JP2000143224A - 多孔性炭素材の製造方法及びそれにより得られた多孔性炭素材 - Google Patents

多孔性炭素材の製造方法及びそれにより得られた多孔性炭素材

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JP2000143224A
JP2000143224A JP10319659A JP31965998A JP2000143224A JP 2000143224 A JP2000143224 A JP 2000143224A JP 10319659 A JP10319659 A JP 10319659A JP 31965998 A JP31965998 A JP 31965998A JP 2000143224 A JP2000143224 A JP 2000143224A
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Osayasu Tomita
修康 富田
Takashi Inui
隆 乾
Akihiro Nakamura
章寛 中村
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Japan Oxygen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸着量が多く、しかも硬度が高く、耐摩耗性
に優れた多孔性炭素材の製造方法及びそれにより得られ
た多孔性炭素材を提供する。 【解決手段】 炭素化合物を乾留して得た乾留炭を、塩
素ガスに接触させて塩素化乾留炭とする塩素化処理工程
と、該塩素化乾留炭に結合剤を添加して造粒し造粒炭と
する造粒工程と、該造粒炭中の塩素原子の一部または全
部を脱離させる脱塩素処理工程と、脱塩素処理により得
られた脱塩素炭素材を、熱分解性炭化水素と接触させて
細孔を調整する細孔調整工程とを備えたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、ガス分離用
吸着剤として使用される分子ふるい炭素を製造する際に
用いて好適な多孔性炭素材の製造方法及びそれにより得
られた多孔性炭素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、空気を酸素と窒素とに分離する吸
着剤として、分子ふるい炭素(以下、MSCとも称す
る)が知られている。この分子ふるい炭素は、多孔性炭
素材からなる吸着剤で、分子径の小さい酸素の方が分子
径の大きい窒素より吸着速度が速いことを利用して酸素
と窒素を分離する速度分離型吸着剤である。分子ふるい
炭素の原料は、コークス、石炭、木炭、やし殻炭等の
他、褐炭、亜炭、無煙炭等の動植物が炭化したもの、あ
るいはフェノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビニリデン共
重合体等の各種樹脂を不活性ガス雰囲気下で焼成(乾
留)したもの、等が利用されている。本発明では、これ
らの原料を炭素化合物と総称し、該炭素化合物を乾留し
て得たものを乾留炭と称する。分子ふるい炭素は、原料
物質である炭素化合物を乾留して乾留炭とし、その後、
該乾留炭の内部の細孔径の大きさを種々の方法により調
整することにより得られる。
【0003】従来より知られている分子ふるい炭素の製
造方法としては、揮発性成分を5%以下含有するコーク
スに、熱分解によりカーボンを放出する炭化水素を添加
し、600〜900℃の温度範囲で熱処埋する方法が提
案されている(特公昭52−18675号公報参照)。
また、市販の炭素吸着剤に熱分解する炭化水素を添着す
ることにより、活性炭内部の細孔径の大きさを調整する
方法も提案されている(特開昭60−171212号公
報参照)。
【0004】本発明者らは、塩素化処理した炭素材の酸
素や窒素の吸着容量は、従来の炭素材のそれと比較して
15〜50%も増加することを知見した(特許第269
5703号参照)。また、この知見を基に、乾留炭をハ
ロゲン化し、その後脱ハロゲンして分子ふるい炭素前駆
体とし、この前駆体に細孔調整を施して所定の細孔径の
分子ふるい炭素とする分子ふるい炭素の製造方法を提案
した(再公表特許WO96/33801号公報参照)。
【0005】ここで、本発明者らが既に提案した分子ふ
るい炭素の製造方法の一例について、図7に基づき説明
する。まず、炭素化合物を乾留・炭化して乾留炭とし、
次いで、この乾留炭に不活性ガスで希釈した塩素ガス中
350〜1000℃の温度で加熱する塩素化処理を施し
塩素化乾留炭とする。次いで、この塩素化乾留炭を真空
排気中あるいは不活性ガス中600〜1300℃の温度
で加熱する高温脱塩素処理を施し、次いで、水素化合物
ガスまたは不活性ガスで希釈した水素化合物ガス中60
0〜800℃の温度で加熱する低温脱塩素処理を施し、
吸着容量の高い脱塩素炭素材とする。次いで、この脱塩
素炭素材を、ベンゼンやトルエン等の熱分解性炭化水素
と接触させて細孔を調整し、所定の細孔径の分子ふるい
炭素(多孔性炭素材)とする。この分子ふるい炭素は、
吸着量が多く、従来の分子ふるい炭素と比較して吸着性
能が優れている。
【0006】ところで、上述したように、従来より様々
な分子ふるい炭素が実用化されているが、圧力変動式吸
着分離により空気を分離する、いわゆるPSA装置(プ
レッシャースイング吸着法による気体分離装置)に使用
するためには、優れた吸着量とともに、耐摩耗性を一層
高めることが要求されている。PSA装置は、分子ふる
