JPH062046Y2 - 流体封入型防振装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は流体封入型防振装置に関するものである。

（従来の技術） エンジン等の振動源を、その振動を減少させつつ固定側
に取付ける流体封入型防振装置は知られている。

このような流体封入型防振装置は例えば流体室内に仕切
部材を設けて流体室を第１と第２の流体室に画成し、前
記仕切部材に連通路を形成して振動時にはこの連通路を
介して第１と第２の流体室間で流体を流出入させること
で振動を吸収するようにしている。

斯る流体封入型防振装置にあっては仕切部材内に可動板
を配置するとともに該仕切部材に複数の孔を形成し、振
動源に微振動が発生した際にはこの微振動に伴って生じ
る圧力変動を前記複数の孔を介して可動板に伝え、可動
板を振動させることでこの微振動を吸収するようにした
ものがある。

（考案が解決しようとする課題） ところで、前記仕切部材はゴム等の材質で構成される
が、従来、仕切部材に形成される孔は断面円状の比較的
小径であり、仕切部材にはこのような孔が多数形成され
るために仕切部材の製造が容易でなかった。即ち仕切部
材を成形する金型には前記複数の孔を形成するために円
柱状の突起が複数形成されることになり、金型に液状の
ゴムを流し込んだ際にこの複数の突起によりゴムの流れ
は複雑な経路を辿ることになってその流れがスムーズで
なくなるのである。

本考案は斯る従来の事情に鑑み成されたものであり、そ
の目的とる処は仕切部材の製造を容易とした流体封入型
防振装置を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 前記課題を解決するため本考案は、流体室を第１と第２
の流体室に画成するゴム等の材質からなる仕切部材と、
該仕切部材内に配設される可動板と、前記仕切部材に複
数形成され、振動に伴って生じる圧力変動を前記可動板
に伝える孔とから成る流体封入型防振装置において、前
記複数の孔を仕切部材の中心から周縁部に向かって伸延
する長孔と、該長孔間に形成される平面視略扇状の孔と
から構成したことにある。

（作用） 仕切部材に形成する複数の孔を仕切部材の中心から周縁
部に向かって伸延する長孔で形成したので、仕切部材の
製造時に金型に注入される液状のゴムは前記長孔に沿っ
て形成される直線状の流路を流れるためにその流れがス
ムーズであり、これにより仕切部材の製造を容易にする
ことができる。

（実施例） 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づいて説明
する。

第１図は本考案に係る流体封入型防振装置の縦断面図を
示し、図中１は支持部材で、該支持部材１は車体等の固
定側に取付けられる支持部２と円筒部３とから成り、該
円筒部３は更にテーパ部３ａと環状支持部３ｂとから成
る。

４はボルト５によりエンジン等の振動源に取付けられる
取付部材で、該取付部材４の外周には弾性体６の内周を
焼付け等により接合し、又、この弾性体６の外周を前記
テーパ部３ａに焼付ける。

又、この弾性体６には取付部材４と同心且つ大径の略円
筒状を成す環状リング７を埋設する。

一方、前記取付部材４にはボルトにてストッパー８を取
付け、このストッパー８は一端側に開口部８ａを有し、
又、他端側は底面８ｂを形成した有底筒状を成し、開口
部８ａには外側に広がるフランジ部８ｃを形成してい
る。

前記弾性体６の外周にはこれを囲繞するように遮熱部材
９を配置し、この遮熱部材９は一端側に形成した取付部
９ａが前記開口部９ａに取付けられてこれに固定され
る。

前記弾性体６の下方にはダイヤフラム１２を設け、更に
弾性体６とダイヤフラム１２間には仕切部材１４を設
け、弾性体６と仕切部材１４で主流体室Ｓ１を形成する
とともにダイヤフラム１２と仕切部材１４で副流体室Ｓ
２を形成する。

前記ダイヤフラム１２は中央に支持部１２ａを設けた厚
肉部１２ｂと、該厚肉部１２ｂの外周に形成した薄肉部
１２ｃと、該薄肉部１２ｃの外周に形成した取付部１２
ｄとから構成され、前記取付部１２ｄが前記環状支持部
５ｂに取付けられて固定される。

前記仕切部材１４は上下２枚の金属製の支持板１６，１
７と、これらの支持板１６，１７の間に設けられるゴム
製の板状部材１９，２０から成り、板状部材１９，２０
の間には可動板２２を設ける。

