし、再生
は、真空ポンプで約100torrに減圧することによ
り行なった。
PSA操作条件を第5表に示す。
本実験による製品水素ガスの純度は、取出し量2/m
inで99.99%,4/minで99.91%であっ
た。
以上の如く、本発明で得られた粒状分子ふるい炭素によ
り水素とメタンを良好に分離することができた。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明の分子ふるい炭素の構造
を示す走査型電子顕微鏡写真である(倍率は第1図で約
300倍、第2図で約1000倍である)。第3図は本
発明の分子ふるい炭素の吸着特性の測定装置の系統図、
第4図は本発明の分子ふるい炭素を吸着剤として使用す
る圧力スイング吸着装置の系統図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)粒径0.8〜120μmの多数の球状
    炭素粒子が三次元的に不規則に重なり且つ合体された構
    造を有し、 (B)該多数の炭素粒子の間には三次元的に走る平均直
    径0.1〜20μmの連続通路が存在し、 (C)該多数の炭素粒子の夫々は、該粒子の間に通路に
    連通する平均細孔直径10Å以下の多数の細孔を有し、
    該細孔容積は0.1〜0.7cc/gであり (D)少なくとも85重量%の炭素含有率を有し、 (E)嵩密度0.7〜1.2g/cc であることを特徴とする分子ふるい炭素。
  2. 【請求項2】(イ)(A)熱硬化性フェノール樹脂微粉
    末、ここで、該熱硬化性フェノール樹脂微粉末は (a)粒径1〜150μmのフェノール樹脂の球状一次粒
    子またはそれとその二次凝集物からなり、 (b)少なくとも全体の50重量%は100タイラーメッ
    シュ篩を通過し得る大きさであり、 (c)KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルにおいて
    1600cm-1のピークの吸収強度をD1600,900〜1
    015cm-1の範囲の最も大きなピークの吸収強度をD
    900〜1015,890cm-1のピークの吸収強度をD890で表
    わした場合に下記式 D900〜1015/D1600=0.2〜9.0 D890/D1600=0.09〜1.0 を満足し、且つ (d)還流下でのメタノールに対する溶解度が50重量%
    以下である。 によって特定される。 (B)熱硬化性樹脂の溶液、 ここで、該熱硬化性樹脂はフェノール樹脂又はメラミン
    樹脂である。 および (C)ポリビニルアルコールおよび水溶性又は水膨潤性
    セルロース誘導体から選ばれた高分子バインダーから構
    成され且つ前記熱硬化性フェノール樹脂微粉末(A)1
    00重量部当り、前記熱硬化樹脂の溶液(B)5〜50
    重量部(固形分として)および高分子バインダー(C)
    1〜30重量部である均一混合物を準備し、 (ロ)この均一混合物を粒状物に成形した後、 (ハ)該粒状物を、非酸化性雰囲気下、500〜110
    0℃の範囲の温度で、加熱処理して炭化した粒状物を生
    成することを特徴とする分子ふるい炭素の製造法。
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