い炭素やゼオライト等の多孔性吸着剤を吸着塔内に充填
し、該吸着塔内に送り込まれた空気中の酸素ガスや窒素
ガスを前記吸着剤により選択的に吸着することで、空気
より酸素ガスや窒素ガスを分離し取り出す装置である。
このPSA装置では、短時間での圧力変動が繰り返され
るために、吸着塔に充填される吸着剤に対しては、高硬
度、すなわち耐摩耗性に優れていることが要求されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが提案した分子ふるい炭素の製造方法では、塩素化
処理や脱塩素処理等を施すことで得られた分子ふるい炭
素は、吸着性能は既存の製品よりも優れたものとなるも
のの、硬度が高くならず、PSA装置に用いるには耐摩
耗性の点でやや難があるという問題点があった。
【0008】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、吸着量が多く、しかも硬度が高く、耐摩耗
性に優れた多孔性炭素材の製造方法及びそれにより得ら
れた多孔性炭素材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な多孔性炭素材の製造方法及びそれ
により得られた多孔性炭素材を提供する。すなわち、請
求項1記載の多孔性炭素材の製造方法は、炭素化合物を
乾留して得た乾留炭を、塩素ガスに接触させて塩素化乾
留炭とする塩素化処理工程と、該塩素化乾留炭に結合剤
を添加して造粒し造粒炭とする造粒工程と、該造粒炭中
の塩素原子の一部または全部を脱離させる脱塩素処理工
程と、脱塩素処理により得られた脱塩素炭素材を、熱分
解性炭化水素と接触させて細孔を調整する細孔調整工程
とを備えたことを特徴としている。
【0010】請求項2記載の多孔性炭素材の製造方法
は、請求項1記載の多孔性炭素材の製造方法において、
前記塩素化処理工程の後に、前記塩素化乾留炭を粉砕す
る粉砕工程を備えたことを特徴としている。
【0011】請求項3記載の多孔性炭素材の製造方法
は、請求項1または2記載の多孔性炭素材の製造方法に
おいて、前記造粒工程の後に、前記造粒炭を不活性雰囲
気中で熱処理する熱処理工程を備えたことを特徴として
いる。
【0012】請求項4記載の多孔性炭素材の製造方法
は、請求項1、2または3記載の多孔性炭素材の製造方
法において、前記乾留炭は、やし殻またはフェノール樹
脂を乾留したものであることを特徴としている。
【0013】請求項5記載の多孔性炭素材の製造方法
は、請求項1ないし4のいずれか1項の多孔性炭素材の
製造方法において、前記結合剤は、フェノール樹脂粉末
および/またはコールタールであることを特徴としてい
る。
【0014】請求項6記載の多孔性炭素材の製造方法
は、請求項1ないし5のいずれか1項記載の多孔性炭素
材の製造方法において、前記塩素化乾留炭100重量部
に対する前記結合剤の添加割合が5〜50重量部である
ことを特徴としている。
【0015】請求項7記載の多孔性炭素材は、請求項1
ないし6のいずれか1項記載の製造方法により得られた
多孔性炭素材であって、25℃かつ1気圧における酸素
吸着量が9〜14cc/gであり、かつ硬度が95〜9
9%であることを特徴としている。
【0016】本発明の多孔性炭素材の製造方法について
より詳細に説明する。多孔性炭素材は難黒鉛化性炭素に
分類され、難黒鉛化性炭素は、微晶質炭素、未組織炭
素、などから成り立っている。難黒鉛化性炭素は、結晶
子が乱雑に積層した構造であり、これら結晶子の間隙に
は、ミクロ孔からマクロ孔までの広範な細孔が形成され
ている。
【0017】塩素化処理工程では、炭素化合物を乾留し
て得た乾留炭を、塩素ガスに接触させて塩素化乾留炭と
するが、乾留炭に接触した塩素は、主として未組織炭素
と反応する。この反応においては、炭素二重結合への塩
素付加反応、未組織炭素に結合している水素原子と塩素
原子との交換反応、脱水素化反応、などがある。この反
応により、得られた塩素化乾留炭の硬度が低下する。ま
た、この反応においては、ペレット状の乾留炭全体が膨
張する。この膨張に伴う応力の発生によりペレット状の
乾留炭の弱い部分が破壊され、塊状または粉末状とな
る。
【0018】この塩素化乾留炭が塊状であれば、通常用
いられている粉砕機等を用いて所望の粒径の微粒子に粉
砕した後に、結合剤を加え混練し造粒し、所望の粒径の
造粒炭とする。また、塩素化乾留炭が粉末状であれば、
粉砕工程を省略してそのまま結合剤を加え混練し造粒
し、所望の粒径の造粒炭とする。
【0019】このように、造粒工程は、塩素化処理工程
により低下した塩素化乾留炭の硬度を高くするために行
う処埋であり、塩素化乾留炭が塊状または粉末状のいず
れであっても、造粒工程により結合剤を含んだ所望の粒
径の造粒炭とすることにより、再び膨張する虞がなく、
塩素化乾留炭の強度は保持される。さらに、造粒を行う
際に添加する結合剤が、その後の脱塩素処理により炭素
化されることで、塩素化乾留炭同士を強固に結合するこ
ととなり、脱塩素処理で得られた脱塩素炭素材の硬度が
向上する。これにより、硬度が高く、かつ耐摩耗性に優
れた脱塩素炭素材が得られる。
【0020】ここで、前記造粒工程における結合剤の添
加割合を、塩素化乾留炭100重量部に対して5〜50
重量部としたのは、添加割合が5重量部未満であると多
孔性炭素材の硬度が低くなり、PSA装置に用いるのに
耐摩耗性の点で難があるからであり、また、添加割合が
50重量部を越えると、硬度は高くなるものの、ガスに
対する吸着量が著しく低下し、吸着性能が不十分なもの