前記支持板１６，１７は平面視略円状を成し、その外縁
に形成した取付部１６ａ，１７ａが前記環状支持部５ｂ
に取付けられて固定されるようになっている。又、この
支持板１６，１７の略中央には保持部材２５を取付け、
この保持部材２５により支持板１６，１７の間隔を一定
に保つようにしている。図中２６は支持板１６上面に固
着されるゴム製のストッパーであり、又２７は、支持板
１６に形成した溝１６ｂと支持板１７とにより形成され
る流路で、この流路２７は一端側が主流体室Ｓ１に、又
他端側が副流体室Ｓ２に開口し、この流路２７により主
流体室Ｓ１と副流体室Ｓ２とが連通する。

仕切部材１４には複数の孔２８…，３０…を形成し、振
動源が微振動した際にはこの微振動に伴って生じる圧力
変動を孔２８…，３０…を介して可動板２２に伝え、可
動板２２を振動させることで前記微振動を吸収するよう
にする。前記孔２８…は支持板１６，１７に形成した孔
１６ｃ，１７ｃと板状部材１９，２０に形成した孔１９
ｃ，２０ｃとを連結して構成され、又、孔３０は支持板
１６，１７に形成した孔１６ｄ，１７ｄと、板状部材１
９，２０に形成した孔１９ｄ，２０ｄとを連結して構成
される。第２図は支持板１６に板状部材１９を取付けた
状態での平面図、第３図は第２図III−III線断面図、第
４図は第３図IV矢視図を示し、これらの図からも明らか
なように孔２８…は仕切部材１４の中心から周縁部に延
伸して放射状に形成されており、又、孔３０…は孔２８
…の間で平面視扇状に形成されている。

ところで仕切部材１４は、支持板１６に板状部材１９を
取付けるとともに支持板１７に板状部材２０を取付けて
製造されるが、この時の製造手順は次のようになってい
る。即ち支持板１６と板状部材１９の方を例にとれば、
下型にて支持板１６を支持しておき、この状態で上方よ
り上型を落とし、上型に形成した突起（この突起は孔１
６ｃ，１６ｄに合致した形状となっている）を孔１６
ｃ，１６ｄに入れ、この状態で上型と支持板１６との間
に形成される隙間に液状のゴムを注入する（液状のゴム
を注入する際には上型に設けた複数の注入口から行う
が、この注入口は第４図の点Ａ…で示す位置にある）。
ゴムの注入後、このゴムを硬化させ、このゴムを支持板
１６に取付ける。この硬化したゴムが板状部材１９であ
る。

以上において、本実施例では孔２８を仕切部材１４の中
心から周縁へ向けて伸延して形成しているので注入口か
ら注入した液状のゴムは直線状の経路を辿ることにな
り、このため、その流れが極めてスムーズである。

尚、振動源の大振幅時に強い減衰を得るには、可動板２
２が板状部材１９，２０に当接してからの可動板２２の
変形量を極力小さくすることが望まれる。この為、従来
においては仕切部材に形成する孔の径を小さくしていた
ので、孔の数を増やさなければならず、このために液状
ゴムの流路が更に複雑になっていたが、本実施例では孔
２８の幅と長さを調整するだけで良く、液状ゴムの流路
は複雑にならないという利点もある。

又、本実施例では孔２８の他に扇状の孔３０を形成して
いるので孔の総面積を大きく取ることができる。又、扇
状の孔３０も仕切部材１４の中心から周縁部に向けて伸
延しているので液状ゴムの流れはスムーズである。

（考案の効果） 以上述べたように本考案によれば、仕切部材に形成する
複数の孔を仕切部材の中心から周縁部に向かって伸延す
る長孔で形成したので、仕切部材の製造時に金型に注入
される液状のゴムは前記長孔に沿って形成される直線状
の流路を流れるためにその流れがスムーズであり、これ
により仕切部材の製造を容易にすることができる。又、
本考案では長孔の間に扇状の孔を配置するので、一つ一
つの孔が小さくなり、仕切部材内に配置される可動板に
高い圧力が加わっても該可動板はこの孔で変形すること
がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る流体封入型防振装置の縦断面図、
第２図は支持板に板状部材を取付けた状態での平面図、
第３図は第２図III−III線断面図、第４図は第３図IV矢
視図である。 尚、図面中、１４は仕切部材、２２は可動板、２８は
孔、Ｓ１は第１の流体室、Ｓ２は第２の流体室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】流体室を第１と第２の流体室に画成するゴ
   ム等の材質からなる仕切部材と、該仕切部材内に配設さ
   れる可動板と、前記仕切部材に複数形成され、振動に伴
   って生じる圧力変動を前記可動板に伝える孔とから成る
   流体封入型防振装置において、前記複数の孔を仕切部材
   の中心から周縁部に向かって伸延する長孔と、該長孔間
   に形成される平面視略扇状の孔とから構成したことを特
   徴とする流体封入型防振装置。