になるからである。この脱塩素炭素材にベンゼンやトル
エン等の熱分解性炭化水素を接触させて細孔調整を施す
ことにより、所定の細孔径の多孔性炭素材が得られる。
本発明の製造方法により得られた多孔性炭素材は、25
℃かつ1気圧における酸素吸着量が9〜14cc/gで
あり、硬度は95〜99%と高い。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態の多孔性炭素
材の製造方法及びそれにより得られた多孔性炭素材につ
いて図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態
の分子ふるい炭素(多孔性炭素材)の製造方法を示す工
程図である。この分子ふるい炭素の製造方法では、ま
ず、炭素化合物を乾留・炭化して乾留炭とし、この乾留
炭に塩素ガス(Cl2)を接触せしめる塩素化処埋を施
し、塩素と炭素の原子数比(Cl/C)が0.03以
上、好ましくは0.07以上の塩素化乾留炭とする。こ
こで、塩素化乾留炭が塊状であれば、粉砕して所定の粒
径の粉末とした後に、結合剤を加えて造粒し、所定形状
の造粒炭とする。また、塩素化乾留炭が粉末状であれ
ば、そのまま結合剤を加えて造粒し、所定形状の造粒炭
とする。
【0022】次いで、この造粒炭の塩素の一部または全
部を離脱させる脱塩素処理を行い脱塩素炭素材(分子ふ
るい炭素前駆体とも称する)とする。脱塩素処理は、高
温脱塩素処理と低温脱塩素処理とを順次行う処理工程で
ある。結合剤は、脱塩素処理において炭素化され、強固
で耐摩耗性の良い炭素を形成する。
【0023】なお、造粒炭を、脱塩素処理を行う前に不
活性ガス雰囲気中で加熱し、結合剤を炭素化した後に脱
塩素処理を行ってもよい。結合剤が炭素化されること
で、造粒炭自体の硬度が高くなり、耐摩耗性も向上す
る。次いで、この脱塩素炭素材にベンゼンやトルエン等
の熱分解性炭化水素を接触させて細孔調整を施し、分子
ふるい炭素とする。
【0024】ここで、本実施形態の製造方法について、
より詳しく説明する。 (原料乾留炭)原料乾留炭としては、コークス、石炭、
木炭、やし殻炭、褐炭、亜炭、無煙炭等、あるいはフェ
ノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビニリデン共重合体等の
各種樹脂を、不活性ガス雰囲気下で焼成(乾留)したも
の等が使用可能であるが、特に、フェノール樹脂を乾留
して得たフェノール樹脂炭(PC)、やし殻を乾留して
得たやし殻炭(CC)を原料とすることが好ましい。
【0025】フェノール樹脂炭(PC)は、フェノール
樹脂(PR)を概ね160℃で硬化させた後、窒素ガス
気流下600℃の温度で30分間加熱し、乾留した。や
し殻炭(CC)は、フィリピン産やし殻を粗砕し、この
粗砕物を窒素ガス気流下600℃の温度で30分間加熱
し、乾留した。
【0026】ここで、本実施形態の塩素化処埋、脱塩素
処理及び細孔調整処理を行う際に用いられる装置につい
て図2に基づき説明する。図中、1は温度制御装置付き
管状電気炉(管状炉:(株)吉田製作所、温度制御装
置:(株)チノー MODEL SU、熱電対 JIS
R)、2は石英管、3はガス透過性を有する炭素材容
器、4は炭素材、5は窒素ガス供給管、6は塩素ガス、
水蒸気、メタンガス、LPG不完全燃焼排ガス等の各種
ガスを供給するガス供給管、7はガス排出管、8は耐食
性に優れたゴム栓である。ここでは、各ガスの供給圧力
を略大気圧としている。
【0027】塩素化処理(窒素などの不活性ガスで希釈
した塩素ガス中で行う)や脱塩素処理(真空排気下また
は不活性ガス中で行う高温脱塩素処理、あるいは水素化
合物または不活性ガスで希釈した水素化合物ガス中で行
う低温脱塩素処理)では、ガス供給管6により塩素ガ
ス、水蒸気、メタンガス等を、また窒素ガス供給管5に
より窒素ガスを、それぞれ所定量供給する。
【0028】また、水を液体の状態で供給する場合やL
PG不完全燃焼排ガスで脱塩素処理を行う場合には、ガ
ス供給管6のみを用いる。また、熱処理では窒素ガス供
給管5のみを使用する。また、細孔調整工程では、窒素
ガス供給管5から窒素を、ガス供給管6からベンゼンや
トルエン等の熱分解性炭化水素を所定量流す。なお、こ
こでは、供給するガスの流量は、フロート型面積流量計
(塩素ガス:流体工業(株)製、PGF−N型、その他
のガス:日本フローセル(株)製、ST−4型)を用い
て測定した。
【0029】(塩素化処理工程)塩素化処理工程は、乾
留炭を、窒素(N2)などの不活性ガスで希釈した塩素
ガス(Cl2)中350〜1000℃、好ましくは40
0〜700℃、もっとも好ましくは500〜700℃の
温度で加熱処理する工程である。ここで、加熱処理の温
度範囲を350〜1000℃としたのは、温度が100
0℃を越えると、乾留が進行して水素原子の量が低下す
るため、塩素と炭素の原子数比(C1/C)が小さくな
り好ましくないからであり、また、温度が350℃未満
では、塩素と乾留炭中の未組織炭素との反応速度が遅延
してしまうことから塩素化処理に長時間を要し好ましく
ないからである。
【0030】塩素ガスの供給速度は、塩素の濃度が約1
0容量%のとき、空塔速度で0.2〜0.3L/min
・cm2程度である。塩素化処理の時間は、当該温度範
囲の高温域の場合は30分程度であるが、400℃に近
い低温域の場合は120分程度必要である。前記塩素化
処理工程により、塩素と炭素の原子数比(C1/C)が
0.03以上、好ましくは0.07以上の塩素化乾留炭
が得られる。ここで、この原子数比(C1/C)が0.
03未満では、ミクロ孔形成に寄与できないので好まし
くない。また、この原子数比(C1/C)の上限の値
は、乾留炭中の水素原子の量、すなわち乾留温度により
決定されるが、概ね0.24である。
【0031】(粉砕工程)塩素化乾留炭が塊状であった
場合に、粉砕して所定の粒径の粉末とする工程である。
この粉砕工程は、通常使用されている粉砕装置を用いて
行うことができる。また、粉砕後の粒径の分布の広がり
が大きいような場合には、分級して粒径の粗いものを再
度粉砕して所定の粒径の粉末とする。
【0032】(造粒工程)粉末状の塩素化乾留炭に結合
剤を加えて造粒し、所定形状の造粒炭とする工程であ
る。塩素化乾留炭が塊状であった場合には、粉砕工程で
粉砕して所定の粒径の粉末とした後、結合剤を加えて造
粒炭とする。また、塩素化乾留炭がもともと粉末状であ
れば、粉末のまま結合剤を加えて造粒炭とする。
【0033】この結合剤の添加割合は、塩素化乾留炭1
00重量部に対して5〜50重量部とするのが好まし
い。その理由は、5重量部未満であると分子ふるい炭素
の硬度が低くなり、また、50重量部を越えると、硬度
は高くなるものの、酸素吸着量が著しく低下するからで
ある。この造粒工程において添加される造粒助剤として
は、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセ
トン等のケトン類などの有機溶媒、クレオソート油、灯
油、グリセリン(3価アルコール)などの親油性溶剤、
などが好適に使用できる。
【0034】これらの造粒助剤は、造粒時の作業性を向
上させるために添加するもので、その添加割合は造粒す
べき材料に対して最良の添加割合となるように、適宜決
定されるべきものであり、特に添加割合を定義する必要
はない。これらの結合助剤は、予め結合剤と混合してお
き、塩素化乾留炭を造粒する際に添加しても、また、塩
素化乾留炭の混練時に、結合剤と結合助剤をそれぞれ別
々に添加しても何ら問題は無い。また、この塩素化乾留
炭に結合剤及び結合助剤を添加した混練物は、例えば、
ディスクペレッター等の押出式造粒機で円柱状に造粒し
たり、あるいは転動造粒機により球状に造粒することが
できる。
【0035】(熱処理工程)造粒工程により得られた造
粒炭を、窒素(N2)、もしくはヘリウム(He)、ア
ルゴン(Ar)等の希ガス、及びこれらの混合ガスから
なる、いわゆる不活性雰囲気中で加熱して、添加されて
いる結合剤を炭化する工程である。
【0036】(脱塩素処理工程)脱塩素処理工程は、高
温脱塩素処理と低温脱塩素処理とを順次行う処理工程で
ある。脱塩素の程度は、上述した原子数比(Cl/C)
が0.02以下であることが好ましいが、必ずしも完全
に脱塩素させる必要はない。高温脱塩素処理は、真空排
気下または不活性ガス中のいずれかの雰囲気中600〜
1300℃、好ましくは900〜1100℃の温度で行
う加熱処理である。ここでは、真空排気の程度は特に限
定されないが、真空度が10Torr程度の真空排気で
充分である。
【0037】この加熱処理の時間は、20〜30分で脱
塩素処理の目的がほぼ達成されるが、好適な酸素/窒素
速度分離型分子ふるい炭素前駆体を製造するためには、
60〜150分程度とするのが望ましい。この高温脱塩
素処理を、不活性ガス中で1300℃を越える処理温度
で行った場合、熱収縮により細孔入り口が狭くなり過ぎ
て窒素が細孔内に入ることが難しくなるため、所望の窒
素吸着量を得ることが出来なくなる虞がある。また、不
活性ガス中で600℃未満の処理温度で行った場合、脱
塩素処理を充分行うことができない虞がある。この高温
脱塩素処理では、造粒炭中の塩素が完全に脱離しないた
めに、塩素の一部が残留してしまう。そこで、高温脱塩
素処理に引き続いて低温脱塩素処理を行う。
【0038】低温脱塩素処理は、水素化合物または不活
性ガスで希釈した水素化合物ガス中600〜800℃、
好ましくは650〜750℃の温度範囲で行う加熱処理
である。この加熱処理の時間は20〜30分程度で充分
である。ここで、水素化合物とは、水蒸気(H20)、
水素(H2)、もしくはメタン(CH4)、エタン(C2
6)、エチレン(C24)、プロパン(C38)、プ
ロピレン(H36)、ブタン(C410)、ブチレン
(C46)などの低級炭化水素、およびこれらの混合ガ
スである。
【0039】前記水素化合物を水蒸気とした場合、水蒸
気の濃度は特に限定されないが、空塔速度が0.05〜
0.15L/min・cm2のとき、3容量%程度であ
れば充分である。水蒸気を用いて800℃を越える温度
で加熱処理を行うと、水蒸気による賦活作用が進行し過
ぎてしまい、ミクロ孔の形成が阻害され、吸収性能が低
下する。
【0040】また、前記水素化合物をメタン等の低級炭
化水素とした場合、低級炭化水素の濃度は特に限定され
ないが、空塔速度が0.05〜0.15L/min・c
2のとき、20容量%程度であれば充分である。低級
炭化水素を用いて800℃を越える温度で加熱処理を行
うと、低級炭化水素の熱分解による炭素の添着作用を生
じるために細孔が閉塞することとなり、吸収性能が低下
する。
【0041】また、水素化合物が水蒸気または低級炭化
水素のいずれの場合においても、600℃未満の温度で
加熱処理すると、充分に脱塩素処理を行うことができな
い。なお、不活性ガス中の水素化合物としては、LPG
(液化石油ガス)が不完全燃焼したときの排ガスを、工
業的に好適に利用することができる。以上の塩素処理に
より得られた脱塩素炭素材は、25℃、1気圧(at
m)における酸素および窒素吸着量が12.5〜17.
0cc/gである。
【0042】(細孔調整工程)細孔調整工程は、脱塩素
炭素材(分子ふるい炭素前駆体)の細孔径を調整するた
めに行う工程であって、熱分解性炭化水素の種類、処理
温度、処理時間を適切に設定することにより、所望の大
きさの細孔径とすることができる。これにより、吸着ガ
スの分子径の大きさに応じて、吸着速度を制御すること
ができる。また、塩素処理を行うことで得られた脱塩素
炭素材を細孔調整するための熱分解牲炭化水素として
は、ベンセンまたはトルエンが好適に用いられる。この
細孔調整工程で脱塩素炭素材の細孔径を調整することに
より、25℃且つ1気圧のときの酸素吸着量が9〜14
cc/gの分子ふるい炭素を得ることができる。
【0043】(吸着量の測定)分子ふるい炭素の酸素吸
着量及び窒素吸着量を測定するには、測定前に、試料を
100℃で2時間、真空排気して脱ガスし、容量法によ
り25℃、1気圧の条件の下で、各試料の吸着量を測定
する(機器:日本ベル(株)製、BELSORP2
8)。吸着量は、吸着開始後300秒経過したときの吸
着量を測定する。ここでは、吸着量の単位をcc/gと
し、25℃、1気圧(atm)の吸着物質の体積(c
c)と分子ふるい炭素の重量(g)の比で表す。
【0044】(硬度の測定)硬度の測定は、日本工業規
格、粒状活性炭試験法(JIS−K1474)に準じ
る。すなわち、ふるいは、日本工業規格、標準ふるい
(JIS−Z8801)を使用し、得られたペレット状
の分子ふるい炭素を、目開きが2.36mm(7.5メ
ッシュ)のふるいと、目開きがl.70mm(10メッ
シュ)のふるいを用いて10分間ふるい分けする。そし
て、このふるい分けした試料を鋼球とともに硬さ試験用
皿に入れ、30分間振とうする。その後、鋼球を除き、
目開きが1.18mm(14メッシュ)のふるいと受け
皿を用いて3分間ふるい分けし、ふるい上に残った量
(g)と受け皿に残った量(g)をそれぞれ秤量する。
ここでは、電子天秤((株)島津製作所製、LIBRO
R EB−430HW)を用いて秤量した。なお、ふる
いの目開き(mm)とメッシュは、次式で換算したもの
である。目開き(mm)=25.4÷メッシュ−ふるい
の(金網の)線径(mm)ここで、目開きが2.36m
mのふるいの線径は1.03mm、目開きが1.70m
mのふるいの線径は0.840mm、目開きが1.18
mmのふるいの線径は0.634mmである。
【0045】硬度H(%)は、 H(%)=(ふるい上に残った量(g))÷{ふるい上
に残つた量(g)+受け皿に残った量(g)}×l00 で表すことができる。本発明の分子ふるい炭素の硬度
は、95〜99%の範囲にある。
【0046】次に、本実施形態の分子ふるい炭素の製造
方法の実施例及び比較例について説明する。ここでは、
実施例の分子ふるい炭素(ペレット)は、原料乾留炭
(ペレット)→塩素化処理→(粉砕)→造粒(ペレッ
ト)→脱塩素処理→細孔調整の工程により作製した(図
1)。また、比較例の分子ふるい炭素(ペレット)は、
従来の工程、すなわち原料乾留炭(ペレット)→塩素化
処理→脱塩素処理→細孔調整の工程により作製した(図
7)。
【0047】(実施例1)乾留炭の原料物質をフェノー
ル樹脂(群栄化学工業(株)製、PGA−4560、商
品名:レジトップ、以下同一)とした。このフェノール
樹脂を160℃で加熱し硬化させた後、粗粉砕した。次
いで、この粗砕物を窒素ガス気流下600℃の温度で3
0分間加熱し、乾留した。次いで、この乾留物を粉砕機
(中央化工機(株)製、MB−1型、以下同一)を用い
て微粉砕した。得られた微粉末の平均粒径は約5μmで
あった。
【0048】次いで、同一組成のフェノール樹脂を結合
剤として添加し、さらに造粒助剤としてクレオソート油
を加え、造粒成形機(不ニパウダル(株)製、PV−5
型、以下同一)を用いて造粒し、2mmφ×5〜6mm
のペレットとした。この際、結合剤の添加割合は、乾留
炭100重量部に対し10重量部とした。次いで、この
ペレットを窒素ガス気流下で600℃、30分間加熱し
て乾留し、ペレット状の原料乾留炭とした。
【0049】次いで、この原料乾留炭(15g)を60
0℃の温度に加熱し、窒素ガス(流量:0.9L/mi
n)と塩素ガス(流量:0.1L/min)を混合した
混合ガスを60分間流し込み、塩素化処理を施した。次
いで、得られた塩素化乾留炭を再度微粉砕した。この微
粉末の平均粒径は約5μmであった。その後、この微粉
末に同一組成のフェノール樹脂粉末を結合剤として添加
し、さらに造粒助剤としてクレオソート油を加えて造粒
し、2mmφ×5〜6mmのペレット(造粒炭)とし
た。
【0050】この際、結合剤の添加割合を試料No.毎
に変えた。すなわち、試料1では3重量部、試料2では
5重量部、試料3では15重量部、試料4では30重量
部、試料5では40重量部とした。このペレットを窒素
ガス気流下で600℃、30分間加熱して乾留し、乾留
炭ペレットとした。この乾留炭ペレットに、窒素ガス気
流下(流量:3L/min)で1000℃の温度で60
分間加熱処埋し、更に25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガ
ス気流下で700℃の温度で30分間加熱処理すること
により脱塩素処理し、分子ふるい炭素前駆体(脱塩素炭
素材)を得た。
【0051】次いで、この前駆体を700℃の温度で加
熱し、窒素ガス(流量:3.0L/min)を20℃の
トルエン中にバブリングすることにより得られた混合ガ
スに、更に、窒素ガス(流量:1.0L/min)を混
合したトルエン濃度が2.2容量%の混合ガスを流し込
むことにより細孔調整を行い、分子ふるい炭素を得た。
【0052】得られた分子ふるい炭素について、酸素の
吸着量と硬度を測定した。300秒酸素吸着量(吸着開
始300秒後の酸素の吸着量)は、試料1では13.0
cc/g、試料2では13.0cc/g、試料3では1
2.7cc/g、試料4では12.2cc/g、試料5
では11.6cc/gであった。また、硬度は、試料1
では90%、試料2では95%、試料3では98%、試
料4では99%、試料5では99%であった。
【0053】(実施例2)乾留炭の原料物質をやし殻と
した。このやし殻を粗粉砕し、この粗砕物を窒素ガス気
流下600℃の温度で30分間加熱し乾留した。次い
で、この乾留物を微粉砕した。得られた微粉末の平均粒
径は約5μmであった。次いで、この微粉末に結合剤と
してフェノール樹脂粉末を10重量部添加し、さらに造
粒助剤としてクレオソート油を加えて造粒し、2mmφ
×5〜6mmのペレットとした。次いで、このペレット
を窒素ガス気流下600℃の温度で30分間加熱して乾
留し、ペレット状の原料乾留炭とした。
【0054】次いで、この原料乾留炭に、実施例1と同
一条件で塩素化処理を施し、塩素化乾留炭とした。次い
で、この塩素化乾留炭を微粉砕した。この微粉末の平均
粒径は約5μmであった。この微粉末に結合剤としてフ
ェノール樹脂粉末を15重量部添加し、さらに造粒助剤
としてクレオソート油を加えて造粒し、2mmφ×5〜
6mmのペレット(造粒炭)とした。このペレットに、
実施例1と同一条件で脱塩素処理および細孔調整を施
し、分子ふるい炭素を得た。この分子ふるい炭素の30
0秒酸素吸着量は12.2cc/g、硬度は98%であ
った。
【0055】(実施例3)乾留炭の原料物質をフェノー
ル樹脂とした。このフェノール樹脂を160℃で加熱し
硬化させた後、粗粉砕した。次いで、この粗砕物を窒素
ガス気流下600℃の温度で30分間加熱し、乾留し
た。次いで、この乾留物を微粉砕した。得られた微粉末
の平均粒径は約5μmであった。その後、この微粉末に
結合剤としてフェノール樹脂粉末を10重量部添加し、
さらに造粒助剤としてクレオソート油を加えて造粒し、
2mmφ×5〜6mmのペレットとした。このペレット
を窒素ガス気流下で600℃、30分間加熱して乾留
し、ペレット状の原料乾留炭とした。
【0056】次いで、この原料乾留炭(15g)に、実
施例1と同一条件で塩素化処理を施した。次いで、得ら
れた塩素化乾留炭を再度微粉砕した。この微粉末の平均
粒径は約5μmであった。その後、この微粉末に結合剤
としてコールタールを添加し、さらに造粒助剤としてク
レオソート油を加えて造粒し、2mmφ×5〜6mmの
ペレット(造粒炭)とした。
【0057】この際、結合剤の添加割合を試料No.毎
に変えた。すなわち、試料1では10重量部、試料2で
は20重量部、試料3では40重量部、試料4では50
重量部、試料5では60重量部とした。このペレット
に、実施例1と同一条件て脱塩素処理および細孔調整を
施し、分子ふるい炭素を得た。
【0058】得られた分子ふるい炭素について、酸素の
吸着量と硬度を測定した。300秒酸素吸着量は、試料
1では12.9cc/g、試料2では12.8cc/
g、試料3では12.6cc/g、試料4では12.5
cc/g、試料5では11.6cc/gであった。ま
た、硬度は、試料1では93%、試料2では97%、試
料3では99%、試料4では99%、試料5では99%
であった。
【0059】(実施例4)乾留炭の原料物質をやし殻と
した。このやし殻を粗粉砕し、この粗砕物を窒素ガス気
流下600℃の温度で30分間加熱し乾留した。次い
で、この乾留物を微粉砕した。得られた微粉末の平均粒
径は約5μmであった。次いで、この微粉末に結合剤と
してフェノール樹脂粉末を10重量部添加し、さらに造
粒助剤としてクレオソート油を加えて造粒し、2mmφ
×5〜6mmのペレットとした。次いで、このペレット
を窒素ガス気流下600℃の温度で30分間加熱して乾
留し、ペレット状の原料乾留炭とした。
【0060】次いで、この原料乾留炭に、実施例1と同
一条件で塩素化処理を施した。次いで、得られた塩素化
乾留炭を微粉砕した。得られた微粉末の平均粒径は約5
μmであった。その後、この微粉末に結合剤としてコー
ルタール40重量部添加し、さらに造粒助剤としてクレ
オソート油を加えて造粒し、2mmφ×5〜6mmのペ
レット(造粒炭)とした。このペレットに、実施例1と
同一条件て脱塩素処理および細孔調整を施し、分子ふる
い炭素を得た。得られた分子ふるい炭素について、酸素
の吸着量と硬度を測定した。300秒酸素吸着量は1
2.2cc/g、硬度は99%であった。
【0061】(比較例1)乾留炭の原料物質をフェノー
ル樹脂とした。このフェノール樹脂を160℃で加熱し
硬化させた後、窒素ガス気流下600℃の温度で30分
間加熱し、乾留した。次いで、この乾留物を微粉砕し
た。得られた微粉末の平均粒径は約5μmであった。そ
の後、この微粉末に結合剤としてフェノール樹脂粉末を
添加し、さらに造粒助剤としてクレオソート油を加えて
造粒し、2mmφ×5〜6mmのペレットとした。
【0062】この際、結合剤の添加割合を試料No.毎
に変えた。すなわち、試料1では3重量部、試料2では
5重量部、試料3では15重量部、試料4では30重量
部、試料5では40重量部とした。次いで、このペレッ
トを窒素ガス気流下で600℃、30分間加熱して乾留
し、ペレット状の原料乾留炭とした。次いで、この原料
乾留炭(15g)を600℃の温度で加熱し、窒素ガス
(流量:0.9L/min)と塩素ガス(流量:0.1
L/min)を混合した混合ガスを60分間流し込み、
塩素化処理した。
【0063】次いで、窒素ガス気流下(流量:3L/m
in)で、1000℃の温度で60分間加熱処埋し、更
に25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の
温度で30分間加熱処理して脱塩素処理し、分子ふるい
炭素の前駆体を得た。次いで、この前駆体を700℃の
温度で加熱し、窒素ガス(流量:3.0L/min)を
20℃のトルエン中にバブリングすることにより得られ
た混合ガスに、更に、窒素ガス(流量:1.0L/mi
n)を混合したトルエン濃度が2.2容量%の混合ガス
を流し込むことにより細孔調整を行い、分子ふるい炭素
を得た。
【0064】得られた分子ふるい炭素について、酸素の
吸着量と硬度を測定した。300秒酸素吸着量は、試料
1では11.7cc/g、試料2では11.7cc/
g、試料3では11.6cc/g、試料4では11.3
cc/g、試料5では10.7cc/gであった。ま
た、硬度は、試料1では85%、試料2では87%、試
料3では92%、試料4では94%、試料5では94%
であった。
【0065】(比較例2)乾留炭の原料物質をやし殻と
した。このやし殻を粗粉砕し、この粗砕物を窒素ガス気
流下600℃の温度で30分間加熱し乾留した。次い
で、この乾留物を微粉砕した。得られた微粉末の平均粒
径は約5μmであった。次いで、この微粉末に結合剤と
してフェノール樹脂粉末を15重量部添加し、さらに造
粒助剤としてクレオソート油を加えて造粒し、2mmφ
×5〜6mmのペレツトとした。
【0066】次いで、このペレットを窒素ガス気流下6
00℃の温度で30分間加熱して乾留し、ペレット状の
原料乾留炭とした。次いで、この原料乾留炭に、比較例
1と同一条件で、塩素化処理、脱塩素処理、および細孔
調整を施して分子ふるい炭素を得た。得られた分子ふる
い炭素の300秒酸素吸着量は11.0cc/g、ま
た、硬度は92%であった。
【0067】(比較例3)乾留炭の原料物質をフェノー
ル樹脂とした。このフェノール樹脂を160℃で加熱し
硬化させた後、粗粉砕した。この粗砕物を窒素ガス気流
下600℃の温度で30分間加熱し、乾留した。次い
で、この乾留物を微粉砕した。得られた微粉末の平均粒
径は約5μmであった。その後、この微粉末に結合剤と
してコールタールを添加し、さらに造粒助剤としてクレ
オソート油を加えて造粒し、2mmφ×5〜6mmのペ
レット(造粒炭)とした。
【0068】この際、結合剤の添加割合を試料No.毎
に変えた。すなわち、試料1では10重量部、試料2で
は20重量部、試料3では40重量部、試料4では50
重量部、試料5では60重量部とした。このペレット
を、窒素ガス気流下で600℃、30分間加熱して乾留
して、ペレット状の原料乾留炭とした。次いで、この原
料乾留炭(15g)に、比較例1と同一条件で、塩素化
処理、脱塩素処理、および細孔調整を施し、分子ふるい
炭素を得た。
【0069】得られた分子ふるい炭素について、酸素の
吸着量と硬度を測定した。300秒酸素吸着量は、試料
1では11.7cc/g、試料2では11.6cc/
g、試料3では11.4cc/g、試料4では11.2
cc/g、試料5では10.6cc/gであった。ま
た、硬度は、試料1では86%、試料2では92%、試
料3では93%、試料4では93%、試料5では94%
であった。
【0070】(比較例4)乾留炭の原料物質をやし殻と
した。このやし殻を粗粉砕し、この粗砕物を窒素ガス気
流下600℃の温度で30分間加熱し乾留した。次い
で、この乾留物を微粉砕した。得られた微粉末の平均粒
径は約5μmであった。次いで、この微粉末に結合剤と
してコールタールを40重量部添加し、さらに造粒助剤
としてクレオソート油を15重量部加えて造粒し、2m
mφ×5〜6mmのペレツト(造粒炭)とした。
【0071】次いで、このペレットを窒素ガス気流下6
00℃の温度で30分間加熱して乾留し、ペレット状の
原料乾留炭とした。この原料乾留炭に、比較例1と同一
条件で、塩素化処理、脱塩素処理、および細孔調整を施
し、分子ふるい炭素を得た。得られた分子ふるい炭素の
300秒酸素吸着量は11.1cc/g、また、硬度は
94%であった。
【0072】表1は、実施例1〜4及び比較例1〜4の
各処理条件と、得られた分子ふるい炭素の300秒酸素
吸着量と硬度を示したものである。
【表1】
【0073】また、図3はフェノール樹脂の添加量と硬
度との関係を示す図、図4はコールタールの添加量と硬
度との関係を示す図、図5はフェノール樹脂の添加量と
酸素吸着量との関係を示す図、図6はコールタールの添
加量と酸素吸着量との関係を示す図である。
【0074】表1及び図3〜図6により明かなように、
実施例1〜4によれば、塩素化乾留炭を粉砕・造粒して
造粒炭とし、この造粒炭を脱塩素処理した後に細孔調整
し分子ふるい炭素としたので、塩素化乾留炭の粉砕・造
粒を行わない比較例1〜4の分子ふるい炭素と比較して
硬度が高く、しかも酸素吸着量も多いことが明かであ
る。
【0075】また、結合剤にフェノール樹脂を用いた実
施例1、2の分子ふるい炭素の硬度は、塩素化乾留炭1
00重量部に対する結合剤の添加量が5重量部以上であ
れば、比較例1、2の分子ふるい炭素の硬度よりも大き
いことがわかる。また、実施例1、2の酸素吸着量は、
結合剤の添加量が増すと漸次低下し、特に塩素化乾留炭
100重量部に対して結合剤の添加量が30重量部を越
えると、低下の度合いが著しく大きくなる。したがつ
て、塩素化乾留炭l00重量部に対するフェノール樹脂
の添加量を5〜30重量部としたときに、酸素吸着量を
著しく低下させることなく硬度を高めることができるの
で、分子ふるい炭素として好ましいことがわかる。
【0076】また、結合剤にコールタールを用いた実施
例3、4の分子ふるい炭素の硬度は、塩素化乾留炭10
0重量部に対する結合剤の添加量が20重量部以上であ
れば、比較例3、4の分子ふるい炭素の硬度よりも高い
ことがわかる。また、実施例3、4の酸素吸着量は、結
合剤の添加量が増すと次第に低下し、塩素化乾留炭10
0重量部に対して50重量部を越えると、低下の度合い
が著しく大きくなる。したがって、塩素化乾留炭100
重量部に対するコール夕一ルの添加量を10〜50重量
部としたときに、酸素吸着量を著しく低下させることな
く硬度を高めることができるので、分子ふるい炭素とし
て好ましいことがわかる。
【0077】以上説明したように、本実施形態の分子ふ
るい炭素の製造方法によれば、塩素化乾留炭を(粉砕)
・造粒して所定形状の造粒炭とし、次いで、この造粒炭
に脱塩素処理を施すので、高酸素吸着量とともに高硬度
の分子ふるい炭素を製造することができる。また、本実
施形態の分子ふるい炭素によれば、酸素吸着量が高い上
に、高い硬度を有し、耐摩耗性に優れている。したがっ
て、この分子ふるい炭素を圧力変動吸着式ガス分離装置
に使用すれば、長期間にわたって良好な分離性能を得る
ことができる。
【0078】以上、本発明の分子ふるい炭素の製造方法
及びそれにより得られた分子ふるい炭素の一実施形態に
ついて図面に基づき説明してきたが、具体的な構成は本
実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸
脱しない範囲で設計の変更等が可能である。
【0079】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の多孔性炭素
材の製造方法によれば、塩素化乾留炭に結合剤を添加し
て造粒し造粒炭とする造粒工程を備えたので、酸素等の
ガス吸着量が多く、しかも硬度が高く、耐摩耗性に優れ
た多孔性炭素材を製造することができる。
【0080】また、本発明の多孔性炭素材によれば、2
5℃かつ1気圧における酸素吸着量が9〜14cc/g
であり、かつ硬度が95〜99%であることとしたの
で、酸素吸着量が高く、しかも硬度が高く、優れた耐摩
耗性を有するという優れた効果を奏することができる。
したがって、この多孔性炭素材を圧力変動吸着式ガス分
離装置に適用すれば、長期間にわたって良好な分離性能
を有する分離装置を実現することができる。
【0081】以上により、吸着量が多く、しかも硬度が
高く、耐摩耗性に優れた多孔性炭素材の製造方法及びそ
れにより得られた多孔性炭素材を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の分子ふるい炭素の製造
方法を示す工程図である。
【図2】 本発明の一実施形態の塩素化処埋、脱塩素処
理及び細孔調整処理に用いられる装置の概略構成を示す
断面図である。
【図3】 本発明の実施例及び比較例それぞれのフェノ
ール樹脂の添加量と硬度との関係を示す図である。
【図4】 本発明の実施例及び比較例それぞれのコール
タールの添加量と硬度との関係を示す図である。
【図5】 本発明の実施例及び比較例それぞれのフェノ
ール樹脂の添加量と酸素吸着量との関係を示す図であ
る。
【図6】 本発明の実施例及び比較例それぞれのコール
タールの添加量と酸素吸着量との関係を示す図である。
【図7】 従来の分子ふるい炭素の製造方法を示す工程
図である。
【符号の説明】
1 温度制御装置付き管状電気炉 2 石英管 3 炭素材容器 4 炭素材 5 窒素ガス供給管 6 ガス供給管 7 ガス排出管 8 ゴム栓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 章寛 東京都港区西新橋1丁目16番7号 日本酸 素株式会社内 Fターム(参考) 4G032 AA02 AA09 AA14 GA03 GA04 GA06 4G046 BC02 CA04 CA06 CB02 CB05 CB08 CC02 HA01 HA03 HA06 HA07 HB07 HC00 HC12 HC16 4G066 AA04A AA08A AA08D AA10D AA14D AB29D AC06D AC25A AC25D BA22 BA35 BA36 CA37 DA03 EA09 FA17 FA18 FA26 FA37 FA40 GA14 4G073 BA62 BB71 BB79 BB80 BD11 FA10 FE04 UA06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素化合物を乾留して得た乾留炭を、塩
    素ガスに接触させて塩素化乾留炭とする塩素化処理工程
    と、該塩素化乾留炭に結合剤を添加して造粒し造粒炭と
    する造粒工程と、該造粒炭中の塩素原子の一部または全
    部を脱離させる脱塩素処理工程と、脱塩素処理により得
    られた脱塩素炭素材を、熱分解性炭化水素と接触させて
    細孔を調整する細孔調整工程とを備えたことを特徴とす
    る多孔性炭素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記塩素化処理工程の後に、前記塩素化
    乾留炭を粉砕する粉砕工程を備えたことを特徴とする請
    求項1記載の多孔性炭素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記造粒工程の後に、前記造粒炭を不活
    性雰囲気中で熱処理する熱処理工程を備えたことを特徴
    とする請求項1または2記載の多孔性炭素材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記乾留炭は、やし殻またはフェノール
    樹脂を乾留したものであることを特徴とする請求項1、
    2または3記載の多孔性炭素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記結合剤は、フェノール樹脂粉末およ
    び/またはコールタールであることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか1項記載の多孔性炭素材の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記塩素化乾留炭100重量部に対する
    前記結合剤の添加割合が5〜50重量部であることを特
    徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の多孔性
    炭素材の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項記載の
    多孔性炭素材の製造方法により得られた多孔性炭素材で
    あって、25℃かつ1気圧における酸素吸着量が9〜1
    4cc/gであり、かつ硬度が95〜99%であること
    を特徴とする多孔性炭素材。
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